貸付投資のファンズ、シリーズDでデット含め36億円調達——韓国ハンファや楽天証券らが新たに出資、企業のデット需要増が追い風

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Image credit: Funds

企業と個人をつなぐ貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds」を運営するファンズは14日、シリーズ D ラウンドで約36億円を調達した。このラウンドは ANRI がリードし、グローバル・ブレイン、B Dash Ventures、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、みずほキャピタル、三菱 UFJ キャピタル、三井住友信託銀行、FFG ベンチャービジネスパートナーズ、楽天証券、名前非開示の国内機関投資家1社、Hanwha Asset Management、Cygames Capital、マーキュリアホールディングスが参加した。

調達金額には、みずほ銀行、千葉銀行、商工中金からデット調達した約2億円が含まれる。これはファンズにとって、2021年に実施したシリーズ C ラウンドに続くものだ。ANRI、グローバル・ブレイン、B Dash Ventures、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、FFG ベンチャービジネスパートナーズ、みずほキャピタル、三菱 UFJ キャピタル、三井住友信託銀行は以前のラウンドに続く参加。今回の調達を受けて、ファンズの累積調達額は約68億円に達した。

ファンズは、サイバーエージェント出身で、これまでにマーケティング支援事業をイグジットさせている藤田雄一郎氏が2016年に創業。少し古い数字だが、2020年2月段階で口座開設者数は約2万名、運用残高は2019年段階で6.7億円。2019年11月の GRASSHOPPER のピッチで、藤田氏は2026年までに運用残高1兆円の達成を目指すとしていた。2020年11月にはメルペイ残高でメルカリに貸付投資ができる「メルカリ サステナビリティファンド」をローンチした。

エクイティファイナンスの市況が悪化する中で、スタートアップも資金調達の手段を多様化しつつある。実際、アーリーとはいかないまでもシリーズ A ラウンド以降くらいのスタートアップでもデットの活用は顕著になってきた。ファンズ代表取締役 CEO の藤田雄一郎氏は、「以前は9割がた(金融機関側で)門前払いだったのが、最近では CFO 界隈で(デットファイナンスが)市民権を得てきている」という。

この傾向はスタートアップに限ったものではない。上場企業でさえ株式市場での資金調達に手詰まり感を覚え、デットの活用が増えたことで、デットを提供するプレーヤーの認知度が高まってきた。言うまでもなくファンズにとっては追い風だ。同社は MUFG の資産形成を支援するプラットフォーム「Money Canvas」や楽天証券を通じた募集など、資金を出す側のアクセスを多様化してきた。今後、エクイティとデットの両方の性質を備えた、ベンチャーデット製品の開発にも着手する考えだ。

ちなみに、アメリカではベンチャーデットを提供する企業として Silicon Valley Bank(SVB)が有名だが、先週、経営破綻したのは読者がご存知の通りだ。ただ、この破綻は預金の取り付け騒ぎが起きたことや増資に失敗したことなど SVB 固有の問題に起因していて、ベンチャーデットそのものの需要は今も増え続けている。日本国内でも昨年、増える需要に対応すべく、マネーフォワードシンカ(昨年、事業終了)、福田拓実氏、WARC による共同出資で SDF キャピタルが設立されたのは記憶に新しい。

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