電話DX SaaSのIVRy(アイブリー)、13.1億円をシリーズB調達——音声認識AI応答、ChatGPTによる通話内容まとめ機能を追加

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Image credit: IVRy

電話自動応答 SaaS「IVRy(アイブリー)」を開発・提供する IVRy は29日、シリーズ B ラウンドで13.1億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、フェムトパートナーズ、Headline Asia、SMBC ベンチャーキャピタル、三菱 UFJ キャピタル、みずほキャピタル、 BRICKS FUND TOKYO(三菱地所)。フェムトパートナーズは、IVRy が2021年12月に明らかにしたシリーズ A ラウンドに続くフォローオンでの参加。今回の調達を受けて、IVRy の累積調達額は17.1億円に達した。

IVRy は、電話業務を自動化・効率化し、オペレーション集中や対応工数の削減を可能にする SaaS。自由な分岐設定や自動応答・SMS返信・転送・録音・ブラウザ電話などの機能を活用することで、営業電話、顧客問い合わせ、注文、予約などのさまざまなシーンを自動化できる。2020年7月にβローンチ、2020年11月に正式ローンチし、病院・クリニック、企業、飲食店、美容院、EC 事業者など、50以上の業界で5,000以上のアカウントが利用されている。累計の着電・自動応答数は500万件以上、MRR は昨年比600%に達した。

IVRy では今回の調達とあわせ、大きく2つの機能追加を行う。

これまで DTMF(電話のトーン信号)で受け付けてきた応答に、AI による音声認識(現時点でβ版)を取り入れる。DTMF とのハイブリッドでの運用も可能だ。これにより、ユーザが必要な情報に辿り着くまで、深い分岐を降りていく必要があったものが、短時間にダイレクトでリーチできる可能性が高まる。例えば、「○○時に××で予約を入れてください」とか、「営業時間を教えてください」といった要望や質問に AI が回答できるようになる。人が対応する工数を最小限に抑えることにも寄与するだろう。

また、ChatGPT・GPT-4 を使った通話内容の要約機能を実装する。電話受付者やオペレータは、メモや書き起こしすることなく、簡単に内容を要約し、記録したり共有したりすることが可能になる。IVRy はこの新機能の公開に先立ち、電話から ChatGPT と会話ができる無料のサービスを先週公開、1万件以上の着電があり、累計通話時間が350時間を超えたことを明らかにしている。このサービスは IVRy の本来のものではないが、音声を入出力に使ったジェネレーティブ AI の可能性に、人々の関心が高いことを示唆している。

今回の資金調達発表を受けて、IVRy の奥西亮賀氏は BRIDGE の取材に対し、今後の展望を次のように語ってくれた。

日本は中小企業が99.7%で、国際競争力を上げるためには彼らの生産性を後押ししてゆく必要がある。SaaS は、最先端の技術を非常に低コストで多くの企業や人に使ってもらうことができるので、そこに貢献していきたい。より多くの人が使えるようにプロダクトを落とし込み、企業が顧客へのサポートをはじめ、より本業に特化できるよう支援する機能を充実させていく。

今後、IVRy では利便性向上を図るため、他社が提供する予約サービス、在庫確認サービスなどと機能連携することなども視野に入れるとしている。

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