設立から3年「Tリーグ優勝」できたワケ/琉球アスティーダ早川代表 × ACV唐澤・村上(1)

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容をテキストにまとめて掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を取り合い、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト・シリーズです。旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

ポッドキャストで語られたこと

  • 設立から3年「Tリーグ優勝」できたワケ
  • スポーツを「投資を受けられる」ビジネスに育てる
  • 圧倒的な多業種展開の秘訣
  • トークンコミュニティ運営に重要なこと
  • ファンタジースポーツへの期待と苦労
  • トークンホルダーを育てる努力

相談から30分でチーム経営の引き受けを決断

唐澤:本日は琉球アスティーダ代表の早川さんをゲストとしてお招きしております。早川さんよろしくお願います。

早川:琉球アスティーダの早川でございます。本日はありがとうございます。

唐澤:まずは、琉球アスティーダのことを知らない方はいらっしゃらないと思うんですが、リスナーの方へのご紹介と、早川さんの自己紹介をお願いしてもいいですか。

早川:はい。ありがとうございます。琉球アスティーダは、卓球のプロリーグ「Tリーグ」に参戦をさせていただいてるチームでございます。私自身は卓球の経験は全く無いのですが、その地域リーグを立ち上げたチェアマンが大学の先輩です。

その先輩から「(卓球は)5歳から始められるスポーツで、15歳でメダルが取れる可能性がある。沖縄の貧富の格差がこれだけ拡大する中、お金をかけずにチャンスが与えられる球技が卓球以外あるか」と言われました。

私は強い地域、強い者にではなく、弱い地域、弱い者に光を当てる。そういった想いを持って、事業やさまざまなことに取り組んできました。その志にぴったり合ったので、(話を聞いて)なんと30分でスポーツチーム引き受けたというのが今までの流れでございます。

唐澤:そうだったんですね。30分で引き受けられたんですね。

早川:新聞配達をしながら夜間の大学へ行きまして、大学1年生で法律事務所に勤め、大学3年で創業して、その会社を25歳で離れて2年半ほど元総理大臣の秘書をやって、28歳で衆議院議員選挙にチャレンジをしてきました。

19歳のときに会社を潰して父が蒸発したとき、行政は全く相手にしてくれない。奨学金を借りに行っても、保証人を連れてこいと言われる。こういった強い地域、強い者だけに光が当たって、弱い地域、弱い者に光が当たらない社会構造を変えたいという強い思いが芽生えました。

そこでベンチャーを興し、国会議員へチャレンジをしました。今回の卓球ですが、5~15歳からお金をかけずにチャンスが得られ、この今の僕にぴったり合って志をスポーツで実現できるんではないか。そこにドキュンときてしまい、30分でチームを引き受けてしまいました。

唐澤:なるほど非常にわかりました。多分外から見たら一見、一貫性がない経緯に見えるかもしれないですけども、早川さんがおしゃっていただいように強い原体験があって、強い者をさらに強くじゃなくて、こういうところの行動原理がやっぱり重要だったってことですよね。

早川:おっしゃる通りで、スポーツチームを引き受けてさまざまなチャレンジをし、我々は株式投資型クラウドファンディングでも初めての上場案件になったんですが、これまた投資でも強い人間がどんどん強くなっていくではなく、少額の株でも未上場の会社に対して投資をして勝っていける可能性がある。

つまり、そういった資本主義の原理の中で強い者がどんどん強くなるっという制度ではなく、弱い地域、弱い者に光を当てていき、資本主義の原理をまた改めて考えようといったことを、スポーツを通じてさまざまな実験を繰り返してやっているわけです。

会社設立から3年、Tリーグ優勝できたワケ

Tリーグで2020年シーズン優勝を果たす(イメージクレジット:琉球アスティーダウェブサイト)

唐澤:私もずっと別に卓球をやっていたわけではないんですが、有名なのは2年前ですか、会社設立から3年でリーグのトップを取られました。チームにとって初で、株式会社化され上場した会社で珍しいパターンだと思いますし、誰もがそれができるわけではないと思うんですが、どうして早川チェアマンが率いるチームはその実績を作れたのでしょうか。

早川:僕自身、自分が社長として会社を上場させるつもりは全くなかったんです。なぜかといったら、21歳の後半で創業してから、さまざまな上場オーナーの苦しみ、上場前後における成長性など、さまざまなところでものすごいストレスを抱え不幸な大金持ちをたくさん見てきました。そんなことから、僕自身全く興味を示していませんでした。

しかしながら、それをサポートすることだけは得意でした。資本政策を作るとかですね。私自身、地元のスポーツチームに個人で何百万円かの協賛を毎年していたんですけど、今回チームを引き受けて、さまざまな企業さんにスポーツの話を申し上げる中で、スポーツにお金を出している会社、出そうと思っている会社がものすごく少なかったんですね。

これってなぜだろうと掘り下げていくと、3点の課題が見つかりました。まず、スポーツ会社はガバナンスが利いてない。つまり、経理と財務が一緒であったり、ガバナンス(内部統制)も取られてない。またディスクロージャー(情報開示)が不十分で、簡単なPL/BS(損益計算書と賃借対照表)しか出していない。なおかつ1社も上場している会社が無かったんですね。

適正な資本主義の原理の中で、適正なガバナンスと適正なディスクロージャーをして、適正な株価算定をしていただく。これは当たり前に業界にとって必要なことだと思いました。海外のクラブチームでマンチェスターさんは3,000億円の時価総額とかにいったりしている。つまりスポーツに新しいお金の循環モデルを作らなきゃいけない。

最低限のガバナンス、ディスクロージャーをして、市場から株価算定をしていただく。そういったスポーツに新しいお金の循環モデルを作らないと日本は強くならない。スポーツにお金が循環しないことによって強くならない、また夢が与えられない。好循環を作りたいという思いで決意をして取り組んでいった形になります。

優勝の話は、全く卓球がわからない状態で我々がチームを引き受け、最初立ち上げられたチェアマンから「強いチームになるから大丈夫だよ」と言われ、いろんな選手をご紹介いただいて、卓球が全くわかってなかったから「これでいけるだろう」と思ったら、初年度に「こんなにスポーツって負けるんだ」ってぐらい負けたわけですよ。ダントツでビリだったんです。

唐澤:一人ひとりは強くてもってことですもんね。

早川:そうです。こんなにスポーツは負けることあるんだって。勝率はもう果てしなく低い。勝ったら本当に勝ったの?というぐらいのレベルだったんですよね。強いチームを作りたい、3年で優勝するチームを作ると決めました。何とか3年で日本一になるチームになったという形です。

次につづく:スポーツを「投資を受けられる」ビジネスに育てる/琉球アスティーダ早川代表 × ACV唐澤・村上(2)

 

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