テック大手 Alibaba（阿里巴巴）は11日、AIチャットボット「Tongyi Qianwen（通義千問）」を発表し、中国のテック大手各社が ChatGPT に対抗すべく、中国国産大規模モデルの投入を急いでいる波に合流した。事前告知なしに開始されたこのサービスは、現在、法人顧客と限られたメディア関係者のみが招待制で利用できる。

このチャットアプリケーションは、公式サイトで「効率化のアシスタントであり、アイデアを生み出すもの」と説明されている。このサイトでは、Alibaba の新製品に関する具体的な情報はほとんど提供されず、訪問者に招待コードを要求するための電話番号とメールアドレスを尋ねるだけである。

重要視すべき理由：Alibaba は、先月発表された Baidu（百度）の「ERNIE Bot（文心一言）」に続き、自社開発の大規模モデルでチャットアプリケーションを発表した2社目の中国テック大手である。SenseTime（商湯）、Huawei（華為）、JD（京東）など、他の現地テック大手も、ChatGPT に代わる独自のアプリケーションをすぐに導入すると予想される。

• Tongyi Qianwenは、Alibaba の研究機関 DAMO Academy（達摩院）が開発したもので、新たに独立したクラウドコンピューティング部門の一部である。同社は、このモデルがいくつのパラメータでトレーニングされているかは明示していない。2021年、Alibaba はマルチモーダル M6 モデルをリリースし、中国で初めて10兆パラメータを突破した AI モデルだと主張した（ChatGPT のパラメータは1,750億）。

詳細：ライバルである ChatGPT や ERNIE Bot と同様に、Tongyi Qianwen はユーザのプロンプトに応えて記事や詩を生成することができる。また、アウトラインの作成、褒め言葉の検索、レシピの提供、様々なスタイルやトーンでの文章作成が可能だ。中国の多くのメディアがこのボットをテストし、Baidu の ERNIE Bot や ChatGPT とその性能を比較した。

• Tongyiは、OpenAI の ChatGPT とは異なる思考様式を示す。メディアの DoNews から、技術記者として AI 業界の最新の進歩をどのようにカバーするかという質問を受けた Tongyi Qianwen の回答はより具体的で、この分野の重要なイベントのレポートや専門家や起業家のインタビューを提案している。一方、ChatGPT は、深い回答よりも、関連する知識の学習やアップデートを重視している。
• Tongyi Qianwen と ERNIE Bot は、ChatGPT よりも中国語の複雑な質問に答えることに長けている。現地メディア QbitAI（量子位）の報道によると、前者は特定の常識的な質問に対して何度も会話をする能力があり、回答のソースを提供することができるそうだ。それに比べ、Baidu のボットは時に紛らわしい回答をすることがあると、この報道は指摘している。中国語での質問に対する3つのツールの回答には、若干の違いがある。
• ERNIE と Tongyi Qianwen は、ChatGPT と比較してプログラミングの成績が悪くなっている。テックメディアの Chaping（差評）が入力したテストでは、クリックするたびに色が変わるボタンを作成するためのコードを書くという依頼だったのだが、Alibaba と Baidu のチャットボットサービスはフルコードを書くことができず、ChatGPT はその機能の作成に成功した。
• Tongyi Qianwen は現在マルチモーダル生成に対応していないが、Baidu のチャットボット ERNIE Bot は音声、画像、動画の作成機能を備えている。

背景：検索大手 Baidu が先月、ERNIE Botをリリースして注目を集めた後、中国のテック大手や起業家が AI チャットボットレースに参加している。

• 地元メディアの IThome（IT 之家）によると、AI スタートアップの SenseTime は、「SenseChat（商量）という AI 製品の新シリーズを11日発表した。
• 中国の EC 大手 JD（京東）は、ChatGPT の産業版として「ChatJD」と名付けたものを今年中に発売し、小売と金融の用途に重点を置くと、同社の副社長 He Xiaodong（何暁冬）氏が最近、杭州で開かれたサミットで述べた。
• Alibaba は3月下旬、クラウド部門を含む6つの独立したグループへの分割を発表し、現在は資金調達や IPO を目指すための自主性を持っている。クラウド部門は Alibaba CEO の Daniel Zhang（張勇）氏が直接指揮している。

【via TechNode】 @technodechina

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