「AI人格」と会話できるCharacter.AIが新ユニコーンにーー個性を持った検索窓口の可能性/GB Tech Trend

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1億5,000万ドルの調達発表した「Character.AI」
Image Credit: Character.AI

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

生成系AIの話題が尽きません。

3月23日、「Character.AI」はAndreessen Horowitzがリードするラウンドで、10億ドルの評価額で1億5,000万ドルを調達したと発表しました。2021年の創業からわずか2年でユニコーンの仲間入りを果たしたことになります。

同社はカスタマイズ可能な「AI人格」を生成でき、対話型生成系AI「ChatGPT」のように、独自の個性と価値観を持つ各キャラクターと対話できるサービスを提供しています。たとえばイーロン・マスク氏のAI人格を生成すると、同氏の口調や得意とするビジネスの話題で盛り上がりながら対話を楽しむことできます。

Character.AIに引き続き、4月11日は世界的なQAサイト「Quora」も、同社が展開する対話型AIサービス「Poe」においてユーザー自身でボットを作成できる機能を発表しました。PoeはQuoraが長年蓄積してきたQA投稿情報をもとに、GPT-4やSageといった既存言語モデルをベースに対話体験を提供します。各言語モデルに沿って、アウトプットの口調や傾向が変わるのです。たとえばユーザーが「陽気なビジネスマンのように振る舞う」と入れると、その記述に沿った独自の個性に則った対話ボットを作成できるようになります。Character.AI同様、誰もが自由に個性を持った対話ボットを作成できるようになりました。

QuoraやCharacter.AIの動きから、カスタマイズキャラクターを生成し、情報検索に多様性を持たせようとするトレンドが徐々に来ているように感じられます。これまで画一的だったGoogle検索から抜け出し、「個性を持った検索窓口」によって知りたい情報を獲得する体験が広まりつつあるのです。

そしてこのトレンドの先に考えられるのがB2B向け検索API市場の変化です。

検索API市場で有名なプレイヤーは「Algolia」です。同社はECサイト等で使う検索窓口機能をAPI経由で提供しています。利用企業は自社プロダクト一覧データをAlgoliaに入力するだけで、高いレコメンドや推測機能を持った検索窓口を自社サイトに搭載できるようになります。たとえばAlgoliaのようなサービスに、サイト訪問者が好む独自の語り口調で出力する対話型AI機能が実装された時、わたしたちのEC検索体験は大きく変わるはずです。

まるで自分専用のコンシェルジュのように、自由な会話から商品を検索しておすすめしてくれる。ChatGPTで自由な会話を体験した人であればわかると思いますが、回答は都度生成されて変わっていきます。まるで人と会話しているようなユーザーにパーソナライズされた「個性を持った検索」が実装される未来も近いのではないでしょうか。

この1か月、あらゆるメディアや情報のあり方に「個性」が絡んでくるようになりました。まだままだ応用できることや、この影響を受けるサービスは大量に発生することでしょう。この先にどんな新市場が誕生するのか注目されます。

4月4日〜4月17日の主要ニュース

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