AI英語学習アプリ&クラウド「TerraTalk」運営、ニッセイCとDGDVから資金調達——全国自治体8%の小中校で導入

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「TerraTalk」
Image credit: Joyz

AI 英語学習アプリおよびクラウド「TerraTalk(テラトーク)」を提供するジョイズは8日、直近のラウンドでニッセイ・キャピタルと DG Daiwa Ventures(DGDV)から資金調達したことを明らかにした。同社はこのラウンド単体での調達額を明らかにしていないが、累積調達額が約9億円、また2016年2月に1.5億円の調達(シードラウンドと推定)、2017年12月(シリーズ A ラウンドと推定)に約2億円の調達を明らかにしていることから、約5.5億円と推定される。

ジョイズは2014年10月、 イギリス気象庁、ソニー、Car Connectivity Consortium 出身の柿原祥之氏(CEO 兼 CTO)らにより創業。インキュベイトファンドの「Fellow Program(当時)」出身起業家第1号として現在の事業を開始した。英語学習アプリは市場に複数存在するが、TerraTalk 特に小中学校の授業の中で使われることが多い。全国には約1,700の地方自治体が存在するが、そのうち、約8%に相当する128の自治体にある小中学校で TerraTalk が導入されている(ユーザ数は80万人)。

実際のところ、授業でどのような指導要領や教材を使って授業を行うかは、地方自治体の教育委員会が主導することが多く、ジョイズではこれまでに、全国の約1,700のうち約1,100の自治体については、TerraTalk を紹介するか検討するかしてもらっているという。また、学校教師は、政令指定都市を除き都道府県単位で採用されているため、教師の人事交流は市区町村を超えて行われており、学校における学習アプリの浸透については、教師同士のネットワーク効果もある程度期待できるようだ。

「TerraTalk」
Image credit: Joyz

コロナ禍で Zoom や Google Meet でオンライン授業される機会も増えたが、もともと、これらのツールは授業には最適化されていないため、生徒からは「板書が読めない」「声が聞き取れない」とか、教師からは「生徒の表情がわからない」といった課題が顕在化した。TerraTalk ではこれを踏まえ、2022年に先生と生徒全員が同じ部屋にいるかのような対話型の授業ができる機能「TerraTalk Live」を公開し、数百名の生徒を一名の教師が指導しつつ、生徒に合わせた個別最適化を実現した。

文部科学省のデータによれば、2020年現在の小中学生の人口は約630.1万人で、ここに高校生を加えると900万人前後になる。このボリュウムの人口が毎週5時間勉強するマーケットの大きさはそれなりに大きいと考え、特に学校での利用してもらうことに力を入れるようになったそうだ。また、企業や民間塾に利用する場合と比較して、公的教育では現場でのサービスの利用のされ方が公になるため、これが TerraTalk の効果を広く認知してもらうことにも役立っているという。

ジョイズでは調達した資金を使って、TerraTalk の販売や運用支援体制の強化、社会実装が急加速している ChatGPT をはじめとする大規模言語モデルの組み込みなど研究開発を強化するとしている。

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