ミズノ、スポーツテック系スタートアップとの共創事例を披露するイベントを開催

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左端に司会を務めたミズノスイムチームの寺川綾氏、壇上左にミズノ代表取締役社長の水野明人氏、壇上右に Scrum Ventures 代表パートナーの宮田拓弥氏
Image credit: Masaru Ikeda

スポーツ用品総合メーカーのミズノ(東証:8022)が、スタートアップとのオープンイノベーションに本格的に動き始めたのは昨年のことだ。東京2020オリンピック(2021年に開催)以前は電通と共に「SPORTS TECH TOKYO」を運営していた経緯などから、スポーツテックに造詣が深い Scrum Ventures と組む形で共創(協業)の模索を始めた。大阪・咲洲には昨秋、本社に隣接する形でイノベーションセンター「MIZUNO ENGINE」が竣工した。

<参考文献>

大阪・咲洲にあるミズノ本社(右)と MIZUNO ENGINE(左)
Image credit: Mizuno

MIZUNO ENGINE には、原動力を象徴する「ENGINE」と、チームワークを象徴する「円陣」の2つの意味が掛け合わされているそうだ。筋力計測、3D ボディスキャナー、超音波エコー、樹脂練り機、射出成型機、体育館、人工芝、ハードコート、陸上トラックなど、スポーツにまつわるさまざまな、はかる・つくる・ためすための設備が備わっている。企業のイノベーション施設はクローズドなことが多いが、この施設はオープンにしていて、一部については社員同伴であれば、社外の人も入館できるようにしているという。

スタートアップとの共創について語る水野氏と宮田氏
Image credit: Masaru Ikeda

MIZUNO ENGINE では18日、ミズノ代表取締役社長の水野明人氏、Scrum Ventures 代表パートナーの宮田拓弥氏を交え、元スピードスケート選手で現在は札幌を中心に健康・介護事業などを展開する清水宏保氏らを招いたイベントが開催された。イベントの司会は、ミズノスイムチームに所属する競泳選手の寺川綾氏が務めた。会場には、ミズノが共創するスタートアップ数社のほか、スタートアップ関係者数十名も参加した。

ミズノとスタートアップとの共創事例として以下が紹介された。

  • バットに取り付けたセンサーでスイング計測を提供するアメリカの BLAST の日本展開支援
  • 南信州ビールと共同開発したスポーツ後に飲むためのノンアルコール・ビアテイスト飲料「PUHAAH(プハー)
  • Grace imaging の乳酸を汗から計測できるセンサーを、ミズノのランニングステーションに導入
  • オンラインフィットネスを提供する SOELU とミズノのヨガクッション「ROUE」を使ったオリジナルプログラム開発
  • web3 スタートアップ Ginco との協業により、ミズノによる柔道・ランニング・フットボールの NFT デジタルアート販売
  • Run.Edge と、映像分析コミュニケーションツール「FL-UX」のセールス協業とバレーボールへの参入支援

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自身の事業を紹介する清水宏保氏
Image credit: Masaru Ikeda

水野氏は、スタートアップとのオープンイノベーションについて、「自分たちがこれまでやってきたビジネスだけだと置いていかれる。スタートアップが作ったものを取り入れることで、事業をもっと進化させていきたい」と抱負を語った。また、清水氏は、「アスリートのデータを取って、それを共有するなどしてビジネスに発展させていくことで、これまではアスリート〜監督・コーチの関係しかなかったのが、一般の人々も監督・コーチの目線でアスリートを見てくれるようになる」として、スポーツの裾野が広がる可能性に期待を込めた。

ミズノがスタートアップに提供できるアセットについて<br>Image credit: Masaru Ikeda
ミズノがスタートアップに提供可能なアセット
Image credit: Masaru Ikeda

スタートアップとの共創を担当するミズノ総合企画室の中嶋弘貴氏は、スタートアップの持つ技術やアイデアを見つけたときに、それを社内のどの事業との共創にフィットするかを思案し紹介するのに苦労したと話し、ミズノの web サイト上に開設した全部署横断で共創担当者に連絡が届く専用フォームを活用してほしい、と語った。ミズノの CVC やスタートアップ投資規模については明らかになっていないが、現状、同社は「FIRST CVC」というコミュニティに名を連ねているほか、Scrum Ventures のファンドに LP 出資しているとみられる。

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