Onlabが第26期デモデイを開催、交通脱炭素化を促す都市データ基盤を開発Spatial Pleasureが最優秀賞を獲得

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Image credit: Masaru Ikeda

Open Network Lab は20日、Seed Accelerator Program 第26期のスタートアップを披露するデモデイを開催した。

採択された5チームがデモデイでピッチし、デモデイの最後には、主要メンターやデモデイに参加した聴衆らによる審査投票の結果によりチームを表彰した。

審査員は次の方々。

  • 林郁氏(デジタルガレージ代表取締役 兼 社長執行役員グループ CEO)
  • 伊藤穰一氏(デジタルガレージ 取締役 兼 専務執行役員 Chief Architect)
  • 畑彰之介氏(カカクコム 代表取締役社長執行役員)
  • 村上敦浩氏(カカクコム 取締役執行役員)
  • 大熊将人氏(デジタルガレージ 取締役 兼 専務執行役員 CSO)

【Best Team Award】【Audience Award】都市データプラットフォーム by Spatial Pleasure

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Spatial Pleasure は、公共交通事業者がカーボンクレジットを発行できるようにするプラットフォームを開発している。対象事業者は、バス会社やシェアサイクル事業者などがあるが、特に、コストインパクトが大きいバス事業者が主要なユーザとなっている。バスは排気ガスを出して市中を走っているように思われがちだが、多くの人を乗せられるので、自家用車数十台分を代替できるカーボン削減効果がある。

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しかし、バス会社は実際にはカーボンクレジットの効果を定量的に難しい。一般的な手法では調査に一回あたり数千万円かかり、この調査を2ヶ月に1回実施しなければなならないからだ。Spacial Pleasure では、乗降客データや地理空間データに加え、バス機材メーカーからも精緻なデータを獲得し、カーボンクレジット効果を容易に計算できる仕組みを開発。バス会社がクレジットカーボンを発行し収入を得られるようにする。

【Special Award】AIRCLE by Alpaca.Lab

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Alpaca.Lab は、北陸先端科学技術大学院大学で人工知能の研究に携わっていた棚原生磨氏により2018年創業。琉球大学との共同研究により、運転代行業界の最適化を図ろうとするスタートアップだ。同社の「AIRCLE(エアクル)」は、利用者と運転代行業者を繋ぐ配車プラットフォームで、現在は沖縄県と福岡県(福岡市・筑後市)と和歌山県で展開している。

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利⽤者がスマホやタブレットから発注をすると、運転代⾏業者と利⽤者の位置情報を活⽤し、効率的なアルゴリズムにより最適な配車を⾏う。これまでに全国の160業者340台の車と契約しており、累計注文件数は16万件を突破した。今後、石川、熊本、群馬などにも展開し、運転代行の業界シェア3割の獲得を目指す。

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【Special Award】えもび by eMoBi

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日本の観光地には、多くの場合、10キロ圏内に複数の観光スポットが分散しているという特徴がある。これらを散策するには、歩くには遠かったり、公共交通機関は混んでいて乗れなかったりする。自転車は便利だが一人乗りであるためグループで話しながら移動するのが難しく、雨や風といった環境要因にも左右されやすい。レンタカーでは、観光地の狭い道には向かない。

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eMoBi は、電動トゥクトゥク(三輪車)を活用したレンタルサービス「えもび」を提供。小さな車体のため公共交通機関の混雑や渋滞する道路を避けて効率的な移動がしやすい。福岡、壱岐、武雄、串本、鎌倉など全国8ヵ所でサービスを展開しており、観光客が使うため、平均客単価も1台は4時間7,980円、稼働率も93%と高い。駅やホテルに発着点が限られるので運用コストも圧縮できる。

YOILABO by YOILABO

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YOILABO は、食中に楽しめるアルコールイミテートではないノンアルコール飲料の企画と販売を行っている。レストラン向けには、お酒中心だったペアリングのエッセンスをノンアルコールに再構築した「PairingTea」を提供、顧客満足向上と店舗の売上増に貢献している。レストラン向け商品はさまざまな制約があるが、100社以上の中から探した工場の協力を得て、商品の製造に成功した。

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日本人の半数以上がお酒に弱いという遺伝的な傾向があるため、お酒を飲まない人が形見の狭い思いをする課題を解決する商品を開発。コロナ禍でも多くのレストランに導入され、高い評価を得ている。茶葉×スパイス×ハーブ×果汁を組み合わせにより、独自の飲料ジャンルを開拓。鎌倉の「古我邸」や恵比寿の「ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション」といった高級店にも採用されている。

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BOOOST by booost health

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企業が従業員に提供するメンタルヘルスのソリューションは、カウンセリングや瞑想・睡眠を促すアプリなどに限られていることが多い。主に企業側の都合で導入されているため、必ずしも従業員の立場から利用したいと思うものになっていないこともしばしばだ。一方、プロのスポーツアスリートは、自ら率先してメンタルヘルスケアを取り入れている。

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BOOOST はアスリートが行なっているメンタルヘルスケアをビジネスパーソンにもたらそうとするものだ。サービスは、次のアクションを導く認知療法をデジタル化した独自ツールと、コーチによるオンラインカウンセリングによって構成される。2月に開始したβサービスでは、大手金融機関やゼネコン3社で導入準備中にある。同社では心の健康から日本の GDP 向上を目指すとしている。


デジタルガレージ オープンネットワークラボ推進部共同部長の松田信之氏によれば、今回の第26期の修了を受け、Open Network Lab は通算で145組のスタートアップを輩出したことになる。また、前回第25期までの輩出スタートアップの、次期資金調達達成率は58.1%、イグジット率は13.2%に達しているとのことだ。

第26期デモデイの開催とともに、第27期への応募受付が開始された。第27期への申込締切は、5月9日の正午となっている。

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