世界150カ国の空港送迎マーケットプレイス「SmartRyde」、シリーズA+でデット含め4.5億円を調達

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SmartRyde の皆さん。右から2人目が CEO 木村聡太氏、左から2人目が CTO Alvin Leonard 氏。
Image credit: SmartRyde

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

グローバル空港送迎マーケットプレイス「SmartRyde」を運営する SmartRyde は8日、シリーズ A+ ラウンドで4.5億円を調達したと発表した。このラウンドは NVenture Capital(NEC キャピタルソリューションの子会社)がリードし、SMBC ベンチャーキャピタル、山口キャピタル、広島ベンチャーキャピタル、しがぎん地方創生 SD ファンド(滋賀銀行とクオンタムリープキャピタルパートナーズによる運営)、いよぎんキャピタルが参加した。なお、調達額には、日本政策金融公庫からの資本性ローンが含まれる。

これは同社にとって、2019年12月に実施したシードラウンド、2021年10月に実施したシリーズ A ラウンドに続くものだ。今回参加した投資家のうち、SMBC ベンチャーキャピタル、山口キャピタル、広島ベンチャーキャピタル、いよぎんキャピタルは前回ラウンドに続くフォローオン。今回の調達を受けて、累積調達額は明らかになっている限りで6.3億円を超えた。

SmartRyde は2017年3月、立命館大学の学生だった創業者の木村聡太氏が、旅先のタイで空港から市内へ向かうタクシーでぼったくられた体験から考案したサービスだ(当初の社名はディーエルジーピー)。世界150カ国700空港以上の送迎タクシー会社と提携、他方、Booking.com、Expedia、Trip.com(旅程)、Traveloka、Despega といった OTA(オンライン旅行代理店)25社以上と提携し、OTA で航空券を購入したユーザに対し、空港送迎タクシーの販売サービスを提供している。

SmartRyde

SmartRyde が提供するサービスは、OTA で航空券を購入したユーザ、OTA の双方にメリットがある。まず、ユーザにとっては空港を出てから、ダウンタウンのホテルへ向かう交通手段を探す煩わしさから解放される。最近は、国や街によっては、地元のタクシー運転手の雇用を守る観点から Uber や Grab のようなアプリで配車ササービスを呼べないこともあり、言葉が通じないかもしれない環境で予め交通手段が確保されていて、到着ロビーに自分の名前を掲げた運転手が待っていてくれるのは非常に助かる。

他方、OTA は非常に利ザヤが薄い商売だ。彼らは、航空券、宿泊に加え、レンタカーや各種アクティビティなど取扱商品の多角化を図っているが、ユーザは横断的に複数の OTA の検索結果を見比べながら価格の安い選択肢を選ぼうとするので、OTA 間の価格競争は激化利益を圧迫する。OTA は世界中の空港送迎タクシー会社の一つ一つと契約することはできないが、SmartRyde のような束ね役がいることで連携の手間が簡素化され、OTA にとっては追加的なレベニューストリームを生み出すことにつながる。

SmartRyde はまた今回の調達とあわせ、「Demand Partner API」をローンチしたことを明らかにした。OTA や航空会社がこの API に接続し、SmartRyde の空港送迎ネットワークにアクセスすることで、ホテルやフライトを販売する際に併せて空港送迎サービスの販売が可能となり、収益をさらに増やすことが期待できるとしている。

SmartRyde は前回の調達以降、日本旅行とシステム連携、モビリティサービスの相互接続事業者である Splyt との協業、インバウンド来日客向けサービスを提供する WAmazing との連携、ジャルパックと連携などにより、SmartRyde に流入するユーザのパイプラインを増やしてきた。昨年8月には、Tripadvisor でテクニカルアドバイザー、Alassian でエンジニアリングマネージャーを務めた Alvin Leonard 氏を CTO に迎えている。

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