網膜スキャンで心血管疾患を予測するMediwhale、SBIらから11億円を調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(3月27日~31日)

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Image credit: Mediwhale

3月27日~3月31日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは10件で、資金総額は519億ウォン(約51.9億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • Bigwave Robotics(빅웨이브로보틱스)が1年ぶりの資金調達で98億ウォン(約9.8億円)を調達し、累積調達額は113億ウォン(約11億円)に達した。同社はサービス型ロボット(RaaS)プラットフォーム「MaRoSol(마로솔、My Robot Solution)」を運営し、韓国国内のロボットソリューション供給企業の80%に当たる400社以上と協力している。今回の調達を受け、同社はロボットソリューションの競争力強化、「Sollink(솔링크)」技術の高度化、全国24時間サービスネットワークなどを構築する計画だ。今年、MaRoSol での売上目標として200億ウォン(約11億円)を掲げる。
  • メディカル AI スタートアップ Mediwhale(메디웨일)が114億ウォン(約11億円)を調達し、累積調達額は150億ウォン(約15億円)を突破した。Mediwhale は網膜 AI スタートアップで、網膜スキャンを通じて心血管疾患の発生を予測する医療機器「DrNoon(닥터눈)」を開発した。世界の患者7万人以上の臨床データで、DrNoon が心臓 CT と同等に心血管疾患のリスクを予測できることを立証した。現在、アメリカ FDA 承認を受けてのアメリカ市場進出を目標に掲げる。
  • Stockeeper(스탁키퍼)が58億ウォン(約5.8億円)を調達した。Stockeeper は韓牛投資プラットフォーム「Bancow(뱅카우)」と韓牛ブランド「Honest Beef(솔직한우)」を運営している。Bancow では、4万ウォンから500万ウォンまで(約4,000円〜約50万円)の韓牛資産に投資できる。現在、投資契約証券とトークン証券(STO)発行の資格を満たし、さまざまな家畜資産に対する投資商品も発売する予定だ。
  • 再生エネルギースタートアップ RootEnergy(루트에너지)が45億ウォン(約4.5億円)を調達し、累積投資金74億ウォン(約7.4億円)に達した。再生エネルギー住民参加事業、金融アドバイスや斡旋などで12GW 規模の顧客会社を確保し、RE100 コンサルティング及び履行ソリューション、太陽光・風力ブリッジ投資商品開発など多様な事業モデルを開発中だ。今回の調達を受け、ベトナム支社を拡大し、住民参加と金融、保険アドバイス事業領域も拡大する予定だ。
  • ソーシャルメタバースプラットフォーム「Olobo(올로보)」を運営する Dotdotdot(닫닫닫)が44億ウォン(約4.4億円)を調達した。Olobo は声で制御できるアバターを通じて、ユーザが簡単に高品質のアニメーションコンテンツを制作しコミュニケーションできる次世代コンテンツサービスだ。調達した資金は、下半期のサービスローンチを目指し、開発や運営に活用する予定だ。

トレンド分析

第1四半期の投資は昨年比で77%下落 …… 資金調達トップは?

韓国国内のスタートアップが今年第1四半期に調達した資金総額は7,757億6,000万ウォン(約776億円)であることが分かった。これは昨年第1四半期の総調達額3兆4,413億ウォン(約3,440億円)より77%下落した数値だ。 2021年の同じ期間と比べても46%下落した。昨年第1四半期以降、投資の下落が本格化し、これまでも投資成績は下向き曲線を描き悪化している傾向だ。昨年初め、月1兆ウォン(約1,000億円)以上が調達されたのに、今年は第1四半期の総調達額が1兆ウォン(約1,000億円)に届かなかったことを考えると、1年間の投資がどれだけ下落したかを体感できる。

特にグロースステージの投資は確実に減少した。レイター投資が減ったためだ。500億ウォン(約50億円)以上の調達を見つけるのは難しく、今年の第1四半期には1,000億ウォン(約100億円)以上を調達した企業は一つも無かった。100ウォン(約10億円)以上を調達した企業も24社にとどまったが、これは昨年同期比から3倍以上減った成績だ。第1四半期に最も多くの資金を調達したのはリセールプラットフォーム「Kream(크림)」で506億ウォン(約51億円)だった。昨年第1四半期の最大調達額が1,750億ウォン(約175億円)だったことを考えると、下落幅は非常に大きい。

分野別にはコンシューマーテック企業が最も多く、続いてソフトウェア、バイオ・ヘルスケアが続いた。投資が多かった年にも、少なく追い込まれた年にも、分野に対する好みには大きな変化がないようだ。 コンシューマーテック分野ではファッション、高級関連スタートアップが注目を集めたが、一社あたりの調達額は大幅に減少した。時価総額が下落したためだ。例えば、ユニコーンを狙った Ably Corporation(에이블리코퍼레이션)は昨年1月、プレシリーズ C ラウンドで670億ウォン(約67億円)を調達したが、今年3月の追加ラウンドで500億ウォン(約50億円)のベンチャーローンを受けた。ローン性資金ということを考えると、スタートアップにとって有利な条件ではないという意見が多い。ソフトウェア分野では、B2B SaaS のスタートアップが注目されており、宇宙、ロボット、半導体など将来の産業にはまだ投資が集まっている。

投資悪化の中でもユニコーンは1社現れた。半導体ファブレス企業の Fadu(파두)だ。資金調達が困難になった状況でも、将来の成長が大きい企業に対する投資家の関心は相変わらずであることがわかる。

今年に入ってスタートアップリストラのニュースはより多く耳にし、経営悪化で廃業、売却された企業も出てきた。これらの中にはユニコーン候補が期待されていたところもあり、スタートアップ全般で低迷の雰囲気は続くものとみられるが、企業体質改善や玉石選別など、企業の生存基盤が固まるきっかけになるとして、肯定的な効果もあると評価されている。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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