例年並みの活気が戻ったCreative Industries ExpoーーSXSW2023現地レポートVol.3

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

KDDI Open Innovation Fundのサンフランシスコ拠点では、北米や欧州のスタートアップ企業への投資や事業連携を目的として活動しています。このコーナでは現地で発見した最新のテクノロジーやサービス、トレンドなどをKDDIアメリカの一色よりお送りします。

今回は、3/10~19にアメリカテキサス州オースティンにて開催された大型テックイベントSXSW 2023(South by Southwest / サウス・バイ・サウスウエスト、以下SXSW)の中での主だった出展ブースやCreative Industries Expoの様子についてお伝えします。

例年並みの活気が戻ったCreative Industries Expo

3/12から3/15まで、4日間にかけて開催されたCreative Industries Expoは、昨年からまた一気にスケールアップした印象を受けました。昨年はCovidの影響もあり、会場を少し持て余しているのかと思えるほど1社あたりのブースも大きくゆったりしていた印象だったのですが、今年は企業数が増えたのか昨年よりグローバルな出展企業が増加していました。

そのため、小さなブースがひしめき合っていたり、セッションを行う大きなステージが設けられていたり、メディテーションのワークショップが行われていたりと展示場の中でも様々なコンテンツが楽しめるようになっていました。

今年はイノベーション、エンターテインメント、ソーシャル インパクト、ヘルス + ウェルネス、グローバルというテーマに沿ってパビリオンが設けられました。昨年と比較して日本のスタートアップや大手企業も多く出展しており、日本企業ではTBSや日本テレビ、電通などのメディア、広告系企業のほか、ライオンやヤマハ、リコーのようなメーカーも出展されていました。

日本テレビのブース「House Keeping Club」
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パナソニックとの共同展示であるHouse Keeping Clubでは、掃除機をかけたりティッシュを取ったりすると、ライティングや音楽が流れ、家の中での日常動作がエンタメ化する技術が紹介されていました。
ライオンのブース。姿勢をスコアリングする技術や楽しみながら健康になれるゲームなどを紹介。

また日本発スタートアップでは、植物由来の風味や色味を独自の方法で抽出してノンアルコールドリンクを作るCOLDRAWや、ワークススペースの状況把握や予約管理を一元管理できるcolorkrew Biz、オンラインでコミュニケーションを取りながら共同作業ができるCoMADO、愛知県の学生起業家らが立ち上げたジェスチャーで操作できるプレゼンテーションサービスinhand、発酵コーヒーと味覚評価システムを開発するSniff out the COFFEEなどが出展していました。

COLDRAWのおしゃれなドリンク
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自然由来のものだけから抽出したとは思えないほどカラフルで飲みやすかったです!
inhandのデモ。手を動かすジェスチャーだけでプレゼンテーションスライドを前に進めたり戻したり、拡大することができる。

大手テック企業では、SlackやTikTok、Polkadotなどが大きなブースを設けていました。スタートアップや企業だけでなく米国の政府機関であるNational Science Foundation(NSF)や、Central Intelligence Agency(CIA)なども出展し面白い技術を紹介していました。

ポルシェ:アーティストや企業とのコラボレーションについてアピール

昨年に引き続きSXSWのスポンサーを務めたポルシェは、「Porsche X Collaborations Unseen」と題した巨大ブースを出展し、昨年同様多くの参加者の注目を集め盛況となっていました。昨年はNFTの注目がアピールされましたが、今年はアーティストや企業とのコラボレーションに焦点が当てられており、今年公開となる映画トランスフォーマーに登場するスポーツカーや、アーティストデザインのスペシャルカーなどが展示されていました。

今年公開予定のTransformers: Rise of the Beastsに登場するキャラクターの巨大モニュメント

映画に登場する車のレプリカの他に、アーティストコラボのデザインカーもいくつも展示されていた。

Slack:Future of Workを実現する新機能を紹介

SlackもまたSXSWのスーパースポンサーであり、オースティンの街の一角をまるごとSlackの展示スペースとして用いていました。Slackはコミュニケーションツールとしてその主軸の機能は誰もが知るところかと思いますが、そのほかビデオ通話やオーディオでの1on1のキャッチアップが素早くできる機能、ルーティーンタスクの自動化、2,600ものアプリとの連携機能など、生産性を高めうる新機能やあまり一般的に知られていない機能を中心に紹介するブース内容となっていました。写真ブースやセッションステージなども用意され、常時活気のある出展ブースでした。

Slackブースの外観
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続々とチームビルディングや生産性向上に活用できそうな機能が追加されていることが理解できました。Slackの世界観の通りのデザインが可愛かったです。

National Science Foundation(NSF)

カメラでジェスチャーを読み取り、手前の手型ロボットを遠隔操作することができるそうです。

NSFのブース

Dolby:音楽や映画などの体験価値を高める未来型体験ハウス

今回初めて体験型ブースを出展したDolbyは、映像やゲーム、音楽などのエンタメコンテンツにより浸れるような自社プロダクトを紹介しました。近未来的な映像が取れる体験スペースや、Dolby Atmos×Sonosでの映画試聴体験、また最新のプロダクトである自動車向けDolby Atmosを体験できるスペースなどがありました。自動車の中に実際に入って音楽を聴くと、360度音楽に囲まれているような没入感があり、座席が音楽とシンクして振動するなど、まさに音楽に浸るための車という感覚でした。

車載用のDolby Atmosが体験できるベンツ。

LUSH:ビッグテックからの脱却とテックを織り交ぜた新商品を発表

バスボムなどのバス用品で日本でも有名なLUSHですが、SXSWで大きく2つのアピールをしました。1つ目はMetaやTikTokなどのビッグテックに使っていた広告費用を3分の1まで削減したこと。2つ目はアプリと連携してバスタイムの音楽とライティングを楽しみながら心拍数などもモニタリングできる新商品BathBotのデモです。オリジナルのバスボムが手軽に作れるブースも用意されていて、たくさんの人が列をなしていました。

▲新商品のBathBot。お風呂に浮かせて使用する。

Roku:Best Buyとの提携によりSXSW初出展

テレビストリーミングサービスのRokuはBest Buyと提携してSXSWへの初出展を果たしました。あたかもRokuで配信されているコンテンツの世界観に自分たちが入り込んだかのような演出になっていて、Best Buyホームシアター体験ができるスペースも用意されていました。その他ナイアンテックやパラマウント、パタゴニアなど、全体的にコンシューマ・エンタメなど普段の生活の中で馴染み深いブランドのポップアップが多く出展されていたように思います。

最後に

SXSWの概要、SXSW Pitch、主な出展ブースの3回に分けて記事をお届けしました。日中はセッションステージや出展ブースを見て回り、夜はネットワーキングパーティーやミートアップに参加する毎日で、1週間弱の出張もあっという間に過ぎてしまいました。昨年はNFT、今年はAIのテーマが非常に多く見られたSXSW。来年のメインテーマは何になるのか、今からとても楽しみです。

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