
テスラのCEOであるイーロン・マスク氏は、CNBCとのインタビューの中で史上最も急成長したビジネスアプリケーションChatGPTを開発したスタートアップ、OpenAIは自分なしではあり得なかったとの大胆な主張を披露した。
「OpenAIが存在する理由は私だ。私なしには存在しない」(マスク氏)。
これはCNBCのインタビュアーであるDavid Faber氏からOpenAIへの資金投入について質問されたマスク氏が回答したもの。「正確な数字はわからないが、5000万ドルのオーダーで何らかの数字だ」と彼は答えている。
マスク氏は確かにこのAIスタートアップの初期投資家だった。OpenAIは、マスク氏やリード・ホフマン氏のような他のテクノロジー界の著名人から最大10億ドルの資金の約束を受け、2015年に発足した。OpenAIの設立にあたっては、大手テクノロジー企業や有名な学術機関から、何人かのAI専門家が引き抜かれている。
しかし、Semaforが報じている情報筋によると、2018年初頭、マスクは同じOpenAI創業者のサム・アルトマン氏に、このスタートアップがGoogleに致命的に遅れをとっているという考えを伝えたとされている。それに対してアルトマン氏は他のOpenAI創業者たちとともに、マスク氏がOpenAIの単独経営者になるという提案を却下している。その結果、マスクは同社から距離を置き、予定していた多額の寄付を取り消した。この決断の余波はその後の業界全体に響き渡り、現在のAI全体の状況を生み出している。
OpenAIの対抗馬
OpenAIから離れたマスク氏は、OpenAIに対抗するAI企業の開発に投資し続けている。最近、彼がOpenAIに直接対抗する新しい人工知能スタートアップ「X.AI」の立ち上げに向けた準備を進めていることが判明した。
マスク氏は2カ月前にネバダ州でX.AIを設立し、1億株分の新株発行を申請したことが明らかになっている。州への申請書類によると、マスク氏はこの新会社の唯一の取締役であり、彼の側近でファミリーオフィスの取締役であるジャレッド・バーチャル氏がその秘書を務めている。フィナンシャル・タイムズ紙は、マスク氏がAI研究者やエンジニアのチームを結成し、アルファベット傘下のDeepMindなどの大手AI企業の従業員にも手を出していると報じた。「多くの人が彼に投資している。それは現実であり、彼らはそれに興奮している」と、この件を直接知る人物が フィナンシャル・タイムズに語っている。
大胆なテレビインタビュー
イーロン・マスク氏は、X.AIへの関与に加えて「最大限の真実を追求するAI」としてChatGPTに代わる「TruthGPT」への取り組みについても言及している。
FOX Newsのタッカー・カールソン氏とのインタビューで、このビリオネア起業家は、AIライバルのビジョンを語り、人類の滅亡を回避するためにはAI開発に代わるアプローチが必要だと強調している。
イーロン・マスク氏がその主張と野心的なAIベンチャーで注目を集め続ける中、テック界は彼の試みがもたらす潜在的な影響に期待を寄せている。というのも、X.AIとTruthGPTを開発中のマスク氏は人工知能を取り巻く環境を再構築し、人類とこの新興技術との関連性を再定義する可能性があるからだ。
マスク氏の最新プロジェクトが本当に人類の未来を守る鍵になるのか、それとも彼の輝かしいキャリアの新たな章を象徴するものなのか、それはまだわからない。しかし、イーロン・マスク氏の動向は常に注目されている。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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