往年の連続ゲーム起業家率いるEndless Adventures、ジェネレーティブAIでナラティブなゲームを構築可能に

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Image credit: Endless Adventures

Endless Adventures は22日、GamesBeat Summit 2023 でステルス状態から脱却し、CEO の Jordan Weisman 氏がゲーム、AI、ユーザ生成コンテンツの交わる場所について話した。

Weisman 氏は、ゲームマスター、ストーリーテラー、作家、アーティストが、コーディング不要で、ナラティブな高いビデオゲームを作成できるようにすることを目的とした強力なツールセット「Adventure Forge」を発表した。プログラマーでないクリエイターが、より生産的にゲームを作れるようにすることを目的に、現在いくつかの場所で AI を使用している。

このプラットフォームは、BattleTech、MechWarrior、Shadowrun、Crimson Skies などのナラティブなフランチャイズで知られる連続ゲーム起業家 Weisman 氏の発案によるものだ。彼のこれまでの起業には、Disney ファミリーが買収した Virtual World Entertainment、Microsoft が買収した FASA Interactive、Topps Inc が買収した Wizkids、Harebrained Schemes などがある。

スタートのきっかけ

Endless Adventures の創業者 Jordan Weisman 氏

Paradox Entertainment は2018年、Harebrained Schemes を750万米ドルで買収した。Weisman 氏は同社を去った後、ゲームから離れて Walmart の AR 技術に携わることになった。その後、40年の経験を持つゲームのビジネスからの引退を考えたという。

しかし、サイドプロジェクトとして、AI とゲーム構築ツールに焦点を当てた新しいプロジェクトに自己資金を使ったのだ。やがてその仕事が実を結び始め、ワシントン州ベルビューを拠点とする Endless Adventures を立ち上げたと、Weisman 氏は GamesBeat とのインタビューで語っている。Weisman 氏は2年前にこの会社を正式に法人化した。

我々の使命は、幅広いゲームジャンルにおいて、次世代のゲームデザイナーやストーリーテラーを発掘・育成することです。私たちが最初に提供する Adventure Forge は、テキストベースの選択式パスからビジュアルノベル、そして Harebrained Schemesで開発した Shadowrun Returns シリーズのようなアイソメトリック RPG まで、物語ゲームに特化しています。

新しい AI のおしゃべりが始まるずっと前から取り組み始めていました。数人のエンジニアと私で小さなプロジェクトを立ち上げ、何年もの間コーディングをなくす方法について全てのパラダイムを解明するまで物事に取り組みました。私たちは、本当の意味でのノーコードシステムを実現したかったのです。

私たちは、Mad Libs のような文脈性の高いドロップダウンメニューを使用する革新的なアプローチを開発しました。このドロップダウンメニューを使って、必要な論理的文章や条件文、結果をすべて作成することができるのです。大規模な物語プロジェクトをどのように整理し、必要なコンテンツを見つけるかという点で、他にもたくさんのパラダイムがあります。(Weisman 氏)

コアとなる考え方

Adventure Forge を通じて、ジェネレーティブ AI はクリエイターが自分のゲームのアセットを構築するのを支援する。

このアイデアの核心は、エンジニアリングに投資することで、ゲームデザイナーがコードなしで何かを作ることができるようにすることだった。多くの場合、ゲーム開発者はデザインのドキュメントを作成し、それをエンジニアリングに送り、エンジニアリングが実行するのを待ち、そしてそれがどれだけうまく機能するかを確認することになるのが一般的だ。

このループは非常に時間がかかります。私はプレイヤーや作家、アーティスト、デザイナー、ゲームマスターが、自分たちのゲームや物語を作る力を与えたいと思いました。私たちは、AI にフォーカスして始めたわけではありません。そして、この時点では、決してAIに特化したツールとも呼べないでしょう。デザイナーを補強し、ちょっとした利点を与えてスピードアップを図るために、いくつかの場所で AI を使っているだけです。

彼らの創造性と人間の創造性に力を与えることが主な目的です。エンジニアをチームに置くことなく、これを実現したいと考えています。私たちは、ノーコードのオーサリングシステムでプレイヤーに力を与えます。彼らは自分のキャラクターのために小さなゲーム AI を作成することができます。これは、ノンプレイヤーキャラクターとその行動を開発する、従来のゲーム AI と同じ意味です。(Weisman 氏)

また、宇宙の説明やキャラクターやシーンの描写など、文章を書くようなデザインも AI が手伝ってくれる。必要であれば、AI に手伝ってもらって、スクラッチで台詞や描写を考えてもらうのだ。

裏側では、あなたが書いたものをもとに、非常に洗練されたプロンプトの生成を行なっています。ゲームの執筆が進むにつれて、AI からより高度に文脈に沿った提案がなされるようになります。その提案を使うかどうかは、クリエイターが決めることができます。(Weisman 氏)

また、Endless Adventures がパブリッシングする世界のアイソメトリックゲームアセットの生成においては、ジェネレーティブ AI 企業の Scenario.gg と協業している。

このモデルは、私たち自身のアートと、正しいパースペクティブでのアイソメトリックアセットを作成することだけに特化して訓練されています。それは少しトリッキーです。そして、私たちは、プレイヤーが作業するために何千ものアセットを生成しました。

しかし、プレイヤーやデザイナーの創造力によって、私たちが作っていないものが出てくることは間違いないでしょう。そこで私たちは、彼らがジェネレーティブ AI を使ってゲームのために新しいものを生成できる可能性を与えたかったのです。(Weisman 氏)

例えば、Endless Adventures は、ゲームのためにアイスクリームスタンドを作ったわけではない。しかし、それをプレイヤーのクリエイターが作りたいと思う可能性はある。その場合、AI を利用して、Endless Adventures のすべてのアートに基づいたアイスクリームスタンドを生成し、Endless Adventures が作成した他の何千ものアートアセットの文脈で、アイスクリームスタンドが完全に適切に見えるようにするのだ。

Endless Adventures は従業員数は22名で、現在 SAFE ラウンドで150万米ドルをクローズしつつある。

次に来るもの

Endless Adventures は数年前にスタートした。

Endless Adventuresは、今年後半からゲームプレイヤー、テーブルトップゲームマスター、作家、アーティストを対象に、冒険の創作活動を開始する予定だ。興味のあるプレイヤーは、彼らの Web サイトからサインアップして、詳細な情報を受け取ることができる。

私は、生涯ゲームデザイナーとして、またストーリーテラーとして、ゲームは人間主導の創造的な取り組みであると信じています。私のキャリアにおいて、ツールやテクニックが、私のようなデザイナーに彼らのビジョンを実現する力を与えることを見てきました。

Adventure Forgeは、高速で使いやすいコードレスオーサリングシステム、膨大なデザインの深さと柔軟性、そしてデザイナーと対面するオプションのAIライティングアシストとアイソメトリックアセット生成の入念な連携によって、まさにそれを実現するように設計されています。ナラティブゲームデザインとストーリーテリングの質における革新の新しい波を後押ししてくれると信じています。(Weisman 氏)

Jordan 氏は、先週開催された GamesBeat Summit 2023 のファイヤーサイドチャット「Power to the People」に参加し、ノーコードオーサリングと AI の最新開発が、ゲームにおけるユーザ生成コンテンツ(UGC)の状況をどう変えるかを探るセッションを行った。そして、Scenario.gg の CEO  Emmanuel de Maistre 氏と対談した。

Endless Adventures の Adventure Forge は、デザイナー、ライター、アーティストが、ノーコードのオーサリングプラットフォームで、ナラティブなビデオゲームやインタラクティブフィクションを作成できるようにするものだ。このプラットフォームは、クリエイターが自分のビデオゲームやストーリーをデザインし、コミュニティと共有するための使いやすいツールを提供することで、ナラティブなゲームの創造と体験を民主化することを目的としている。

Weisman 氏は最終的に、Endless Adventures システムでゲームを制作するゲームデザイナーのためにアートワークを制作するアーティストのマーケットプレイスを用意することを考えている。アイソメトリックアートで、ある種のアートスタイルになるだろう。

このシステムには、ユーザ生成コンテンツの機会がたくさんあるが、Weisman 氏は最初の製品はナラティブなゲームに焦点を当てるだろうと考えている。テキストアドベンチャーから、「Choices」や「Episode」のようなビジュアルインタラクティブノベルまで、あらゆるものが含まれている。また、アニメベースのインタラクティブなビジュアルノベルやアイソメトリックなロールプレイングゲームも可能になるだろう。

私はその芸術形態が大好きです。人が自分の物語を語ることが好きなんです。ボードゲームとビデオゲームに分かれている私のキャリアを振り返ると、テーブルトップの楽しさは、そのような状況において、私が作ったゲームがテーブルをセットすることです。そして、プレイヤーたちが物語を創り上げる。私たちがここでやっていることは、それと同じだと思います。私たちは、テーブルを用意し、人々が自分で物語を創る力を与えようとしているのです。(Weisman 氏)

引退する必要はない?

Endless Adventures は「Adventure Forge」を開発している。

では、なぜ Weisman 氏にとって引退よりも興味深いものだったのか。

ナラティブゲームの重要性と、それがプレイヤーに与える影響について、私はただ情熱的に感じています。しかし、ナラティブゲームの大きな利点は、新しい文化、新しいキャラクター、新しい世界、新しい考え方に触れることができ、自分の考え方さえも変えることができる数少ないものだと思います。

そして、もっと多様な人が物語を語ることで、私たち全員が恩恵を受けられると強く感じています。そして、このスペースでより多くのイノベーションが起きれば、私たち全員が恩恵を受けるでしょう。Adventure Forgeがこの2つを後押ししてくれることを願っています。(Weisman 氏)

そして、この40年間を振り返り、Weisman 氏は次のように語った。

ゲームが私たちの文化に与えた影響は、ポジティブな面もあれば、残念ながらネガティブな面もあり、まさに驚異的です。ゲームをプレイする人がいかに多いか、そしてゲームをプレイするオーディエンスがいかに多様であるかは、非常にエキサイティングなことです。あらゆる層や心理学者がゲームをプレイしており、非常にエキサイティングなことです。

エンターテインメントとして、ゲームに関わることは、かつてないほどエキサイティングなことです。ビジネスとして、ゲームに携わるのは大変なことです。でも、それは今までとそんなに変わりません。ジェネレーティブ AI は多くの業界を変えていくと思いますが、ゲーム業界は本当にすぐ目の前にあると思います。

しかし、彼はまだ人間の方が創造性に優れていると考えており、AI の役割はそれを人間に手助けすることだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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