a16zが注目した「新しい民泊」Kindredの仕組み/GB Tech Trend

SHARE:
Airbnbなどのバケーションレンタルとの大きな違いは「スワップ(交換)」のコンセプトにあります。
Image credit: Kingred

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

低価格・高品質民泊サービスを実現させた「Kindred」が775万ドルの資金調達を発表しました。リード投資を務めたのはAndreessen Horowitzでラウンドはシードです。民泊スタートアップが世界中にひしめく中、どのような点が投資家にとって魅力に映ったのでしょうか?

答えはコストコモデルにあります。

Kindredは会員制の民泊サービスを運営しています。年間300ドルで加入できる同社の民泊ネットワークに入ると、ユーザーは自分の家と他の会員宅を交換し、相互に貸し出しができるようになります。貸出中はKindredに1泊あたり最大で30ドルのサービス料・自宅管理費を支払うのみです。互いが気持ちよく過ごせるように、ユーザーは清掃サービスを手配する必要がありますが、自分で手配するかサードパーティをKindredが紹介するのかどちらかを選べます。同社がここで儲けることはなく、あくまでもSaaSとして機能します。つまり収益源は年会費のみです。

Airbnbなどのバケーションレンタルとの大きな違いは「スワップ(交換)」のコンセプトにあります。会員はお金を払ったからといって他のお家に自由に泊まれるわけではなく、1対1で会員同士が直接会話してお家交換の相談をし、そこで得られた宿泊数分だけ他の会員のお家にも泊まれる、という仕組みになっています。ホストとゲストで直接お金のやり取りがないのもポイントです。

Airbnbなどのバケーションレンタルは利用者として宿泊する場合、場所や日数によっては高額になりすぎてしまいますし、自宅を民泊向けに貸す側の場合も運用が結構な手間になります。Kindredはシンプルに余っている自宅を使って、いろいろ旅をしたい人向けに最適化された会員モデルと言えるでしょう。

会員制を敷いたスタートアップでは、配車サービス「Alto」や高級レストランに代表されるVIPサービスを楽しめるブラックカード「Select」が挙げられます。とりわけ後者はコミュニティ作りに力を入れていたことから、Kindredの成長戦略と似た点が見られます。

また、民泊や不動産市場で、人と人との信頼をテーマに参入したスタートアップは少なからずいます。たとえばアパートメント住人向けの家事代行サービスを提供する「Alfred」。派遣スタッフがユーザー宅の鍵を預かり、冷蔵庫の中身からクローゼットの管理、下着を含めた洋服の洗濯まで行うため、信頼性がとても重要になります。

Kindredの場合、上記に記した会員制を軌道に乗せるためのコミュニティ施策とユーザーからの信頼獲得が指標となりそうです。加えて、ネットワーク効果を重視する必要があり、競合優位性をどの程度保てるのか、市場で一定のユーザーコミュニティを確保し続けられるのかなどが成長検討項目となるでしょう。

4月18日〜5月1日の主要ニュース

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録