データ管理ソリューションのインフォマティカ、ジェネレーティブAIツール「Claire GPT」を発表

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「Claire GPT」
Image credit: Informatica

エンドツーエンドのデータ管理ソリューションのプロバイダ Informatica は9日、データ処理の各種の側面を簡素化するジェネレーティブ AIツール「Claire GPT」を発表した。

このツールは、ラスベガスで開催された同社の年次カンファレンス「Informatica World」で発表され、企業ユーザは自然言語のプロンプトを通じてデータの消費、処理、管理、分析が可能となる。Informatica の「Intelligent Data Management Cloud(IDMC)」と連携され、2023年後半に展開が開始される予定だ。

このニュースは、データ分野のベンダーを含む業界の主要ベンダーが、自社製品をより多くのユーザに利用してもらうための方法として、大規模言語モデル(LLM)に注目し続けていることを示唆している。

自然言語によるデータとのインタラクション

効果的なデータ管理はビジネスの成功に不可欠であるが、企業が抱えるデータの津波を考えると、データ管理のための手作業によるアプローチはもはや適切でない。多くの時間、リソース、労力を必要とする。さらに、組織内のすべての人がこの仕事に必要な技術的なノウハウを持っているわけではない。

Informatica の Claire GPT は、テキストから IDMC へのインターフェースとして、このギャップに対処することを目的としており、ユーザは簡単な自然言語のプロンプトを入力して、データ資産を発見、操作、管理することができる。

このソリューションはまだ広く展開されていないが、IDMC プラットフォーム内で、データ発見、データパイプラインの作成と編集、メタデータ探索、データ品質と関係の探索、データ品質ルール生成など、複数の作業をサポートするとされている。

Informatica の CEO Amit Walia 氏は VentureBeat に次のように語った。

マルチ LLM アーキテクチャを活用し、機密性のないクエリ(メタデータ探索、データ探索、パイプライン作成など、ユーザの意図を特定するための LLM を使用する意図分類など)にはパブリック LLM を、データ管理の成果物を生成する Informatica ホストの LLM は細かく調整します。

Walia 氏は、このソリューションにより、エンジニア、アナリスト、科学者などの経験豊富なデータユーザが、主要なデータ管理タスクに費やす時間を最大80%削減することを実現できると主張している。

ラスベガスで開催された「Informatica World 2023」で話す CEO Amit Walia 氏
Image credit: Informatica

Claire とのペアリング

Informatica は、エンタープライズ規模のAIエンジン「Claire」とGPTの機能を組み合わせることで、データ管理の新たな会話体験を設計した。Claire は月間54兆件のトランザクションを処理し、チャットボットが現実に即した回答を生成し、幻覚を生み出さないことを保証している。

Eckerson Group のリサーチ担当副社長 Kevin Petrie 氏は VentureBeat に次のように述べた。

ChatGPT にデータパイプラインの設計とスクリプト作成を依頼すれば、応じてくれるでしょう。しかし、そのパイプラインがうまく機能するとは限りません。問題は、LLM 自体にガバナンスが全く存在しないことです。LLM はブラックボックスであり、血統に関する質問を避けます。エラーを発生させ、事物を捏造します。

したがって、LLM の生産性の利点を本当に一貫した方法で活用するには、管理された環境に LLM を配置する必要があります。GPT の機能と Informatica のClaireプラットフォームを組み合わせることで、データチームはガバナンスとコントロールを維持しながらAIによる生産性向上の可能性を実現できるでしょう。

注目すべきは、このような方法でジェネレーティブ AI を活用しているのが Informatica だけでないということだ。Salesforce は最近、Slack の社内ナレッジと LLM を組み合わせた「SlackGPT」を発表し、観測機器大手のNew Relicは、ソフトウェアのパフォーマンス問題を監視し修正するAIアシスタント「Grok」を発表した。

「Informatica World」で新製品の発表続々

Informatica は、Claire GPT と共に、推測されたデータ系統、自動生成された分類、複数列の完全性分析、オートマッピングなど、Claire 主導の新たなデータ管理機能も初めて公開した。

また、「IDMC for Environmental, Social and Governance」や、オンプレミスのPowerCenter 資産 をIDMC に移行するための「Cloud Data Integration for PowerCenter (CDI-PC)」も発表された。CDI によって、企業は最大6倍のスピードでクラウドへの移行が可能となり、PowerCenterの成果物や資産を100%クラウドで再利用することで、最大20倍の予想コスト削減を実現できるとされている。

Claire GPT は現在プライベートプレビューの段階にあり、2023年後半に広く展開される予定である。CDI-PC も同様である。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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