香港・台湾発の越境EC返品特化物流「Return Helper」、コロプラネクストらから2億円をプレA調達——日本進出へ

Return Helper の皆さん
Image credit: Return Helper

Amazon や eBay など EC プラットフォームが推奨する新しい越境返品ソリューション「Return Helper」は、4600万ニュー台湾ドル（約2億円）のプレシリーズ A ラウンドを完了したと発表した。このラウンドは AVA Fund がリードし、既存投資家のコロプラネクストと Cornerstone Venture Partners（基石創投）がフォローオンで参加した。

Return Helper の共同創業者兼 CEO Roy Wan（温俊偉）氏は、今回の資金調達は、自動化プロセスやAI技術を含むクロスボーダーソリューションの開発強化、日本、オーストラリア、東南アジアなどの新しい海外市場でのマーケティングや事業開発に使用される予定だと述べている。

Amazon、eBay が注目する Return Helper の次の一手は AI

新型コロナウイルスの感染拡大が e コマースブームを後押しし、返品需要が高まっているが、e コマース企業は、越境返品において、越境物流のコスト高と、欧米の消費者権利の即時処理基準を満たすという2つの課題を抱えており、特に欧米の規制に精通していないアジアの e コマースブランドにとっては、返品体験が悪く、大手 EC プラットフォームから掲載を取り下げられることもあるそうだ。

2019年に設立された香港スタートアップの Return Helper は、国境を越えた「リバースロジスティクス（逆物流）」のソリューションを提供しており、消費者は返品商品を Return Helper の提携倉庫に送るだけで、商品が返品・再販可能な状態かどうか確認でき、EC 企業の本国に送り返す回数が減るため、EC 企業の海外返品における物流コスト削減が可能となる。このワンストップサービスにより、Return Helper は eBay や Amazon が公式に推奨するサービスプロバイダーとなった。

e コマース事業者は、Return Helper の事業者向け返品管理バックエンドで、すべての返品を一度に把握することが可能だ。
Image credit: Return Helper

Wan 氏によると、今回の資金調達の最大の用途は、海外倉庫の返品検査システム、AI 画像認識による返品分析ツール、返品データ分析レポートなど、商品体験を最適化する自動化技術を開発し、倉庫スタッフが返品商品の完全性を判断するスピードを上げ、その処理手段を提案することだという。

Return Helper は、このサービスを通じて、アジアの e コマース企業が欧米の顧客にサービスを提供できるようにしたいと考えており、そのため、今回の資金調達では、特に日本や東南アジアの市場にアプローチすることを強く望んでいる。

自動化により、ビジネスモデルを SaaS 中心へ

一方、Return Helper は、「手作業によるサービス」という要素も徐々に置き換えていきたいと考えている。

Return Helper はサービスプロバイダの役割を果たしているため、これまでは e コマース企業が Return Helper 製品を使用していたときも、消費者が返品手続きを開始するには Return Helper の専門家に連絡する必要があった。（Wan 氏）

このプロセスを簡素化するため、Return Helper は新しいプラグインソリューションを導入した。EC プラットフォーム上の加盟店や独立系加盟店は、プラグインを通じて Return Helper のサービスに直接接続でき、ユーザは加盟店からの回答を待つことなく直接商品を返品できるようになった。

Return Helper の返品プラグインが導入された EC サイトでは、消費者は EC サイト上で直接返品サービスを利用できる。
Image credit: Return Helper

製品の中核は徐々にサービスからソフトウェアに移行しつつあるが、Return Helper の課金はまだレベニューシェアが中心だ。現在、中・大規模の e コマース顧客を開拓し、1年間で100万米ドルから400万米ドルまで収益を伸ばしており、将来的には SaaS 製品の開発にも取り組みたいと考えている。