セールスフォースとアクセンチュアが提携、ジェネレーティブAIのアクセラレーションハブを設立へ

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Image credit: Accenture, Salesforce

Salesforce は、グローバルプロフェッショナルサービス企業 Accenture と協業し、顧客関係管理(CRM)技術におけるジェネレーティブ AI の展開を加速させると発表した。両社は、ジェネレーティブ AI のアクセラレーションハブを設立し、顧客が Salesforce の CRM 向けジェネレーティブ AI ツー「Einstein GPT」を拡張できるようにする予定だ。

新しいアクセラレーションハブは、両社の AI 産業とコネクテッドカスタマーエクスペリエンスの強力な組み合わせを利用して、あらゆる業界の顧客に、ジェネレーティブ AI を活用するための効果的な戦略と技術を提供する。

この新しいハブは、 Accenture の「Generative AI and Large Language Model (LLM) Center of Excellence(仮訳:ジェネレーティブ AI と大規模言語モデルに関する組織横断の研究拠点)」と連携し、最新の研究や最先端のジェネレーティブ AI 技術への貴重なアクセスを企業に提供するものだ。この発表は、 Salesforce が4日開催した年次イベント「World Tour NYC」で行われたものだ。

Salesforce の北米・中米・南米地域におけるアライアンス担当シニアバイスプレジデント Amy Kodl 氏は、VentureBeat に次のように語った。

我々は、彼らがジェネレーティブ AI に興奮していることを顧客から聞いている。彼らはまた、この新しく革新的な技術を展開するための正しい戦略や、効果的かつ効率的に使用する方法について、私たちに助けを求めているのだ。だからこそ、Salesforce と Accenture は、ジェネレーティブ AI のための新しいアクセラレーションハブを作るために協力するのだ。

Kodl 氏は、アクセラレーションハブには、Einstein GPT の新しい使用例、業界固有の実装戦略、ドメイン固有の大規模言語モデル、Accenture の新しいアクセラレータが含まれ、企業が独自のニーズに合わせて Einstein GPT を効果的に展開するのを支援すると述べた。

また、このハブは、Salesforce 独自の LLM(大規模言語モデル)とサードパーティの LLM の両方への新しいユーザインターフェイスとアクセスを顧客に提供する予定だ。

Salesforce と Accenture は、金融サービス、ヘルスケア、製造業、公共セクターの各業界における販売とサービスのユースケースに焦点を当てる。Salesforce と Accenture は、これらの業界の顧客のためのAIモデルと戦略、および Accenture がEinstein GPT のために構築した新しいアクセラレータも構築し、顧客が CRM のためのジェネレーティブ AI の価値をより早く確認できるようにする。(Kodl 氏)

ジェネレーティブ AI で CRM のワークフローを効率化

Salesforce は、同社が最近実施したジェネレーティブ AI に関する調査で明らかになったように、ジェネレーティブ AI を企業にとって重要なテクノロジーとみなしている。

この調査では、シニア IT リーダーの84%が、ジェネレーティブ AI がより効果的に顧客にサービスを提供するために組織を支援すると考えていることがわかった。その結果、これらのリーダーの67%は、今後18ヶ月の間に自社のビジネスにジェネレーティブAIを優先的に導入しており、このテクノロジーの効果的な展開の必要性が強調された。

Accenture の業界専門知識と Salesforce の技術を組み合わせることで、両社は、顧客がジェネレーティブ AI を用いてより迅速かつ効率的に問題を解決できるようにすることを目指している。

Salesforce と Accenture は、組織が特定のビジネスニーズに合わせて Einstein GPT を拡張し、最大の価値を得るために必要なテクノロジーと専門知識を提供するために協力している。Salesforce と Accenture は、AI、データ、CRM において、あわせて数十年の経験を有する。両社の AI リーダーは、顧客と直接連携し、ビジネスに最適なテクノロジーを効果的かつ責任を持って使用し、あらゆる顧客と従業員の経験を変革する方法について助言する。(Kodl 氏)

アクセラレーションハブでは、Einstein GPT for Sales やE instein GPT for Service など、CRM に関するいくつかのユースケースを紹介している。例えば、Einstein GPT for Sales を使えば、ユーザーはメールの作成、ミーティングのスケジュール、次の対話の準備など、営業タスクを自動的に生成できるようになる。

Einstein GPT for Service は、過去のケースノートからナレッジ記事を生成し、エージェントのチャット返信を自動生成することで、パーソナライズされた迅速なサービス対応により顧客満足度を向上させる。

Salesforce と Accenture は、 Salesforce の「Data Cloud」のパワーを活用し、情報の同期と調和を図る。また、ジェネレーティブ AI が顧客データからどのように学習し、顧客により迅速でパーソナライズされた体験を提供できるかを共に探求していく。

顧客を教育するためのテーラーメイドのコンテンツ

今回の協業の一環として、両社は、ジェネレーティブ AIのスキルアップを目指すチーム向けの学習リソースを作成することを目的としている。これにより、Salesforce のエコシステムにおける次世代の人材育成を促進する。

このハブは、 Salesforce のオンライン学習プラットフォーム「Trailhead」で利用できる既存の学習リソースも利用する予定で、その中には、ビジネス要件を満たす AI 利用、倫理的 AI の開発、仕事の未来に対する Einstein GPT の変革的影響といったテーマが含まれている。

ジェネレーティブ AI は、効果的に使用されると、顧客のリーチを強化し、従業員の生産性を高めるために企業を支援することができる。特に Einstein GPT は、営業、サービス、マーケティング、ITなど、さまざまな領域でパーソナライズされた AI コンテンツを生成できるよう、企業に力を与えるだろう。(Kodl 氏)

このプログラムの具体的な重点分野には、Einstein GPT のためのプログラミング、AI リテラシー、データサイエンスアナリティクス、倫理と責任ある AI が含まれる。

責任ある AI で CRM 開発を加速

Kodl 氏によると、CRM のためのジェネレーティブ AI は、従業員の生産性を高め、顧客とビジネスのやり取りを革新し、より収益性の高い成長を促進することができる。

ジェネレーティブ AI のような技術を採用しながら、信頼と責任ある使用を優先することの重要性を強調した。この取り組みを支援するため、 Salesforce の Office of Ethical and Humane Use of Technology(仮訳:技術の倫理的・人道的利用推進室)は 、これらの新しいジェネレーティブ AI テクノロジーの責任ある設計、開発、使用について組織を指導する。

企業がこれらのツールを導入するためには、インフラ、データ戦略、セキュリティ、そしてこれからの大きなチャンスに必要な従業員のスキルなど、正しい戦略を持つことが重要だ。Salesforce と Accenture は、AI とデータを活用した CRM の新たな可能性を引き出すために必要な先見性と技術的専門知識を提供し、働き方や顧客との関わり方における大きな変革を推進する。(Kodl 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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