セールスフォース、企業のワークフローにジェネレーティブAIを取り入れる「SlackGPT」をローンチ

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Image credit: Salesforce

Salesforce は4日、NYC World Tour で「SlackGPT」という Slack 向けの新しいジェネレーティブ AI 体験を発表した。

同社は、自社およびサードパーティの LLM(大規模言語モデル)と Slack の内部知識を活用し、ワークプレイスコミュニケーションツール内でチームの生産性を向上させることを目的としていると説明している。これは、すでに Teams アプリ内で AI Copiolot の連携を開始している Microsoft の同様の取り組みに続くものだ。

ただし、SlackGPT がエンドユーザに届くまでには時間がかかることに留意する必要がある。Salesforce によると、AI 機能はまだ新しい Slack プラットフォームの一部として開発・テストされているとのことだ。

三位一体の取り組み

Salesforce は、SlackGPT のジェネレーティブな体験は、Slack アプリ内のネイティブ AI 機能、AI アクションを埋め込んだ自動ワークフロー、Einstein GPT アプリのプラットフォームへの搭載という3つのキーエリアに重点を置いていると述べている。

現在、Slack のユーザエクスペリエンス向けにプロトタイプが作成されているこのネイティブ機能は、要約や下書き支援といった側面で企業ユーザを支援する。

例えば、あるチャンネルに未読のメッセージが多数ある場合、ユーザはクリックするだけで議論された内容の要約を得ることができ、要約とアクションアイテムを求めることで、逃した打ち合わせに追いつくことができる。また、メッセージコンポーザーや Slack canvas に専用ボタンとして設置されているライティングアシスタントを使って、ゼロからテキストを書き、コンテンツを抽出し、トーンを調整することも可能だ。

World Tour NYC で話す Rob Seaman 氏
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Salesforce の Slack 向け製品管理担当 SVP Rob Seaman 氏は VentureBeat に次のように語った。

個人的には、canvas の方が(ライティングアシスタントには)適しているかもしれない。もし私が Slack のメッセージを書くのであれば、必ずしもその手助けが必要なわけではない。しかし、私が上司と共有するためのエグゼクティブ・ブリーフィング資料を起草するのであれば、おそらくその起草と要約に何らかの助けを求めるだろう。

Slackのライティングアシスタント
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これらのネイティブ機能に加え、強化されたノーコードワークフロービルダーが、OpenAI の「ChatGPT(現在ベータ版)」や Anthropic の「Claude(現在提供中)」のような大規模言語モデル(LLM)アプリを利用し、チームが AI による作業を自動化できるようにする。

Seaman 氏は、ワークフローにおける AI アプリの使用例を説明しながら次のように述べた。

Salesforce からビジネス開発担当者(BDR)にリードを配信し、そのリードを効果的に修飾させたい場合、Salesforce からSlack チャンネルにリードを送信するワークフローを構築することができる。すると、BDR  は目の絵文字などで反応し、Salesforce の機能を呼び出して、反応した人にリードを割り当て、彼らの選んだ生産性ツールにそれを書き込み、Salesforceのデータと接続された LLM を使って彼らにプロスペクトメールを作成する。

これにより、チームは好きな時に好きなジェネレーティブ AI ツールを使って仕事を支援することができる。このアプリは、Slackのエコシステム(全部で約2,600のアプリがある)で利用できるものであればよいのだ。

Einstein GPT が Slack に登場

最後に、Salesforce は「Customer 360」全体で1日あたり2,000億件以上の AI による予測を実現する独自のジェネレーティブ AI アシスタント「Einstein GPT」が、専用アプリとして Slack に登場することも発表した。

これにより、ユーザは自然言語のプロンプトを使って、新規リードや解約しそうな顧客など、Salesforce の顧客データを Slack 内で照会することができるようになる。

このテクノロジーの本当の力は、AI が企業にとって最も信頼できるリソースである社内のナレッジから最も価値のあるデータを分析し、行動できるようになることだ。SlackGPT は未来の会話型 AI プラットフォームであり、企業が信頼できる顧客データや必要不可欠な従業員の知識を簡単に利用できるようにすることで、より賢く働き、より賢い意思決定を迅速に行うことができる。(Slack CEO Lidiane Jones 氏)

アプリ「Einstein GPT for Slack」
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現時点では、これらの新しいジェネレーティブ AI 機能がエンドユーザに提供される時期について、正確な日付は決まっていない。セールスフォースによると、ネイティブAI機能とEinstein GPT アプリは開発段階にあり、AI コネクタを備えた強化されたワークフロービルダーは今夏に展開される可能性が高いという。

Slack の新しい State of Work(人々の仕事の進め方)レポートによると、AI を導入している人は90%以上の確率で生産性の向上を報告しているが、現在 AI ツールを使って効率化を図っている企業はわずか27%に過ぎない。これらの新機能は、この状況を変えるのに役立つかもしれない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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