ウェンディーズのドライブスルーはGoogleの対話型AIにおまかせーー「Wendy’s FreshAI」の開発を発表

SHARE:
Image credit: Pixabay

ピックアップ:Wendy’s tests an AI chatbot that takes your drive-thru order / The fast-food chain is partnering with Google to train an AI model that knows what ‘biggie bags’ and ‘JBC’ mean.

ニュースサマリ: ウェンディーズとGoogle Cloudは5月9日、AIチャットボット「Wendy’s FreshAI」を試験するための提携拡大を発表した。 このテクノロジーには、Google Cloud のジェネレーティブAIと大規模言語モデル(LLM)テクノロジーを使用して、ウェンディーズのドライブスルーにおける注文体験をよりよくすることを目的としている。

このチャットボットはドライブスルーキオスクに並ぶ顧客から口頭で注文を受けることができ、例えば、「ミルクセーキ」が「フロスティ」であることや、「JBC」が「ジュニア・ベーコン・チーズバーガー」の略であることなど、ウェンディーズの専門用語に対応するとされている。ウェンディーズは6月に、オハイオ州コロンバス地区の同社運営レストランでGoogle Cloud の AI テクノロジーを活用した初の試験運用を開始し、その学習情報を利用してチャットボット対応のドライブスルーをさらに拡大する予定。

**話題のポイント:**Googleが日本時間5月11日午前2時から始まったI/O開発者カンファレンスで、様々なジェネレーティブAIに関する発表を行いました。2017年に「Attention Is All You Need」という論文を発表したGoogleは、Translaterという言語モデルの運用フローとは別に、コンピューティングを並列化する仕組みを公開しました。これが皮肉にもOpenAIの躍進の原点となってしまったGoogleは、昨年末から始まったこの領域の流れに少し遅れを取っていた印象がありましたが、ツールへの導入組み込み速度が早かったMicrosoftに差し迫るほどの大型発表が相次ぎました。

その中の一つが、最新の大規模言語モデル(LLM)であるPaLM 2の発表です。これは直接ChatGPTと競合するもので、Googleの最新のBardチャットツールを強化した基盤モデルとして機能します。OpenAI同様に、パラメータ数やトレーニング方法などの技術的な詳細は伏せられているものの、数学的な処理やコード補完、多言語処理に優れているそうです。

こちらのPaLM 2の発表に先駆けて、ファストフードチェーンのウェンディーズとGoogleが連携して、ドライブスルーで注文を受けられるAIチャットボット「Wendy’s FreshAI」の開発が明かされていました。

ドライブスルーの性質上、正しく音声認識をするには、例えば車の後部座席に座る子供たちから聞こえる騒音を遮断し、注文が途中で変わった顧客に対応しなければならないなど、AI導入が一筋縄ではいかない環境であることは間違いありません。さらに、店特有の商品名やその略語にも対応しなければならず、言語処理が困難でもあります。

LLM上にカスタマイズされたチャットボットを構築しているため、今回発表されたPaLM 2に対応するかは定かではありませんが、6月のオハイオ州コロンバス地区のレストランで行われる最初の試験運用次第では、PaLM 2のアイコニックな導入事例になる可能性は十分にあるでしょう。

OpenAIとMicrosoftの両社の良さを合わせ持つGoogleの立ち位置を考えると、今後導入事例が加速度的に増えていくことが予想されます。これからのジェネレーティブAIの台風の目となれるのか注目が集まります。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する