ウエアラブルデバイスでコネクテッドワーカー事業展開のフェアリーデバイセズ、21億円をシリーズB2調達

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「THINKLET」
Image credit: Fairy Devices

音声認識・音声対話技術を活用したソフトウェアやハードウェアの開発、それらを活用したコネクテッドワーカー事業を展開するフェアリーデバイセズは6日、シリーズ B ラウンドの 2nd クローズで21億円を調達したと明らかにした。このラウンドに参加したのは、ダイキン工業(東証:6367)、ヤンマーベンチャーズ、NTT テクノクロスなど。

これは同社にとって、2018年3月に実施した5億円の調達(シリーズ A ラウンドと推定)、2021年2月に実施した10.2億円の調達(シリーズ B ラウンドの 1st クローズ)に続くものだ。今回参加した投資家のうち、ダイキン工業はシリーズ B ラウンドの 1st クローズに続くフォローオンでの参加。今回の調達を受けて、累積調達額は明らかになっているものだけで約36億円に達した。

フェアリーデバイゼスでは2019年11月、首掛けにかけて利用できるスマートウエアラブルデバイス「THINKLET」を発表している。そのファーストユーザとして、今回も出資参加しているダイキン工業が空調機のメンテナンス現場に導入、国を超えたエンジニア同士の知見共有に役立てられている。

ヤンマーエネルギーシステムでは発動機のメンテナンス業務に導入している。南極・昭和基地の越冬隊に参加しているエンジニアが身につけた THINKLET から Zoom などを経由して映像を得て、日本国内にいる熟練エンジニアが、発動機のメンテナンスに関わるアドバイスや指示を遠隔で行う、ということが実際に行われている。今後は離島や遠隔地での導入が本格化する見込みだ。

また、NTT テクノクロスや日鉄ソリューションズ(東証:4147)といったシステムインテグレータ(Si-er)では、THINKLET や付随する AI システムをインテグレーションし、企業に導入しているケースもある。オンプレミス環境への対応など、スタートアップでは対応しづらい企業の個別ニーズに対し、SI-er がサポートする形で導入を進めているわけだ。

Image credit: Fairy Devices

今回のフェアリーデバイゼスの発表には名前が無いが、日揮ホールディングス(東証:1963)は「日揮みらいファンド(日揮ホールディングスとグローバル・ブレインが運営)」を通じて、フェアリーデバイゼスに出資したことを明らかにしている。プラントエンジニアリング大手の日揮グループでは、設備点検や建設工事の進捗管理の DX 化に THINKLET が活用されているようだ。

熟練エンジニアの引退が増えるのに際して、そうした人々から若手エンジニアにさまざまなスキルトランスファーを促す遠隔コミュニケーションデバイスとしてだけでなく、THINKLET を通じて、活動データも貯まるため、それらを解析し、今後の業務に生かすことで AI コパイロットとして機能することも期待されるだろう。

フェアリーデバイセズによれば、ジェネレーティブ AI や大規模言語モデルに向けたプロジェクトも進めているが、現時点ではまだ詳細を明らかにできないとのことだ。ただ、インターネット上には存在していない業務作業に基づいたデータを AI が理解できるようなキレイな形で大量に集積できる立場から、この分野においてアドバンテージを確信しているようだった。

少し趣を異とはするが、コミュニケーションデバイスを用いて、離れた業務現場を繋いで仕事をスムーズにするソリューションとしては、BONX が先週、NTT ソノリティらからシリーズ E ラウンドで資金調達したのは記憶に新しい。

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