本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載
今週の注目テックトレンド
GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。
ChatGPTのような対話型AIトレンドがノーコードアプリ制作市場を呑み込みつつあります。
5月23日、アプリ制作プラットフォーム「Builder.ai」がシリーズDにて2.5億ドルの資金調達を行ったと発表しました。本ラウンドには、Iconiq Capital、Jungle Ventures、Insight Partnersを含む既存および新規の投資家が参加しています。
Builder.aiはオーダーメイドアプリを安価に発注できる開発プラットフォームです。ユーザーはマーケットプレイス上からひとつ一つ欲しい機能を選択し、ECサイトの要領でカゴに入れて決済。UberやInstacartのようなアプリをベンチマークとしている場合は、同じアプリを選択すればそのまま模倣機能を発注できます。開発だけでなく保守点検まで一気通貫に投げられるため、アプリ開発をそのまま外注できる利便性が売りです。
発注された後、Builder.aiは世界中で囲っているフリーランスエンジニアから最適な人材を選び、チーム組成して開発に至ります。特徴的なのは過去に携わったプロジェクトで開発したコンポーネントを二次利用し、開発スピードを上げている点にあります。つまり似たような開発案件を積み重ねるほどに開発コストが下がり、利益率も上がるという仕組みです。
今回の資金調達の発表とほぼ同じタイミングで、Builder.aiはMicrosoftとの戦略的投資も発表しています。MicrosoftのTeamsと、Builder.aiのアシスタントAI「Natasha」との連携を目指すとのことです。つまりTeamsを利用している企業が、Natashaとの対話を通じて簡単なアプリ制作まで完了できてしまうことになります。
先述の通り、Builder.aiは開発コンポーネントのライブラリーを多く所有しているため、対話型AIのNatasha経由であっても基本的なアプリ機能構築は可能だと思われます。つまり、その場でNatashaと「会話しながら」プロトタイピングし、アプリを社内で見せられるようになる程度はTeamsで完結するようになるでしょう。Builder.aiからすればNatashaを使ってプロトタイプ制作する企業はリード案件となり、MicrosoftからすればTeamsのサブスクリプションユーザー獲得へ大きく貢献する機能となりそうです。対話型AIを活用したアプリ制作ユースケースとして、今回の動きは日本にも早々に到来するかもしれません。
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