音源IP投資Beyond Musicが200億円、ドラマ制作Playlist Studioが14億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(5月29日~6月2日)

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左:Beyond Music CEO のイ・ジャンウォン氏、右:Playlist Studio
Image credit: Beyond Music, Playlist Studio

5月29日~6月2日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは7件で、資金総額は2,251億ウォン(約225億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • Beyond Music(비욘드뮤직)が2,000億ウォン(約200億円)を調達、累積音源資産運用額が5,000億ウォン(約500億円)に達した。 同社は音源 IP 専門投資及びマネジメント企業で、有名歌手の音源 IP を2万7,000曲以上確保している。国内を超えてアジア最大の音源 IP 投資会社となることを目標にしている。
  • ファッションブランディング企業 Eastend(이스트엔드)が50億ウォン(約5億円)を調達し、累積調達金額は130億ウォン(約13億円)に達した。同社は独自ブランド5つ を D2C ベースで運営している。累積取引額は2022年時点で500億ウォン(約50億円)を突破し、年間90%以上の成長傾向を維持している。
  • エコエネルギー企業 Ecoin Energy(에코인에너지)が22億ウォン(約2.2億円)を調達した。同社は、高品質の熱分解油生産技術を保有している。熱分解装置はモジュール形式で開発しているため、さまざまな大きさのスペースに設置が可能だ。

トレンド分析

ユニコーン候補は今、何ををしているのか?

投資環境が悪化し、資金調達はもちろん、ユニコーンとなるスタートアップのニュースも少なくなっている。今年5月現在、ユニコーンが Fadu(파두)1社しか出ていない。昨年は上半期だけでユニコーンが7社誕生したのと大きく事情が異なる。このような時期ほど政府の投資支援はスタートアップに力を与えることができるだろう。

政府は2019年から国内スタートアップのユニコーン跳躍のために「K-ユニコーンプロジェクト(K-유니콘 프로젝트)」を進め、ユニコーン候補やベビーユニコーンを選抜してきた。ユニコーン候補は2022年までに97社が選ばれたが、今年も採択企業がまもなく発表される予定だ。ユニコーンに成長すると期待を集めた彼らは、現在どのように成長しており、投資環境が悪化した今、どのような歩みを見せているのかを調べた。

ユニコーン候補に選ばれた企業が創出した成果はかなり意味があると見られる。Ridi(리디)Kurly(컬리)、Fadu、韓国信用データ(한국신용데이터)Tridge(트릿지)Zigbang(직방)など6社が実際にユニコーンに成長し、Jeju Beer(제주맥주)IGAWorks(아이지에이웍스)Neromeka(뉴로메카)Wanted Lab(원티드랩)などは上場に成功した分野リーダーとして産業をリードしていくところも数多くある。

SmartStudy(스마트스터디)、MyRealTrip(마이리얼트립)、StyleShare(스타일쉐어、Musinsa が買収)、Backpackr(백패커、idus を運営)、Ably Corporation(에이블리코퍼레이션)Channel Corporation(채널코퍼레이션)などが代表格だ。最近関心が高まったシステム半導体、自動運転技術を保有する SemiFive(세미파이브)StradVision(스트라드비젼)も注目に値する新しい分野で成功した企業もある。Tridge(트릿지)は農業分野初のユニコーンとして登場しながら注目され、MusicCow(뮤직카우)は音源 IP 彫刻投資という新しい投資市場を開いた。

上昇傾向に乗った人々は、投資市場の鈍化に応じて振り回わされもした。Kurly はユニコーンになったが、企業価値の下落、上場撤回など否定的なニュースを伝え、ミールキット1位の FreshEasy(프레시지)も上場を遅らせている状況だ。経営悪化で構造調整のニュースを伝えた企業はもっと多い。

Zigbang はサムスン SDS ホーム IoT 事業部を買収したが、成果が微小で経営実績の悪化によりリストラを進め、MCN のリーダー Sandbox Network(샌드박스네트워크)、ソフトバンクから大規模投資を受けた Riiid(뤼이드)もリストラによる収益性の改善に注力する計画を明らかにした。

国産 OTT の Watcha(왓챠)も資金調達の難航、企業価値の大幅下落、営業損失などで運営に赤信号が点灯した。「Vroong(부릉)」を運営する Mesh Korea(메쉬코리아)は資金調達の失敗と経営陣間の対立が表面化し、近くにhy に売却され事業再建に乗り出す。また、Healing Paper(힐링페이퍼)Law & Company(로앤컴퍼)はそれぞれ大韓医師協会、大韓弁護士協会など専門職団体との対立で苦戦中だ。

前例を見ると、外部環境などさまざまな変数がスタートアップの存続に影響を与えることがわかる。ユニコーンといって安心できず、資金調達を多く得たとしても成長し続けるわけではない。最近では、投資家が収益性に基づいた投資を進めながらスタートアップが生存資金を確保することが難しくなっている。これにより、さまざまな変数にもかかわらず、安定して事業を運営できる基盤を作っておくことがスタートアップにとってはより重要になると思われる。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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