自分の時間を他者と交換、世界110カ国10万人が登録するタイムバンク「TimeRepublik」とは

SHARE:
Image credit: TimeRepublik

<ピックアップ> Could We Live In A World Where Time Is The New Currency?

誰にでも1日は24時間ある。しかし、経営者の時間あたり収入は社員より多いことが多い。1920年(大正9年)に大阪で生まれた主婦で発明家の水島照子氏(故人)は、時間はお金よりも価値のある資源であり、時間を交換することで人々は助け合い、より強固なコミュニティを築くことができることに気づき、1973年(昭和48年)、世界初のタイムバンク「ボランティア労力銀行(現在のボランティア労力ネットワーク)」を設立した。

この銀行のコンセプトはシンプルで、各人が1時間のサービスを他の人に提供し、将来同じ時間のサービスを他の人に依頼できるというものだ。水島氏の行動は、世界中にタイムバンクを作るきっかけとなった。現在、50カ国以上にタイムバンクがある。

スイスのルガーノを拠点を置き、ニューヨークにオフィスを構える TimeRepublik は、2012年に Gabriele Donati 氏と Karim Varini 氏により設立された。彼らは水島氏のタイムバンクのアイデアにインスパイアされ、それがコミュニティ形成と持続可能な経済創出のツールになると考えた。

TimeRepublik では、ユーザは15分の時間に相当する仮想通貨、タイムコインと引き換えにサービスを提供することができる。ユーザは、犬の散歩や家事の手伝いなどのリアルのサービス、カウンセリングや専門的なアドバイスなどのオンラインサービスを提供することでタイムコインを獲得できる。そして、このタイムコインを使って他のユーザからサービスを購入することができる。

左から:Karim Varini 氏と Gabriele Donati 氏
Image credit: TimeRepublik

また、TimeRepublik は参加者に、サービスが完了したことを証明するエビデンスの提出も求める。例えば、翻訳サービスの場合は翻訳結果を、デザインプロジェクトの場合はデザイン文書を、コンサルティングサービスの場合、参加者は会話の記録やオンラインミーティングのビデオを、リアルなサービスの場合、サービスの写真やビデオをアップロードするなどだ。

TimeRepublik は現在、110カ国で10万人以上のユーザを抱えている。TimeRepublik が最初に手がけたマネタイズは、「企業向けサブスク」だ。従業員同士の結びつきを強め、会社への帰属意識を高めたいと考えている企業に対し、従業員が自分の時間を企業内で必要なサービスと交換できるサービスを提供できるようにした。

TimeRepublik はこれまでに、3回にわたり合計120万米ドルを調達している。いずれの調達も、すべて2015年以前に行われたものだ。TimeRepublik がスイス国外に進出し始めたのはここ数年のことだ。同社はより多くの人に加入してもらうために、提供するサービスがお金と共存できるよう努力している。そうすることで、若い世代がより積極的に参加し、ビジネスを維持できるのだ。

via TechRound

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録