
1日、Apple は ChatGPT スタイルのサービスを提供する100以上の AI 関連アプリを中国のアプリストアから削除した。影響を受けた開発者に送られた通知の中で、Apple は、関連コンテンツが中国で「違法」とみなされたため、「中国政府の命令に従って」削除したと述べている。
重要視すべき理由:AI 関連アプリの削除は、中国の AI 規制が実施される2週間前に行われた。この措置は、中国のユーザ向けに AI ツールを提供する一方で、中国の規制を遵守しようと努めている AI 開発者に複雑なシグナルを送る可能性がある。
- モバイルアプリ分析プラットフォーム「Qimai(七麦)」のデータによると、中国のアプリストアから1日で数十のジェネレーティブ AI アプリが削除され、その中には ChatGPT が提供するアプリや国産の iFlytek(科大訊飛) の AI チャットボット「SparkDesk(星火認知)」も含まれる。
詳細:現地メディア China Star Market(科創板)によると、中国の規制当局に近い情報筋は、アプリをストアから外した理由として、データの収集と使用に関して十分に標準化されていないことを挙げた。この情報筋は、これらのアプリがストアに戻されるまでには「長い時間がかかる」ことが予想されると付け加えた。
- 1日未明に削除される前の評価が4.8だった人気 AI アプリ「OpenCat」の開発者が、App Reviewと 題された Apple のスクリーンショットを X(Twitter)で公開した。そこには、中国政府が深層合成技術やジェネレーティブ AI に対する規制を強化したと書かれていた。ChatGPT を搭載したO penCat は、工業情報化部(日本の経済産業省に相当)からライセンスを取得しておらず、これがアプリストアからの削除につながった可能性がある。
- 音声認識企業の iFlyTek が開発し、独自の大規模言語モデル(LLM)に基づいて構築された AI アプリ SparkDesk は、iOS Marketplace でオフラインになってから12時間後に復活した。
- 検索大手 Baidu(百度)のERNIE Bot(文心一言)」は、中国のアプリストアでまだダウンロード可能で、招待コードを持っている人だけがチャットボットサービスにアクセスできる。
背景:AI 関連製品の最新波が世界中に広がり続けるなか、各国政府は急速に発展する技術に追いつこうと競っている。中国は8月15日から新たな AI 規制を実施する予定で、これは国内での AI の開発と展開を規制することを目的としている。
- 中国における新たな AI 規制は、ジェネレーティブ AI サービスを国民に提供する企業に対し、「社会主義の核心的価値観を遵守」し、国益を危うくしたり、虚偽の情報を広めたりするコンテンツの公開を控えるよう求めている。
- また、AI 関連サービスが「包括的かつ慎重な態度」で扱われることも強調されており、コンプライアンスを確保しつつイノベーションを促進しようとする姿勢がうかがえる。
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