
Image credit: OceanEngine(巨量引擎)
本稿は、Technode(動点科技)が、8月28日~9月1日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。
中国政府、テック企業11社に ChatGPT ライクなツールの完全公開を許可(9月1日)
中国の検索大手 Baidu(百度)は1日、ChatGPT ライクなサービス「ERNIE Bot(文心一言)」の一般利用を開始した。同社は、ジェネレーティブ AI ボットへの通常アクセスを許可された最初の企業のひとつで、そのアルゴリズムの詳細を政府に提出した。この動きは、AI に対する中国政府の規制スタンスの軟化を示唆している。
この承認は、中国の 新しい AI ルールが発効してから2週間後に行われ、最初の8社が10億人を超える中国のインターネットユーザにジェネレーティブ AI サービスを提供する道を開いた。承認の第一弾は、Baidu(百度)、ByteDance(字節跳動)、SenseTime(商湯)から、中国科学院や上海人工知能研究所まで、北京や上海に本社を置くテック企業や研究機関に与えられた。
中国政府は8月15日、ジェネレーティブ AI サービスに関する詳細な規制を導入し、コンテンツをよりよく管理する方法として、政府によるアルゴリズムの承認が、テック企業が AI 製品を一般に提供する前に越えなければならない閾値であることを明確にした。(動点科技)
Zhipu AI(智譜 AI)、ジェネレーティブ AI アシスタント「Zhipu Qingyan(智譜清言)」をローンチ(9月1日)
2019年に清華大学の卒業生によって設立された Zhipu AI(智譜 AI)は8月31日、初のジェネレーティブ AI アシスタント「Zhipu Qingyan(智譜清言)」をローンチした。この AI 製品は、同社が自社開発した対話言語モデル(DLM=Dialog Language Model)「ChatGLM2」に基づいて開発されたと Zhipu AI は声明で述べた。現在、ユーザはアプリストアからアプリケーションをダウンロードするか、WeChat(微信)上でプラグインを使用することで製品にアクセスできる。
Zhipu AI によると、この AI アシスタントは、一般的な質問への回答、長文の対話、創造的な文章作成、コード生成などの機能を備えているという。Zhipu AI は大規模言語モデル(LLM)を専門とする企業である。2020年末に GLM 事前学習アーキテクチャの開発を開始し、2022年にバイリンガルで兆規模の事前学習モデル「GLM-130B」を開発した。(智譜 AI)
Baidu(百度)の AI チャット「ERNIE Bot(文心一言)」、初日から100万人以上の利用者が殺到(9月1日)
Baidu(百度)の AI チャット「ERNIE Bot(文心一言)」は、8月31日の午前0時に一般公開されてから24時間足らずで、100万人のユーザが利用を開始した。ChatGPT に対する中国の主要な挑戦者として多くの人が見ている ERNIE Bot への興奮に後押しされ、当局によって一般利用が承認された後、全国のユーザが初めてこの製品にアクセスできるようになった。
SenseTime(商湯)やZhipu AI(智譜 AI)と並んで、Baidu は AI 製品の政府認可を獲得した最初の企業の一つであり、同社が明らかにしたデータによると、ERNIE BOt は初日で3,340万件以上のユーザからの問い合わせに対応した。(動点科技)
動画大手「bilibili(嗶哩嗶哩)」、日本の大ヒットゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」を中国で紹介(8月31日)
日本の大ヒットゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」が大手動画プラットフォームの「bilibili(嗶哩嗶哩)」から8月30日にローンチし、中国の iOS AppStore で無料ダウンロードゲームのトップに即座に躍り出た。同社によると、正式サービス開始前にもかかわらず、国内の事前登録者数は100万人を超えたという。
「ウマ娘 プリティーダービー」は、日本のデベロッパ Cygames が開発したシミュレーションロールプレイングゲームで、アニメの女の子たちが競馬のトーナメントで競い合う。2021年に日本で発売されたこのゲームは、その年に約10億米ドルを稼いだ。同じキャラクターが登場するアニメ「プリティーダービー」はbilibiliで1億1,000万回視聴され、中国のアニメファンの間で高い評価を得た。(騰訊)
中国の自撮りアプリメーカーMeitu(美図)、デジタルヒューマンジェネレーター「DreamAvatar」をローンチ(8月31日)
中国の自撮りソーシャルアプリメーカー Meitu(美図)は8月29日、AI を搭載したデジタルヒューマンジェネレーター「DreamAvatar」をローンチした。新アプリの AI アクター機能は、動画コンテンツ作成、フィルム加工、編集など様々な応用シナリオ向けに設計されていると Meitu は述べている。10秒未満のビデオクリップで、実在の個人を AI アバターに変換できる。
3D 人間の姿勢推定と運転アルゴリズムに支えられ、DreamAvatar は人間の動きを識別、追跡、再現できるデジタルアクターを生成する。さらに、DreamAvatar はカメラのポーズ推定と光推定アルゴリズムを採用し、これらのデジタルアクターをビデオの背景にシームレスに連携することで、自然なプレゼンテーションを実現すると Meitu は述べている。(美図)
ByteDance(字節跳動)の「OceanEngine(巨量引擎)」、無料の AI スクリプト生成ツールを導入(8月30日)
ByteDance(字節跳動)のデジタルマーケティングプラットフォーム「OceanEngine(巨量引擎)」は、短編動画アプリ「Douyin(抖音)」 でセラーが効率的に「質の高いセリフ」を作成できるよう、ライブストリーミング用の AI スクリプトツールを導入した。この公式サービスは、販売者や短編動画クリエイターが Douyin で影響力を拡大するのを支援する。
OceanEngine は、この新機能は無料で、「センシティブワード」を識別する機能を備えていると発表した。この動きは、ByteDance がその多様な事業にわたって AI 技術を組み込んでいることを強調している。同社の WeChat(微信)アカウントに掲載された声明によると、スクリプト生成ツールを利用した加盟店は、商品の販売額が13%増加したという。(巨量引擎)
自動運転トラック Inceptio(嬴徹科技)、事故ゼロで5,000万kmを達成(8月30日)
自動運転トラックのスタートアップ Inceptio(嬴徹科技)は8月29日、2021年後半から実施してきた JD Logistics(京東物流)やZTO(中通快遞)のような地元宅配業者との商業試験で、中国の高速道路で事故ゼロの公道自動運転走行が5,000万kmに達したと発表した。
同社と中国最大の保険会社のひとつである China Pacific Insurance(中国太平洋保険)が共同で発表した数字によると、Inceptio の NOA(先進運転支援システム)が可能にした自動運転車は、衝突回避と車線逸脱防止において、人間が運転する車より75%優れているという。
一方、Inceptio は、セーフティドライバーが常にハンドルを握る自動運転トラックは、ベテランドライバーが運転するトラックに比べ、石油消費量を最大7%削減できると述べている。2021年、Inceptio は中国のテック大手 Meituan(美図)とオンライン小売業 JD(京東)の配送部門である JD Logistics から2億7,000万米ドルの資金調達を完了し、アメリカのベンチャーキャピタルの中国部門である Sequoia China(現在の Hongshan=紅杉)の支援を受けている。(嬴徹科技)
中国政府、科学技術分野の若い才能を支援する政策を導入(8月29日)
国営の新華社通信が8月27日に報じたところによると、中国政府は「若い科学技術人材の育成と活用」をさらに促進するためのいくつかの措置を発表した。新華社通信の8月27日の報道によると、この動きは、研究環境やプラットフォーム、機会の不足など、若い才能がキャリアの初期に直面する課題に対処することで、国の技術進歩により献身的に取り組むよう促すことを期待している。
新華社通信によると、新たな指令は、職種や学歴に関連する障害をなくし、極めて重要な研究開発イニシアチブに応募する個人の年齢制限を緩和することを約束している。また、プロジェクトリーダーや主要メンバーに占める40歳以下の若い人材の割合を50%以上に引き上げることも約束している。
さらに、有能な大学や研究機関は、自主研究を行う35歳以下の研究者への財政支援比率を年間予算の50%以上に段階的に引き上げ、国家戦略上のニーズに焦点を当て、最先端の科学研究に従事するよう奨励すべきであると提案している。2022年、中国の研究開発費は過去最高の3兆900億人民元(約63兆円)に達し、2021年から10.4%増加した。(新華社)
Alibaba Cloud(阿里雲)、オープンソースの大規模資格言語モデル「Qwen-VL(通義千問-VL)」をローンチ(8月28日)
Alibaba Cloud(阿里雲)は8月25日、オープンソースの大規模資格言語モデル(LVLM)「Qwen-VL(通義千問-VL)」をローンチした。この LVLM は、Alibaba Cloud の70億パラメータ基礎言語モデル「Qwen-7B」をベースにしている。Qwen-VL は、画像テキスト認識、説明、質問応答などの機能に加え、視覚的位置認識や画像文字認識などの新機能を導入している、と同社は声明で述べている。
これらの機能により、画像内の場所を特定し、画像から抽出された情報に基づいてユーザにガイダンスを提供することが可能になる。このモデルは、画像や文書ベースの質問応答、画像キャプションの生成、きめ細かな視覚認識など、さまざまなシナリオに適用できる。現在、Qwen-VL とその視覚 AI アシスタント「Qwen-VL-Chat」はいずれも、Alibaba の「Model as a Service」プラットフォーム「ModelScope(魔搭社区)」で無料および商用利用が可能だ。(阿里巴巴)
iFlytek(科大訊飛)、LLM「SparkDesk(星火認知)」を来年にも「GPT-4」とベンチマーク実施へ(8月28日)
中国の音声認識会社 iFlytek(科大訊飛)が開発した大規模言語モデル(LLM)「SparkDesk(星火認知)」は、来年前半に「GPT-4」とベンチマークを行う予定だと iFlytek 会長の Liu Qingfeng(劉慶峰)氏が語った。Liu 会長は、中国のダボス会議の異名を持つ「Yabuli China Entrepreneurs Forum(亜布力中国企業家論壇)」での講演でこのように発言した。
Liu 氏はさらに、LLM で iFlytek と戦略的パートナーである中国の通信大手 Huawei(華為)が、GPU の能力という点ですでにNvidia の最先端チップ「A100」に匹敵していることを共有でき「非常に嬉しい」と付け加えた。Liu 氏は、中国ではこれまでアルゴリズムが有効であるにもかかわらず、Nvidia がコンピューティング能力において支配的な地位を占めてきたが、Huawei の開発によってその構図が変わるだろうと述べた。(IT 之家)
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