
Buy Now Pay Later(BNPL)は衰退の一途をたどっているようだ。BNPL 発案者の Klarna は2022年に800億円以上の価値を失い、Affirm の時価総額は75%減少した。
フィンテックスタートアップ Kafene は Lease to Own というコンセプトを提唱し、今年シリーズ B ラウンドをクローズし、1,800万米ドル超の資金を得た。
Lease to Own のコンセプトは、Kafene が商品代金を前払いし、消費者に一定期間ごとにレンタル料を支払ってもらって返済するというものだ。アメリカの人口の3分の1はクレジットスコアが低いために従来の金融サービスを利用できないことに着目し、リース契約という概念を導入しる。
AI がリスク評価、小売業者と消費者の間を仲介

Kafene は、生活必需品を購入する際、中小の小売業者と消費者の仲介役となり、小売業者に契約を締結する一方、消費者には Lease to Own 契約で必要とする資金を提供する。
消費者は Kafene のアプリを通じて融資を申し込む。Kafene は AI を採用し、申込者から提供された口座番号とクレジットスコアに基づいて申込者の潜在的返済リスクを測定し、リスク評価レポートに基づいてさまざまな融資額を提供する。
Kafene の共同創業者で CEO の Neal Desai 氏は、Tearsheet Podcast で、「Kafene は単に消費者金融を提供する融資会社ではなく、消費者の代わりに商品を購入し、価格に応じて消費者と1年間のリース契約を結ぶ」という役割を果たしていると語った。
消費者は毎月の分割払いの金額より少し多めに支払い、契約期間終了までに残りの費用を一括で支払うことを希望すれば、価格の大幅な割引を受けられるだけでなく、Kafene がこの消費者を支払を積極的に行う人として銀行に報告し、クレジットスコアの向上に貢献する。ただし、契約期間内であっても、消費者が商品の使用感が思わしくない、使い心地が悪いなどの理由で返品を申し出た場合は、クレジットスコアに影響を与えることなく返品することができる。
消費者がリース契約終了時に製品を返却しなかったり、ひどく破損した製品を返却したりすることを防ぐため、Kafene チームは、消費者が製品を返却しなかった場合、クレジットスコアに影響が出るという条項も契約書に盛り込んだ。現段階では、Kafene は世界最大のクレジットスコアチェック会社 TransUnion、Equifax、Experian の3社と提携している。
Kafene の主な収益源は、小売業者間の商品価格差と契約金だ。同チームは正確な収益額やユーザ数を公表していないが、TechCrunch によると、Kafene の収益は創業以来、前年比500%増で成長しており、すでに1,000以上の小売業者と提携しているという。
Lease to Own と BNPL の違い
TechCrunch のインタビューで、Desai 氏は、Lease to Own と BNPL のコンセプトは一見似ているが、資金調達の方法とターゲットとする顧客層の2つの点で根本的に異なると強調した。
1.資金調達の方法:借金か、分割払いか
Desai 氏によれば、BNPL はクレジットカード支払と同様、長期にわたって支払いを先延ばしにする借金の一形態とみなされることが多いという。しかし、Lease to Own では、ユーザは製品を使用する権利のために毎月の支払額の一部を支払う。
確かに、Lease to Own は金利ゼロのクレジットカードに似ているが、クレジットスコアが低い人はクレジットカードの特典をまったく受けられないため、Kafene は従来の金融サービスでは対応できなかった多くの層に利用されている。
2.ターゲットとする顧客層:金融にアクセスできる消費者 vs. クレジットスコアの低い消費者
今日の消費者市場において、ほとんどの消費者にとって、Lease to Own が第一の選択肢ではないことを Nisai 氏は認めている。しかし、Kafene チームは、ローンの審査に通らないサブプライム層のために、代替融資の仕組みである Lease to Own 契約を提供しており、クレジットカードの審査に通らない消費者への柔軟性が高く、手頃な選択肢を提供している。

埋もれていた500億米ドルのビジネスチャンス
Kafene の誕生は、偶然が重なった結果である。
Kafene の共同設立者 James Schuler 氏は、Peter Thiel 氏が設立した Thiel Fellowship の奨学生だった。10万米ドルの奨学金を授与された Schuler 氏は、プログラム修了後、数々のスタートアッププロジェクトに参加し、ある時、企業投資家から Kafene を紹介され、小売業界で Lease to Own モデルの改革を目指す Desai 氏と出会った。

2人は、アメリカ国内で1億人近くの人々がクレジットスコアの低さに苦しみ、必需品の購入ができず、その結果、500億米ドル近いビジネスチャンスに影響を及ぼしていることを目の当たりにした。彼らは、経済が変化する中、Lease to Own のような代替融資ソリューションが、こうした消費者に好転をもたらし、既存の取引市場に変革をもたらす可能性があると考え、このテーマで事業を始めることにした。
Kafene は2023年、Third Prime や Uncorlated Ventures などがリードしたシリーズ B ラウンドをクローズし、1,800万米ドルを調達した。サービス開始からわずか3年間で受けた投資総額は1億米ドルを超えた。
Kafene は今回の資金調達により、より多くの加盟店やターゲットセグメントにサービスを提供するため、既存の従業員を拡大するとともに、新世代の融資ソリューションに対する加盟店や消費者の需要に応えるため、既存のプラットフォーム技術を更新・維持するとしている。
【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup
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