ペットケアBMSMILEが31億円、生成AIによる盗用検出Muhayuが17億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(10月30日~11月3日)

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SK Networks と BMSMILE の投資契約締結式。
Image credit: SK Networks, BMSMILE

10月30日~11月3日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは10件で、資金総額は659.3億ウォン(約75.3億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • ペットケアスタートアップ BMSMILE(비엠스마일)が SK Networks(SK 네트웍스)から280億ウォン(約31億円)を戦略的調達した。ペットブランド「Pethroom(페스룸)」を運営し、多彩なペットケア事業を運営している。SK Networks と協力して事業競争力を強化する。
  • AI 盗作検査ソリューション「Copy Killer(카피킬러)」を運営するMuhayu(무하유)がプレ IPO ラウンドで150億ウォン(約17億円)を調達した。Copy Killer は、AI が論文やインターネット投稿などデータ100億件のデータを元に、論文の盗作確率を計算する。韓国国内の4年制大学9大学が利用している。2025年の KOSDAQ 上場を目指す。
  • Aetech(에이트테크)が86億ウォン(約9.5億円)を調達した。同社は AI 廃棄物資源選別ロボットソリューションを開発しており、廃棄物事業所の無人化事業モデルを拡張する予定だ。調達した資金で、西ヨーロッパにロボット資源循環センターを構築するなど事業を拡大する計画だ。
  • Medipal(메디팔)が50億ウォン(約5.5億円)を調達した。病院のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援し、在宅診療患者のためのアフターケア SaaS ソリューション「AfterDoc(애프터닥)」を提供している。調達した資金で、サービスの高度化に注力する。
  • グローバル採用管理専門企業 McKinley Rice(맥킨리라이스)が50億ウォン(約5.5億円)を調達した。インド市場から着手し、世界57カ国30万人のグローバル IT 人材が利用している。

トレンド分析

フィンテック産業の低迷…新しい投資先は?

金融市場に新たなイノベーションをもたらすスタートアップが現れ、フィンテック業界はここ数年間で急速に成長してきた。既存金融で感じる不便を改善するサービスには、大規模な資金が集まり、ユニコーンが登場することもあった。韓国では2021年からフィンテック分野への投資が活発化し、資金調達のカテゴリでは4位に浮上した。しかし、成長を維持していたフィンテック産業も、今年は投資家の関心対象から遠ざかっている。グローバル市場では上場に成功したフィンテックスタートアップの成績は低調で、さらに低迷した状況が続き、韓国も同様に資金調達額と投資件数は2021年以来引き続き下落傾向にある。

Startup Recipe のデータによると、10月現在、フィンテックに投資された資金は1兆70億ウォン(約1,160億円)だ。 昨年に比べて1%ほど下落したが下落幅は大きくない。しかし、1~2社のスタートアップが調達額全体の60%以上を占めたという点、そして新しいサービスの登場が減っているという点は、市場の低迷とは無関係ではない。

最も多くの資金はユニコーンの Viva Republica の子会社 Tossbank が調達したものだ。 Toss は2020年からフィンテック分野で毎年資金調達ランキング1位に君臨している。 分野で見ると、資産管理・融資領域に最も多い資金が集まり、決済・送金、保険分野にも投資が行われた。すべてユーザの利便性を優先する革新的なソリューションを提供する会社だ。

今年最も注目された投資先はオルタナティブ投資だ。 音源から不動産、美術品などにアート投資するサービスは、数年前から MZ 世代(ミレニアル+ Z 世代)に新たな投資先として人気を博した。 今年はアート投資が制度権に編入され、投資会社はもちろん大企業も関心を持っており、この分野のスタートアップは初期から資金を集めている。一方、しばらく多くの資金を調達していた P2P 金融とロボアドバイザーも、以前ほどは関心を得られていない。

国内では消費者を対象としたフィンテックサービスがほとんどだ。 B2B を対象とするサービスも徐々に増加している。 金融 API プラットフォームを提供したり、決済管理統合ソリューションを提供したりするのが代表的だ。 競争が激しくなった消費者市場から B2B サービスに転換する企業も今後増えると期待される。

金利上昇など、さまざまな状況でフィンテックスタートアップの資金調達が難しくなったことは事実だが、他の産業と同様にしっかりとした基本をもとに構築されたフィンテックサービスは、困難な状況にも資金調達できている。新型コロナウイルス感染拡大前のような投資ブームは消えたが、新興市場にはフィンテックサービスの成長機会があり、市場の回復に伴って反騰する見通しだ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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