【マインドのDNA】失敗しても、納得できるまで試験研究を遂行する/MiRESSO中道勝氏

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

「マインドのDNA」では、いま注目のスタートアップ起業家をピックアップし、現在の価値観やマインドをさまざまな角度から深掘りしていきます。

今回登場いただいたのは、フュージョン(核融合)エネルギーに使われるベリリウムを低コスト、省エネルギーで精製する技術を持つMiRESSO CEOの中道 勝氏です。

中道 勝
日本原子力研究所JAERI、内閣府(出向)、日本原子力研究開発機構JAEAを経て、量子科学技術研究開発機構QSTにて核融合炉材料の研究員として従事。核融合炉を構成する重要鉱物でありながら、価格および生産量の観点でボトルネックになっているベリリウムを安定的に供給し、核融合早期実現に貢献することを目指してMiRESSOを起業。

──なぜ起業という選択を?

長年にわたり、研究機関でフュージョンエネルギーに不可欠な材料であるベリリウムの研究を行っていました。このベリリウムは精製コストが高く、また寡占市場であるなどの理由から高価で生産量も不足しており、フュージョンエネルギー実現においてボトルネックとなっています。

弊社が開発した低温精製技術は、ベリリウムを圧倒的な低コストかつ省エネルギーで精製できるため、価格適正化と安定生産が図れます。また技術を開発するだけでなく、その社会実装まで行って寡占市場を打破し、フュージョンエネルギーの早期実現に貢献したいと考え起業しました。

──失敗・挫折にはどう向き合っている?

「諦めず、納得できる結果が得られるまで行動する」という考えで、いままで進んできました。

思うような結果が得られなかったときは、その原因を明らかにし、改良するための条件を洗い出し、新たなパラメータに従って徹底的に実験を繰り返す。そうして期待する結果が得られるまで試験研究を遂行することで失敗と向き合ってきたように思います。

──最もゆずれないものは?

仕事に関しては、興味と意義をしっかりと持つこと。そして何よりも、楽しく行うことです。

これは私自身が強く思っていることです。やはり仕事も楽しくないと続けられません。以前の研究機関においてもそうでしたし、MiRESSOにおいてもメンバーの皆さんが日々興味深く楽しんで従事いただけているかを重要視しています。

──チームをひとことで表すと?

「創造力」

いままでにない技術を社会実装し、新たなサプライチェーンを構築し、それによって豊かな社会生活を創ることをチームみんなで目指しています。皆さんの創造力無くしては、成しえない事業です。

──心身ともに疲れたときのリフレッシュ方法は?

家族との食事や団らん、旅行などで一緒に過ごすことです。

また、モーターバイク(SR500)、楽器演奏(トランペット)、皮革細工(サイドバック、カバン、ケースなど)、お酒(スコッチ、ビール)などの個人的な趣味でもリフレッシュはしています。

しかし、仕事だけでなくこうした趣味も含めて、自由にさせてくれる理解ある家族とゆっくり過ごすのがやはり1番ですね。

──自分を突き動かすエネルギーは?

形のあるものを残したいという強い思いです。

研究活動では新たな技術開発を行いましたが、開発した技術の社会実装は、当初は第三者に委ねようとしていました。自らが事業を行うという発想には至らなかったんです。

しかし、フュージョンエネルギーが工学フェーズへと進展的に移行してより現実的なものとなる中で、そこに貢献したい思いが強くなりました。フュージョンエネルギー実現に向けて形あるものを残したいという気持ちに突き動かされて、いまの事業に至っていると思います。

──CEOに必要な資質とは?

何よりも覚悟です。そして、人を惹きつける力だと思います。

ここでいう覚悟とは、MiRESSOの目標に向かって一緒に意欲的に活動してくれる方を仲間にすることです。幸いにもMiRESSOには非常に前向きで素晴らしいメンバーに参画いただいていますが、人を惹きつける力に関しては私はまだまだなと痛感しています。

──最後に、いまの夢を教えてください

私たちが製造したベリリウムを用いて、フュージョンエネルギーが社会に実装されることです。

幼少の頃、将来は何かを残す仕事をしたいと漠然と考えていました。フュージョンエネルギーに材料供給で携わることができれば、何かを残すという自身の夢を叶えられるだけでなく、CO2排出量が大きいエネルギー分野における次世代のカーボンニュートラルなエネルギー源実現の一翼も担えます。こうして私たちが生み出したもので、未来につながる大きな貢献を果たすのがまさにいまの夢ですね。

MiRESSO

ベリリウム鉱石のベリルと全溶解後
マイクロ波加熱の準備の様子

鉱物資源(特にベリリウム)の安定確保・供給に貢献するため、独自の低温精製技術を活かしたベリリウムの製造販売を主事業として行う。また、当該技術の汎用性の高さを生かした技術プラットフォームも提供。産業・リサイクル分野における種々の高温製造・処理プロセスを、低温化・低コスト化し、CO2排出削減できるプラットフォーム事業を運営している。

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