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未来で働く人々に聞いた、2021年のスタートアップトレンド予測【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿) The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture c…

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿

The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture capitalist.


Image credit: Pixabay

新しい年が明けると、しばしば私は未来を想像するのが好きなので、技術革新の新しいトレンドを予測することに生計を立てている人、典型的には起業家や仲間のVCにアドバイスを求めることが多い。
もちろん、2020年は他の年に比べて過激な異例の年であることが証明されているので(そして、2020年がついに終わりを迎えたと感じていられるのも、1月の最終週である今週までだ)、私が既に未来で働く人々から直接知恵を求めるのは今こそ適切だと思った。日本での最初のファンドを成功させることができたのは、以下の方々のおかげだ。彼らの言葉は福音だ。

(訳注:本稿はこれから生じることについて、未来視点から過去を振り返る形で書かれているものがあります。それらについては、日本語訳も過去形で表現しています。)

Jay Winder 氏(MakeLeaps 創業者。2018年にリコーが買収。)

私は常に、未来の世代が我々のことをどう見るかに興味を持っている。だから、私の予測は、将来、我々がどう見られるかに基づいている。我々の子孫は、直前の10年を振り返って見ることになるだろう。

ほとんどが共有されていた現実の経験が、すべてのニュースフィードに組み込まれた「確証バイアス・アズ・ア・サービス」アルゴリズムによって、何億もの個別の現実へと分裂していくのだ。

かつて中央集権的な情報源や権威への信頼が存在していた穴で、いくつかの新しい宗教が誕生した。

前述した点に関連して、デジタル希少性の革新の上に築かれた主権を持つインターネットネイティブの貨幣システムという、人類史上最も重要な発明の一つが誕生した。

Stephen Leguillon 氏(フランスのオンラインプライベートシェフ予約プラットフォーム「La Belle Assiette」およびケータリングプラットフォーム「GoCater」創業者。前者は Elior、後者は EZCater が買収。)

生産性 SaaS、マーケットプレイス、消費者向けビジネスは、フィンテックやインシュアテックのインフラ企業を利用して収益を増やすことになるだろう。例えば、マーケットプレイスは、Swan や Stripe Capital のような Banking as a Service(BaaS)のユーティリティをプラットフォームに利用し、マーケットプレイス上のサプライヤーのために銀行口座を開設したり、デットファイナンスを行ったりするだろう。あるいは、EC プラットフォームは、Seyna のような Insuarance as a Service の ユーティリティを使用して、製品の保証を販売することになるだろう。2021年には、このようなマネタイズ戦略がトレンドになるだろう。

Shopify の2020年の成功と新型コロナウイルス感染拡大が促したデジタル化の必要性から、ブランドや独立系小売業者は、アグリゲーターマーケットプレイスからの独立を加速させるだろう。ブランドや独立系小売業者は、DTC マーケティングと流通を倍増させていくだろう。これは、このトレンドを可能にする SaaS やインフラ企業に巨大な成長機会をもたらすだろう。

2021年の技術とビジネスの議論は、GAFA の独占とそのアンバンドリングに集中するだろう。実際の結論や行動は2021年には出てこないと思う。

Warren Hayashi 氏(オランダ発のグローバル決済企業 Adyen 創業者。2018年にIPO。)

分割払いは日常的な支払方法になるだろう。利便性の向上と家計の逼迫という双子の力によって、分割払いの選択肢が主流となり、この傾向は2021年には拡大すると予想されている。機械学習アルゴリズムは、これまで以上に瞬時にリスクを評価できるようになり、レジで「今買って後払い(buy now, pay later)」オプションを簡単に提供できるようになっている。小額商品や中額商品の場合、買い物客は今100ドルを支払う代わりに、毎月25ドルを4ヶ月間支払うことを知るようになる。このような透明性があることで、買い物を躊躇している買い物客も簡単に購入に踏み切ることができ、最悪のショッピングカート放棄を回避したいと考えている加盟店にとっては魅力的だ。

2021年には、「今買って後払い」オプションを提供するプロバイダは、高額な複数年契約に焦点を当てているところもあれば、50ドル程度のショッピングバスケットの分割払いプランを提供しようとしているところもあるため、それ自体が分かれ始めるだろう。ストリーミングサービスからフードデリバリープレミアムメンバーシップまで、あらゆるものを月ごとに支払うことに慣れてきた世帯の目には、分割払いプランは、たまたま終了日が決まっているだけのサブスクリプションのように見え始めている。

Marty Roberts 氏(医薬情報担当者(MR)支援「エンタッチ」創業者。2020年に東邦薬品が買収。)

私の直感では 2021年は反幕末的な予感がしている。我々は平常心と平穏に戻る。そして、我々はそれについて奇妙に感じるだろう。
私が正確に予測できることは、あなた(Bivens 氏)のファンドのための別の魅力的な投資機会に関与しているということだ。

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アーメン、マーティ。新しい年が穏やかで健康であることを祈っています。

ライブコマース・ソーシャルコマース第2波の到来?——40事業者、ライバー15名を迎え新規参入する「RONGO LIVE」とは

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日本とそれ以外の市場——2つだけに分けて論じるのもかなり無謀だが——では、ネットサービスやモバイルアプリの流行り方に結構なタイムラグがあることを改めて感じさせられることがある。BRIDGE で音声チャットルームサービス「Clubhouse」を取り上げたのは半年以上前のことだが、日本では今週に入って Clubhouse にブームが到来しているようだ。 このようなタイムラグは、ライブコマース・ソーシャ…

Image credit: Rongo

日本とそれ以外の市場——2つだけに分けて論じるのもかなり無謀だが——では、ネットサービスやモバイルアプリの流行り方に結構なタイムラグがあることを改めて感じさせられることがある。BRIDGE で音声チャットルームサービス「Clubhouse」を取り上げたのは半年以上前のことだが、日本では今週に入って Clubhouse にブームが到来しているようだ。

このようなタイムラグは、ライブコマース・ソーシャルコマースについても言えるだろう。中国のネット文化に端を発したライブコマースやソーシャルコマースは、お膝元の「Pinduoduo(拼多多)」の台頭はもとより、アメリカでは Amazon や Walmart はそれを強化する方向へ動きつつあるが、日本では、「PinQul」を運営していた Flatt はピボットし、DeNA 系の「Laffy」や Candee の「Live Shop!」ほか、「メルカリチャンネル」「BASEライブ」「ヤフオク!ライブ」らも軒並みサービスを終了してしまった。

<参考文献>

ライブコマースやソーシャルコマースは日本ではオワコンなのか、というと、筆者はそのようには思わない。以前から数々の EC プラットフォームやストアカートがあったけれども、アメリカでは Shopify が、日本では STORES や BASE が中小の新規 EC 参入組を魅了した。言わば、EC プラットフォームにおける、第2か第3の波と定義づけられるかもしれない。そしてまた、ライブコマースやソーシャルコマースの世界においても、同じように第2波が到来しようとしているような気がする。

Blue Rose の通常の EC サイトと、RONGO LIVE による商品販売画面
Image credit: Blue Rose

先週、東京に拠点を置くスタートアップ RONGO は、ライブコマースやソーシャルコマースのためのアプリ「RONGO LIVE」をローンチした( iOS のみ、Android は近日公開予定)。ファッション、化粧品、食料品に加え、有名人のインタビュー配信なども予定しており、すでに40事業者以上、ライバー15名が参加意思を表明しているという。RONGO LIVE の Facebook ページを見てみると、定期的にオンラインイベント開催されているようで、美容皮膚科を紹介する医師のライブ配信などもあって興味深い。

RONGO は、アプリ「RONGO LIVE」のローンチと合わせて、シードラウンドで Shizen Capital から1,835万円を調達したことを明らかにした。Shizen Capital という名前は筆者にとって、そして、おそらく読者にとっても初耳だが、BRIDGE にも時々寄稿してくれる Mark Bivens 氏によるファンドだ。以前は Tachi.ai Ventures という名前で、リコーによる M&A でイグジットを果たした MakeLeaps や兜予報などにも投資している。彼は日欧をまたにかけたスタートアップの事業展開の後押しをビジョンに掲げており、RONGO への出資でも「フランスのファッションやデザインブランド等のネットワークもを活用し事業を支援する」と述べている。

<関連記事>

ライブコマース事業を展開するRONGOが、AZファンド2020投資事業有限責任組合から1,835万円を資金調達次世代ライブメディア「RONGO LIVE(ロンゴライブ)」の展開を加速

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プレスリリース 報道関係者各位 2021年1月22日 ライブコマース事業を展開するRONGOが、AZファンド2020投資事業有限責任組合から1,835万円を資金調達 次世代ライブメディア「RONGO LIVE(ロンゴライブ)」の展開を加速 ショッピングを通じて消費者と事業者をつなぐ次世代ライブメディア「RONGO LIVE(ロンゴライブ)」の提供する株式会社RONGO(本社:東京都港区、代表取締役…

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スマートシティの創出に必要なもの——構想発表から10年、スペイン・マラガの経験(後編)【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿) The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture c…

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マラガ市の風景
Image credit: Fabio Alessandro Locati
Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0

世界中のほとんどの国際都市では、都市計画家、政治家、不動産デベロッパが、大都市をスマートシティに変えることに取り組んでいる。不動産やそれに付随する業界で働いている人であれば、スマートシティという概念がホットなものであることを知っているだろう。しかし、多くの多幸感に満ちた新しいトレンドのように、スマートシティという概念はさまざまな解釈が可能だ。

そんなことから、スペインのマラガ市でスマートシティプロジェクトを展開しているデジタルアーキテクトの一人にお会いしたときには、彼の知見を拝する機会に飛びついた。Rubén Fernández Vela 氏はスペインの弁護士で、現在は東京でデータ保護とプライバシー、デジタル法とテクノロジー、スマートシティの分野で法律コンサルタントとして働いている。

<参考文献>

前編からの続き

Rude VC:

スマートシティの構成員のデータはどのように適切に保護されているのですか?

Vela 氏:

Rubén Fernández Vela 氏

スマートシティでは、政府モデルは、その中心にある哲学がオープンソース的なものであるべきです。

  • オープンなパブリックデータ +
  • 透明性と説明義務 +
  • すべての社会構成員の参加 +
  • デジタル技術との調和

データは積極的に透明なもの、すなわち、オープンソースの標準とパラメータによって、オープンにされるものの対象とならなければなリません。オープンデータは、自由かつ公共的な基準の下で、市民のためのリアルで役に立つ情報を保証するものです。だからこそ、私たちがスマートシティについて語るとき、我々はそのことをプライバシー規制(あつえられたプライバシー、元々のプライバシー概念、データ保護、透明性、公共データの再利用など)を遵守した、オープンソースのデータハブとして理解しなければならないのです。

Rude VC:

スマートシティプロジェクトを実施する際に、市の職員はどのような時間軸を考慮すべきですか?

Vela 氏:

スマートシティプロジェクトの実現に要する時間は、その都市の具体的な状況によって異なります。

いずれにしても、スマートシティを実現することは、時間と労力を要する作業です。政府、市民、企業など、プロジェクトに関わるすべての関係者に利益をもたらすリーダーシップとビジョンを必要とする長距離レースです。これは、行政、住民、企業、民間企業の官民連携によって実現され、都市に関連した成果につながる革新的なソリューションを育成することができます。

Rude VC:

スマートシティプロジェクトの実現は、常に一気に分解して構築(オーバーホール)されるものでしょうか、それとも段階的に行えるものでしょうか?

Vela 氏:

スマートシティプロジェクトを実現することは、決して根本的かつ完全なオーバーホールであるべきではありません。それは段階を経て行われなければなりません。スマートシティプロジェクトは、構造化されたプロセスと、多くの場合、パイロットプロジェクトなどからなります。

ちなみに、スマートシティの概念は、一連の要件を満たし、特定の側面だけに焦点を当てたものではないため、技術的な方法で都市を改善するという単純な事実と混同してはいけません。スマートシティとはシステムの集合体です。この新しい用語は、イノベーションに基づいたエコシステムの下での未来の都市として示されていて、そのためには官民の協力が必要となります。

スマートシティプロジェクトの実現は、都市のあらゆる側面をカバーしながら段階的に行われるべきです。

Rude VC:

スマートシティの実現は、その都市の継続的な日常生活を中断することなく達成できるのですか? あるいは、スマートシティの実現は、抑制された環境の中でより簡単に達成されるのでしょうか?

Vela 氏:

スマートシティプロジェクトの実現は、段階的かつ徐々に変化するプロセスであるため、必ずしもその都市の継続的な日常生活を中断する必要はありません。

抑制された環境でスマートシティを実現することは、行政、経済、都市の生活、社会全般、運動、環境を統合したシステムとしてのスマートシティの概念に反するように思われますが、そうとは一概には言えません。

例えば、23区からなる東京都はスマートシティの6つの柱のそれぞれの発展のための自律性と能力を備えていて、これは抑制された環境の中でスマートシティ事業を実現するための理想的なシナリオを示しています。

Rude VC:

マラガ市のスマートシティ実現に特有の特徴を教えてください。

Vela 氏:

マラガ市のスマートシティの特徴には、次のようなものがあります。

  • スマート風力発電街灯やソーラー街灯を設置、人感センサーで光の強さを調節し点灯させる。
  • ゴミや下水から得られるエネルギーを利用して、電力網に販売している。デジタルメーターで水や照明の管理をモニタする。
  • 行政は、オンラインの「市民フォルダ」を通じて、複数のシステムから収集した市民の個人情報を本人に提示する。
  • 市民が市内の問題を報告することができるように複数のアプリケーションを開発することで、公共交通機関を効率よく利用したり、駐車場の場所を確認する同時に料金を支払えたり、市のモニュメント・写真・スケジュール・意見・便利な電話番号・ビーチの情報を得られるようになる。さらには、求人情報、起業家向けのプランを見つけるためのアプリケーションなども。
  • 無限の情報や対話が得られるパネルを街に設置する。
  • 交通管制や公共交通機関は、緊急センター連携される。
  • オープンガバメント、透明性、オープンデータサイトを説明するランチ機会の設定。
  • インターネットへの無料かつ例外的なアクセスを可能にする、さまざまな公共機関の間をつなぐ光ファイバーネットワークの構築。
  • 共有用の電気自動車のネットワークとシステムの開発(車やスクーターの共有)。
  • スマートシティにおけるスタートアップの重要性を念頭に、マラガ市のスマートシティのニーズを満たすために、マラガにはさまざまなハブやビジネスアクセラレーターが作られた。
  • モバイルアプリにより、政府の意思決定に市民が直接参加するためのプラットフォームだけでなく、政府に直接提案できる可能性を提供。
  • イノベーションや技術課題を市民に啓発するためのセミナーの開催。

Rude VC:

スマートシティになるには、どのような都市が適していると思いますか? スマートシティになるには、どのような特徴を持った都市が適しているのでしょうか?

Vela 氏:

スマートシティという概念は、人口過多と面積拡大のために、それが引き起こすすべての問題の解決策を必要とする大都市に関連しています。市民が少ない都市や地域は、その反対の問題に直面しているため、特別な扱いを必要とします。見捨てられないよう、魅力的であり続ける必要があるということです。

それは、都市の種類の問題ではなく、スマートシティの実現に向けた行政の意志がどうかということです。

東京は、スマートシティモデルの実現に向けて、最もエキサイティングな舞台となっています。人口1,500万人近く(都内在住や通勤・通学したりしている人)を擁し、23区、26市、5町、8村に分かれていて、各行政単位でスマートシティ計画を策定するための材料が揃っているだけでなく、すべての自治体が一体となったプロジェクトをまとめた「メガスマートシティ」も存在しいます。過疎化の一途をたどる地方も忘れてはいけません。

Rude VC:

スマートシティはイノベーションのエコシステムの成長を促進するのでしょうか?

Vela 氏:

スマートシティには、イノベーションとサステナビリティという2つの要素が常に存在しています。

起業家やスタートアップは、スマートシティの発展に不可欠な価値を持っています。ある市をベータ段階と見ると、IT とサステナビリティを核としたスタートアップや革新的な組織が最良の取り合わせになると思われます。数多くの市場調査が、スマートシティに関連するスタートアップの成功を裏付けています。スタートアップはスケーラビリティの可能性を持っているのに加えて、世界のさまざまなスマートシティでビジネスモデルを再現できる可能性が非常に高いでしょう。

要約すると、スマートシティとは、技術、開発計画、都市計画を通じた都市であり、その住民の日常生活を向上させるためのサステナビリティを目的としています。スマートシティとは、技術が適用されたサステナブルな都市です。サステナブルな都市とは、a) 社会イノベーション、b) 交通とモビリティ、c) エネルギー、e) ガバナンス、f) 経済とビジネス、g) 環境 からなります。技術を適用することで、市民のデータを収集・整理・解釈することで、a) サービスと市民生活の質の向上、b) 新しいアプリケーションの創出、c) 公共支出の減少、d) サステナブルな発展の達成を実現することができます。

スマートシティは、インフラや都市要素が市民の生活を容易にする技術的なソリューションを備えた、環境にコミットした都市です。

スマートシティの創出に必要なもの——構想発表から10年、スペイン・マラガの経験(前編)【ゲスト寄稿】

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本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿) The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture c…

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿

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Image credit: ParallelVision via Pexels

世界中のほとんどの国際都市では、都市計画家、政治家、不動産デベロッパが、大都市をスマートシティに変えることに取り組んでいる。不動産やそれに付随する業界で働いている人であれば、スマートシティという概念がホットなものであることを知っているだろう。しかし、多くの多幸感に満ちた新しいトレンドのように、スマートシティという概念はさまざまな解釈が可能だ。

そんなことから、スペインのマラガ市でスマートシティプロジェクトを展開しているデジタルアーキテクトの一人にお会いしたときには、彼の知見を拝する機会に飛びついた。Rubén Fernández Vela 氏はスペインの弁護士で、現在は東京でデータ保護とプライバシー、デジタル法とテクノロジー、スマートシティの分野で法律コンサルタントとして働いている。

<参考文献>

以下は彼との会話の抜粋だ。

Rude VC:

「スマートシティ」という言葉にはさまざまな解釈があるようですが、その定義を説明していただけますか?

Vela 氏:

Rubén Fernández Vela 氏

スマートシティは、多くの著者や団体が一連の要素や基盤に基づいて説明しようとしてきた、大きく複雑な現象です。

スマートシティという概念が前世紀の初めに生まれた当初は、エネルギー効率を追求し、CO2排出量を削減することを目的としていました。現在では、情報通信技術の活用や、市民生活の向上、経済、都市のサステナビリティなど、さまざまな考え方が関係しています。技術は目標を達成するための手段であり、目標とは人間中心の都市の発展です。

我々が言うスマートシティとは、情報が流れるデジタル・ユビキタスの世界の中で、市民が都市情報に接続しリアルタイムに活動する理想的な都市のことを意味します。

スマートシティの概念の正確な定義は、デジタル技術を使用して、そのコンポーネントとして重要なインフラと公共サービスの両方をよりインタラクティブに、より効率的に提供し、市民がそれらをより意識することができるようにする都市、となります。

Rude VC:

スマートシティプロジェクトを実現し、自分たちの街をスマートシティに変えたいと思う自治体の職員を鼓舞するものは何ですか?

Vela 氏:

DESA(国連経済社会局)によると、2050年には都市に住む人の割合が世界の人口の70%に達すると言われています。自治体職員は、市民の生活の質だけでなく、環境や既存企業の競争力にも直接的でポジティブな影響を与えることを目指しています。

都市はいかなる国の社会経済的発展においても基本的な役割を果たしています。都市は、経済成長、イノベーション、社会的進歩、文化、知識、多様性の主要な推進力となっています。都市の魅力とは、基本的なサービスを提供し、生活の質を保証し、ビジネス創造と人材開発のためのより良い条件を促進する力に由来し、最高の市民と企業を魅了すべく競うことになります。

スマートシティは、行政、市議会、民間団体、市民、それぞれの期待を完璧に結びつけるものです。自治体は、市民の問題点やニーズを理解することで、市民の信頼を得たいと考えています。

Rude VC:

市の職員は、スマートシティになることで何を達成しようとしているのですか?

Vela 氏:

スマートシティとは、都市のあらゆる分野(都市計画、インフラ、交通、サービス、教育、健康、治安、エネルギーなど)の効率的な管理を実現し、都市と市民のニーズを満たすことを目指しています。そのためには、技術革新とあらゆる社会的主体と企業の協力が必要です。都市に必要なのは、a) 技術的なインフラ、b) エネルギー戦略、c) 資源の管理と保護、d) 官民サービスの創造、e) 市民それぞれの個人データがアクセス可能で、オープンで、再利用可能なオープンガバメントです。

自治体は、交通、公共サービス、廃棄物収集などに影響を与える、市民運営やサステナビリティに関連した問題に直面するニーズを解決しようとしています。その解決策は、意思決定のためのテクノロジー、具体的には AI、IoT、ビッグデータの利用にあります。

スマートシティとはサステナブルな都市です。それは、社会的イノベーション、効率的な移動と輸送の方法、エネルギーイノベーション(ゼロカーボン)、オープンガバメント、協調経済を目指す都市のことです。

成功したスマートシティは、市民の生活を改善し、サービスの提供を改善し、行政と市民の間の新しいコミュニケーションの形を開発し、サステナブルな開発を実現し、行政のための経済的節約を実現し、起業家のエコシステムを育成するためにテクノロジーを採用しています。

Rude VC:

スマートシティの実現について考えるプロセスとは?

Vela 氏:

スマートシティを実現するプロセスは簡単なものではありません。関係するさまざまな分野の専門家の時間と努力が必要です。政府、市民、公共・民間組織にメリットをもたらすリーダーシップとビジョンが必要です。

スマートシティを実現するまでの設計は、一般的に以下のような段階を経て行われます。

    1. チームビルディング
    2. 検証
    3. マルチセクター(多業界)視点でのソリューションの設計
    4. 実行計画の策定
    5. 複数組織の連携
    6. 評価と反復

スマートシティの哲学を適用する際には、自治体の規模、性格、進化、成長、適応能力などのいくつかの要素を考慮しなければなりません。それは、サステナブルな開発の原則に従った変革であり、すべてのスケールで効率的な管理を適用し、そのすべてに技術的なエコシステムを導入することを意味します。これらのニーズは、市民、役所や行政、関係企業の協力によってのみ解決されます。

Rude VC:

一般市民はどのようにスマートシティ開発プロジェクトに従事していますか?

Vela 氏:

都市とは、人々が生活や仕事をし、提供する多くのサービスの枠組みの中で活動を展開するプラットフォームです。エネルギー資源の大部分の中心であり、国の発展に大きな影響を与えます。

スマートシティには、市民の声に積極的に耳を傾け、市民と完全に接触する役割としての透明性の高い政府が必要です。そのためには、「従来型」から「スマート」な都市への進化にデジタル技術が不可欠です。

都市自体が、市民を中心とした人間中心のプラットフォームとなる。スマートシティでは、市民は自分の都市の情報システムにリアルタイムでアクセスできるようになり、提供されたデータによってより良い意思決定をすることができ、重要なのは、自治体の意思決定プロセスに影響を与えることができるようになるということです。

デジタル技術によって実現されたスマートシティは、市民を能動的なエージェントに変え、自分たちの属する社会の共同創造者に変えます。自分たちが暮らす環境を最もよく知っているのは市民であり、自分たちの住む地域や都市の運命を行政と一緒に提案し、共同で決定できるのは市民です。

Rude VC:

一般の人々はスマートシティ・プロジェクトについてどのような懸念や恐れを抱いているのでしょうか? そのような懸念はどのように緩和されますか?

Vela 氏:

都市の民営化、デジタルデバイド、データ保護と電子プライバシー、質の高いデータへのアクセスは、一般の人々がスマートシティプロジェクトについて抱く可能性のある最も一般的な懸念のいくつかです。

プロジェクトに関与するすべての民間会社等専門家の顔ぶれとアジェンダを開示し、構想段階から都市に関与させることは、市民からの潜在的な懸念を先取りするために非常に重要です。

IT へのアクセスが平等でなければ、市民はスマートシティにアクセスすることができず、アイデンティティを大きく失うことになる。スマートシティの設計と計画においては、連携と教育プログラムが必要があります。

スマートシティを実現するプロジェクトでは、データ保護の観点から、新たにあつらえられたプライバシー法と、元々のプライバシー概念を尊重する必要があります。

最後に、データベースのサービスを開発し、スマートシティでデータドリブンの経済を創出するためには、データが人口のすべてのセクター対して、特に市民やスタートアップからアクセスできるようにする必要があります。そのためには、オープンソースのデータでの作業を容易にする API や web サイトの開発に加え、データの再利用、透明性、オープンガバメント、電子行政などのポリシーを策定することが不可欠です。

後編に続く

野心はコーチできない【ゲスト寄稿】

本稿は、パリと東京を拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。英語によるオリジナル原稿は、THE BRIDGE 英語版に掲載している。(過去の寄稿) This guest post is authored by Paris- / Tokyo-based venture capitalist Mark Bivens. The …

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This guest post is authored by Paris- / Tokyo-based venture capitalist Mark Bivens. The original English article is available here on The Bridge English edition.


Image credit: PhotoFond

Red Auerbach(レッド・アワーバック)——1950-60年代に Boston Celtics(ボストンセルティックス)を9回の NBA チャンピオンに導いた名将だ。彼の有名な言葉に、「身長はコーチできない」というものがある。これは、なぜドラフトで背が高いだけでスキルの低い選手を指名するのかと、記者から質問を受けた際に放った言葉だ。つまり、パス、ドリブル、シュート、リバウンドショットなど、プレーを指導することは出来るが、身体的特性は教えようがないということである。

起業家にとってこの表現に相当するのは、「野心はコーチできない」ということだ。

私は直近の Clubhouse の資金調達ラウンドに関するスタートアップ業界の反応を見て、この言葉を思い出した。

先般、Clubhouse はシリーズ A で Andreesen Horowitz から1,000万米ドルを調達し、そのうちの200万米ドルはセカンダリーとして創業者に直接支払われた。200万米ドルが創業者の懐に入るということで、本件は注目を集めた。

これは私のキャリアがシリコンバレーよりもヨーロッパで長いからかもしれないが、このようなディールストラクチャーは、一見悪意があるように見えても、特別批判に値するものではないと思っている。

ヨーロッパのスタートアップ創業者は、決して貧困層ではないものの、特権階級出身の創業者はほとんどいない。今まで会ってきた創業者のほとんどは、そこそこの給料(とりわけ高い税金と社会保障費を差し引くと)をもらいつつも、保有株式のキャピタルゲインも限定的で長年苦労してきている。

アメリカとは対照的な広範囲な社会保障は起業家のセーフティネットとして機能し、さまざまな層の人々が起業する選択肢を選ぶことを可能にした。このような社会的背景もあり、ヨーロッパでは「のるかそるか」というギャンブル的なメンタリティをもった起業家は非常に少ない。

こうした背景を鑑みると、長年少ない金銭的リターンで努力してきた起業家が、セカンダリーラウンドで恩恵を受けるのは、不自然なことではないと私は思っている。200万米ドルよりも少ない額、且つシリーズ A ではなくもっとレイターステージだが、私も同様の取引は複数回行っている。

私の経験では、このような取引は幾つかのケースでは創業者をモチベートし、更なる成長を促すことに寄与し、別のケースでは成長に結びつかず、他の投資家とのミスアラインメントを引き起こした。

そしてこのような経験を通して私が学んだことは、別の変数、すなわち創業者の野心をコントロールすることが重要という点である。

例えば創業者のパフォーマンスを高める上で、家庭の生計といった外部要因が制約となっている場合、セカンダリーラウンドを通して負担を軽減してあげることが企業成長にポジティブに働くことは証明されている。

野心は生ものであり、私を含む投資家が提供できるサポートとは全く別物である。アワーバックが若い選手をコーチしてきたように、会社のストラクチャー、ファイナンス、マーケティング、リクルーティング、ピッチ、資金調達、交渉、Exit 等々はスキルとして育成できる。しかし、野心はコーチできない。

アフターコロナの不動産テック【ゲスト寄稿】

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本稿は、一部データが非公開となったため削除しました。ご了承ください。

コロナ危機を乗り切るための10のイニシアティブ【ゲスト寄稿】

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This guest post is authored by Paris- / Tokyo-based venture capitalist Mark Bivens. The original English article is available here on The Bridge English edition.


Image credit: Pxfuel

コロナ危機におけるスタートアップの対応については、既に多くの VC がアドバイスを与えているが、この寄稿では少し異なるアングルから論じてみたい。すなわち、現在出回っているティップスの大多数は規範的な内容であるため、私からはいくつかの投資先で実践中の具体的かつアクショナブルな施策を紹介する。

言い換えれば、本稿のポイントはとまり木の上から講釈を垂れるのではなく、有能な投資先 CEO によるアイデアとアクションを多くの人と共有することにある(よって私自身の考えやコメントは、括弧で囲っておく)。この場で紹介するイニシアティブが、皆さんのインスピレーションを刺激し、各々の状況に応じた施策に生まれ変わることを切に願っている。

  1. 状況が好転するよりも、悪化する前提で行動すること。慎重すぎることはなく、十分な注意を払い、早期に対策を講じる。
  2. 事態が悪化する場合には投資家と率直は話し合いを行い、彼らにブリッジファイナンスを提供する意志と余力があるか調査する。
  3. 従業員に対し、リモートワークができるツールを与える。全ての社員が CEO と同様の環境でリモートワークが出来るわけではない。必要に応じてツールの購入を支援するための補助を用意する(これは自宅での労働生産性を向上するのみならず、社員のロイヤルティを高める上でも有益である)。
  4. 今回の危機に対応するための特別な役割をそれぞれの社員に与える、例えば…
  • サプライヤー、顧客、パートナーの健康状況確認
  • スタートアップが享受できる可能性のある補助金等の調査
  • コロナの事態改善に関するポジティブなニュースの共有
  • オフィスにおける衛生グッズの調達

これらのイニシティブには、幾つかのメリットがある。①社員に明確な責任を与える、②問題解決のミッションを与える、③ CEO の負担を軽減する(もし権限移譲が進んでいないベンチャーであれば、今回は好機である)、④生産性を改善する等々。

  1. 全社員に時間を与え(2週間が目安)、短期的に収益を回復させるクリエイティブなアイデアを考えさせる(もしハードウェアの会社であれば、何らかのサービス提供が できないか? 会社の人材や技術を生かし、異なる形でマネタイズできないか?)。
  2. 今後訪れるであろう財務面での困難について、社員と透明かつ必要以上にコ ミュニケーションをとる。
  3. まずは率先して自分の給与を100%先延ばし、それから社員に50%の先延ばしをお願いする。解雇が必要な場合は、出来る限りの人道的措置をとる(オプション行使期間の延長、再雇用のオファー、施設利用の権利付与等)。
  4. 社外取締役に対するフィーの先延ばしを行う(ボードメンバーとの信頼関係が築けていれば、こうしたフィーの支払遅延が問題となる可能性は非常に低い)。
  5. 受取可能な政府支援策を模索する(公的ローン、失業補償、税制等)。
  6. サプライヤーに対しても財務状況をオープンにし、柔軟な支払条件を交渉する(オーナーに対して一時的に家賃が支払えない旨を真摯に謝罪し、受け入れてもらった事例もある)。

(関連する事例として、過去に1年おきに財務危機に直面していた投資先企業の CFO を思い出す。彼の最もクリエイティブなアイデアは、コインを持ってサプライヤーを訪れ、表が出れば30日以内に支払う、裏が出れば60日支払いを延期してもらう、というギャンブルだった。私は投資先企業がキャッシュ不足に陥り、もう出来ることがないという度にこの話を持ち出している。もしまだサプライヤーとコインを投げていないのであれば、全てやり尽くしたとは言えない。)

健全な企業文化こそ、危機を乗り切るための最大のアセットである。

テーブルの上に残された資金——休眠資産の驚くべき規模を検証する【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿) The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture c…

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿

The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture capitalist.


先日「強みを生かした投資」というタイトルの記事を投稿した。記事にある様に、VC とヘッジファンドのスタンスは根本的に違うものであり、数ヶ月前に S&P500 に投資した時も、投資判断において VC 投資経験が生きた訳ではない。結果的にこの投資判断は正しかったものの、マクロトレーダーではない私は、結果的に少々タイミングを逸して、テーブルの上に投資資金を残すこととなった。

投資資金を残してしまうことのペナルティは、ここ2年で急速に大きくなっている。前 ECB(ヨーロッパ中央銀行)総裁の Mario Draghi 氏の「金融危機を脱するためには〝何でもやる〟」という宣言は、経済をゼロ金利・マイナス金利時代へと導いた。

Image credit: Pixabay

高名なヘッジファンドトレーダーであり、「The Anti-bubbles」の著者である、Diego Parrilla 氏の示唆に富む表現を借りれば、我々は「リスクフリー金利」から「金利フリーリスク」へのパラダイムシフトの渦中にある。先日からのマーケットの下落を受け、中央銀行は今後もさらなる量的緩和が必要となる旨を宣言しており、マイナス金利時代がすぐに終わることはないと私は予想している。

リターンを得る手段が限られている環境では、小さな判断ミスが高くつく。例えば、フランス政府の後ろ盾がある「Livret(リブレ)」という預金は利率が0.75%である。これは現在の環境では高金利であり、特にリスクフリー(フランス政府を信用していればの話だが)というメリットがある。

一方、中小企業向けのクラウドレンディングプラットフォームの利率は4〜5%、実際はすぐに返済が始まるので2%程度は口座にデポジットとして残しておく必要がある。さらにクラウドレンディングサービスは看過出来ないレベルのデフォルトリスクもあるため、実際のところリスクを考慮したリターンがこの金利レベルで得られているのかは判断が難しい。

対して、0.75%の金利であっても、流動性が保証された Livret に資金を置いておく方が、タンス預金よりはベターである。これはほとんどの人が直感的に分かることだと思う。

この直感的なメリットの不明瞭さは、仮想通貨に関しても同様である

取引量の大きいデイトレーダー以外にも、さまざまな理由で仮想通貨を保有している人がいる。例えばイノベーションの先端を把握したい技術者、デイトレーダーではないが長期的なバリューアップを信じる人、若しくはポートフォリオの一部として少額を保有する人などである。

こうした人々にとっては、仮想通貨は単に眠っている資産であり、事実上タンス預金とほとんど変わりがない。現在は様々な仮想通貨関連のソリューションが登場しているため、短期保有者であっても積極的なトレーディングなくして価値を獲得することが出来る。リターンはリスクの取り方にもよるが、休眠資産として眠らせたり貸し出すよりも、保有資産をリスク・リターンのフロンティアに押し上げる方がよほど有益である。

私は、この仮想タンス預金が実際にどの程度あるのか試算するのは難しいであろうと考えていたが、最も優秀なブロックチェーン起業家の一人と会話する中でデータが存在することを知った。

Curvegrid のマルチ BaaS(Blockchain-as-a-Service)プラットフォームは、このような休眠している仮想通貨の額を調べることが可能である。彼らの計算の仕組みを理解するにはさらなるディスカッションが必要であるが、同社の優秀なチームが好意で私の質問に対する解答を用意してくれた。この驚きのデータにご興味お有りだろうか?

Image credit: Curvegrid

200億ドル

これは休眠資産となっている ETH(イーサリアム)の価値であり、実に ETH 総マーケットキャップの80%にも上るのである!

多くの人々がテーブルの上に資産を残したままにしている。私はまだこの数字を個人投資家、仮想通貨交換、レギュレーターに細分化し、更なるデータの意義を見出すことを試みている。近々またこのトピックについてお話させていただこうと思う。

フランスのスタートアップ投資額が過去最高を更新——日本のエコシステム形成にも応用できるフランスの類似点とは?【ゲスト寄稿】

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本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿) The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture c…

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿

The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture capitalist.


2019年、フランス発スタートアップ736社が過去最高となる合計50億ドル(前年比+39%)をVCから調達した。

ちなみにヨーロッパ最大であるイギリス発スタートアップの調達額は80億米ドル、ドイツ発スタートアップの調達額は35億米ドルであり、フランスは欧州で第2位の規模のエコシステムとして存在感を高めている(フルレポートは EY のウェブサイト参照)。

Image Credit: France Flag

資金調達した736社のうち、トップ5には数年前に日経主催の AG/SUM で大きく話題になった昆虫由来タンパク質の Ynsect も名を連ねる。

この目覚ましい成長を目にすると、私は未だにフランスのエコシステムが暗く未成熟であった2001年頃の状況にノスタルジーを感じざるを得ない。確かに、当時はドットコムブームの熱狂を引き継いで、フランス国内でもテックスタートアップが生まれ始めた時期ではあったが、その中で確かな成功を収めたものは一つも無かった。当時の〝さら地〟から現在のフレンチエコシステムの繁栄を築くことが出来たのは、ひとえに多種多様なステークホルダーが15年以上を掛けて地道に貢献を積み重ねてきた結果と言える。

そして何よりも、フランスが辿ってきたこの道のりは、イノベーションエコシステムの成長に腐心する他の国や地域にとっても大きなラーニングになるのではないかと私は考えている。

Image credit: EY

私が日本国内で投資家として活動している中で、最も多く尋ねられる質問は、「どうすれば日本にも小規模シリコンバレーのようなエコシステムを作れるか?」というものだ。この質問に対し、私はいつも決まって「恐らくシリコンバレーは最適なモデルではない」と答えている(念の為付け加えると、私自身、長年シリコンバレーの起業家として育ってきた人間であるため、一定の信用のある回答であると信じている)。

私見では、こうしたイノベーション発展過程の地域がモデルにすべきエコシステムは、大抵シリコンバレーの外側にある。例えば東京を例に挙げると、東京は15年前より多様なセクターに跨がるデジタルテクノロジーの集積地として成長してきたパリと同様の道を進むのが適当ではないか。もし名古屋であれば、工業の中心地からフランス北部のイノベーションハブに成長したリールがモデルになり得るし、福岡であれば IT、ロボティクス、医療分野等で先端を行くモンペリエが参考になる。

私がこのように主張する根拠は何か? それは、上記それぞれの都市における文化及び規制に関する状況が類似しているからである。教育システム、歴史、文化的価値観、労使協定、法規制という幾つかの観点で、日本はシリコンバレーよりもフランスと多くの類似点を見出すことが出来る。

フランスでも、一流大学を出たエリート学生が家族や社会から大企業のサラリーマンになるようプレッシャーを受けていたのは、つい最近までのことである。キャリアにおいては安定が最重要視され、終身雇用が主流であった。起業に走る若者は、就職先が見つからない者か、雇用できない移民であった。

しかしながら、20年も経たないうちにこの環境は大きく変化した。全ての産業セクターにおいて伝統的大企業はディスラプションに晒され、生き残るためには DX(デジタルトランスフォーメーション)を余儀なくされている。大企業に勤めれば安定的で自己実現可能なキャリアが送れるという幻想は打ち砕かれ、むしろ多くの優秀層は会社の大小に関わらずイノベーティブな会社で働くことが安定と自己実現への近道だと認識している。さらに、アントレプレナーシップも重要なキャリアの選択肢として社会的に認知され、失敗が非難されない世の中になってきた。

エコシステム全体の資金調達額が増えたことは、必ずしもスタートアップの成功とは直結しない。しかしながら、この VC 調達額の記録更新は、フランスのエコシステムが2回の景気循環を待たずして歴史的ハードルを超えたことを意味する。

果たして日本はどうか? 私はこの国でも同様の変化が起きると確信している。