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シンガポール6月のICOから:ブロックチェーン・スタートアップTenXが8,000万米ドルを調達完了、Starta Acceleratorが500万米ドル超を調達

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シンガポールでイニシャルコインオファリング(ICO)が波に乗っているようだ。最近この新しい資金調達形式に関連した発表が2件あった。 ブロックチェーンのスタートアップ TenX は先週(6月第4週)開催されたトークン販売で8,000万米ドルに近い資金を調達した。また、東ヨーロッパに焦点を当てた SPV(特別目的事業体)でアメリカを本拠とする Starta Accelerator の Cross Co…

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TenX 設立者兼 CEO Toby Hoenisch 氏
Photo credit: PayPal.

シンガポールでイニシャルコインオファリング(ICO)が波に乗っているようだ。最近この新しい資金調達形式に関連した発表が2件あった。

ブロックチェーンのスタートアップ TenX は先週(6月第4週)開催されたトークン販売で8,000万米ドルに近い資金を調達した。また、東ヨーロッパに焦点を当てた SPV(特別目的事業体)でアメリカを本拠とする Starta AcceleratorCross Coin は、来たる ICO で500万米ドルの資金調達を目指している。

要するに、いわゆる ICO とはブロックチェーンと暗号通貨技術を利用したクラウドファンディングの新たな手法である。人によってはイニシャルトークンオファリングと呼ぶ場合もある。

ICO が既存のクラウドファンディング形態と違うのは、株式や特典の代わりに、資金(ビットコインやイーサといった暗号通貨の形態で投資される)に対する見返りとしてデジタルトークンが発行されることだ。わかりやすく言うと、これらのトークン自身がその企業やプロジェクトに固有の暗号通貨を形成し、その企業が成功していれば、所有者は後に二次市場で取引して利益を得ることができる。

TenX

異なるブロックチェーン間での迅速かつ安全な取引を実現するプロトコルを開発した TenX は月曜日(6月26日)、最近終了したトークン販売の詳細を発表した

同社のブログ記事によると、TenX は金額にして約8,000万米ドルの価値となる24万5,832イーサ(略称は ETH、イーサリアムブロックチェーンに関連した暗号通貨)相当を調達したという。これらは1 ETH = 350 PAY のレートで同社独自の PAY トークンに交換された。

これらの PAY トークンは、同社ユーザ向けロイヤルティースキームとしての機能に加え、TenX の決済サービスから生み出される売り上げの一部へのアクセスを提供する。

約4,000人が個人としてトークン販売(7分も経たずに終了した)に直接参加したが、団体として資金をプールしてトークンを購入した者もいる(団体数は不明)。来月(7月)から PAY トークンはグローバル暗号通貨市場でトレード可能となり、販売量が限定されていた最初の販売でトークンを購入できなかった4万人近くの参加者が、もう一度トークン購入の機会を得ることになる。

編注:

Toby Hoenisch 氏 は以前、日本を拠点に StudyPact を起業していた(関連記事)。その後、シンガポールでビットコイン・スタートアップの OneBit を起業し、TenX にピボットした。

Cross Coin

今週(6月第5週)発表されたシンガポールの他の ICO ニュースとしては、Starta Accelerator 参加のスタートアップ向けファンドの調達を目的に、地元企業の Cross Coin が最大500万トークンを販売すると公表している。Starta は資本調達を唯一の目的として Cross Coin を設立している。

Cross Coin は ICO を通じ、トークン単価1米ドルで150万〜500万米ドルの投資確保を目指している。この最初の150万米ドルは、Starta の2016-2017年アクセラレータプログラムに合格したスタートアップ21社に割り当てられることとなる。これを超える調達資金は先々、同アクセラレータのスタートアップコホートに割り当てられる予定。

Cross Coin トークンを購入して二次市場で売却しない場合、投資家は Starta のスタートアップが将来イグジットした際に、2016-2017年発行株式分から確保される利益の一部を受け取ることになる。

Starta の ICO は7月4日に開催予定。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

第2回Seedstars World世界決勝で、フィリピンの給与管理業務スタートアップ「Salarium」が優勝

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Seedstars World(SSW)は、新興市場や急成長スタートアップ市場を対象とした、世界的なスタートアップ・コンペティションだ。2014年のラウンドが今日(原文掲載日:2月5日)成功裏に閉幕し、優勝者の座にはフィリピンの給与管理サービス Salarium が輝いた。Salarium は、50万ドル分の出資を受け取る賞を手にすることとなる。 <関連記事> 起業家の世界コンペティションSee…

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Seedstars World(SSW)は、新興市場や急成長スタートアップ市場を対象とした、世界的なスタートアップ・コンペティションだ。2014年のラウンドが今日(原文掲載日:2月5日)成功裏に閉幕し、優勝者の座にはフィリピンの給与管理サービス Salarium が輝いた。Salarium は、50万ドル分の出資を受け取る賞を手にすることとなる。

<関連記事>

Salarium と他の9チームのファイナリストは、スイス・ジュネーブで開催された SSW の決勝イベントでビジネスアイデアをピッチした。Serendipity Investments の創業者 Jose Marin、Bravofly Rumbo Group の創業者 Marco Corradino、Kinnevik の Jessica Boersch、Edmond de Rothschild Private Equity の CEO Johnny El Hachem、SSW の共同創業者 Pierre-Alain Masson らが審査員を務めた。

シンガポールの 6Degrees による自動情報更新型電話帳、バンコクの Washbox24 による自動洗濯サービス、ペルーの旅行プラットフォーム Busportal、アルゼンチンのカジュアルゲーム開発会社 The Other Guys など多岐にわたるサービスが審査員の前でプレゼンされた。

しかし、最も審査員の心を動かしたのは Salarium だ。世界的な物流システム会社 DHL を顧客に持つエンド・トゥ・エンドの給与管理システムで、出怠勤時間管理、給与・経費精算処理、給与支払が行える。

SSW の Masson(訳注:原文では Salarium の Masson となっているが誤り)は、次のように語った。

スケーラブルでイノベーティブだというだけでなく、すでに世界市場で広く利用されている。

SSW での優勝が彼らに何をもたらすのかを尋ねると、SSW の CEO Judah Hirsch は、次のように答えてくれた。

大きな信頼をもたらしてくれると思う。SSW の決勝イベントだけで考えてみても、ここで得られた人脈は今後の成功や拡大計画に大変役立つだろう。ここに集まった起業家の全員が、素晴らしいアイデアやビジネスモデルを披露したことを考えれば、今回の優勝は我々にとって大変意義深い。

世界中から約2,000ものスタートアップが SSW に参加し、そこから予選でセミファイナイリスト36チームに絞られ、ファイナリストには10チームが残った。

セミファイナイリスト・チームは、ヨーロッパの投資家が100ポンド(1.8万円相当)から投資できる Seedstars World Crowd Fund から資金調達ができる。このファンドは、ヨーロッパ初のファンド向けクラウドファンディング・プラットフォーム Seedrs によって運営されている。

セミファイナリスト・チームは、スイス・ローザンヌのエンジニアリング・スクール EPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)で集中ブートキャンプに参加した。このブートキャンプでは、ピッチ・トレーニングのほか、各チームのビジネスモデルや財務継続性を精査するメンタリング・セッションが実施された。メンターの中には、Chinaccelerator(中国加速)出身の起業家 Todd Embley や Eventbrite 共同創業者 Renaud Visage らが顔を揃えた。

今回は SSW の第2回目のイベントで、シリコンバレーや西欧以外からも優秀なスタートアップを発掘し、彼らを成功させることをミッションに掲げている。

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アジアから選ばれたファイナリスト5チーム。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

EdTech特化のアクセラレータプログラム「Slogan Viling Ventures」第一期卒業生によるDemoDayが開催、優勝は教育アプリの自動生成サービス

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今年の7月にスタートしたEdTech分野のアクセラレータプログラム「Slogan Viling Ventures」のDemoDayが開催された。 教育関連の領域に焦点をあて、3ヶ月の期間で事業をブラッシュアップしてきた8組のスタートアップたちがピッチを行った。 Treasure Box 学習塾の経営にも携わっている人物神野元基氏は、「Treasure Box」というサービスを開発している。これは数…

今年の7月にスタートしたEdTech分野のアクセラレータプログラム「Slogan Viling Ventures」のDemoDayが開催された。

教育関連の領域に焦点をあて、3ヶ月の期間で事業をブラッシュアップしてきた8組のスタートアップたちがピッチを行った。

Treasure Box

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学習塾の経営にも携わっている人物神野元基氏は、「Treasure Box」というサービスを開発している。これは数学に特化した学習サービス。数学に関連したサービスといえば、Wolfram Alphaによる「Wolfram Problem Generator」や、最近、680万ドルの資金を調達した中学生のための数学勉強サイト「KnowRe」などがある。

数学は非言語であるため、グローバルに展開できると語る神野氏が提供する「Treasure Box」では、以下の3つのことを可能にしているという。

  • 回答を解析
  • 学習者の思考を理解
  • 問題をパーソナライズ

神野氏が自身で経営している学習塾でサービスを試験的に導入してみたところ、学習スピードが約5倍になるという結果が出ているそうだ。収益モデルは、初月は無料で提供し、翌月から500円を課金するというモデルを想定している。まずはiOSアプリで提供し、リリース半年で100万ダウンロードを目指すという。

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10代のころからアプリ開発を経験してきた吉兼周優氏率いるチームが開発しているのは、先生選択型のマッチングプラットフォーム「Lessen2u」だ。

これまで学習塾の先生は企業ブランドで選ばれてきた。彼らはより個人間でのマッチングが行われる仕組みを提供しようとしている。特に、地方ではよい先生と出会うことが難しい。その一方で、個別指導ビジネスの市場は伸びているとうい。都会にいる先生に、オンラインで指導が可能な仕組みを提供することで、マッチングを行おうとしている。

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先生は、口コミやレビューでマッチングした後の授業の様子が評価される。お互いの顔を映像で見ながらホワイトボード機能等を利用して授業が行われる。

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TRAVEE

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池田賢一氏が提供するのは、教育と旅をテーマにしたサービス「TRAVEE」。旅行者が旅先でプランを検索し、現地の人にその土地をガイドしてもらうマッチングサービスだ。

異なる言語や文化、価値観に触れることで、グローバル人材の育成を促す狙い。ガイドは現地の大学生などに担ってもらうことを想定しており、は特に東南アジアにフォーカスし、最初はガイドを女性に限定して提供する予定だという。

同様のサービスはすでに複数存在しているが、どう差別化していくのかが気になるところだ。

Link World Japan

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Link World Japanの窪田一郎氏が開発しているのは、日本語を学ぶ外国人400万人を対象とした日本語教育サービスだ。

以前はSONYでエンジニアを務めていたという窪田氏。前職を退職後、3年間に渡って、日本語教師として、日本の会社に勤める外国人を相手に日本語のオンライン授業を行ってきた。

今後、日本においても新興国の人材が流入することなどを見越して、新興国の日本語学習者を対象に学習サービスを提供する。

新興国でも普及しているモバイルを活用して教材を提供し、事前に学習してもらい、講義では課題に取り組んでもらうといった反転授業の形式をとる。

StudyPact

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StudyPactは、Open Network Lab のインキュベーション・プログラム第8期を卒業し、先日は世界33カ国を巡って有望なスタートアップを見つける活動「Seedstars World」の東京イベントで日本代表の座を獲得したスタートアップだ。

StudyPactは、アプリをダウンロードすると連携している勉強アプリがあり、そのアプリを開いて利用すると勉強記録を残すことができる。提携しているのは、Duolingo、Anki、Memrise、Coursera、Edxなどだ。

勉強の継続や目標達成のために、予め目標とその達成にために金額を設定しておき、達成できなかったら設定した金額が没収されるという仕組みがある。達成できなかった人から集められた金額は、目標を達成できたユーザに配分される。

StudyPactではユーザは何を勉強しているのかというデータを取得するため、英語を勉強しているユーザに英語関連のプロダクトを進めるなど、Edu-Commerceの仕組みを構築しようとしている。

Progate

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「Progate」はオンラインでプログラミングを学習するためのサービス。スライドにより基礎知識を学習し、ブラウザで使えるエディタにコードを書いて実践し、画面で表示を確認することで、他のサービスよりも理解しやすく、実践に近い学習サービスを提供しようとしている。

現在、オンラインで対応しているのはHTML、CSS、PHPといった言語たち。「Progate」ではオンライン学習以外にも、オフラインでプログラミング合宿を開催している。

Sports Space

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Sports Spaceは教育の中でも、習い事や体育的な位置づけに近いサービスだ。Tokyo Girls Collection等で企画の経験を持つ尾崎久範氏は「場所✕トレーナー✕ユーザ」を結ぼうとしている。ヨガなどフィットネスはニーズが高まり、トレーナーの数も増えているが、教えるための場所が足りていないというところから、このサービスは着想している。

Sports Spaceは、水族館、プラネタリウム、展望台など、普通とはちょっと異なる場所で、スポーツ教室を開催している。スペースマーケットのような、場所が掲載されており、希望の場所を借りるサービスではなく、ユニークな場所で開催されるスポーツイベントが掲載されており、ユーザはそれに参加するという形式だ。

空きスペースの活用、トレーナーとユーザのマッチングサービスとして成長していけば、さらにおもしろくなりそうだ。

Edut

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Edutの石原誠氏は、元々キーエンスで製造業に関わった後、教育系のスタートアップを立ち上げたという異色の経歴を持つ。英語ニュースアプリ「POLYGLOTS(ポリグロッツ)」の開発を行ったのち、新しいサービスを立ち上げている。

教育アプリの市場を分析してみたところ、教育系のアプリは構造が似ていることに気づいた石原氏は、単語帳、オンライン動画など教育関連アプリの自動生成サービスを提供することを考えたという。これは教材コンテンツをアップロードすると、アプリが自動で生成されるというものだ。

テキスト、選択式クイズ、講義形式、用語集など、アプリの種類をテンプレートから選び、教材をアップロードするとプレビュー画面で生成されるアプリの状態を確認でき、その後アプリ化を行う。プレビュー段階までは無料で提供し、アプリ化するところから有料で提供されるという。

すでに、2つの学校との提携しており、社内教育のコンテンツのデジタル化などにも取り組んでいるという。

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8社のピッチが完了した後、会場に集った人々からの投票でグランプリにEdutが選ばれた。Edutは、次回SXSWにブース出展する権利を獲得した。

EdTechとひとつにまとめても、多様なサービスアイデアが登場した。今後、このプログラムの卒業生たちがどう成長していくのか楽しみだ。

「Slogan Viling Ventures」は、早速本日から第2期プログラムの募集を開始している。教育関連のサービス開発に関心がある方は、チェックしてみてはいかがだろうか。

Seedstars Worldが東京イベントを開催、学習目標達成プラットフォームのStudyPactが日本代表の座を獲得

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Seedstars World は世界33カ国を巡って、有望なスタートアップを見つける活動だ。先日お伝えしたように、ここ日本では、先週金曜日、東京・原宿のコワーキング・スペースで、地域予選イベントが開催された。 日本と海外から集まったスタートアップが、スイス・ジュネーブで来年2月に開催される世界決勝を目指してピッチした。ピッチに参加したスタートアップのうち、3チームを以下に簡単に紹介したい。 第1…

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Seedstars World は世界33カ国を巡って、有望なスタートアップを見つける活動だ。先日お伝えしたように、ここ日本では、先週金曜日、東京・原宿のコワーキング・スペースで、地域予選イベントが開催された。

日本と海外から集まったスタートアップが、スイス・ジュネーブで来年2月に開催される世界決勝を目指してピッチした。ピッチに参加したスタートアップのうち、3チームを以下に簡単に紹介したい。

第1位: StudyPact

StudyPact は Open Network Lab のインキュベーション・プログラム第8期を卒業したスタートアップで、ユーザが学習目標を設定し、その達成にお金を賭けることができるようなサービスだ。より効果的な学習プラットフォームとするた め、Duolingo、Anki、Memrise、Coursera、Edx などの他の教育プラットフォームやサービスと提携している。 <関連記事

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第2位: CaSy

CaSy はクラウドソーシングによる家事代行サービスだ。Netprice.com のインキュベータ BEENOS から生まれたスタートアップで、先月 BEENOS から資金調達を実施している。 <関連記事

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第3位: AppTrader

AppTrader は、アプリをM&Aするためのオークション・サイトだ。AppStore、GooglePlayに登録されたアプリの所有権売買が行え、アプリは無料で出品・入札が可能、売買が成立した場合、既存ユーザーを含め開発リソースなどの権利移譲が行える。

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イベントのウェブサイトには、参加している都市で選ばれた多くのスタートアップを見ることができる。東京の次は、今週の金曜日に韓国のソウルで地域予選イベントが開催される予定だ。

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Startup Asia Singapore 2014で披露された、今年有望なスタートアップ10社を一挙ご紹介

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さて、先週お伝えした GMIC(Global Mobile Internet Conference/全球移動互連網大会)の G-Startup 登壇のスタートアップに引き続き、今週は5月7日〜8日に開催された Startup Asia Singapore のピッチ・セッション Startup Arena に登壇したスタートアップ10社を取り上げる(授賞式の模様は、この記事に書いた)。 なお、Sta…

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さて、先週お伝えした GMIC(Global Mobile Internet Conference/全球移動互連網大会)の G-Startup 登壇のスタートアップに引き続き、今週は5月7日〜8日に開催された Startup Asia Singapore のピッチ・セッション Startup Arena に登壇したスタートアップ10社を取り上げる(授賞式の模様は、この記事に書いた)。

なお、Startup Asia は今年初となる Startup Asia Tokyo を9月3日〜4日に開催予定だ。ピッチ・セッションへのエントリ、一般参加へのエントリはこちらから受け付けている

【優勝】Bindo(香港/NY)

Bindo はクラウド・ベースのPOSシステムで、小売店が実店舗のみならず、Eコマースでも商品が販売できるようにするプラットフォームだ。商品管理、商品検索ほか、在庫管理も含めて、オンラインの店舗と、オフラインの店舗を一元管理できることが特徴だ。今回の Startup Arena でのピッチをきっかけに、East Ventures から180万ドルを調達したことでも話題になった。

シボレー賞、Jungle Ventures 賞】Astroscale(シンガポール)

Astroscale は神戸出身のシリアルアントレプレナー岡田光信氏がローンチしたスタートアップだ。会社はシンガポールに登記されている。宇宙空間には、ロケットや人工衛星などの破片がスペース・デブリ(宇宙ゴミ)として多く漂っている。映画「ゼロ・グラビティ」でもテーマとなったように、スペース・デブリは、既にある国際宇宙ステーションや人工衛星の脅威になりかねない。小さな宇宙船(1.5メートルとのこと)を打ち上げ、これを用いて比較的大きなスペース・デブリ300個を大気圏に突入させて燃やしてしまおうというプロジェクトだ。

Global Brain 賞】FaceRecog(シンガポール)

FaceRecog は屋外広告などに付けられる小型のデバイスで、広告の前を通過した人の眼を認識し、年齢、性別、人数等を認識することができる。デバイスで得られた情報はウェブAPIで転送されるので、リアルタイムで Google Analytics で閲覧することができる。


AsliGoli(パキスタン)

AsliGoli は医薬品のトレーサビリティを提供する。以前、パキスタンのインキュベータ Invest2Innovate(別名i2i Accelerator)から輩出されたスタートアップの一つとしても取り上げた

パキスタン国内で実に50%もの医薬品は未認可か基準不足の品質であり、Asli Goli はSMSを通して本格的に医薬品のチェックができる体制を提供している。特定のシリアルナンバーが付いたスクラッチラベルが提携薬局に提供される。店舗にラベル代金の請求をするため消費者の負担はなく、カラチ、ラホール、ファイサラバードの大手ドラッグストアでのテストプロジェクトが予定されている。

MergePay(タイ)

MergePay は消費者向けは、クレジットカードやスマートフォンがあまり普及していないアジア地域向けに独自に決済アプリを提供しており、銀行や電話会社のアカウントを連動させ、超音波を使ってモバイルウォレットに送金することができる。既に世界1.2万社の銀行と接続しているとのことだ。

今回は、店舗向けのツール MergePay Pulse の紹介。POSシステムや各種ハードウェアと連動、帳簿管理が簡単にクラウドで処理できるようにシステムだ。電子マネーと店舗の入出金管理のしくみを一つのプラットフォームに統合する試みは、今後の小売業界のトレンドを標榜しているのかもしれない。

HayStakt(シンガポール)


クラウドファンディング・マーケットプレイスの HayStakt では、購入希望者からのエントリにより価格が決定する。掲げられたプロジェクト=プロダクトに対して、オーダー数が最低生産ロットを超えれば、作品の制作者が生産を始め販売するしくみだ。制作者は最低価格を設定できるが、価格が注文数にあわせて変動するため、従来のクラウドファンディング・サイトに比べ、より柔軟な市場原理を取り入れたプラットフォームと言えるだろう。

Kickstarter や Indiegogo のような、相応の最低生産ロット数が求められるプロダクトに比べ、小ロット受注にならざるを得ないハンドクラフト製品のクラウドファンディングには適しているのかもしれない。

Proxperty(シンガポール)

シンガポールに本拠を置くスタートアップの多くが、市場機会を東南アジア全域に見つけている。シンガポール国内の市場ボリュームはさほど大きくないからだ。しかし、例外があるとすれば、不動産業界と小売店向けの顧客リワードプログラムかもしれない。これらの分野のスタートアップの多くは、シンガポールに根ざし、シンガポールの人々に向けてサービスを提供している。その背景には、この分野特有の地域性の高さがあるのだろう。

Proxperty は不動産屋が不動産を簡単にマーケティングできるようにするサービス。複数の不動産ポータルに横断投稿ができる。特にこのサービスが目指しているのは、不動産屋の内部でのチームのコラボレーションだ。不動産屋のエージェントはその業務の性質上、それぞれの担当者が独立的に動くことが多い。情報を共有しルーティンワークを省力化することで、より効率的な業務運営ができるのではないか、というアプローチ。

日本には、複数のEコマースプラットフォームに出店している事業者向けに、在庫を横断管理できるソリューションがあるが、不動産やホテル業界向けにも、プラットフォーム横断で情報を統合管理し、在庫を横断管理できるしくみが出てくれば面白いかもしれない。

Kairos(韓国)

Kairos は先週の GMIC の登壇スタートアップとしても紹介した。自動巻き腕時計のディスプレイにスマートフォンの着信やフィットネス情報を表示するハイブリッドなスマートウォッチ。スマートウォッチは概して単価の安いものが多い。一方、時計市場全体を見てみると、売上の多くはアナログでラグジュアリーなブランドものが占めている。そこでこれら両方の要素を兼ね備えた、ラグジュアリーなスマートウォッチを作ることで、これまでになかった市場需要を開拓しようとする試み。

StudyPact(日本)

StudyPact は、Open Network Lab から第8期から輩出されたスタートアップで、2月の HackOsaka に登壇したほか、Innovation Weekend のシンガポール予選でも優勝している

同社のサービスでは、ユーザに学習機会の達成を促し、ユーザは掲げた目標を達成できればお金がもらえ、達成できなかったらお金を支払う。例えば、1週間で2時間、英会話の勉強をすることを目標に掲げ、達成できたら5ドルもらえるように設定したとする。達成したら5ドルもらえるが、達成できなかったら5ドルを支払い、この5ドルのうち半分の2.5ドルは応援してくれた他ユーザに分配され、残りの2.5ドルは StudyPact が受け取るしくみだ。

AppVirality(インド)

AppVirality は SDKを入れるだけで、簡単にモバイルアプリのグロースハックが実現できるプラットフォーム。モバイルアプリの A/B テスティングができるほか、アプリ上でユーザに調査を実施してアプリの改善に役立てることもできる。planBCD などとも競合になり得るスタートアップが、東南アジアからも生まれたことになる。

一部筆者の推測を含むが、このアプリの想定ユーザは、モバイルデベロッパのエンジニアというよりはマーケッターであり、マーケティング部門は開発部門の日常業務に影響を与えずに、A/B テスティング、ひいては、ユーザインターフェース(UI)の変更が可能になると考えられる。つまり、この SDK を組み込んだ iOS アプリは事実上、iTunes Store の承認を経ずに UI 変更が可能になるわけで、このあたりのポリシーをどうクリアしているのかは気になる。


いかがだっただろうか。これらのチームが東南アジア各国の市場で成功することを期待したい。

次回は、5月14日〜15日に韓国・ソウルで開催された beLAUNCH 2014 のピッチ・セッションに登壇したスタートアップ20チームを紹介する予定だ。

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世界を巡るInnovation Weekend、決勝進出を勝ち取った東京予選入賞3チームの顔ぶれ

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世界ツアーを始めているピッチコンテストの Innovation Weekend は、その第2回目の予選を今夜(原文掲載日:6月20日)東京で開催した。日本を拠点とする StudyPact は先月シンガポールで開催された初回予選で優勝し、12月の決勝戦へとコマを進めた。 東京予選には7チームが参加したが、そのうち聴衆に衝撃を与えた3チームを以下に紹介しよう。 1. SCIEMENT SCIEMENT…

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世界ツアーを始めているピッチコンテストの Innovation Weekend は、その第2回目の予選を今夜(原文掲載日:6月20日)東京で開催した。日本を拠点とする StudyPact は先月シンガポールで開催された初回予選で優勝し、12月の決勝戦へとコマを進めた。

東京予選には7チームが参加したが、そのうち聴衆に衝撃を与えた3チームを以下に紹介しよう。

1. SCIEMENT

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SCIEMENT(サイアメント)は、医学博士の瀬尾拡史氏が設立したスタートアップで、専門家でない人が科学を学べるリソースを提供する。彼は自身の学習経験から、医療が一般人にとって、あまりに単純過ぎるか、または複雑過ぎるかに偏向しているように感じた。彼の3Dアニメを使えば、絶妙なバランスで人々に身体のことを学んでもらうことができる。

瀬尾氏は適当なビジネスモデルが無いことを認めつつも、何にも代えがたい価値があるとして聴衆を魅了し、SCIEMENT が優勝を果たした。

(編集追記:以下は同社と神風動画が制作した、TBSドラマ「彼岸島」のオープニング動画)

2. AgIC

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清水信哉氏は起業家を志して、居心地がよい McKinsey & Company を辞めた人物だ。Innovation Weekend で2位の座を射止めた AgIC は、電子回路制作用の家庭用プリンターを開発する。Kickstarter で成功を収めた後、アメリカの Maker ムーブメントの後押しや NASA の注目を集め、順調にビジネスは立ち上がった。

同社は既にシリコンバレーにオフィスを開設しており、清水氏は日本市場と並行してアメリカ市場でも成長したいと考えているようだ。

<関連記事>

3. Startbahn

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泰平氏は東京大学の大学院生だが、それによって、彼は自分の夢を追求するのをやめなかった。Startbahn は、アートコレクションをより誰もが手に届くようなものにするためのサービスだ。泰平氏によれば、ほんの一握りのアーティストだけが、ギャラリーオークションの狭き門に分け入ることができる。

彼のサービスでは取引フロアが現れ、そこで平均的なアーティストが資金の無い美術愛好家に作品を販売できる。Startbahn は上位2位には入賞しなかったが、佳作として表彰され12月の最終決勝に進むチャンスをを獲得した。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

Innovation Weekendが世界ツアーをスタート、アジア地域の予選をシンガポールで開催

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サンブリッジ グローバルベンチャーズが、定期的に開催してきたスタートアップのピッチイベント「Innovation Weekend」については THE BRIDGE でも取り上げて来た。同社は、東京のほか、拠点のある大阪やシリコンバレーを中心に活動してきたので、Innovation Weekend では、これらの地域のスタートアップが披露されることが多かった。 同社は今年から趣向を変え、国内に加え海…

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サンブリッジ グローバルベンチャーズが、定期的に開催してきたスタートアップのピッチイベント「Innovation Weekend」については THE BRIDGE でも取り上げて来た。同社は、東京のほか、拠点のある大阪やシリコンバレーを中心に活動してきたので、Innovation Weekend では、これらの地域のスタートアップが披露されることが多かった。

同社は今年から趣向を変え、国内に加え海外からのスタートアップ招聘にも注力するようで、東京に加え、シンガポール、ロンドン、ボストンで地域別予選を行い、年末に東京で行われる Innovation Weekend Grand Finale 2014(昨年の様子はこちら)には、各地域の優秀表彰スタートアップを招く計画だ。

9日、シンガポール中心部にある Microsoft Singapore オフィスの講堂を会場に、このワールドツアーの第一回目となるシンガポール予選が行われ、このイベントに集まった聴衆の投票結果により、東京のスタートアップ StudyPact が予選優勝者に選ばれた。StudyPact は Open Network Lab のインキュベーション・プログラム第8期を卒業したスタートアップで、ユーザが学習目標を設定し、その達成にお金を賭けることができるようなサービスだ。より効果的な学習プラットフォームとするため、Duolingo、Anki、Memrise、Coursera、Edx などの他の教育プラットフォームやサービスと提携している。

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このイベントは、Startup Asia Singapore 2014 の翌日に開催されたということもあり、そちらに参加していた起業家やスタートアップの顔ぶれも多く見られた。彼らの多くは日本市場への進出に興味があるものの、言葉や文化の違いのため、具体的にどうアプローチしてよいかわからない、という悩みを抱えているようだ。残念ながらこれらの問題を解決する特効薬は存在しないが、Innovation Weekend のようなイベントや THE BRIDGE の英語版などが、彼らが日本市場を理解する上で一助となることを願ってやまない。

OnLabが第8期プログラムのデモデイを開催—テスト自動化のShouldBee、企業向けSaaS環境のJidotekiが入賞 #on_lab

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。 東京のスタートアップ・インキュベータ Open Network Lab(略して、OnLab)は今週デモデイを開催し、インキュベーション・プログラムの第8期卒業のスタートアップ5社を披露した。 今回紹介された5社のうち、この半年間の功績が優秀と評価されたチーム2社には、Best Team Award と特別賞が贈られた…

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

東京のスタートアップ・インキュベータ Open Network Lab(略して、OnLab)は今週デモデイを開催し、インキュベーション・プログラムの第8期卒業のスタートアップ5社を披露した。

今回紹介された5社のうち、この半年間の功績が優秀と評価されたチーム2社には、Best Team Award と特別賞が贈られた。その2社と、卒業した他のスタートアップを一見してみることにしよう。

ShouldBee【Best Team Award】

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典型的なソフトウェア開発では、その約50%をテストに要すると言われている。ShouldBee が提供するのは、開発中のウェブシステムのテストプロセスを自動化するソリューションだ。

このソリューションを使えば、開発者はウェブアプリのフォームの入力と送信プロセスを自動化でき、人間がやるよりも12倍速く、必要コストを従来の人間によるものの60分の1まで減らすことができる。

同社は数ヶ月前のローンチ以降、目立ったプロモーション活動は行っていないが、既に105社のユーザを獲得している。

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左から:ShouldBee の野澤秀仁氏、森怜峰氏、デジタルガレージCEO林郁氏

Jidoteki【特別賞】

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DropBox や Evernote など、多くの便利な SaaS ツールが存在する一方、多くの企業は、内規やセキュリティを理由として、このようなツールを使うことを拒んでいる。Jidoteki は SaaS ベンダーが自社アプリをインストールした、仮想アプライアンスを作成できるようにする。ファイヤウォールの内側にアプライアンスを設置できるようにすることで、エンタープライズ・ユーザがそのような SaaS ツールを採用しやすくする。

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Jidoteki のチーム

オレンジマガジン

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オレンジマガジンは、中高年の女性をターゲットにしたモバイルコンテンツ・プラットフォームだ。多くのモバイルサービスが若い世代向けなのと対照的に、このチームは中高年女性が映画、健康、旅行など多くの情報を集めるのが難しいことがわかった。

この問題に対して、同社は、中高年に操作しやすく、文字が読みやすいモバイルアプリを開発した。よいユーザ体験と、中高年ユーザの好みにあったコンテンツを提供するため、この世代の女性達にニュース記事のキュレートを依頼している。

マネタイゼーション戦略として、同社は既存の書籍や雑誌出版社と提携し、アプリを通じて有料ユーザにコンテンツ配信することを検討している。

astero

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astero は、告知機能にフォーカスしたニュース配信アプリで、ユーザが欲しい情報を欲しいときに届けることを目指している。典型的なユーザは、知りたい情報を集めるため、多くの情報源を購読したり、多くのウェブサイトを訪問したりする。アポイントメント、天気情報、公共機関の交通情報、好きな出版物がいつ発売されるかなどだ。

ユーザが重要な情報を見落とさないようにするため、同社は次の3つのことにフォーカスしたアプリを開発した。

  1. キュレーション…おそらくは必要としない情報をオプトアウトする。
  2. レコメンデーション・エンジン…独自アルゴリズムを採用したエンジンを開発。
  3. 告知機能の管理…告知の頻度をユーザが調整できるほか、複数の告知分を一回の告知でダイジェストで受け取ることもできる。

サードパーティー・アプリとの提携や連携により、サービスをマネタイズしようとしている。

StudyPact

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HackOsaka の最近の取材の中で、StudyPact についてお伝えしたのを覚えている読者もいるだろう。ユーザが学習目標を設定し、その達成にお金を賭けることができるようなサービスだ。例えば、週に2時間の英語学習の目標を設定し、5ドルを賭けたとしよう。目標が達成できれば5ドルを得られるが、達成できなければ5ドルを支払う。支払が発生した場合は、この目標を指示した他のユーザに分配され、残りは StudyPact にもたらされる。

より効果的な学習プラットフォームとするため、同社は DuolingoAnkiMemriseCourseraEdx などの他の教育プラットフォームやサービスと提携する計画だ。数週間前にアンドロイド版アプリをローンチし、これを使ったユーザのオンライン講座の達成率が85%に達したことがわかった。


Open Network Lab は現在、7月に開始される次期インキュベーション・プログラムの参加スタートアップの申込を募集中だ。申込の締切は、5月19日となっている。

HackOsaka 2014: コンペティションの優勝者は、Google Glass向け翻訳アプリを開発中の「Waygo」

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これは19日大阪で開催された、スタートアップ・カンファレンス「HackOsaka 2014」の取材の一部だ。 HackOsaka 2014 のクライマックスとなる最後のセッションでは、スタートアップ10社がピッチを行った。入賞上位に輝いたスタートアップを紹介したい。 Gold Prize: Waygo (副賞:50万円と、British Airways 提供によるロンドン往復航空券、トロフィー、P…

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これは19日大阪で開催された、スタートアップ・カンファレンス「HackOsaka 2014」の取材の一部だ。

HackOsaka 2014 のクライマックスとなる最後のセッションでは、スタートアップ10社がピッチを行った。入賞上位に輝いたスタートアップを紹介したい。

Gold Prize: Waygo

(副賞:50万円と、British Airways 提供によるロンドン往復航空券、トロフィー、Pebble Watch)

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Waygo CEO/founder Ryan Rogowski

Waygo は OCRを使った翻訳アプリだ。スマホのカメラを中国語にかざすと、インターネットにつながっていなくても翻訳して読み取ることができる。これまでにも、Echelon 2013 や Innovation Weekend Grand Finale 2013 の記事でも取り上げているので、我々の読者の中には既に知っている人も多いだろう。昨年には 500Startups のインキュベーション・プログラムに参加し、その後、90万ドルの資金調達を成功させている。

CEO の Ryan Rogowski が共有してくれたニュースが2つある。中国語→日本語に変換するバージョンが近々リリースされるということ、そして、Google Glass 向けの Waygo アプリのプロトタイプを開発中ということだ。メニューや看板を翻訳して読み取る上で、もはやスマホをかざす手間も必要なくなるわけだ。

半ば成功のステップを歩んでいて、既に創業者達が世界中を飛び回っている Waygo が Gold Prize を獲得したのは、シード前のスタートアップにチャンスを与えるという観点からはやや予想外だったが、それがコンペティションの公正さというものだろう。彼らのアプリがロンドンで受け入れられれば、ヨーロッパからアジアへの旅行者も増えるかもしれない。大いに期待しよう。

Silver Prize: TransferGo

(副賞:30万円とトロフィー、Pebble Watch)

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TransferGo Co-founder/CEO Daumantas Dvilinskas

世界には、家族が国外に居て、出稼ぎ先から送金するようなニーズが結構ある。銀行を使うと国際送金手数料が高いので、Western Union のような送金業者を使ったり、海外出稼ぎが多いフィリピン等では、モバイルで生活費を送金したりすることも極めて一般的だ。

リトアニアのビルニウスと、ロンドンに拠点を置く TransferGo は、国際送金を安価にするスタートアップだ。A国→B国に送金する際、次のような流れにになる。

  • ユーザは A国にある TransferGo の口座に送金(ユーザには、国内の振込手数料しかかからない)。
  • TransferGo はB国の自社口座から、翌営業日にB国の受取人に送金。

送金手数料は £2.50(約430円)/回+送金額の1.5% となっており、同社にとっての実質利益は70%と値は高い。一見、マネーロンダリングを助長するかのような雰囲気を伺わせるが、サービス提供国の金融当局からは、それぞれ免許を取得しているとのことだ。

2013年5月にローンチ、ローンチ当初の月間取引件数は941件だっだたが、2014年1月には6837件に達した。現在、2.1万人のユーザが居て、98% は友達に勧めたいと言っているとのことだ。現在はヨーロッパで展開しているが、近い将来、他地域への展開を検討しており、まずは最初にアジアでローンチを目指すとのことだ。

Bronze Prize: StudyPact

(副賞:10万円とトロフィー、Pebble Watch)
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StudyPact はユーザに学習機会の達成を促し、掲げた目標を達成できればお金がもらえ、達成できなかったらお金を支払うサービスだ。例えば、1週間で2時間、英会話の勉強をすることを目標に掲げ、達成できたら5ドルもらえるように設定したとする。達成したら5ドルもらえるが、達成できなかったら5ドルを支払い、この5ドルのうち半分の2.5ドルは応援してくれた他ユーザに分配され、残りの2.5ドルは StudyPact が受け取るしくみだ。

より効果的な学習環境を提供するため、DuolingoAnkiMemriseCourseraEdx などの学習教材プラットフォームと提携する。Anki を導入したプロトタイプが2週間後にリリースされる予定で、Android、Chrome、FireFox、iPhone 向けのアプリを開発する予定だ。Open Network Lab のアクセラレータ・プログラムに参加しているということなので、数ヶ月後に開催される同インキュベータの第8期のデモデイで、どのような成果を見せてくれるか楽しみだ。

Crosscorp Prize: Slumbor

(副賞:シンガポール、ジャカルタ、デリー、ホーチミンシティなどにある、Crosscorp のコワーキング・スペースが1年間無料で使える権利)

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AnSing Technology CEO Dr. Hu Junhao

Slumbor はシンガポールを拠点とするスタートアップで、枕の下にマットタイプのセンサーを配置することで、さまざまなバイタルデータを取得する。BLE (Bluetooth Low Energy)で取得した値をスマートフォンに転送、病気を予防することを目的としている。2014年1月〜5月、中国・深圳の IoT 専門インキュベータ「HAXLR8R(ハクセラレータ)」のプログラムに参加しており、その後、Kickstarter で資金調達を図りたいとしている。

入賞したのは以上4社のスタートアップだが、それ以外に注目に値するスタートアップを2社見つけたので、この機会に紹介しておきたい。

Ontrox

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Ontrox CEO 有田和樹氏

大阪に拠点を置く Ontrox はビッグデータを使って、交通渋滞の緩和を狙うスタートアップだ。ビッグデータを活用すると、さまざまな都市で見られる交通渋滞に一定のパターンが見受けられるという。Ontrox のアドバンテージは、同社固有の技術を使ってそれを見える化し、通常は長い時間がかかる計算をミリ秒単位で完了できる点にあると言う。

同じ技術は、コンピュータ・ネットワークのデータ・トラフィックを分析・最適化したり、ECサイトのユーザ行動を分析したりすることに活用できるとのことだ。JETRO の SVIP(Silicon Valley Innovative Program)の10社のうちの1つに採択され、シリコンバレーから全世界に通用するサービスのローンチを目指している。

Warrantee

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大阪に拠点を置くスタートアップの Warrantee は、数々の製品の保証書の電子化を目指している。製品を購入したとき、その製品に対する補償を有効にするには、必要事項を所定のフォーマットに記入して郵送したり、オンラインで入力したりする必要がある。しかし、この作業は面倒なので、実際には保証登録をしないまま製品を使い続けているユーザは多いだろう。

この登録作業をワンストップで提供するのが Warrantee だ。必要項目を予め入力しておけば、異なる複数のメーカーの複数の製品に、簡単に保証登録を完了することができる。メーカーのみならず、小売店が有償で追加補償サービスを提供するケースも多いので、これらの追加補償サービスへの登録をユーザに促すことで、Warrantee は小売店から一定の手数料を得られることを期待している。加えて、集まったユーザ情報を小売店は、新製品の発売や売出情報の告知に使うことができるので、プロモーションの観点からも、小売店から費用を徴収することができるだろう。


本稿で紹介したスタートアップは、いずれも、我々が日常的に東京で出会うスタートアップとは違った志向を持っていて、発想がユニークだった。その一つの理由は、彼らのうちの数社は、日本以外の市場からやってきていること、もう一つの理由は、数社は大阪を拠点としていることだろう。日本国内と海外でスタートアップの性格が異なることは容易に理解できるが、同じ日本国内でも、地域によって、違った視点が生まれることに改めて驚かされた。

今後、彼らの多くが、さまざまなイベントや THE BRIDGE 上で取り上げられる機会を楽しみにしたい。

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