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VCもスタートアップも、サステナビリティが求められるようになる——テック界に迫るインパクト革命とは【ゲスト寄稿】

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本稿は Trista Bridges によるものだ。原文は BRIDGE 英語版に掲載した。 彼女は戦略とサステナブルビジネスの専門家であり、ビジネスを良い方向に変えることに情熱を注いでいる。サステナブルビジネス=スマートビジネスという強い信念のもと、サステナビリティを核としたビジネスモデルに向けて、マインドセット、ビジネス戦略、働き方をシフトさせるために「Read the Air」を共同設立した…

Trista Bridges
©Dan Taylor/Heisenberg Media

本稿は Trista Bridges によるものだ。原文は BRIDGE 英語版に掲載した。

彼女は戦略とサステナブルビジネスの専門家であり、ビジネスを良い方向に変えることに情熱を注いでいる。サステナブルビジネス=スマートビジネスという強い信念のもと、サステナビリティを核としたビジネスモデルに向けて、マインドセット、ビジネス戦略、働き方をシフトさせるために「Read the Air」を共同設立した。

デジタルメディア、ヘルスケア、消費財、金融サービスなど、さまざまな分野で活躍。最近発売された「Leading Sustainably: The Path to Sustainable Business and How the SDGs Changed Everything(仮訳:持続可能なビジネスへの道、いかに SDGs が全てを変えたか)」の共著者。

<これまでの Trista Bridge による記事>


日本では ESG 投資が飛躍的に拡大し、SDGs が政府、企業、個人を問わず受け入れられている。現在、「グリーンウォッシング」には事欠かないが、我々の社会観に根本的な変化が起きていることは否定できない。社会的平等から気候変動まで、そしてその間のすべての問題に至るまで、我々の世界はかなり大胆な問題を抱えていることが広く認識されている。これらの問題への取り組みの緊急性は高まっているが、どのように解決するのが最善か、またその責任は誰にあるのかについては、まだ結論が出ていない。

企業は今まで以上に行動を求められる

以前はこのような問題を解決するために、我々は本能的に国に頼っていた。しかし、政府だけでは対応できないことが分かってくる。マルチステークホルダーの世界へと移行し、世界の課題に対して様々な主体がより大きな役割を求められるようになってくる。企業以外では、現時点でさらなるステップアップを期待されているステークホルダーはほとんどいない。あらゆる規模の企業が、環境や社会へのマイナスの「影響」を最小限に抑え、プラスの「影響」を最大化するという、よりサステナブルなビジネスモデルの採用を求められている。例えば、最近の日本の「2050年カーボンニュートラル」宣言のような動きは、あらゆる規模の企業が二酸化炭素排出量を削減するための措置を講じる必要があることを意味している。すでに、Apple は2030年までにサプライチェーン全体で100%のカーボンニュートラルを達成するという約束をしているが、他の企業も同様の大胆な行動をとる必要があるだろう。

このようにインパクトの重要性が高まっていることは、我々がビジネスの価値を定義する方法を再検討する初期段階にあることを示している。財務力は常に重要だが、環境や社会への影響、そして自社のガバナンスに注意を払わない企業は、実際には成功を危険にさらしているという考えが広まっている。

Image credit: 401(K) 2012 via Flickr
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テック界に迫るインパクト革命

最近まで、これは大部分が上場企業の現象であり、テック系スタートアップのエコシステムは一般的にこの議論の外に置かれていた。しかし今では、テック業界にも本格的に導入されようとしている。ESG にスポットライトが当てられたのはビッグテックが最初だが、スタートアップや VC、その他のエコシステムのプレイヤーは、サステナビリティの要素について、これまでにないほど精査され始めている。しかし、イノベーターやその投資家は何に最も注意を払う必要があるのだろうか。 ここでは、このトレンドがテックエコシステムの2つのコアプレイヤーである VC とスタートアップのゲームをどのように変えているかについて、いくつかの考えを紹介しよう。

ベンチャーキャピタルへの影響

サステナビリティを重視した原則や慣行の採用は、控えめに言ってもベンチャーキャピタルの間ではほとんど行われていない。プライベートエクイティファームは近年 ESG の導入に向けて躍進し、場合によっては特定のインパクト投資ファンド(TPG の「Rise Fund」を参照)を開発したこともあるが、ベンチャーキャピタルファンドの参入は遅々として進まないのが現状だ。ヨーロッパのベンチャーキャピタルは現在のところ最も進んでおり、Idinvest/EurazeoAtomicoBalderton などのファンドが ESG やサステナビリティへの取り組みをいち早く進めている。最近になって、アメリカのベンチャーキャピタルでは、気候や多様性などのテーマに沿ったファンドが増加している。最後に、Sequoia のような有力ファンドが、サステナビリティ、特に気候技術(climate tech)に積極的に投資することを発表している。しかし、これはまだ始まりに過ぎず、ベンチャーキャピタルのコミュニティにはまだ道のりがあることは明らかである。とはいえ、今後数年でこの分野の投資が加速するであろう3つの重要な理由がある。

  1. リスクの軽減。金融とテクノロジーの両面で規制環境がますます厳しくなっており、消費者の意識が高まり、「良いビジネス」とは何かという基準が変化している中で、スタートアップがこれらの問題にどのように取り組んでいるかを考慮せずに投資を行うことは、ますますリスクが高くなっている。投資機会のスクリーニングに ESG 基準(最低でも)を使用することで、投資家はポートフォリオのリスクを軽減するための具体的な方法を得ることができる。
  2. リミテッドパートナー(LP)の利益。LP は、市場をリードするリターンをファンドに求めているが、サステナビリティの重要性も急速に高まってきている。場合によっては、ステークホルダー(株主、顧客、出資者)がサステナビリティを求めていることもある。また、ファミリーオフィスのように、個人が自分たちの価値観を投資方法に反映させたいと考えているケースもある。将来的には、VC がファンドの運営や投資活動に ESG の原則や実践を取り入れなければ、評判の良い LP から資金を調達することは困難になるかもしれない。
  3. 機会。これまでの技術の波は、接続性、効率性、情報の発見など、多くの第一階層の問題に取り組んできたが、次の波は、より根本的な社会的課題や環境的課題に取り組むことになるだろう。将来の価値は、これらの複雑な問題を解決するイノベーションによって牽引されることになるだろう。
Image credit: nosita via Pixabay

スタートアップへの影響

起業家が限られたリソースで会社を設立しようとするとき、一般的に言えば、彼らが最後に考えるのは自分たちの製品が環境や社会に与えるインパクトについてだ。そして、もっともなことだが、彼らが重視するのは、プロダクトマーケットフィットや顧客の獲得など、ビジネスの基本的なことに集中する傾向がある。しかし、スタートアップはバブルの中でビジネスを構築しているわけではない。本稿で述べた社会的・環境的ダイナミクスの多くは、今後のスタートアップの成功に影響を与えるだろう。現在では、スタートアップの規模拡大を支援する制度(資金調達やトレーニングなど)は以前よりも増えた一方で、スタートアップが事業を展開している環境は、ほんの10年前に同業他社が直面していた環境よりも、多くの点で複雑で競争の激しいものとなっている。そして、パンデミックによって、この状況はさらに複雑になっている。この新しいパラダイムに備え、成功するために、スタートアップは何ができるのだろうか?

  1. リスクを予測し、それに応じた準備をすること。今日のスタートアップは、過剰な規制や複雑さを恐れて、先代の人々が敬遠していた分野でイノベーションを起こしている。これは称賛に値することだが、一方で新たなリスクも抱えている。早期に社会や環境への影響を考慮したアプローチをとることで、将来的に起こりうる問題を回避することができる。例えば、AI を使ってイノベーションを起こしている起業家は、自分たちが開発したサービスのバイアスや悪質な利用の可能性について潜在的な問題を考慮しているだろうか。これらの潜在的な問題を回避するために、彼らはどのような行動をとることができるだろうか? あるいは、フードデリバリサービスは、公正な労働慣行やプラスチック包装廃棄物の山が環境に与える影響について考えているだろうか? これらの問題に早期に先手を打つことは、規制上、風評上、またはその他の理由で、将来起こりうる問題を回避するのに役立つ。
  2. 投資家の優先順位の変化に対応すること。当然のことながら、VC のサステナビリティへの関心は高まっているため、同じような取り組みをしているか、そうすることに意欲的なスタートアップに目を向けることになる。 VC がコミットメントを行う際には、LP やその他のステークホルダーに、ファンドと投資先が連携して動いていることを示す必要がある。これは、多くのスタートアップにとって大きな要求であることは言うまでもない。これを実現するためには、ベンチャーキャピタルはこれまでとは異なる方法で、多くの場合、これまで以上に積極的にスタートアップを支援する必要がある。
  3. サステナブルなイノベーションへの傾倒。心強いことに、気候技術(climate tech)、フードテック、サステナブルなファッション、フィンテック、ヘルスケアなどの分野では、スタートアップにとって無限のチャンスがある。効率的かつ低コストで炭素を効率的に捕捉・蓄積し、ヘルスケアへのアクセスにおける不平等を大幅に削減し、食糧システムの回復力を強化するような製品やサービスを構築するスタートアップは、次世代の勝者となるだろう。NorthvoltImpossible Foods、日本のユーグレナのような急成長中の成功事例は、すでにそれが実現しつつあることを証明している。今日ポジティブなインパクトを与える機会に取り組むことが、明日には配当につながるのだ。

コンシューマ・ハードウェアの分野で、より近い関係になりつつある日仏のテックコミュニティ【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Trista Bridges によるものだ。フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Trista Bridges からの許諾を得て、翻訳転載した。(過去の寄稿) The Bridge has reproduced this from its o…

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Trista Bridges によるものだ。フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Trista Bridges からの許諾を得て、翻訳転載した。(過去の寄稿

The Bridge has reproduced this from its original post on Rude Baguette under the approval from the blog and the story’s author Trista Bridges.


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Image: Cross-Flag-Pins.com

コンシューマーハードウェアを取り巻くイノベーションが日本とフランスを結びつけ、コラボレーションを生み出している。

きっかけは今年10月、日本フランス・イノベーション年が公式ローンチしたことだ。翌11月には東京最大のハードウェア・スタートアップ・アクセラレータである DMM.Make が、La French Tech50 Partners とが共に編成したフランスのビジネスエンジェルコミュニティを迎え入れる運びとなった。さらに今年の締めくくりとして、12月8日の OrangeFab Asia のデモデイでは日仏の IoT スタートアップたちが話題の中心となった。

Rude VC流にフランスのスタートアップへ応援の気持ちを込めて、クリスマスプレゼントにぴったりなハードウェアをピックアップしてみた(既に販売中のものと、予約受付中のものがある)。全て、French Tech Tokyo に参加した企業である。

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Seven Hugs

seven-hugs-e14501896767582016年3月に日本で開かれるテックイベント、B Dash Camp に選抜されたフランスのスタートアップ5社の中の1社。Seven Hugs が目指すところは、睡眠のモニタリングに新しくユニークなアプローチを導入することだ。

ほとんどの睡眠モニタリング装置が個人を対象とするのに対し、hugOne はきわめて包括的なアプローチで、家族全体が上質な睡眠をとれるようにしてくれる。hugOne は、さらに気温・室温の測定、温度管理、より自然な明るさを提供するスマート照明/スマート電球の管理といった機能を追加することで、家族の健康増進という目標にも取り組んでいる。

Bocco

bocco-e1450189762792当然のことながら、日本ではロボティクスが盛んだ。今年6月の Pepper のローンチは今となってはひどく不評だが、第1回の販売からこの11月の2回目の販売まで毎回販売予定台数を1分以内に売り切っているのだから、紛れもなく成功していると言えるだろう。ロボティクスにはもう1社、ユカイ工学が大きな話題を集め始めている。

同社の Bocco は、違った観点からロボティクスを消費者の生活の中にシームレスに組み込もうとしている。Bocco をプレイするのは決まった1つの場所、家族とつながった場所だ。たとえば母親、あるいは父親が旅行中、Bocco を介して子どもとおしゃべりすることができる。子どもが寂しくなってしまいそうな状況にも楽しさを運んでくれるのだ。日本のデザイン界の権威、2015年グッドデザイン賞を受賞している Bocco は日本国内でローンチを進めているところだが、間もなく海外マーケットにもお目見えするだろう。

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Cerevo

otto_ogp-e1450189855752今年初め、Cerevo の設立者である岩佐琢磨氏はRude Baguette の Connected Conference でCerevo は真のIoT 製造所だと語った。同社は数ヶ月おきに新たなイノベーションを発表するというIoTの離れ業を見事にやってのけている。同社は、コネクテッドスノーボードの SNOW-1 で「コネクテッドスポーツ」の概念を具現化し、CES の参加者たちを驚かせた。Cerevo が面白いのは、自分を1つのカテゴリーに閉じ込めたりしないところだ。AV機器、ガジェット、スマートトイ、ホームプロダクト、DMMの「maker」デバイスなど、幅広いカテゴリーにわたってコネクテッドハードウェアを提供している。

同社の新製品の中でひときわ目をひくのが、スマート電源タップの Otto だ。Otto は一見、単に芸術的な形の電源タップのように見える。しかし、電源タップというものについて深く一考させられる一品なのだ。最大の魅力は、インテリアになじむ流線型のデザインではない。照明の強さの調節だけでなく、遠隔操作で Otto のコンセントから選択的に電源オフできるという機能だ。Cerevo の Otto は、最もありふれた機器ですら生まれ変わらせることができるということを証明している。

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Wistiki

wistiki-wist-3-e1450189959381来年の B Dash Camp 予選を通過した Wistiki は、長年にわたり失くし物を見つけるためのソリューションに取り組み続けている。最もわかりやすい使用例は、私も非常に思い当たる節があるのだが、鍵を失くしたときだ。仕組みは、失くしては困る物に小さなデバイスを装着しておき、対応するアプリで探すと失くし物が「ベルを鳴らして」居どころを教えてくれるというもの。

GPS で追跡することもできるし、さらに安全性を高めるのなら、まるでバーチャルな手綱のように、自分の持ち物がスマートフォンから離れてしまったときに警告するようにもできる。最終的にスマートフォンを失くしてしまった場合はどうするか。鍵を失くしたときとは逆にすればいい。逆発信機能で Wistiki からすぐにスマートフォンの居どころを見つけることができる。実にスマートだ。

日本フランス・イノベーション年で考える、2つのスタートアップ・コミュニティの相互関係【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Mark Bivens からの許諾を得て、翻訳転載した。(過去の寄稿) The Bridge has reproduced this from its origina…

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Mark Bivens からの許諾を得て、翻訳転載した。(過去の寄稿

The Bridge has reproduced this from its original post on Rude Baguette under the approval from the blog and the story’s author Mark Bivens.


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5日、日本フランスイノベーション年のローンチにあわせ、来日したフランスの Manuel Valls 首相。Pepper の開発元は、フランスの Aldebaran Robotics 社であり、現在はソフトバンクグループの傘下にある。(写真出典:在日フランス大使館ホームページから)

日本とフランス間のイノベーション年のローンチにあたり、フランス政府代表の日本訪問団に参加できたのは、非常に光栄なことだ。まじめな話、私は皮肉屋だ。イノベーションにおける政府のイニシアティブはバカにしているし、La French Tech Tokyo の正式キックオフへの招待を受け取ったときに覚えたのは懐疑心だった。世界で最も重要2つのエコシステム——フランスと日本間の文化の違いを越えた協力関係について、フランスの Manuel Valls 首相は真摯に向き合い、ビジョンを唱えてきた。Emmanuel Macron デジタル担当相は、両国の将来のことを考えれば、起業家の活動の重要性が軽視されていると付け加えた。

フランスのスタートアップは、自らの成長戦略の中で日本市場の優先度を上げることを考えるべきで、それは私が以前にも説明した通りだ。それは逆も真なりで、私はヨーロッパの美徳、中でもフランスのそれをを讃え、アジアのスタートアップにヨーロッパを見るべきだ、と言ってきた。

日本のスタートアップ・エコシステムは、そう遠くない昔のフランスを彷彿させる。日本とフランスの共通点は多い。両国には、力のある研究組織に広範な技術基盤が備わり、デザインに長けていて、優秀なエンジニアがいて、教育を尊ぶ文化があり、さまざまな点において、そこそこ大きいながらも必ずしも大きくはない国内市場が存在する。

我々が数年前にフランスで目撃してきた良い兆候は、日本にも当てはまる。

  • 大学新卒生らのパイオニアスピリッツが高まり、起業のため大企業への就職を断るようになった。
  • 会社を設立する人たちの新世代が、国際的に物事を考えるようになった。
  • シリアルアントレプレナーが増加した。
  • 失敗を恥ずかしいとする考え方に寛容になった。
  • イノベーションは大企業の外で起きるという認識が高まった。

冒頭で話した私の懐疑心は、その内容意図はともかくとして、政府のイニシアティブはトップダウンで決められるため、往々にして、その動きが弱々しいという、これまでの体験に基づくものだ。現在の状況において最も重要なのは、よりボトムアップなアプローチで、スタートアップ(そして、いくばくかの VC)自身による草の根的な活動だ。これに着手して状況が安定することは、いずれ時がそれを教えてくれるだろう。しかし、最初に出てくる兆候は将来有望なもののはずだ。

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5日にデジタルガレージで開催された、La French Tech Tokyo。(撮影:”Tex” Pomeroy)

追記:いくつかの組織や個人には謝意を表したい。BusinessFrance にはそのコネクションに、オレンジ・ジャパンにはロジスティクスの支援に、DMM.Make Akiba にはその個性的な素晴らしいもてなしに、Rude Baguette の Trista Bridges には、2日目のモデレータとして素晴らしく振舞ってくれたことに。

フランスのスタートアップ・ブログが選ぶ、CES出展のイノベーティブなスタートアップ6選【ゲスト寄稿】

本稿は、フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette のエディタであり、IoT 特化型のスタートアップ・イベント「Connected Conference」を主催する Trista Bridges によるものだ。Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Trista Bridges からの許諾を得て、翻訳転載した。 The Bridge has reproduce…

trista-bridges_portrait本稿は、フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette のエディタであり、IoT 特化型のスタートアップ・イベント「Connected Conference」を主催する Trista Bridges によるものだ。Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Trista Bridges からの許諾を得て、翻訳転載した。

The Bridge has reproduced this from its original post on Rude Baguette under the approval from the blog and the story’s author Trista Bridges.


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筆者がこれまでに見てきた中で、今回の CES には明らかに最も多くの企業が参加していた。CES の イノベーションおよびスタートアップに特化した Eureka Park の会場で、フランスやその他の国々から出展したスターたちを見てきたので、チェックしておきたいスタートアップ6社について考えをまとめてみた。

よく知られたスタートアップもあれば、そうでないスタートアップもある。

iSketchnote by iskn(フランス)

isketchnotes-3-e14212751215202013年の暮、クラウドファンディングで目標額の10倍を調達したのは、始まりに過ぎなかった。CES が始まる前、iskn は彼らのアイデアを、デバイス(タブレット、PC、Mac)、板上デバイス、ペン、アプリパックへと発展させるため、200万ドルを調達したと発表した。

筆者は CES で iSketchnote を試すことができたが、その体験は極めて衝撃的なものだった。デザイナー、ジャーナリスト、学生、アーティスト、建築家など、アイデアやスケッチを今でも紙に書き取ろうとする人に、このツールを使ったユースケースを簡単に見いだすことができる。伝統的に続いてきた紙や鉛筆の世界と、テクノロジーをつなぐ際に生じる多くの問題を、iSketchnote は解決してくれる。ユーザは、特殊なペンと板状デバイスを持ち歩くのは、かさばると思うかもしれない。

しかし、紙の情報をデジタル化すべく、スキャンしたりスマホで写真を撮ったりする際によく議論に上がる問題を解決する上で、iSketchnote はベストなソリューションの一つだ。iSketchnote パック(板上デバイス、ペン2本、カバー)は現在179ドルという安い価格で予約注文を受け付けており、2015年上半期にローンチする予定だ。

Cerevo(日本)

xon-e1421274984595メディアやガジェット・テック好きの注目を集めた Cerevo のプロダクトは、まもなくリリースされるスノボー用のスマート・ビンディング・システム「XON SNOW-1」だ。ユーザはこれを使って、自分のスノボーの出来具合を分析することができる。XON SNOW-1 では、ビンディング上で足に2つ、ボードに2つ取り付けたセンサーによって動作を捕捉、アプリや BlueTooth でそのデータを記録し、得られたデータは他のデバイスとも同期できる。

ユーザは自分のスピード、加速、タブレットやスマホのGPS位置を分析し見える化することができる。素晴らしいことに、バッテリは6〜8時間は持つので、一日中充電無しでゲレンデで滑っていることができるし、LEDライトや滑りを撮影した動画を見る機能もある。ネット接続可能な多くのイノベーションが健康や生活必需のユースケースにフォーカスしている中で、XON SNOW-1 はエンターテイメントに特化したデバイスも消費者に求められていることを示唆している。

Cerevo は SNOW-1 に加え、最近リリースされ CES Innovation Award を受賞した HD ビデオスイッチャー LiveWedge などの AV プロダクトも展示していた。

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3D Sound Labs(フランス)

photo5-e1421271198825高品質のヘッドフォンは多様化し続けている。ヘッドフォン市場は飽和しているのに、イノベーションが起き続けているのだ。よく論じられる焦点は、音楽を聴いたり、ゲームしたりする際の音楽体験を向上させるというものだが、3D Sound Labs はサラウンド音声によってホームシアター業界に震撼を与えようとしている。

家にシアターサラウンド・サウンドシステムを導入するには、それは極めて困難か、高価なホームシアター装置が必要になるが、3D Sound Labs はヘッドセットを使った Neoh というプロダクトでサラウンド体験を完全に再現しようとしている。それはまるで、映画好きが映画館で体験するかのような、臨場感あふれるサウンドシステムだ。一つ重要な機能があるとすれば、それは映画館でなら音がどちらから聞こえてくるかがわかるような体験、観客が振り向けば、それにあわせて音も移動するような感覚だ。短いデモの後、筆者はこの聴覚体験がすばらしいと実感した。

彼らの Kickstarter でのクラウドファンディングはまもなく開始される予定で、ここからローンチやキックオフに関する情報更新を受け取ることができる。

Bellabeat(アメリカ)

bellabeat2-e1421270505841昨年、フランスの国際 France24 向けに筆者は Bellabeat のデモをした。まもなく母になる女性が、おなかの赤ちゃんの心音を聞けるデバイスだ。当時の Bellabeat は小さな心音計のようなもので、超音波を使うようなものではなかった。興味深いプロダクトではあったが、当時のそれはまだプロトタイプの段階にあった。現在では、Bellabeat は Y Combinator を卒業し、完全に生まれ変わって、その見栄えとバリュポージションにおける変貌ぶりには賞賛すべきものがある。

「自然かつスマートなデバイス」との代名詞を掲げ、Bellabeat は、出産期の女性が生活や身体の変化をマネージできるようにするプロダクトへと変化を遂げた。かつての心音計のようなつくりのデバイスは、木製でシェル型の赤ちゃんモニターへと形を変えた。子宮内の赤ちゃんの心音をモニタしたり、赤ちゃんに音楽を聴かせたりできるほか、出産後は赤ちゃんの7種類の泣き声を判別し、両親が赤ん坊の求めていることを理解し対応できるよう支援する。

Bellabeat の製品群には、ネックレスやブレスレットの活動量計や美しいスマート体重計もある。Bellabeat の共同創業者 Urška Sršen に話を聞いたところ、彼女は新しい領域の開発や製造が始まろうとしていることを強調し、妊娠後のプロダクトにもラインアップを拡大したことで、女性の出産期におけるあらゆる健康管理を支援することをイメージできるようになったと語った。もちろん、450万ドルというシードラウンドの調達は、彼らにとっては前向きで大きな一歩である。

予約販売の第1期はまもなく売り切れるが、次期販売については予約のサインアップが可能だ。

JINS(日本)

meme1-e1421268023627日本のメガネ会社 JINS は、大企業でもイノベーションが続けられることを証明してみせた。JINS は魅力的なスマートグラスを開発している。Google Glass で何をしてみるべきかよくわからない人が多い中で、JINS は JINS MEME というプロダクトで、今までのスマートグラスとは違った動きをしている。JINS MEME は普通のメガネのようだが、自分自身のことがよくわかるような、スマートセンシング技術が実装された初めてのアイウェアなのだ。バイオセンシング技術で目や身体の小さな変化を読み取り、ユーザが身体をより安全で健康な状態に保つのを支援してくれる。

現在は日本国内の店舗でしか販売されていないが、近々海外展開も始めるとのことで、よくあることかもしれないが、アメリカから販売開始するのだそうだ。この海外展開に先立ち、JINS は API を公開し、モバイルアプリ・デベリッパのピッチ・コンテストを立ち上げた。長年メガネを愛用している立場から言わせてもらえるならば、単にスマートなだけでなく、見た目にもよいスマートグラスをついに見つけることができた。

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Withings(フランス)

withings-e1421270693186Withings は、賞賛に値する多くのデバイスを作っている。iWatch に関する記事などとあわせ、Wihings のスマートウォッチについては多くを書いていきたが、現在でもこれらの記事には、読者から肯定的な反応が寄せられている。今年の CES では、Withings のプレミアム・スマートウォッチ「Activité」が Innovation Awards を2つ獲得している。ちょうど今週、TechCrunch が Withings の「Activité Pop」を、今すぐ買うべき活動量計だと表彰した

仮に、CES に出展されていた他のスマートウォッチや活動量計が選ばれていたら、私はそれに賛同しなければならなかっただろう。というのも、Withings はスマートで直感的に使える活動量計を作っているだけでなく、他の多くのウエアラブル企業がやってこなかったことに挑戦しているからだ。それは、Withings が頑なにガジェットの領域から離れようとしている点だ。このモダンでエレガントなデザインのおかげで、人々が心から身に付けたいと思うウォッチに選ばれるだろう。