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3,600億米ドル規模のソーシャルコマース、そのトレンドはアジアから米国へ【ゲスト寄稿】

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Fast Company(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。 This article was first published in Fast Company. <関連記事> Grab、GoTo、Sea——東南アジアでスーパーアプリの…

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Fast Company(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。

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シンガポールに拠点を置く VC を10年間率いてきたアメリカ人として、私はしばしば、新しいテクノロジーのトレンドが、自国よりもアジアの方が早く、あるいは強く現れるのを目にする。その中でも今、大きな注目を集めているのが ソーシャルコマースだ。

ソーシャルコマースとは、人々のソーシャルネットワークを介してオンラインで商品を大量に販売するビジネスだ。このネットワークは、モバイルアプリのように仮想的に存在するものもあれば、友人や隣人といった物理的な世界に存在するものもあり、その両方を含む。重要なのは、オンラインプラットフォームで断続的に小口販売を行うのではなく、大量の取引を行うためにこれらのネットワークを利用することだ。これは、アジアの起業家たちが力強く活用している手法だ。

このうねりは中国で始まり、ソーシャルコマースはオンライン販売全体の13%以上を占めている。アメリカの4.3%とは対照的だ。さらにボリュームの差も大きい。中国のソーシャルコマースの取扱高は3,600億米ドル以上であるのに対し、アメリカは360億米ドルだ。

今、アジアの他の地域では、2つの主要なビジネスモデルによって成長が始まっている。1つはグループ購入モデルで、購入者をまとめて大量の取引を行うことで、購入者には割引を、販売者には効率を提供するものだ。もう1つは、一流のインフルエンサーが自分のソーシャルメディアのフォロワーに大量のファッションアイテムやその他の商品を迅速に販売するライブコマースだ。どちらのコンセプトも全く新しいものではないが、今、アジアの企業はこれらのモデルを使って素晴らしい結果を出している。このようなアプローチは、欧米でもすぐに見られるようになるだろう。この2つのモデルの仕組みを詳しく見ていこう。

グループ購入

グループ購入リーダー宅に届いた商品。近隣の人々が商品をピックアップに来る。
Image credit: TechNode/Emma Lee

2015年に中国で設立された Pinduoduo(拼多多)は、現代のグループ購入モデルの先駆者とみなされている。同社の時価総額は1,300億米ドルで、アメリカの小売大手 Target よりも大きい。Pinduoduo は、モバイルユーザがあまり購入していなかった中国の都市で、未開拓の消費者市場をターゲットにスタートした。つまり、新鮮な肉や野菜を消費者に直接 e コマースで販売するのは難しい農家の方々との結びつきだ。このような商品を個別に梱包して配送するのは、特に各家庭へのラストワンマイル配送の場合、コストがかかる。

Pinduoduo のグループ購入プラットフォームは、双方にメリットがある。農家が大量の注文をまとめて流通拠点にコストをかけずに出荷することで、予算に敏感な顧客は小売市場よりもはるかに安い価格で食品を購入することができる。また、Pinduoduo が生鮮食品を主力商品として選択したことで、多くのリピーターを持つ粘着性のあるプラットフォームが生まれた。果物や野菜、肉などは、家電製品よりもずっと定期的に購入されるからだ。

現在、Pinduoduo のホーム画面には、食品のほかに、紙製品やクリーナーなどの生活用品や、幅広い耐久消費財が並んでいる。商品の価格は、一人で購入する場合と、グループで購入する場合の2つの価格帯がある。グループ購入に必要な人数の友人や家族のグループを作ることもできるし、既存のグループでメンバーを必要としている人を探すこともできる。一方、Pinduoduo は顧客データを収集してサプライヤーに提供し、何がどこで売れるかをより明確に把握できるようにしている。

2015年以降、Pinduoduo は年間取扱高が2,550億米ドルを超え、年間収益も90億米ドルを超えるまでに成長した。中国国内では、Meituan(美団)などの旧来のグルーポンのようなプラットフォームを抜き去り、中国国外でも模倣されるようになった。

東南アジア10カ国からなる ASEAN 地域でも、数多くのグループ購入のスタートアップが登場している。その多くは、現地の「エージェント」や「コミュニティリーダー」と呼ばれる人たちを雇って、購入側の管理をしてもらっている。この人たちは、往々にして主婦だ。例えば、ベトナムの Shoppa は、女性にエージェントとなってもらうことを明確にし、「Ms.Shoppa」になるよう奨励している。副収入を求めている人であれば、誰でもその役割を果たすことができる。エージェントになると、同社のアプリの特別版が与えられる。これは、銀行口座を持たない人々が多い地域で市場を形成するための重要なステップだ。その後、すべての注文がエージェントのもとに届き、そこから各ユーザに配送される。エージェントは、手数料や自分の購入時に追加割引を得ることができる。

近所の人たちとの交流や訪問販売などの社会的な側面を楽しんでいるという声もある。これらのメリットに加えて、関係者全員に金銭的なインセンティブがあるため、このモデルはベトナム(人口9,800万人)や、特にインドネシア(人口2億7,000万人)などの大市場の国々で人気を博している。

ライブコマース

Image credit: TechNode(動点科技)

e コマースのライブ配信は、テレビのショッピングチャンネルと似たようなコンセプトだが、ユニークな特徴と魅力を持っている。中国や最近注目されている韓国では、大手企業のエコシステムが構築されており、多数のスタジオを使って衣料品や美容品などを販売する番組が配信されている。ホストは、エリート・インフルエンサーを目指す多くの若者の中から選ばれる。才能とカリスマ性を武器に、巨大なバーチャルコミュニティのフォロワーに大量の商品を販売することで、マス・パーソナライゼーションを実現する。

中国のスター「Viya(薇婭)」は、歌のコンテストで優勝し、ポップバンドのフロントを務めた後、家業である小売業に戻った。彼女のライブストリームは、「バラエティ番組のようでもあり、インフォマーシャルのようでもあり、グループチャットのようでもある」と評されている。もう一人の中国人インフルエンサー Austin Li(李佳琦)氏は、「口紅王」として知られている。彼は、化粧品の販売員として学んだフェイス・トゥ・フェイスのスキルを活かして、ビジネスライクな効率性を保ちながら、親しみを込めて説明する。30分間のライブ配信で138種類の口紅を塗ったこともあり、それを自分の唇で試すことを恐れない。昨年11月に行われた Alibaba(阿里巴巴)の「光棍節(独身の日)」キャンペーンでは、Viya と Li による売上が1億米ドル以上に達した。

ファッションデザイナーであり、元モデルでもあるインフルエンサーの Zhang Dayi(張大奕)氏は、ライブコマースの鍵はホストが伝えることのできる「信頼性」であると語っている。WWD のインタビューで彼女はこう問いかけた。「あなたはコマーシャルを見るのが好きですか? 人々は広告だからといってそれを信じない」。一方、ライブストリームでは「ホストのことを知ってもらい」、ホストのことを気に入ってもらえれば、「ホストのライフスタイルを欲しがる」のだという。

リープフロッグ効果

アメリカでは、ライブコマースもグループ購入モデルも、アジアで見られるような規模と洗練されたものにはまだ至っていない。その理由の一つは、インターネットが登場する前からアメリカのマーケティングは高度に発達しており、古い手法が新しいメディアに接ぎ木されただけだからだと考えられる。テレビや紙媒体の広告がポップアップ広告に変わり、ダイレクトメールが E メールで送信されるようになっただけのだ。一方、多くのアジア諸国は、二重の飛躍を経験した。アジア諸国の経済は、低水準の繁栄(消費財のマスマーケティングがほとんど行われていない)から高水準へと急速に上昇し、人々はオフラインからモバイルのヘビーユースへと一気にジャンプしたのだ。その結果、新しい時代の新しいマーケティング方法を生み出すための広いフィールドが生まれたのだ。

さらに、アジアにおけるソーシャルコマースは、モバイルソーシャルメディアアプリの普及によって可能になっている。WeChat(微信)の月間アクティブユーザ数は全世界で12億人を超え、その大半が中国国内にいる。また、何百万人もの中国人が Weibo(微博)や動画に強い Douyin(抖音)をスマホに入れている。ASEAN 諸国では WhatsApp が人気を博し、韓国では Naver(네이버)と Kakao(카카오)が覇権を争っている。これらは、Alibaba、シンガポールの Shopee、韓国の Coupang(쿠팡)などの主要な e コマースプレーヤーがライブストリームの取り組みを拡大したり、グループ購入のスタートアップが成長したりするためのユーザインフラとなっている。

今のところ、アジアの状況は流動的だ。ソーシャルコマースはまだ初期段階にある。新しいハイブリッドな形態が生み出されているが、中には問題を抱えているものもある。例えば、中国の Yunji(雲集)は、グループ購入の会員モデルを展開したが、規制当局からねずみ講に似ていると指摘され、変更を余儀なくされた。最後に、ソーシャルコマースの最近の成長は、コロナ禍に多くの活動がオンラインで行われるようになったことに起因しているが、その規模がコロナ後も持続するかどうかはわからない。

しかし、この現象の背後にある勢いを無視することはできない。投資家や起業家が新しい空間に飛び込むだけではない。消費者はソーシャルコマースを受け入れている。消費者は自分の財布で話しているのだ。Pinduoduo をはじめとする、まだ純利益を出していない強力な新興企業には、収益の道筋が見えている。ソーシャルコマースの急増がアメリカや世界に広がるかどうかについては、タイミング、市場やビジネスモデルの選択、そして優れたマネジメントが重要になるだろうと私は考えている。しかし、問題はそのトレンドが果たして来るかどうかではない。(もはや来ることは確実で、それが)いつ、どのように来るか、ということなのだ。

Grab、GoTo、Sea——東南アジアでスーパーアプリの覇権を握るのは誰か?【ゲスト寄稿】

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本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。 This article was first published in Entrepreneur APAC. <関連記事> Golden Gate Vent…

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。

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東南アジアでは、Grab と GoTo という、配車サービスをルーツとして IPO を目指す2つのデカコーンの競争が注目されている。しかし、実際に進行しているのは、世界でも有数の新興市場で、どちらのスーパーアプリが勝利を収めるかという、3つのバトルロイヤルだ。

Grab と GoTo の両社は、配車サービスやフードデリバリの枠を超えて進化している。Grab と GoTo は、配車サービスやフードデリバリだけでなく、モバイルフレンドリーな10カ国の ASEAN 地域であらゆる商品を販売するためのゲートウェイとなる、決済アプリという新たなコアを中心に未来を築いている。両社とも、シンガポールを拠点とする Sea という強力な第3の競合に直面している。

この興味深い問題は、誰が勝つかということではなく、どのようにして勝つかということだ。Grab、GoTo、Sea の3社は、すべてを支配するアプリクラスターの所有に向けて、それぞれ異なる道のりを歩んでいる。ここでは、3社のプロフィールを紹介し、5つの重要な戦略分野で各社がどのような地位を築いているかを見ていこう。

Image credit: kojinaka / 123RF

候補者

Grab は、2012年にマレーシアで設立され、その後すぐに本社をシンガポールに移し、バンコク、ハノイ、マニラなど、約300の都市圏で ASEAN 全体のプレゼンスを確立している。アプリ「GrabPay」を中心に、電子口座、ローン、保険などの金融商品を提供している。

  • 長所:幅広い地域での事業展開、各市場での現地事情に精通していること、全体的に優れたリーダーシップを発揮していること。
  • 短所:スーパーアプリの製品ポートフォリオに、2つの主要な要素が欠けていること。

GoTo は、GojekとTokopediaが最近合併してできた会社で、Gojekはバイクの運転手がストリートレベルの兵士であることから名付けられた。

  • 長所:GoTo は、商品の種類が圧倒的に多い。母国インドネシアの人口は2億7,000万人を超え、ASEAN の中では圧倒的に大きい。
  • 短所:GoTo はインドネシア以外ではあまり存在感がなく、熱心な競合参入者から本拠地のある市場を守らなければならない。

情報開示:Golden Gate Ventures は、Ruma Mapan の買収を通じて Gojek の小口株主となっている。また、Gojek のスピンアウト企業である GoPlay にも出資している。

Sea は、オンラインゲームの制作・販売会社Garenaを母体としている。Sea社は、多国籍ECプラットフォームのShopeeや決済アプリのSeaMoneyも所有している。

  • 長所:ニューヨーク証券取引所に上場している企業でありながら、収益性の高い人気のある2つの分野を持っていること。
  • 短所:??? 後ほど述べる。

5つの戦略的要素で候補者を採点

このスーパーアプリコンテストには、配車サービスとデリバリ、エンターテイメント、eコマース、決済アプリという4つの重要なビジネス競争分野がある。また、5つ目の「無形の領域」は、持続的なリーダーシップとビジョンを持つ創業者 CEO の存在が、全体として戦略的に価値があるとされている。以下に、それぞれの要素が重要である理由と、それぞれの要素について私が Grab、GoTo、Sea をどのように評価するかを示する。ここでは、1点を「完全に準備ができている」、0点を「全く準備ができていない」、その中間を0.5点とするシンプルなスコアリングシステムを使用した。

配車サービスとフードデリバリ

配車サービスだけでは利益が出ないかもしれないが、路上に車が走っていることは、いくつかの点で利益をもたらす。配車サービスは、ユーザ数を増やすためのロスリーダー(利益度外視の目玉商品)になる。フードデリバリは、利益を生み出すとともに、自社の決済アプリを受け入れてくれる加盟店のネットワークを構築する。これらの活動は、人々が企業の活動を実際に目にすることで、リアル世界でのブランド認知度を高めることにつながる。

  • Grab:1点。同社と提携しているタクシーやバイクのドライバーが、遠く離れた何百もの都市で仕事をこなしている。
  • GoTo:1点。Gojek の最先端車両サービス(現在は四輪車も含む)は、現在のところ主にインドネシアであるが、広く浸透している。
  • Sea:0点。配車サービスは行っておらず、フードデリバリも前四半期に開始したばかりで、競合に大きく遅れをとっている。

ストリーミングエンタテインメント

Insignia Ventures Partners の Yinglan Tan 氏が昨年 Wiredfocus に語ったように、テックプラットフォーム企業は「ユーザが長期的にプラットフォームに関与し続けるための計画が必要」で、これはストリーミングエンターテイメントの役割だ。注目を集めると同時に、注目を維持することで、自ら収益を生み出し、人々があなたの会社をスクリーンに映し出すようになるのだ。

  • Sea:1点。Sea 傘下の Garena は明らかに勝者だ。なぜなら、オンラインエンターテインメントでは、ゲームがルールだからだ。多くの若者がモバイルに最初にインストールするアプリはゲームだ。ゲームはソーシャル性が高く、インタラクティブであるため、注目を集めることができ、参入障壁が高く収益性の高いビジネスである。
  • GoTo:0.5点。GoTo のエンターテイメントユニット「GoPlay」は、アジアの長編映画やビデオシリーズをストリーミング配信している。これらも人気があるが、競争相手はたくさんいる。独自のニッチを開拓するために、同社は現在、ジャカルタを舞台にしたアメリカのシリーズ「Gossip Girl」のリメイク版など、GoPlay オリジナル作品を制作している。また、若者に人気のライブストリーミングサービスも開始している。これは、形式的なものだが、GoPlay のコンテンツがインドネシア中心であるのに対し、Garena のコンテンツは ASEAN 全体にアピールしているので0.5点とした。
  • Grab:0点。数年前、Grab はアジアの配給会社である Hooq と提携し映画やシリーズに進出したが、Hooq は倒産してしまった。現在、Grab にはエンターテイメントはサービス提供していない。

e コマース

Amazon の e コマースモデルは、大量の在庫を事前に購入して倉庫に保管するため、薄利多売となる。アジアの企業は、売り手と買い手をマッチングさせる軽量なマーケットプレイスモデルを好んで採用し、大量生産で高収益を実現している。しかし、東南アジアでは e コマースの競争が激しく、Alibaba(阿里巴巴)傘下の Lazada やインドネシアのユニコーン Bukalapak など、さまざまな企業が参入している。

  • Sea:1点。Sea の eコマース部門 Shopee は、ASEAN 全域で事業を展開しており、昨年は Tokopedia の母国であるインドネシアで、Tokopedia を上回るサイト訪問者数を記録した。ASEAN の e コマース事業者のトップリストには、Shopee が必ず含まれている。
  • GoTo:0.5点。Tokopedia は、Gojek との合併に強力なプラットフォームを提供している。十分にサポートされた事業者ネットワークはさまざまな商品を提供し、総取扱高は伸び続けている。しかし、インドネシアでは5社以上のユニコーンがトップの座を争っているため、プラットフォームの国内重視の姿勢が弱点となっている。もし Tokopedia が国内での戦いに負けるようなことがあれば、その見通しは厳しいものになるだろう。
  • Grab:0点。e コマースはサービス提供していない。

決済アプリ

中国での Alipay(支付宝)の成功が示すように、広く使われている決済アプリを所有することは、3つの大きなメリットをもたらす。アプリは有料サービスの収益源であり、(Ant Financial=螞蟻金融が行っているように)金融商品を販売するためのハブであり、さらにアプリを利用する顧客のデータの宝庫でもある。このデータを分析することで、今後のマーケティングの対象としたり、顧客の消費力を判断したり、さらには新しい製品ラインやパートナーシップへの戦略的ベンチャーを形成したりすることができる。

  • Grab:0.5点。GrabPay は強力で、東南アジア全域で人気が高まっている。また、Grab はインドネシアの OVO やベトナムの Moca のようなローカルプレーヤーとの提携を積極的に行い、最大の露出を図っている。しかし、これは、顧客を所有し、データを利用してより多くのサービスを販売するという点ではアキレス腱である。Grab が優位に立つためには、現地の決済会社を買収する必要があるだろう。
  • GoTo:0.5点。GoPay も人気が高まっており、大小の加盟店で受け入れられている。しかし、インドネシア以外の市場で GoPay が決済手段として選ばれるようになるとは考えにくい。また、Tokopedia との合併により、外部の加盟店が購入履歴へのアクセスを提供できなくなる可能性がある。
  • Sea:-0.5点。SeaMoney は、Garena のゲーマーや Shopee での買い物には問題なく利用できる。問題は、Sea が配車サービスやデリバリのインフラを持っていないことで、アプリの幅広いユーザー層や受け入れ可能な加盟店の幅広いネットワークを構築するチャンスが大きく制限されていることだ。この欠点は、多くの悪影響を及ぼす可能性があるため、Sea に罰則を与えなければならない。

創業者 CEO の存在

テックスタートアップは、元々の製品やビジネスモデルの規模を拡大するだけでは、大きく成長することはできない。技術革新と進化が必要であり、創業者(またはその一人)がこのような発展段階を経て会社をリードし続けることに価値がある。Alibaba では、Jack Ma(馬雲)氏が起業家としてのビジョンや文化を守り続けた。Apple は、Steve Jobs 氏の下で初期に繁栄し、彼が去ったときには低迷し、彼が戻ってきたときには再び奮起した。Amazon、Facebook、Airbnb、Microsoft、Intel など、いずれも主要な創業者が持続的にリーダーシップを発揮している。新しいリーダーへの引き継ぎは、会社が確固たる地位を築いてから行うのが理想的だ。

ASEAN のスーパーアプリ戦争では、まだ誰も確固たる地位を築いていない。これからたくさんの革新が起こるだろう。創業者 CEOが率いる企業は、無形だが大きな強みを持つことができるだろう。

  • Grab:1点。Anthony Tan 氏は、ハーバード大学の MBA 学生としてこのスタートアップを構想し、それ以来、スマートに同社をリードしてきた。
  • Sea:1点。Forrest Li 氏は、Garena がまだ創業後間もなかった頃に買収し、それを中心に Sea を構成する残りの部分を構築し、現在も指揮を執っている。
  • GoTo:0.5点。Gojek の主要創業者である Nadiem Makarim 氏は、現在インドネシアの教育文化大臣を務めている。Tokopedia の主要共同創業者らも、合併後の GoTo を率いることはないだろう。合併によって強力な新会社が誕生する一方で、2つの大企業を統合するという複雑な問題が発生し、リーダーシップチームには多くの負担がかかる。しかし、何人かの共同創業者は、まだビジョンを推進するために参加している。Gojek 元 CEO の Andre Soelistyo 氏と Tokopedia 元社長の Patrick Cao 氏のドリームチームは、インドネシアのビジネスを成功させるための20年にわたる知識を持っている。

トータルスコア

これまでのところ、レースは互角のように見えるが、私は優位に立てる可能性があると考えている。私の読みでは、Grab の強みは決済と地域拡大であり、Sea の強みはスティッキーなエンターテインメントと e コマースである。 GoTo の強みはインドネシアであり、総力戦に向けて準備を進めている。VC として好きなタイプの企業は、壁に背を向けて生き残りをかけて戦っている企業だ。GoTo はそのような企業だ。

東南アジアは大きく成長している。勝者は1人だけではなく、各関係者が戦略的に動く余地があり、買収からメガ合併まで幅広く考えられる。いずれにしても、期待できることが1つある。このバトルロイヤルがどのように展開するかを見ることで、他の市場におけるスーパーアプリのプラットフォーム企業の将来について多くのことを知ることができるだろう。

gojekとGrab、そのUberを凌駕する事業戦略——アジアのスーパーアプリ、これまでと今後【ゲスト寄稿】

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本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Fast Company(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。

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Image credit: Grab/gojek

2009年、Uber の共同創業者らが会社設立の準備をしていた頃、アジアの若い起業家らがハーバード・ビジネス・スクールの MBA プログラムに入学してきた。その中から、まったく異なる進化を遂げた2つの配車スタートアップが誕生した。現在 Grab と呼ばれている会社は、マレーシアの学生である Anthony Tan 氏と Hooi Ling Tan 氏(二人は偶然苗字が同じなだけで血縁関係は無い)がビジネスプランコンテストに応募する際に考案したものだ。優勝はできなかったが、その後、東南アジアの ASEAN 10カ国の急成長都市で Uber を追い抜くまでになった。

一方、ジグザグの道のりでトップに立った同級生もいた。 Nadiem Makarim 氏は、故郷インドネシアの仲間とリモートで仕事をしながら、MBA を取得する際のサイドプロジェクトとして gojek を立ち上げた。この配車サービスは、マッサージセラピーから映画製作まで、さまざまなビジネスに異業種展開している。そして今週、gojek は e コマース大手の Tokopedia との合併という、インドネシア史上最大のビジネス取引を発表した。(情報開示:Golden Gate Venturesは、Ruma Mapan の買収を通じて gojek の小口株主となっている。また、gojek のスピンアウト企業である GoPlay にも投資している。)

gojek と Grab はともに、ベンチャー企業が資金を提供するデカコーンとなり、それぞれがニューヨークとアジアの証券取引所での IPO を目指している。そして、東南アジアの人々の携帯電話の画面に表示される、配車サービス以上のものを独占しようと競争している。Grab と gojekはそれぞれ、アメリカ市場ではまだ見られないものを提供している。それは、人々が購入したいと思うあらゆるものを販売するための潜在的なゲートウェイである決済アプリを備えた、スーパーアプリの組み合わせだ。

gojek の紆余曲折

Image credit: gojek

gojek は2010年にささやかにスタートした。遠く離れた創業者がパートタイムで指揮を執る、ローカルでローテクな事業だった。この会社は、インドネシアの首都ジャカルタで、ojek(インドネシア語でバイクタクシーのこと)のドライバに電話やツイッターで乗り物を予約するコールセンターに過ぎなかった。このモデルは高い成長を約束するものではなかったが、ドライバと客とやりとりを通じて貴重な経験を得ることができた。

スマートフォンの普及に伴い、gojek は2015年にモバイルアプリのプラットフォームとして再出発し、拡大を目指した。創業者のMakarim 氏は当時、フルタイム CEO を務めていたが、社内に技術スタッフはほとんどいなかった。そこで彼は、アプリの開発を を開発会社の Ice House Indonesia に委託した。このような奇妙で少々怪しげな戦術にもかかわらず、gojek は、現場での経験とインドネシアの新興市場の大きさを武器に、ベンチャーキャピタルから資金を集めることができた。インドネシアは世界で4番目に大きい国で、人口は2億7千万人を超えている。

そしてこの時点で、gojek はオンラインプラットフォーム企業を作るための標準的なプレイブックを覆した。慣例では、最初は1種類の製品やサービスに集中し、徐々に他の製品やサービスを追加していくというものだ。Amazon は本屋として4年間活動した後、音楽やビデオを扱うようになった。Uber は5年前に Uber Eats を追加したばかりだ。しかし、gojek は、ある意味で〝一つのことに集中する宿題〟をすでに済ませていたのだ。モバイルアプリとして再出発したとき、同社は MVP(最小単位製品)モードから、製品の種類を最大限に増やすことへと一気に加速した。配車サービスに加えて、調理済食品や食料品、処方箋薬の配達も開始した。2016年4月には、決済アプリという重要な要素が加った。車やバンを持つドライバが、バイクサービスのー団に加わった。そして、電撃的な買収が行われた。

gojek は、地元のサービスプロバイダと提携し、さまざまなサービスを提供した。マッサージセラピストが必要ですか? 掃除屋さん? gojek のドライバは、そのどちらか、または両方を客の家に届ける。また、トラックのレンタルや自動車修理も問題ない。この戦略は、「ラピッドプロトタイピング・フェイルファースト」の一形態と言えるだろう。今ではこれらのサービスのほとんどがなくなってしまった。VC からの資金調達と収益の増加により、gojek は、3つのスーパーアプリを中心に約20の製品ラインを持ち、より充実したラインナップを構築した。その中には、大規模なものも含まれており、さらに大きなものも登場している。

Image credit: gojek

決済アプリである GoPay には、保険や投資などの金融商品が付随している。このビジネスグループは、アリババのアリペイやアント・フィナンシャルと同様に、半独立してスピンアウトしている。GoPay には、決済大手の Paypal、Facebook、Google などが出資している。

印象的な動きとして、gojek はエンターテイメントのストリーミングに手を広げた。アプリ「GoPlay」では、アジアの長編映画や動画エピソードに加え、「Netflix Originals」にちなんで名付けられたカスタムメイド「GoPlay Originals」がストリーミングされている。これらの作品には、アメリカのティーン向けシリーズ「Gossip Girl」をジャカルタをテーマにリメイクしたものや、「Filosofi Kopi(インドネシア語で「コーヒーの哲学」)」などがある。「The Series」は、インドネシアの人気映画から派生したものだ。

gojek はインドネシアの e コマースプラットフォーム「Tokopedia」と合併、メガ企業 GoTo が誕生する。興味深いことに、Alibaba(阿里巴巴)は Tokopedia に、Tencent(騰訊)は gojek に出資しているため、新会社 GoTo は中国の大手企業を共同出資者として、上場を目指すことになる。

以前、gojek と Grab は合併の可能性があると思われていたが、その交渉は決裂した。まもなく単独での上場を予定している Grab は、製品の多様性では gojek に劣るが、ASEAN 全体での存在感ははるかに大きく、異なる種類のアプローチで Uber を東南アジアから追い出した実績がある。

Grab の勝利方程式

Image credit: Grab

gojek の Uber に対する主な強みは、渋滞を縫って移動できる軽快な Ojek のバイク群と、安い料金で呼べることだったが、Grab は多国籍企業としての急成長と各市場に対するローカルな感性を組み合わせた戦略で勝負に出た。Grab はこの組み合わせにより、各国で最も価値があり、かつ微妙な違いがあり、規制が厳しい分野のひとつである決済・金融サービスを開拓した。決済アプリは、潜在的な収益源であるだけでなく、顧客とその消費パターンに関するデータが常に蓄積されているという点でも、非常に価値がある。このデータを活用すれば、あらゆる製品やサービスのマーケティングに役立てることができる。

Grab は2012年にマレーシアの首都クアラルンプールでデビューした。初日からアプリを使って規模を拡大し、最初の1年でマニラとシンガポールに進出し、その後も都市部の市場を増やしている。現在、Grab は、ASEAN 10カ国のうち8カ国、約300の都市圏で事業を展開している。バンコクやホーチミンシティのような巨大都市から、ベトナムのベンチェーやマレーシアのタワウのような人口10万〜50万人程度の地方都市まで、さまざまな都市で展開している。

Grab はそれぞれの新市場において、外国の競合相手ではなく、現地のタクシードライバや車両オーナーのパートナーとして、より効率的に運賃を探せるプラットフォームを提供した。Grab は、Uber が対応していない現金払にも対応し、かつてはタクシーに乗ることさえためらわれていた都市で、安全性と信頼性を強調することで顧客に対応した。Uber はアメリカでは隔週払いの給与モデルを採用していたが、Grab はアジアの多くのドライバが、客がクレジットカードで支払をしても、毎日現金を必要としていることに気づいた。そこで Grab はまず週払で給与を提供し、その後ドライバを「GrabPay」アプリに切り替えさせ、乗車後すぐに支払を払い出せるようにした。

さらに、Grab は各市場で現地の投資家を募り、現地の技術者や管理者を採用した。これは、Uber がアメリカの資金に頼り、アメリカ人スタッフを〝輸入〟していたのと対照的である。現地投資家は、入手困難な配車サービスライセンスや決済ライセンスの取得など、さまざまな面で Grab に貢献している。 現地投資家は、Grab がフィリピンで繁栄することを確実にした一方で、gojek はそれから数年後の2019年にフィリピンの配車サービスライセンスを取得できなかった。シンガポールでは、政府系ファンドの Vertex が、Grab に多額の初期資金と繁栄する都市国家の市場へのアクセスを提供した。また、Grab は本社をマレーシアからシンガポールに移転し、豊富な人材を獲得した。Grab は多くの場所で、財閥系の富裕層に投資を依頼し、時には彼らを雇用することもあった。例えば、高級ホテル Shangri-La のオーナーと関係を持ち、このホテルの一等地に送迎レーンを確保したこともある。

今後の展望

Image Credit: Grab

Grab には世界的に大きな支援者がいる。主要な投資家には、ソフトバンクや Uber 自身などがいる。Uber は、ASEAN から撤退する際に ASEAN の資産を Grab の株式と交換した。Grab と gojek-Tokopedia 連合の両社が IPO 資金を得た暁には、両者の競合関係が注目される。そして何より、この2つの新進気鋭の企業の今後は、スーパーアプリのビジネスモデルの将来を占う上での試金石となるだろう。

Grab のスーパーアプリ・クラスターは gojek に比べてスリムだが、重要な決済・金融のコアを持っているという点で、まだ強力な力を持っている。gojek のストリーミングエンターテイメントは、強力な切り札になる可能性がある。gojek は、人々に注目され、自分の作品をスクリーンに表示させ、その状態を維持することができる。GoTo との合併で gojek のポートフォリオにオンラインショッピングが加われば、それは大きな力となるだろう。

Grab と GoTo は、スーパーアプリで配車サービスとその他の交通手段を提供するという、Uber の手法をはるかに超える領域を目指している。この軌道は理にかなっていると思う。配車サービスはどこで試みられても、商品を販売するためのユーザベースを構築するためのロスリーダー(訳注:集客数を上げるため、収益を度外視した低価格で販売する目玉商品のこと)として最も適していると思われる。アジアの2大企業は、従来の配車サービスアプリをタクシー乗り場に残し、業績を向上させるサービスをバンドルすることで Uber を凌駕している。

未来の働き方はワーク・オンデマンド、その方法を提供する世界のスタートアップをご紹介【ゲスト寄稿】

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。 This article was first published in Entrepreneur APAC. <関連記事> 世界的な「後払い(Buy Now…

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。

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「ギグ・エコノミー」から「ギグ」という文言を削除する時が来ただろうか? ほとんどの電話がスマートになった今、誰も「スマートフォン」とは言わななった。そして今、私たちは、オンデマンドで必要に応じて仕事をすることが、仕事の未来だと思われる段階に来ている。すべての仕事ではなく、多くの仕事でだ。マッキンゼーの調査によると、61%の企業が今後数年の間に、より多くの短期労働者を雇用することを期待している。他の調査によると、専門職からブルーカラーの仕事まで、あらゆるカテゴリーでこの慣行が増加している。

市場の変化に柔軟に対応したいという雇用主のニーズと、それに合わせて仕事をしたいという人々のニーズや欲求——そんな2つの力がこのトレンドを後押ししており、その影響はスタートアップの領域で顕著に見られる。多くの新興企業が成長のために柔軟な人材を求めている一方で、必要な人的資源を提供し、サポートする企業も現れている。

東南アジアの VC である当社は、ASEAN10ヵ国で起きているこの現象を目の当たりににしている。このような動きは、モバイルテクノロジーを中心とした急速な近代化と、それに耐えうる伝統的な制度とが融合した、世界の中でも多様性に富んだ地域で独自に展開されることが多いのだ。匿名の例を挙げてみよう。新興企業 A 社は、2億7,000万人以上の人口を抱える広大な国インドネシアでモバイル決済アプリの普及に努めている。そのためには、道端の小さな屋台から実際のレストランまで、地元の飲食店を経営するワルンと呼ばれる業者を取り込むことが重要だった。ワルンは国中に存在するため、決済プラットフォームに登録するには、特定の地域を直接訪問する必要がある。そこで、オンデマンド人材派遣会社であるスタートアップ B 社が、数日後にはチームを結成して対応にあたった。

新しい人材派遣業は、オフラインとリアルの仕事をマッチングさせるマーケットプレイスを中心に展開されている。しかし、このような働き方を実現するためには、フレキシブルなスタッフを管理するためのツールや、最も需要の高い仕事のために労働者を訓練するなど、他の要素も必要だ。ここでは、世界と東南アジアの5つの産業分野における代表的なプレイヤーとビジネスモデルをご紹介する。

オンデマンド・スタッフィングのマーケットプレイス

Image credit: Upwork

企業がフレキシブルなスタッフィングを利用する理由の一つに、定期的なプロジェクトワークへの対応がある。これには Web 開発者やグラフィックデザイナーなどのホワイトカラーが関わっており、このような人材を対象としたオンラインマーケットプレイスの代表的な存在がアメリカの Upwork だ。人手を必要としているクライアントは、このサイトにプロジェクトを掲載し、その仕事に応募してきたフリーランサーを面接して選ぶことができる。

東南アジアのマーケットプレイスのスタートアップの多くはそれぞれ異なる、ブルーカラーやグレーカラーの仕事のニーズが多いからだ。マレーシアの GoGet は、興味深いダブルプラットフォームモデルを採用している。「ビジネス」ポータルでは、労働者からデータ入力スタッフ、展示会のヘルパーまで、さまざまな労働者をオンデマンドで提供しており、「ホーム&ライフ」ポータルでは、個人の買い物客、家事手伝い、列の立ち番などを個人で雇うことができる。一方、インドネシアの Sampingan(Golden Gate Ventures の投資先)は、企業の顧客にターンキーアプローチを提供することに重点を置いている。同社は、オンラインマーケティング用のナノインフルエンサーを含む、非常に幅広いブルーカラー/グレーカラーの労働者を擁し、ワークマネジメントツールとサービスを一式で提供している。後者は、それ自体が重要な製品ラインとなっている企業もある。

スケジューリングとスタッフ管理

クライアント企業にとって、フレキシブルなアワーリーワーカーの活用は、サラリーマンの場合よりも難しい。一人一人が特定の時間にしか働けないこともある。しかし、全員を効率的に採用し、必要に応じてチームでスケジュールを組み、給与支払のためにタイムレコーダー管理を行わなければならない。アメリカの WurkNow は、ブロックチェーンを利用したモバイルベースのシステムを提供している。

ベトナムでは、サムスンのようなグローバル企業からの受託製造が経済の大きな部分を占めている。スタートアップの Viet.co は、中小企業向けにオンデマンドの労働者と管理ツールを提供することで、ニッチな分野を開拓している。シンガポールに拠点を置く StaffAny は、会社の垣根を超えて働くことを可能にする管理スイートを持っている。これにより、ワーカーは仕事の機会を組み合わせて働くことができ、同時に ASEAN 全体の労働力をより流動的にすることができる。また、インドネシアの AdaKerja は、スケジューリング、給与計算、リクルーティングを1つのサービスにまとめ、これらの付加価値サービスを融合させている。

賃金への早期アクセス

欧米でも東南アジアでも、給料日までの生活を余儀なくされている労働者には、早期賃金アクセス(EWA)プログラムが人気だ。EWA には、プレペイデイ・ローン(給料日前貸出)を低金利で利用できるものと、これまでの労働時間に応じてお金を受け取ることができるものがある。アメリカでは、BranchPayActiv などの企業がこの分野の初期のリーダーだ。ASEAN のスタートアップでは、GajiGesaWagelyGajiku などが有名だ。

EWA サービスは通常、バンドルの一部として提供される。例えば Branch は、EWA とスケジュール管理や給与管理を統合したエンタープライズパッケージを販売している。PayActiv や Wagely などは、従業員が自分で予算を計画・管理できる「ファイナンシャル・ウェルネス」システムを提供している。

国境を越えた仕事の円滑化

今月初め、Papaya Global は1億米ドルを調達しユニコーン入り。それを祝して、NASDAQ MarketSite に社名が表示された。
Image credit: Papaya Global / NASDAQ

海外での雇用は、バーチャルなリモートワークの容易さと、経済のグローバル化が大きな要因となっている。我々の VC はシンガポールに本社を置いているが、ここでは世界中の人々が仕事をしているし、東南アジアの人々は家と仕事の間で物理的に国境を越えることも珍しくない。このような形態は、人材を確保するには最適だが、各国の雇用規制に対応するには頭痛の種となる。

アメリカの Deel やイスラエルの Papaya Global は、このような複雑な問題に対処するために設立され、それぞれ140カ国以上のコンプライアンスに対応している。シンガポールに拠点を置く Multiplier は、ASEAN 企業の国境を越えたコスト削減と人材アクセスの拡大を専門としており、これは東南アジア全域で成長しているスタートアップにとって非常に重要なニーズだ。

職業訓練

アメリカを拠点とする Lambda School は、コーディングやデータサイエンスのオンラインキャリアプログラムを提供しており、革新的な延納モデルを採用している。公務員が重要な雇用手段である中国では、Offcn Education Technologies(中公教育)が、公務員試験の準備やトレーニング、教員養成、職業訓練などのコースを提供し、ユニコーンの地位を獲得している。

ASEAN 諸国の政府は、オンデマンド・ワークへの支持を強めている。インドネシアでは、2020年の「オムニバス法案」で労働法を緩和し、迅速な臨時雇用を可能にしたほか、新型コロナウイルスによる経済的影響からの回復を早めるための大規模なプログラムを開始した。失業者は、近い将来の社会的支援と再就職のためのトレーニングを受けることができる「prakerja(就職前)」アカウントを取得できる。

prakerja プログラムは、人々を支援すると同時に、スタートアップのエコシステムを刺激するという二重のメリットがある。Kitalulus のような新しい企業がトレーニングを実施するために設立され、既存のスタートアップも後押しされている。急成長中のエドテック企業 Ruangguru は、初等・中等教育科目のオンライン家庭教師や自己学習用のモバイルプラットフォームを持っている。現在は、企業向けのトレーニングプラットフォームの提供にも乗り出している。コアラインと新ラインの両方が成長し続ければ、小学1年生からミドルエイジのキャリアチェンジまで、あらゆる段階でモバイルベースの学習を提供できる企業になるだろう。

結論

アウトソーシングは世界をフラットにした。オンデマンド・ワークは次の進化だ。理想的には、すべての人にとって経済がより効率的かつ効果的になることだ。

東南アジアでは、オンデマンドのスタートアップは課題を抱えている。例えば、優秀なトラックドライバーや倉庫作業員が履歴書を持っていないような地域では、ブルーカラーの労働者を事前に確認することは困難だ。しかし、ASEAN にはイノベーションを生み出すための多くの利点がある。この地域は巨大(総人口約7億人)かつ成長しており、モバイルフレンドリーだ。また、シンガポールだけでも4つの公用語を持つなど多様性に富んでいるため、スタートアップは設立当初から多彩な成長モードに入ることができる。未来の仕事の形が見えてきたとき、その多くが東南アジアで生まれてくることを期待している。

本稿の執筆には、Nidhi Singh 氏の協力を得た。

世界的な「後払い(Buy Now, Pay Later)」ブーム、東南アジアが牽引するかもしれない理由【ゲスト寄稿】

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本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。 This article was first published in Entrepreneur APAC. <関連記事> Golden Gate Vent…

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。

This article was first published in Entrepreneur APAC.

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1958年、ソビエトとアメリカの宇宙開発計画が人工衛星を軌道に乗せるための競争を繰り広げていた時、Bank of America は、地球上に多大な影響を及ぼすであろう商品を発売した。BankAmericard は、後に Visa となり、リボ払いのクレジットカードの普及の先駆けとなった。これは宇宙時代の消費者に「現代の支払方法」として宣伝された。

今、新しい支払方法が飛び立とうとしている。BNPL(Buy Now, Pay Later=後払)モバイルアプリの世界での利用は、2018〜2019年の1年間から162%急増した。アメリカでは昨年、BNPL は240億米ドルの購入額を占めた。パンデミックが始まったとき、従来のクレジットカードの取引量は減少したが、BNPL は e コマースの成長と並んで上昇を続けた。BNPL は、今後数年間でデジタル購買の中で最も急速に成長する形態になると予想されており、2025年までに世界中で3,500億米ドル近くの取引に達すると予測されている。

これまでのところ、BNPL の成長は、それぞれスウェーデン、アメリカ、オーストラリアに拠点を置く Klarna、Affirm、Afterpay などの欧米系スタートアップが牽引してきた。これらの企業は、他のいくつかの企業と合わせて年間30億米ドルを超える収益を上げ、昨年の Mastercard の収益の約20%に達すると予想されている。 しかし、東南アジアでは、BNPL には3つの特長がある。第一に、クレジットカードの普及率が低いため、BNPL にとっては競争が少ないこと。第二に、銀行がクレジットカード発行のために必要とする信用格付け機関が実現するのは、ほとんどの ASEAN 諸国では10年も先のことであること。 そして最後に、負債を嫌うアジアの文化は、「現金と同じ」と感じる「ゼロ金利」の分割払いを温かく受け入れていること、だ。

そのため、当社の東南アジアのベンチャーキャピタルは、ASEAN 10カ国の BNPL 新規参入企業に注目している。インドネシア、ベトナム、マレーシアなどの発展途上国や、小さいながらも高度に発展したシンガポールでは、課題を抱えている市場がある一方で、BNPL モデルのメリットに対する強い受容性も見られる。

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バリュープロポジションと ASEAN の成長

「Klarna」
Image credit: Klarna

クレジットカードの借金を回避したい、または回避する必要がある消費者のために、BNPL は古い概念を現代風にアレンジした分割払いプランを提供している。あなたがミレニアル世代(主要な見込み客層)で、新しいアパートの家具を探しているとしよう。Web 上で素敵なソファを見つけたものの、それは数百米ドルとあなたの給料では高額だ。理想的にはコーヒーテーブルも欲しいところだが、それだとさらに高くなってしまう。「カートに入れる」ボタンの隣には、数ヶ月間の支払をゼロ金利で分散できるオプションがあり、すぐにこのクレジットの資格を得ることができる。「たった5つの情報でリアルタイム審査できる」と、ある BNPL 企業の売り文句には書かれている。だから、あなたもソファを購入し、カートにテーブルを入れる。

この典型的なシナリオは、BNPL 企業がクレジットカード会社よりも加盟店に高い取引手数料を請求できる理由を示している。BNPL は、クリックスルーのコンバージョン率を高め、BNPL が無ければ発生しないような販売を促進する。さらに良いことに、それは AOV(平均注文量)を押し上げる。一方、新規顧客にはアプリが提供され、加盟店の商品の定期的なプロモーションが表示され、リピートビジネスも増加させる。

BNPL のアカウントを持つ顧客は、もちろん過剰な支出をしたくなるかもしれない。クレジットカードと同じように、延滞料が発生したり、有利子ローンを組んだりすることになるかもしれない。しかし、簡単で無利息のエントリーポイントを提供し、ワンタッチで口座の状態を透明化できるアプリと組み合わせることで、新規ユーザを維持するのに十分なのだ。特に東南アジアでは、文化的にクレジットカードが敬遠されている一方、無利息の分割払いがスマートな支出方法のように感じられている。欧米では60~80%であるのに対し、ASEAN のクレジットカードの普及率は低く、ほとんどの国では数%ないし20~30%となっている。対照的に、人口2億7,500万人を持つ東南アジア最大の国であるインドネシアでは、BNPL 企業の Kredivo と Akulaku の2社が、Google Play 上で既に1,000万件以上アプリがインストールされている。シンガポールで設立・拠点を置く Hoolah は、2020年の一年間で取引量を1,500%増加させた。

この急速な成長は、BNPL 企業がクレジットカード会社とは根本的に異なる点にも起因している。クレジットカードは、銀行口座間のリンクとしての役割を果たす。例えば、Visa や Mastercard は、実際にクレジットカードを発行する銀行から、あなたが購入した加盟店口座に送金する。一方、独立した BNPL は、ネットワークリンカーとバンカーを一つにまとめたものだ。Hoolah は買い手にクレジット機能を提供し、売り手にお金を直接支払う。これにより、従来の銀行取引のような手間をかけずに、新しい加盟店を簡単にオンボードすることができる。

明らかなマイナス面は、BNPL がより多くのリスクを負うことだ。景気後退の局面で、Visa は収益を失うかもしれないが、デフォルトについて心配する必要はない。しかし、BNPL 事業を立ち上げるとき、あなたはその日から立ち往生する可能性がある。そして、アントレプレナーシップのすべての分野でそうであるように、チャレンジをチャンスに変えることで成功することができる。

ASEAN の BNPL はどう輝くか

ネットプロテクションズが2020年に発表した世界の BNPL カオスマップ
Image credit: Net Protections

おそらく一番厄介なのは、クレジットに申し込む人の審査だ。それは迅速に行われなければならない。クレジットカードを利用する資格が無いかもしれないが、それにもかかわらずリスクが高いユーザを対象にしなければならないため、スイートスポットが存在する。さらに、東南アジアのような比較的新分野の市場では、従来の審査は厳しくなる。前述の通り、ほとんどの国にはアメリカ型の FICO スコアを作成する信用情報機関がない。多くの人々は、いずれにしても信用情報が乏しく、多くの人々は銀行から融資を受けていないか、あるいは最近融資を受け始めたばかりだ。

プラス面としては、デジタルウォレットの利用率が高いことが挙げられる。大手の GrabPay と GoPay は、人気の高い配車サービスや宅配サービスを提供する企業によって誕生したもので、ASEAN 全体で巨大なユーザ基盤を持ち、成長を続けている。シンガポールに拠点を置く Grab とジャカルタに拠点を置く Gojek だ。このようなウォレットを利用することで、詳細な支出履歴を把握することができる。

すべての要素を考慮すると、BNPL は今後5年から10年で東南アジアで爆発的に成長すると私は見ている。主要なプレイヤーは、リスク評価のためのアルゴリズムやデータセットを開発しており、時間が経てば経つほど価値が高まるだろう。ユーザが利用を始めた後のリスクに積極的に対処するために、BNPL 企業は顧客エンゲージメントや支払スケジュールの調整などの分野でイノベーションを起こしている。

また、欧米の BNPL がよく扱う取引よりも小規模な取引でも利益を上げられるようになってきている。(例えば、アメリカの Affirm は、2,000米ドル以上の Peloton 社製エクササイズバイクの購入に多くの資金を供給している。消費力が低いながら成長している ASEAN 市場では、平均的な買い物は200米ドル以下だ。最も多く購入されているのは衣料品や身の回りのアクセサリーなどである。)

また、従来の銀行やグローバルなクレジットカード会社を利用したいと考えていても、今のところ利用できていない顧客を、この地域の BNPL 企業が獲得していることがわかる。注目すべき新進気鋭の企業としては、Hoolah、Pace、Atome、日本の Paidy などが挙げられるだろう。 さて、ここで最後のポイントだが、こういった企業は自国や近隣の市場の強みを活かして成長しているが、サイバースペースには国境が無い。ASEAN のトップ企業は、英語と地元言語の両方でサービスを提供している。新しい消費者金融の質問は「財布の中に何が入っているか」ではなく「スマートフォンに何が入っているか」だ。その答えが東南アジアの BNPL アプリになる日が来ても驚かないでほしい。

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Golden Gate Ventures、マレーシアのスタートアップに1,800万米ドルを投資へ

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東南アジアに拠点を置くベンチャーキャピタル Golden Gate Ventures は、マレーシアのスタートアップに1,800万米ドル(7,500万リンギット)を投資することを発表した。マレーシアのスタートアップに対する同社の投資は今回で3回目となり、国内にオフィスも開設するという。 同社のマネージングパートナーである Vinnie Lauria 氏によると、今回の取り組みによって「マレーシアで…

Golden Gate Ventures のメンバー
Image credit: Golden Gate Ventures

東南アジアに拠点を置くベンチャーキャピタル Golden Gate Ventures は、マレーシアのスタートアップに1,800万米ドル(7,500万リンギット)を投資することを発表した。マレーシアのスタートアップに対する同社の投資は今回で3回目となり、国内にオフィスも開設するという。

同社のマネージングパートナーである Vinnie Lauria 氏によると、今回の取り組みによって「マレーシアでの地盤作りが強化される」という。

Golden Gate Ventures は過去に、GoQuo、ServisHero、Codapay、Funding Societies など、マレーシア育ちのスタートアップ数社に投資を行っている。

同社は、シンガポールでピアツーピア(P2P)マーケットプレイスを運営する Carousell など、マレーシアに国外から進出してきた企業にも投資している。さらに、同社の投資先企業である Homage に関しては、オンデマンドの介護サービスをマレーシア国内で提供するためのサポートを行っている。

Lauria 氏は以下のように話した。

マレーシアでの投資額はすでにかなりの額になっており、東南アジア地域でビジネスを拡大するための拠点にもなっています。また、マレーシアは ASEAN を代表する国であると私たちは考えています。様々な文化が混ざり合い、他では見ることのできない多様性があり、まさに ASEAN 全体の縮図のようです。

Golden Gate Ventures のもう1人のパートナーである Justin Hall 氏によると、マレーシアの多様性あふれる経済と人口構成によって、同国の市場向けに開発された製品やサービスには最初から高い拡張可能性が備わっているとのことである。

スタートアップにしてみれば、マレーシアで成功すれば、東南アジアのどこでも成功することができるということです。(Hall 氏)

Lauria 氏は、マハティール・ビン・モハマド首相が率いるマレーシア新政権によって同国の市場に楽観主義が広がっていると考えている。マハティール首相は1981年から2003年にも首相を務めており、マレーシアを東南アジア地域の経済の中心に変革させたことで広く知られている。

マレーシアの新政権は今年の選挙で歴史的な勝利を収め、支持率も高くなっています。国民の間には楽観的な考えが広がり、そのムードがビジネスの世界にまで及んできていると感じています。

また、マレーシアの急速に発展するエコシステムについても次のように指摘した。

マレーシアでコワーキングスペースビジネスが見られるようになったのはつい1年前のことです。しかし、この分野は猛烈なスピードで成長しています。これまでの経過を見る限り、マレーシアの多くの起業家がすでに規模拡大に向けた具体的なプランを持っています。それこそが、私たちがマレーシアにオフィスを開いてビジネスを強化しようとしている理由なのです。

Golden Gate Ventures は今回、マレーシアのスタートアップ何社に投資するかを公開していない。しかし、Lauria 氏によると、同社の包括的な投資哲学でもある、消費者目線でビジネスを行う企業に注目しているという。

シリーズ A ステージにあり、シードファンディングを完了していることが今回投資を受けるスタートアップの条件となっている。

モバイルソリューションやオンラインソリューションを使ってユーザにアプローチしているスタートアップが特に有力です。例えば、インシュアテック、エドテック、メドテック、e コマース、B2B SaaS を行っているスタートアップがこれにあてはまります。しかし、最終的に一番大事なのは顧客であり、私たちも消費者のインターネット上の動向に気を配っています。(Lauria 氏)

Golden Gate Ventures は中小企業向けソリューションを開発しているマレーシアのスタートアップにも注目している。

中小企業は消費者でもあります。マレーシア国内の中小企業はデジタル化に向けた初期段階にあります。中小企業からのビジネスニーズは高まりを見せており、こうしたニーズに応えようとするスタートアップの成長を支援する機会にも事欠きません。

Golden Gate Ventures は同社の3回目となる1億米ドル規模の投資を9月にクローズしたが、定員を超える申し込みがあった。この投資の支援企業には Temasek、Hanwha、Naver、EE Capital、孫泰蔵氏の Mistletoe、三井不動産、IDO Investments、CTBC Group、Korea Venture Investment Corporation(KVIC)、Ion Pacific などが名を連ねている。

同社はすでに新しいファンドを使って数社のスタートアップを支援している。その中には、バングラデシュでライドシェアとオンラインチケット販売を手掛ける Shohoz も含まれている。

また、ブロックチェーンテクノロジーと仮想通貨関連のスタートアップへの特別ファンドもスタートさせた。

2011年に設立された Golden Gate Ventures はこれまで7ヶ国で40以上の企業に投資を行っている。新たに設立されたマレーシアオフィスに加え、シンガポールとインドネシアにもオフィスを開設している。

【via e27】 @E27co

【原文】

Golden Gate Ventures、1億米ドル規模となる3号ファンドの調達をクローズ——ミスルトウや三井不動産らが出資

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シンガポールの Golden Gate Ventures(GGV)は、1億米ドル規模となる3号ファンドの調達をクローズし、日本の孫泰蔵氏のミスルトウや韓国ベンチャー投資(한국벤처투자)など新たな投資家を魅了した。 (当初の調達予定額を上回る)オーバーサブスクライブで調達を終えた新ファンドは、GGV が2011年の創業以来フォーカスとしている東南アジアのコンシューマインターネットやモバイルスタートア…

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Golden Gate Ventures のメンバー
Image credit: Golden Gate Ventures

シンガポールの Golden Gate Ventures(GGV)は、1億米ドル規模となる3号ファンドの調達をクローズし、日本の孫泰蔵氏のミスルトウや韓国ベンチャー投資(한국벤처투자)など新たな投資家を魅了した。

(当初の調達予定額を上回る)オーバーサブスクライブで調達を終えた新ファンドは、GGV が2011年の創業以来フォーカスとしている東南アジアのコンシューマインターネットやモバイルスタートアップに出資する予定。

GGV の共同創業者 Vinnie Lauria 氏は、次のように語っている。

東南アジアのテックエコシステムは分岐点を迎えたと言える。年間投資額は、数十億米ドル単位で数えられるようになった。アメリカ、中国、インドとともに、東南アジアがグローバルステージに仲間入りしたことになる。

それはまるで、ソーシャルメディアや iPhone が生まれる直前の2005年のシリコンバレーのような、まだ手付かずだった頃を彷彿させる。

GGV は、シリーズ A ステージに出資する東南アジアで最初期から存在する VC だ。同社のポートフォリオには、シンガポールでは売買アプリの「Carousell」や自動車マーケットプレイスの「Carro」、インドネシアではヘルスケアプラットフォームの「Alodokter」などがある。

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GGV によれば、同社の1号ファンドと2号ファンドの内部収益率はそれぞれ、49%と29%だった、IRR は、そのファンド資産に対する評価の目安となる。同社の投資倍率(DPI=LP への還元率)は1号と2号のそれぞれで、1.56倍と0.13倍だった。GGV の1号ファンドは、Cambridge Associates が出している、2012年のアメリカにおける上位4分の1のファンドの DPI ベンチーマーク0.36倍を上回っている。

3号ファンドのアンカーインベスターは、従来からの GGV 出資者であるシンガポール政府系 Temasek、韓国財閥のハンファグループ、NAVER、EE Capital が務めた。今回新たに投資家として、三井不動産(日本)、IDO Investments(オマーン)、CTBC(台湾の中国信託金融)、Ion Pacific(香港)が加わった。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

ウィーンから初上陸するスタートアップ・カンファレンス「Pioneers Asia」の見どころ

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昨年から今年にかけて、ヨーロッパ発のいくつかのスタートアップ・カンファレンスがアジアに拡大し始めている。昨年はフィンランドの Slush が Slush Asia を初開催し3,000人以上の参加者を集めた。また、アイルランドのダブリン(今年からはポルトガルのリスボン)で開催されている WebSummit は初のアジアイベントとして、昨年、RISE を香港で開催した。そして、オーストリアを起点とす…

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Pioneers Festival 2015 の模様(撮影:池田将〜2015年5月・ウィーン)

昨年から今年にかけて、ヨーロッパ発のいくつかのスタートアップ・カンファレンスがアジアに拡大し始めている。昨年はフィンランドの Slush が Slush Asia を初開催し3,000人以上の参加者を集めた。また、アイルランドのダブリン(今年からはポルトガルのリスボン)で開催されている WebSummit は初のアジアイベントとして、昨年、RISE を香港で開催した。そして、オーストリアを起点とするカンファレンス Pioneers Asia が23日、東京で開催される予定だ。

ヨーロッパのカンファレンスの中には、趣向を凝らして現地の古城や宮殿で開催されるものが少なくない。Pioneers は本家ウィーンでは、オーストリア建国の祖・ハプスブルク家が誇るホーフブルク宮殿を会場にして開催されているが、それにならって、東京では日本古来の情緒が体験できる場所として八芳園を会場に選び開催することにしたのだそうだ。

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ウィーン本家のイベント会場はホーフブルク宮殿(撮影:池田将〜2015年5月・ウィーン)

Pioneers は昨年から、東京で Pioneers 本戦のピッチ・コンペティションに参戦できる予選を開催していたが、それが今回の Pioneers Asia の開催につながったと言える。Pioneers Asia には、オーストリアの科学研究経済担当長官 Harald Mahrer 氏や、ウィーン市長市議会上級議員の Renate Brauner 氏も来訪し講演する予定だ。昨年来、ロンドンパリなど、ヨーロッパの主要都市の市長の来日が相次いでいるが、今回の Pioneers Asia の開催もヨーロッパ諸国で日本のスタートアップ・シーンへの期待が高まっていることの表れと考えてよいだろう。

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オーストリアの科学研究経済担当長官 Harald Mahrer 氏 (撮影:池田将〜2015年5月・ウィーン)
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ウィーン市議会上級議員の Renate Brauner 氏 (撮影:池田将〜2015年5月・ウィーン)

Pioneers Asia での講演者の一例を挙げておくと、THE BRIDGE でもおなじみの豪華な顔ぶれだ。

  • Matt Mullenweg 氏(Wordpress) ・・・ 関連記事
  • Dirk Ahlborn 氏(Hyperloop) ・・・ 関連記事
  • Laurens Rutten 氏(Coolgames) ・・・ 関連記事
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  • Jung-Hee Ryu(류중희)氏(Futureplay) ・・・ 関連記事
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THE BRIDGE でも現地レポートをお届けする予定なので乞うご期待。

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Golden Gate Venturesがタイとインドネシアのスタートアップ6社に、総額400万ドルの投資を実施

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Golden Gate Ventures は今日(原文掲載日:11月11日)、インドネシアからタイまでスタートアップ6社に400万ドル以上の投資を実施していることを発表した。今回の出資では、Golden Gate Ventures は特にインドネシアにフォーカスし、Eコマース、マーケットプレイス、モバイルサービスへの同社の投資を記録づけるものとなっている。 タイミングは今だ。(インドネシアには)新…

Golden Gate Venturesの設立パートナー、左からJeffrey Paine氏、Paul Bragiel氏、Vinnie Lauria氏
Golden Gate Venturesの設立パートナー、左からJeffrey Paine氏、Paul Bragiel氏、Vinnie Lauria氏

Golden Gate Ventures は今日(原文掲載日:11月11日)、インドネシアからタイまでスタートアップ6社に400万ドル以上の投資を実施していることを発表した。今回の出資では、Golden Gate Ventures は特にインドネシアにフォーカスし、Eコマース、マーケットプレイス、モバイルサービスへの同社の投資を記録づけるものとなっている。

タイミングは今だ。(インドネシアには)新しい政府が備わり、GDP 成長はしばらくは止まるところを知らない。インドネシアは、スマートかつハングリーに期待であふれており、ジャカルタのみならず、インドネシア全国でチェンジメーカーが求められている。(Golden Gate Ventures 設立パートナーの Jeffrey Paine 氏)

2011年に設立された、アーリーステージ向け投資会社の Golden Gate Ventures は、アジアの7カ国以上に30社を超えるスタートアップに投資をしている。これまでに、彼らのポートフォリオ企業は総額1.5億ドル以上を調達している。Golden Gate Ventures は、Eコマース、マーケットプレイス、モバイルアプリ、SaaS プラットフォームを含む、多くの分野のインターネットやモバイル・スタートアップに投資している。最近では、HipVan、Omise、Laku6 に投資を実施した。

Golden Gate Ventures のポーフォリオに加わったスタートアップ6社を見てみよう。

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Claim Di(タイ)

claimdi

Claim Di は、自動車のドライバーと保険会社間で連絡をつけられるようにするアプリだ。テック・スタートアップ、モバイルアプリ、保険業界で20年の経験がある CEO Kittian Anupha 氏が設立、同社はこれまでに 500 Startups、Golden Gate Ventures、他のエンジェル投資家から資金調達している。

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Stamp(タイ)

stamp

2012年の設立。Stamp は、Apple Touch ID に似たデジタル指紋センサー「Secure Touch」により、モバイルデバイス上で第三者認証ができるしくみを提供する。CEO Opas Lopansri 氏が設立し、これまでに Golden Gate Ventures や Altpoint Ventures らから資金調達している。

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GoQuo(タイ)

goquo

2012年に CEO の Ron Ramanan 氏が設立。Gokuo は、主要エアラインやオンライン旅行代理店向けにEコマース・ソリューションを提供している。消費者ユーザ向けの商品オススメ機能を最適化など、機械学習や予測分析によりエアラインや旅行代理店が追加的に収益が上げられるよう支援する。顧客には、Tigerair、Malaysian Airlines、Bangkok Airways など。

Alodokter(インドネシア)

alodokter

2014年7月、Lazada や Rocket Internet に勤務経験のある Nathanael Faibis 氏 が設立した Alodokter は、インドネシア人ユーザを医者とつなぐ、オンライン健康情報ポータルだ。同社によれば、毎月100万人以上のユニークユーザが利用しているとのこと。これまでに Fenox Venture Capital、500 Sartups、Lim Der Shing 氏、Golden Gate Ventures などグローバルな投資家から資金調達している。

Ruma(インドネシア)

ruma-team

Ruma は非営利組織ではないソーシャル企業で、持続可能な自活可能なコミュニティを形成しようとしている。1日2ドル50セントの最低貧困ライン以下で生活するインドネシア人を支援し、彼らを起業家へと育て上げる。2015年にスタートした Ruma は、Golden Gate Ventures、Unitus Impact、Omidyar Network から資金調達している。

Indotrading​(インドネシア)

infotrading

2012年に CEO の Handy Chang 氏が設立した Infotrading は、インドネシアの主要オンラインB2Bマーケットプレイスだ。販売事業者は Infotrading 上でプロモーションすることにより、オンライン上に存在を作ることができ、独自ドメインで自社のEコマースポータルを設置できる。シードラウンドでの調達額は開示されていないが、シリーズAラウンドでは、OPT SEA、Golden Gate Ventures、GMO Venture Partners、Convergence Ventures、オークファン、リブライトパートナーズから総額150万ドルを調達している。

【via e27】 @E27sg

【原文】

シンガポール拠点の個人金融ポータルMoneySmart、GGVやOPT SEAらからシリーズAで200万米ドルを調達

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シンガポールを拠点とする個人金融ポータルMoneySmart.sgは、SPH Media Fund主導のシリーズAラウンドで280万シンガポールドル(200万米ドル)を調達したと発表した(編集部注:原文掲載10月6日)。 ベンチャー投資会社Convergence Ventures、OPT SEA、Golden Gate Venturesも同ラウンドに参加した。 Alfred Chia氏(SingC…

Vinod Nair, Founder and CEO of MoneySmart.sg
MoneySmart.sgのファウンダー/CEO、Vinod Nair

シンガポールを拠点とする個人金融ポータルMoneySmart.sgは、SPH Media Fund主導のシリーズAラウンドで280万シンガポールドル(200万米ドル)を調達したと発表した(編集部注:原文掲載10月6日)。

ベンチャー投資会社Convergence Ventures、OPT SEA、Golden Gate Venturesも同ラウンドに参加した。

Alfred Chia氏(SingCapitalのCEO)、Mohammad Ismail氏(PropnexのCEO)、Alan Lim氏(Propnex取締役)、Day Lynn氏(バケーションレンタルポータルサイトHomeawayのアジア太平洋統括)やZopim の創業者 Roystan Tay氏とKwok Yang Bin氏(シンガポールベースのライブチャットアプリ設立者)など数々の会社のトップや著名な起業家も参加している。

MoneySmartの計画としては、調達した資金をコンテンツ強化のためのチーム編成と共に、核となるデベロッパーのチームを設立していく方針である。

また、インドネシアやシンガポールへのマーケティング強化や新たなマーケットへの進出にもつながる。それ以上に、将来的にはアプリのローンチにもつながっていくだろう。

MoneySmart.sgの設立者兼CEOのVinod Nair氏は、次のように述べた。

私たちは、来年半ばまでにフィリピンやタイ、香港への進出を検討しています。

フィリピンにおけるインターネット普及率は香港と比べるとまだかなり未成熟で、タイは中間にあると同氏は強調した。

資金は12~18ヶ月にわたってもたらされる見通しである。その後、同社はシリーズBラウンドの資金調達を行う計画だ。

SmartLoans.sg は2009年9月に設立したサイトで、シンガポールのユーザは住宅ローンの比較や申し込みができる。Nair氏はその後、クレジットカードや保険パッケージ商品の比較ができる独立したニッチなサイトをいくつかローンチした。

彼は、2012年8月にMoneySmart.sgをパーソナルファイナンスブログとしてローンチし、2014年5月には、すべてのサイトを1つのポータルに統合した。

銀行や保険会社との連携を通じて、MoneySmart.sgもまた、全領域をカバーする個人金融サービスを提供している。つまりユーザが保険プランだけでなく異なるクレジットカードや個人ローン、住宅ローンを比較して申し込めるのだ。

Nair氏によれば、年間100万シンガポールドル(70万米ドル)を超える収益の70~80%は個人金融サービスから、そして20~30%はPR記事のような広告からもたらされているという。

公式発表によると、MoneySmartは月間150万ページビュー数および50万人のユニークビジター数を誇る。

そのコンテンツのシンジケーションパートナーは、AsiaOne.com(SPH Media所有)、MSN.comまたYahoo!などのデジタルニュースサイトが含まれる。昨年、同社はインドネシアの同業ポータルを買収した。現在DuitPintarとして知られ、毎月50万ページビュー数閲覧されている。

幾多の難局を乗り切る

かつてe27の共同設立者であったNair氏は、午後の記者会見で過去の失敗と挑戦から学んだことを詳細に話した。

「単一の垂直型製品にだけ頼ることはできません」と初めてのスタートアップとなった不動産検索エンジンの失敗談を詳しく解説しながら同氏は述べた。「持続可能な(ビジネスモデル)でありたければ、多角化を図り、1つの製品に頼るべきではありません」

最初のベンチャーの失敗に動じないNair氏は、5000シンガポールドル(3500米ドル)の貯金全てを6年前にSmartLoans.sgの設立のために注ぎ込んだ。約1年半の間に、サイトを介して住宅ローンを始めるユーザで順調な売り上げの伸びを見せていたが、その後、不動産の売上げを著しく落とすきっかけとなった不動産の冷却化措置という障害にぶつかった。

私たちはもはやプラスのキャッシュフローではなくなっており、拡張の資金に当てようと数ヶ月にわたり築き上げてきたわずかな蓄えは、どんどん絞り取られていきました。ありがたいことに、NUS Enterpriseの全面的に支援してくれる人たちが私たちに、5万5000シンガポールドル(3万5800米ドル)の融資を提供してくれました。そのおかげで私たちは非常に厳しい苦難を乗り切ることができたのです。(Nair氏)

Nair氏はそれからより多くの収益の流れを生み出すためにサービスのポートフォリオを多様化しようと努め、MoneySmart.sgを始める前に、個人ローン、クレジットカードや自動車保険市場をターゲットにしたSmartCredit.sg、SmartInsurance.sgをローンチした。

私たちがブログを始めたのは、読者に情報を伝え、もっと頻繁に関わってもらいたいと思ったからです。結局のところ、彼らが決心した後には、誰も私たちのサイトに戻ってくる必要はありません。ですから、サイトの内容は新たな読者に接触するための素晴らしい方法になるだろうと考えたのです(Nair氏)

すべてが順風満帆というわけではなく、彼らがシードファンディングを獲得するのは大変だったことを彼は認めた。

私たちは非常に強い波に向かって泳いでいました。私たちのブログへのアクセスはほとんどありませんでしたから、ローンチした新たな商品のための営利的なパートナーシップを確保することができませんでした。金融機関は完全にオンラインではありませんでしたし、彼らはそれを強力なルートだとも考えていませんでした。(Nair氏)

50の投資家たちに売り込んだ後、Nair氏はGolden Gate Venturesという金脈を掘り当てた。

Golden Gate VenturesのVinnie Lauria氏は金融の先を思い描いていました。彼らは私の過去の失敗、そして私が3年間でなんとか乗り切り、良い点として実際にはいくらか利益を出したという事実を認識した唯一のベンチャーキャピタルでした。(Nair氏)

シードファンディングとしてGold Gate VenturesおよびNational Research Foundation(NRF)から58万9000シンガポールドル(41万3000米ドル)を調達すると、Nair氏は全サイトを統合し、それを個人金融ポータルMoneySmart.sgとしてブランド再構築を行った。

2014年にはシンガポールで成立したPDPA(個人情報保護法)の法律を最大限に活用することもできた。シンガポールは当時、銀行が顧客獲得の主な供給源を失い、やむなくオンラインで紹介を得ることに切り替えたのを目の当たりにしていた。Nair氏は言う。

スタートアップを経営することはサーフィンをするようなもので、海に出て、流れや向かって来る波に逆らって狂ったようにこいで、乗るに最高の大波を待つようなものです。

Nair氏はまたしっかりしたチームを持つ大切さも強調した。

結局のところうまく波に乗るには、ちゃんとしたサーフボードが必要です。それが私のチームです。私自身の力でここまで来ることはできませんでした。

【via e27】 @E27sg

【原文】