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処方箋配達を数行のコードだけで導入の「薬局版Stripe」日本の7兆円市場は誰が獲る?

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処方箋デリバリー市場が大きく変わろうとしています。 オンライン診察が主流になってきており、処方箋は薬局へネットで転送され、そのまま直接自宅へ薬が届く体験が浸透しつつあります。病院へ向かうこと自体がリスクになっている中、誰もが望む体験となりました。つい先日、Amazonが処方箋デリバリーサービス「Amazon Pharmacy」を立ち上げたことからも、今後は自宅で完結する診察体験が不可逆的なものとな…

Image Credit:Truepill

処方箋デリバリー市場が大きく変わろうとしています。

オンライン診察が主流になってきており、処方箋は薬局へネットで転送され、そのまま直接自宅へ薬が届く体験が浸透しつつあります。病院へ向かうこと自体がリスクになっている中、誰もが望む体験となりました。つい先日、Amazonが処方箋デリバリーサービス「Amazon Pharmacy」を立ち上げたことからも、今後は自宅で完結する診察体験が不可逆的なものとなるでしょう。

ただ、課題となるのは処方箋デリバリーのフルフィルメントを構築しなければいけない点です。遠隔医療サービスを整えたとしても、完全オンライン体験を提供するには、処方箋の承認から配達に至るまでの仕組みを作り上げなければなりません。こうした課題をAPIの概念を用いて解決するのが「Truepill」です。同社は9月に7,500万ドルの調達をしています。

Truepill はB2B向けの処方箋デリバリーサービスを提供します。オンライン医療プロバイダがTruepillを利用すると、同社が抱える専属薬剤師に処方箋の承認をもらい、そのまま全米6拠点のフルフィルメントセンターから直接顧客へ薬を届けられるようになります。Stripeが決済市場をAPI一つで繋いだように、数行のコードを入れ込むだけで処方箋デリバリーを導入することができます。オフラインからオンラインへと診察・診療体験が変わったからこそ生まれたソリューションと言えるでしょう。

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同社は2C向け医療サービスを作るのではなく、B2Bに焦点を当てた事業モデルを運営し、2016年から2019年にかけて100万件の処方箋を処理した実績を持ちます。また、2018年に4,800万ドルの収益を上げているといいます。

TruepillはForbesが選ぶ次のユニコーン企業に選出されていますが、コロナの影響でその提供価値が再認識されることでしょう。日本でオンライン診療・処方箋診断が導入され、一般的になるのには時間がかかるかもしれませんが、次の1、2年で当然のように議論されるはず。厚生労働省によると、2017年度の日本における調剤医療費は7兆6,664 億円と試算されています。いずれは処方箋配達サービスも当たり前になるかと考えれば、巨大な市場がTruepillの事業モデルの参入先となります。

処方箋デリバリー市場には、StripeのようなAPI・SaaSの考えを応用するスタートアップが活躍できる余白があるのです。こうした市場ポテンシャルをTruepillが示しています。日本のみならず、アジア市場でも十分あるでしょう。すでに処方箋デリバリーが認可されたアジア他国で、Truepillモデルをローカライズさせると面白いかもしれません。

今後、Truepillは数百のラボテストのAPI化も進めていくとのことです。テスト受入可能なネットワークを揃えることで、オンライン診療機関の顧客からの希望があれば、すぐにテストの注文と結果を自宅へ送付することができます。昨今、ヘルスケアIoTの精度も高まり、高機能キットを使った自宅内検査が可能となりましたが、新サービスが立ち上がればより検査が身近なものとなるでしょう。

医療機関のインフラとして機能するのがTruepill。とてつもない市場成長性を秘めていると感じます。日本ではこの座を誰が獲るのか、とても注目しています。

ノーコードの流れは続く、Retoolが評価額で約10億ドルに

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ピックアップ:Retool Nears $1 Billion Valuation With Funding From Sequoia ニュースサマリー:ノーコードスタートアップの「Retool」は、シリーズBにて5000万ドルの資金調達を完了している。リード投資家にはSequoiaが参加し、GitHubのCEOであるNat Friedman氏、Stripe創業者で兄弟のPatrick Collis…

ピックアップ:Retool Nears $1 Billion Valuation With Funding From Sequoia

ニュースサマリー:ノーコードスタートアップの「Retool」は、シリーズBにて5000万ドルの資金調達を完了している。リード投資家にはSequoiaが参加し、GitHubのCEOであるNat Friedman氏、Stripe創業者で兄弟のPatrick Collison氏とJohn Collison氏、Brex創業者のHendrique Dubugras氏とPedro Franceschi氏、またY Combinator共同創業者のPaul Graham氏も同ラウンドに参加している。

話題のポイント:社内ツールをノーコードで手軽に開発することが可能なサービス、それがRetoolです。Bloombergの報道などによれば、今回のラウンドにて同社バリュエーションは約9億2500万ドルと評価されています。

ノーコード・ローコード市場は非常に注目高く、例えばGoogle SheetsやExcelなどにデータを入力しインポートすることで自動でアプリケーションを生成することが可能なApp Sheetは今年初めにGoogleに買収されるなど、市場の中でも動きが早まりつつあることが分かります。直近では、Googleは新ノーコードツールとしてプロジェクト管理機能「Tables」などをリリースしています。

しかし、ノーコードツールのメインストリームは未だスタートアップに多い傾向にあります。例えば今となってはワーキングツールの定番と化したNotionやAirtableも、元はといえばノーコードツールの一種ですし、Retoolと同じく社内用ダッシュボードをノーコード開発可能なIndexなども、近年注目を集めてきています(IndexはRetoolと同じくSequoiaのリードで5000万ドル調達済み)。

さらには、Googleの開発するクロスプラットフォームのFlutterバックエンド用のFirebaseを用いてアプリケーションを全てノーコード開発することのできる「FlutterFlow」が発表されるなど、既存ソフトウェア開発環境をノーコードプラットフォーム化する流れも登場しています。ノーコード・ローコード市場は少々飽和状態にあるようにも思えますが、ユーザー視点ではサービス開発に選択できるオプションが増えていることに間違いはありません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

立ち上げ10カ月で2つの米アクセラレータ卒業ーー完全オンライン起業で学んだこと

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2020年、怒涛の勢いでサンフランシスコ・シリコンバレーで活躍し、現地でノウハウを溜めているスタートアップがいる。山田俊輔氏が率いる「Remotehour」がそれだ。 1月にサービスを立ち上げて3月にはY Combinatorの元パートナーであるDaniel Gross氏によって設立されたアクセラレータ「Pioneer」に採択。10月にはUberやRobinhoodへ出資したエンジェル投資家、Ja…

2020年、怒涛の勢いでサンフランシスコ・シリコンバレーで活躍し、現地でノウハウを溜めているスタートアップがいる。山田俊輔氏が率いる「Remotehour」がそれだ。

1月にサービスを立ち上げて3月にはY Combinatorの元パートナーであるDaniel Gross氏によって設立されたアクセラレータ「Pioneer」に採択。10月にはUberやRobinhoodへ出資したエンジェル投資家、Jason Calacanis氏が運営するアクセラレータ「LAUNCH」を卒業。

Remotehourはオープンドアな動画チャットルームサービスで、ホストはZoomのようにライブ動画ルームを持つことができ、訪問ユーザーは発行されたURLをクリックするだけで話しかけることができる。Zoomとは違い、1on1で15分ほど話すシチュエーションを想定している。現在は投資家と起業家が動画を通じて短時間チャットするシーンで活用されている。

今回は直近に卒業したLAUNCHでの経験を中心に、どんな学びがあったのかをショートインタビュー形式で聞いたのでまとめていきたい。(太字の質問は全て筆者、回答は山田氏)

Remotehour

つい先日、Jasonがやっているアクセラレータ「LAUNCH」を卒業したとお聞きしました。どうでした?

山田:コロナ禍ということもあって、全てオンライン。プログラムのオンライン化に伴って世界中から起業家が参加できるきっかけになっていたようですね。オーストラリアから参加していたり、全部で7社が参加していました。で、個人的には冗談抜きにお腹が痛くなる日々が続きましたね(笑。

具体的には?

山田:毎週木曜日に10〜20名くらいの投資家にピッチをするんですが、これがなかなかきつかったです。

緊張しそうですね、、、

山田:特にプログラム当初は全く投資家に製品の説明が刺さらないし、英語の拙さに関してはSlack経由でJasonからこっぴどく怒られてたりしていました。

ピッチはどう工夫して乗り越えたんですか?

山田:まず機能寄りの説明をやめました。LAUNCHでは「フィーチャー(特徴)ドリブン」のプレゼンは敬遠されてしまいます。ストーリーベースで説明しないと伝わりません。スタートアップの参考デックにあるような、課題解決や機能を淡々と述べる形は解像度が低いと指摘されましたね。そのため、ユーザーの物語を作るように努めました。

なるほど

山田:ピッチ動画観ていただくとわかりますが38分頃)、ユーザーがRemotehourを使う前と後で具体的にどう変化をもたらせているのかを説明しています。

確かにどの参加企業もストーリー重視ですね。

山田:良くも悪くも僕たちはメーカー(エンジニア起業家)。どうしても機能重視で考えてしまうことがあります。Jasonはユーザーからのフィードバックを受けて高速で実装できるエンジニアを好みます。LAUNCHの前に入ったアクセラレータ「Pioneer」でもそうでした。ただ、ピッチとなると話は別です。機能てんこ盛りじゃ何も伝わりません。

たとえばどんな内容を削ったりしたんですか?

山田:最初はStripeと連携させて課金機能もあるよといった説明を入れてましたが全て省きました。アピールできるほどの高いトラクションがなければ、なおさらストーリテラーになることが大事ですね。

英語に関しては?

山田:特にピッチのQ&Aがきつかったです。プログラムの後半近くまで1人でこなしていたんです。けどJasonに「デモデイまでに英語を完璧にするか、通訳を入れるかどちらかにしろ」と言われまして。。。

それは辛い、、、

山田:正直恥ずかしい意識があったんですね、通訳を入れることに関して。一人前ではないな、と。一方、Jasonはその点はかなりオープンで、通訳を入れるのは個人の問題ではなく会社のリソースと割り切っています。手配するのも創業者の力量によるものだと。自分で用意するのも能力の一つだと言われて吹っ切れたところはあります。

ある種、合理的な考えですね

山田:最終的にデモデイではQ&Aの部分だけ通訳を入れたんですが、ちゃんと手配したところは評価してくれていたようです。リソースを上手く使うのも経営者の仕事の1つなので。

Jason Calacanis氏

現地にいながらオンラインでのやりとり。正直どうですか?

山田:確かに、起業に挑戦するとしても無理してシリコンバレーに来なくても良いかなとは時々感じます。実際Remotehourはチーム運営も資金調達も全てオンラインです。他のプログラム参加企業も海外から参加していますし。現地に必ずしもいる必要のない環境にはなりつつあります。それでもここにいる価値はありますね。

というと?

山田:現地にいること自体を評価してくれるんですよ。スタート地点が日本だとやっぱりガラパゴス的な印象を持たれやすい。言語の苦戦が良い例で、英語を使う環境にないのでもし英語力がないのに日本拠点ならその時点で嫌厭されてしまいます。

わざわざ現地に行く気概を認める文化はよく聞きますよね。

山田:Jasonとは対面では一度も会ったことないですが、その点は認めてくれていると感じますね。

投資家や起業家と対面で話しながら密な情報交換することもなくなったと思うんですが、この点はどうです?

山田:ノウハウは日本でも得られますよね、英語の記事とか読めば。情報は世界中どこにいてもアクセスできますよ。ただ、自分たちにとってはJasonから直接コメントもらったりする方が圧倒的に価値の高いやりとりなんです。

現地で挑戦する本質的なヒントがその辺にありそう

山田:結局はトライアンドエラーできる環境がすぐ側にあるかないか。1を聞いたら10を反映するくらいの気合は必要だと思ってます。ここで得られるフィードバックは貴重なものだと思ってるんで、あるミーティングで得られたものを、ちゃんと何かアウトプットとして出そうっていう気持ちは結構ありますね。

ネットに落ちてる二次情報に依存しない、実験できる「場の強み」を活かせている印象持ちました

山田:結局、誰かが書いた記事のノウハウを最後まで再現して自社の成功事例にまでやりきった人はどこにいるんだろうと思うんですよね。読み止まりじゃなくて、トライアンドエラーし続けることに意味があるかな、と。で、海外で挑戦するなら日本じゃなくて断然アメリカにいる方がトライしやすいし、フィードバックループも回しやすいのは確かです、たとえ環境がオンラインになったとしても。

そしてがっつり挑戦する姿勢を認めてもらうために現地にいると

山田:そうかもしれません!

Remotehour

1つ前のアクセラレータ「Pioneer」にも軽く触れてもらって良いですか?

山田:そうですね、Pionnerでもさっきお伝えしたアウトプットの意識を鍛えられました。具体的には「Talk to userの一歩手前」を意識させられましたね。

どんなものなんです?

山田:何かというとサービス登録にどうサービスを理解してもらっているのか、どう離脱してしまうのかを観察するんです。毎週金曜に参加者同士で互いのLPを観てフィードバックし合います。サービス内容がきっちりと伝わっているのかを検証しました。これはお金を払ってでも外部の人に観察してもらってフィードバックもらうほどの価値があると感じましたね。

ありがとうございます。2つのアクセラレータ卒業して、他に気付きとかありましたか?

山田:またJasonの話で恐縮ですが、彼は嘘がほんとに嫌いなんですね。

嘘?

山田:きつい数字が出ていて、たとえサービスが全然伸びていなくても、例えば週次レポートを通じて全てを伝え続けないと信用してもらえない。自慢できるような数字じゃないけど、彼がポートフォリオ企業の現状を把握できていないといけないんですね。

その点も、オンライン環境だからこその最低限のマナーかもですね

山田:何だろう、やっぱり真実をずっと言い続けなきゃいけない気持ちになりますよね。絶対この人に嘘だけはついちゃいけないな、と。

最後に、この1年を振り返って経営者としての意識変わりました?

山田:結構ネガティブに捉えられてしまうかもしれませんが、スタートアップはデフォルトで失敗していると強く感じるようになりましたね。

その真意は?

山田:99%ほどのスタートアップは死にますし、実際創業時から資金は減り続けますよね。失敗から始まるに等しい。だからどんなに有名なアクセラレータを卒業できようと、サービスが伸び始めようと、100%完全に喜べたことが一度もないんです。常に失敗の渦中にいることが事実だと思っているので、その上でどうやったら生き残れるのかをすごく意識するようにしていますね。

スタートアップはすべからく「デフォルトで死んでいる」、と。

山田:その点は変わらない真実だと感じるので、すごく怯えている部分はあります。多分この感覚はずっと続いていくんだろうなと。だからといって失敗する気はさらさらありませんよ。死にものぐるいで生存していく方法を日々探っていく意識がとても高くなりましたね。

5年ほど前に初めてお会いした時と比べ、段違いに意識が変わったのをひしひしと感じて学びが多くありました。お時間いただきありがとうございました!

マーケから宅配までノーコードで、レストランをデジタル化する「Lunchbox」

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ピックアップ:Lunchbox raises $20M to help restaurants build their own ordering experiences ニュースサマリー:レストラン向け配達プラットフォーム「Lunchbox」は10月、シリーズAにて2,000万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはCoatueが参加し、著名シェフのTom Colicchio氏、Bryan …

Image Credit : Lunchbox

ピックアップ:Lunchbox raises $20M to help restaurants build their own ordering experiences

ニュースサマリー:レストラン向け配達プラットフォーム「Lunchbox」は10月、シリーズAにて2,000万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはCoatueが参加し、著名シェフのTom Colicchio氏、Bryan Ciambella氏やRobert Earl氏も同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Luchboxは創業1年半ほどしか経過していませんが、今回の調達で合計2,300万ドルの資金の調達に成功しています。同社の特徴はレストラン事業者が自社でフード配達用のウェブサイトおよびアプリをノーコードで開発することができる点です。Lunchboxを利用すれば、レストランをウェブ・SNS・テキストメッセージ・アプリ注文などあらゆるデジタルオーダーに対応させることができます。

Lunchbox

もちろん、UberEatsでもレストランのデジタル注文対応は可能になりますが、多額の手数料であったりオンラインに特化したメニューの作成など、いくつか店舗側がプラットフォームに合わせる必要がありました。

その点においてLunchboxの最大の強みは、上述したデジタル注文プラットフォームを手軽に開発できることに加え、DoordashやPostmatesなど、30以上の外部サービスとの連携が手軽にできる点にあります。Stripeは決済市場で銀行と事業者を結びつける連携プラットフォームとして高い価値を発揮しましたが、Lunchboxは配達事業者とレストランを結びつけることで、フード市場版Stripeとしてのポジションを取ろうとしています。

また、Lunchboxではプラットフォームの提供に加え、例えばアプリを通したプッシュ通知などのマーケティングツールもセットで提供しており、店舗側は半永久的にLunchboxのサポートを受けることができるようになります。

UberEatsの登場や感染症拡大でデリバリーは一気に加速しましたが、レストランのデジタル化もこういった依存型のものから独自での手法に移りつつあり、今後はローカルなレストラン・カフェであればあるほどLunchboxのようなモデルを通したデジタル対応が進むことになりそうな予感がします。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

StripeのAPI戦略はアフリカ市場へ、決済API「Paystack」を2億ドルで買収

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ピックアップ:Stripe acquires Nigeria’s Paystack for $200M+ to expand into the African continent ニュースサマリー:Stripeは10月15日、アフリカ大陸にてペイメント事業を営む「Paystack」を約2億ドルで買収したと発表している。同社はナイジェリア・ラゴス発のスタートアップ。Stripeと同じく、APIを介し…

Stripes + Paystack

ピックアップ:Stripe acquires Nigeria’s Paystack for $200M+ to expand into the African continent

ニュースサマリー:Stripeは10月15日、アフリカ大陸にてペイメント事業を営む「Paystack」を約2億ドルで買収したと発表している。同社はナイジェリア・ラゴス発のスタートアップ。Stripeと同じく、APIを介したオンライン決済サービスの提供をしている。

話題のポイント:Stripeは今年4月に、総額6億ドルの資金を調達していましたが、その際にAPIベースのフィンテック市場拡大を進めていくという指標を公開していました。まさに、今回の買収は新市場におけるAPIを軸とした決済インフラを獲得することを目的とした動きと言えるでしょう。

Paystackによれば、主にアフリカ大陸にて6万社以上が同社サービス導入しており、FedEx、UPS、AXA Mansardに加えてラゴス内国歳入庁など政府機関も利用しているとのこと。また、Stripeによればアフリカ大陸におけるeコマース市場は年次で21%増と、世界平均を75%上回るペースを記録しているとしています。

もちろんCOVID-19により、より一層インターネット中心の経済が活性化することも予想され、StripeにとってみればPaystack買収は本格的なアフリカ市場への参入布石だったとなりそうです。ちなみに両社はYC卒業生でもあり、エコシステムの広がりという点でも興味深いです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

PayPalが暗号資産本格参入:分散主義とは正反対の入り口(2/2)

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まだ、今じゃない (前回からのつづき)PayPalで購入する暗号資産は、PayPal以外のプラットフォームへ送金することはできない。とはいえ、同社が「現状」と表記しているように将来的には変化する可能性はあると言える。 Q:PayPalは暗号資産のP2P取引を開放する予定はありますか? A:現状対応していません。PayPalでは、PayPalアカウントを利用した暗号資産売買のみ対応しています。P2P…

まだ、今じゃない

(前回からのつづき)PayPalで購入する暗号資産は、PayPal以外のプラットフォームへ送金することはできない。とはいえ、同社が「現状」と表記しているように将来的には変化する可能性はあると言える。

Q:PayPalは暗号資産のP2P取引を開放する予定はありますか?

A:現状対応していません。PayPalでは、PayPalアカウントを利用した暗号資産売買のみ対応しています。P2P取引を実行するには、暗号資産を全てUSDに変換する必要があります。

Q:暗号資産を加盟店への支払いとして利用できますか?

A:いいえ。現状ユーザーは暗号資産を支払い用途に用いることはできませんが、2021年を目途に対応を進めています。暗号資産は現状、売買・保有にPayPalでは機能が限定されています。加盟店への支払いやP2P取引を希望される場合は、全ての暗号資産を一度に交換いただく必要があります。

おそらく同社は規制やセキュリティー上の懸念から、慎重な対応を進めているのだろう。

2021年に向けて

しかし、いくらPayPalが分散主義とは正反対の入り口から暗号資産市場に参入したとはいえ、市場にとっては大きなムーブメントとなることは間違いない。PayPalは今までにも金融市場に大きな影響を与えてきた。例えば同社は、Facebookが組織したプロジェクトLibraを最初に脱退したメンバーだった。それに引き続き、eBay, Stripe, Mastercard, Visa, Mercado Pagoが脱退を表明した

PayPalが本格的に暗号資産市場に参入を表明したことで、上述したような企業が引き続き動きを見せる可能性はあると言えるだろう。もちろん、全ての銀行がビットコインをいきなり受け入れたり、クレジットカードの支払いをイーサリアムで行うなどが実現するという意味ではない。しかし、あらゆる金融企業が2021年に向け施策を準備していることは間違いない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

シンガポールのeスクータースタートアップNeuron Mobility、シリーズA拡張で1,200万米ドルを調達

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シンガポールに本社を置く電動スクーターのレンタルスタートアップ Neuron Mobility は、シリーズ A ラウンドで1,200万米ドルを追加調達した。シリーズ A 全体で調達した資金総額は3,050万米ドルとなった。新たな出資は、既存投資家であるオーストラリアの VC の Square Peg Capital と GSR Ventures が共同で行った。 今回の資金調達は、特にアフターコ…

Neuron Mobility 創業者の Zachary Wang 氏(左)とHarry Yu 氏(右)
Image credit: Neuron Mobility

シンガポールに本社を置く電動スクーターのレンタルスタートアップ Neuron Mobility は、シリーズ A ラウンドで1,200万米ドルを追加調達した。シリーズ A 全体で調達した資金総額は3,050万米ドルとなった。新たな出資は、既存投資家であるオーストラリアの VC の Square Peg Capital と GSR Ventures が共同で行った。

今回の資金調達は、特にアフターコロナのオーストラリアとニュージーランドにおける国際展開を加速させるために使用される。Neuron Mobility は、両国の自治体と提携し 9ヶ所で事業を展開している。また、今後12ヶ月以内に地域内の少なくとも5つの新しい都市に進出し、400人の雇用を創出することを目標としている。さらに、イギリスのスラウにも進出し年内には稼働する予定。

Neuron Mobility の CEO Zachary Wang 氏は次のように述べている。

世界中の都市が交通システムを再考しており、アフターコロナの安全で安価で社会的に分散した移動手段を求める人が増えている。これは、マイクロモビリティプロバイダーにとって大きなチャンスだ。オーストラリアとニュージーランドでの事業経験と新たな資金調達を組み合わせることで、この地域全体、そしてその先での成長を加速させることができるだろう。

2016年に Wang 氏と Harry Yu 氏がシンガポールで設立した Neuron Mobility は、シンガポール、マレーシア、タイ、ニュージーランド、オーストラリアで e スクーターのシェアリングサービスを運営している。

また、e スクーターが横向きに放置されているかどうかを検知し、オペレーションチームに安全に再配置するよう警告する転倒検知機能、誰かが転倒したかどうかを検知し、利用者が緊急サービスに電話するのを助ける緊急ボタン、利用者の友人や家族が e スクーターの旅をリアルタイムで追跡できる機能「Follow My Ride」など、さまざまなイノベーションを導入しており、安全性と安心感を高めている。

Image credit: Neuron Mobility

2019年12月の最後の資金調達ラウンド以降、Neuron Mobility はオーストラリアとニュージーランドのさらに8都市でローンチし、イギリス市場への参入を発表した。現在、4,000台の e スクーターを運用するオーストラリアとニュージーランドでは、40万人の利用者が200万回近く利用され、市内移動距離の総和は400万キロに達した。

2018年12月、Neuron Mobility はシードラウンドで、 SeedPlus、500 Startups、SEEDS Capital、ACE Capital などアーリーステージ VC から380万米ドルを調達した

アフターコロナに、都市で勢いを増す e スクーター

新型コロナウイルスを背景に、世界中の都市や消費者は、安全で便利で社会的に分散した交通手段としての e スクーターの可能性に気付きつつあると Neuron Mobility は述べている。国際線や州間の移動が制限されている中、人々はこれまで以上にローカルな場所を移動するようになり、多くの都市では e スクーターが地域経済の活性化に貢献している。

ロックダウン中のオーストラリアでは、5人に1人のユーザが今までに e スクーターに乗ったことがないと申告したが、それ以来、多くの人が積極的に旅行習慣を変えようとしている。オーストラリアとニュージーランドのユーザは、ソーシャルディスタンスを重視するようになり、e スクーターの平均走行距離は23%増の2.6kmになり、平均走行時間は10%増の14分以上になった。

10億米ドル以上の資金を運用する Square Peg は、Canva、PropertyGuru、Stripe、Fiverr などに投資している。一方、GSR Ventures は2004年に設立された世界的 VC で、30億米ドルの資金を運用している。エンタープライズ・ソフトウェア、コンシューマ・プラットフォーム、デジタルヘルスなどのアーリーステージのテクノロジー企業に投資している。GSR Ventures は、配車サービス大手 Didi Chuxing(滴滴出行)の最初の機関投資家だった。

【via e27】 @E27co

【原文】

ローコード市場は520億米ドル規模へ、2700億円評価のAirtableとは何者か(2/2)

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(前回からのつづき)Airtableと連携できるサービスやアプリは1,000を超える。たとえばAsana、Dropbox、Box、Facebook、GitHub、LinkedIn、Slack、Stripe、SoundCloudなどだ。ZapierやIFTTTのようなワークフロー自動化サービスはつなぎの役割を果たし、SlackのメッセージやSMS、eメールをトリガーとしてAirtableのデータベー…

(前回からのつづき)Airtableと連携できるサービスやアプリは1,000を超える。たとえばAsana、Dropbox、Box、Facebook、GitHub、LinkedIn、Slack、Stripe、SoundCloudなどだ。ZapierやIFTTTのようなワークフロー自動化サービスはつなぎの役割を果たし、SlackのメッセージやSMS、eメールをトリガーとしてAirtableのデータベースに入力することを可能にする。

Airtableプラットフォームの新機能「Marketplace」では、コミュニティによって構築されたJavaScriptベースのアプリをインストールしたり、独自の機能を作成したりすることができる。9月第3週にリリースされた「Automations」では、eメール、メッセージアラート、レポート、およびタスク作成のトリガーを設定することにより、反復プロセスを自動化できる(AutomationsはG Suite、Microsoft Teams、Facebook、Twitter、Slack、Jiraなどと連携可能)。

最後に、「Sync」を使用すると、Airtableに保存されているカスタマイズされたビューとデータフィールドの一部(またはすべて)を他のチームや組織と共有できる。

「Marketplaceでは、コミュニティの開発者らが作成したアプリを共有できます。AIや機械学習に対応したツールが人気となるのではないかと期待しています。たとえば、GoogleのCloud Vision APIを活用するカスタムアプリを顧客企業のAirtable内に直接インストールしてAIや機械学習の機能を提供できます。

顧客はそのアプリを使用して、画像を数千のカテゴリにすばやく分類し、画像内の個々の顔やオブジェクトを検出し、画像カタログにメタデータを構築して、不快なコンテンツのモデレーションから画像の感情分析による新しいマーケティングシナリオの有効化まで、すべてを行うことができます(Liu氏)」。

Gartnerの予測によると今後3年間でプロの開発者の4倍もの「市民開発者」が誕生し、5億種ものビジネス用アプリやサービスが生み出されるだろう。ローコード市場は520億米ドルに急成長すると見込まれている。Airtableの競合にはGoogle、Microsoft、Amazonは言うまでもなく、Zoho、Smartsheet、そしてTablePlusやRetoolといったスタートアップがいる。サンフランシスコを拠点とする同社はカリフォルニア州マウンテンビューおよびテキサス州オースティンに新オフィスを構え、162名を新規採用し、トータルで280名の従業員をかかえている。

シリーズDラウンドはThriveがリードし、既存投資家のBenchmark、Coatue、Caffeinated Capital、CRV、および新規投資家のD1 Capitalが参加した。このラウンドにより、Airtableの調達総額は3億5,000万米ドル超となった。

※本稿は提携するVentureBeat記事の抄訳です

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Apple vs Epic:Appleプラットフォームにおける決済論争(2/6)

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Epic側が主張するAppleの「独占」 (前回からのつづき)Epicは以下2点でAppleが独占的性質を帯びていると主張する。 アプリ配信コントロールをしている点 ユーザーがApple独自の決済システムを介して支払いをしなければならない点 Appleが持つ独占力を考慮すれば、独占禁止法により競合他社をマーケットから取り除くような行為は禁止されているはずだという主張だ。しかし、それと同時に同社はA…

Epic Gamesはオープンプラットフォームを望む。Image Credit: Epic Games

Epic側が主張するAppleの「独占」

(前回からのつづき)Epicは以下2点でAppleが独占的性質を帯びていると主張する。

  • アプリ配信コントロールをしている点
  • ユーザーがApple独自の決済システムを介して支払いをしなければならない点

Appleが持つ独占力を考慮すれば、独占禁止法により競合他社をマーケットから取り除くような行為は禁止されているはずだという主張だ。しかし、それと同時に同社はAppleがApple Storeを通して成し遂げた新しい価値提供について認めている点は触れておくべきだろう。

「明確にしておくと、弊社はAppleに対して全ての無償提供を求めているわけではありません。私たちが求めているのは、App StoreやIAP(アプリ内課金)を利用することなく、他のサービスを選択可能とすることです」。

Epicはアプリ配信自体そのものが、スマートフォンプラットフォーム市場から派生した「アフターマーケット」であると主張している。これは、全てを同一マーケットであると捉えるAppleとは正反対の見解だ。そのためEpicは裁判所に対し、諸問題が単一製品の話でなく、独自性を持ち合わせたアフターマーケットとして考慮すべきだとの考えを示している。

つまりEpicは、スマートフォンプラットフォーム上における権利主張をしているのではなく、アフターマーケットにおいてAppleが独占禁止法に触れていると主張しているのだ。具体的には、同社はAppleがウェブサイトなどからアプリをダウンロードすることを禁止しているように、市場に制限を意図的に持たしていると主張。こうした主張の前例には、Apple vs Pepperのようなものがある。

一方、GoogleがAndroidを展開していることを考えれば、Appleが完全な独占をしているとは言えない。しかし、Epicは二重独占も市場に悪影響を与えており、AndroidよりAppleの方が比較的良質なユーザー層を抱えていると主張している。加えて、AppleにはAndroidより課金を拒まない10億人のユーザーが存在しており、彼らを市場的性質により仮想的に移動不可な状態にしていると指摘する。これは、iOSからAndroidへの移行コストが非常に高いという点が経済学者のDavid Evans氏によって提唱されているからだ。

2016年Q1から2020年Q1におけるスマートフォン販売シェアを見ると、Appleは全体の40%を占めていることが分かる。Epicは同期間のiPhone販売価格が最低でも300ドル以上、平均では790ドルであることに言及している。スマートフォン市場全体では、300ドル以上の価格で販売されたデバイスの内、Appleは57%の売り上げシェア、49%の販売台数シェアを獲得していた。同数字のみでは、同社が独占市場を得ているとは言えないが、本質的な問題はデバイス移行に伴うコストが非常に高い点であろう。

Epicは現時点でAppleより同社サービスへのアクセスを切断されているため、iOSにおけるDAUは60%ほど減少している。これらユーザーが以後復活しない可能性は大いにあり、それを考慮し同社は裁判所に対し一時的な制限緩和をAppleに対して求めている。

Appleプラットフォームにおける決済論争

Above: Tim Sweeney氏は歯に絹着せないCEOだ
Image Credit: Epic Games

決済に関しても両社が独占禁止法を巡り争う大きな論点になっている。現在Appleは開発者に対し、デジタルコンテンツを配信し決済システムを導入する際は同社独自の決済サービス利用を求めている。ただし、一部のケースにのみ同社は他の決済手段を認めている。

例えば、ライドシェアのような現実世界でのやり取りが存在するようなサービスにおいて、Appleは外部決済サービスの利用を認めている。確かに、Lyftのアプリ内決済ではStripeがサービス提供を実施している。また、UberはBraintreeの決済サービスを利用しており、これは即時決済が求められる背景が大きく関与していると思われる。加えてPrime VideoやAltice One、Canal+などプレミアムデジタルビデオコンテンツを提供する場合も、同社は他決済サービスの利用を許容している。

Epicは、Amazon Pay、Authorize.net、Braintree、Chase Merchant Services、PayPal、Square、Stripe、Xsollaなどは、Appleと比較してはるかに低価格な手数料でサービス提供をしており、開発者がこうしたサービスへ需要を示すことは当然であると主張する。

しかしAppleは、決済は独立したビジネスではなく「より大きな」ビジネスの一部であるとし、こう主張する。

「Epicの主張は、IAPを独立した一つの市場であると裏付けしているものではありません。ユーザーへサービス提供するにあたり、必要不可欠な要素である場合、通常裁判所は全てのサービスを包括的に1つのものとみなします」。

また、Appleは現在、決済システムやアプリ配信ポリシーに違反しているFacebook、Microsoft、Google、Nvidiaなどのクラウドゲームアプリを禁止しており、結果的に独占市場を作り上げているとEpicは主張している。これは、別観点での独占禁止法違反問題かもしれないが、未だ法的問題には発展していない。(つづく・全6回)

参考記事:Fortnite戦争

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

コロナ禍でどうなる「Y Combinator 2020」ここが注目【Podcast:Code Republic・松山さん】

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史上初めて完全オンライン上にて開催された「Y Combinator 2020年度夏季アクセラレータープログラム」。8月31日より2日に分けて、総参加企業198社がオンライン上でプレゼンテーションを披露しました。 参加企業のほぼ半分である48%はB2Bソフトウェア開発スタートアップが占め、それに続けてヘルスケア関連が16%、コンシューマー関連が13%、フィンテック関連が11%を占める結果となっていま…

史上初めて完全オンライン上にて開催された「Y Combinator 2020年度夏季アクセラレータープログラム」。8月31日より2日に分けて、総参加企業198社がオンライン上でプレゼンテーションを披露しました。

参加企業のほぼ半分である48%はB2Bソフトウェア開発スタートアップが占め、それに続けてヘルスケア関連が16%、コンシューマー関連が13%、フィンテック関連が11%を占める結果となっています。本稿ではスタートアップアクセラレータープログラム「Code Republic(コードリパブリック)」の松山馨太さんがstand.fmで語った、デモデイ参加企業のトレンドについて印象に残ったポイントをまとめてみました(文中の発言箇所はすべて松山さんの音声からの書き起こしです)。

音声はこちらから

松山さんは今回のプログラムを三つのトレンドに整理しています。

  • 新興国のタイムマシン経営
  • withコロナ型のビジネス
  • データ業務の効率化

まず、「新興国のタイムマシン経営」について。

「アメリカでの成功モデルをインドやアフリカ・南米などの新興国で展開するビジネスです。採択社数を増加させた2019年冬プログラムも多く存在していましたが、今回は前回に比べても増加している印象です。それだけ単純なインターネットサービスによるイノベーションが難しくなっているのかもしれません」。

では、今回のバッチで目立っていた「新興国のタイムマシン経営」を軸に持つスタートアップはどういったものが挙げられるのでしょうか。松山氏は、約10社の同領域へ挑むスタートアップを取り上げています。

「今回のバッチでは、チャレンジャーバンクを展開するインド版PlaidのDecentro、決済システムを提供するパキスタン版StripeのSafepay、コーポレートカードを提供する東南アジア版BrexのVoloPay、手数料無料の株取引PFを提供する中東版ロビンフッドのThndrが大きく印象に残っています。不動産領域ではメキシコ版OpenDoorのFlat、エジプト版ZillowのSakneen、他にも飲食店のクラウドPOSを提供する南米版TOASTのParrot Software、卒業後に学費を支払うISAモデルのヨーロッパ版ラムダスクール、南米版ラムダスクールなど多くのサービスが発表されていました」。

中東版ロビンフッド「Thndr」

withコロナ型のビジネス

またCOVID-19真っ只中ということで、例年にはない特徴を次のように指摘されています。

「コロナウイルスの流れの中でヘルスケア領域はもちろんのこと、デリバリーサービスだけで9社、教育やフィットネスなどオンラインを通じたイベント・レッスンを販売するサービスが11社、リモートワークやリモートのコミュニケーションを支援するサービスが13社となっています。こうした動きは例年とは大きく異なっており、コロナによる環境変化を意識したビジネスが多く選定されていると感じました」。

具体的な選出スタートアップは次のようなものです。

「デリバリーでは中小規模のリアル店舗やEC事業者に対して、オンデマンドで即日配達サービスを提供するTyltGoのようなサービスがあり、複数事業者からの集荷、ルートの最適化、ドライバーのクラウドソーシングにより低コストで即日配達できる配送ネットワークを提供しています。

またIn Stockは、Amazon Primeより低価格で同日配達してくれるECプラットフォームを目指しており、消費者は、郵便番号と製品名を入力すると、即日配達もしくは持ち帰り可能な商品を表示、そのまま購入できるECサービスになっています。このサービスは小売店が登録すると、POSから在庫情報を読み取り、自動的に出品〜販売され、リアル店舗の小売業者の販売支援という一面もになっています。オンラインイベントやレッスンの販売では、サービス版Shopifyのようなサービスが多く登場しています。

Sutraは、フィットネスに特化したオンラインレッスンコンテンツの販売プラットフォームで、各ショップページ、ライブコンテンツ・オンデマンドコンテンツの販売、予約・決済システムを提供しています。同じくPolyOpsはWhatsapp・Telegramでオンラインレッスンを販売するために必要な機能を提供するサービスとなっており、月額支払・単発支払・アフィリエイトプログラム・会員管理等のツールを提供しています」。

この「ソーシャル・ディスタンス」におけるトレンドの中で特徴的な動きは次のようなものだそうです。

「このようなソーシャルを販売チャネルに変化する動きは、サービスだけでなく物販のECにおいても見られました。たとえば、インドのBikayiは、WhatsApp版Shopifyを標榜しており、インドでは個人商店がWhatsAppで注文をもらい配達するケースが多いそうで、WhatsAppと連携したオンラインショップを簡単に開設できるサービスを提供しています。同社はデモデイ終了5日後には約2億円の調達を実施しています。

リモートワークの領域では、常時接続のビデオチャットサービスとハードウェアを提供するSidekickのようなサービスがありました。また、TellaやQueueのような動画の共同編集サービスも登場しています。プライベートのリモートコミュニケーションでは、ZoomやLINEでのビデオを通話が一般化していますが、新たなフォーマットを提供するサービスも生まれてきています。

たとえば、Hereは、他のビデオチャットとは異なり自由にビデオチャットルームを作成できるサービスで、ルーム上に友人を招待したり、パワポ感覚でGIF、画像、メモなどを貼り付けて自由にカスタマイズできるサービスになっています。また、Piepackerはゲームをしながらビデオチャットできるクラウドゲームプラットフォームとなっており、ゲームをしながら話すだけでなく、ゲームキャラに自分を加工したり、ゲームに最適化したコミュニケーションで盛り上がれるサービスとなっています。

このようにデリバリー、オンラインイベント・レッスンの販売、リモートワーク・リモートコミュニケーションツールのようにWithコロナを意識したビジネスが多く登場していることが分かります」。

データ業務の効率化

最後のトレンドは「データ業務の効率化」です。SaaSなどの発展で、一般企業が膨大な利用データを抱える中、それを効率的利用へ導くためのサービスということでしょう。具体的に、デモデイではどのような課題解決を目指すスタートアップが選定されたのでしょうか。

「データのエラーや欠損を自動的に追跡・確認するシステムを提供するHubbleはデータの加工・変種における非効率を軽減しています。また、Aquarium LearningやKeyDBのように機械学習やデータベースの処理速度自体を向上させるサービスもあります。さらに非エンジニアのデータ分析では、Salesforce等のSaaSやShopify、Stripe等の決済情報、ソーシャルメディアに至るまで自社の様々なたデータ一元管理できシステムを提供するMozart Data、SQLを記述せずノーコードでデータベース上の分析・管理できるツールを提供するAchoが選定されています。」

今回のバッチは、YCにとってもその運営方法や選出するスタートアップのトレンドなど大きな変更が起きる年になったと言えるでしょう。松山さんが取り上げているように、COVID-19で求められている「withコロナ型のビジネス」は確実に増えたことは間違いありません。また、withコロナに関わらず今まで通りビッグデータ解析系スタートアップや、タイムマシン経営を先進国で目指すスタートアップも順調に需要を集め続けていることが伺えます。

ある意味、今年はコロナ禍でYCがどういった系統のスタートアップを選出するのか、例年以上に注目が集まっていたと思います。結果だけを見れば、コロナ関連の新市場が誕生し総合的な割合を増やしつつも、大半は既存テクノロジーにイノベーティブな磨きをかけていく、そうしたスタートアップが占めていたと感じます。

VC界をリードするY Combinatoがパンデミック以降、初めて選出したスタートアップにwithコロナ型のビジネスが組み込まれていたことはこれからのスタートアップ・VCの方向性を見極めていく上で重要なターニングポイントとなりそうです。

編集部よりお知らせ:松山さんが共同代表を務めるアクセラレータープログラム「Code Republic」では随時参加企業を募集中です。参加希望される方は公式サイトをご覧ください。