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Twitterはシリコンバレーを離れ“分散化”を目指す

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ピックアップ:CEO Jack Dorsey’s comments about San Francisco are a warning sign for the city’s tech scene ニュースサマリー:Twitter社CEOのジャック・ドーシー氏は、2月6日に行われた同社第4四半期決算発表にて、現在拠点としているサンフランシスコへの依存を減らし、Twitter従業員の所在地をより分散…

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ピックアップCEO Jack Dorsey’s comments about San Francisco are a warning sign for the city’s tech scene

ニュースサマリー:Twitter社CEOのジャック・ドーシー氏は、2月6日に行われた同社第4四半期決算発表にて、現在拠点としているサンフランシスコへの依存を減らし、Twitter従業員の所在地をより分散化させていく意思を示した。なお、具体的な施策についてのコメントはなかったという。

話題のポイント:サンフランシスコといえば、世界で最も企業価値の高い巨大テック企業が集積するスタートアップの聖地として有名です。しかし、近年は急激な地価・給与水準の上昇がスタートアップに大きな負担をかけており、スタートアップに敬遠される傾向も同時に増加しています。

Rent Jungle」によれば、サンフランシスコ・ベイエリアの二人部屋アパートの平均家賃は2011年と比較して73%上昇しているとのこと。一方、ドイツ銀行によれば現在最も平均給与の高い都市はサンフランシスコであるとされています。

ここ数年はZoomSlackなどのオンラインコミュニケーション・ツールや、Google Suitsなどのナレッジシェアツール、AWS(Amazon Web Service)などのクラウド・サービスの登場により、より物理的制限に縛られずチームと協力し、ウェブ・サービスを開発する環境も整ってきています。

ドーシー氏は以上のような背景を踏まえ、今後数年さらに加速していくであろう”Workplaceの分散化”に興味を示しているのだと見受けられます。

同氏は2020年中盤に半年ほどアフリカに居住すると発言していて、その際はリモートでTwitter及びSquareのCEOとして働くことになることから、実際に彼自身がリモートワークを体験する必要性があるという背景も一つ重要なポイントです。

https://twitter.com/jack/status/1199774792917929984?s=20

2019年、オンライン・レンディング企業「Lending Club」が、350人以上の従業員をサンフランシスコから米国ユタ州に移動させています。また同年5月、決済企業「Stripe」も、100人以上のリモートエンジニアの雇用を始めるとアナウンスしています。

Facebook CEOのマークザッカーバーグ氏は、2019年4月に行われたF8デベロッパー・カンファレンスにて、自分が新しいスタートアップを創業するのであればベイ・エリアは選ばないと発言しています。理由としては、AWSなどの存在や、サンフランシスコのテクノロジー一択な画一的カルチャーを挙げています。

以上のように、スタートアップのサンフランシスコ離れはこれから起こり始める未来ではなく、ここ数年に及んで既に起こり続けてきた現象であることが分かります。

ちなみに現在ではサンフランシスコ以外に、米国内でいえばニューヨーク、海外でいえばインドのバンガロールや、イスラエルのテルアビブ、欧州はベルリンやロンドンに代表される「ネクスト・シリコンバレー」と呼ばれ、オルタナティブとなるITエコシステムが次々と登場しています。

ITエコシステムが世界中に分散していくことは、スタートアップの多様性の観点からも肯定でき、かつローカルなITエコシステムの発展を加速させる上でより効率的でしょう。こうした流れの中で、Twitter社が今後どこに拠点を移し、どのような方法で効率的なリモートワーク方法を確立してゆくのかに注目です。

韓国の〝ショッパブルコンテンツ・スタートアップ〟StyleShare、約23億円を調達——短編動画やYouTuber活用の販売チャネルをローンチ

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<ピックアップ> 쇼퍼블 콘텐츠 기업 ‘스타일쉐어’, 250억 규모 투자 유치 韓国発のショッパブルコンテンツ(「見たものをすぐに購入できる」ユーザ体験をもたらすコンテンツの意)スタートアップ StyleShare(스타일쉐어)は、StoneBridge Capital などから250億ウォン(約23億円)規模の資金を調達した。KB 証券と StoneBridge Capital がリードし…

Image credit: StyleShare

<ピックアップ> 쇼퍼블 콘텐츠 기업 ‘스타일쉐어’, 250억 규모 투자 유치

韓国発のショッパブルコンテンツ(「見たものをすぐに購入できる」ユーザ体験をもたらすコンテンツの意)スタートアップ StyleShare(스타일쉐어)は、StoneBridge Capital などから250億ウォン(約23億円)規模の資金を調達した。KB 証券と StoneBridge Capital がリードした今回のラウンドには、Premier Partners、SBI Investment、Mirae Asset Venture Investment、Mirae Asset Capital などが新たに参加した。既存投資家である KTB Network、IMM Investment、StoneBridge Ventures、LB Investment なども追加投資を行った。これまでの累積調達額は約550億ウォン(約51億円)。

2011年にファッション SNS として事業を開始した StyleShare は昨年には「29CM」連結ベースで取引額2,000億ウォン(約185億円)のコマース企業に成長した。2018年3月にオンライン編集ショップ 29CM を買収しており、MUSINSA(무신사)W コンセプト(W 컨셉)とあわせ、韓国を代表するオンラインファッションプラットフォームに挙げられている。今年現在 StyleShare の加入者数は620万人を突破。同社は新規動画事業をはじめとするコンテンツ開発全般に投資する計画だ。

Image credit: 29CM

昨年12月、StyleShare 子会社の 29CM はショッパブルビデオ「29TV」をローンチ。29秒という短い感覚的な映像で新ブランドを発見してもらい、製品が購入できるビデオコマースチャネルである。MZ 世代に合わせた短編映像とリピート再生効果で楽しさをもたらし、視聴した商品をすぐに決済購入できるのが特徴。MZ 世代とは、1980年〜1994年の間に生まれた Millennial(25〜39歳)と、1995年以降に生まれたZ世代(24歳以下)を合わせた造語。StyleShare も2月初めに、マルチチャネルネットワーク(MCN)との協業でライブコマース「ShareLive(스쉐라이브)」を正式ローンチした。

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via Platum

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1編ではエンタープライズ、フード領域を見てきました。2編では銀行業界を中心に起きている欧米市場の動きや、教育市場で起きている金銭ハードルをなくす動向を見ていきます。 エンタープライズ(1編) フード(1編) フィンテック(本編) 教育(本編) ギグ経済(本編) ヘルスケア(3編) メディア(3編) トラベル(3編) 不動産(4編) 小売(4編) モビリティ(4編) 新興“バンク”の立ち上がり 「A…

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1編ではエンタープライズ、フード領域を見てきました。2編では銀行業界を中心に起きている欧米市場の動きや、教育市場で起きている金銭ハードルをなくす動向を見ていきます。

  • エンタープライズ(1編)
  • フード(1編)
  • フィンテック(本編)
  • 教育(本編)
  • ギグ経済(本編)
  • ヘルスケア(3編)
  • メディア(3編)
  • トラベル(3編)
  • 不動産(4編)
  • 小売(4編)
  • モビリティ(4編)

新興“バンク”の立ち上がり

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Image Credit: MoneyLion
  • Atom Bank」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2014年にイギリスで創業し、7月に5,000万ユーロの資金調達を非公開ラウンドで実施。Woodford Patient Capital Trust、BBVA、Toscafund、Perscitus LLPらがラウンドに参加。
  • Current」は若者向けモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2015年にニューヨークで創業し、10月に2,000万ユーロの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Wellington Management、Galaxy Digital EOSらがラウンドに参加。
  • Chime」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にサンフランシスコで創業し、12月に5億ドルの資金調達をシリーズEラウンドで実施。DST Globalがリード投資を務めた。
  • Koho」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2014年にトロントで創業し、11月に2,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Portag3 Venturesがリードを務め、Greyhound Capitalらが参加。
  • Mercury」はスタートアップ向けのモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。サンフランシスコで創業し、9月に2,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Andreessen Horowitz、Naval Ravikantらがラウンドに参加。
  • MoneyLion」は会員制モバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にニューヨークで創業し、7月に1億ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Edison PartnersとGreenspring Associatesが共同でリード投資を務めた。
  • Monzo」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2015年にロンドンで創業し、6月に1.13億ユーロの資金調達をシリーズFラウンドで実施。YC’s Continuity fundがリード投資を務めた。
  • Nubank」はラテンアメリカ地域にてモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にブラジルで創業し、7月に4億ドルの資金調達を実施。TCVがリード投資を務めた。
  • N26」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にベルリンで創業し、7月に1.7億ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。 Insight Venture Partnersがリードを務め、GICがラウンドに参加。
  • Point」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2018年にサンフランシスコで創業し、1月に120万ドルの資金調達をプレシードラウンドで実施。
  • Rho Business」はスタートアップ向けのモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2018年にニューヨークで創業し、10月に490万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Inspired Capitalがリード投資を務めた。
  • Starling Bank」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2014年にロンドンで創業し、10月に3,000万ユーロの資金調達を実施。Merian Chrysalisがリードを務め、 JTCらがラウンドに参加。
  • Step」は若者向けモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2018年にパロアルトで創業し、7月に2,250万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Stripeがリード投資を務めた。
  • Uala」はラテンアメリカ地域にてモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2017年にアルゼンチンで創業し、11月に1.5億ドルの資金調達を実施。TencentとSoftBank’s Innovation Fundが共同でリード投資を務めた。
  • Joust Labs」は個人事業主向けのオンライン・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2017年にオースティンで創業し、8月に260万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。PTB Venturesがリードを務め、Accion Venture Lab、Financial Venture Studio、Techstarsがラウンドに参加。
  • Open」はインドにてモバイル・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2017年にバンガロールで創業し、6月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Tiger Global Managementがリードを務め、Tanglin Venture Partners Advisors、3one4 Capital、Speedinvest、BetterCapital AngelList Syndicateがラウンドに参加。
  • Oxygen」は個人事業主向けのオンライン・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2018年にサンフランシスコで創業し、1月に550万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Y Combinator、Base Ventures、The House Fundらがラウンドに参加。
  • Starship」はモバイル・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2016年にニューヨークで創業し、12月に700万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Valar Venturesがリード投資を務めた。

新興バンクの調達案件が多数登場してきました。2015年前後に登場した銀行スタートアップたちは、ほぼ同じコンセプトで事業展開を始め、市場はすでにレッドオーシャン化。欧米は規制も比較的緩く、銀行ライセンスを取得し、自社で当座・普通預金口座やローン事業を展開する「チャレンジャーバンク」が急速に増えています。

一方、銀行ライセンスを持たずに、既存銀行のサービスを統合して新たなサービスとして昇華させる「ネオバンク」はやや下火な印象です。なお、ネオバンクは1編で紹介したAPIを通じて銀行サービスを引き出しています。

レッドオーシャン市場では、攻め方が2つ挙げられます。1つは地域特化。米国では先行者利益を積みつつある「Chime」が市場をリードしています。同社のような先行者利益を得るために、南米やアフリカ地域での市場シェアをいち早く獲得する動きが目立ちます。

もう1つはデモグラフィック特化。主に銀行サービスへのアクセス権を持たなかった中高生に向けた銀行サービスが成長を遂げています。こうした銀行に共通することは、1編の冒頭で触れたアクセシビリティに焦点を当てている点です。

Z世代の若者はクレジットヒストリーを持たないことから、クレジットカードを発行できなかったり、適切な年齢になるまで気軽に銀行サービスにアクセスできない課題意識を持っていました。Z世代ユーザーのユニークな課題意識は、大学を卒業したミレニアル世代以上のペインを持ちます。

この課題を解決するために動いているのが、若者向け新興バンク「Current」に代表される企業です。また、スタートアップや個人事業主向けに特化することで、利用シチュエーションを限定させて人気を得ている、「Mercury」や「Oxygen」などの銀行も登場しています。こうしたデモグラフィック特化の事業アイデアでニッチ領域を独占する銀行サービスに商機が生まれています。

リストの中で興味深い事例が、「MoneyLion」の推し進める“Netflix for banking”に関する事業コンセプト。同社は「Core」「Plus」「Instacash」の3つのプランを元に会員制度を敷き、月額9.99 – 19.99の範囲でユーザーから収益化します。

銀行サービスは一般的にレンディングビジネスで収益化をしていると考えられますが、サブスクリプションモデルを導入することで、安定した収益構造を作り上げていると想像できます。銀行サービスはスイッチコストが多くかかるため、競合へ逃げることはあまりないはずです。

そのため、事業ベースをサブスクリプションにすることで、高いLTVを収益に直結させられる算段です。ユーザーにとっては必要なサービスだけ引き出せるため、多量なサービスをどう選べば良いのかわからなくなる複雑性や、サービスの過剰供給を防げるメリットを選べます。日本でも“サブスク銀行”の業態は登場しても不思議ではなさそうです。

カードの普及

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Image Credit: Deserve
  • Deserve」は若者向けにクレジットカードを提供。2013年にメンローパークで創業し、11月に5,000万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Goldman Sachsがリード投資を務めた。
  • Mitto」はZ世代向けにプリペイド・デビットカードを提供。バルセロナで創業し、9月に200万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。InnoCells、Athos Capitalらがラウンドに参加。
  • Petal」はクレジットヒストリーの無い人向けにクレジットカードを提供。。2016年にニューヨークで創業し、1月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Valar Venturesがリード投資を務めた。
  • Ramp Financial」は法人向けカードを提供。ニューヨークで創業し、8月に700万ドルの資金調達を実施。Founders Fund、BoxGroup、Coatue Managementがラウンドに参加。
  • Tribal」は法人向けカードを提供。2016年にサンノゼで創業し、12月に550万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。BECO CapitalとGlobal Venturesが共同でリードを務め、Endure Capital、500 Startups、Valve VC、AR Ventures、Off The Grid Ventures、Rising Tide Fund、RiseUp、Tribe Capitalがラウンドに参加。

先述した銀行サービスにはカードが必ず付いてきますが、この項ではカード発行だけに特化したスタートアップを紹介します。なかでも「Deserve」の動きは注目です。同社はZ世代向けに決済カードを発行する特化型ビジネスから始まりました。若者向けという金融市場の“ラストマイル”へ参入したことから事業を急拡大させてきたのです。

なお、ユーザーの親御さんが手軽に取引を管理できるようにモバイル体験を最適化させています。カードと口座ダッシュボードをモバイル時代に適応させたのがDeserveでした。

現在は全世代向けにカードを発行し、“Credit Card as a Service”をコンセプトに掲げ、あらゆるブランドが手軽にカードとダッシュボードを利用できるオープンプラットフォームになろうとしているのです。しかし、この事業方針は1編で紹介した決済カード発行APIを提供する「Galileo」と競合になります。ユーザー基盤を着実に増やしてブランド力を上げてきたDeserveと、API事業に特化したGalileoのどちらが市場覇権を握るのかに注目が集まります。

Deserveと同じ事業コンセプトを法人向けに展開するのが「Ramp Financial」や「Tribal」です。費用立て替えなどの厄介なプロセスを省くため、各従業員にカードを発行して、マネージャーが利用状況を管理できるUXを提供します。

これは親子向けのカード利用シーンとほぼ同じ関係と言えるでしょう。Deserveに通じる業態は、課題解決ポイントを上手く突いていることから、Ramp FinancialやTribalのように他領域でも活用できますし、日本でも十分に通用するユースケースだと感じます。

金回りの改善

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Image Credit: Otis
  • Capital」は500万ドルからのデットファイナンスサービスを提供。ニューヨークで創業し、10月に500万ドルの資金調達を実施。Greycroft, Future Ventures、Wavemaker Ventures、 Disruptiveがラウンドに参加。
  • CoinList」は投資家と仮想通貨プロジェクトを繋ぐマッチングサービスを展開。2017年にサンフランシスコで創業し、10月に1,000万ドルの資金調達を非公開ラウンドで実施。Polychain Capitalがリードを務め、Jack Dorsey氏がラウンドに参加。
  • Happy Money」はクレジット債務返済サポートサービスを提供。2009年にカリフォルニア州で創業し、9月に7000万ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。CMFG Venturesがリード投資を務めた。
  • Otis」は若者向けにアート作品の所有権投資プラットフォームを提供。2018年にニューヨークで創業し、12月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Maveronがリード投資を務めた。
  • PayJoy」は途上国のモバイルユーザー向けにクレジットヒストリー構築サービスを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、5月に2,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Greylock Partnersがリードを務め、Union Square Ventures、EchoVC、Core Innovation Capitalがラウンドに参加。
  • PTO Exchange」 は従業員の未消化有給休暇分を換金するサービスを提供。2013年にワシントン州で創業し、8月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。WestRiver Groupがラウンドに参加。
  • Salaryo」はコワーキングスペースの利用者向けにオフィス敷金のレンディングサービスを提供。2017年にニューヨークで創業し、8月に550万ドルの資金調達を実施。Ruby Ventures とMichael Ullmann’s investment groupがラウンドに参加。
  • SeedLegals」はスタートアップの資金調達および資本管理向けリーガルプラットフォームを提供。2016年にロンドンで創業し、3月に400万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Index Venturesがリードを務め、Kima Ventures、The Family、Seedcampがランドに参加。
  • Uncapped」はスタートアップ向けに収益ベースの資金提供サービスを提供。2019年にロンドンで創業し、12月に1,000万ユーロをシードラウンドで実施。Global Founders Capital、White Star Capitalらがラウンドに参加。
  • Uplift」は後払い/分轄払い旅行サービスを提供。2014年にメンローパークで創業し、12月に2.5億ドルの資金調達をデッドファイナンスで実施。Madrone Capital Partnersがリードを務め、Draper Nexus、Ridge Ventures、Highgate Ventures、Barton Asset Management、PAR Capitalがラウンドに参加。
  • Zestful」はカスタマイズ可能な従業員福利厚生プログラムを提供。2016年にデンバーで創業し、9月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Thrive Capitalがリードを務め、Box Group、Y Combinator、Matchstick Ventures、Third Kind Capital、Shrug Capitalがラウンドに参加。

本項ではお金との新しい接点を作り、流動性を向上させているスタートアップをまとめています。特に興味深いスタートアップは3つほど。1つはZ世代向けアート作品の投資プラットフォーム「Otis」。SNS時代に評価されるストリームグッズや、現代アート作品への投資を可能としています。若者に人気が出るであろうアート作品を、高い流動性を持つ少額投資商材として提供。

Z世代が持つ価値観に合わせて、投資商材を最適化させているのがOtisです。モバイル投資プラットフォーム「Robinhood」や「Stash」にも通じるUXを持っている点は、日本でも通用するかもしれません。

2つ目は使わなかった有給休暇期間を換金できるサービス「PTO Exchange」。日本と同様に未消化分の有給休暇が溜まれば、転職が決まったのちに消化をして、出勤しない期間が長く発生します。これは企業にとって、新規採用サイクルが滞ってしまうデメリットを背負います。そこでPTO Exchangeが登場しました。

同社は消化しきれない有給休暇を換金して、企業採用の新陳代謝を促進させるソリューションを提供。日本では無理やりにでも有給を使わされる文化が根付いていると思います。ただ、効率的に有給消化をして休みを取るマインドセットも大切ですが、現実はそうはいかないはず。“生産性革命”が叫ばれている今、PTOと同じ仕組みを日本のベンチャーが取り組んでみると面白いかもしれません。

最後は「Zestful」。企業が各従業員に支給する福利厚生額の用途を、従業員側で自由に利用できるサービスです。従来、福利厚生サービスは限定パッケージ内のコンテンツでのみ利用可能でした。しかし、マッサージや旅行割引などの型にはまったコンテンツからしか選べず、必ずしも欲しいと思える福利厚生は落ちていません。そこでZestfulは、NetflixやSpotify、Airbnbに代表されるミレニアル世代に人気のコンテンツの中から自由に選べるように、福利厚生の利用用途に柔軟性を与えました。

福利厚生を普段使うサービスに当てられることで、従業員の満足度も向上。企業側も訴求力の強い福利厚生パッケージを提示できるようになりました。

日本の福利厚生サービスは限定的、かつコンテンツが一新されていない印象であるため、日本版Zestfulには大きな商機があるかもしれません。各従業員に渡すデビットカードを発行することで、取引管理サービスとしての価値提供もできるでしょう。

多様な保険サービス

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Image Credit: Avinew
  • Avinew」は自動運転車ドライバー向けに利用量ベースの保険サービスを提供。2016年にカリフォルニア州で創業し、6月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Crosscut Venturesがリードを務め、American Family Ventures、Draper Frontier、RPM Venturesがラウンドに参加。
  • Route」は配達物トラッキングおよび購入物1%の保険サービスを提供。2018年にユタ州で創業し、11月に1,200万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Album VCとPeak Venture Capitalがラウンドに参加。
  • SafetyWing」はリモートワーカー向けの医療保険サービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、8月に350万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Foundersがリードを務め、Credit Ease Fintech FundとDG Incubationがラウンドに参加。
  • Thimble」は個人事業主向けに短期ビジネス保険サービスを提供。2015年にニューヨークで創業し、10月に2,200万ドルをシリーズAラウンドで実施。IACがリードを務め、Slow Ventures、AXA Venture Partners、Open Oceanがラウンドに参加。
  • Vouch Insurance」はスタートアップ向けのビジネス保険サービスを提供。サンフランシスコで創業し、11月に4,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Y Combinator Continuityがリード投資を務めた。
  • WorldCover」は途上国の農家向けに天候による収穫高を見込んだ安価な農業保険サービスを提供。2015年にニューヨークで創業し、5月に600万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。MS&AD Venturesがリードを務め、EchoVC、Y Combinator、Western Technology Investmentがラウンドに参加。

保険市場ではAI機械学習を使い、保険額を事前予測するケースが増えている印象です。たとえば「Avinew」は、自動運転向けの新たな保険サービスを提供。ドライバーの運転速度やルート、運転地域の天候・犯罪率などのいくつかの指標データを基に保険料を自動算出します。LiDARや車載カメラを通じて得られる運転データを溜まれば、より精度高く保険料を計算できるようになるでしょう。

このように車外環境データを膨大に収集できる時代に最適化した保険サービスが登場していますので、日本の大手保険会社もいずれは同じモデルで事業を仕掛けるのではないでしょうか。また、途上国の農家向け保険サービスの「WorldCover」も、同様にAIを用いてリスクを算出しています。

「出世払い制度」の広がり

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Image Credit: Lambda School
  • Blair Finances」はISA(収入分配契約)に基づいた学費レンディングサービスを提供。2019年にサンフランシスコで創業し、8月に15万ドルの資金調達を実施。YCombinatorがラウンドに参加。
  • Goodly」は学生ローン返済を従業員福利厚生として提供。2018年にサンフランシスコで創業し、3月に1,300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Norwest Venture Partnersがリード投資を務めた。
  • FlexClub」はギグワーカー向けに自動車貸し出しプラットフォームを提供。2018年にアムステルダムで創業し、3月に120万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。CRE Venture Capitalがリード投資を務めた。
  • Kenzie Academy」はソフトウェアエンジニア養成プログラムを提供。2017年にインディアナポリスで創業し、11月に1億ドルの資金調達をデッドファイナンスで実施。Community Investment Managementがラウンドに参加。
  • Lambda School」はソフトウェアエンジニア養成プログラムを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、1月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Bedrock Capitalがリードを務め、Vy Capital、GGV Capital、Google Ventures、Y Combinator、Sound Venturesがラウンドに参加。

年々膨らみ続ける学生ローン問題を解決するのが“出世払い制度”を持った教育機関です。「Lambda School」に代表される教育機関では、学生はローン返済などに苦しむ必要がなくなり、ソフトウェアエンジニアになって高給な仕事を得るという明確な目的意識を持って授業を受けます。

一方、学校側は学生を就職させ、事前に契約した授業料を回収するまで学生との関係性は途切れることはありません。卒業後も続くカスタマーサクセスが大事になってくる長期サービスが同校のモデルです。

Lambda Schoolが採用する出世払い制度は、既存の大学機関では収益構造を抜本的に変える必要があるため取り入れられません。しかし、学生はLambdaのようなブートキャンプではなく、大学に通いたいとニーズを持っているのも確かそこで出世払いサービスのみに特化した金融機関も登場しています。「Blair Finances」は学費を肩代わりする代わり、卒業後に返済させるレンディングサービスを展開しました。

どの教育期間でも出世払いで通えるサービスですが、1学生当たりに貸し出す金額と、回収期間が非常に長い難しいモデルです。機関投資家から長期投資商材として資金を集めれば回せるモデルになるのではないでしょうか。

出世払いを採用したレンディングモデルは、ギグ経済にも波及しています。「FlexClub」はUberドライバー向けに自動車を貸し出す投資プラットフォームを展開。投資家は自動車を購入し、FlexClubを通じてドライバーに貸し出します。

週もしくは月単位で収益分配されるため、自動車を長期投資対象として運用できるモデルです。ドライバーも頭金0で自動車を所有できるため、双方にとってWin-Winの関係を構築できます。このように出世払いの考えは教育市場から始まり、他市場へと拡大を見せているのが2019年の大きな流れです。

専門学校の躍進

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Image Credit: Landit
  • Cloud Guru」はクラウドコンピューティングを学ぶためのオンライン学習コースを提供。2015年にロンドンで創業し、4月に3,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Summit Partnersがリードを務め、AirTree VenturesとElephantがラウンドに参加。
  • Empowered Education」はウェルネスコーチ育成のためのオンラインコースを提供。2015年にニューヨークで創業し、3月に800万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Rethink Educationがラウンドに参加。
  • Flockjay」はセールスマン養成向けオンラインアカデミーを運営。2018年にサンフランシスコで創業し、10月に298万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Lightspeed Venture Partners、Coatue、Y Combinator、F7、SV Angel、Index Ventures、Serena Williams氏、Will Smith氏がラウンドに参加。
  • Giblib」は医療手術に関するオンライン学習コースを提供。2015年にロサンゼルスで創業し、4月に250万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Mayo Clinic、Venture Reality Fund、Wavemaker 360、USC Marshall Venture Fund、Michelson 20MMがラウンドに参加。
  • Immersive Labs」はサイバーセキュリティに関するオンライン学習コースを提供。2017年にイギリスで創業し、11月に4,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Summit Partnersがリード投資を務めた。
  • Landit」は女性のキャリア育成のためのオンラインコースを提供。2014年にニューヨークで創業し、2月に1,300万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。WeWorkがリードを務め、New Enterprise Associates、Valo Ventures、Workday Ventures、Gingerbread Capitalがラウンドに参加。
  • Ornikar」は自動車免許取得のためのオンライン教員マッチングサービスを提供。2014年にパリで創業し、6月に4,000万ユーロの資金調達をシリーズBラウンドで実施。IdinvestとBpifranceがラウンドに参加。
  • SV Academy」はビジネスディベロッパー養成プログラムを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、6月に950万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Owl Venturesがリード投資を務めた。

インターネットを用いた大規模公開オンライン講座プラットフォーム「MOOC (Massive open online course)」が広がり、市場は寡占状態。「Coursera」「Lynda.com」「Udacity」の3社を利用すれば、必要なオンライン教育コンテンツへほぼリーチできる状態だと言えます。この市場状態で次の勝ち筋を探すには、1つの分野に特化させてユーザー満足度を圧倒的に上げる以外ありません。リストにある通り、2019年は各分野で特化型オンライン教育プロバイダーが登場しました。

いずれのスタートアップもオンライン動画サービスではなく、ブートキャンプ式を採用しています。また、Serena Williams氏やWill Smith氏も出資する「Flockjay」は出世払い制度を採用しています。

各分野のプロフェッショナルの養成機関として、入学コスト0でサービスを提供するモデルが流行っている印象です。出世払いから始まったトレンドは、ソフトウェアエンジニア養成から始まりましたが、今後は専門学校分野へと幅広く広まっていくでしょう。

パッション・エコノミー文脈

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Image Credit: Outschool
  • Mighty Networks」はオンライン学習コース向けウェブサイトビュルダーを提供。2010年にパロアルトで創業し、4月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Intel CapitalとSierra Wasatchが共同でリード投資を務めた。
  • Outschool」は小学生教育コンテンツ向けライブ動画マーケットプレイスを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、5月に850万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Union Square VenturesとReach Capitalが共同でリード投資を務めた。
  • Patreon」はクリエイター向け有料作品を発表するためのサブスクリプションプラットフォームを運営。2013年にサンフランシスコで創業し、7月に6,000万ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。Glade Brook Capitalがリード投資を務めた。
  • Substack」は有料ニュースレターを発行できるプラットフォームを運営。2017年にサンフランシスコで創業し、7月に1,530万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Andreessen Horowitzがリード投資を務めた。
  • Tinkergarten」は幼少児向け屋外学習マーケットプレイスを提供。2014年にマサチューセッツ州で創業し、3月に2,100万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Omidyar Network、Owl Ventures、Reach Capitalがラウンドに参加。
  • Zyper」はSNSインフルエンサーがコアファンとブランドと繋がれるマーケティングプラットフォームを運営。2017年にサンフランシスコで創業し、6月に650万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Talis Capitalがリード投資を務め、 Forerunner VenturesとY Combinatorがラウンドに参加。

パッションエコノミー文脈のサービスは2019年で見逃せない動きでしょう。パッションエコノミーの大雑把な定義として、ギグワーカーが自分の個性を活かしてサービス展開できるSaaSを指します。たとえば「Outschool」はライブ動画を通じて自分の教室を持てるプラットフォームを展開。教員免許を持たない人が、手軽に高品質な動画教育サービスを提供できるSaaSです。

創造性に富んだデジタルコンテンツを世界中に発信して稼げる分野特化型SaaSが多々登場してきています。分野を問わず、自分のコンテンツを発信するためのウェブサイトを作成できる「Mighty Networks」のような業態も登場。無料のビュルダーは「Strikingly」や「Wix.com」などが有名ですが、パッションエコノミー特化のウェブサイト作成サービスに注目が集まっています。

デジタルコンテンツ提供者は大規模なオーディエンスを構築し、ニッチな趣味や特技などの情熱を効率的に収益に変えて生計を立てられます。誰もが「マイクロ起業家」になれるツールであり、私たちが現在考える「仕事」の概念を大きな変える意味合いを持ちます。このトレンドはしばらくは続くでしょう。

2編はここまでです。3編ではヘルスケアやメディアを中心に見ていきます。

スーパーフードにクラウドキッチン、注目あつまる「世界の250社」まとめ(1/4)

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節目である「2020年」以降の動きを考える時がやってきました。日本では東京オリンピックがあるため、なおさら経済や文化活動が大きく動く年でもあり、誰もが注目しているトピックでしょう。 そこで本記事では、2019年に筆者が日々ウォッチしてきた約5,000社の調達スタートアップの中から、30のキーワードにまとめた250社を見ていくことにします。みなさんの2020年にとって、1社でも参考になる企業を紹介で…

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節目である「2020年」以降の動きを考える時がやってきました。日本では東京オリンピックがあるため、なおさら経済や文化活動が大きく動く年でもあり、誰もが注目しているトピックでしょう。

そこで本記事では、2019年に筆者が日々ウォッチしてきた約5,000社の調達スタートアップの中から、30のキーワードにまとめた250社を見ていくことにします。みなさんの2020年にとって、1社でも参考になる企業を紹介できればと思います。

なお、今回取り上げているスタートアップの大半が欧米拠点の企業であり、資金調達の大きさは選出基準になっていません。あくまでも筆者の定性的な判断により選んでいます。また、創業年やラウンドなどの細かなデータはCrunchbaseの情報を引用しています。

さて、総評を先に述べると、全てのスタートアップに共通するコンセプトは「Accessibility(アクセシビリティ)」です。

「技術ブレークスルー」、「お金持ちしか得られなかった特権サービスの民主化」、「扱いづらかった旧来型の仕組みやサービスUX改善」に取り組んだスタートアップにユーザーが集まっている印象です。こうしたスピード感を持ったアクセシビリティが日本市場でも起きています。

昔のようにタイムマシン経営を楽にできるほど日本市場は未成熟のままではなくなりました。今では欧米、もしくは中国市場で見かけたスタートアップ事例をすぐに日本で再現する企業が現れています。欧米スタートアップのコンセプトは、矢継ぎ早に日本にやってくるでしょう。アクセシビリティの波が来て、あらゆる業界・業種でエンドユーザーの私たちが新しい体験を得る機会が増えるはずです。

それではここから、下記30のキーワード別にスタートアップの説明をしていきます。各スタートアップがどんなモノに対してアクセシビリティを与えているのかを考えると、何か良いアイデアが閃くかもしれません。まずはエンタープライズから紹介を始め、4編に渡り説明をしていきます。

  • エンタープライズ(本編)
  • フード(本編)
  • フィンテック(2編)
  • 教育(2編)
  • ギグ経済(2編)
  • ヘルスケア(3編)
  • メディア(3編)
  • トラベル(3編)
  • 不動産(4編)
  • 小売(4編)
  • モビリティ(4編)

まだ先がある、ワークツール新星登場

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Image Credit: Tandem
  • Gtmhub」はOKR管理に特化したワークツールを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、2019年12月に900万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。CRVがリード投資を務めた。
  • Mattermost」はSlackに代わるチームメッセージプラットフォームを提供。2011年にパロアルトで創業し、7月に5,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Y Combinator’s Continuity Fundがリードを務め、Battery Ventures、Redpoint Ventures、S28 Capitalらがラウンドに参加。
  • Monday.com」はチームワークフロー管理ツールを提供。2012年にイスラエルで創業し、7月に1.5億ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。Sapphire Venturesがリードを務め、Hamilton Lane、HarbourVest Partnersらがラウンドに参加。
  • Notion」はEvernoteに代わるチームワークステーションを提供。2016年にサンフランシスコで創業し、7月に1,000万ドルの資金調達をエンジェルラウンドで実施。
  • OpenFin」はファイナンス業界関係者向けのOSを提供。2010年にニューヨークで創業し、12月に2,200万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。HSBCがリードを務め、 Bain Capital Ventures、Barclays、CME Ventures、DRW Venture Capital、J.P. Morgan、NYCA Partners、Pivot Investment Partners、Wells Fargoがラウンドに参加。
  • Parabol」はチーム運営手法の1つであるレトロスペクティブに特化したワークツールを提供。2015年にロサンゼルスで創業し、11月に400万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。CRVがリードを務め、HaystackやSlack Fundらがラウンドに参加。
  • Quill」はエンタープライズ向けメッセージサービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、10月に1,250万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Index Venturesがリード投資を務めた。
  • Swit」は多機能ワークコラボレーションツールを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、11月に600万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Korea Investment Partnersがリードを務め、Hyundai Venture Investment Corporation、Mirae Asset Venture Investmentがラウンドに参加した。
  • Tandem」は遠隔地に住む従業員同士を繋ぐ仮想オフィス環境を提供。2019年にサンフランシスコで創業し、8月に750万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Andreessen Horowitzがリード投資を務めた。
  • Taskade」はスタートアップチーム向けコラボレーションツールを提供。2017年にニューヨークで創業し、10月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Grishin RoboticsとY Combinatorらがラウンドに参加。
  • Threads」は期限なし・緊急タスクリクエストなしをモットーに、ゆっくりと特定トピックを議論できるワークプレイスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、2月に1,050万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Sequoia Capitalがリード投資を務めた。
  • Workona」はクラウドワークアプリの管理プラットフォームを提供。2017年にサンマテオで創業し、12月に600万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。K9 VenturesとAugust Capitalらがラウンドに参加。
  • Glue Collaboration」はVR向けコラボレーションプラットフォームを提供。2018年にフィンランドで創業し、11月に350万ユーロ(380万ドル)の資金調達をシードラウンドで実施。Maki.vcがリードを務め、Reaktor Innovations、Bragiel Brothers、Foobar Technologiesらがラウンドに参加。
  • Emerge」はMR向けコラボレーションツールを開発。2015年にロサンゼルスで創業し11月に1,200万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。M13がリードを務め、Vulcan CapitalやLionTree Partnersらがラウンドに参加。

2019年はプロジェクト管理やメッセージツール領域が大きく動いた年でした。

大きな流れとしては2つ挙げられます。1つはリプレイス。主要ワークツール「Slack」「Evernote」を代替するサービスが急成長を見せています。「Mattermost」や「Notion」の事例を見ていると、こうした動きが顕著であることが見て取れるでしょう。

代替対象となるサービス規模が大きければ大きいほど、それほどユーザー獲得数も急速に獲得できる機会を得ています。5年・10年以上経っているようなサービス体験を変えることで、短期間にグロースできるポテンシャルを示しています。

2つ目は特化型/アドオン。「Taskade」は利用シーンをスタートアップに特化させています。また、「Gtmhub」はアジャイル開発で用いるOKR手法に、「Parabol」はレトロスペクティブの手法に特化。なかでもParbolに関しては非常にニッチな領域を抑えているといいながらも、すでに買収先を考えながら着実にユーザー数を伸ばしている印象です。

500超の企業が利用していることなので、爆発的な成長を見せてはいないものの、Slack Fundが投資していることから、いずれはSlackによる買収などが想定できるでしょう。特化型ツールは、ある程度までユーザー数を伸ばせばExitを狙えるため投資が集まっていると考えられます。

加えて、「Workona」に代表される各ワークステーションを束ねる、拡張型ツールの高い利便性に人気が集っています。同じようなツールにYコンビネータ卒業の「Station」が挙げられます。このような利便性の高いアドオン型ツールも見逃せません。

Gmailの次

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Image Credit: Superhuman
  • Consider」はスタートアップ向けのメールサービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、8月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Kleiner PerkinsやBedrock Capitalがラウンドに参加。
  • Superhuman」は既存メールサービスのヘビーユーザー向けに使い勝手の良い有料メールサービスを提供。2014年にサンフランシスコで創業し、5月に3,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Andreessen Horowitzがリード投資を務めた。
  • Loom」は企業向け動画メッセージツールを提供。2016年にサンフランシスコで創業し、11月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Sequoia Capitalがリードを務め、Kleiner Perkins、Figma、Kevin Systrom、Mike Krieger、Mathilde Collinらが参加。

誰もが使うGmailを超えることは至難といえます。しかし「Superhuman」は強気の価格設定とターゲティング、圧倒的な体験提供でこれを実現させています。同社は月額30ドルで次世代メールプラットフォームを提供。ターゲットユーザーは3時間/日以上メールを利用しているヘビーユーザーのみ。豊富なショートカットが用意されており、慣れると使い勝手が良いそうですが、サービス利用時に1on1動画セッションがあるほど心構えが求められます。

ただ、著名VCであるAndreessen Horowitzが参加している点や、10万人以上がウェイトリスト入りしている市場需要から、確実にGmailの体験を超える突破ポイントを掴んでいるといえるでしょう。サービス体験は価格を裏切らないものと呼べそうです。強気な価格設定で私たちが日常的に使うサービスを一新するモデルは他業種に見られます。たとえば「Andrena」は月額25ドルから高速インターネット回線を提供しています。

注目の動きは「Loom」にも見られます。コンシューマー市場で起きている流れがエンタープライズ市場に派生しています。今やInstagram、Snapchat、Facebookに代表されるSNSでは画像や動画などのビジュアルコンテンツが主流に。SHOWROOMのようなライブ動画配信ツールも人気です。

一方、仕事で使うツールは全てテキストがメイン。普段使うコミュニケーション媒体が変わっているにも関わらず、企業でのコミュニケーションスタイルはそのまま。このギャップに切り込んだのが、動画コミュニケーションツールを開発するLoomです。ユーザー体験としても非常に自然と受け入れられるでしょうし、おそらく今後、競合が多く出てくるでしょう。

ソフトウェアが飲み込む多領域

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Image Credit: InCountry
  • Clumio」はデータバックアップ版AWSを提供。2017年にサンノゼで創業し、1.35億ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Sutter Hill VenturesとAltimeter Capitalが共同でラウンドに参加。
  • Fictiv」はハードウェア製品の製造工場ネットワークを提供。2013年にサンフランシスコで創業し、3,300万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。G2VPがリード投資を務めた。
  • InCountry」は国際データコンプライアンスに対応するためのデータ保管プラットフォームを提供。2019年にサンフランシスコで創業し、7月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Arbor Ventures、Global Founders Capital、Mubadala、Caffeinated Capital、Felicis Ventures、CRV、Team Builder Venturesらがラウンドに参加。
  • Submittable」は各種書類申請およびレビュープラットフォームを提供。2010年にモンタナ州で創業し、7月に1,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Next Coast Venturesがリードを務め、True Ventures、Next Frontier Capital、Flywheel Venturesらがラウンドに参加。
  • Tulip」はメーカー向けにノーコード・開発/製造プラットフォームを提供。2014年にマサチューセッツ州で創業し、9月に2,110万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。DMG MORIがリード投資を務めた。
  • ZenBusiness」は創業関連資料の申請プラットフォームを提供。2015年にオースティンで創業し、9月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Greycroft、Lerer Hippeau、Revolution Rise of the Rest Fund、Rosecliff Venture Partners、Interlock Partners、Recruit Strategic Partnersらがラウンドに参加。

“Software is eating the world”のコンセプトが広がってから10年以上経ちました。SaaS系サービスは数多登場してきましたが、未だサービス展開先が残っています。たとえば「Clumio」のような特化型AWS業態をアジア圏で再現すれば大きく成長できるかもしれません。また、「Fictiv」のように工場への発注ラインをネットワーク化してしまう、業界特化型Airbnbのアイデアも日本市場で十分に躍進の機会が得られるはずと考えます。

時代によってSaaS進出範囲が増える点も見逃せません。「InCountry」は現在話題になっているデータ保護規則に対応するための“Data-Residency as a Service”を提供します。クラウド上にアップされているデータを規制に則った形で、物理的に世界中の任意の安全な場所に保存できるサービス。GAFAを筆頭とする大手IT企業のプライバシーデータ問題を解決できるSaaSとなっています。

データ管理の問題は10年前にはそこまで大きくはありませんでしたが、時代が進むにつれて課題意識が膨れ上がってきました。時代の境目を見定めてサービス化することで急成長が狙えることを、InCountryの事例から伺い知れます。同社の事業視点は市場の種類に関わらず、あらゆる起業家・事業家に対して良い示唆をもたらせてくれると感じます。

API化が続く世界

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Image Credit: Bud
  • Kong」はオープンソース・APIゲートウェイを開発。2010年にサンフランシスコで創業し、3月に4,300万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Index Venturesがリードを務め、Andreessen Horowitz、Charles Rivers Ventures、GGV Capital、World Innovation Labらがラウンドに参加。
  • Middesk」は企業間取引のバックグラウンドチェックに関するAPIを提供。2018年にサンフランシスコで創業し、9月に400万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Accelがリードを務め、Sequoia CapitalとY Combinatorがラウンドに参加。
  • RapidAPI」はAPIマーケットプレイスを運営。2014年にサンフランシスコで創業し、7月に2,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。M12がリードを務め、DNS Capitalや初期投資家Andreessen Horowitz、Green Bay Capitalがラウンドに参加。
  • Scale AI」はAPI経由で送られてきたコンテンツに対して、自動ソートおよびラベリング付けを行うサービスを提供。2016年にサンフランシスコで創業し、8月に1億ドルをシリーズCラウンドで調達。Index Venturesをリードを務め、AccelとFounders Fundがラウンドに参加。
  • SendBird」はチャット・メッセージングAPIサービスを提供。2012年にサンマテオで創業し、5月に1.02億ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Tiger Global Managementがリードを務め、ICONIQ Capitalらがラウンドに参加。
  • StrongSalt」はAPIを用いた暗号プラットフォームを提供。2015年にサニーベールで創業し、9月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Valley Capital Partnersがラウンドに参加。
  • Bud」はオープンバンキングAPIを提供。2015年にロンドンで創業し、2月に2,000万ユーロの資金調達をシリーズAラウンドで実施。HSBC、Goldman Sachs、ANZ、InvestecのINVC Fund、InnoCellsらがラウンドに参加。
  • Even Financial」は金融機関向けに各種パートナーサービスと連携できるAPIを提供。2015年にニューヨークで創業し、9月に2,500万ドルの資金調達を実施。Citi VenturesとMassMutual Venturesがラウンドに参加。
  • Galileo」は決済カード発行APIを提供。2000年にソルトレークシティで創業し、10月に7,700万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Accelがリードを務め、Qualtricsの共同創業者兼CEOのRyan Smithらがラウンドに参加。
  • Rapyd」はオンライン決済APIプラットフォームを提供。2016年にロンドンで創業し、10月に1億ドル、12月に2,000万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Oak HC / FTがリードを務め、Tiger Global Management、Coatue、General Catalyst、Target Global、Stripe、EntréeCapitalがラウンドに参加。
  • Synapse」は各種銀行サービスAPIを提供。2014年にサンフランシスコで創業し、6月に3,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Andreessen Horowitzがリードを務め、Trinity VenturesやCore Innovation Capitalらがラウンドに参加。
  • Tink」はオープンバンキングAPIを提供。2012年にストックホルムで創業し、2月に5,600万ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。Insight Venture Partnersがリードを務め、Sunstoneらがラウンドに参加。
  • Yapily」は企業向けに各金融機関サービスを利用できるAPIを提供。2017年にロンドンで創業し、540万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。HV Holtzbrinck VenturesとLocalGlobeが共同でラウンドに参加。

APIのユースケースとして覚えておきたい動きは2つ。1つはフィンテックAPI領域。スタートアップがオンライン銀行を0から作り上げる際、ユーザー体験にのみに注力し、必要な金融サービスや口座情報はAPIを通じて取得する流れが出来上がっているのが印象的です。

イギリスでは銀行にAPIを開示させるオープンバンキングが義務化され、「Bud」や「Tink」に代表されるサービスが台頭。単一サービスのみをAPIを介して引き出すのではなく、多数の金融サービスを引っ張り出し、自社サービスを作り出すAPIならではのコンセプトは、他市場でも応用できるでしょう。日本では法律の問題からオープンバンキングは実現することは難しいでしょうが、概念はさまざまな市場で使えるため注目です。

次はバックグラウンドチェックAPI。欧米ではUberやAirbnbの登場によりギグワーカーの身辺調査が必ず必要となってきたため、バックグラウンドチェック市場が大きく成長してきました。「Checkr」はこの分野で躍進しています。

日本でも「back check」が登場。そして近年ではバックグラウンドチェックがB2Bへ進出しつつあります。たとえば「Middesk」は法人単位のバックグラウンドチェックサービスを提供。従来のチェック対象は個人でしたが、同社は信頼に足り得る取引先となるかを分析します。B2B向けバックグラウンドチェックは日本市場でも大きく需要を得るはずでしょうし、信頼情報を流通させて社会インフラを作り上げるビジョンは共感性が高いと感じます。

音声ユースケースの模索

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Image Credit: Gong.io
  • Airbud」は自社アプリやWebサービスに音声インターフェースを追加できるサービスを提供。2018年にニューヨークで創業し、7月に4,00万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Hanaco Venturesがリード投資を実施。
  • Descript」はPodcastコンテンツ作成のための音声データ書き起こしおよび編集ツールを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、9月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Andreessen HorowitzとRedpointがリード投資を務めた。
  • Gong.io」は営業部門向けに音声会話データ特化CRMを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、2月に4,000万ドルの資金調達をシリーズBで、12月に6,500万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Sequoia Capitalがリードを務め、Battery Ventures、Norwest Venture Partners、Shlomo Kramer、Wing Venture Capital、NextWorld Capital、Cisco Investmentsがラウンドに参加。
  • Hugging Face」は自然言語処理アプリ用のオープンソースライブラリを提供。2016年にニューヨークで創業し、12月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Lux Capitalがリードを務め、A.Capital、Betaworks、Richard Socher、Greg Brockman、Kevin Durant氏がラウンドに参加。
  • Replica Studios」は自分の声を音声AI向けに実装できるサービスを提供。2018年にオーストラリアで創業し、12月に250万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。The Venture Reality Fundがリード投資を務め、Carthona Capital、Techstars、Mawson Venturesがラウンドに参加。
  • Robin Healthcare」は医療機関向け音声AIを提供。2017年にバークレーで創業し、9月に1,150万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Norwest Venture Partnersがリード投資を務めた。
  • Soundcheck」はスマートスピーカー向けにWebコンテンツを最適化できるパブリッシングツールを提供。2018年にミルバレーで創業し、11月に150万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。True Ventures、Resolute Ventures、Automattic、Biz Stone、Caterina Fakeらがラウンドに参加。
  • Speechly」は音声UIアプリを実装するためのAPIサービスを提供。2015年にフィンランドで創業し、12月に200万ユーロの資金調達をシードラウンドで実施。Cherry Venturesがリードを務め、 Seedcampらがラウンドに参加。

音声市場は大きく6つの領域に分かれます:「営業向け音声解析サービス」「Webコンテンツとスマートスピーカーの連携」「分野特化型音声AI」「Podcast」「音声チャット」「自然言語処理ライブラリ」。この中で最低限知っておくべきなのが、1つ目に挙げた営業サービス領域の1社「Gong.io」です。同社は次のユニコーン級スタートアップになることが確実視されている企業と言われています。

長年、SalesforceがCRMサービスの王者として君臨していましたが、時代は音声へ。昔から営業マンはテレアポなどを行い契約を取ってきますが、なぜアポが失敗したのかなどのデータ解析が不十分でした。契約成立の有無やステージをSalesforceに入力して終わり。これでは営業チームの力が底上げされません。

そこでGong.ioは音声時代のSalesforceを開発。音声データから営業トークの解析を行い、単なるCRMではなく、改善プラットフォームして機能するソフトウェアを開発しました。時代が経つにつれて音声が重視されるようになります。こうした時代の変遷とともに従来の大手サービス体験を一新させたのがGong.ioです。アジア版Gong.ioの登場も期待されるでしょう。

著名投資家であるMark Cuba氏や、マーケータのGary Vaynerchuk氏も注目する音声市場。これから徐々に頭角を見せてくるAR/VR市場との相性も非常に良く、ゆくゆくは私たちが日常的に行なっているタイピング習慣をリプレイスするかもしれません。

現在はユースケースが非常に限定的ではありますが、どこかでティッピングポイントを迎え、爆発的に普及されることが予想される音声サービス。その兆しが今年リリースされたAirPods Pro。本記事執筆時点で1か月待ちの需要は、単なるイヤホンとしてではなく、音声時代へ本格的に足を踏み入れるとっかかりと捉えてもよいかもしれません。2C向けツールの普及に押されて、様々な市場で音声スタートアップが登場するはずです。

スーパーフード革命

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Image Credit: Meatable
  • Fermented Sciences」はオーガニック昆布茶ブランドを展開。2016年にカリフォルニア州で創業し、11月に2,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Ecosystem Integrity FundとPowerPlant Venturesが共同でリードを務め、Blueberry VenturesやMonogram Capital Partnersらがラウンドに参加。
  • Future Meat Technologies」は遺伝子組み換えなしの動物細胞を生産する企業。2018年にイスラエルで創業し、10月に1,400万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。S2G VenturesとEmerald Technology Venturesが共同でリード投資を務めた。
  • Impossible Foods」は植物由来の人工肉を生産する企業。2011年にレッドウッドシティで創業し、5月に3億ドルの資金調達をシリーズEラウンドで実施。TemasekとHorizons Venturesが共同でリード投資を務めた。
  • Meatable」はラボ開発された人工豚肉を生産する企業。2018年にオランダで創業し、12月に1,000万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Union SquareのAlbert Wenger氏やTransferWiseの共同創業者であるTaavet Hinrikusらがラウンドに参加。
  • New Culture」は非動物由来の人工チーズを生産する企業。2018年にサンフランシスコで創業し、9月に350万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Evolv Venturesがリード投資を務めた。
  • New Wave Foods」は植物由来のエビを生産する企業。2015年にサンフランシスコで創業。Tyson Venturesから非公開調達を実施。
  • NotCo」はマヨネーズを始めとする植物由来の代替食品を生産する企業。2015年にチリで創業し、3月に3,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。The Craftoryがリードを務め、Kaszek VenturesとIndieBioがラウンドに参加。
  • Redefine Meat」は工業用3Dプリンターを使用した人工肉を生産する企業。2018年にイスラエルで創業し、9月に600万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。CPT Capitalがリードを務め、Hanaco VenturesやThe PHW Groupらがラウンドに参加。
  • Wild Earth」は非動物由来のペットフードを生産する企業。2017年にバークレーで創業し、5月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAを実施。VegInvestがリードを務め、Radical Investments、Felicis Ventures、Founders Fund、Mars Petcareがラウンドに参加。

2019年は人工肉スタートアップが数多く誕生した年でした。上記一覧以外にも大型調達した企業が多数いることから、今後3〜5年の期間でファーストフード店が登場するほど供給量が増えて、人工肉しか取り扱わないレストランチェーンも登場することも想像できます。

スーパーフード領域で見逃せないのが日本食品の台頭です。たとえば英国では元バンドマンが立ち上げ、鹿児島や静岡から取り付けた抹茶をエナジードリンクとして販売する「MatchaBar」がミレニアル世代から人気を博しています。また、「Fermented Sciences」のように昆布茶をブランド商品として展開する事例も登場。

いずれも仕掛け人が日本人でないことが悔やまれます。海外では一切認知のない日本食を、若者向けにブランディングすることで一定層から人気を集められる市場性を、彼らが教えてくれています。

日本のスタートアップは地の利もありますし、いつでもこの分野で攻勢をかけられるはずです。フード領域で起業を考えられている方は、ジャパニーズフード + 越境領域は狙い所かもしれません。ちなみにスーパーフードではありませんが、日本の和牛農家から直接肉を仕入れられるサブスクサービス「Crowd Cow」は1,500万ドルもの調達をして順調に成長しています。

クラウドキッチンの台頭

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Image Credit: Virtual Kitchen Co
  • CloudKitchens」は元Uber創業者Travis Kalanickが立ち上げたクラウドキッチン事業。2016年にロサンゼルスで創業し、11月に4億ドルの資金調達を実施。Saudi Arabia’s Public Investment Fundがラウンドに参加。
  • Keatz」はドイツ拠点のクラウドキッチンを運営。2015年にベルリンで創業し、3月に1,200万ユーロの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Project A Ventures、Atlantic Labs、UStart、K Fund、JME Venturesがラウンドに参加。
  • Muy」はラテンアメリカで展開するチポトレ特化のクラウドキッチンを運営。2018年にコロンビアで創業し、10月に1,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。ALLVPがリード投資を務めた。
  • Nosh」は香港拠点のクラウドキッチンを運営。2015年に香港で創業し、7月に170万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。
  • Panda Selected」は中国拠点のクラウドキッチンを運営。2016年に北京で創業し、2月に5,000万ユーロの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Tiger Globalがリードを務め、DCMとGlenridge Capitalがラウンドに参加。
  • Rebel Foods」はインド拠点のクラウドキッチンを運営。2010年にインドで創業し、7月に1.25億ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。Go Venturesがラウンドに参加。
  • Virtual Kitchen Co」はレストランブランド向けに最適なキッチンおよび配達拠点を提供。2018年にサンフランシスコで創業し、6月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Andreessen HorowitzとBase10 Partnersが共同でリード投資を務めた。
  • Yummy Corp」はインドネシア拠点のクラウドキッチンを運営。10月に775万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Intudo Venturesがリード投資を務めた。
  • 2ndKitchen」は飲食施設と近隣レストラン事業者を繋げるマッチングプラットフォームを提供。2017年にシカゴで創業し、11月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Hyde Park Venturesがリードを務め、MATH Venture Partners、Great North Labs、Bragiel Brothers、M25がラウンドに参加。

UberEatsに代表されるフードデリバーサービスの登場以来、実店舗を持たず、アプリ上だけで店舗展開をする“バーチャルレストラン”(ゴーストレストランとも呼ばれる)の業態に注目が集まっています。

バーチャルレストラン事業を実現するには、客席の無い、調理場と配達拠点を兼ねる“クラウドキッチン”(ゴーストキッチンとも呼ばれる)が必要となります。こうしたキッチン拠点をネットワーク化して提供するサービスが世界各地で台頭してきました。

主にキッチンを外部飲食事業者に提供する、ネットワークサービスが多数登場してきていますが、なかには「Muy」のように自社運営をするスタートアップも登場しています。同社はUberEatsなどの外部プラットフォームにデータを取られない自社事業の強みを活かし、ビックデータを駆使してAIを使った事前注文予測サービスを実装し、需要と供給のマッチングを狙います。

店舗運営コストをクラウドキッチン化を通じて削り、データを見ながら料理を作り過ぎないようにして収益分岐点を狙う事業モデルです。ちなみに過去、「SpoonRocket」がデータを駆使した弁当配達事業を興して注目を集めながら倒産をしており、難易度は比較的高いと思われます。

世界的に見てもクラウドキッチンサービスは競合が多いため、次の事業モデルが模索されています。その答えの1つが、Andreessen Horowitzが投資をした「Virtual Kitchen Co」です。同社はキッチンを提供するだけでなく、地域でどの料理が人気を集めそうか、どの場所にキッチンを置くべきか、人員はどの程度配置すれば良いのかなど、AI事前予測を使った総合ソリューションを提供。

先述したMuyが持つAIノウハウを外部へオープンにしているような事業モデルです。おそらく今後、Virtual Kitchen CoのようなAIを絡めたネットワークビジネスが注目を集めそうです。

面白いスタートアップとして「2ndKitchen」も挙げられます。自社店舗では作りきれない料理を近隣のクラウドキッチン業者に作ってもらい、店舗にまで届けてもらうサービスです。まさに“メニューの拡張”を実現しているスタートアップと言えるでしょう。従来、ユーザーの自宅に届けることを前提にバーチャルレストラン事業は考えられてきましたが、店舗に届けるコンセプトを2nd Kitchenは提案しています。他店舗から届けられた食事を好んで食べられるのかどうか、UX上の懸念点はありますが、B2Bマッチングプラットフォームとしての視点は興味深いでしょう。

1編はここまでです。2編ではフィンテック領域を中心に事例を見ていきます。

業績見合いでローン提供「Uncapped」はスタートアップの株放出問題への対抗策となるか

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ピックアップ:Uncapped raises £10M to offer ‘revenue-based’ finance to growing businesses ニュースサマリー:12月1日、スタートアップ向けローン提供サービス「Uncapped」が、サービスのローンチと同時に1,000万ドルの資金調達を実施。資金は株式と借り入れの両方で行われる予定で、投資家には、Rocket Interne…

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ピックアップUncapped raises £10M to offer ‘revenue-based’ finance to growing businesses

ニュースサマリー:12月1日、スタートアップ向けローン提供サービス「Uncapped」が、サービスのローンチと同時に1,000万ドルの資金調達を実施。資金は株式と借り入れの両方で行われる予定で、投資家には、Rocket Internet’s Global Founders CapitalやWhite Star Capital、Seedcamp、そしてその他複数のエンジェル投資家が名を連ねている。

同社はロンドンに本社を置くポーランド発の企業。スタートアップ向けに業績ベースのローン提供サービスを展開する。スタートアップはVCやエンジェルなどの投資家からのエクイティー(株式)投資に依存しており、それが将来的な自己株比率の不足をもたらすなどの問題に繋がっていた。

しかしUncappedからの借り入れは株放出に頼らない業績ベースのローン。10万~100万ポンド(約1400万~1億4000万円)を貸し出し範囲とし、手数料は一律6%、投資家よりも高速で資金調達を実行できる点を強みとしている。

TechCrunchの記事で同社CEOのIsmail氏は以下のように答える。

資金調達を検討する起業家に最初に立ちはだかるのは、“数%のエクイティー(株式)を手放すのか、はたまたデット(借り入れ)を行うのか”という、二者択一の意思決定。エクイティーは遅い上に株放出が必須であり、またローンもハイリスクという欠点があります。しかしUncappedは、両方の良いとこどりをした代替手段となり得ます。

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話題のポイント:Uncappedのファイナンス・サービスに関して気になるポイントは、同社の業績ベースの与信がどれほど効力があるのか、という点でしょう。ローンが高スピードかつ低い手数料である点は借り手のスタートアップにとって大きなメリットではあるものの、彼らの貸し倒れ率を一定以下に抑えなければ同社のビジネスは成り立ちません。

そのため、ローン提供先事業の債務返済能力を適切に与信を取るする必要があり、その方法の質の高さがサービスのコア・バリューになるとも言い換えられます。

与信の方法について、ピックアップ記事の中でIsmail氏は、「Uncappedは事業者がこれまで蓄積してきた販売データや、事業者らが利用するStripeやShopfyなどの外部サービス内の決済・販売データなど、多数のソースに依拠する形でデータを収集し、与信審査を行う」といったコメントを残しています。

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Uncappedが想定する借り手事業者は、Eコマースやサブスクリプションサービス、D2C、SaaS、アプリやモバイルゲーム、マーケットプレイスの6つのカテゴリに属する事業者であるとされています。これら6つのサービスが選ばれる理由は、与信データの収集を行いやすい事業モデルであるためだと考えられます。

実際、Uncappedは借り手に2つの条件を設けています。1つは商品・サービスの販売をオンライン決済で行なっていること、そしてもう1つはサービスの運用を少なくとも9カ月以上継続できるていることです。

ちなみにStripeやShopfyは既に自社サイトベースの業績データに依拠したローンサービスを提供しており、Uncappedの競合に当たります。一見するとより多くの業績データをプラットフォーム内で握るStripeやShopifyの方が優位性が高そうです。しかし、Uncappedは事業者自身が持つ販売データや事業者が運用するFacebookのようなSNSなども含め多面的にデータを収集しています。特定サービスに依存せず相対評価できているという見方もできるので、これはこれで強みを持っているといえるでしょう。

さて、全ての起業家の悩みのタネでもある資金調達を、より簡単かつ低コストなものに変革する「Uncapped」。欧州スタートアップの需要を掴み、かつ適切な出資を行うことで、新しい資金調達モデルを生み出すことができるのでしょうか。同社の今後の発展に期待が高まります。

ブロックチェーンで勃発する「中国元」vs「米ドル」戦争

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ニュースサマリー:中国国家主席を務める習近平氏は25日、中国共産党中央政治局にてブロックチェーンをイノベーションの中枢とする趣旨の発言をした。 従来、中国はビットコインをはじめとする暗号通貨には否定的な姿勢を見せてきていた。しかし、同国でWeChatなどを展開するテンセントが19日にブロックチェーンホワイトペーパーを公開するなど、中国におけるブロックチェーン市場の展望が少しずつ動き出しているようだ…

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ニュースサマリー:中国国家主席を務める習近平氏は25日、中国共産党中央政治局にてブロックチェーンをイノベーションの中枢とする趣旨の発言をした。

従来、中国はビットコインをはじめとする暗号通貨には否定的な姿勢を見せてきていた。しかし、同国でWeChatなどを展開するテンセントが19日にブロックチェーンホワイトペーパーを公開するなど、中国におけるブロックチェーン市場の展望が少しずつ動き出しているようだ。

話題のポイント:中国市場で暗号通貨取引が規制を受けたのは2017年。政府は市場に対し否定的な立場を取っているのではないかと思いがちですが、今回習近平氏の発言にもあるように、ブロックチェーン技術の研究・開発に関して積極的な姿勢を見せ始めています。

日本の中央銀行に当たる中国人民銀行では「元」をデジタル化させ、デジタル人民元としてブロックチェーンを軸に管理する構想を抱いているとされています。ではなぜこのタイミングで中国がブロックチェーンというキーワードを、それも国家主席という立場を通した発言で強調してきたのでしょうか。

ブロックチェーンを利用したデジタル通貨という枠組みで見れば、デジタル人民元にとって一番のライバルは現時点ではFacebookのLibraに相当します。

同プロジェクトをリードするDavid Marcus氏は17日の米Bloombergにて、デジタル人民元がグローバルに成長すると発言。加えて、米国がLibraを規制する構えなのに対し、中国では今回のように国家が主体となって進めている状況だとも述べています。

まさに、この発言を裏付けたのが今回の動きです。習近平氏の声明は少なくともLibra、さらには米国政府を牽制しているともいえるでしょう。もっと言えば、いま市場を握ってしまう絶好のチャンスとも考えられます。

<参考記事>

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米国政府は以前取り上げたように、Facebookのプライバシー問題からLibraの信憑性を問い続けています。また、2020年に迫った米国大統領選に民主党より出馬候補予定のElizabeth Warren氏はFacebookの “解体” を政策にあげるなど、非常に強気な姿勢を見せており、仮想通貨構想に関しては中国とは真逆とも言える流れが出来てしまっているのが現状です。

もちろん今までもITと政治は切っても切り離せない関係性でしたが、今後、中国 vs アメリカ、さらには「中国元」 vs 「米国ドル」まで考えたとき、ブロックチェーンという金融に近いテクノロジーをどこまで政府が利用できるかに焦点が集まるでしょう。

元ピクシブ伊藤浩樹氏率いるアルプ、サブスクビジネス効率化・収益最大化プラットフォーム「Scalebase」をローンチ——1.5億円調達も明らかに

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東京を拠点とするアルプは21日、サブスクリプションビジネス(以下、サブスクビジネスと略す)効率化・収益最大化プラットフォーム「Scalebase」をローンチした。サブスクビジネスや SaaS 運営の業務効率化、収益最大化を支援する。 一般的な売り切り型のサービスと比べ、サブスクビジネスや SaaS 運営は、顧客数の拡大(収益が積み上がるため)や顧客単価・LTV の成長に注力する必要がある。そのため…

Scalebase
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東京を拠点とするアルプは21日、サブスクリプションビジネス(以下、サブスクビジネスと略す)効率化・収益最大化プラットフォーム「Scalebase」をローンチした。サブスクビジネスや SaaS 運営の業務効率化、収益最大化を支援する。

一般的な売り切り型のサービスと比べ、サブスクビジネスや SaaS 運営は、顧客数の拡大(収益が積み上がるため)や顧客単価・LTV の成長に注力する必要がある。そのためのキャンペーンの実施、プランの値上げ、プランのアップグレードやオプション追加など、提供者側の考えるべき課題は多い。

また、会計処理においては、売上回収と計上のタイミングのズレや顧客ごとに異なる契約状況に対し、手作業による複雑な処理が発生することも多い。プロダクトやプランの多様化により、顧客の契約状態の変化などへの対応は、オペレーショ ンの煩雑化を伴う。

「Scalebase」は、プライシング、商品管理、顧客管理、契約管理、請求書の発行・送付、クレジットカード決済・口座振替などの決済、各種データ分析、前受金管理、仕訳登録などを提供可能。サブスクビジネスや SaaS 運営における業務を一元管理・自動化し、提供企業の業務効率化を支援する。SFA/CRM、電子契約サービス、各種決済サービス、請求発行サービス、会計ソフトなどとも連携可能だ(パッケージソフト、クラウドの両方を含む)。

アルプは2018年8月、モルガンスタンレーや BCG 出身で、ピクシブの代表取締役を務めた伊藤浩樹氏により設立。今年3月にはシードラウンドで、ANRI、PKSHA SPARX アルゴリズムファンド、DNX Ventures、千葉功太郎氏、片桐孝憲氏(ピクシブ創業者)から1.5億円を調達していたことも明らかになった。

Scalebase
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Scalebase は今日正式ローンチを迎えたが、今年初めからサブスクビジネスや SaaS 運営のスタートアップで試験的に導入され、検証が続けられてきた。Scalebase を利用したことの効能について、そのようなスタートアップからもコメントが寄せられている。

導入前は請求まわりは仕組みかできておらず、Google スプレッドシートで管理していたのですが、お客様の数が増えれば増えるほど請求まわりの作業時間やそれに伴いう管理に工数がかかるようになっていました。MRR の集計やプラン別の売上集計などもどんどん複雑になっていてどうしたものか。と頭を抱えていました。(中略)

Scalebase 導入後は、当初弊社が抱えていた課題感はなくなり請求まわりの自動化、集計まわりの自動化ができました。今後、クレジットカード支払や口座振替など対応請求方法が拡充されていくようなので、非常に期待しています。(セールスオートメーションプラットフォーム「APOLLO SALES」を提供する Onion 取締役の小林祥太氏)

課金モデル・価格の検証やプライシングの変更などが行いやすくなること。これまで複数のスプレッドシートに散在していた顧客情報・請求・契約などの情報が Salesforce と Scalebase に集約され完結します。(スクラム採用プラットフォーム「HERP ATS」を提供する HERP 取締役 COO 徳永遼氏)

アルプの共同創業者。左から、取締役 山下鎮寛氏、代表取締役 伊藤浩樹氏、取締役 竹尾正馬氏
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さまざまな SaaS が先行するアメリカでこの分野を見てみると、いずれも累積で、ユニコーン入りしている Zuora が約2億4,750万ドル、Chargebee が約3,800万米ドル、Recurly が約3,900万米ドル、Cratejoy が1,080万米ドルをそれぞれ調達している。決済大手の Stripe もまた、Stripe Billing というサブスクや SaaS プロバイダ向けのメニューを提供しているが、決済のみならず、サービス運営者が必要とする機能を統合的に提供できるかどうかがカギになりそうだ。

なぜAirbnbは強く、Uberは弱いのか?ーー起業家が知っておくべき4つのネットワークエフェクト

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ピックアップ記事: Why Some Platforms Thrive and Others Don’t 最近、SNSで「起業家が投資家へ事業戦略をピッチする際、答えるべき型がある」というやり取りをしばしば目にするようになりました。結論から言うと「ネットワークエフェクト」「規模のメリット」「ブランド」「高いスイッチコスト」の4つが答えになります。サービスが成長するために、何を武器に戦っていくかはこ…

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ピックアップ記事: Why Some Platforms Thrive and Others Don’t

最近、SNSで「起業家が投資家へ事業戦略をピッチする際、答えるべき型がある」というやり取りをしばしば目にするようになりました。結論から言うと「ネットワークエフェクト」「規模のメリット」「ブランド」「高いスイッチコスト」の4つが答えになります。サービスが成長するために、何を武器に戦っていくかはこのどれかを説明すれば片付くというものです。

しかしリサーチをしているなか、強固な「ネットワークエフェクト」を作り上げる4つの公式を押さえておけば、先ほどの全ての回答モデルを満たす筋道が見えると感じました。言い換えればネットワークエフェクト構築戦略さえ誤らなければ、あらゆる競合シチュエーションにおいても他社を負かせる“ディフェンス力”を獲得できると考えます。

そもそもネットワークエフェクトとは何でしょうか?最も簡単な答えとして挙げられるのが「使えば使うほど価値が増すシステム」です。

たとえばFacebookは友人同士のやり取りを活発化させることでネットワークを構築。現在は大問題になっていますが、個人データを膨大に集めて広告収益事業を成長させました。同様にAmazonもレビュー機能を通じて買い手と売り手を繋ぐマーケットプレイスを初期に構築。購買データからレコメンド機能の精度を上げて、さらにマーケットプレイスの価値を高めました。

それではGAFAに代表されるような巨大なネットワークを構築するにはどうすればよいのか。2つほど考えがあります。1つは強固なネットワークを構築できる領域から選択することです。

下記に記した13の領域は番号順にネットワーク効果の高い事業領域といわれています。事業アイデアを0から考えている起業家予備軍の方は高いランクのものから事業選定すれば強固なネットワークエフェクト構築の確率を上げられるかもしれません。本記事では2つ目の考えを中心に説明していくため、詳細説明は元記事『The Network Effects Manual: 13 Different Network Effects (and counting)』に譲ります。

  1. フィジカル(道路・電話・鉄道)
  2. プロトコル(Bitcoin・Ethereum)
  3. パーソナル・ユーティリティ(Facebook Messenger・Slack・Skype)
  4. パーソナル(Facebook・Instagram・Twitter)
  5. マーケット(AngelList・Houzz・TravelJoy)
  6. 2サイド・マーケットプレイス(eBay・Albibaba・Amazon)
  7. プラットフォーム(Microsoft OS・iOS・Android)
  8. アシンプトニック・プラットフォーム(Uber・Lyft)
  9. データネットワーク(Google・Yelp・Waze)
  10. テックパフォーマンス(VPN・BitTorrent)
  11. 言語(Google・若者言葉)
  12. 信念(宗教・イデオロギー)
  13. バンドワゴン – 人気や熱狂(Apple・Google・Stripe)
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さて、2つ目の考えは本題にもある、4つのネットワークエフェクト戦略を考察し、過去の事例から踏襲することです。前述したように次の4つの戦略を事業に取り入れることは「規模のメリット」「ブランド」「高いスイッチコスト」を含む全てのディフェンス力に繋がると考えています。

1. ネットワーク・クラスター

長期的に見て、単にユーザーを集めるだけでは強いネットワークエフェクトは誕生しません。なかでもローカルネットワークを積み重なって作る構築方法は注意が必要です。

たとえばUberのユーザー体験を考えてみましょう。東京に住むユーザーがニューヨークやサンフランシスコの配車状況を見ることはありません。つまり、ユーザーが利用するサービス都市毎にネットワーク構築がなされ、サービス展開都市数を増加させることで巨大なネットワーク網を作り上げているのがUberというわけです。

巨大なUberネットワークを因数分解するとバラバラのネットワークの積み重なりによって構成されている点を指して「クラスター」と呼びます。

他方、Airbnbは全く違うネットワークを保有します。ユーザーが最初に行うのは旅行先選択。東京に住んでいるユーザーが東京へ民泊するローカルな体験は想定していません。つまり旅行先に該当する都市数が多くなければそもそも成り立たないのがAirbnb。言い換えれば展開数が多いからこそ民泊市場を牽引できているのです。

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2つの事例を比較すると、タイトルにある通りAirbnbにはUberにはない強みがあります。それは参入障壁の高さです。

Uberは都市ベースで勝負をしているため、たとえば日本市場へ参入した場合、「日本交通」などのローカル企業と競合する形になります。ユーザー体験をベースにするとUberの競合数は数え切れないほど世界中に点在する構図ができあがってしまいます。

一方、Airbnbはグローバル規模でネットワークを広げて初めて成り立つモデルを採用。中小規模の競合他社を持つことはありません。いかに世界中にネットワークを持つかが競合力を測る物差しになるため、一度ネットワーク構築してしまえば後追いされる危険性が減るのです。

このように、仮に巨大なネットワーク構築ができた場合、どのような競合を迎え討たなければならないのかをユーザー体験視点で考える必要があるでしょう。「ローカル」vs「グローバル」ネットワークの視点から、後者の考えの方が長期戦略を語る際には説得力があるように思えます。

しかし、Uberのようにローカル都市ベースでネットワーク構築をしていく方向性の方が成長スピードが早い場合もあります。こうしたPro/Con比較をしっかりとした上で、最終的にどちらのネットワーク傾向を目指すのかを説明できるようになるとよいでしょう。

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2. 仲介業者の排除と引き抜き

UberやLyft、TaskRabbitの台頭により、一時期ギグワーカー向けサービスが多数登場した時期がありました。そのなかでも注目されたのが家事手伝いサービス「Homejoy」。2010年にサンフランシスコで創業し、2015年に倒産にまで追いやられました。累計調達額が6,500万ドルにも及ぶ大型スタートアップです。

当初、家事手伝いサービス提供者にホームレスを雇用していたり、ちゃんとした契約書(W-2フォーム)を結んでいないなどの雇用形態が問題視されていたことでブランド低下を招いたことが倒産の原因だと叫ばれていました。しかしネットワークエフェクトの側面から見ると違った見方が浮かび上がってきます。それが「引き抜き」です。

Homejoyは家事手伝いマッチングが成立した時点で手数料を徴収するマーケットプレイスモデル。しかしサービス提供者がユーザーから直接「毎週同じ値段で家事手伝いに来てくれないか」と誘われてしまえばマーケットプレイスから引き抜かれてしまう危険性があります。手数料を徴収されないため、ユーザーからしたら損はなく、サービス提供者から見れば通常より15-20%多く稼ぐことができます。仲介業者に該当するサービスプラットフォームを排除し、引き抜く具合です。

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上記の事例は個人が引き抜く想定事例ですが、企業レベルで行われてしまっては後発企業がユーザー獲得コストを削減することでき有利に立つことができます。実際、Uberと競合のLyft間ではこうした引き抜き合いが行われたことが容易に想像できます。手数料キャンペーンを張り続けた方が引き抜きの勝者になるため、共倒れリスクも考えられるでしょう。

この点、Airbnbのディフェンス思考は一歩先に行っています。サービスを実際に使われた方であればわかる通り、予約が完了するまで民泊先の連絡先・住所は公開されません。ユーザー視点から考えるとプライバシーを守るための導線であるように思えますが、実は引き抜き予防線になっているのです。

Airbnbでは一泊少なくとも50-100ドル以上を支払わないとサービス提供者へリーチすることができません。競合他社からすればそこまでの費用を払って連絡先を入手できたとしても、必ずしも自社民泊プラットフォームへ引き抜けるわけではないため断念せざるを得ません。

一方、HomejoyやUberなどの単価の安いサービスや、引き抜き策を講じていないサービスはどんどんネットワークを奪われてしまう可能性があります。いまでは規約に「ユーザー間の個人情報のやり取りを禁止する」と明言することで法的に守る手法が一般的ですが、あくまでも性善説に基づくため限界があるのです。

ちなみに初期のAirbnbは類似サービス「Craigslist」に掲載されている物件情報をさらいながらマーケットプレイス拡大を狙いました。今では徹底的に自社ネットワークを守っているAirbnbが、初期にはその逆手を突いた戦略を採用していた点は頭が切れるといえます。

引き抜きをする戦略は評価されますが、成長すれば引き抜かれるリスクを背負うことを意味します。最も優秀なプランはAirbnbのように“引き抜きはするが、成長フェーズでは引き抜きはさせない”ことを、取引額の高さやユーザー導線に組み込んだディフェンシビリティーの観点からを胸を張って言えるようなサービスでしょう。

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3. マルチホーミング

シリコンバレーでは複数のアプリを同時に立ち上げながら仕事をする人を頻繁に見かけます。

たとえばUberとLyftを立ち上げたスマホ2台を運転席に立て替えておいて、リクエストが入ってきた順、もしくは高い運賃を稼げるほうを承認するという使い方をするユーザーです。買い物代行サービス市場において同様の現象が起きており、「Instacart」「Postmates」の両方をうまく駆使しながら隙間時間を作らずにお金を稼ぐわけです。

このように競合サービスをリアルタイムで同時に使う現象を「マルチホーミング」と呼びます。先述した引き抜きにも似ていますが、文脈上では「共存」というのが適切でしょう。

日本でもキャッシュレスブームが起きてから「Paypay」「メルペイ」「LINE Pay」のどれを使うか迷い、とりあえず全てインストールして持っている方は少なくないのではないでしょうか?フリマアプリにおいても「メルカリ」と「ラクマ」の併用が想定できます。

このようなアプリ複数持ちの現象が続くと、競合優位性を高く保てないネットワーク構築に終始してしまいます。実際にサービス利用されるまで選択肢が残り続けるため、ネットワークに長く留まってくれるコアファンの獲得に繋がらず、安定的な収益化に走ることが困難になります。まさにレッドオーシャン市場の様相で、最終的に競合から逃げ切るには、マーケティングコストをかけてユーザーを多く獲得して逃げるという手法が最有力になるかもしれません。

長期的に見て、ユーザーに選択肢を与えないようなサービス像を描くことができれば競合と戦う必要がなくなり、こうした説明を投資家に向かってできれば非常に魅力的で考えられた事業プランと呼べるはずです。著名投資家Peter Thiel氏が述べる「競争せずに市場を独占しろ」という名言にも繋がる考えでしょう。

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4. ネットワークブリッジ

多角化戦略をしながら他市場でもネットワークを構築、ユーザーとの接点を増やすことで様々なデータを獲得してネットワークエフェクトを最大化するのが「ネットワークブリッジ」です。

中国のEコマース企業「Alibaba」が好例です。自社傘下Eコマース事業「Taobao」「Tmall」と決済サービス「Alipay」を連携させることで相乗効果的にデータ獲得。取引データから信用情報を弾き出して金融事業にも攻勢をかけることを可能とし、「Ant Financial」の立ち上げを通じてデフォルト率の低いローンサービスを始めました。競合「Tencent」が「WeChat Pay」を通じた決済サービスの提供を始めたとしても、Eコマースを軸にした巨大な経済圏ネットワークを武器に独自のポジションを築き続けられています。

このように複数のネットワーク環境を構築することでプラットフォーム・オーナーであるAlibabaに大量のデータ資産が収集されます。ビックデータを活かすことでどのサービスチャネルにおいてもパーソナライズ・ユーザー体験を提供できるようになる、というわけです。

ネットワークブリッジの考えを起業初期から話したとしても絵に描いた餅の感じを持たれてしまうかもしれませんが、バーティカル特化で他市場へ参入できるポテンシャルを示せれば非常に良い説得力を与えられるでしょう。

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最後に簡単に内容をまとめます。

ネットワーク要素が大きく絡む事業を考える場合、起業家は自社ネットワークの特徴を長期戦略の視点から分析し、ネットワークエフェクトを強化する手法を検討、投資家へ説明する必要があります。

具体的には「グローバルネットワークの構築」「引き抜き戦略対策」「脱マルチホーミング」「ネットワークブリッジによる規模拡大」の4つを提示する公式が浮かび上がります。そして冒頭に説明した残り3つのディフェンビリティーもこの公式に紐づきます。

「ネットワークブリッジ」と「規模のメリット」は同意、「グローバルネットワーク構築」と「脱マルチホーミング」を成すためには「ブランド力」が鍵となってくるため、必然的に検討すべき条件に上がってきます。そして「グローバルネットワーク構築」ができる事業であれば「スイッチコスト」は自ずと高くなるでしょう。こうして、ネットワークエフェクトに関する4つの公式を考えることで、投資家が起業家に求めるディフェンビリティーの説明を一挙に行うことができます。

タイトルに記したAirbnbの強さは、この4つの公式をほぼ全て満たせていることが要因と推測できます。唯一ネットワークブリッジが弱いように思えますが、最近ではビジネス旅行市場へ積極的に攻勢をかけていたり、P2Pクラウドファンディングサービスを買収していることから多角化戦略に舵を切るタイミングはじきに来るでしょう。

一方、Uberはネットワークブリッジを除く3つの点において決定的な弱点を抱えています。せっかく成長させたネットワークが縮小するリスクを多々含んでおり、競合他社の動向を気にしながらネットワークエフェクトを維持できるか常に気を配る必要があります。

みなさんの事業では今回紹介した4つのネットワークエフェクトの特徴を何個抑えられていたでしょうか?仮にいくつか考えの抜けている点があれば、しっかりと公式に沿ってテンプレート回答を用意しておくと無駄な説明準備コストをかけずに済むため、実際にチーム内で議論してみるとよいかもしれません。

米政府によるFacebook「Libra」潰しが始まるーー脱退を発表したVisa、Mastercard、Stripeに送られた“脅迫文”

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ピックアップ:Signed letter re Libra to Patrick Collision, Ajaypal Banga, and Alfred Kelly ニュースサマリー:10月11日、Facebookが主導する暗号通貨プロジェクト「Libra」より、メンバーとして参加が予定されていたVisa、Mastercard、Stripeが同プロジェクトからの脱退を発表した。先週4日に脱退を先…

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ピックアップSigned letter re Libra to Patrick Collision, Ajaypal Banga, and Alfred Kelly

ニュースサマリー:10月11日、Facebookが主導する暗号通貨プロジェクト「Libra」より、メンバーとして参加が予定されていたVisa、Mastercard、Stripeが同プロジェクトからの脱退を発表した。先週4日に脱退を先立って発表したPayPalを含め「創設メンバー」とされていた企業の内5社が抜けたことになる。これはLibra Association発足から4カ月足らずでの出来事だ。

また、10月8日には米上院議会から脱退を決めた企業に送付されたとみられる公文書も公開されている。同文章では米政府がLibra、またFacebookへ懸念の意を持っていることが述べられている。

話題のポイント:Libraが発表された当初、Facebookのみならず数多くのテクノロジー企業や大手決済企業が運営に参加していることが話題となりました。特に当時のFacebookは、プライバシー保護など数多くの問題を抱えていたため、ブロックチェーン領域に複数企業と共に参加してきたことは大きな衝撃でした。

以下は、創設が発表された当初に公開されたメンバーリストです。

<参考記事>

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Libra

しかし、たった数カ月でその様相が根本的に変わろうとしています。まず、そもそもLibraは何を問題と捉え世界を変えようとしているのか。そのミッションは以下のように説明されています。

Libra is a global, digitally native, reserve-backed cryptocurrency built on the foundation of blockchain technology. People will be able to send, receive, spend, and secure their money, enabling a more inclusive global financial system.  – Libra Mission

Libraの最終目的地は世界統一通貨を生み出し、金融産業におけるインフラストラクチャーを抜本的に変えていくことを目指しています。

ブロックチェーン業界における今までのスタートアップも、同じようなビジョン・ミッションを持ちプロジェクトを作り上げることは多くありました。しかし、特に金融領域において抜本的変化を目指そうとすると、既存機関との衝突やコミュニケーションが取れずプロジェクトが進まないという壁にぶつかってきました。

そのため、既に知名度もありプラットフォームも所有しているFacebookが既存金融機関をリードしプロジェクト遂行を図るという面で、ブロックチェーン業界からも大きな期待が集まっていたのは間違いないでしょう。(もちろんネガティブな批評も数多くありますが)

しかし、Libra Association発足から4カ月が経過し、進展として発表されるのは(少なくともパブリックに)メンバーの脱退ニュースのみ。特にLibraにおいて最も金融領域とつながりがあるといえる「Payment(決済)」の枠組みで参加を表明した企業達が脱退を始めていることに非常に危機感が募ります。

以下は現在Libraのホームページに掲載されているメンバーの図。上図と見比べると有名どころの決済企業が姿を消しているかが分かります。

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Libra Partner

ではなぜ、4か月前までは参加にポジティブだったVisa、Mastercard、Stripe、eBay、そしてPayPalまでもが脱退を決めることに至ったのでしょうか。その背後にはFacebookのプライバシー問題において一悶着あった米政府との対立がありました。

以下の文章は、アメリカ合衆国上院からStripe、Mastercard、Visaへ送付されたものです。

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US Senate

同文章は、ほぼ米政府から上述企業への「脅迫メール」といえる内容で構成されています。

以下は冒頭の文章です。

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特に着目したいのは4行目からの「We urge you to carefully consider how your companies will manage these risks before proceeding, given that Facebook has not yet….」の部分。要約すれば「プライバシー保護もままならないFacebookという企業が率先する、金融プロジェクト『Libra』に参加する””リスク””を理解しているか?」と受け取れます。

同文章が送付されたのが10月08日。そして、上述企業は10月14日に脱退を表明。

この時間軸を考えるに、米政府による「脅し」が脱退へ大きく起因した理由になっているのは間違いないでしょう。

PayPalがFacebook「Libra」に脱退宣言、Visa・Masterも続く可能性ーーLibraに漂う暗雲と世界のデジタル通貨動向を考察する

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ピックアップ:PayPal Withdraws From Facebook-Led Libra Crypto Project ニュースサマリー:10月4日、暗号通貨・ブロックチェーン専門誌であるCoindeskは、大手決済企業「Paypal」がFacebook主導の暗号通貨プロジェクト「Libra」への参加を辞退したと報じた。厳密には、スイスに拠点を置くLibraプロジェクトの運営・管理主体「Li…

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Image Credit : Pexcel

ピックアップ:PayPal Withdraws From Facebook-Led Libra Crypto Project

ニュースサマリー:10月4日、暗号通貨・ブロックチェーン専門誌であるCoindeskは、大手決済企業「Paypal」がFacebook主導の暗号通貨プロジェクト「Libra」への参加を辞退したと報じた。厳密には、スイスに拠点を置くLibraプロジェクトの運営・管理主体「Libra協会」からの脱退をする。Coindeskのインタビューに対し、今回の突然の脱退についてPaypal側は以下のように回答している。

「未だ金融にアクセスすることのできていない人々に対する機会提供に務める」という、自社のミッションを優先・継続します。

なお、Libraの広報担当者は、Paypalから不参加の通知をメールで受け取り済みだという。一見、完全に袂を別ったかのような事件だが、Paypal側のコメントは以下のように続く。

私たちはLibraプロジェクトを支持し続け、将来的な協力を楽しみに、対話を続けていきます。 FacebookはPayPalの長年にわたる価値ある戦略的パートナーであり、今後もさまざまな形でサポートしていきます。

建前としてのコメントの可能性もあるが、サポートしたい気持ちもある一方で、規制当局からの抵抗に立ち往生する同プロジェクトを一旦手放すことが、Paypalにとっていま最も無難な意思決定なのかもしれない。

<参考記事>

話題のポイント:今回、Paypalだけが正式な形で脱退を表明しましたが、大手決済国際ブランドであるVisaとMasterの2社も脱退を検討しているとの報道があります。そのため今後、Paypalに続く形でLibra協会メンバー企業による脱退劇が始まる可能性も考えられます。

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Image Credit : The Block

改めて、発表当時のLibra協会のメンバー企業26社(Facebook・Calibraを除く)を振り返ってみると、改めて錚々たる規模のパートナーシップであったことが分かります。

しかし今回Paypalが脱退を表明し、かつその後にVisa・Materと続くことになれば、決済分野のパートナーが「Stripe」及びオランダの決済企業「PayU」だけになってしまいます。

Libra協会にとって、特に金融機関の脱退は将来的に大きな損失です。というのもPaypalやVisa、Masterなどの大手金融企業の存在は、各国の規制当局から信頼を勝ち取るために不可欠な資産だという見方もできるからです。

一方、Libra協会メンバーの金融企業からしてみれば、Libraへの参加は規制当局とのポジティブな関係性に傷をつける危険性があります。その点が今回のPaypalの脱退やVisa・Masterの躊躇の要因の一つであることは明らかであり、Bloombergによれば、PaypalやStripe、Visa、MasterはそもそもLibraに対する正式な参加署名はしていないとの情報もあります。

米国規制当局はLibra発表直後から断固としてプロジェクトに反対しており、またフランスやドイツの規制当局も、ヨーロッパ各国の貨幣主権や、市民のプライバシーを懸念して反対声明をしていました。

<参考記事>

今年6月にLibraプロジェクトが発表されて以降、そのインパクトとは裏腹に、上述したようなネガティブなニュースは後を立たちません。またLibraの存在意義を脅かす可能性のあるプロジェクト構想がいくつか立ち上がっています。

8月には、世界最大級の暗号通貨取引所であるBinanceが、Libra同様に複数のパートナー企業と協同して組成されたネットワークによって、独自ステーブルコインである「Vinus」をローンチするとの構想を発表しています。

<参考記事>

競合とまでは言えませんが、9月には、中国がブロックチェーンを用いたデジタル・キャッシュを構想しているとの報道がありました。中国の中央銀行にあたる中国人民銀行決済部門の副部長の口から「我々が発行するデジタル通貨は、FacebookのLibraに似たものになる」という言葉が飛び出したことも話題のポイントになっています。

<参考記事>

中国は以前から国際経済の基軸通貨である米ドルに対抗する形で、巨大経済圏構想「一帯一路」の賛同国と共に、米ドルに依存しない国際金融システムをブロックチェーン技術を用いた形で構築する取り組みを行っています。そのため長期的にはデジタルキャッシュを一帯一路の文脈に持ち込む可能性、そして独自通貨がLibraと競争関係になる可能性もゼロではありません。

Libraと同じく、Binanceや中国のプロジェクトも現時点で構想中であることは変わりません。そのため、現段階で競争関係の優越をつけることは非常に難しいですが、改めてLibraを取り巻く世界のデジタル通貨動向の状況を整理するとなると、上述した形になります。

数々のプライバシーに関するスキャンダル、及び法定通貨主権の保護を理由に世界中の規制当局からは信頼を勝ち取れず、また脱退を表明するパートナーも現れているFacebook及びLibraプロジェクト。

当初は2020年初頭とされていたローンチ予定日も、2020年末にリスケジュールされています。来年中のローンチも厳しいのではないかと思わされるほどですが、どのようにこの現状を打破するのか、今後も動向が注視されます。