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Chris O'Brien

Chris O'Brien

フランスのトゥルースを拠点に活動するヨーロッパ特派員。政府の支援を受け、3年間にわたり人がカスレ、バター、ワインをどれほど消費しているかを研究している。以前は15年間にわたり、San Jose Mercury News や Los Angeles Times でシリコンバレーを取材。それを証明するかのように、今もシリコンバレー時代の能力を発揮している。南仏の生活コストの安さをシリコンバレーの人が知ったら、どうなることかと毎日思っている。

執筆記事

24時間Fleets開始:Twitterが考える「音声ライブ」と「謝罪」機能(2/2)

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Fleetsだけでない新たな機能 (前回からのつづき)Twitterはより話しかけやすくなる他の方法にも取り組んでいる。今年初め、TwitterはAppleのiOSユーザー向け音声Tweetを開始した。同社はそれがうまくいっていると主張している。 実は今、Twitterは音声の使用を拡大しようとしている。テスト中のコンセプトでは、オーディオダイレクトメッセージを送信することができる。同社によると多…

Fleetsだけでない新たな機能

(前回からのつづき)Twitterはより話しかけやすくなる他の方法にも取り組んでいる。今年初め、TwitterはAppleのiOSユーザー向け音声Tweetを開始した。同社はそれがうまくいっていると主張している。

実は今、Twitterは音声の使用を拡大しようとしている。テスト中のコンセプトでは、オーディオダイレクトメッセージを送信することができる。同社によると多くのユーザーからリクエストがあると主張している機能なのだが、詳細はほとんど明らかにされていない。

TwitterのプロダクトデザイナーMaya Gold Patterson氏は、さらに意欲的な製品を開発中であることを明らかにしている。それがAudio Spacesだ。ここでユーザーは他のユーザーとライブチャットルームを作成することが可能になるという。

「ライブの『Audio Spaces』とは、ユーザーが一人の人やグループと直接コミュニケーションをとることができる場所をイメージしています。ここはが非常に親密で安全なものであり、この空間をホスト付きのディナーパーティーに例えています。パーティーで快適に過ごしたり、楽しい時間を過ごしたりするためには、その場にいる全員のことを知っている必要ありませんが、誰もが快適にテーブルに座ることができるはずです」(Maya Gold Patterson氏)。

Audio Spacesのリリース時期はまだ決まっていない。Patterson氏によるとTwitterはまず、プラットフォーム上で最も危険を感じている可能性の高いユーザーを対象にテストを開始するという。

「私たちが想像しているような方法で、人々がAudio Spacesのライブを最大限に活用できるようにするためには、安全性を確保する必要があります。そこで、私たちは少し変わった方法を試すことにしました。それはSpacesの最初の実験を、プラットフォーム上で被害を受けている人たち、つまり女性や社会的に疎外された背景を持つ人たちという、非常に少数のグループに向けて始めようとしています。私は黒人女性として、残念ながらオンラインやTwitter上で数え切れないほどの嫌がらせを経験してきました。だからこそ、これを正すことは私個人の問題なのです。そしてチームは、まずこのグループの人々からAudio Spacesについてのフィードバックを聞きたいと思っています」(Maya Gold Patterson氏)。

最後に、TwitterのシニアプロダクトマネージャーであるChristine Su氏は「プライベートな謝罪」を可能にするツールや機能を開発しようとしていることもほのめかしている。

「来年に向けて模索していることの一つは、感情的になって一時的にコントロールを失った時、『ちょっとまって、落ち着いて』と言ってくれる信頼できる人の存在についてです。私たちはプラットフォーム上でのプライベートなフィードバックや謝罪の方法を模索しています」(Christine Su氏)。

ではそれは一体どのようなものになるのだろうか。Su氏はこのように語っていた。

「通知のように見えるかもしれません。あるいはフォローしている人からのちょっとした肘打ちのように見えるかもしれません。楽しみにしていますし、方法論的にそのフォーマットと、それがツイッター上の人々にとってどのように機能するのかを模索してきました。全てはTwitter上でより多くの共感と思いやりを構築できるようにするための試みを少しだけ先出ししたものになります」(Christine Su氏)。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Twitterの“24時間で消える”「Fleets」は会話のハードルを下げる(1/2)

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Twitterとは何かーー。このソーシャルメディア・プラットフォームが立ち上がってから14年以上が経過した今でも、この質問に答えるのに多くの時間が必要になる。今日(原文掲載日は11月17日)、24時間で消える「Fleet」の公開で、Twitterは会話の形を変えようとしている。 昨日のプレスブリーフィングで開発責任者たちは約20分を費やして、Twitterの使命(”社会の会話に奉仕する…

Image Credit : VentureBeat

Twitterとは何かーー。このソーシャルメディア・プラットフォームが立ち上がってから14年以上が経過した今でも、この質問に答えるのに多くの時間が必要になる。今日(原文掲載日は11月17日)、24時間で消える「Fleet」の公開で、Twitterは会話の形を変えようとしている。

昨日のプレスブリーフィングで開発責任者たちは約20分を費やして、Twitterの使命(”社会の会話に奉仕する”)を説明するだけでなく、その多くの欠点を認めていた。人々は安全にツイートできているとは感じていないし、威圧されていて、そして多くの人はTwitterを理解していない。ほとんどの人はただうろついているだけだ。

「人々が受動的にただ眺めているだけの状態から、能動的な活動に移行するのを妨げていたものは何だと思いますか?」ーー Twitterの調査責任者であるNikkia Reveillac氏はこう私たちに尋ねた。「人々が話をすることから学んだことは、つぶやきと会話に従事することは、まさに信じられないほど恐ろしいことができる、ということです」。

結果的にTwitterはフィルタリングされていない生の考えを共有することを恐れない、一部の人々によって支配されたプラットフォームとなってしまった。10月に発表されたPew社の調査によると、10%のユーザーが米国の全ツイートの92%を占めていたそうだ。

では、このようなあるまじきTwitter職人たちを弾くにはどうしたらよいのだろうか。

Twitterは今年に入ってから、威圧的な要素を下げるためのいくつかの段階的な措置を取ってきている。1月には、Twitterは人々が返信を非表示にできるようになることを発表した。その後、8月に同社はユーザーがより選別された会話を可能にするため、Tweetに返信することができる人を選択できる新機能を公開している。

この感情の延長上にあるのがFleetsだ、というのだ。

確かにこのように深く分析された文脈や調査はすべて正しいかもしれません。しかしそれはまた、SnapchatをコピーしたInstagramのストーリーズの、これをさらに模倣したFacebookのストーリーズに洒落たインテリ装飾を施したもののようにも見える。

「このフォーマットはみなさんには馴染みがあるかもしれません。しかし、私たちはこのフォーマットと、それがTwitter上の人々にとってどのように機能するのかを体系的に探求してきました。そして、市場テストと調査を通して、私たちのプラットフォームにとって意味があることに気付いたのです」。

こう語るのはデザイナーのJoshua Harris氏だ。

彼はFleetsの機能によって多くのユーザーがより会話に飛び込みやすくなるだろうと述べた。Twitterは、多くのユーザーがTweetを書き始め、下書きフォルダに残したままにしておいて二度と戻ってこないことを確認している。一時であるということで、Fleetsはこれらの躊躇する人たちが感じているかもしれないプレッシャーを軽減できるというのだ。理論的には。

確かにTwitterの方法は、他のプラットフォームでのやり方とかなり似ている。Tweetを書き始めて、それをタイムラインにシェアするか、Fleetsにシェアするかを決める。後者の場合、基本的には画像になる。Fleetsを共有する前に、ユーザーは上に絵文字や他のテキストを追加することができる。今後数カ月のうちに、Twitterはステッカーやさまざまなクリエイターツール、ライブ配信などの機能を追加していく予定だ。

他のユーザーのFleetsは、自分のタイムライン上に円で表示され、24時間のみ表示される。リアクションやコメントをしたい場合、レスは作成者へのダイレクトメッセージとして表示されることになる。

同社は3月にブラジルでFleetsのテストを開始したが、その結果に十分な自信を持っており、世界中でFleetsはスタンバイ状態になっているそうだ。

「心配するような公開の「いいね!」やリツイートはありません。私のFleetsに返信した人は誰でもダイレクトメッセージで個人的に返信してくれるので、フォロワーのスパムを気にすることなく、一対一のプライベートな会話が生まれます。私たちはこれをテストしてみましたが、Fleetsを使うことで、人々がより快適に会話に参加できるようになることがわかっています」(Harris氏)。

まあ、多分そうなのだろう。しかし記者会見でHarris氏はこの計画のアキレス腱であるスクリーンショットについて質問されていた。そう、現時点ではスクリーンショットを撮影してしまえば、ユーザーは自由にそれを引っ張ってくることができてしまうのだ。(次につづく)。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

垂直型農業システム開発のiFarm、シードラウンドで400万米ドルを調達——AIとドローンで都市農業の自動化を目指す

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iFarm は、AI とドローンを使って密閉された空間で果物や野菜を栽培する自動化システムを拡張するため、400万米ドルの資金調達を行った。Gagarin Capitalがこのラウンドをリードし、Matrix Capital、Impulse VC、IMI.VC、一部のビジネスエンジェルからの出資も含まれる。 このフィンランドのスタートアップは、呼ばれる垂直型農業システム「iFarm Growtun…

iFarm は、AI とドローンを使って密閉された空間で果物や野菜を栽培する自動化システムを拡張するため、400万米ドルの資金調達を行った。Gagarin Capitalがこのラウンドをリードし、Matrix Capital、Impulse VC、IMI.VC、一部のビジネスエンジェルからの出資も含まれる。

このフィンランドのスタートアップは、呼ばれる垂直型農業システム「iFarm Growtune」を開発している。iFarm は、消費者により近い場所で、条件を注意深くコントロールできる空間で食品を栽培することで、環境への影響を抑えながら、より新鮮な食品を生産することを約束している。

iFarm の共同設立者で CEO の Max Chizhov 氏は次のように述べている。

屋内農園の最大の利点は、どこにいても一年中栽培できることだ。(中略)

そして、ソフトウェアの使い方や栽培方法を知っている特別な技術者や農学者は必要ない。

自動化や AI やロボットと農業はますます融合しつつある。パリに拠点を置く Agricool は、都市部でイチゴを栽培するために、輸送用コンテナに自動化されたシステムを設置している。そのほか、自律型農業ロボットを構築する Naïo Technologiesポリカルチャーガーデニング(複数種作物栽培)のための AI システムを開発するバークレーの研究室、収穫時にブドウを運搬する自律型の乗り物を作る Burro、機械学習を利用して農家が農薬を使わずに作物を保護するのを支援する Enko Chem などがいる。

Image credit: iFarm

一方、iFarm は、企業や農家を中心としたクライアントと協力して、倉庫や工場、地下室などのスペースにシステムを設置している。

iFarm のシステムでは、最大5メートルの高さに積み上げられた長いラックに苗床を設置。センサーの配列が照明や湿度を監視し、調整する。ドローンにはコンピュータビジョンが搭載されており、作物の成長を追跡し、システムのアルゴリズムに必要なデータを提供する。

同社は、植物の成長に関する科学的なデータと、実際の農場から得られたデータをシステムに与えることで、このアルゴリズムを開発した。同社のプラットフォームは、植物の大きさや重さを測定することで、農家が生育条件を調整するのに役立つ。また、コンピュータビジョンを使用して潜在的な病気を検出することで、生産者が化学薬品の使用を回避できるようにしている。場合によっては、システムが自動的に微気候を調整するが、スタッフに推奨事項を提供することもできる。

iFarm は現在、3,000平方メートルから5,000平方メートルの規模の農場を顧客に提供している。同社はこれまでにフィンランド、スイス、イギリス、オランダ、アンドラ、ロシア、カザフスタンの11の農場の開発を支援してきた。Chizhov 氏によると、iFarm は今回の新たな資金調達を利用して iFarm Growtune の開発を継続し、ヨーロッパや中東の新たな国に進出する予定だという。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Twitter、リプライ制限機能で荒らし対策強化

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Twitterは、ツイートに対して返信できるユーザを制御する機能をロールアウトした。今年テスト運用を行った結果、8月11日から全てのユーザがこの機能を利用できるようにした。 TwitterのプロダクトマネジメントディレクターのSuzanne Xie氏はブログ記事で次のように書いている。 私たちは、ユーザがこれまでにない方法で会話する様子を見てきました。本日(8月11日)より全ての方にこの機能をお使…

Twitterは、ツイートに対して返信できるユーザを制御する機能をロールアウトした。今年テスト運用を行った結果、8月11日から全てのユーザがこの機能を利用できるようにした。

TwitterのプロダクトマネジメントディレクターのSuzanne Xie氏はブログ記事で次のように書いている。

私たちは、ユーザがこれまでにない方法で会話する様子を見てきました。本日(8月11日)より全ての方にこの機能をお使いいただけます。望ましくないリプライで有意義な会話の邪魔をされずに済むのです。

同社はTwitter上での慢性的な嫌がらせ、差別、デマ、ヘイトスピーチへの対応を求められてきた。ここ数カ月、同社は新型コロナウイルス関連のデマを取り締まりトランプ大統領のツイートの一部を非表示にしたりラベル追加したりし、Lightwellを買収して会話の質を向上させてきた。さらに、「Fleet」という24時間で消える投稿機能の実験も行った。また、新たなサブスクリプションプラットフォームを示唆するような求人広告も見受けられている。

概してこれらは、コアユーザからの反発を恐れて問題解決や新機能の導入が遅れがちな同社にしては、割と積極的なアプローチと言えるだろう。

Twitterは「ツイートに返信するだけで容易に会話に参加できる」というオープンな性質が受けていた。だがそれは見知らぬ人やボットからの荒らし被害に遭うという結果にもつながってきた。新機能により、ユーザはツイートを投稿する際に3つのオプションから返信できる相手を選択することができる。

  1. すべてのアカウントが返信できる(デフォルトではこのオプションが選択されている)
  2. フォローしているアカウントのみ返信できる
  3. @ツイートしたアカウントのみ返信できる

2または3が選択されている場合、ツイートにラベルが付けられ、返信ボタンがグレー表示される。リプライは制限されるが、リツイートや「いいね」は誰でも可能だ。

Xie氏によると、この機能からインタビューやパネルディスカッションのような新たな会話の形が生まれた。大量のつぶやきに埋もれてしまう心配も減り、会話をフォローしている人々にとってはフィードがすっきりするというメリットもある。

これらの機能で安心感を得られる方もいるでしょう。ツイートがより快適になり、そしてスパムや暴言からより守られているという感想をいただいています。(Xie氏)

ツイートの閲覧は誰もが可能なので、リツイートを通して独自の会話をスタートさせることによって反応を示すことができる点をXie氏は強調した。さらに、この実験から人々は返信が制限されていると知るとリツイートの中から別の視点を探し始めることが分かったと述べた。

Twitterは公の会話を提供するサービスですので、人々がさまざなま視点を知ることができるということが重要なのです。コメント付きリツイートを通して人々が議論全体を把握しやすくなるよう取り組み続けます。さらに、会話制限がなされていることをより明確にするような新たなラベルを試しています。(Xie氏)

同社は新しい返信機能の開発を続けている。今後数ヶ月以内に会話招待機能を作成する予定だ。

※本稿は提携するVentureBeat記事の抄訳です

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

AIスタートアップ、2020年Q2は2017年以来最低のスランプに【CB Insights調べ】

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2020年の第2四半期、ベンチャーキャピタルによるAIスタートアップへの支援は大幅に減少した。AI業界はパンデミックの影響を受けないかのように見えていたが、ついに巻き込まれてしまった。 CB Insightsのレポートによると、4月〜6月におけるAI関連のスタートアップによる資金調達は458件で72億2,000万米ドルだった。2020年第1四半期の506件84億米ドルからの減少となった。 レポート…

Image credit: Pixabay

2020年の第2四半期、ベンチャーキャピタルによるAIスタートアップへの支援は大幅に減少した。AI業界はパンデミックの影響を受けないかのように見えていたが、ついに巻き込まれてしまった。

CB Insightsのレポートによると、4月〜6月におけるAI関連のスタートアップによる資金調達は458件で72億2,000万米ドルだった。2020年第1四半期の506件84億米ドルからの減少となった。

レポートでは、第1四半期にWaymoが22億5,000万米ドルを調達した巨額のラウンドにより調達金額に偏りが生じたとされている。Waymoはラウンドを30億米ドルまで延長したために残りの7億5,000万米ドルは第2四半期に含まれることになった。だが、懸念されるのは取引件数の減少傾向だ。2020年第2四半期のAIスタートアップの取引件数458件というのは、2017年第2四半期の取引件数387件に次ぐ最低記録だ。

取引の減少はシードラウンドの減少によるものと考えられる。ベンチャーキャピタリストは成熟したAI企業へ投資しているようだ。同レポートには第2四半期に行われた1億米ドルを超える「メガ」ラウンドが15件もリストアップされている。

2020年にかけて、AIはベンチャーキャピタルの最もホットなセクターのひとつになった。2019年、全世界のAIスタートアップによる資金調達は、2018年の1,900件221億米ドルから増加し、2,200件266億米ドルの記録を打ち立てた。2020年に入ってから初めの3カ月間はまだ新型コロナウイルスの影響が深刻化しておらず、506件84億米ドルとAI業界は安定していた。

それでも、米国はAIスタートアップの資金調達において優位を保っていた。全取引件数のうち中国のAIスタートアップは15.5%(71件)だったのに対し米国は39.5%(181件)、調達額は中国が13億5,000万米ドルだったのに対し米国は42億2,400万米ドルだった。

今年、世界的なパンデミックにより、AIはヘルスケアの研究や追跡などの分野で好調だ。同レポートによると、ヘルスケア関連で活動するAI企業の取引件数は第2四半期で84件であり、第1四半期の82件から増加している。しかし金融関連のAIなど他の分野では減少している。

IPO市場は閉じたままだが、レポートによると買収は第1四半期の29件から増加し47件行われた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

「Facebookの改善」は可能なのか?

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Facebookは今までにないレベルでボイコットの脅威に直面している。公民権運動を実施する連合団体Stop Hate For Profitは、Facebookに対して10つの提案を実施し、ハラスメントや女性蔑視、人種差別や過激主義への対処を求められている。 このようなFacebookへの問題提起の共通点は、誰もがFacebookの軌道修正が可能だと信じている点だ。 しかし、もしそうでないとしたらど…

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Photo by Juan Pablo Serrano Arenas on Pexels.com

Facebookは今までにないレベルでボイコットの脅威に直面している。公民権運動を実施する連合団体Stop Hate For Profitは、Facebookに対して10つの提案を実施し、ハラスメントや女性蔑視、人種差別や過激主義への対処を求められている。

このようなFacebookへの問題提起の共通点は、誰もがFacebookの軌道修正が可能だと信じている点だ。

しかし、もしそうでないとしたらどうだろうか?

もちろん、私はFacebookが批判へ対応を講じない理由に結び付けたいのではない。むしろ、提起されている問題はFacebookの根本的な構造、つまりソーシャルメディアそのものに起因しているのではないかということだ。

同社はよく「何も対策を講じていない」と指摘される。しかし、実際Facebookは数多くの行動を取ってきているのが事実だ。

ヘイトスピーチ対策においては、同社は最新の報告書にて今年のQ1で960万件のコンテンツをブロックしたと触れており、昨年Q4の570万件から増加していることが分かる。また、今週は「Boogaloo」と呼ばれる反政府的活動のグループを200件以上閉鎖している。加えて5月には、Content Oversight Board (コンテンツ監視委員会)を開設した。これらはFacebookの対処の内、ほんの一握りの例だ。

このように、Facebookはテクノロジーでの解決を模索する以外にも人的解決策の取り組みも拡大してきている。しかし、ニューヨーク大学の研究が指摘しているように、これらの多くが第三者機関に依存しており、不十分な要素が目立つことが指摘されている。

さて、冒頭で触れた連合団体の提案では、「差別、バイアス、ヘイトスピーチの監視を強化するための、自社内における組織編制」が要求されている。また、透明性を検証するための第三者機関への情報提供、悪質なコンテンツに影響を受けた広告主への返金、白人至上主義、反ユダヤ、ホロコースト修正主義、ワクチン関連のフェイクニュースや気候変動否定主義に関連するグループの削除などが含まれている。

ほかの多くの提案は、有害コンテンツをフラグ化できる機能、政治的コンテンツの正確性、政治家への特例撤廃などは既に同社が取り組んでいる、または検討しているとされているものだ。提案の中には、誹謗・中傷を受けた被害者が、Facebookの従業員と話す機会を持てるコールセンターの設置というものもあるが、これは現実的でないように思える。

さて、Facebookは実際に、コンテンツの監査などいくつかの措置に合意したものの、未だボイコット運動の勢いは収まりを見せていない。同社副社長のニック・クレッグ氏は、インタビューにて有害なコンテンツ検閲に努力を惜しまないと述べている。

「Facebookはヘイトスピーチを放置しておいたところで、全く利益を生みません。何十億もの人がFacebookやインスタグラムを利用しているのは、そこでポジティブな経験ができるからです。広告主もユーザーも、悪意あるコンテンツをみたくはありません。つまり、私たちがそうしたコンテンツを取り締まることには大きなインセンティブがあるのです」。

しかし、有害コンテンツの完全な排除は現実には不可能に近いと言えるだろう。同氏は以下のようにも語っている。

「日々、多くのコンテンツが投稿される中で、悪意あるコンテンツのみを見つけることは非常に難しいと言わざるを得ません。Facebookでは、プラットフォームの安全性とセキュリティー対策のため、人員を約3倍の3万5000人規模に増員しています。そういった意味では、私たちは悪意あるコンテンツを見つけ出すAI技術のパイオニアと言えるでしょう」。

つまり、同社が取り組んでいる対策は、現時点で講じることのできる最善の一手なのだ。しかし、極右勢力にとっては未だにFacebookがプロパガンダ・フェイクニュースを生み出す最善の手段だと認識しているのが現実だ。

とはいえ、Facebookが自身で公開している同社の「対策」結果によると、昨年4月から9月までの間に32億件の偽アカウントを削除したとしている。これは、2018年の実績である15.5億アカウントからほぼ倍増していることになる。

これは、MAUが23.7億人を超えるSNSと考えると驚異的な数字だろう。言ってしまえば、同社は四半期ごとに月間利用者数を超えるフェイクアカウントを追い出していることになる。それでも、まだ月間アクティブユーザーの5%は偽物であるとの推測を出している。

この状況を踏まえると、現在提案されている対策を仮に全て受け入れたとしてもFacebookが根本的に変化を成し遂げることは難しいのではないだろうか。いわば、Facebookは少数の「偽の人物」が「本物の人物」を煽りフェイクニュース、プロパガンダ、ヘイトスピーチを拡大させる身近な最良のツールと化している。

抜本的にFacebookを改革するのなら、ユーザー登録に身元確認書類を必須にするなどの対策が考えられるが、ユーザーからの大きな反発が起こることは容易に想像できる。ほかには例えば、米国政府が主導になってプラットフォームがコンテンツに対して法的責任を回避することを許容しない法律の再制定も想像できる。しかし、それもマジョリティーに受け入れられる可能性は低いだろう。

では、Facebookは一体どうすればいいのだろうか?おそらく、この問題は規制を求める側とFacebookのやり取りがほぼエンドレスに続く状況へ帰着するのだろう。

もちろん、Facebookは、ある程度ボイコットが収まるまで自主的な規制強化を施すことになる。並行して新たな規制論者が生まれ、また、それと同時に何もそこで起きていないかのように何十億人もの人がFacebookを利用し続ける。そうした傍では、悪意を持った人々がいかにFacebookを悪用するか考え続けている、という状況が続くのだ。

そしていつの日か、何十年・何百年の間人類と時間を共にしたFacebookがどの様に私たちの暮らしに影響を与えたのか振り返る、そんな時が来ることになるのではないかと思う。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

エストニアが教えてくれる、アフターコロナ時代のインターネット投票のあり方

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アメリカが電子投票機や郵送投票をめぐる論争に取り組む一方、エストニアは、新型コロナ後の世界における選挙についての多くの懸念に対処すべく遠隔投票システムを開発した。 15年以上かけて改良されたエストニアの投票システム「i-Voting」では、政府発行のスマートカードを使って自宅のコンピュータから投票を行うことができる。現在、国民の46.7%がこのシステムを利用しており、この数字は年々着実に上昇してい…

ブラジルの電子投票機
Photo credit: 国営ブラジル通信 / CC BY 3.0 BR

アメリカが電子投票機や郵送投票をめぐる論争に取り組む一方、エストニアは、新型コロナ後の世界における選挙についての多くの懸念に対処すべく遠隔投票システムを開発した。

15年以上かけて改良されたエストニアの投票システム「i-Voting」では、政府発行のスマートカードを使って自宅のコンピュータから投票を行うことができる。現在、国民の46.7%がこのシステムを利用しており、この数字は年々着実に上昇している。

しかし依然として、エストニアはこの方法で投票する唯一の国である。問題は技術ではない。世界中のどの政府が使ってもいいように オープンソース化されている。本当の障害は「政府発行」というフレーズだ。システムが機能するためには、住民は電子身分証明と個人情報を政府に託さなければならない。

世界中の政府、特にアメリカでの政府に対する信頼の低下は、コロナウイルス追跡アプリのような中央集権型技術の障害となっている。政府がパンデミック時の投票などの問題を解決するために、データ集約型のテクノロジーを使用することを検討するには、透明性を高めることで市民との関係をリセットしなければならない。

e エストニア・ブリーフィングセンターのデジタルトランスフォーメーションアドバイザー Florian Marcus 氏は、次のように語った。

信頼は絶対的に重要だ。ほとんどの政府は、データの使用方法について透明性を欠いているため、社会からの信頼を完全に失っている。とはいえ、デジタル化は常にツールだと思う。正しいやり方もあれば、間違ったやり方もある。そして、何が正しくて何が間違っているかをどのように認識するかは国民次第だ。

パンデミックの最中にあるアメリカでの投票の課題は、ジョージア州で混乱した一次投票をきっかけに、ここ数日で浮き彫りになっている。投票用紙を投じようとする有権者は、大行列と長い遅延に直面した。電子投票機の故障も問題だったが、ジョージア州はまた、投票用紙を配送する上での物流問題に加え、ボランティアの大幅な不足に直面した

投票権活動家は、電子投票機の問題を避けるため紙の投票用紙に戻すことを要求しているが、それでは投票所の不足やスタッフの人手不足を解決することはできない。活動家らは郵送投票の拡大使用も求めているものの、トランプ大統領は有権者の不正行為につながるだけと吹聴し、この案が暗礁に乗り上げるのを狙っている

エストニアの電子 ID システム
Photo credit: e-Estonia Showroom / CC BY 2.0

一方、エストニアは「e-Estonia 構想」によって、世界で最もテクノロジーを推進した国の一つとなった。このプログラムの目玉は、2048ビットの公開鍵暗号化を使用したチップを搭載した国民 ID カードだ。住民はこのカードを、エストニア政府のさまざまなサービスで確実な身分証明書として使用することができる。国民健康保険証として、銀行口座へのアクセスにも、デジタル署名や納税や創業申請などにも利用できる。

もちろん、投票にもだ。

i-Voting は2005年の地方選挙で開始された。Marcus 氏によれば、その年に i-Voting を使用した人は多くなかったが、選挙を経るごとに利用者数は増加している。

i-Voting の普及スピードは速い。時間が経つに連れ、i-Voting に夢中になる人が増えている。

今日、エストニアでは、投票のために身元を確認する方法が2つある。1つ目は、電子 ID カードを直接使用する方法だ。エストニアでは現在、ほとんどのラップトップにはカードリーダーが内蔵されているが、住民は外付けのリーダーを手に入れることができる。外付けのリーダーの価格は、約15米ドルだ。

投票するには、住民は投票アプリをダウンロードし、カードを使ってログインする。アプリはすぐにユーザの投票区を認識し、選挙区と候補者のリストを表示する。住民が選択をすると、アプリは住民に選択を確認するように求める。最後のステップは、法的拘束力のある署名として機能する PIN コードの入力だ。

投票が登録されるとQR コードが表示され、スマートフォンでスキャンすると投票が正しく登録されているかどうかを確認できる。10日間の投票期間中は、最終期限までに何度でもシステムに戻って投票内容を変更することができる。

また、コンピュータ上での投票は、ID カードではなくスマートフォンを使って確認することもできる。エストニアの通信事業者は、同じ政府身分証明書が入った特別な SIM カードを販売している。利用者は電子スマートカードと一緒に SIM カードを購入し、政府のアカウントにリンクさせる。そして、オンライン投票の際には、その SIM カードを使って個人認証ができる。

エストニア政府は信頼を得るために、投票システムのコードをすべて GitHub に公開している。国民は自分のデータハブにアクセスでき、政府がどのような個人情報を持っていて、それがどのように使われているかを見ることができる。Marcus 氏によると、選挙のたびに参加者は徐々に増えているという。

エストニアでは今のところ、インターネット投票システムが事実上、人口の約半分の人々にとって郵送投票に取って代わった。残りの半分の人たちは、まだ公的な投票所に出向き、伝統的な方法で投票している。また、エストニアでは最終的な投票が集計される前に結果が公表されることはない。

e-Estonia ブリーフィングセンター内部。Skype や TransferWise などエストニアから生まれた有名スタートアップが紹介されている。
Photo credit: Masaru Ikeda

Marcus 氏は任務の一環として、e-Estonia ブリーフィングセンターで仕事をしている。しかし、i-Voting システムに関しては、エストニアの足跡をたどった国はほとんどない。Marcus 氏によると、地方政府2つがパイロットプロジェクトを行っているが、他の国ではシステムを採用していないという。

これは信頼の問題に帰着する。投票以外にも、アメリカでは政府発行のIDカードというアイデアは、いまだに難しいものだ。ほとんどの国民は社会保障番号を持ってい流ものの、標準的な ID カードは運転免許証のままだ。

約20年前、オラクルの Larry Ellison 氏は国民 ID カードの導入を試みた。9.11同時多発テロの後、オラクルはそのようなシステムを作成するための無料ソフトウェアをアメリカ政府に寄付した。Ellison 氏は自身の書いたこの提案の中で、社会保障カードや運転免許証などの ID はクレジットカードと同じ機能を持つべきであり、政府が保有する個人データはすべて一元化されるべきだと主張した

多くのアメリカ人は、国民 ID カードが基本的自由を犠牲にし、個人のプライバシーを侵害するのではないかと本能的に恐れている。表面的には、IDカードを発行することは重要なステップのように見える。私たちの名前、住所、勤務先、収入額、収入源、資産、買い物、旅行先などのデータベースを維持するために政府を信頼することは、大きな飛躍のように思える。

オラクルの提案に対する反発がきっかけで、この構想は頓挫してしまった。20年後、アメリカ市民とテクノロジーや政府との関係は対立しているため、このアイデアを再検討する可能性は低いと思われる。それでも Marcus 氏は、コロナウイルスが政府や企業にあらゆるアプローチを見直すきっかけになっていると考えているという。

そして、多くの国が長い間国民 ID カードを発行してきたヨーロッパでは(チップ無しではあるが)、i-Voting のための準備ができているかもしれない、と Marcus 氏はより楽観的に考えている。EU は加盟国に対してそのようなシステムを黙認しているが、まだ導入に向けた努力をしている国はない。

政府がステップアップする時が来たと認識しているため、デジタル化全体が今後数年間で後押しされると思う。政府がまず導入したいと思っているのは i-Voting だろうか? 私はそうは思わない。e ヘルスシステムやビジネスのためのデジタルインフラの方が優先順位が高いかもしれない。しかし、個人的には、i-Voting は非常にエキサイティングなトピックであり、ほとんどの国がそれに乗るべきだと考えている。

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【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

新型コロナ感染防止で、プライバシー保護と追跡アプリがせめぎ合い——自由の国フランスの葛藤を考える

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多くの国が新型コロナウイルスの感染を追跡するアプリの開発を進めている中、フランスは公衆衛生と大規模な監視の両立を図ろうとする取り組みで広がりをみせている技術的、倫理的な議論の矢面に立たされている。 フランス政府は、国民から収集したデータを集中させるアプリ「StopCovid」のフレームワークを採用した。プライバシー擁護団体はこの手法を激しく非難し、プライバシーを熱心に擁護しているという政治家たちを…

CC BY 2.0: Photo by Nik Anderson

多くの国が新型コロナウイルスの感染を追跡するアプリの開発を進めている中、フランスは公衆衛生と大規模な監視の両立を図ろうとする取り組みで広がりをみせている技術的、倫理的な議論の矢面に立たされている。

フランス政府は、国民から収集したデータを集中させるアプリ「StopCovid」のフレームワークを採用した。プライバシー擁護団体はこの手法を激しく非難し、プライバシーを熱心に擁護しているという政治家たちを偽善者と断じた。StopCovid の問題は Apple に対する非難にも飛び火した。Apple はこれまでのところ、自社端末にこの種の機能を導入することには反対してきた。

政府も諦めていない。データを匿名化することで集中型のアプローチでもプライバシーを保護できるのと同時にウイルスの感染拡大に対して全体的な安全性が向上し、知見も得られると主張している。さらに根本的な話として、データの公共利用に関する決定を行うのは民間企業ではなく、有権者によって選ばれた主体であるべきだとフランス政府は強調している。

感染拡大への対処にデータは重要な不可欠のツールとみられている中、フランスで熱を帯びる論争は、公衆衛生とプライバシーの保護の両立をいかに図るかという世界的な議論の縮図となっている。このアプリが信頼を獲得するには、有効性を確保できる程度まで利用者が増加しなくてはならないという点では、関係者の見方は一致している。

国民の理解と技術的な設計という観点で言えば、今回の新型コロナウイルスだけでなく将来のウイルス感染拡大に対処するのに相反する要素(公衆衛生とプライバシー)の両立を図ろうとしている政府にとって、このアプリは一つの試金石となるだろう。

フランスのデジタル大臣 Cédric O 氏は政府によるアプリ開発を擁護する記事の中で、「どのような技術であれ、リスクがゼロの技術は存在しません」と述べている

絶対確実なソリューションなどありえません。何らかの欠陥はあるものです。
(中略)

StopCovid は平時のアプリではないのです。このようなプロジェクトは、新型コロナウイルスの感染拡大が引き起こした今の状況ならではのものです。

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データの集中

これまでに、複数の国で同様のウイルス感染追跡アプリが導入されてきた。データを集中させるべきか、ユーザの位置を追跡するべきかといった諸々の問題に対しては、幅広い手法が採用されている。ごく最近では Apple と Google の提携が発表され、Android と iOS の利用端末を問わないアプリを第三者が製作することを可能にする接触者追跡 API を開発することになった。

ヨーロッパでは、将来におけるこのアプリの運用に際して2つの相反する見方が示された。一つは、データを中央サーバに保存し、そこで感染のマッチングを行う方法。もう一つは、データをユーザのスマートフォンにとどめ、そこでマッチングを行う方法だ。いずれも、GPS や他の位置追跡手法を使用することはない。

フランスでは最近、この技術に関する詳細、プライバシーとの相反、セキュリティ上のリスクなどが新聞で報じられ、テレビのニュースでも話題となっており、この問題が国民にとっていかに重要な問題であるかを物語っている。

政府は、汎欧州プライバシー保護近接追跡(PEPP-PT)という団体が開発した集中型のフレームワークを採用することとした。当初はドイツの研究者たちによって始められたこの取り組みは、最終的に ROBERTROBust and privacy-presERving proximity Tracing protocol)とよばれる追跡フレームワークに結実した。

フランスの研究所 Inria の CEO Bruno Sportisse 氏は4月中旬に ROBERT について語っており、データ追跡に関するフレームワークは例外なく、プライバシーとセキュリティで何らかの相反を抱えているという。

また、一方のアプローチを「集中型」、他方を「分散型」と名付けるのは誤りだと話している。どのようなシステムであれ、ある程度の情報は端末で処理されるほか、ある程度は共通サーバを経由するからだ。ROBERTについて言えば、全てのユーザはオプトインしなくてはならない。そして中央サーバに送られる情報は、実名や個人情報ではなく暗号化された識別子を使って保存される。

このアプリケーションは「追跡アプリ」ではありません。使用しているのは Bluetooth だけで、通信規格 GSM やジオロケーションデータは使っていません。

ましてや監視アプリでもありません。自明なことですが、政府は言うまでもなく誰であっても、ウイルス検査で陽性と判定された人のリストや、交流した人のリストにアクセスできるようには作られていません。(Sportisse 氏)

フランスの StopCovid アプリは、研究所のほか大学、民間企業から成る組織の知恵を活用した ROBERT のフレームワークで設計されている。関係する組織は Inria、ANSSI、Capgemini、Dassault Systèmes、Inserm、Lunabee Studio、Orange、Withings、フランスの公衆衛生当局である。StopCovid アプリの試験版の公開は5月下旬が予定されているため、それまでにフランス議会での審議と承認が行われる。承認がなされ、試験が成功したという前提の下では、アプリの配布は6月上旬になるだろう。

このアプリを特効薬としてプロモートする者はいないが、今月に入って都市封鎖が徐々に解除されつつある中、ツールの一つとして重視されるようになっている。

Cédric O 氏も、StopCovid が国民の監視を意図するものではなく、アプリのダウンロードと起動は強制ではないことを強調している。内容を問わず情報の共有はオプトインを基に厳格になされる。

オプトインした人は新型コロナウイルスに感染した場合にその情報を伝えることができる。するとアプリは感染者の近くにいる全てのユーザに通知を行う仕組みだ。その場合、通知を受けた人が医療機関を受診するかはアプリのユーザ次第である。誰が感染者であるかの情報は提供されない。またアプリには、感染者が特定できるような情報は含まれない。

今回のフランスモデルに関しては、独立系のプライバシー保護機関である国家情報自由委員会(CNIL)より、EU の一般データ保護規則(GDPR)の規定に沿ったプライバシー対策が十分取られているとして暫定的な承認を取得している。フランス国家電子会議の諮問機関も当座の承認を与えているが、実際にアプリを検証できるようになるまでは最終的な意見の提出を保留するとしている。

Cédric O 氏は全体的なプライバシーの懸念について、次のように記している。

StopCovid プロジェクトは何かをするための足掛かりではありません。全てが一時的な措置です。データは数日経つと消去されます。感染拡大期以外にアプリを使用する意図はありません。

データの分散化

ROBERT に対抗するフレームワークとして、DP-PPT(Decentralized Privacy-Preserving Proximity Tracing)という分散型の接触者追跡プロトコルがある。このフレームワークを開発したのはヨーロッパにある研究機関出身の研究者連合で、Apple や Google が開発を進めているAPIと同期させることができる。

Apple と Google が提携する以前、新型コロナウイルス追跡アプリは iPhone の動作でさまざまな問題を抱えていた。例えば、Apple では一般的に、他の電話との接続を確認するのに Bluetooth が連続して信号を送らないようにしている。最新版 Android 端末も Bluetooth に一定の制限はかけているものの、接触者追跡アプリで最大の障壁となっていたのは iPhone だった。

スイス連邦工科大学ローザンヌ工科大学(EPFL)のコンピュータ・コミュニケーションサイエンス学部長で、DP-PPT チームの一員でもある James Larus 氏は、次のように話している。

Android のスマートフォンならどちらのアプリも問題なく実行できます。問題は Apple のスマートフォンです。

シンガポール政府は、アプリをフォアグラウンドで動作させるようにして、電話をロックのかからない状態にすることで Apple 問題に対処する次善策を開発した。だが、バッテリーの消耗が激しいほかプライバシー上の懸念もあって利用は低調、効果を上げるに至っていない。

接触者に関連するデータがユーザの電話に残っている間、Appleはこの問題に対処していくことにして、基本的には政府に対し分散型ソリューションを採用させるようにした。集中型アプリの場合、ウイルス感染者の接触者情報が中央サーバにアップロードされる。それが分散型 Apple-Google 版アプリの場合、感染したことをアプリに報告すると、サーバは暗号処理された接触者情報をデータベースにアップロードすることになる。

他方、アプリは同時にこのデータベースをユーザのスマートフォンにダウンロードする。データベース内の感染レポートの記録とユーザの最近の接触者がマッチしたことをアプリが検知すると、ユーザに対して通知がなされる。このアプローチと ROBERT のフレームワークとの主な違いは、匿名化された ID が中央サーバに常時保存されることがないことである。

現実的な違いは、データの保存場所とマッチングの行われる場所に関する問題です。これこそが本当の違いでしょう。ただ結局のところ、アプリの機能は同じです。(Larus 氏)

いずれのフレームワークについてもある種の暗号化に依存しているため、潜在的なセキュリティリスクは残る。フランスの場合、システムを統制している政府機関がアプリとネットワークに十分なセキュリティを施していることに対する信頼を得なくてはならない。

しかし分散化アプローチでも、ユーザがウイルスに感染した場合、他人の携帯電話に自分の暗号化情報が保存されてしまうリスクがある。システムが全ユーザの携帯電話で同じくらい安全になるにはこの方法しかない。

これこそ、フランス政府が分散型アプローチを採用しなかった理由の一つである。フランスのセキュリティ機関である国家情報システムセキュリティ庁(ANSSI)は、暗号化された識別子が他人の携帯電話に広まるという理由で分散型モデルはリスクが高いという決定を下した。

ANSSI は書簡の中で次のように記している。

プライバシーと人権を保護する観点で、あらゆる分散型アプリには重大なリスクがある。

各個人の相互作用グラフ(ソーシャルグラフ)を収集することによって、大規模な監視が可能となる。それが携帯電話の OS レベルで実現され得る。OS メーカーだけでなく国家機関でさえも、選択するアプローチによっては程度の差こそあれ、いとも簡単にソーシャルグラフが作成できてしまう。

フランス対 Apple

今月はフランスの集団がアプリの完成に向けた作業を急ぐ中、Apple とフランス政府の間で一つの大きな問題が行き詰まりをみせていた。イギリスではフランスと同じ考え方に基づいたウイルス感染追跡アプリを採用したのに対し、ドイツでは方向転換をして分散型アプリを志向した。

フランスのアプリ製作にも協力している Orange の CEO Stéphane Richard 氏は、StopCovid アプリのコンソーシアムと Apple の交渉の行方について楽観的な見通しを示した。彼はロイターに次のように語っている

毎日のように会合が行われています。まだ合意に達していませんが(中略)Appleとは精力的に議論しており、状況は悪くありません。

しかしフランス政府は長引く苛立ちを隠せない。Cédric O 氏は5月5日、ビジネステレビ BFM でのインタビューで次のように述べた

Apple は iPhone でのアプリ動作の向上で協力できることがあったはずです。ところが Apple は協力を望まなかったのです。

Cédric O 氏は他にも、Appleとの論争が意味しているのは「OSの寡占的な市場特性」という厳しい見方を示した。国が大企業の犠牲になっているというのだ。

フランス政府の観点で言えば、健全な政策とは国の責任すなわち主権です。資質をもって、そして欠陥はありながらもフランスの国民を守るのに最善だと考える方法を選ぶのは行政なのです。提案している2社がアメリカの企業という理由で両社の API を受け入れないわけではありません。(中略)

現在の仕様では、技術的な選択が制約となっているから受け入れないのです。つまり iOS 搭載の携帯電話が完全に動作するのは、分散型ソリューションだけです。(Cédric O 氏)

Cédric O 氏はさらに、「大企業の選択による制約を受けることなく、現状と同じくらい革新的かつ効率的に」、フランスは主権を守れるようにしなくてはならないと述べた。

こうした技術的、政治的な論争で見落とされているのは、どのアプリが本当に効果的であるかを把握している人が誰もいないという現実だ。その背景には、技術がまだ証明されていないことが一部関係している。また、十分な数のダウンロードが確保されるかも明らかでない。疫学者の大まかな見通しによると、有効な追跡システムになるには人口の6割がアプリを利用する必要がある。

それでも、一定の影響を及ぼすためには、アプリと国の医療インフラを接続する必要があるとスイスのLarus氏は話している。ユーザが通知を受け取った際、追加情報がほしいとき誰に連絡すればよいか、検査を予約するにはどうすればよいかなどその時点で取るべき行動を知っておく必要がある。

同じく医師、病院、StopCovid アプリのコールセンター、検査機関も、感染者の近くにいるとの通知を受けた人から連絡を受けた際に定められた指針に従う準備ができていなくてはならない。対象者がすぐに検査を受けたり、症状を診察してもらえたりする体制になっているか、政策当局者は決定をしなくてはならない。

この問題には多くの人々が関わるほか、政治的な意思決定が求められています。それは非常に難しい決定であるほか、内政、その国に特有の問題です。ある国で採用された単一アプリのバックエンドを別の国に単純に落とし込むことにはならないでしょう。(Larus 氏)

とはいえ、Larus 氏からすると、アプリを取り巻く問題はきわめて技術的であるとはいえ、この問題がフランスや欧州各国で真剣に受け止められているのは喜ばしいことであるという。現在の感染流行を抑制するためには、現世代の接触者追跡アプリに関するプライバシー、セキュリティ、設計、指針の間にある相反を正していくことが重要になるだろう。

だが、今なされる決定が将来の接触者追跡アプリの基盤になるとみられる。来るべきウイルス感染アプリが広く受け入れられ、その価値を証明できるのなら、次のウイルス感染拡大が発生したときに手間暇のかかる指針の策定や技術的な論争を避けることができるだろう。

次の機会は必ずあると Larus 氏は述べている。

同じことを繰り返すとしたら、次は素早くできるでしょうか? 再び迅速な行動ができるようにするためのアプリシッティング用コードはあるでしょうか? 次は一から始めなくても済むように、健全なシステムへの統合は維持されているでしょうか? 今回の危機を乗り越えた後も、今蓄積しつつある専門知識、ナレッジは重要なものになるでしよう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

技術至上主義の覇権争いが続く中、米中がAI分野で先手を狙う本当の理由〜英スローニュース団体主催「Tortoise Global AI Summit」から

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米中間で緊張と技術的な対立が激化する中、AI がその中心的な役割を果たしている。BBC の前ニュースディレクターらが立ち上げたスローニュース(調査報道)系ジャーナリズムネットワーク「Tortoise」は15日、「Tortoise Global AI Summit」をオンライン開催した。世界の超大国アメリカと中国の関係がますます険悪になっていることについて、トランプ大統領が貿易戦争を開始する前から、…

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米中間で緊張と技術的な対立が激化する中、AI がその中心的な役割を果たしている。BBC の前ニュースディレクターらが立ち上げたスローニュース(調査報道)系ジャーナリズムネットワーク「Tortoise」は15日、「Tortoise Global AI Summit」をオンライン開催した。世界の超大国アメリカと中国の関係がますます険悪になっていることについて、トランプ大統領が貿易戦争を開始する前から、両国の競合関係に苦言を呈してきたパネリストらが議論した。

二国間の競争は幅広い技術に及んでいるが、多くの人が今後数十年の間に AI が果たすであろう本質的な役割のおかげで、AI がますます注目されるようになってきていることについて、パネリストの3人は同意している。そして、AI の覇権争いが中国とアメリカだけでなく、他のすべての国がこの技術競争の中で自らの立ち位置を見直さざるを得なくなっている。

世界の二大国の関係が悪化している中で、技術競争を目の当たりにしている。この2つの国はほぼ同規模の経済規模を持ち、世界を支配するための影響力を誇示するための手段として、その経済基盤を利用している。技術競争が広範になる中で、AI は中心的な位置付けを占めている。(イギリスの諜報機関 MI6 の元トップ John Sawers 氏)

Sawers 氏と共にパネルディスカッションに参加したのは、イギリスの新興半導体メーカー Graphcore CEO の Nigel Toon 氏と、イギリス政府 AI 庁(Office for AI)長官の Sana Khareghani 氏。

中国とアメリカに関しては、彼らは非常に長い間、対立の中心に AI を置いてきたと思う。それはリーダーになるための経済競争であり、テクノロジーはそこに投げ込まれたようなものだった。(Khareghani 氏)

パネリストらは、アメリカでの AI の取り組みは企業が主導しているのに対し、中国では政府の政策によってイノベーションが推進されているという従来の常識について議論したが、Toon 氏はその見解に反論した。彼は中国政府がアメリカよりも大きな役割を果たしていることを認めながらも、中国での AI 開発の多くは Alibaba(阿里巴巴)や Huawei(華為)のようなテック大手が主導していて、彼らは Google や Facebook と同じモチベーションを持っている、と述べた。

そういった大手は、外から見れば無敵に見えるかもしれない、と同氏は言う。しかし、彼らは優れた AI プロダクトを作り出す競合への恐れに駆られている。

イギリスの新興半導体メーカー Graphcore CEO の Nigel Toon 氏

テック大手の立場から見てみれば、AI は彼ら自身の存亡に関わるテクノロジーだ。もし他の誰かが Google よりも早く最先端の AI を開発したら………Google はそれを心配している。だからこそ、彼らはこの分野に大金を投資している。Facebook が AI に大金を投資しているのもそのためだ。Google が DeepMind を買収した理由もまさにそれ。こうしたテック大手にとって、AI は自らの存亡に関わるものでしかない。Alibaba にとっても、Tencent(騰訊)にとっても。(Toon 氏)

中国が大きく違うのは、政府がテック企業とより緊密で協力的な関係を築いていることだと Toon 氏は付け加えた。さらに、中国のプライバシーやデータに関する政策や文化は、中国に優位性を与えている。

(中国では)データの収集や利用に何の制約も無い。欧米では、自由な社会の一部として個人のプライバシーに誇りを持っている……中国は大都市の内部に監視システムを設置しているが、これは非常に強力で、(秘密警察の支配を背景とした恐怖政治を行った)スターリンが死んでもおかしくないような制御メカニズムだ。これは中国政府にとって、この分野でアドンバンテージをもたらす。なぜなら、AI と機械学習はデータの大量収集に非常に大きく依存し、そのデータを咀嚼・操作することができるからだ。(Sawer 氏)

この二者択一の図式は、必然的にヨーロッパがその図式の中の、どこにどのように収まるのかという問題につながった。欧州連合(EU)は近年、AI の開発を政治的にも、経済的にも優先させている。この地域は研究やスタートアップに多額の投資を行っているが、米中よりも倫理的なアプローチで AI に取り組むことで、独自のアイデンティティを確立しようとしている。

Khareghani 氏は、大きなリードを持つ米中のベンチャーキャピタルが示す数字は、ヨーロッパの強さを過小評価する傾向があると述べた。

AI にどれだけの投資をしているかという点では、米中が特定の方法でリードしていることを考慮する価値があると思う。しかし、集中、貢献、思考のリーダーシップという点では、カナダ、ドイツ、フランスなどの国と並んで、イギリスが上位に位置している。つまり、判断材料には、資金をどれだけ調達しているかだけでなく、それ以上のものを考慮すべきだと思う。(Khareghani 氏)

イギリス政府 AI 庁(Office for AI)長官の Sana Khareghani 氏

しかし、ヨーロッパにはいくつかの深刻な限界がある。例えば、ヨーロッパはディープテック関連の多くの分野で目覚ましい進歩を遂げているが、高度なコンピューティングの開発に必要な基本コンポーネントの多くを他国に大きく依存していると Toon 氏は指摘している。

コアとなる基礎技術の一部については、供給量が非常に限られている。半導体を例に挙げてみよう。半導体の最先端で製造できる企業は地球上に3社しかない。我々は台湾に拠点を置く TSMC(台積電)と協力している。ヨーロッパの我々がこういった最先端の半導体技術を開発できるとは信じがたい、あるいは不可能だと思う。(Toon 氏)

では、ヨーロッパはどのように対応すべきなのだろうか。Toon 氏は、データや AI の利用に関する規制強化は、国民の信頼と信頼を促進することを目的としているものの、地域企業の活動を阻害することで裏目に出てしまうのではないかと懸念している。

こういった最先端技術へのアクセスができないために、ヨーロッパが競争に参加できなくなるような政策を実施しないよう注意する必要がある。(Toon 氏)

これまでヨーロッパは、米中と協力してその地位を利用しようとしてきた。しかし、最近の出来事はそれを難しくしている。米中が貿易障壁を作り、技術の独立性を主張するようになれば、ヨーロッパは両者との関係を見直さなければならなくなるだろう。

イギリスの諜報機関 MI6 の元トップ John Sawers 氏

長い間、ヨーロッパは、どうにかして両方の世界のベストを手に入れることができると感じていたと思う。そうすれば、アメリカとの政治的・防衛的な同盟関係を維持しつつ、中国を対等な経済パートナーとして扱うことができる。多くのヨーロッパ人にとっては、新型コロナウイルスをきっかけに、現在の中国政権の本質について目から鱗が落ちたと思う……中国ははるかに自己主張が強くなった。我々は、中国が香港で、そして、南シナ海で、何をしているかを見ている。サイバーセキュリティの分野で何をしているかを見ている。中国がどれだけ抑圧的であるかを見ている。(Sawers 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Alphabetの気球によるインターネット網構築プロジェクト「Loon」、ケニア上空で商用サービスを開始

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Alphabet が長年取り組んできたプロジェクト「Loon」は4月21日、同社が正式に初の商用サービスを開始し、その気球がケニア上空を飛行したことで、大きな節目を迎えた。観測気球を使ってへき地にインターネット接続を提供する Loon は、Telkom Kenyaとの提携の一環として、ケニア上空に気球を打ち上げた。 このプロジェクトの実現は、ムーンショット育成についてしばしば大袈裟な言葉で語りなが…

ケニアで、気球を使ったインターネット接続の商用サービスを開始した「Loon」
Image Credit: Loon

Alphabet が長年取り組んできたプロジェクト「Loon」は4月21日、同社が正式に初の商用サービスを開始し、その気球がケニア上空を飛行したことで、大きな節目を迎えた。観測気球を使ってへき地にインターネット接続を提供する Loon は、Telkom Kenyaとの提携の一環として、ケニア上空に気球を打ち上げた。

このプロジェクトの実現は、ムーンショット育成についてしばしば大袈裟な言葉で語りながら、自動運転車のようなプロジェクトを商用サービスに転換するのに苦労している Alpha にとって注目すべき一歩だ。今回の場合、Loon の躍進は、気球やドローンを使って、へき地に住む人々にインターネット接続を提供しようとする Alphabet や Facebook の取り組みにとって、重要かつ象徴的な勝利だ。

Loon はもともと「Project Loon」と呼ばれていたが、2011年に Google での実験として始まり、徐々進化して独立した会社となった。2009年初頭、Loon は商業サービスの野望を加速すべく、通信関係者からなるアドバイザリーボードを設立した。

Loon は海上20km上空を移動する気球を使い、気球の動きと距離を追跡するアルゴリズムで複数の気球をネットワークしながら配置することで、インターネット接続を維持することができる。

同社は当初、商業サービスの昨年開始を念頭に2018年にケニアとの提携を発表していたが、さまざまな遅延により4月開始することとなった。ケニア政府は今年3月正式にサービスを承認したが、この遅延がサービス開始のために気球のレースを生み出すことになった。新型コロナウイルス流行の影響で(スタッフの移動に制約が出るなど)タスクが複雑化したためだ。

気球はプエルトリコとネバダのサイトから打ち上げられた。つまり、この日ののキックオフでは、Loon のチームは気球を空に打ち上げた後、約11,000km離れたケニアまで誘導する必要があったわけだ。

プエルトリコからケニアまでの気球ナビゲーションマップ
Image credit: Loon

Loon の CTOで Salvatore Candido 氏のブログ投稿によると、このシステムはソフトウェアを使用して自動的に地図を作成し、天気予報に基づいて飛行経路を最適化し、継続的に調整することが可能だ。それぞれの気球は、最終目的地まで独自のルートをたどる。

同社が昨年実施した飛行テストは100万時間以上を超え、このナビゲーションシステムを大幅に改善した。機械学習を利用して、目的地に向かってまっすぐ飛ぶよりも、ジグザグのパターンで飛ぶ方が効率的であることを発見した。また、円ではなく8の字型のパターンで飛行することで、気球がより長い時間指定された領域に留まることできる。

地上クルーがシステムを監視しているが、自動化と環境条件から迅速に学習できる Loon の能力は、商用サービスを展開する上で非常に重要であることが証明されている。

Loon チームは、これまでケニアではほとんど、あるいは全くインターネットに接続できなかった地域の人々にサービスを提供できることに興奮している。(中略)

私がしばしば言っていることだが、人々にはインターネットよりもはるかに必要なものがある。仲間に食料、きれいな水、医療品を届けられるなら、それを先にすべきだ。しかし、人類が新型コロナウイルス流行に対応し、友人・同僚・家族と物理的に距離を置いている今、情報を得ながら共につながっていることができるのは、オンラインで連絡を取り合うことができるという我々の力だ。(Candido 氏)

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【via VentureBeat】 @VentureBeat

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