フランスのトゥルースを拠点に活動するヨーロッパ特派員。政府の支援を受け、3年間にわたり人がカスレ、バター、ワインをどれほど消費しているかを研究している。以前は15年間にわたり、San Jose Mercury News や Los Angeles Times でシリコンバレーを取材。それを証明するかのように、今もシリコンバレー時代の能力を発揮している。南仏の生活コストの安さをシリコンバレーの人が知ったら、どうなることかと毎日思っている。
Facebookは今までにないレベルでボイコットの脅威に直面している。公民権運動を実施する連合団体Stop Hate For Profitは、Facebookに対して10つの提案を実施し、ハラスメントや女性蔑視、人種差別や過激主義への対処を求められている。 このようなFacebookへの問題提起の共通点は、誰もがFacebookの軌道修正が可能だと信じている点だ。 しかし、もしそうでないとしたらど…
エストニアの電子 ID システム Photo credit: e-Estonia Showroom / CC BY 2.0
一方、エストニアは「e-Estonia 構想」によって、世界で最もテクノロジーを推進した国の一つとなった。このプログラムの目玉は、2048ビットの公開鍵暗号化を使用したチップを搭載した国民 ID カードだ。住民はこのカードを、エストニア政府のさまざまなサービスで確実な身分証明書として使用することができる。国民健康保険証として、銀行口座へのアクセスにも、デジタル署名や納税や創業申請などにも利用できる。
Marcus 氏は任務の一環として、e-Estonia ブリーフィングセンターで仕事をしている。しかし、i-Voting システムに関しては、エストニアの足跡をたどった国はほとんどない。Marcus 氏によると、地方政府2つがパイロットプロジェクトを行っているが、他の国ではシステムを採用していないという。
これは信頼の問題に帰着する。投票以外にも、アメリカでは政府発行のIDカードというアイデアは、いまだに難しいものだ。ほとんどの国民は社会保障番号を持ってい流ものの、標準的な ID カードは運転免許証のままだ。
約20年前、オラクルの Larry Ellison 氏は国民 ID カードの導入を試みた。9.11同時多発テロの後、オラクルはそのようなシステムを作成するための無料ソフトウェアをアメリカ政府に寄付した。Ellison 氏は自身の書いたこの提案の中で、社会保障カードや運転免許証などの ID はクレジットカードと同じ機能を持つべきであり、政府が保有する個人データはすべて一元化されるべきだと主張した。
多くのアメリカ人は、国民 ID カードが基本的自由を犠牲にし、個人のプライバシーを侵害するのではないかと本能的に恐れている。表面的には、IDカードを発行することは重要なステップのように見える。私たちの名前、住所、勤務先、収入額、収入源、資産、買い物、旅行先などのデータベースを維持するために政府を信頼することは、大きな飛躍のように思える。
オラクルの提案に対する反発がきっかけで、この構想は頓挫してしまった。20年後、アメリカ市民とテクノロジーや政府との関係は対立しているため、このアイデアを再検討する可能性は低いと思われる。それでも Marcus 氏は、コロナウイルスが政府や企業にあらゆるアプローチを見直すきっかけになっていると考えているという。
そして、多くの国が長い間国民 ID カードを発行してきたヨーロッパでは(チップ無しではあるが)、i-Voting のための準備ができているかもしれない、と Marcus 氏はより楽観的に考えている。EU は加盟国に対してそのようなシステムを黙認しているが、まだ導入に向けた努力をしている国はない。
フランス政府は、国民から収集したデータを集中させるアプリ「StopCovid」のフレームワークを採用した。プライバシー擁護団体はこの手法を激しく非難し、プライバシーを熱心に擁護しているという政治家たちを偽善者と断じた。StopCovid の問題は Apple に対する非難にも飛び火した。Apple はこれまでのところ、自社端末にこの種の機能を導入することには反対してきた。
これまでに、複数の国で同様のウイルス感染追跡アプリが導入されてきた。データを集中させるべきか、ユーザの位置を追跡するべきかといった諸々の問題に対しては、幅広い手法が採用されている。ごく最近では Apple と Google の提携が発表され、Android と iOS の利用端末を問わないアプリを第三者が製作することを可能にする接触者追跡 API を開発することになった。
Apple と Google が提携する以前、新型コロナウイルス追跡アプリは iPhone の動作でさまざまな問題を抱えていた。例えば、Apple では一般的に、他の電話との接続を確認するのに Bluetooth が連続して信号を送らないようにしている。最新版 Android 端末も Bluetooth に一定の制限はかけているものの、接触者追跡アプリで最大の障壁となっていたのは iPhone だった。
スイス連邦工科大学ローザンヌ工科大学(EPFL)のコンピュータ・コミュニケーションサイエンス学部長で、DP-PPT チームの一員でもある James Larus 氏は、次のように話している。
Android のスマートフォンならどちらのアプリも問題なく実行できます。問題は Apple のスマートフォンです。
シンガポール政府は、アプリをフォアグラウンドで動作させるようにして、電話をロックのかからない状態にすることで Apple 問題に対処する次善策を開発した。だが、バッテリーの消耗が激しいほかプライバシー上の懸念もあって利用は低調、効果を上げるに至っていない。
他方、アプリは同時にこのデータベースをユーザのスマートフォンにダウンロードする。データベース内の感染レポートの記録とユーザの最近の接触者がマッチしたことをアプリが検知すると、ユーザに対して通知がなされる。このアプローチと ROBERT のフレームワークとの主な違いは、匿名化された ID が中央サーバに常時保存されることがないことである。
米中間で緊張と技術的な対立が激化する中、AI がその中心的な役割を果たしている。BBC の前ニュースディレクターらが立ち上げたスローニュース(調査報道)系ジャーナリズムネットワーク「Tortoise」は15日、「Tortoise Global AI Summit」をオンライン開催した。世界の超大国アメリカと中国の関係がますます険悪になっていることについて、トランプ大統領が貿易戦争を開始する前から、…
Image credit: Wallpaper Flare
米中間で緊張と技術的な対立が激化する中、AI がその中心的な役割を果たしている。BBC の前ニュースディレクターらが立ち上げたスローニュース(調査報道)系ジャーナリズムネットワーク「Tortoise」は15日、「Tortoise Global AI Summit」をオンライン開催した。世界の超大国アメリカと中国の関係がますます険悪になっていることについて、トランプ大統領が貿易戦争を開始する前から、両国の競合関係に苦言を呈してきたパネリストらが議論した。
二国間の競争は幅広い技術に及んでいるが、多くの人が今後数十年の間に AI が果たすであろう本質的な役割のおかげで、AI がますます注目されるようになってきていることについて、パネリストの3人は同意している。そして、AI の覇権争いが中国とアメリカだけでなく、他のすべての国がこの技術競争の中で自らの立ち位置を見直さざるを得なくなっている。
世界の二大国の関係が悪化している中で、技術競争を目の当たりにしている。この2つの国はほぼ同規模の経済規模を持ち、世界を支配するための影響力を誇示するための手段として、その経済基盤を利用している。技術競争が広範になる中で、AI は中心的な位置付けを占めている。(イギリスの諜報機関 MI6 の元トップ John Sawers 氏)
Sawers 氏と共にパネルディスカッションに参加したのは、イギリスの新興半導体メーカー Graphcore CEO の Nigel Toon 氏と、イギリス政府 AI 庁(Office for AI)長官の Sana Khareghani 氏。
中国とアメリカに関しては、彼らは非常に長い間、対立の中心に AI を置いてきたと思う。それはリーダーになるための経済競争であり、テクノロジーはそこに投げ込まれたようなものだった。(Khareghani 氏)
パネリストらは、アメリカでの AI の取り組みは企業が主導しているのに対し、中国では政府の政策によってイノベーションが推進されているという従来の常識について議論したが、Toon 氏はその見解に反論した。彼は中国政府がアメリカよりも大きな役割を果たしていることを認めながらも、中国での AI 開発の多くは Alibaba(阿里巴巴)や Huawei(華為)のようなテック大手が主導していて、彼らは Google や Facebook と同じモチベーションを持っている、と述べた。
そういった大手は、外から見れば無敵に見えるかもしれない、と同氏は言う。しかし、彼らは優れた AI プロダクトを作り出す競合への恐れに駆られている。
イギリスの新興半導体メーカー Graphcore CEO の Nigel Toon 氏
テック大手の立場から見てみれば、AI は彼ら自身の存亡に関わるテクノロジーだ。もし他の誰かが Google よりも早く最先端の AI を開発したら………Google はそれを心配している。だからこそ、彼らはこの分野に大金を投資している。Facebook が AI に大金を投資しているのもそのためだ。Google が DeepMind を買収した理由もまさにそれ。こうしたテック大手にとって、AI は自らの存亡に関わるものでしかない。Alibaba にとっても、Tencent(騰訊)にとっても。(Toon 氏)
この二者択一の図式は、必然的にヨーロッパがその図式の中の、どこにどのように収まるのかという問題につながった。欧州連合(EU)は近年、AI の開発を政治的にも、経済的にも優先させている。この地域は研究やスタートアップに多額の投資を行っているが、米中よりも倫理的なアプローチで AI に取り組むことで、独自のアイデンティティを確立しようとしている。
AI にどれだけの投資をしているかという点では、米中が特定の方法でリードしていることを考慮する価値があると思う。しかし、集中、貢献、思考のリーダーシップという点では、カナダ、ドイツ、フランスなどの国と並んで、イギリスが上位に位置している。つまり、判断材料には、資金をどれだけ調達しているかだけでなく、それ以上のものを考慮すべきだと思う。(Khareghani 氏)
加えてGoogle.orgは、情報源を提供する国際ジャーナリストセンター(International Center for Journalists)およびトラウマに苦しむジャーナリストをサポートするコロンビア大学ジャーナリズム大学院のジャーナリズム・トラウマ・ダートセンター(Dart Center for Journalism and Trauma)に100万米ドルを寄付する予定。