Jeremy Horwitz

Jeremy Horwitz

VentureBeat でAp ple、AI 関連ニュースを担当。以前は、Intelligent Gamer、iLounge、9to5mac などの出版物で編集を担当していた。

執筆記事

これはヤバい!手持ちサイズのホログラフィックディスプレイ、Looking Glassが349ドルで発表(1/2)

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ホログラフィックディスプレイメーカーのLooking Glass Factory社は10月に、3Dモニター事業に参入するソニーをブログ記事で歓迎した。これはまるでAppleがかつてIBMに対してやった広告みたいなものだったが、これで同社はソニーというゴリアテに対する自らの革新的なダビデのポジショニングを狙ったのだと思う。 ただ、Looking Glassの3,000ドルのモニターとソニーの5,00…

ホログラフィックディスプレイメーカーのLooking Glass Factory社は10月に、3Dモニター事業に参入するソニーをブログ記事で歓迎した。これはまるでAppleがかつてIBMに対してやった広告みたいなものだったが、これで同社はソニーというゴリアテに対する自らの革新的なダビデのポジショニングを狙ったのだと思う。

ただ、Looking Glassの3,000ドルのモニターとソニーの5,000ドルの空間現実感ディスプレイは、どちらも企業向けの製品であることを考えると、いずれの企業もまだ、ホログラフィック技術をすぐにメインストリームに押し上げようとしているとは思えなかった。

しかし、だ。

Looking Glass Portraitはそれを変えようというのだ。349ドルでフルカラー、毎秒60フレームのホログラフィックディスプレイは、7.9インチ対角のボックス内で3Dオブジェクトを複数の角度から見ることができるのだ。このPortraitは、PCやMacにテザリングして「重い」3Dアプリケーションを使用したり、内蔵のRaspberry Pi 4によりスタンドアロンでも3D写真やビデオプレーヤーとして利用することができる。ポータブルなデザインと1.3ポンド(約590グラム)の重さでオフィスやホームオフィス、外出先でも使用でき、グラスなしの3D映像コンテンツがどこでも見られるようになる。

Portraitは技術的な意思決定者にとって重要な意味を持つ。なぜなら、ホログラフィック3Dインターフェースは、サイエンスフィクションから「サイエンスファクト」へと急速に発展しており、Looking Glassはそういった状況下で、エンタープライズクラスのホログラフィックディスプレイの普及に注力してきたからである。

スクリーンのフォームファクターと価格が企業や消費者にとってますます魅力的になるにつれ、開発者は物理的な奥行きを伝えるためにホログラフィを使用して、これまで想像もできなかったような新しいアプリやコンテンツを作成することになるだろう。Looking Glassはこれまでの2Dモニターと貴重なデスクスペースを競うことができる、積極的な価格設定を初めて実現した。

これまでの同社のディスプレイは光沢のあるプリズムのような形をしていた。しかしPortraitの新たなデザインでは光学系を再設計したことで「周囲の反射防止性能を飛躍的に向上させる」ことに成功し、一度に45~100個の立体視を可能にした。これにより、ソニーのホログラフィックデザインの大きな限界を克服し、複数の人が同時に異なる角度からホログラフを見ることができるようになったのだ。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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「人間の目と同等の解像度」のVRヘッドセット、Varjoが新バージョンを公表(1/3)

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Varjoは「人間の目と同等の解像度」を備え、企業、医療、設計、エンジニアリング用アプリ向けの非常に鮮明な画像を提供する次世代VRヘッドセットを発表した。新しい「XR/VR」ヘッドセットはそれぞれ「XR-3」「VR-3」と呼ばれる。「XR-3」は一つのヘッドセットに仮想現実と拡張現実を共存させ、「VR-3」は仮想現実のみに焦点を当てている。同社によると、この新世代ヘッドセットは前世代の2倍のパフォ…

Varjoの新ヘッドセット、「XR-3」と「VR-3」
Image Credit: Varjo

Varjoは「人間の目と同等の解像度」を備え、企業、医療、設計、エンジニアリング用アプリ向けの非常に鮮明な画像を提供する次世代VRヘッドセットを発表した。新しい「XR/VR」ヘッドセットはそれぞれ「XR-3」「VR-3」と呼ばれる。「XR-3」は一つのヘッドセットに仮想現実と拡張現実を共存させ、「VR-3」は仮想現実のみに焦点を当てている。同社によると、この新世代ヘッドセットは前世代の2倍のパフォーマンスを持つ。

フィンランドのヘルシンキに拠点を置くVarjoは、ゲームなどの消費者向けアプリケーションを避け、代わりに精度の高さを必須とする市場で、没入感や臨場感(あたかも別の場所にいるかのような感覚)をもたらすことに重点を置いている。ユースケースには医師が医療処置をマスターするためのトレーニングなどがある。

VarjoのCMO、Jussi Mäkinen氏はVentureBeatのインタビューでこう話している。

「次世代製品と言えるのは、パフォーマンスが以前の2倍だからです。価格は約半額です。つまり、あらゆる規模の企業向けにVarjoをスケールしているのです」(Mäkinen氏)。

このヘッドセットは安価ではなく、そこが消費者向けではない理由のひとつだ。Varjoの「XR-3」は企業向けに5,495ドルで販売され、付属するVarjo Subscriptionが年額1,495ドルからとなっている。「VR-3」の価格は3,195ドルで、サブスクリプションは年額795ドルからとなっている。

「大企業向けに、より大きくスケールすることを目的としています」(Mäkinen氏)。

当然ながら消費者にとっては高すぎる価格だ。だが多くの設計チームが対面で一緒に作業ができなくなってしまった今、これらのヘッドセットによって、多くの時間と費用を削減し、優れた投資収益率を提供できるとMäkinen氏は言う。

Varjoのチーフ・イノベーション・オフィサーであるUrho Konttori氏は、VentureBeatとのインタビューで、同社は現時点で可能なテクノロジーのすべてを詰め込んだと語った。Konttori氏によると、Varjoはコスト、テクノロジー、さまざまなアプリケーションのバランスをとる上で長年に渡り大きな進歩を遂げてきた。

「ディスプレイのどの部分も超高解像度を提供します。どちらの画面も90ヘルツで動作します。真に正確な色彩、それが私たちの顧客ベースにとって重要です。RGBカラー精度は99%です」(Konttori氏)。

Varjoはオンラインデモを行い、エンジニアやデザイナーがVRで設計したボルボ車のエクステリアやインテリアなど、詳細なシミュレーションを作る方法を紹介している。(次へつづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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AppleのM1チップ製造をめぐる旅:結局、AppleとTSMCの関係はどうなる(3/3)

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(前回からのつづき)ただ、Appleの様々な製品ラインの規模を考えれば、MacがTSMCの生産能力を圧迫する可能性は低い。Macの年間販売台数(~2000万台)は、iPhone(~2億台)の約10分の1だ。TSMCはM1の強化期間中に、iPad AirとiPhone 12向けの5ナノメートルチップ1億個に加えてさらに1,000万個のMacチップを追加することになるかもしれない。 さらに、Apple…

Image Credit : Apple

(前回からのつづき)ただ、Appleの様々な製品ラインの規模を考えれば、MacがTSMCの生産能力を圧迫する可能性は低い。Macの年間販売台数(~2000万台)は、iPhone(~2億台)の約10分の1だ。TSMCはM1の強化期間中に、iPad AirとiPhone 12向けの5ナノメートルチップ1億個に加えてさらに1,000万個のMacチップを追加することになるかもしれない。

さらに、Appleは立ち上がりのペースをコントロールしており、MacをTSMC製のチップに完全に移行させるため、自らに2年の猶予を与えている。後にTSMCがAppleのMac用チップの需要全体を供給し、その需要が劇的に伸びたと仮定しても、チップの総数はまだ年間2000万~3000万個の範囲内に留まることになる。これは、TSMC製のAシリーズとSシリーズのプロセッサを毎年使用しているiPhone、iPad、Apple TV、Apple Watchの数に比べれば、はるかに少ない。

ということで韓国の報道はあったものの、TSMCは実際には問題ないのかもしれない。

Appleの支援を受けて、TSMCは歴史的に、需要の増加に対応するために製造能力を拡大するという堅実な仕事をしてきた。そして状況は動き続けている。チップ製造は常に進化しており、TSMCはすでに複数世代に渡ってより小さなチップの製造技術に取り組んでいる。5ナノメートルプロセスは最先端のように思えるかもしれないが、来年にはしっかりと確立して改良され、TSMCとAppleは2022年に3ナノメートルチップの販売を開始するとしている。

AppleとTSMCは今後も複数の製造プロセスにまたがってチップやデバイスのバランスを取りながら、古いものをフェードアウトさせながら新たなものを投入することになるだろう。

ということで、AppleはTSMCの成功に対して非常に多くの投資をしてきたため、チップ製造のトップパートナーとの間に問題が生じさせることは考えにくい。

彼らの協力関係はすでにiPhoneやiPadのチップで数え切れないほどの成果を上げており、エントリーレベルのMacの性能を底上げしようとしている。そして、来年の今頃には、よりハイエンドのコンピュータでも同様のことが発生するだろうと予想されている。

つまりTSMCがAppleとの間で、結果的にIntelとIBMとの間に起こったような問題を抱えることになるとは考えにくいのだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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AppleのM1チップ製造をめぐる旅:TSMCの生産能力に付けられた疑問符(2/3)

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(前回からのつづき)TSMCがAppleの強力なパートナーであることは疑いの余地がない。クパチーノの巨額の予算に支えられ、TSMCはAppleの最新チップをプロセッサ技術を最先端に保つため、製造能力を何度もアップグレードしてきた。TSMCは現在、文字通り毎年何億個ものAシリーズプロセッサを供給しており、最近ではIntelの支援もするほどで、誰もが認める世界トップのチップ製造会社となった。 しかし、…

Image Credit : Apple

(前回からのつづき)TSMCがAppleの強力なパートナーであることは疑いの余地がない。クパチーノの巨額の予算に支えられ、TSMCはAppleの最新チップをプロセッサ技術を最先端に保つため、製造能力を何度もアップグレードしてきた。TSMCは現在、文字通り毎年何億個ものAシリーズプロセッサを供給しており、最近ではIntelの支援もするほどで、誰もが認める世界トップのチップ製造会社となった。

しかし、韓国のビジネスレポートが伝えるところによれば、TSMCがAppleの成長するニーズを満たすのに十分な5ナノメートルチップの生産能力を持っていない可能性があることを指摘していた。

Qualcommなどのライバルが5ナノメートル技術に自社チップを移行し始めたように、AppleはTSMCの5ナノメートル生産施設のすべてを最新のAとMシリーズのプロセッサのために確保したという。

ではもし、TSMCの生産能力が不足している場合どうなるか。Appleはもうひとつの5ナノメートルチップメーカーであるSamsungがMacチップの供給をすることになるかもしれないというのだ。確かにあり得る話ではあるが、それは希望的観測かもしれない。AppleとSamsungの関係が悪くなった時、韓国ではそういったことが多々発生していた。

もしTSMCが制約を受けた場合、5ナノメートルチップに依存するiPhoneやiPad、Macの短期的な供給に問題がでる可能性がある。それでも, Appleには代替案が多くある。Samsungに供給契約を申し入れることも解決策の一つだし、TSMCにさらに予算を追加して生産能力を迅速に増強してもらう、という手もある。

短期的な問題であればAppleは一定期間、他のデバイスよりもiPhoneのチップの注文を優先させ、重要性が低いと思われるM1のMacやiPad Airの売上を「圧倒的な需要」を優先するとして一時的に減少させることも考えられる。あるいは、iPhone、Mac、iPadの価格を調整して、特定のモデルに需要を移動させたりすることも可能だ。

ただ、それより大きな懸念は、TSMCの限られた5ナノメートルチップ生産能力がAppleの野心を尻すぼみにさせてしまうことだ。将来のMac、iPad、Apple Watches、およびApple TVが古い生産技術に基づいたチップで立ち往生するかもしれない。

最初のM1ベースのMacは5ナノメートルのリソグラフィを使用しているが、Appleは今後のiMacファミリーやMac Proファミリーのためのチップを製造する際、ステップバックして7ナノメートルのプロセスに戻らざるを得なくなるかもしれないのだ。これはまさにAppleがかつてIBMやIntelとの関係で嫌味を言っていた、あれと同じような「みっともない」戦略と同じ道を辿ることになる。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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AppleのM1チップ製造をめぐる旅:IBMからIntel、そして台湾のTSMCへ(1/3)

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世界で最も野心的なモバイルチップの設計者が、唯一となるチップ製造パートナーの生産能力の制約を受けた場合、何が起こるのだろうかーー。AppleがMac用のM1チップを発表したことでこの疑問の答えがすぐに分かるかもしれない。だがそのチップ製造を一手に引き受けるトップ企業のTSMCは、どうやら非難を受ける立場になさそうだ。 Appleがモバイルチップ業界全体を押し上げてきたと言っても過言ではないだろう。…

Image Credit: TSMC

世界で最も野心的なモバイルチップの設計者が、唯一となるチップ製造パートナーの生産能力の制約を受けた場合、何が起こるのだろうかーー。AppleがMac用のM1チップを発表したことでこの疑問の答えがすぐに分かるかもしれない。だがそのチップ製造を一手に引き受けるトップ企業のTSMCは、どうやら非難を受ける立場になさそうだ。

Appleがモバイルチップ業界全体を押し上げてきたと言っても過言ではないだろう。

今ではPCチップでも同じことが起ころうとしている。2013年、Appleは世界初の64ビットのモバイルCPUであるA7を発表し、iPhoneをローエンドPCと同等の処理能力に近づけることでライバルのチップ設計者に衝撃を与えた。その5年後、A12X BionicはiPadタブレットを、より高価なIntel Core i7 MacBookの性能に匹敵させることを可能にし、AppleがIntelチップを必要とする時代の終焉を予感させた。

そして今、M1が登場したのだ。

画期的な5ナノメートルの製造プロセスのおかげで、この小さなチップはデスクトップPCとラップトップPCの両方に十分な力を与える数のトランジスタを搭載することができた。

Appleはこれまで業界トレンドについていけなかったり、超越に失敗する度、CPUメーカーのパートナーを非難してきた過去がある。これは言い換えれば、誰かが作ったより新しくより電力効率のよいパーツを使って、Macを進化させることしかできなかったことを示唆している。

それが、だ。Appleは今、Macの運命を完全に自らの手中に収めた。一方、そのチップ製造については長期のパートナーであるTSMCに依存している。

両社は、Macをライバルのパソコンと差別化するために、最先端の5ナノメートルの製造技術に賭けてきた。Appleがこれまでのように、今後のMacの進化の失敗を台湾の製造業者のせいにする可能性は低く、良くも悪くもAppleは今、全ての采配をふるう立場となったのだ。

以前のチップメーカーとAppleの関係は嵐のように、そして伝説的なものだった。

Appleが正式にPowerPC CPUについてのIBMとの関係を終了したのは2005年のことだった。2010年代半ばには、モバイルプロセッサのサプライチェーンからSamsungを排除し、Intelからの移行も開始している。最初はモデムからそしてCPUにーー1年以上かけて実施した。IBMやIntelについて、Appleはよりチップに環境への配慮を求めて去ることにしたのだが、Samsungについては、AppleはモバイルやPCで「ド競合」にあたる同社からの製品購入を取りやめた、という経緯がある。

TSMCはこうやって徐々に他社が失うチップビジネスのピースをちょっとずつ勝ち取っていったのだ。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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Sillicon Mac:それでもやっぱり期待していたあの機能たち(4/4)

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(前回からのつづき)AppleのグラフィックスにまつわるストーリーはCPUの話と似ている。Appleは、M1の統合GPUの5~6倍の高速化を約束して、Intelの統合グラフィックスチップを打ち負かしたかのように見える。しかしそもそもIntelの基本的なCore i3やi5のCPUのように、そのIris PlusとUHDグラフィックスは、必ずしも最先端というわけではなかったし、現行のPCが提供する最…

Image Credit : Apple

(前回からのつづき)AppleのグラフィックスにまつわるストーリーはCPUの話と似ている。Appleは、M1の統合GPUの5~6倍の高速化を約束して、Intelの統合グラフィックスチップを打ち負かしたかのように見える。しかしそもそもIntelの基本的なCore i3やi5のCPUのように、そのIris PlusとUHDグラフィックスは、必ずしも最先端というわけではなかったし、現行のPCが提供する最高のものでもない。だから、M1が公表している生のGPUの数値(※)は統合グラフィックスの基準では素晴らしいものだと思うが、現時点でハイエンドのMacやPCはどちらもIntelの統合グラフィックスには依存していない。

(※毎秒41ギガピクセル、毎秒82ギガテクセル、処理能力の2.6テラフロップス、および128実行単位というピーク時理論値は、Intelが新たに出したIris Xe Maxグラフィックスチップが公表する毎秒39.6ギガピクセル、毎秒79.2ギガテクセル、FP32性能の2.5テラフロップス、および96実行単位よりもわずかに高い)

改めて伝えるが、Intelの数値は10ナノメートル・プロセッサの話で、AppleのものはCPUと同じチップパッケージ内にある5ナノメートルのGPUの話だ。IntelはIris Xe Maxを軽量の主力ノートブックに投入するかもしれないが、Appleのソリューションは同時により力強く、かなり小さく、そして電力消費は少ない。

M1のMacがIntel製のマシンと変わらないと文句を言うのは簡単だ。

本当の問題は、6月にSrouji氏が言及した「カスタムテクノロジー」にもかかわらず、iPadやiPhoneをそれぞれの領域でトップ・ティアにしてきた大きな機能を、Macには持ってこなかったことの方が大きい。直観的なマルチタッチディスプレイ、先進的な写真やビデオ、ポートレートカメラ、もしくはこれまでにない軽さと薄さを持ったボディ。

少なくとも2年という準備の後、Appleは以前のIntel Macと同じようなM1 Macを立ち上げたのだ。唯一の違いは内部に異なるチップを持つ、という点だけだ。現時点でどうやらAppleはコンピューターのパフォーマンスの底上げに焦点を当てているらしい。

1日で3台の最も手頃な価格のコンピュータを入れ替え、そのうちの1台については価格を下げたAppleは、このホリデーシーズンにM1ベースのMacを難なく売り上げるだろう。過去10年間にAppleに期待してきた中でも安全で、かつ予測可能な結果であり、最終的にはウォール街を満足させる結果となるに違いない。

しかし、だ。残念なことに、ユーザーに向けたMacのイノベーションは2021年以降まで待たねばならない。

チップメーカーやデバイスメーカーのライバルであるQualcommSamsungLenovoなどは、最新のMacをリーダーではなく、遅れてるかのように見せる新機能を搭載したARMベースのPCを発表する機会を再び得た。

Appleは超低消費電力チップでリードしてきたかもしれない。しかし過去15年間のIntel Macの歴史は、PCの世界でシェアを獲得するためには、ワットあたりの性能やクロック速度の高速化だけでは、ユーザーがより汎用性の高い便利なデバイスを使い続けるのに十分ではない、ということを証明している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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Sillicon Mac:「M1」チップ移行で広がる可能性(3/4)

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(前回からのつづき)M1はIntelのCPUに取って代わるが、変更点はCPUだけではない。話を6月に戻すとAppleのチップリーダーJohny Srouji氏はIntelからAppleの独自チップに移行することで、MacがIntelのCPUでは実現できなかった「多くのカスタムテクノロジー」にアクセスできるようになるだろうと述べている。 Appleが何年もかけてiPhoneとiPadのチップ開発を完…

Image Credit : Apple

(前回からのつづき)M1はIntelのCPUに取って代わるが、変更点はCPUだけではない。話を6月に戻すとAppleのチップリーダーJohny Srouji氏はIntelからAppleの独自チップに移行することで、MacがIntelのCPUでは実現できなかった「多くのカスタムテクノロジー」にアクセスできるようになるだろうと述べている。

Appleが何年もかけてiPhoneとiPadのチップ開発を完成させた技術(ARMベースのMacのプロトタイプを作成したのは言うまでもないだろう)によって、M1搭載Macはもっと良いものにとどまらず、異なるものになっていたかもしれない。 Appleが6月にM1について約束したリストを見た上で、現実には何が起こったのか自分で判断してほしい。

  • 「クラス最高セキュリティ」のためのセキュアエンクレーブ。 iPhoneとiPadに既に何年も前から搭載されていおり、M1用の新しいバージョンがあることを明らかにしたが、具体的な点については言及しなかった。
  • プロフェッショナルなアプリとゲームの両方に適した、すべてのMacで「まったく新しいレベルのグラフィックパフォーマンス」を実現する高性能GPU。 CPU設計と同様に、M1はローエンドのMacのGPUパフォーマンスを向上させるが、Mac全体での新たなスタンダードとなるほどのものではない。
  • 機械学習用のニューラルエンジン。 Appleの16コアニューラルエンジンは、既に紹介したA14 Bionicで導入されたものと同じように見えるかもしれないが11TOPS(Tera Operations Per Second)のパフォーマンスが約束されている。
  • Macの画面パフォーマンスを向上させる可能性のあるビデオディスプレイエンジン。 Appleはこの話題ではM1の機能についてほぼ一切言及していない。
  • カメラの性能を向上させる画像処理エンジン。 Appleは、MacBookのFaceTimeカメラのノイズリダクションと演色性の改善を約束しながらも、エンジンが存在することと「超高速」であることを述べたけだけであった。

リストからは1つの項目が抜け落ちている。 M1の発表中にSrouji氏は、間違いなくマシンを高速化し消費電力を削減するチップのユニファイドメモリアーキテクチャについて重要なことを話した。これはMacにとって些細なことではなく一歩前進ではあるが、既存の個別半導体チップを複数組み合わせる(モデムを思い浮かべると分かりやすい)ことが今後数年間続くだけにすぎず「すべてを高速化する」ことは明らかにユーザー向けの新機能とはいえない。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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未来のスーパー「Amazon Fresh」:スーパーのデータって本当に役に立つの?(5/5)

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データは未来の小売業の差別化要因となるか? (前回からのつづき)現在非常にごたごたしているため、この小売体験の重要な要素ーーAmazon.comとAmazonFreshの接点ーーは見落とされがちだ。しかしこれは、今後Amazonが実店舗運営への挑戦を続けていく中での他社との重要な差別化要因になる可能性がある。 Amazonは初めてAmazon Freshストアを体験する上でのガイダンスの一環として…

Image Credit: Jeremy Horwitz/VentureBeat

データは未来の小売業の差別化要因となるか?

(前回からのつづき)現在非常にごたごたしているため、この小売体験の重要な要素ーーAmazon.comとAmazonFreshの接点ーーは見落とされがちだ。しかしこれは、今後Amazonが実店舗運営への挑戦を続けていく中での他社との重要な差別化要因になる可能性がある。

Amazonは初めてAmazon Freshストアを体験する上でのガイダンスの一環として、Dash Cartのユーザーに対しカートに入れる買い物リストをデジタルで管理することと、スマートフォンを使って店頭での特典をウェブから確認することを公然と奨励している。

これは2つの理由で混乱を招く。カートに何を入れるかまで一元的に管理できる買い物リストのアプリは非常に限られており、買い物中に1つだけでなく2つのタッチスクリーンを確認することをユーザーに求めるというアイデアは単刀直入にいってクレイジーだ。

棚や冷凍ケースの前で買い物リストや店頭特典の案内をスマートフォンで見ている人に邪魔され、その後ろで身動きが取れなくなることを望む人などどこにいるだろうか。もしコメディアン俳優のLarry DavidがAmazon Freshを訪れたらどんな反応をするだろう、彼が主演するCurb Your Enthusiasmの一幕を見れば十分わかるだろう。

それでも、インターネットと顧客のショッピングカートをダイレクトに、そしてより慎重に結び付けることには明らかな価値がある。Amazon Fresh店舗への最初の来店は、店の通路を歩く最後の来店ともなり得る。Amazonは以前に購入した商品のリストを表示して再注文を提案し、すぐに集荷・配達が行える。これによりInstacar(と現在課金しているプレミアム会員)の必要性はなくなるかもしれない。また、将来的にAmazon Freshの店舗内へ入店する人の数を減らし、多くの顧客がドライブスルー同様の形式を利用して取引が完了できるようにすることもあり得る。

Amazonはこれらほとんどではないにしても、いくつかについては既に技術的な対応を行っているが、エンドツーエンドの顧客体験を直感的で違和感のないものにするためには、スマートフォンと買い物カートを管理するアプリを改善する必要がある。皮肉なことにそれが成功したといえるようになるのはFreshの店舗に人があまり訪れなくても高い収益が上げられるようになった時、つまり人気のあるスーパーマーケットにはつきものの長い待ち行列がなくとも、大量の在庫が動くようになった時だ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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未来のスーパー「Amazon Fresh」:ベータテスト版スーパーマーケット(4/5)

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その他の良点+クーポン (前回からのつづき)Amazon Freshで私たちが気に入ったのは、「カスタマーサービス、返品 & 受け取り」という名前が付いたエリアだ。 こういった場所は通常、スーパーマーケットの入り口のすぐ近くにあるが、Amazon Freshでは店の奥側にある。店舗在庫の保管や荷物の積み下ろしを行う場所の近くで、Amazonロッカーから商品を受け取ったり返品ができるようにと…

Image Credit : Jeremy Horwitz VentureBeat

その他の良点+クーポン

(前回からのつづき)Amazon Freshで私たちが気に入ったのは、「カスタマーサービス、返品 & 受け取り」という名前が付いたエリアだ。 こういった場所は通常、スーパーマーケットの入り口のすぐ近くにあるが、Amazon Freshでは店の奥側にある。店舗在庫の保管や荷物の積み下ろしを行う場所の近くで、Amazonロッカーから商品を受け取ったり返品ができるようにと、おそらくこの場所になったのだろうーーこれは非常に便利で、食料品の買い物をするのと同時に、Amazonの配送・返品のためだけに特定の場所へ出向かなくて済むというインセンティブを与えてくれる。

Amazon Freshには、オンラインで小売業者が販売している人気ガジェットや書籍の限定セレクションコーナーも置かれている。 私たちはFireタブレットとEchoスピーカーからほんの少し離れた棚で、スーパーマーケットで購入することなど考えたことのないような、JoséAndrésの料理本「VegetablesUnleashed」やDeath&Coのカクテルガイドといった書籍を見かけたりもした。ーーもとより、その一部は既にオンラインで購入済みのものだったが。やがて新しいアイテムに取って代われば、AmazonFreshで食料品以外の商品も購入を検討する理由になるのかもしれない。

現段階では、AmazonFreshを実店舗で営業する小売業にとっての確固たる未来の形として説明するのは難しいだろう。 現在の体験は、洗練された形の完璧なビジネスというよりも、パブリックベータテストに近いと感じている。 来店者は確かに店内で通常の体験に加えてユニークな体験もすることができるが、実のところそれはスムーズな運用を行っていくための壮大な実験用モルモットみたいなものーーもちろん実験が成功するまではーーだ 。

Amazonの名誉のためにいうと、躍進のスピードを妨げる要因はそれほど脅威的なものではない。 その上Amazonは技術的な問題に対して謝罪するクーポンを配ったりと、積極的に問題への対応に取り組んでおり、来店した2回のうちの1回は、店内にいるすべての人に対して缶の炭酸水と冷蔵庫用マグネットを無料で配っていた。 問題点はあるにもかかわらず怒って店を出ていく人は見当たらなかったし、実際に私たちはクーポンと数少なくなったショッピングバッグを置いて店を出ると、車に向かって歩きながら既に次に店へと遊びにいく計画を練り始めていた。

Image Credit : Jeremy Horwitz VentureBeat

賛否両論ありながらもポジティブな印象をもたれることで「使命を果たした」とみなすのか、それともAmazonが小売業界を完全に支配する大規模な取り組みを、初期のAmazon Freshの顧客たちが後押ししているのか、その答えを知っているのはAmazonだけだ。

拡大する規模と疑う余地のない野心によって、Amazon Freshの店舗は、従来のスーパーマーケットに対しての非常に現実的な競争相手にもなりえるが、店舗の利益にほとんど影響を与えない程度の実験として失敗に終わる可能性もある。

Amazon Freshを自分の目で確かめたければ、カリフォルニアのアーバイン ジャンボリーロード 13672 にできた新店舗か、もしくはウッドランドヒルズ トパンガキャニオンブールバード 6245にある1号店舗(といっても一般客向けに店をオープンしたのは今年の9月)にアクセスできる。 どちらの店舗も午前7時から午後10時まで年中無休で営業している。(次につづく)

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Sillicon Mac:「M1」チップの正体(2/4)

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(前回からのつづき)Appleはこれら3つの新Macについて、従来のIntelマシンの約3倍の速さだとして売り込んでいるが、この重要な数字には巧妙なマーケティングトリックが使われている。 近年、同社はスペックが著しく低いCPUを積んだ初心者向けのMacを提供し始めた。たとえば以前のIntel MacBook AirやMac miniのチップはCore i3からとなっており、一方でMacBook P…

Image Credit : Apple

(前回からのつづき)Appleはこれら3つの新Macについて、従来のIntelマシンの約3倍の速さだとして売り込んでいるが、この重要な数字には巧妙なマーケティングトリックが使われている。

近年、同社はスペックが著しく低いCPUを積んだ初心者向けのMacを提供し始めた。たとえば以前のIntel MacBook AirやMac miniのチップはCore i3からとなっており、一方でMacBook Proは1.4GHz Core i5だった。数年かけてAppleが計画していたM1とIntelを比較する際に、M1のパフォーマンスのベンチマークをIntelの最速チップと比較してマーケティングする必要はなく、代わりに最も弱いいくつかのチップに焦点を当てているのだ。

さらに、M1のパフォーマンスレベルは全く驚くべきものではなかった。信頼できる噂によると、M1は事実上、名前を変えたA14Xだと言われているーーA14XはすでにiPhone 12とiPad Airに搭載されているA14 Bionicチップの次作であり、まだ未発表だ。

これは通常どおり行けば次世代のiPad Proに搭載される。9月に発売されたA14は5ナノメートル製造プロセスと118億個のトランジスタを備えている。2カ月後に発表されたM1は同じく5ナノメートルプロセスに160億個のトランジスタを使用している。これはAppleが2年前に7ナノメートルのA12とA12Xチップで行ったのと同様の変更となっている。

AppleはM1の高性能CPUコアを「世界最速」と主張しており、他の低速チップコアと比較してこのことが正しいと信じる理由はたくさんある。とは言え、Appleはチップの全体的なパフォーマンスを「昨年販売されたラップトップPCの98%よりも速い」と謳っている。これはパフォーマンスに関しては売上高よりもソフトな指標だ。

安価で低性能なマシンは、高価でパフォーマンスが非常に高いものよりも多く売れる傾向があるため、90%のラップトップが500ドル未満で売られているとすれば、Appleのコンピューターの方が優れた性能で2倍の価格で販売されても不思議ではないだろう。(次につづく)

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