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Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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スコアリングと可視化で不動産投資を最適化「StockFormer」運営、デジタルベースCとトグルHDから5,000万円を調達

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  不動産投資スコアリングサービス「StockFormer(ストックフォーマー)」を開発・運営する ZIRITZ(ジリッツ)は26日、シードラウンドで5,000万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、PropTech 特化 ファンドのデジタルベースキャピタルとトグルホールディングス。トグルホールディングスは、イタンジ創業者の伊藤嘉盛氏率いるトグルなどを傘下に置く持株会社。 …

「StockFormer」
Image credit: Ziritz

 

不動産投資スコアリングサービス「StockFormer(ストックフォーマー)」を開発・運営する ZIRITZ(ジリッツ)は26日、シードラウンドで5,000万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、PropTech 特化 ファンドのデジタルベースキャピタルとトグルホールディングス。トグルホールディングスは、イタンジ創業者の伊藤嘉盛氏率いるトグルなどを傘下に置く持株会社。

ZIRITZ は、大和総研、大和証券グループ本社、ベイカレント・コンサルティング出身の島﨑怜平氏により2019年設立。島崎氏は投資家の資産形成支援に携わる一方で自らも不動産の投資や運用を行ってきた経験から、投資家と不動産仲介業者の間の情報の非対称性という課題を認識するようになったという。そこで生まれたのが StockFormer だ。

StockFormer を使えば、ユーザである投資家は投資家同士で不動産の売買や融資の経験をシェアすることで(誰の取引かは匿名化されている)、資産レベルの近い投資家の経験を指標に、高度で正確な投資判断が可能になる。また、資産スコアで個人の信用度・信頼度が可視化されるため、不動産仲介業者から、より有益でパーソナライズされた物件提案を受けることができるようになる。

StockFormer ではハイクラス投資家向けのデータバンクを作っている。投資家は、自分と同じような投資家がどういった物件をどのように買っているか知る由もなかったが、似たスコアの投資家の情報が匿名化された状態でシェアされるため、取引の参考にすることができる。

また、公開されていない物件情報も多く、そのような物件に接するには、投資家は物件を紹介してくれる業者と知り合う必要がある。これまでそういった不動産事業者に知り合うのは完全クチコミベースだったが、それがデジタル化できるのも StockFormer の強み。(島﨑氏)

StockFormer「不動産事業者プロフィール」の画面
Image credit: Ziritz

不動産仲介業者の担当者も、どのような投資家から支持されているかも ZIRITZ 上で可視化されている。これらの徹底的な情報可視化というメリットに加え、投資家には StockFormer を通じて不動産を購入した場合に仲介手数料の10%をキャッシュバックし、中抜き取引されることを防いでいる。銀行や税理士などが顧客を紹介してくれたとき、不動産仲介業者が支払う紹介料の商慣習を応用したものだ。

StockFormer のマネタイズポイントは大きく2つ。StockFormer は投資家にフリーミアムでサービス提供されるが、有料会員にならないと前述の他の投資家との売買や融資の経験を共有できない。月額5,000円なので StockFormer 経由で契約が一件でも成約すれば、キャッシュバックで回収できてしまう。

もう一つは不動産業者からの成果報酬型手数料だ。ZIRITZ では商慣習にならってこの手数料を取引価格の3%と定めており、こうして受け取った手数料の10%を投資家へのキャッシュバックに充当している。すなわち、取引価格全体の2.7%が ZIRITZ の純利益となる計算だ。

StockFormer「ローン投資動向」の画面
Image credit: Ziritz

StockFormer には現在1,800人ほどのユーザがいて、彼らの平均年収は1,900万円、平均純資産は5,400万円。サラリーマンの税金対策をターゲットにしたワンルームマンションの投資などとは客層が異なり、一定以上の可処分所得があって、投資物件もワンルームなどではなく一棟ものを流通させている人が多いという。他方、不動産仲介業者は120〜130社ほどが利用しているそうだ。

この種のサービスを提供する競合を国内で見つけることは難しいが、今週ファンド組成を公にした DRG Fund の投資先である Propally は、オーナー向け投資用不動産管理プラットフォーム「Propally for Owners」を今春ローンチすることを明らかにしている。StockFormer も Propally も、不動産に投資してきた起業家自身が身近なところにサービスのニーズを見出している点は興味深い。

<参考文献>

SaaS管理プラットフォーム「NiceCloud」開発、シードラウンドで約1億円を調達——Coral、ANOBAKAなどから

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SaaS 管理プラットフォーム「NiceCloud」を運営する LBV は25日、シードラウンドで約1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、Coral Capital、ANOBAKAと名前非開示の個人投資家。なお、調達額には、金融機関からのデットファイナンスが含まれる。 LBV は 「オートーク」開発の Regulus Technologies の創業者である伊藤翼氏が20…

「NiceCloud」
Image credit: LBV

SaaS 管理プラットフォーム「NiceCloud」を運営する LBV は25日、シードラウンドで約1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、Coral Capital、ANOBAKAと名前非開示の個人投資家。なお、調達額には、金融機関からのデットファイナンスが含まれる。

LBV は 「オートーク」開発の Regulus Technologies の創業者である伊藤翼氏が2020年12月に創業。なお、Regulus Technologies は2018年10月、ツナグ・ソリューションズ(東証:6551)に買収されイグジットしている。伊藤氏はキーマンクローズ期間を経て、今回、新たな事業の設立に至ったとみられる。

NiceCloud は、企業の SaaS アカウントや請求情報を一元管理できる SaaS 管理プラットフォームだ。どの従業員がどの SaaSを利用しているかわからない、アカウントの発行や削除が面倒といった課題が発生する中で、状況をダッシュボード上で把握し、アカウントの発行や削除等の面倒な業務を自動化できる。先月のαローンチ以降、数十社から事前登録を獲得しており、今年夏のβ版をリリースを目指す。

一部機能において、NiceCloud はこれまでに BRIDGE でも紹介している「Anyflow」や「YESOD(イエソド)」 、そのほか「Hexalink Hexabase」などにも似たものになるかもしれない。しかし、Anyflow はその名の通り、複数の SaaS を連携することでワークフローの効率化に力点を置いており、また、YESOD は情報ガバナンスを求められる会社がシステマティックにそれを実現することを狙っており、対して、NiceCloud は短期的には請求状況の可視化が強みになるだろう、というのが伊藤氏の説明だった。

LBV は当面、5〜10以上 SaaS を使い、50〜100人以上社員がいる企業をターゲットに置く。SaaS 管理の一元化・可視化によって効果を享受するには一定の規模が必要になるからだが、中長期的にはエンタープライズ利用も視野に入れる。また、さまざまな SaaS が乱立する中、将来は、それらを比較検討し SaaS プロバイダへ送客できるサービスを提供する可能性もあるとしている。

インキュベイトF出身・日下部竜氏の「DRG Fund」、〝プロフェッショナル系〟3スタートアップへの出資が明らかに

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インキュベイトファンドに入社したアソシエイトたちが、5年以内には独立し自らファンドを立ち上げることを促されるのは、日本のスタートアップ界では意外と知られた話である。プライマル・キャピタルの佐々木浩史氏を皮切りに、これまでにライフタイムベンチャーズの木村亮介氏、Full Commit Partners の山田優大氏らが羽ばたいていった。 彼らはそれぞれのバックグラウンドを強みに伴走すべきスタートアッ…

日下部竜氏は、一昨年の Incubate Camp 12th で統括を務めた。
Image credit: Incubate Fund

インキュベイトファンドに入社したアソシエイトたちが、5年以内には独立し自らファンドを立ち上げることを促されるのは、日本のスタートアップ界では意外と知られた話である。プライマル・キャピタルの佐々木浩史氏を皮切りに、これまでにライフタイムベンチャーズの木村亮介氏、Full Commit Partners の山田優大氏らが羽ばたいていった。

彼らはそれぞれのバックグラウンドを強みに伴走すべきスタートアップを探し出し、若い世代から新たな起業家が生まれるエコシステムの原動力になっている。トラックレコードが少ない分、どんな投資家にとっても最初のファンドを組成するのは大変な苦労を伴うが、古巣であるインキュベイトファンドが Fund of Funds(FOF)形式で、呼び水的に出資するスタイルは定着してきた。

今回明らかになったのは、2017年からアソシエイトとしてインキュベイトファンドに参画していた日下部竜氏のファンドだ。おそらく、イーサリアムトークンの DRG とは直接的な関係は無さそうだが、自身のファーストネームに由来する dragon から DRG Fund と名付けられた新ファンドは組成から1年弱が経過し、スタートアップ3社への投資が実行済であることが明らかになった。

日下部氏はインキュベイトファンドに関わる前は、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券で投資銀行業務に従事。ファイナンスの知識やディールの経験を得た後、生涯通じて VC の仕事をしたいとの思いからインキュベイトファンドの門をくぐったそうだ。新ファンドでは、将来有望な若手ビジネスパーソン(プロフェッショナルファーム・大企業社員等)によるシードスタートアップを対象にする。

起業を考えていても、なかなか踏み切れない。その理由は、創業メンバーだったり、お金の面だったり、その段階では VC もコミットしづらい。

プロフェッショナル系の人たちは、一見すると、スタートアップから最も離れたところにいるように見えるが、起業に興味を持っている層。彼らに対して、スタートアップへの門戸を広げたいという思いから、新ファンドを立ち上げた。(日下部氏)

ここまで何度かプロフェッショナル系という言葉を使ってきたが、具体的にどのような事業モデルや起業家を指しているかは、DRG Fund の出資先を見るとわかりやすい。

野村証券や野村キャピタル・パートナーズで企業リサーチアナリストを務めた平賀洋輔氏が率いる AccuWealth は、企業向け競合・ベンチマーク企業リサーチサービス「アキュウェルス IQ」を開発。Propally は、共同創業者の2人がそれぞれ自ら投資用不動産を保有しながら、収支管理の煩雑さや不動産価格の不明瞭さといった課題を解決しようと、オーナー向け投資用不動産管理プラットフォーム「Propally for Owners」を開発している。3社の出資先のうち、残る1社はステルスで将来明らかになる見込みだ。

DRG Fund の組成規模は5億円で、1ショットのチケットサイズは1,500〜2,500万円。シードラウンドのスタートアップ約10社から15社に出資することを想定している。最大額×最大社数をしても5億円に届かないことから推測できるように、一度出資したスタートアップの事業成長性が確認できた際には、既投資先にフォローオン出資することも想定に入れているようだ。

DRG Fund のメンバーは今のところ日下部氏のみだが、採用・開発・マーケティング等で投資先スタートアップへの支援や、将来はファンド運営に関わることに興味のあるサポーターを募集する。若手ビジネスパーソンからのキャリア相談オフィスアワー、事業構想→会社設立→チーム組成→投資実行までを1〜3ヶ月で完了するプログラム「Boot Camp Program」への参加も募集を開始した。

XTech Ventures、最大100億円規模となる2号ファンドを組成——1号は出資開始から2年半で、すでに3社がイグジット

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西條晋一氏と手嶋浩己氏の2人が共同創業した XTech Ventures(クロステック・ベンチャーズ) が、2号ファンドを組成したことが明らかになった。2号ファンドからは既に組成が開始されている模様で、1月のファーストクローズ段階で53億円が集まっているとのこと。最終的な調達金額は100億円規模を目指す。 1号ファンドの振り返り 組成時には50億円規模を目指していた1号ファンドは、最終的にオーバー…

左から:古川慧氏(アソシエイト)、安岡浩太氏(シニアアソシエイト)、西條晋一氏(代表パートナー)、手嶋浩己氏(代表パートナー)、今野大輝氏(アカウンタント)
Image credit: Chihiro Inoue, Ecrowd

西條晋一氏と手嶋浩己氏の2人が共同創業した XTech Ventures(クロステック・ベンチャーズ) が、2号ファンドを組成したことが明らかになった。2号ファンドからは既に組成が開始されている模様で、1月のファーストクローズ段階で53億円が集まっているとのこと。最終的な調達金額は100億円規模を目指す。

1号ファンドの振り返り

組成時には50億円規模を目指していた1号ファンドは、最終的にオーバーサブスクライブして53億円を調達し着地した。既報の採用管理「SONAR ATS」展開の Thinkings が1号ファンドからの最後の出資となり、Thinkings を含め1号ファンドからの出資は合計39社となった。

BRIDGE とのインタビューで、手嶋氏は 最初のファンドとして「ほぼ予定通りかそれ以上の投資を実行できた」と振り返った。

40社 × 1億円というのが当初の目標だったので、規模的にも件数的にも予定通りだった。(デューデリが及びきらない)宇宙とかは避けたものの、広くいろんな領域に出資するつもりだったが、結果的に D2C のスタートアップへの出資が多かった。D2C の第一の波から投資できたのはよかった。数年内に IPO するところが出てくることを期待している。

一方で、SaaS スタートアップはここ数年盛況だが、サイズも大きくないので、そこにコインベストというだけで XTech が参加することはあまりなかった。若手の起業家にも出資したが、出資先スタートアップの創業者の年齢を見ると40代がボリュームゾーン。全案件のうち79%がリード投資だった。(手嶋氏)

1号ファンドからは既に3つのイグジットが明らかになっている。美容ケア D2C 「FUJIMI(フジミ)」運営のトリコは今月、ポーラ・オルビスホールディングス(東証:4927)が買収、スペースマーケット(東証:4487)は2018年の出資から1年後に東証マザーズへ上場プレシリーズ A で出資参加した無添加ペットフードのサブスク D2C「レガリエ」を運営するオネストフードは先月トレードセールでイグジットを果たした(イグジット先は非開示だが、同時期にオネストフードは前澤ファンドからの資金調達を明らかにしている)。

1号ファンドからの投資先
Image credit: XTech Ventures

2号ファンドに入り、チームビルティングも増強へ

最大100億円規模となる2号ファンドでは、チケットサイズ1.5〜2億円程度で40〜50社への出資を目指す。この規模であれば、それなりのパフォーマンスが出ているスタートアップの7〜8億円程度のシリーズ A ラウンドでもリードを取れる可能性がある。共に事業経験を持つ西條氏と手嶋氏の強みを生かし、プレシリーズ A やシリーズ A ラウンドでの出資即決が可能なファンドになれる。

(西條氏も手嶋氏も)事業経験があるので、暗黙知と経験値で投資判断をしてきた。2号ファンドからはチームビルディングを強化していく。エキサイトからの転籍組(編注:2018年、西條氏がエキサイトの代表取締役社長に就任し、XTech がエキサイトを TOB したため、エキサイトと XTech の間には人材交流がある。トップ写真の安岡氏と古川氏はエキサイト出身。)もいるが、パートナーなども増やしたい。

ちゃんと投資できるよう、バッターボックスに立ってもらえるよう、積極的にパートナーを育てたい。事業会社の出身者で固めて行ってもいいし、多種多様な業界から人に入ってもらっても、その人の価値を高められるのでいいのかな、と考えている。(手嶋氏)

XTech Ventures ではパートナーを始め人材強化を念頭に、今週金曜日にはオンラインイベントを開催する予定だ。投資サイドのみならず起業家の育成にも余念がない。西條氏や手嶋氏のほかイグジット経験者などを招き、定期的に「XTech Ventures Bootcamp」という合宿プログラムを起業家向けに開催している。創業から数年経過してもスケールしていないということがないよう、起業家に視座を上げてもらい、具体的な未来目標を持ってもらうことが狙いだという。

食品流通DXのクロスマート、シリーズAで2.7億円を調達——デジタル販促で、メーカー・卸業者・飲食店・消費者の〝四方よし〟を目指す

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飲食店とサプライヤーをマッチングする「クロスマート」や受発注プラットフォーム「クロスオーダー( サプライヤー向け / 飲食店向け )を運営するクロスマートは、シリーズ A ラウンドで2.7億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、ギフティ(東証:4449)、SBI インベストメント、みずほキャピタル、SMBC ベンチャーキャピタル。クロスマートにとっては、2019年9月に実施し…

クロスマートのチームメンバー。前列左から2人目が代表取締役の寺田佳史氏。
Image credit: Xmart

飲食店とサプライヤーをマッチングする「クロスマート」や受発注プラットフォーム「クロスオーダー( サプライヤー向け 飲食店向け )を運営するクロスマートは、シリーズ A ラウンドで2.7億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、ギフティ(東証:4449)、SBI インベストメント、みずほキャピタル、SMBC ベンチャーキャピタル。クロスマートにとっては、2019年9月に実施したシードラウンドに続くものだ。

今回の調達を受けて、クロスオーダーの営業強化、各種採用を強化する。ギフティとは、食品メーカーが飲食店にオンライン営業できる「クロスオーダー販促」をローンチする予定。また、今回の調達とあわせて、ギフティ代表取締役の鈴木達哉氏がクロスマートの社外取締役に就任する。

納品伝票のデータ蓄積から始めたクロスマートだったが、データの分析の結果、青果物は他の食材と比べて FAX による注文比率が高く頻度も多く、さまざまな規模の卸業者が青果物を取り扱っているため、受発注プロセスに課題を感じている卸業者が多いことが判明。飲食店が LINE で発注し、サプライヤーがデータの形で注文情報を受け取れるクロスオーダーをローンチした

2019年11月のクロスオーダーのローンチから1年あまり、受発注処理件数はすでに7万件を突破した。国内では都市部を中心に、飲食店がコロナ禍の緊急事態宣言下で時短営業を余儀なくされる中、飲食店の活動低下はクロスマートにとってマイナスに働くかと思いきや、数ある業種の中で最も進みにくいとされた飲食業の DX に追い風となり、クロスオーダーのユーザ増に寄与しているという。

昨年実施された最初の緊急事態宣言の時の落ち込みは、飲食店の営業自粛に比例して大きなものだったが、今回(現在実施されている緊急事態宣言)はそのときほどではない状態。飲食店は、1.補助金や助成金の申請(資金繰り)をし、2. 間接コストを見直し、3. 売り上げを補填するため EC 展開する、という方向へ動いている。

現在、多くの飲食店は 2. をやっている最中。食材や賃料を極端に下げることはできない。でも、仕組みを改善することで、受発注のスタッフの人件費を下げましょう、というのがトレンドになっている。まさにそれができるのがクロスオーダーで、PMF(プロダクトマーケットフィット)できたと考え、シリーズ A 調達に踏み切った。(代表取締役 寺田佳史氏)

Image credit: Xmart

クロスオーダーは青果物の受発注プラットフォームだが、どの飲食店が何をどの程度購入しているかがわかるので、飲食店に対して、昨年の同時期に買っていたものを今年お勧めしてみたり、親和性があるかもしれない別商品を併売してみたり、といったアプローチが可能になる。メーカーはこれまで飲食店を訪れて営業していたが、データドリブンなオンライン販促に転換できることになる。これがクロスオーダー販促だ。

メーカーにはマーケティング予算を使って、クロスオーダーのデータをもとに自社商品をマーケティングしてもらえる。その商品の発注は卸業者に行くため、卸業者も儲かる。飲食店、卸業者、メーカーの「三方よし」の状況が作れそうだ。卸業者にメリットがあるスキームにしたいので、メーカーからの予算の一部が、卸業者にもシェアできるようにしたいと考えている。(寺田氏)

今回ギフティが出資しているが、消費者向けサービスが強い同社の力を活用して、クロスマートは B2B2B2C(メーカー→卸業者→飲食店→消費者)がつながる、消費者を巻き込んだマーケティングプラットフォームを形成したい考えだ。前述の三方よしが「四方よし」になるかもしれない。ギフティにとっては、従来のコンビニやスーパー以外に、飲食店にもネットワークを広げられる可能性がある。

SBI インベストメントの親会社である SBI ホールディングス(東証:8473)は、全国各地の地方銀行と提携や連携関係にあるため、クロスマートでは今回の出資を受けて、地銀各行と契約関係がある地場の卸業者を紹介してもらうことを期待しているという。

8回目を迎えたHackOsaka、ピッチコンテスト「Hack Award 2021」に世界のスタートアップ10社が集結

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(個別にクレジットしたものを除き、写真はいずれも主催者提供) 大阪市、都市活力研究所、JETRO 大阪本部は18日、年次のスタートアップ・カンファレンスである「HackOsaka 2021」を開催し、日本内外から投資家・起業家・メディアなどが参加した。2013年からスタートしたこのイベントも今回で8回目を数えた。昨年開催される予定だったイベントは新型コロナウイルス感染拡大のため中止を余儀なくされ、…

左から:優勝した Brezzi の CEO Tim Seaton 氏
右上から右下へ:審査員 Phillip Vincent 氏(Plug and Play Japan)、Joshua Flannery 氏(Rainmaking Innovation Japan)、Allen Miner 氏(SunBridge Group)

(個別にクレジットしたものを除き、写真はいずれも主催者提供)

大阪市、都市活力研究所、JETRO 大阪本部は18日、年次のスタートアップ・カンファレンスである「HackOsaka 2021」を開催し、日本内外から投資家・起業家・メディアなどが参加した。2013年からスタートしたこのイベントも今回で8回目を数えた。昨年開催される予定だったイベントは新型コロナウイルス感染拡大のため中止を余儀なくされ、今年はは初のオンライン開催となった。

イベントの終盤では、日本内外から集まったスタートアップ10チームが、大阪の企業との協業や投資誘致を念頭にピッチを行なった。本稿では、入賞チームを中心に紹介する。審査員を務めたのは、以下の3名の方々だ。

  • Phillip Vincent 氏(Managing Partner & CEO, Plug and Play Japan)
  • Joshua Flannery 氏(CEO, Rainmaking Innovation Japan)
  • Allen Miner 氏(CEO, SunBridge Group)

審査員は、コンセプトの独自性、コンセプトの実現性、社会へのインパクト、将来に向けたスケーラビリティの4つの項目について採点し、その合計点で上位チームが選抜された(スポンサー賞は、各スポンサー個別審査による選抜)。

【Gold Award】Breezi(アメリカ)

副賞:賞金50万円

今後30年間、世界では1秒あたり10台のエアコンが販売され、2050年までにそれらの電力需要は、現在の日米欧の電力消費量の合算分と同量に達するという。エアコンはフィルタの目詰まりや機器の不調によってパフォーマンスが低下するので、これらを改善することが電力消費量の改善につながる。

Breezi は、エアコンシステムのフィットネストラッカーの異名を持つ「AirPulse」を開発。AirPulse をエアコンのフィルタ部にセットすることで、フィルタの状況、電力使用量の算出、空気の質の追跡、音から機器故障を予期することができ、それらをモバイルアプリやクラウド経由でモニターできる。深圳の HAX、Plug and Play Japan の2020年夏バッチなどに採択された。

【Silver Award】Michroma(アルゼンチン)

副賞:賞金20万円

現代人は、舌で味わう以外に目で食べることに慣れてしまっていて、スナック菓子やキャンディー、ソーダからヨーグルトや野菜の缶詰などの健康食品まで、あらゆるものに人工着色料が含まれている。こういった人工着色料が健康に悪い影響を及ぼさないとは限らない。Michroma はこのような問題を解決すべく、持続可能でスケーラブルでコスト効率の良い、食品原材料の生産方法を開発する。

Image credit: Michroma

人工的な石油由来の着色料ではなく、キノコを発酵させた自然由来の食品着色料やマイコプロテインを、食品・飲料・化粧品・製薬会社と共同で開発している。第1号製品は、pH と熱安定性に優れた赤色着色剤だ。アルゼンチンのフードテックアクセラレータ「GridX」、アメリカのバイオテックアクセラレータ「Indiebio」などから、これまでに総額500万米ドルを調達している。

【Bronze Award】CRUST Group(シンガポール)

副賞:賞金10万円

フードロスは世界的に大きな問題だ。CRUST Group は、食品廃棄物から新たな飲料を作り出すフードテックスタートアップ。ホテルや飲食業界と提携することで食品廃棄物を確保し、それらからビール「CRUST」やノンアルコール飲料「CROP」を創出している。破棄する食料を減らすだけでなく、二酸化炭素の排出を抑制し、ホテルや飲食業界に売上を新たにもたらすこともできる。

Image credit: CRUST Group

本社をシンガポールに構え、日本には昨年11月に法人を設立。日本国内ではクラフトビールを販売したり、捨てられる食材を使ったゼロウェイストレストランを展開したりするほか、今後、サステイナブルビールが発売予定。今後、タイでは現地 CP グループやドールと連携して PoC 展開とジョイントベンチャー、韓国でもジョイントベンチャーでの進出などを計画している。

【O-BIC Award】CRUST Group(シンガポール)

副賞:10万円(提供:大阪外国企業誘致センター)

前項で紹介済みのため説明を省略。

【KGAP+ Award】Voiceitt(イスラエル)

副賞:アクセラレーションプログラム「KGAP+」第5期への参加権(提供:国際電気通信基礎技術研究所)

脳卒中、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などのに苦しむ人々は身体を自由に動かすことができず、周りの人々とのコミュニケーションが難しくなることがある。身体に問題がなくても、自閉症などで自分の意思をうまく声にして伝えられずに苦しむ子供たちもいるだろう。創業者の母は40歳の時にパーキンソン病を発症し、これが Voiceitt の開発につながった。

一般的な音声認識システムと異なり、Voiceitt では音声障がいを持った人が発した言葉も、正しく認識することができる。この認識結果を Siri、Google Home、Amazon Echo などに転送することで、音声コミュニケーションが可能になる。API が公開されており、音声入力インターフェイスを持つアプリやサービスが連携すれば、音声障がいを持った人も操作できるようになる。

【Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan / JETRO Osaka Award】Brain Pool Tech(シンガポール)

副賞:2025年日本国際博覧会協会での個別ピッチ参加権(日本国際博覧会協会 + JETRO 大阪本部)

Brain Pool Tech は、ドローンから得られた地図データ、各所に配置されたセンサーから得られたデータ、GPS の人流データなどから、バターン認識や分析により、将来起きうる出来事のリスクや可能性を予測するスタートアップ。得られた知見の用途はさまざまで、物流の最適化、災害リスクのスコアリング、建設作業の効率化など、社会や業務の改善に役立てることができる。2019年に設立され、シンガポール国立大学のインキュベータ「GRIP」に採択された。

Image credit: BrainPool Tech

昨年10月には、朝日放送系の ABC ドリームベンチャーズから約3,000万円をシード調達した。Brain Pool Tech と ABC ドリームベンチャーズは、神戸市多井畑西地区の里山保全・活用を目的として実証実験を行い、AI 分析モデルを用いた生物多様性の現状把握や災害リスクの特定方法などを考案、住民参加型の持続可能な里山の管理・活用を提案する計画だ。同社は現在、モビリティアクセラレータ「Move SG」と、アフターコロナソリューションを促進するアクセラレータ「Expara VirTech Global」に参加している。


今回、入賞には至らなかったものの、ファイナリストとしてピッチ登壇したスタートアップは次の通り。

  • Human Assistive Technologies(メキシコ)……障がい者向けに義手や義足等の義肢装具や車いすを開発するスタートアップ。スマート多関節義手「C_HAND」は、指先から伝わる電気信号によって、義手でありながらも触感を得ることができる。温度だけでなく、物を落としかけると自動で掴む力を調節する技術も搭載。その他、VR/ARと人工知能を用いたテレリハビリテーションシステムも開発している。”
  • Kazoo Technology(香港)……ハードウェアとソフトウェアをシームレス且つ快適に融合させるテックスタートアップ。タッチスクリーンにタップするだけでデバイス接続・データ転送ができる。向き・角度の違いなど精度の高い検知機能やメモリ機能も搭載され、スクリーン上に反映された内容によってデータの読取・編集・保存ができる。”
  • Aura Air(イスラエル)……屋内外の空気コンディション(湿度・温度・粒子・ガス・CO2濃度・細菌やウイルス等)を検知、4段階の浄化プロセスで室内空気をろ過・消毒し、リアルタイムに空気品質を監視するデバイス・プラットフォームを提供。ラウンジ・ホール・バス等あらゆるスペースへの取付けが可能。
  • AC Biode(日本)……日本・ルクセンブルク・イギリスに拠点をもつ化学系スタートアップ。有機ごみとプラスチックごみが混ざっていても低温で炭化でき、また、PET・ナイロン等を低温で分解し、プラスチック材料や石油化学等に再利用できる(研究開発中) 2種類の触媒をもって、海洋プラスチック等のごみ処理問題に取組む。
  • Zeetta Networks(イギリス)……企業のネットワークの監視・制御・管理を改善するため、ネットワーク操作を簡素化・自動化するスタートアップ。英国最大規模の 5G に係るプロジェクトに参画しており、日系企業を含むコンソーシアムパートナーと実証実験を行っている。

台湾有数の大企業が支援するインキュベータGarage+、世界のスタートアップを招く10日間アクセラレーションプログラム第11期の募集を開始

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Garage+ は、台湾有数の大企業20社が資金提供するNPO Epoch Foundation(時代基金会)が運営するスタートアップインキュベータだ。Garage+ は先ごろ、第11期を迎えるアクセラレーションプログラム「Startup Global Program」の募集を開始した。2015年に始まったこのプログラムは年に2回実施され、これまでに世界中から162チームが採択・参加。その3分の1…

Epoch Foundation(時代基金会)が昨年開催した「Meet the Future Exhiibition」の様子
Image credit: Epoch Foundation(時代基金会)

Garage+ は、台湾有数の大企業20社が資金提供するNPO Epoch Foundation(時代基金会)が運営するスタートアップインキュベータだ。Garage+ は先ごろ、第11期を迎えるアクセラレーションプログラム「Startup Global Program」の募集を開始した。2015年に始まったこのプログラムは年に2回実施され、これまでに世界中から162チームが採択・参加。その3分の1以上が、台湾企業からの投資や協業を実現している。

このプログラムの特徴は、10日間という短期間に、Epoch Foundation に加盟する Taiwan Semiconductor Manufacturing (TSMC、台湾積体電路製造、台湾証取:2382)、ノートPC の ODM 世界最大手 Quanta Computer(広達電脳、台湾証取:2382)、Foxconn(鴻海/富士康、台湾証取:2354)、Acer(宏碁、台湾証取:2353)など、台湾を代表する企業に起業家が直接会え、台湾やアジア地域でのビジネス可能性を模索できる点。アジアを代表するテック見本市「Computex Taipei」への参加も含まれる(コロナ禍対応により、一部オンライン化される可能性もあり)。

募集領域は、AI とデータアナリティクス、IoT とスマートデバイス、デジタルヘルス、カーテック、5G 技術、ロボティクス、スマートエネルギーなどで、参加にはシードからシリーズ B 資金調達を模索しているスタートアップが適しているとのことだが必須条件ではない。

プログラムへはここから応募できる。主催が NPO という性格もあり、参加にあたって費用を求められたり、エクイティの拠出を求められたりすることはない。採択された参加者には、前出のような台湾企業への訪問機会のアレンジやマッチングのほか、台湾との往復航空券、10日分の宿泊環境、3ヶ月のワーキングスペース利用権、台湾への起業家ビザが無償支給される。プログラム開始は5月31日からで、応募締切は2月24日となっている。

買い物で現金がもらえる「ONE」のEC対応版「C(シー)」が登場——30超のオンラインショップが参加

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レシートを撮影するだけで現金がもらえるアプリ「ONE」のローンチから約2年半、フィンテックスタートアップの WED が新たなサービス「C(シー)」を発表した。リアル店舗での買い物を対象としていた ONE と対照的に、C ではこのプログラムに参加するオンラインショップで買い物するだけで、購入代金の2%〜15%相当分を現金で還元を受けることが可能だ(C のユーザアカウントに800円以上貯まると、振込で…

「C」
Image credit: Wed

レシートを撮影するだけで現金がもらえるアプリ「ONE」のローンチから約2年半、フィンテックスタートアップの WED が新たなサービス「C(シー)」を発表した。リアル店舗での買い物を対象としていた ONE と対照的に、C ではこのプログラムに参加するオンラインショップで買い物するだけで、購入代金の2%〜15%相当分を現金で還元を受けることが可能だ(C のユーザアカウントに800円以上貯まると、振込で引き出せる)。

C にはファッション、お出かけ、ギフト、グルメ、家具・家電の5つのカテゴリが用意され、本稿執筆時点で30超のブランドやオンラインショップが参加している。還元を受けるにあたっては、C にアカウント登録を済ませ、C から対象サイト(オンラインショップ)にアクセスするだけでよく、それ以外の手続は不要だ。

実際にアクセスすると、対象サイトにジャンプする際には A8.net のアフィリエイトタグが付与されているため、これを頼りにアクセスを受けたオンラインショップと C がユーザを紐づけているとみられる。オンラインショップにとっては、送客を受けたユーザ分を手数料として WED に支払うというビジネスモデルだろう。

以前からあるポイントサイトを今風にオンラインでやったら、こういう形になるのではないか。ポイントとの決定的な違いは現金で還元されることだ。ポイントでは有効期限があったり、使えるお店が限られていたり、いろんな制約がある。それらを取っ払ったのが C だ。(WED  CEO の山内奏人氏)

ポイントは一度来てくれたお客をローヤルカスタマーにコンバージョンする、つまり、リピーターになってもらうための仕組みだが、C は現金還元であるため、オンラインショップにとっては新規顧客開拓のツールとして機能する。C のユーザ登録時には SMS を使った本人認証しか行わないので、詳細なユーザ特性を獲得できるかは不明だが、ショップが来訪ユーザの客層を把握するのにも貢献するようだ。

リアル購入に使える ONE と、オンライン購入に使える C。ONE は購入した後に開くアプリで、C は購入する前に開くサービスなので、ユーザ体験が異なることから、サービス/アプリを分けている。C を新しいアフィリエイトと見ることもできるだろう。従来のアフィリエイトは媒体に還元されていたが、C ではユーザに還元するようにしている。(山内氏)

2019年末に社名変更と沖田貴史氏の参画をお伝えした際には、WED がシリーズ A ラウンドを完了していたことに触れたが、山内氏によれば、調達先や調達金額を明らかにできないものの、2020年1月にシリーズ B ラウンドを完了したとのことだった。同社は昨年末グッドパッチ(東証:7351)と資本業務提携、今月には Spiral Capital と KIZUNA パートナーズからの役員招聘を発表している。

事業面では昨年、丸井グループ(東証:8252)と提携し、モールに入居するテナントが POS 接続せず集計レシートから売上をモールに報告できる仕組みの開発に着手している。ONE で培った、レシートから商品や価格を読み取る OCR 技術を活用したもののようだ。

エレベータ広告事業を展開する東京、シリーズAで3.6億円を調達——三菱地所とXTech Vらから

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エレベーター向けのスマートディスプレイ/デジタルサイネージ事業を展開する東京は15日、シリーズ A ラウンドで3.6億円を調達したと発表した。三菱地所(東証:8802)がこのラウンドのリードインベスターを務め、XTech Ventures や複数のエンジェル投資家が参加した。XTech Ventures は、東京が2019年7月に実施したプレシリーズ A ラウンドに続くフォローオンとなる。 東京は…

「東京エレビ GO」が設置されたエレベータロビー
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エレベーター向けのスマートディスプレイ/デジタルサイネージ事業を展開する東京は15日、シリーズ A ラウンドで3.6億円を調達したと発表した。三菱地所(東証:8802)がこのラウンドのリードインベスターを務め、XTech Ventures や複数のエンジェル投資家が参加した。XTech Ventures は、東京が2019年7月に実施したプレシリーズ A ラウンドに続くフォローオンとなる。

東京は、東京大学大学院で地球惑星科学を専攻、小惑星探査機「はやぶさ2」に関係する研究に携わっていた羅悠鴻(Youhong Luo)氏らによる創業。当時、通っていた大学の研究棟のエレベータに多くの貼り紙がしてあり、そこからエレベータ向けデジタルサイネージのビジネスに着手することになった。

当初は、個人オーナーや中小不動産会社が保有するような中小ビルを対象に「東京エレビ」を展開していた同社だが、この事業は昨年売却している。この事業を売却した理由について、Luo 氏は BRIDGE の取材に次のように語った。

サイネージに防犯カメラ機能をつけることで、ビルオーナーに金銭以外のメリットを訴求していたのが当初。50万円という金額はビルオーナーにとって負担は大きいと思ってそうしたが、大手のビル会社にとっては金額は大きな問題ではなく、結果として大きなビルにはつかなかった。

三菱地所とのジョイントベンチャーで展開する「エレシネマ」
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東京は、より市場の大きい方を狙うことにした。エレベーターのカゴの中ではなく、エレベータロビーにサイネージを展開する「東京エレビ GO」、そして、2019年末にはプロジェクタを使って昇降中のエレベータカゴ内に広告やコンテンツを投影する「エレシネマ」を三菱地所とジョイントベンチャー spacemotion を設立し展開することとなった。三菱地所は昨年発表した「長期経営計画2030」で、エレシネマをテクノロジーを使った新たなメディア事業と位置付けている。

また、オフィスビルを多数保有する REIT 法人なども、デジタルサイネージをオフィスビルにおける防災や BCP のツール、SDGs を意識した取り組みとして導入する事例が増えてきたという。東京ではこれまでに、東京エレビGO を東京都心部のオフィスビルを中心に合計600台以上設置しているが、今後、REIT 法人らと連携するなどして、今年12月末までに累計2,000台の設置を目指すとしている。

エレシネマも、東京エレビ GO も、そのオフィスに入っているテナントに営業したい、B 向けのサービスや SaaS の会社などが積極的に広告出稿してくれている。ビルではどういうテナントが入っているかがわかるので、広告を出稿すれば、どういう人に見てもらえるかがわかるからだ。今後は、屋外広告のアドアナティクスの仕組みづくりにも注力する。(Luo 氏)

東京が開発するアドアナリティクスのダッシュボード
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エレベータ広告が新聞広告の売上を抜いた中国では、この分野を扱うプラットフォームオペレータとして Focus Media(分衆伝媒)や Xinchao Media(新潮伝媒)が業績を伸ばしている。2018年、Alibaba(阿里巴巴)は Focus Media に14.3億米ドルを出資し6.62%の株式を取得、Baidu(百度)が Xianchao Media に21億人民元(約330億円)を出資した。オフィスビルのエレベータ広告で市場8割のシェアを持つ Tikin Media(梯影伝媒)は同じ年、シリーズ A+ ラウンドで1億2,000万人民元(約19億円)を調達している。

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寺久保拓摩氏、15億円規模のアフリカ新興国向け「UNCOVERED FUND」を組成——5社への出資も明らかに

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから 投資家の寺久保拓摩氏がサブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカ)のスタートアップを対象にしたファンド「Leapfrog Ventures」の組成を発表してから、早いもので、まもなく3年が経とうとしている。Leapfrog Ventures はその後、「Samurai Africa Fund」と名を変え、運営はサムラ…

中央が UNCOVERED FUND ジェネラルパートナーの寺久保拓摩氏
Image credit: Uncovered Fund

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

投資家の寺久保拓摩氏がサブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカ)のスタートアップを対象にしたファンド「Leapfrog Ventures」の組成を発表してから、早いもので、まもなく3年が経とうとしている。Leapfrog Ventures はその後、「Samurai Africa Fund」と名を変え、運営はサムライインキュベートに引き継がれた。

Leapfrog Ventures(あるいは、Samurai Africa Fund 1号として知られる)が投資活動を終えた後、寺久保氏は新ファンドの設立に動いていたようだ。起業家支援が行き届いていない地域や領域を意味する言葉を冠した「UNCOVERED FUND」は、総額15億円規模で昨年7月に組成された。LP には機関投資家のほか、本田圭佑氏が率いる KSK Angel Fund なども名を連ねているという。

同ファンドが出資するのはルワンダ、ウガンダ、ケニア、タンザニアなど東アフリカのほか、市場として大きいナイジェリアや南アフリカのアーリーステージスタートアップ。償還期限である2030年のアフリカを見据え、リテール、フィンテック、ヘルステック、物流、MaaS、アグリテック・フードテック、スマートシティ分野に注力する。1ショットのチケットサイズは5〜50万米ドル。

UNCOVERED FUND の投資先スタートアップ
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UNCOVERED FUND では既に5社へ出資していることも明らかにした。小売店舗のオフライン・オンライン販売デジタル化を支援する SkyGarden(ケニア)、偽薬判定可能なシステムを使って安全な医薬品の流通インフラを構築する Rxall(ナイジェリア)、東アフリカ諸国の EC ショップで後払決済を実現する LipaLater(ケニア)、西アフリカ版配車サービス Gozem(トーゴ)、デジタル版貨物フォワーダー兼通関手続業者の Send(ナイジェリア)は、先月 AfCFTA(アフリカ自由貿易圏協定)がスタートした中で成長が期待される。

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UNCOVERED FUND 以外にも、日本からアフリカのスタートアップへ投資を行うファンドは増えつつある。前出のサムライインキュベートのほか、Double Feather PartnersAsia Africa Investment & Consulting(AAIC)スタートアップの資金調達関連サービスで知られるケップルの神先孝裕氏らが GP を務める Kepple Africa Ventures などが投資活動を活発化させている。