Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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執筆記事

衛星データ活用農業支援SAgri、1億5,500万円をシード調達——耕作放棄地発見、農地の区画情報整理事業を加速

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衛星データを活用した農業支援プラットフォーム「SAgri(サグリ)」を提供するサグリは2日、直近のラウンドで1億5,500万円を調達したことを明らかにした。このラウンドはリアルテックファンドがリードインベスターを務め、みなとキャピタル、池田泉州キャピタル、広島ベンチャーキャピタル、ひょうご神戸スタートアップファンド(Bonds Investment Group、兵庫県、神戸市による運営)が参加した…

左から:CTO 田中貴氏、CEO 坪井俊輔氏、COO 益田周氏、リアルテックファンド代表取締役の丸幸弘氏
Image credit: SAgri

衛星データを活用した農業支援プラットフォーム「SAgri(サグリ)」を提供するサグリは2日、直近のラウンドで1億5,500万円を調達したことを明らかにした。このラウンドはリアルテックファンドがリードインベスターを務め、みなとキャピタル、池田泉州キャピタル、広島ベンチャーキャピタル、ひょうご神戸スタートアップファンド(Bonds Investment Group、兵庫県、神戸市による運営)が参加した。なお、ひょうご神戸スタートアップファンドからは、SAgri が初の投資となる。

SAgri にとっては、2019年1月の花房弘也氏(アラン・プロダクツ CEO)とグローカリンクからの調達(エンジェルラウンド)、2020年4月の調達(J-KISS による調達)に続くものだ。それぞれの調達金額は不明だが、今回調達を受けて資本金は1億7,400万円に達したことが明らかになっているため、資本金額と今回調達額の差が過去調達額に相当するとみられる。ラウンドステージは、シードラウンドと推定される。

2019年12月、バンコクで開催された「ROCK THAILAND」第2期デモデイでピッチする坪井氏
Image credit: Masaru Ikeda

SAgri は衛星データにより土壌の状況(腐食含有量)を、また、農家からはスマホアプリから農作物や品種などの情報を取得し、ブロックチェーンを用いてデータベース化。これらを組み合わせることで、収穫量につながる情報を的確に取得するほか、生物性・化学性・物理性の観点から農家に対して土壌改良の提案も行う。実際に取得した土壌データと腐食含有量のマクロデータを元に、農地を評価するスコアリングの仕組みを開発している。

これまでにも土壌の窒素含有量を実測する方法はあったが高コストだった。衛星を使うことで安価な計測を実現、小麦・米・サトウキビに特化して、畑の状況に応じた収穫予測をしたり、肥料の必要投入量などをアドバイスしたりすることが可能だ。インドではこれらの情報を現地金融機関に提供することで農家への融資の実行を促したり、日本では政府のプロジェクトとして耕作を再開できるかどうかの休耕田の状態を見極めるのに活用されたりしている。

「ACTABA」
Image credit: SAgri

同社では、このインドで培ったサービスを元に耕作放棄地を発見するアプリ「ACTABA」を開発。もともと行政の担当者などが現地を確認して情報を集約していたが、衛星から得られる波長データをもとに AI 解析による耕作放棄地かどうかの判定精度が9割以上にまで向上し、作業の効率化に繋がっている。国内では、つくば市、神戸市、名古屋市、加賀市など、年内に10以上の市町村で実証実験を始める予定だ。

そして SAgri のもう一つの経営の柱が、農地データの AI ポリゴン(区画情報整理)だ。日本では農水省が持つ農地図データに、いわば手作業で手を引いている状態であるが、将来、ドローンを使った肥料散布などを想定した場合、農地図データが不正確であると危険を伴うため自動操縦に使えない。同社では国内をはじめ、インドやタイなのさまざまな地域で農地を区画化し、営農型ビジネスの加速を図る。衛星データの活用で圃場の見える化(炭素・窒素含有量と pH)を図り、肥料散布の効率化を支援する。

同社はこれまでに、MUFG DIGITAL アクセラレータ第4期500 Kobe 第3期、在タイ日本大使館とタイ財閥最大手の CP グループによる越境オープンイノベーションイベント「Rock Thailand」の第2期に採択された。

徳島の山里にシリコンバレーを作る「神山まるごと高専」、賛同者が〝先輩〟として応援できるクラファンを開始

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徳島県神山町——典型的な過疎の町、しかも、目立った企業も無い山里の町が地方創生のロールモデルとして注目を集めるようになって、もう10年以上が経つだろうか。Sansan(東証:4443)を筆頭に IT ベンチャー(スタートアップよりも、IT ベンチャーが多かった気がする)がこの地にサテライトオフィスを構えるようになり、ワークライフバランスに富んだ環境を望んだ人たちが根付いて仕事するようになった。 神…

徳島県神山町——典型的な過疎の町、しかも、目立った企業も無い山里の町が地方創生のロールモデルとして注目を集めるようになって、もう10年以上が経つだろうか。Sansan(東証:4443)を筆頭に IT ベンチャー(スタートアップよりも、IT ベンチャーが多かった気がする)がこの地にサテライトオフィスを構えるようになり、ワークライフバランスに富んだ環境を望んだ人たちが根付いて仕事するようになった。

神山町でのサテライトオフィスの先陣を切ったのが Sansan だったのだが、その Sansan の寺田親弘氏が旗を振る形で、神山町をシリコンバレーにすべく高専を作ろうとの構想から、「神山まるごと高専設立準備財団」が発足。初代学校長候補に大蔵峰樹氏(ZOZO テクノロジーズ取締役)、クリエイティブディレクターに山川咲氏(CRAZY WEDDING 創業者)、カリキュラムディレクターに伊藤直樹氏(クリエイティブ集団 PARTY 代表、京都芸術大学教授)を迎えることが明らかになっている。

シリコンバレーの歴史はまさにスタンフォード大学とともにあり、この大学の卒業生からヒューレット・パッカードが生まれ、そこから VC の原点ともいうべき KPCB が生まれている。シリコンバレーが広がるベイエリアは、スタンフォード大学ができる前まで果樹園が広がる農業地帯だったというが、今やこの地域だけでアメリカ、中国、日本、ドイツに次ぐ GDP を稼ぎ出すまでの価値生産の現場と化した。神山まるごと高専は、徳島版シリコンバレーにおけるスタンフォード大学の位置付けになることを目指している。

神山まるごと高専のカリキュラム構想を説明する寺田親弘氏
Image credit: Masaru Ikeda

高専(高等専門学校)という教育システムは、小学・中学・高校・大学というステップで学んだ筆者にとっては疎いのだが、スタートアップコミュニティでも、高専出身の創業者に時々出くわすことがある。歴史を紐解いてみると、当初は「専科大学」と呼ぶつもりだったものが、大人の事情から「大学」の名前が外され「研究」が除外された(事実、英語では college と訳されている)。寺田氏は、神山まるごと高専で「在籍する5年間で、工業系大学と美大と MBA の内容をまとめて学んでもらえるような感じにしたい」と抱負を語った。

神山まるごと高専では、すでに教員の募集なども始めている。文部科学省が認可することが前提にはなるが、2023年4月には1学年あたり40名×5学年、教員数20名(非常勤講師を除く)の規模でスタートする予定だ。開校に当たっての資金のうち18億円を寄附に頼る予定で、これまでアカツキ(東証:3932)、さくらインターネット(東証:3778)、JMDC(東証:4483)、LITALICO(東証:7366)などが法人関係税が最大90%になる企業版ふるさと納税の仕組みを使って寄附を行った。

私立独立系の高専は、日本にはまだ存在しない初めての試み。開校資金は、民間の企業と個人からの寄附で成り立っている。すでに12億円超が集まっているものの、寮の運営費や入学してくる生徒への奨学金などを考えると、まだまだ足りない。(寺田氏)

先輩制度を説明する山川咲氏
Image credit: Masaru Ikeda

Sansan を創業し上場にまで導いた寺田氏は、業を興すという点で広義においては学校を立ち上げることも同じとしながらも、企業では預かった資金を事業を通じて得た利益から投資家に返せるということを説明できるものの、学校運営においては寄附に対して目に見える形でのリターンを提示できるわけではないため、資金を募る上での今までとは違った感覚を吐露していた。神山まるごと高専の開校に向けた資金は個人からも募る方針で、その場として今回 Makuake でのプロジェクトが開催されることとなった。

クラウドファンディングをしたかったというよりは、もっと多くの人とオープンにやっていきいたかった。大蔵さん(初代学校長候補)と話をしていて、初年度に15歳とかで入学してくる1年生には先輩(上の学年の生徒)が全くいない。この子達にとって、先輩の存在は非常に大きい。先輩が居ないなら、全国から先輩を集めようというコンセプトに行き着いた。(山川氏)

個人からの寄附においては、一律3万円の先輩コース(大学生は学割3,000円)と、5,000円〜300万円の純粋応援コースがある。リワードの内容詳細はプロジェクトのページに委ねるとして、特に先輩になることを前提とした先輩コースについては、最大でも上限が1000人までに設定されている。「顔の見える形で先輩に関わってもらうこと(寺田氏)」、あるいは、「開校したら実際に何度かは現地に足を運んで生徒と交流を持ってもらうこと(山川氏)」を考え、現実的な解として、この人数に落ち着いたという。

マクアケ(東証:4479)の共同創業者で取締役の坊垣佳奈氏によれば、マクアケとしても、神山まるごと高専が描くビジョンに深く共鳴する部分があり、今回のプロジェクトで集まった応援購入総額の3%相当額を、マクアケが追加で寄附する対応を取ることも明らかにした。当該プロジェクトの応援購入は本日11時30分から開始され、それから6時間が経過した17時30分現在、募集目標額3,000万円の3分の1を上回る金額がすでに集まっている。募集は8月29日までだが、このまま行けば、1週間を待たずに目標額に達しそうな勢いだ。

左から:寺田親弘氏(Sansan 創業者兼代表取締役社長)、山川咲氏(Crazy Wedding 創業者)、坊垣佳奈氏(マクアケの共同創業者兼取締役)
Image credit: Masaru Ikeda

Googleマイビジネス一元管理クラウド「カンリー」運営、4.6億円をシリーズA調達——累計調達額は5.3億円に

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チェーン展開する飲食店や小売店を対象とした、Google マイビジネスや SNS アカウントの一元管理サービス「カンリー」を提供するカンリー(旧社名 Leretto)は1日、シリーズ A ラウンドで約4.6億円を調達したと明らかにした。このラウンドに参加したのは、ジャフコグループ(東証:8595)、DEEPCORE、双日(東証:2768)、みずほキャピタル、三菱 UFJ キャピタル、UB Vent…

Image credit: Canly

チェーン展開する飲食店や小売店を対象とした、Google マイビジネスや SNS アカウントの一元管理サービス「カンリー」を提供するカンリー(旧社名 Leretto)は1日、シリーズ A ラウンドで約4.6億円を調達したと明らかにした。このラウンドに参加したのは、ジャフコグループ(東証:8595)、DEEPCORE、双日(東証:2768)、みずほキャピタル、三菱 UFJ キャピタル、UB Ventures、ベクトル(東証:6058)。カンリーにとっては、昨年7月に実施したプレシリーズ A ラウンドに続くものとなる。今回ラウンドを受けての累計調達額は約5.3億円。

カンリーは2018年、共に早稲田大学出身で就活で出会った秋山祐太朗氏と辰巳衛氏により設立(現在は共に代表取締役)。当初は大企業の宴会需要に特化した幹事代行サービスを展開していたが、その後、Google マイビジネスの表示順位を向上させる MEO(Map Engine Optimization)の分野に進出。「MEO クラウド」の名前で飲食店や小売店などにサービスを提供し始めた。さらにこれを、店舗数の多いチェーン運営会社などがクラウド上で一元管理できるようにしたのがカンリーだ。

昨年7月に正式ローンチ後、有料契約による導入店舗数合計は1万店を突破した。新機能として、カンリーから店舗の公式ホームページの連携機能が追加され、カンリー上から店舗情報を更新することで、Googleマイビジネス、SNS、公式ホームページの情報を一括で更新することが可能になったという。同社では、今回調達した資金を使って、プロダクト開発・運用_販売体制を強化し、海外進出、AI を用いた新機能開発などに向けた体制整備を図る。

カンリーは、「東急アクセラレートプログラム(TAP)」2020年度に採択されデモデイで SOIL 賞を獲得した。東急とは、東急百貨店の国内主要店舗にカンリーを導入し、改ざん防止機能などを用いた情報整備や、一括配信・管理機能による情報発信、投稿やクチコミ分析などに取り組んだ。今後、カンリーの機能をさらに活用し、東急百貨店に関するクチコミへの返信、主要媒体との連携強化、SNS アカウント一括管理により、顧客との双方向のコミュニケーションを強化する計画が明らかになっている。

ユーザフィードバックを一元管理、求められるプロダクトづくりを支援するSaaS「Flyle」が正式ローンチ——UBVらから8,100万円を調達

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プロダクトマネジメントクラウド「Flyle(フライル)」を開発・運営するフライルは1日、シードラウンドで8,100万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、UB Ventures と、竹内真氏(ビジョナル取締役  CTO)、南壮一郎氏(ビジョナル 代表取締役社長)、砂川大氏(スマートラウンド代表取締役 CEO)、冨田和成氏(ZUU 代表取締役)、山代真啓氏(Growth Camp 共同…

前列左から:COO 相羽輝氏、CEO 財部優一氏、CTO 荒井利晃氏。
後列左から:UB Ventures マネージングパートナー 岩澤脩氏、Flyle の皆さん3人、UB Ventures プリンシパル 大鹿琢也氏。
Image credit: Flyle

プロダクトマネジメントクラウド「Flyle(フライル)」を開発・運営するフライルは1日、シードラウンドで8,100万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、UB Ventures と、竹内真氏(ビジョナル取締役  CTO)、南壮一郎氏(ビジョナル 代表取締役社長)、砂川大氏(スマートラウンド代表取締役 CEO)、冨田和成氏(ZUU 代表取締役)、山代真啓氏(Growth Camp 共同代表)、佐久間衡氏(ユーザベース代表取締役 Co-CEO)、坂本大典氏(ニューズピックス 代表取締役 CEO)と匿名個人投資家1名。

フライルは2020年、ZUU の執行役員だった財部優一氏(フライル CEO)、ビズリーチ(ビジョナル)出身の荒井利晃氏(フライル CTO)、ユーザベース出身の相羽輝氏(フライル COO) らにより設立。創業メンバーの3人は、それぞれ出身スタートアップで新規事業の立ち上げやプロダクトオーナーを経験しており、プロダクト作りに関わる人々を支援したい、との思いから Flyle の開発に至ったという。キーワードは、「なぜそのプロダクトを作るのか、何を作るのか」という点。

Image credit: Flyle

財部氏によれば、ニーズのあるプロダクトを作るのは難しく、苦労している企業が非常に多いのだという。情報源が増える一方で重要な情報が見えづらくなっている昨今、本当にニーズのあるプロダクトを作るのは難しいし、その判断を社内の特定の人に頼る発想では人材不足から無理が生じやすい。作るプロダクトが決まってから開発工程を管理する SaaS は既に数多く存在するが、その手前のフェーズまたは上流工程の「Why, What」の部分を支援する SaaS がこれまでは無かった。

プロダクト開発においては、ユーザからの声が大きな手がかりになる。既にプロダクトが存在する場合の継続的な機能改善、プロダクト開発に着手する前のユーザインタビューもそうだ。これらフィードバックを整理し、優先順位をつけたり、取るべきアクションを決めたりするのにはそれなりの時間がかかるが、Flyle を使うことで、フィードバックの集約工数を従来の10分の1にまで削減できた、というデベロッパもいるという。自然言語処理(NLP)などで、フィードバックの自動分類なども可能になるとさらに便利だ。

Image credit: Flyle

コロナ禍においては、プロダクトの開発チームも分散して仕事していたり、リモートワークしていたりと、物理的に同じ環境にいないことも増えていて、課題やアクションの整理が難しくなっている。そのような環境変化、また、Flyle が提供できる機能の、前と後ろのフェーズを提供可能な他の SaaS が増えてきたことも追い風となり、Flyle の開発を決めた。Flyle の開発にはもちろん Flyle が使われていて、その他、ヘビーユーザでは開発定例会議や意思決定プロセスに深く導入されているケースもあるそうだ。

アパレル小売店がリスクフリーで仕入できる「homula」運営、1億円をシード調達——ニッセイC、HIRAC FUNDらから

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アパレル小売店・ブランド向けのオンラインマーケットプレイス「homula」を運営する homula は31日、シードラウンドで約1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドには、ニッセイ・キャピタルと HIRAC FUND が参加した。なお、調達金額にはデットが含まれる。homula は、ニッセイ・キャピタルが運営するアクセラレーションプログラム「50M」の第3期に採択されており、今回の調達は…

Image credit: Homula

アパレル小売店・ブランド向けのオンラインマーケットプレイス「homula」を運営する homula は31日、シードラウンドで約1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドには、ニッセイ・キャピタルと HIRAC FUND が参加した。なお、調達金額にはデットが含まれる。homula は、ニッセイ・キャピタルが運営するアクセラレーションプログラム「50M」の第3期に採択されており、今回の調達はその結果を受けてのものと推定される。

homula は2019年、筑波大学大学院を修了し、以前はバークレイズ証券で金融商品の開発に携わっていた福地峻氏により設立(設立当時の社名は SUSQ)。小売店舗、特に、アパレル店舗のバイヤーがブランドを探して商品を仕入れることができるマーケットプレイスを運営している。コロナ禍で展示会に代表される顧客の開拓チャネルが減っているブランドにとっては、新たなバイヤーに出会える機会が提供されることになる。

委託販売ではない売り切りの場合、初回取引は即金でやりとりすることが一般的だ。ブランドにとって販売した商品の掛け売りリスクは軽減されるが、一方で、仕入れた方の店舗にとっては、初めてのブランドの商品だけに「当たるも八卦、当たらぬも八卦」という心配はつきまとう。したがって、売れ筋や既存取引のあるブランドの商品は仕入れやすいが、新規参入やニッチブランドは取引しにくい傾向にある。homula では売れなかったものを店舗から引き取る保証をつけることで、店舗に安心な仕入をコミットする。

福地氏の前職の経験からも想像がつくように、homula が提供するのはある種のフィンテックだ。福地氏によれば、アパレル業界は数ある小売の中でも仕入れてから売れるまでのタイムスパン、すなわち、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)が長い。その上、中小事業者が多く、店舗を構えているために比較的多額の資金が必要にもかかわらず、先進的な金融ソリューションからは取り残されているという。homula では AI を使った評価やファクタリングの活用などで〝在庫リスクの肩代わり〟を行う。

この分野のスタートアップを見てみると、アメリカでは Square 従業員らが2017年に立ち上げた Faire が創業から2年でユニコーンクラブ入りするなど驚異的な成長を見せている。日本では、スペースエンジンが D2C やオンラインブランドに特化した卸入れサイト「orosy(オロシー)」を昨年ローンチ、「STORES」「BASE」「Shopify」「カラーミーといった個店向け EC プラットフォームと連携し業績を伸ばしているが、homula が主にリアル店舗をターゲットとしている点で差別化が図れているかもしれない。

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AIビジネスマッチング「Yenta(イェンタ)」、人間関係を科学する「特性診断サーベイ機能」をリリース

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アトラエ(東証:6194)は30日、同社が提供する人工知能を用いたビジネスマッチングアプリ「Yenta(イェンタ)の大幅アップデートを行った。30日公開されたバージョン6系では、新たに「特性診断サーベイ機能」が導入された。これは、MBTI、ソシオニクス、BigFive といった社会心理学に基づいた科学メソッドを元にして、ユーザ自らの性格理解を支援するというものだ。ユーザは自身の診断結果を公開するこ…

Image credit: Atrae

アトラエ(東証:6194)は30日、同社が提供する人工知能を用いたビジネスマッチングアプリ「Yenta(イェンタ)の大幅アップデートを行った。30日公開されたバージョン6系では、新たに「特性診断サーベイ機能」が導入された。これは、MBTI、ソシオニクス、BigFive といった社会心理学に基づいた科学メソッドを元にして、ユーザ自らの性格理解を支援するというものだ。ユーザは自身の診断結果を公開することで、他の Yenta ユーザの結果も閲覧できるようになり、より相性の良い人との有意義なコミュニケーションが促進される。

Yenta は、毎日正午にビックデータ解析を元にした「10人のビジネスパーソンのプロフィール」が届き、「興味がある」と選択した人同士がマッチングできるサービス。マッチングが成立した相手とは、アプリ上でメッセージをやり取りすることができ、ランチタイムなどの時間を調整し、直接、情報交換などの交流ができる。昨年2月にアップデートされたバージョン3系からは「タイムライン投稿」機能が実装され、5月にアップデートされたバージョン4系からは「テレポート機能」で地域を超えた出会いが可能になった。リリースから5年を経て、累計マッチング数が400万件を超えている(ユーザ数は非公開)。

特性診断サーベイ機能を活用することで、ユーザは「メンターとして相性がいい人」「ブレスト(ブレインストーミング)パートナーに最適な人」「起業するならこのタイプとの人と相性がいい」など、関係性を見ながらマッチングや出会いを増やすことができる。また、自身の SNS の友達の中から人を選んで、その人と似た特性を持った Yenta ユーザを検索したり、マッチングしたりすることができるようになるため、例えば、同じ会社で活躍しているエンジニアに似てる人といったような探し方も可能となる。

Image credit: Atrae

Yenta の開発を統括するアトラエ取締役の岡利幸氏は、BRIDGE の取材に対し次のようにコメントしている。

Yentaとしては、どんな人がどんな仕事をしていて、Yenta 上でどんな行動特性を持っているのか? 誰と誰が会う満足度が高いのか? どんな会社にどんなタイプの人が多いのか? 年代によって傾向は違うのか? など、人の特性と人の集合体である組織の傾向の分析などを進めていき、Yenta のマッチング技術やUXをさらに進化させていく狙いがあります。

ポジティブコンピューティングとか、ウェルビーイングとか、幸福経営などの言葉がビジネス界にも出てくるようになっている昨今、ビジネス領域のマッチングアプリとして、特性とか関係性とかコミュニケーションなどの科学を取り入れて、人の成長、ビジネスの成長、出会いや対話のきっかけをデザインしていくことで、社会全体を活性化していけたらと思っています。

なお、今回のバージョンアップとあわせ、アトラエは Yenta の個人向け料金プランを一部刷新することも明らかにした。これまでは、マッチングした相手にはいつまでもメッセージが送れる仕様だったが、アップデート後は、マッチングしてから2週間はメッセージが送れるが、それ以上メッセージが往復していない状態が続くとメッセージが送れなくなり、有料プランになると、誰でも送れるようになる仕様に変更する。

人には特性があって、その特性に合った人、情報、モノなどをマッチングさせていけると、人やビジネスの成長に大きな影響を与えられるでしょう。ダイバーシティ、組織の作り方、人間関係、社会関係資本など、これからの社会や組織のあり方について、人のつながりや対話のデザインなどが注目を集めてきている今の時代。人と人との関係性を科学するアプローチは、注目していい取り組みの一つだと思っています。(岡氏)

韓国OTAの「Yanolja(야놀자)」、ソフトバンクVFらから2,000億円調達か——実現すれば、時価総額1兆円規模

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<ピックアップ> Masayoshi Son-led SoftBank to invest $2 bn in Yanolja 韓国の OTA(オンライン旅行代理店)スタートアップである Yanolja(야놀자)が、直近の調達ラウンドで2,000億円相当を調達中であると、Korea Economic Daily が伝えた。メディア各社の情報を総合すると、この調達のうち、半分にあたる1,000億円相当…

Image credit: Yanolja

<ピックアップ> Masayoshi Son-led SoftBank to invest $2 bn in Yanolja

韓国の OTA(オンライン旅行代理店)スタートアップである Yanolja(야놀자)が、直近の調達ラウンドで2,000億円相当を調達中であると、Korea Economic Daily が伝えた。メディア各社の情報を総合すると、この調達のうち、半分にあたる1,000億円相当をソフトバンク・ビジョン・ファンド(SBVF)が引き受け、調達後の Yanolja の時価総額は1兆円規模となる見込みだ。なお、この報道について、Yanolja は事実無根との立場を取り否定している。

SBVF を運営するソフトバンク会長の孫正義氏は、先々週の CNBC とのインタビューで Airbnb に出資していなかったとの後悔の念を述べている。SBVF はインド発のホテルスタートアップ Oyo にも出資しているが、新型コロナウイルス感染拡大の影響や業務上の不手際などから事業不調が続いており、今年3月には日本国内の不動産賃貸事業から撤退することが明らかになった。一方、Yanolja は東南アジアの ZEN Rooms や韓国のゲストハウスポータル運営 Jienem(지냄)に出資するなど、市場シェア獲得に積極的だ。

SBVF は Yanlja に出資を決めれば、EC 大手の Coupang(쿠팡)、動画ローカライズの Iyuno Media Group(아이유노미디어그룹)、AI チューターの Riiid(뤼이드)に続いて、韓国スタートアップへの投資としては4番目となる。Coupang は今年3月に NY 証取に上場、取引初日に株価は41%急騰し時価総額は一時1,000億米ドルを超えた。

中国ユニコーンの IPO トレンドに似て(一方、アメリカ政府の規制のため、中国のテック大手は上海証取の Star Market(科創板)や香港証取への上場に切り替えるところも出てきた)、Coupang の NY 証取上場を契機に、韓国スタートアップも国内に KOSDAQ 市場がありながら、大型の資金調達が狙えるアメリカでの上場を目指す傾向が出てきた。韓国の生鮮食品 EC 大手 Market Kurly(마켓컬리)も上場先を KOSDAQ から NASDAQ に変えることを発表した。Yanolja もこの流れに続くとみられる。

via The Korea Economic Daily

ダイエットアプリ「Noom」、IPOを前にシリーズFで5.4億米ドルを調達——時価総額は37億米ドルに

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<ピックアップ> Weight-Loss App Noom Gets $540 Million in Silver Lake-Led Round ヘルスケアアプリ「Noom コーチ」を提供する Noom は今週、シリーズ F ラウンドで5億4,000万米ドルを調達したと発表した。このラウンドは Silver Lake がリードし、Oak HC/FT、Temasek、Novo Holdings、Se…

Noom 創業者の Saeju Jeong 氏と Artem Petakov 氏
Photographer: Bob Scott

<ピックアップ> Weight-Loss App Noom Gets $540 Million in Silver Lake-Led Round

ヘルスケアアプリ「Noom コーチ」を提供する Noom は今週、シリーズ F ラウンドで5億4,000万米ドルを調達したと発表した。このラウンドは Silver Lake がリードし、Oak HC/FT、Temasek、Novo Holdings、Sequoia Capital、RRE、Samsung Ventures などが参加した。今回の調達を受けて、Noom の累積調達額は6億5,730万米ドルに達した。Noom は昨年、シリーズ E ラウンドで5,800万米ドルを調達した時点でユニコーンクラブ入りしており、今回ラウンドで時価総額は37億米ドルに達した。

Noom は食事や運動などの日常習慣を変化させることにより、健康的な生活を送れるようにすることを狙ったプラットフォーム。その結果として減量が可能であることから、「ダイエットアプリ」として親しまれている。特にアメリカでは、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンの影響などから、アメリカ人の61%が体重が増加したと回答し、実際に成人平均で約7キロ(15ポンド)体重が増加した。このことからダイエットアプリに対する需要が急増、Noom は2020年、前年比2倍の4億米ドルの収益を計上した。

Seju Jeong 氏によって設立された Noom は今回の調達を受け、今回ラウンドの投資家である Silver Lake のマネージングディレクター Adam Karol 氏と、TaskRabbit 元 CEO の Stacy Brown-Philpot 氏の2名を役員として迎え入れたことを発表した。Noom アプリはこれまでに100ヵ国で4,500万回ダウンロードされている。Bloomberg によれば、同社は今年末や来年頭に IPO を計画しており、その際の時価総額は100億米ドルに上ると見られる。

<これまでの軌跡>

via Bloomberg

元はてな副社長の毛利氏と元SYN代表の金野氏、トップ経営者が上場経験を語り継ぐ講義プラットフォームをローンチ

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上場に関する本当の知見は、上場経験者しか体得できないと言われる。書籍や座学ではなかなか得られない貴重な体験だ。成長著しいスタートアップの経営者は、数年後の上場が射程に入り出した頃から監査法人、証券会社、銀行、投資銀行の担当者らと頻繁な面会を重ねることになるが、何度も上場を目の当たりにしてきたプロである担当者らと、これから上場を迎えるアマチュアの経営者の間には、圧倒的な情報の非対称性がある。口にする…

上場に関する本当の知見は、上場経験者しか体得できないと言われる。書籍や座学ではなかなか得られない貴重な体験だ。成長著しいスタートアップの経営者は、数年後の上場が射程に入り出した頃から監査法人、証券会社、銀行、投資銀行の担当者らと頻繁な面会を重ねることになるが、何度も上場を目の当たりにしてきたプロである担当者らと、これから上場を迎えるアマチュアの経営者の間には、圧倒的な情報の非対称性がある。口にすることが許されるかどうかはさておき、「あの時、こうしておけば…」という思いのある上場経験者もいるはずだ。

そんな上場経験者ならではの知見——ときとして、それは後悔を含むかもしれない——は、仮にその人が、シリアルアントレプレナーらしく、別のスタートアップを再び起業し、その会社を上場に導くようなことがあれば、ふんだんに生かされるだろうが、上場したばかりの会社の代表経営者がまもなく全く新しい別のスタートアップを起業することは、株主に対する経営責任を考えると現実的ではない。

毛利裕二氏

かくして、上場経験者は自分が得た知見を、後進の人々に役立ててほしい、と考えるのは自然な流れかもしれない。

はてな(東証:3930)の元副社長で現在は非常勤取締役を務める毛利裕二氏と、今から約30年前の学生起業ブームの立役者の一人で、「大阪にリョーマ、東京に SYN あり」と言われた頃の SYN の代表を務めた金野索一氏が、JEEPS(Japan Entrepreneur Education Platform & Society)という任意組織を立ち上げ、6月下旬から上場経営者によるオンライン講義を始めることになった。

6月に KLab 取締役会長(3656)の真田哲弥氏、7月に弁護士ドットコム(東証:6027)元代表取締役会長の元榮太一郎氏、8月にスペースマーケット代表取締役社長の重松大輔氏(東証:4487)など、月に1〜2回のペースで約30名の登壇が予定されている。

Zoom か、場合によっては Clubhouse でやろうと思っている。起業を考えている人でも、学生でも、主婦でも、参加者の条件は問わない。前半は講義、後半は参加者からの質疑への応答というのを一つのフォーマットにして、事前に web フォームから質問内容を投稿してもらえるようにもしたい。メルマガなども準備中だ。(毛利氏)

金野索一氏

参加者から料金を取るようなことは今のところ考えていないそうだ。参加者の中に将来有望な起業家がいて、講演に登壇した上場経験者が関心を持てば、エンジェルとして投資してくれる可能性だってある。

上場経験者と現役バリバリの若手起業家の間には、世代間のギャップもあれば、事業に対する考え方やアプローチの違いもあるだろう。

世代的には上であることが多い上場経験者らにとってももまた、若手起業家が何を考えているかを知ることは、刺激になるし学びになるだろう、と、金野氏は言う。

IPO には、自分の本業とは別の、IPO のための経験やノウハウが必要になる。上場経験を次の人に継承していければ、より多くの IPO やイグジットケースを生み出すことにつながるだろう。ハッピーなイグジットが増えることで、「私も起業家になりたい、上場企業を築きたい」という人が増えることに繋がるので、社会的にも意義がある。こういったことに最もノウハウがあり経験値の高いのはこの人たち(上場経験者)なので、次の起業家にそれらを継承していくプラットフォームは意義があると思う。(金野氏)

「アントレプレナーマスター」と題された講師陣には、誰もが知る有名上場企業の経営者らが名を連ねる。毛利氏や金野氏が持つ人脈の賜物だ。イグジット全般もテーマとして扱う観点から、創業したスタートアップをバイアウトした経験を持つシリアルアントレプレナーとして、cubrick 代表取締役社長の松村映子氏(創業したバスケットが2015年ストライプインターナショナルにより買収)、LABOT 代表取締役 CEO の鶴田浩之氏(Labit 創業後「すごい時間割」をジョブダイレクトに事業譲渡、ゲームエイトを設立しグノシーに売却など)らも講師に招かれる予定だ。

先達(=上場経営者)がいることで、若手起業家や起業家予備軍のハートに、エンジンのスパークプラグみたいなものがあって、そこにパチッとスイッチを入れることができればいいな、と思っている。これまでは、出資とかを前提にしたピッチをするようなプラットフォームは数多くあったと思うが、JEEPS は投資やリターンなどをはっきり目的にしたものではない。実際どのようなものになるかは、やってみないとわからない。(毛利氏)

講師らの経験談の中には、おそらく公にはしづらい本音や失敗談も含まれると思うので、BRIDGE がそれらを紙面で取り上げることは難しいと思われるが、読者におかれては、ぜひ自らの目や耳で千載一遇のチャンスを手に入れられることをお勧めする。

OISTとBNV、沖縄にディープテックハブを開設——今後2年間で、世界のスタートアップに5億円出資へ

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから 沖縄科学技術大学院大学(OIST)と Beyond Next Ventures は25日、ディープテックスタートアップへの投資と沖縄のイノベーションエコシステムの構築を目的としたパートナーシップを締結したと発表した。このパートナーシップを受けて、OIST と BNV は、OIST-BNV イノベーションハブ「OBI-H…

沖縄科学技術大学院大学(OIST)
Image credit: OIST

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

沖縄科学技術大学院大学(OIST)Beyond Next Ventures は25日、ディープテックスタートアップへの投資と沖縄のイノベーションエコシステムの構築を目的としたパートナーシップを締結したと発表した。このパートナーシップを受けて、OIST と BNV は、OIST-BNV イノベーションハブ「OBI-Hub」を開設する。このプラットフォームでは、世界から集まるディープテックスタートアップに対し、イノベーションを社会実装するための資本投資や必要なサービスの提供を行う。

OISTは、技術、産業界の専門家ネットワーク、キャンパス内のインキュベーション施設を提供する。BNV は資金およびスタートアップの創業・拡大に関するハンズオンサポートを提供する。海外からのスタートアップに対しては、日本への進出がスムーズに行えるよう支援を行う。OBI-Hub への参加申込は、6月1日からオンラインで受付を開始する。OBI-Hub では参加スタートアップに対し、今後2年間で5億円をメドに投資する計画だ。

BNV は、2016年設立されたライフサイエンスや技術シーズに特化したベンチャーキャピタル。アクセラレーションプログラム「BRAVE」のほか、東京・日本橋でシェアラボ「Beyond BioLAB TOKYO」を運営している。OIST は、2011年に設立された世界中から研究者を集める大学院大学。学内でアクセラレータ・インキュベータ「iSquare(アイスクエア)」を運営するほか、現地大企業が運営する「Okinawa Startup Program」とも連携。先月シード調達に成功した EF POLYMER には BNV も出資していた。