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Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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インテリア実例写真共有の「RoomClip」、シリーズDラウンドで10億円を資金調達

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インテリアの実例写真共有サービス「RoomClip(ルームクリップ)」を運営するルームクリップは2日、シリーズ D ラウンドで10億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、日本郵政キャピタル、NTT ドコモ・ベンチャーズ、マーキュリアインベストメント、岡三キャピタルパートナーズ、博報堂 DY ベンチャーズ、プラス。なお、調達金額には、三井住友銀行、三菱 UFJ 銀行、りそな銀行などから…

インテリアの実例写真共有サービス「RoomClip(ルームクリップ)」を運営するルームクリップは2日、シリーズ D ラウンドで10億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、日本郵政キャピタル、NTT ドコモ・ベンチャーズ、マーキュリアインベストメント、岡三キャピタルパートナーズ、博報堂 DY ベンチャーズ、プラス。なお、調達金額には、三井住友銀行、三菱 UFJ 銀行、りそな銀行などからデットファイナンスが含まれる。

ルームクリップにとっては、2013年9月に実施した1億円2015年11月に実施した約2億円2017年7月に実施した約8億円の調達に続くもの。本ラウンドを受けて、同社の累積調達額は約22億円に達した。

RoomClip は、ユーザがさまざまな生活スタイルや DIY、収納アイデアなど、住まいと暮らしにまつわる情報を相互に共有できるコミュニティサービス。2020年5月現在、月間アクティブユーザ数は830万人に達し、投稿された写真枚数は累計400万枚を突破した。ルームクリップ代表取締役の高重正彦氏によれば、20代から40代の女性がユーザのボリュームゾーンで、特に30代の女性にいついては、国内人口の約3割が RoomClip のユーザだという。

インテリア、住宅設備メーカー、家電メーカー、日用品メーカー、ホームセンターなどへの送客やデータの提供でマネタイズに成功。生活関連分野の 2C(消費者向け)サービスとしては「ポジションが取れた状態(高重氏)」で、ユーザも順調にグロースしているという。収益面ではもうまもなく黒字化しそうなところまで来ているが、今回の調達は「もう1段階アクセルを踏むためのもの(高重氏)」ということだ。

コーディネート EC、サブスク EC などが増えているが、家具やファッション領域は、メーカーにとってユーザとの接点を取るのがものすごく大変。これまで、ユーザへのマーケティングはメーカーなどが個別に行っていたが、今後は、RoomClip を通じて、さまざまな施策をプッラットフォームでできるようにする考え。(高重氏)

今回のラウンドに参加した投資家のうち、マーキュリアインベストメントとプラスとは純投資以外のオープンイノベーションの文脈を伴うが、本ラウンドを受けての具体的な施策については、近日中に後日説明会の場で発表するとのことだった。資金調達の使途として、現時点で公表されている内容は次のとおりだ(発表のまま)。

  1. 住生活産業関連企業様が、より RoomClip ユーザーとの繋がりと、RoomClip 上でのビジネス機会を築くためのクラウドサービスの開発
  2. 膨大な実例写真やユーザーの声など、RoomClip の資産を活用した、新たな購買体験を提供する EC 事業の立ち上げ
  3. 現在主力であるマーケティングソリューション事業における、新規顧客獲得を目的としたマーケティング活動の強化
  4. 上記の達成、ならびに企業としての更なる成⻑のための積極的な人材採用

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛による影響から、ルームクリップでは 月間ユーザ数と EC 提携している外部 EC サイト への送客数が、前年比200%超えを記録したという。

家にいる時間が増えたことで、部屋の中の整理収納をちゃんとしようとか、DIY しようとかする人が増えて、RoomClip を利用する人が増えた。在宅ワークのために部屋の模様替えをしたり、ジムに行けない代わりにマシンを用意したり、全てを家の中でやらざるを得ない状況。その事例を見に訪れる人が増えた。(高重氏)

ルームクリップの今後の戦略については、前出の説明会の取材で改めて明らかにしたい。

クラウド型SOP基盤「Teachme Biz」運営、ドコモアジアと提携しシンガポールやAPACに進出

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから ビジュアル SOP(標準作業手順書)マネジメントプラットフォーム「Teachme Biz(日本サイト / グローバルサイト)」を運営するスタディストは1日、NTT ドコモアジアと提携し、シンガポールとアジア太平洋地域で Teachme Biz の販売を開始すると発表した。新型コロナウイルス対策で、シンガポールでは Ci…

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

ビジュアル SOP(標準作業手順書)マネジメントプラットフォーム「Teachme Biz(日本サイトグローバルサイト)」を運営するスタディストは1日、NTT ドコモアジアと提携し、シンガポールとアジア太平洋地域で Teachme Biz の販売を開始すると発表した。新型コロナウイルス対策で、シンガポールでは Circuit Breaker 発動により在宅での勤務や学習が義務付けられる中、Teachme Biz により、企業の社員教育のデジタル化や e ラーニングを支援する。

スタディストは2010年3月に創業。世の中の職業のうち、資格・経験や感覚的なノウハウに依存しない職業が約9割との調査結果をもとに、これらが何らかの形で「仕組み化」可能との判断から Teachme Biz の開発に着手、2012年末2013年9月に正式ローンチした。同社は昨年4月に実施したシリーズ C ラウンドを含め累積で合計13億円超を調達しており、マーケティングの強化、東南アジアでの拡販強化、各種 SaaS との API 連携、SOP プラットフォームへの進化に向けた開発に注力するとしていた。

スタディストは既にタイに進出しており、バンコクにあるタイ現法ではタイ国内の企業への拡販を行っているほか、現地 IT サービスプロバイダ TK International提携しマレーシアなどでも販売を始めている。今回の NTT ドコモアジアとの提携により、シンガポールやアジア太平洋地域においても、各国の企業が抱える人材育成の課題を解決するため Teachme Biz の展開を加速する計画だ。

スタディストの導入社数は、日本国内で2,600社(2020年2月現在)。ASEAN 諸国では本日現在66社が導入しており、2021年2月末までに100社への導入を目指すとしている。

未来予報、大麻由来成分CBD関連ビジネスの日本向けレポートを公開

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東京に拠点を置く未来予報(英名:VISIONGRAPH)は1日、大麻由来成分 CBD(カンナビジオール)関連ビジネスの日本向けレポートを公開した。想定読者は、CBD ビジネスに関心のある起業家や事業者など。「不安社会サバイバルガイド」と第一弾として公開され、同社の Web サイトから無料でダウンロードできる。 日本でも、7月には CBD ウェルネスブランド「mellow」を展開する Linkshi…

Image credit: Tyson Anderson / 123RF

東京に拠点を置く未来予報(英名:VISIONGRAPH)は1日、大麻由来成分 CBD(カンナビジオール)関連ビジネスの日本向けレポートを公開した。想定読者は、CBD ビジネスに関心のある起業家や事業者など。「不安社会サバイバルガイド」と第一弾として公開され、同社の Web サイトから無料でダウンロードできる。

日本でも、7月には CBD ウェルネスブランド「mellow」を展開する Linkship が資金調達を発表するなど、CBD 関連ビジネスが立ち上がりつつある。新型コロナウイルスなどの影響から精神面での不具合を訴える人は増えており、マインドフルネスやウェルネスを目的とした CBD 商品の需要は世界的にも高まりつつある。

未来予報は2012年から SXSW の Official Consultants、2019年からは Japan Office(日本事務局)を務めている。SXSW で話題となった新たなビジネスやテクノロジーは、その2〜3年後に日本でも必ず話題になるとの知見から、同社では今後、CBD 商品や当該分野のスタートアップが大きなトレンドになると予測した。

CBD は日本でも合法の成分だが、大麻由来の成分であるという理由から抵抗感を感じる人が多いため、消費者への認知向上や啓蒙活動が重要になる。また、事業者は日本の規制を正しく理解した上で、合法かつ安全な製品を世に送り出す必要がある。未来予報ではこのレポートを通じて CBD に対する消費者・事業者双方のリテラシーを高め、事業領域の開拓に寄与したいとしている。

Image credit: Dmitry Tishchenko / 123RF

レポートでは CBD 解説や健康効果、CBD ビジネスの可能性への言及に加え、人気の商品や効果的な摂取方法について医師へのインタビューと共に紹介。また、独自の Web 調査によって、2020年現在の日本に住む人々の CBD に対する意識調査も行い、その結果も取りまとめられている。

未来予報では、当該レポートの公開と合わせ、CBD ビジネスを解説するウェビナーを9月30日に開催予定。参加希望者はここから無料でエントリできる。

未来予報は大手 CM プロダクションの AOI Pro. のデジタル部門出身の曽我浩太郎氏と宮川麻衣子氏が設立したスタートアップ。日本での SXSW のブランディングやエヴァンジェリスト活動を行いつつ、未来をつくる人の思想(ビジョン)を視覚化した「未来予報」の発行のほか、ハードウェア製品のプロデュースなども行っている。

同社では今回のレポートの制作過程で、国内の CBD 企業や医師らとの関係を強化できたと説明しており、このレポートを今後の CBD 関連ビジネスへの参入や各社を巻き込んだコミュニティ形成への布石としたい考えだ。

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P2P送金アプリ「Toss(토스)」を運営する韓国ユニコーンViva Republica、1億7,300万米ドルを調達——時価総額は26億米ドルに

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<ピックアップ> S Korean fintech Viva Republica raises $173m from Sequoia Capital China, others P2P 決済サービス「Toss(토스)」を運営する Viva Republica は28日、Sequoia Capital China(紅杉資本)など既存投資家がリードしたラウンドで1億7,300万ドルを調達したと発表した…

「Toss(토스)」
Image credit: Viva Republica

<ピックアップ> S Korean fintech Viva Republica raises $173m from Sequoia Capital China, others

P2P 決済サービス「Toss(토스)」を運営する Viva Republica は28日、Sequoia Capital China(紅杉資本)など既存投資家がリードしたラウンドで1億7,300万ドルを調達したと発表した。同社のプレスリリースによれば、このラウンドに参加した他の既存投資家には、Aspex Management、Kleiner Perkins Digital Growth Fund、Altos Ventures、Goodwater Capital、Greyhound Capital などがいる。

ブルームバーグは今年5月、Viva Republica が約2億米ドルの資金調達を目指していると報じていた。同社の累積調達金額は5億3,000万米ドルで、今回のラウンドを受けた同社の時価総額は26億米ドルに達した。調達した資金は、ユーザエンゲージメントデータを利用して、銀行や証券・保険会社からカスタマイズされた商品をレコメンドする「ワンストップ金融アプリ」の構築に充てられる。

2015年に送金サービスとしてスタートした Toss は、これまでに4,900万回ダウンロードされ、登録ユーザ数は1,700万人以上。現在、銀行業務、送金、ダッシュボード、クレジットスコア管理など、さまざまな金融サービスを提供している。

Viva Republica は昨年末、韓国でデジタル銀行「Toss Bank(토스은행)」を運営するための予備承認を取得しており、これが実現すれば、Kakao Bank(카카오 은행)K 銀行(케이은행、日本からアクセス不可)に次ぐ韓国で3番目のデジタル銀行となる。Viva Republica は28日、独自のユーザデータを利用してサブプライム信用貸出の延滞率を下げることで、中金利貸出(중금리 대출)市場のディスラプトを計画しているを明らかにした。

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via Caixin Global(財新環球版)

DAIZの植物肉を使ったハンバーガー、9月から全国のフレッシュネスバーガーで販売開始

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから 熊本を拠点に発芽大豆由来の植物肉を開発・製造するスタートアップ DAIZ は31日、同社の植物肉「ミラクルミート」をパティに使ったハンバーガー「THE GOOD BURGER」を9月1日からフレッシュネスバーガー全店舗で販売すると発表した。 THE GOOD BURGER は、8月12日から首都圏の一部店舗で検証販売が…

フレッシュネスバーガー自由が丘店でオーダーした「THE GOOD BURGER」
Image credit: Masaru Ikeda

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

熊本を拠点に発芽大豆由来の植物肉を開発・製造するスタートアップ DAIZ は31日、同社の植物肉「ミラクルミート」をパティに使ったハンバーガー「THE GOOD BURGER」を9月1日からフレッシュネスバーガー全店舗で販売すると発表した。

THE GOOD BURGER は、8月12日から首都圏の一部店舗で検証販売が実施されていた。DAIZ の植物肉を用いた大豆パティをテリヤキソースにからめ、低糖質バンズと野菜で挟んだ仕上がりとなっている。

飲食チェーン大手コロワイド(東証:7616)傘下のフレッシュネスバーガーは、全国に183店舗を展開し国内では店舗数で第6位。THE GOOD BURGER は、9月1日から9月末日まではフレッシュネスバーガーのアプリ会員にのみ限定で先行発売され、10月1日から全ての顧客に販売される。

DAIZ は、大豆の代謝に注目した独自の栽培法である特許技術「落合式ハイプレッシャー法」で大豆を発芽。発芽中に、酸素、二酸化炭素、温度、水分などの生育条件にプレッシャーを与えることで酵素が活性化し遊離アミノ酸量が増加、大豆の旨味を引き出す。独自の膨化成形技術により、他の原料や添加物を何も足さずに、肉の様な食感を再現する。

同社は今年5月、シリーズ A ラウンドで6.5億円を調達した。累計調達額は12億円。

アクアビットスパイラルズら、旧軽井沢のホテルでコロナ対策の非接触・混雑回避サービスを提供

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アビットスパイラルズは31日、東急リゾーツ&ステイが運営する「旧軽井沢 KIKYO キュリオ・コレクション by ヒルトン」で、新型コロナウイルスへの対策として、宿泊客の非接触・混雑回避を支援するサービスを開始したことを明らかにした。 アクアビットスパイラルズの NFC タグ「スマートプレート」を各客室に配置することで、宿泊客は部屋の装置、機械、操作パネルと言ったインターフェイスに触れることなく、…

Image credit: Aquabit Spirals

アビットスパイラルズは31日、東急リゾーツ&ステイが運営する「旧軽井沢 KIKYO キュリオ・コレクション by ヒルトン」で、新型コロナウイルスへの対策として、宿泊客の非接触・混雑回避を支援するサービスを開始したことを明らかにした。

アクアビットスパイラルズの NFC タグ「スマートプレート」を各客室に配置することで、宿泊客は部屋の装置、機械、操作パネルと言ったインターフェイスに触れることなく、自分のスマートフォンだけで情報やサービスにアクセスすることが可能になる。

サービス開始時点で提供される機能は、「密レーダー」や「ルームサービス注文機能(9月以降提供予定)」など。

Image credit: Aquabit Spirals

密レーダーは、北大発のコンピュータビジョン(映像解析)スタートアップ AWL の新型コロナウイルス対策ソリューション「AWL Lite」が AI カメラを通じて予測した混雑状況と、アクアビットスパイラルズが提供するステイタス通知アプリ・スマプレコントロールから通知される混雑状況を、施設ごとにそれぞれ3段階のアイコンで可視化し、客室内のスマートプレート経由で宿泊客のスマートフォンに表記できる機能。

ルームサービス注文機能は、部屋番号を入力せず、宿泊客がスマートフォンをかざすだけでルームサービスの注文が可能になる機能。宿泊客はルームサービスのために内線電話をかけたり、受話器に触れたりする必要がない。アクアビットスパイラルズでは今後、レストランでのメニュー確認も宿泊客や来訪客がスマートフォンで確認できるようにするとしている。

日本からメキシコに戻った起業家Oscar Noriega氏、Snapchatの支援を得てARミニゲームの一大プラットフォーマーを目指す

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読者の中には、以前 BRIDGE で取り上げた「Unda(または改称後の VideoSelfie)」というアプリを覚えている人がいるかもしれない。その名の通りセルフィー動画を撮影・加工・共有できる短編動画アプリで、この分野では、2008年〜2009年に流行った Seesmic を第一世代、Tiktok を最新の世代とするならば、ちょうどその中間の時期に市場の席巻を狙っていたと言っていい。 このアプ…

インタビューに答えてくれた Oscar Noriega 氏
Image credit: Masaru Ikeda

読者の中には、以前 BRIDGE で取り上げた「Unda(または改称後の VideoSelfie)」というアプリを覚えている人がいるかもしれない。その名の通りセルフィー動画を撮影・加工・共有できる短編動画アプリで、この分野では、2008年〜2009年に流行った Seesmic を第一世代、Tiktok を最新の世代とするならば、ちょうどその中間の時期に市場の席巻を狙っていたと言っていい。

このアプリを作った Pocket Supernova は、メキシコ人と日本人を両親に持つ Oscar Noriega 氏が共同創業者の2人と東京で設立したスタートアップだ。2013年にアメリカの 500 Startups のアクセラレーションプログラム第6期に採択され、2014年に East Ventures、KLab Ventures(当時)、CyberAgent Ventures(当時)からシード資金を調達。2015年には B Dash Camp 2015 Spring in Fukuoka で審査員特別賞を獲得した。筆者は彼とよく六本木界隈で出会したものだ。

日本のスタートアップシーンでもいくつかの足跡を残した Noriega 氏だが、2017年頃、自身のもう一つの原点であるカリフォルニアやメキシコに活動の場を戻した。我々が知る彼は2013年の来日以降のことだが、メキシコでは学生時代から複数のスタートアップを立ち上げた連続起業家としての顔を持つ。最初のスタートアップ Atomix.vg はラテンアメリカ有数のゲームニュースサイトに成長し Prowell Media に売却。2009年には、世界ブランドにデジタルマーケティングを支援してきた SCLBits を創業している。

AR ゲームの可能性

Google が提供するスマートフォン向け AR 開発フレームワーク「ARCode」と、Apple が提供するスマートフォン向け AR 開発フレームワーク「ARkit」を足すと、今年中には累積42億5,600万台のスマートフォンが AR に対応することになる(ARtillry Intelligence 2017年の予測)。2020年単体の増分だけで見てみると、新型コロナウイルス感染拡大に伴う売上落ち込みを加味していないが、世界中で新規出荷されるスマートフォンの2台に1台は AR に対応したモデルという計算になる。もはやスマートフォンは、AR のためのデバイスとさえ言っていい。

「Fanta Terror House」
Image credit: Wabisabi Design

AR ゲームの可能性はこれまでにも、Pokémon Go を世に出した Niantic が証明している。Niantic は、Google Earth の前身である Keyhole を生み出した John Hanke 氏が Google で立ち上げた社内ベンチャー。Pokémon Go のヒットの裏には、ポケモンが持つキャラクタ力、Niantic の絶大なる技術力やマーケティング力があったわけだが、駆け出しスタートアップがロールモデルとするには、いささか手にしている武器の数と種類が違い過ぎる。

一方、AR ゲームは高いユーザエンゲージメント力を持つため、ブートスラップモードの AR ゲームデベロッパにとっては、有名企業から AR ゲームの開発を請け負うビジネスモデルが確立しつつある。ロサンゼルスやメキシコに拠点を移した Noriega 氏は2018年に AR ゲームデベロッパ Wabisabi を設立。炭酸飲料ファンタのラテンアメリカ向けマーケティング施策の一環で、 Facebook 上のソーシャル AR ゲーム「Fanta Terror House」を世に出したところ、1週間でユーザを100万人獲得する快挙を達成した。

Fanta Terror House で AR ゲームの可能性を確信した Noriega 氏は、かくして本格的に AR ゲームの自前タイトルの開発に着手することになる。

ミニゲームの可能性

新たなゲームを開発してユーザを獲得するには、大きなマーケティングコストが必要になる。多くの競合がひしめくアプリストアの中で見つけてもらい、ダウンロードを促し、多くのユーザに定常的にゲームを楽しんでもらうまでもっていくのは一苦労だ。そこで昨今、注目を集めるのがミニアプリやミニゲームといった仕組み。ランタイム部分をソーシャルネットワーク側に依存できるので、アプリ単体の容量を比較的小さくできるのが「ミニ」の名で呼ばれる所以だ。

ミニアプリやミニゲームでは、ゲームデベロッパは既存のソーシャルネットワークのユーザベースを活用できるため、ユーザ獲得コストを抑えてスタートダッシュできるメリットがある。Facebook、Instagram、WeChat(微信)、LINE など、多くのユーザを擁する大手ソーシャルネットワーク上ではこういった動きが顕著だ。なかでも興味深いのは Snapchat の動向。Snapchat を運営する Snap は Instagram に Stories 機能が追加された際には株価下落に苦しむも、その後、AR に舵を切ったことで復活を遂げた。

Snap は昨年、サードパーティーが開発した数々のミニゲームや、Snapchat が持つ機能をミニアプリに開放し連携を許容する施策「Snap Games」を発表している。Snapchat を代表する機能の一つオリジナルアバター機能「Bitmoji」がサードパーティーのミニゲームで利用できるようになったのも記憶に新しい。そしてこうしたサードパーティーを巻き込む原動力の一つとなっているのが Snap が2018年に立ち上げたアクセラレータプログラム「Yellow」だ。

Snap は今年2月、Snap の第3期採択スタートアップ10社を公表。今年5月には採択各社に対して、15万米ドルずつ出資を実行したことが明らかにされた。そして、Oscar 氏が2018年に設立した AR ゲーム開発に特化したスタートアップ Wabisabi もまた、この採択された10社のうちの一つである。

Snap のアクセラレータ「Yellow」第3期採択のスタートアップ。前列最左が Oscar Noriega 氏。後列中央は Snap CPO 兼 Yellow ディレクターの Michael(Mike)Su 氏。
Image credit: Yellow

AR ゲームデベロッパにとっての Snapchat の魅力と課題

Snapchat をミニゲームのプラットフォームに選んだ時、ゲームデベロッパにとっての魅力は Snapchat の持つユーザベースの大きさだ。Snap が今年2月に発表したところでは、2019年第4四半期のデイリーアクティブユーザは2億1,800万人。新型コロナウイルス感染拡大からの巣篭もり消費が増えたことで、この数字はさらに伸び続けているものとみられる。

しかし、まだ解決できていない問題がある。Snap Games、すなわち、Snapchat と連携可能なサードパーティーが開発した AR ミニゲームアプリは、Google Play か iOS AppStore からダウンロードすることになる。ユーザから AR ミニゲームアプリを見つけてもらうにはまだ苦労を伴うのだ。そこで Wabisabi が Yellow への参加を通じてたどりついたのは、AR ゲームのためのプラットフォームというアイデアだった。

ARKD Games は、AR ミニゲームのためのプラットフォームだ(現在は iOS のみで、Android 向けは準備中)。AR ミニゲームを一つにまとめた場所を作りたくて、これを開発した。PC ゲームを集めたコミュニティ「Steam」の AR ミニゲーム版と思ってもらえばいい。(Noriega 氏)

ARKD Games は、複数の AR ミニゲームを備えた ARKD=アーケード(日本語で言う複数のゲームが楽しめるゲームセンターを、英語では amusement arcade と表現する)を目指している。現時点では Wabisabi が自社開発した AR ミニゲームを複数公開しているが、今後、他のサードパーティーの AR ミニゲームアプリデベロッパにも参加を促し、彼らのゲームタイトルも ARKD Games 上で楽しめるようにしていきたいという。まさに AR ミニゲームの Steam だ。

「ARKD Games」
Image credit: Wabisabi Design

アプリストアは競合?

ARKD Games の今後の展開について、Noriega 氏は次のように語ってくれた。

現在は、2つのことを進めている。ARKD Games 上でゲームを公開し、レベニューシェアすることに参加してくれるゲームデベロッパとの提携を増やすこと、そして、この AR ミニゲームのカタログを作り続けるための資金調達だ。我々の自らのタイトルを公開しているのは、他のデベロッパにインスピレーションを与え、一緒にやろうというモチベーションを持ってもらうためのものだ。

このところ、アプリ内課金を iOS AppStore を経由しないようにしたことを発端に、Apple と Epic Games の対立が激化している。有料アプリ本体の課金以上に、アプリ内課金の決済プラットフォームであり続けることは、アプリストアにとって重要な収入源を確保する上で譲れない部分ということなのだろう。

ARKD Games が同じような対立の図式にハマる可能性はあるのだろうか? まず、AR ミニゲームのカタログプラットフォームは、Wabisabi がそれを作る前に Snap が作っていてもよかったように思うが、Wabisabi が Yellow に採択されたという事実からは、Snap は Wabisabi がそうすることを半ば公に認めたと考えられる。

将来、ARKD Games においても、AR ミニゲームのダウンロード時課金や AR ミニゲーム内の課金が Google Play や iOS AppStore を完全に介さずに行われるようになったら、Google や Apple がどのような対応を見せるのかはわからない(現在はアプリストアを介しているようだ)。しかし、Snap という非常にユーザーエンゲージメントの強いプラットフォームを味方につけている Wabisabi にとっては、強気の戦略を描ける可能性はある。

かねてから、スマートフォンの OS のアプリストアがバンドルされている事態については、日本やヨーロッパで関係当局が独禁法違反の可能性を指摘するなど、その圧倒的な支配力の強さが問題となっている。ARKD Games が AR ミニゲームのプラットフォームになれるかどうかを占うには、さまざまな文脈から面白い時期と言えるだろう。

<参考文献>

ベトナムの中古バイクマーケットプレイス「OKXE.vn」、シリーズAラウンドで韓国VC6社から550万米ドルを調達

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<ピックアップ> Vietnam motorbike marketplace OKXE raises $5.5m in Series A funding ベトナムに拠点を置くバイクオンラインマーケットプレイス「OKXE.vn(オッケーセ)」は、シリーズ A ラウンドで550万米ドルを調達した。このラウンドは韓国の VC である Partners Investment がリードし、IMM Inves…

OKXE.vn 創業者兼 CEO のキム・ウソク(김우석)氏
Image credit: OKXE.vn

<ピックアップ> Vietnam motorbike marketplace OKXE raises $5.5m in Series A funding

ベトナムに拠点を置くバイクオンラインマーケットプレイス「OKXE.vn(オッケーセ)」は、シリーズ A ラウンドで550万米ドルを調達した。このラウンドは韓国の VC である Partners Investment がリードし、IMM Investment、KB Investment、Korea Omega Investment、HB Investment、SB Partners など韓国の複数お VC が参加した。

OKXE は、新たに調達した資金を使って、ベトナム以外の東南アジアの国々に進出する計画だ。

OKXE.vn

OKXE は韓国人起業家のキム・ウソク(김우석)氏がベトナムで立ち上げたスタートアップ。2018年にβローンチし、2019年に正式にサービスを開始した。正式サービスからの1年間で、アプリのダウンロード数は100万件で、ベトナム国内のバイクショップ820店舗と提携している。プラットフォーム上でのバイク売買数は、毎月1,300台。

ベトナムでは、融資を実施するための信用評価の仕組みが未整備で、7割の人々は銀行口座を持たず、クレジットカード普及率は2%程度。OKXE はバイク購入を促進するため、韓国の新韓銀行のベトナム現法である新韓ベトナム銀行や新韓ベトナムファイナンスと提携し、割賦金融サービスを提供する計画だ。

ベトナムでは4,500万台のバイクが走っており、ほとんどの家庭が2台以上のバイクを所有していることから、多くの事業機会があると同社では考えている。

via DealStreetAsia

AI不動産管理SaaS「管理ロイド」運営、不動産管理大手5社から2.4億円を調達

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AI 不動産管理プラットフォーム「管理ロイド」を開発・運営する THIRD は27日、直近のラウンドで2.4億円を調達したと発表した。ラウンドステージは不明。このラウンドに参加したのは、双日商業開発、東急不動産ホールディングス(東証:3289)、森トラスト、東京建物(東証:8804)、 阪急阪神不動産の CVC ファンド。 管理ロイドは、不動産管理に必要な業務をペーパレス化・一部自動化できるプラッ…

Image credit: Third

AI 不動産管理プラットフォーム「管理ロイド」を開発・運営する THIRD は27日、直近のラウンドで2.4億円を調達したと発表した。ラウンドステージは不明。このラウンドに参加したのは、双日商業開発、東急不動産ホールディングス(東証:3289)、森トラスト、東京建物(東証:8804)、 阪急阪神不動産の CVC ファンド。

管理ロイドは、不動産管理に必要な業務をペーパレス化・一部自動化できるプラットフォームだ。もともとは、THIRD は建築・機械・電気工事のコスト削減コンサルを手がける不動産コンサル会社だが、業界特有の多重請負、記録プロセスの重複などに着目し SaaS 化を図った。従来、電気・空調・給排水などの工事を行う事業者は、その工事進捗や完了状態を現場で写真撮影し、その写真を元に手書き記入、定められたフォーマットに転記している。作業が煩雑である上、手で行う作業であるため転記ミスも生じる。

Image credit: Masaru Ikeda

管理ロイドでは、スマホアプリを使うことで、記録から情報管理までを完全ペーパーレス化。最新の点検表をダウンロードして、それに自動転記を行うことも可能だ。メーターなどの値を AI で自動的に読み取る機能も実装していて、それを正常値か異常値かを AI 解析しユーザに伝える機能も備える。不動産管理に関わる一連の業務を、一気通貫で一つのプラットフォーム上で完結できることも強みだという。

THIRD は昨年 Open Network Lab の Resi-Tech プログラム第1期に採択され、昨年8月に実施されたデモデイでは Best Team Award と Audience Award の座に輝いた。このプログラムでは不動産管理大手を含む16社と PoC を実施または検討しており、これらの企業の多くが今回ラウンドの投資家になったと見られる。

2019年11月の製品版リリースから、不動産管理大手30社を中心に全国で2,800棟以上に導入されているという。同社では、今回の調達を受けて、管理ロイドの導入拡大に向けた人材採用、蓄積されたデータを活用した新たな AI サービスの開発を強化するとしている。

Open Network Lab の Resi-Tech プログラム第1期デモデイで優勝した THIRD のチーム。
Image credit: Masaru Ikeda

株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」で、第1号案件「地元カンパニー」の投資申込が募集上限の5,000万円に到達

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イークラウドは27日、同社が運営する株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」の第1号案件で7月29日に開始した「地元カンパニー」の資金調達プロジェクトで、投資申込が当初目標額の3,000万円を大幅に上回り、募集上限の5,000万円に達したことを明らかにした。募集上限に達したため申込受付は早期終了しているが、イークラウドでは内規と投資家保護を意図した法令の関係から、一定期間、投資家からのキャ…

Image credit: Ecrowd

イークラウドは27日、同社が運営する株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」の第1号案件で7月29日に開始した「地元カンパニー」の資金調達プロジェクトで、投資申込が当初目標額の3,000万円を大幅に上回り、募集上限の5,000万円に達したことを明らかにした。募集上限に達したため申込受付は早期終了しているが、イークラウドでは内規と投資家保護を意図した法令の関係から、一定期間、投資家からのキャンセル待ち期間を設けているため、約定は9月9日となる予定。

イークラウドによると、これまでに312人から投資申込があったという。この数字はキャンセル待ち期間中に増減の可能性はあるが、平均すると、一人あたり16万円程度の出資意向を表明したことになる。投資家のデモグラフィックは現時点で全て明らかにはなっていないが、地元カンパニー代表取締役の児玉光史氏に近いと思われる支援者は見られるものの、多くは全国一般からの応募とのことで、イークラウドでは、これまでの投資商品やエンジェル投資でもない、新しいお金の流れを作れることが証明できたと強調している。

長野県上田市に本拠を置く地元カンパニーは「ギフトによる地方創生プラットフォーム」をうたい、全国の地域産品を扱うカタログギフトやその管理システムを運営するサービスを提供。創業8年目を迎える同社は今年度の年商1億円超を見込み、売上の8割が法人、法人売上は3年で5倍以上に伸ばしている。代表を務める児玉光史氏の実家はアスパラガス農家で、既存株主の株主優待に収穫物が贈られる点もユニークだ。以前には星野リゾートの星野リゾート代表取締役の星野佳路氏も、「気になる会社」として紹介している

Image credit: Jimoto Company

地元カンパニーはこれまで大掛かりなマーケティングは行っておらず、ほぼオーガニックな顧客流入に依存しているため大きな伸びしろが期待できる。同社では今回調達する資金を使って、ウェブマーケティングの強化、長野県上田市における拠点開設によるオペレーションの拡大、商品ラインナップの拡充(生産者の開拓)、企業からの引き合いを現在の10倍に増やすため営業体制を強化する。2025年度には、売上規模で現在の約50倍にあたる48億円を目指す。

生産者(農家や漁師など一次生産者のみならず、商品の加工業者も含む)から贈答先に直接商品が送られるという点では、今週資金調達を発表したポケットマルシェの B 向け版と捉えることもできる。数ある選択肢の中で商品を選んでもらうには生産者によるアピールがカギで、地元カンパニーでは、生産者に商品をスマートフォンで撮影してもらうなどして、ユーザ(潜在的購入者)を魅了するコンテンツ作成にも注力を始めているそうだ。

児玉氏によれば、地元カンパニーが扱うギフト商品は食料品が多いため、その特徴的な価格構造から大々的な営業やマーケティング活動はコスト面で限りがあるとしながらも、最近では自動車メーカー、ビールメーカー家電量販店などが購入者向けのキャンペーンに地元カンパニーのサービスを利用する事例が出てきていることから、幅広い需要の開拓を求めて広告代理店などへの営業活動にも力を入れていきたいとしている。