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Taishi Masubuchi

Taishi Masubuchi

1996年東京生まれ。シンガポールでの高校生活、米シアトルでの大学生活を通し、いつの間にかテクノロジーが好きに。現在はブロックチェーンリサーチャーとして活動。個人で、イーサリアム関連のプロジェクトに多く関わる。ブロックチェーン以外でも、東南アジア、北米(シアトル中心)のスタートアップの動きに着目。ジャーナリズムを通した小さなムーブメントを乱発し続けるために記事執筆。旅行をもっとしたくなるような、"位置"に価値を付けていく事業考案中。旅が好きです! Twitter - @taiseaocean

執筆記事

「オフィスに集まる必要性」はあったのか?ーー著名投資家が語る“コロナ前後”で変化する世界観

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ピックアップ:Mary Meeker’s coronavirus trends report ニュースサマリー:元kleiner perkinsで、著名投資家のMary Meeker女史をパートナーとするVC「Bond Capital」が4月後半、同社投資先へ向けて「ポストCOVID-19市場」を分析したレポートを公開している。同レポートは全28ページで構成され、5つの重要なアウトライ…

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ピックアップMary Meeker’s coronavirus trends report

ニュースサマリー:元kleiner perkinsで、著名投資家のMary Meeker女史をパートナーとするVC「Bond Capital」が4月後半、同社投資先へ向けて「ポストCOVID-19市場」を分析したレポートを公開している。同レポートは全28ページで構成され、5つの重要なアウトラインに分かれている。

話題のポイント:Mary氏が毎年発行している「Internet Trend Report」は多くの起業家、投資家にとって指針のような存在になっているレポートです。読者のみなさんも一度は目にされたり読み解いたりされたりしたことがあるのではないでしょうか。

今回、同氏を中心に執筆されたレポート「ポストCOVID-19」は、「Our New World」と称しコロナ後(もしくは共存)の世界概念が一変する前提を元に描かれています。概要は大きく5つのトピックに分類されており、最初のトピックでは、COVID-19による経済的影響がどこまで長引くかに関する分析をしています。

経済回復の面ではできるだけ早く「人々が安全に外出できる指標」を示し、共通理解を広めることが大切で、それまでは政府資金を効率的に利用すべきだと主張しています。

(1)COVID-19 = Shock + Aftershocks
(2)Viruses + Microbes = Consistent + Periodic Agents of Disaster
(3)Creative Innovators (Globally + Together) Will Rise Above the Virus

2・3つ目のトピックでは、過去に私たちが対峙していた「ウイルス」と情報社会に生きる現代の私たちが対峙する「ウイルス」は全く別物であるという指摘をしていました。同レポートによれば、COVID-19に関する研究論文は既に3000件も発表されており、前例時と比較しても20倍のスピードでソリューションの発見へ動いているとしています。要は過去のパンデミックと比較して比べ物にならないぐらい動きが早い、ということですね。

さて、私たちにとって特に重要なのが4つめの「世界観の比較」です。3つの題材に分けてCOVID-19前後の世界観を比較しているのでもう少し詳しくみてみたいと思います。

(4)Rapid Changes Drive Growth in Both Directions

• Scientists / Engineers / Domain Experts Get Back More Seats at The Tables
• Work-Life Re-Balanced
• Digital Transformation Accelerating
• Rise of On-Demand Services as Economic Growth Driver Continues (for Consumers + Workers)
• Government’s Role in Stabilizing / Stimulating Economy (& Jobs) Must Be Enabled by Modern Technologies
• 2020 = Step-Function Year for Technology + Healthcare?
• Traditional Sports = Post COVID-19 Evolution Provides Real-Time

(5)The World Just Doesn’t End That Often = We Will Get Through This… But Life Will be Different

GAFAは正しかったか

情報社会をリードするテクノロジー企業の代表格Microsoft、Amazon、Apple、Alphabet(Google)、Facebookに焦点が当てられています。各企業を率いてきたリーダーたちが短・長期的(10〜20年単位)ビジョンに基づいてリードしてきたのが「データの有効活用」です。

テクノロジー企業はデータを取り扱うという性質上、プライバシーの観点で近年問題視され始めていました。一方、このデータがなければ例えばAppleとGoogleの大規模な協業のような動きは不可能です。

参考記事:GoogleとAppleがCOVID-19対策でタッグ、まずは公衆衛生当局アプリから

同氏はCOVID-19はこうしたデータドリブンな長期的計画を持つことの重要性を顕在化させたと指摘しています。これは、決してテクノロジー企業のみの話でなく、全ての業界・業種に共通点だったということを気づかせてくれます。また同時に今後、「彼らとサイエンティスト、エンジニア、各業界のエキスパート」がヘルスケアの観点で協業することが重要であるとも言及していますが、これらは実際に進むのではないでしょうか。

ワークライフは分散型へ

大きく変わるのがワークスタイルです。Mary氏は「Shelter-in-place」によってワークライフは分散型へと移行するのはほぼ確実、と指摘しています。ベイエリアのテック企業は3月2日以降、Work From Homeを実践してきましたが、そもそもそれ以前から「オフィスに集まる必要性」はあったのか?と疑問を呈しています。

We have often been in large open spaces at technology companies filled with people using laptops at standing desks while wearing headphones to tune out background noise… is there a better win-win arrangement?(テクノロジー企業の多くはオープンスペースで、スタンディングデスクを使って、ノートパソコンにずっと目を向け、周りの雑音を取り除くためヘッドフォンを取り付け黙々と作業する人で埋め尽くされるだけです…なぜそうした状況が生まれてしまったのでしょう?)。

BONDはリモートワークを始めた投資先企業に、以下のような質問をしているそうです(一例)。

  • あなたの会社は効率的になりましたか?
  • チームはハッピーになりましたか?
  • コミュニケーションツールには、ビデオカンファレンス・メッセンジャーのどちらを使うようになりましたか?

これらの回答を結論付けるのはまだ早いとしながらも、ほとんどの企業で効率性が同様もしくは向上されたとしているのです。また、家族との時間が増えたことやあらゆるフレキシビリティーが生まれたことで、幸福度も上がっているとしています。

興味深かったのは、ビデオ会議をすることで多くの人が集合時間を守り(中には5分前行動のように早く登場する人も!)、かつ予定される終了時刻に合わせテキパキと議論を進めるようになったと報告しています。

DXはもう止めたくても止められない

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、テクノロジー企業であろうがなかろうが関係なく導入を余儀なくされることになるだろうとしていました。DXの動きがCOVID-19によって明確に可視化されたことの影響は、日本国内でも「ハンコ廃止」や「EC・オンラインデリバリー」の加速などで実感している方も多いのではないでしょうか。

以下は、DXが急速に進むであろうと同レポートで指摘される一例です。

  • ローカルの古びたレストラン:店内からピックアップへシフト
  • ローカルスーパー:完全ECへシフト
  • ローカルのコミュニティー:リアルミートアップからデジタルへシフト
  • ブランドビジネス:完全ECへシフト、しかしブランドはデジタルでも強い
  • 学校:オンデマンド&バーチャルクラスへシフト
  • 家族の娯楽:移動からデジタルへシフト
  • 日用品:買い出しからオンデマンドデリバリーへシフト
  • 外食:イートインから、持ち帰りへシフト
  • 医療:対面型から、オンライン診断へシフト
  • 企業情報管理:紙からクラウドへシフト

オンデマンドP2Pに明暗

オンデマンドP2Pプラットフォームといえば、Airbnb、Uber、Lyftが挙げられます。現在、COVID-19により人の移動が制限されてしまい、フィジカルな移動が伴うAirbnb、Uber、Lyftのオンデマンドモデルの需要低下は避けられない状況になっています。一方、デリバリー面ではInstacart・DoorDashが需要拡大化してきており、オンデマンドP2Pの需要シフトが大きく始まっていると指摘しています。

今、この時点で判明していることを現在進行形で以下の4点です。

  1. 働き方が確実に変わってきている
  2. 多くの人が働く機会を失っている
  3. 多くの人が資金的に追い込まれている
  4. 3カ月、そして24カ月後のいずれも「予想は不可能」

同氏はこうした状況が、さらにオンデマンド型の働き方(需要が増える分)が新たなスタンダードになる可能性を指摘しており、それによる社会構成が再定義されることまで言及していました。

The World Just Doesn’t End That Often.(世界はそんな簡単に終わると思うか?)

さて、同レポートの結論部分で引用されるこの言葉は、2008年の金融危機の際T. Rowe Priceの会長・CIOであったBrian Rogers氏のものです。この発言を引き合いにMary氏は「…だけど、私たちの”生き方”は変わってしまう」と、COVID-19以降の世界観を最後に6つのポイントでまとめています。以下がその要約です。

  1. 主体性のある政府機関の発展と共に、ヘルスケア、教育分野がローコストかつ効率的に変化を遂げる
  2. 国民の「幸福度」が重要視され、政府・企業間の連携がさらに強まる
  3. 個人のライフバランスやスキルに準じた働き方が当たり前とされ、そうした体制がきちんと整えられていく
  4. いたずらな「消費」を良しとしない風潮になる
  5. 家族と時間を共にすることや、本当の幸せとは何かを追い求める社会となる
  6. 家族間の絆、人生で成し遂げたいこと、コミュニティー、信仰心などにより大きな意味が課せられていく

今回取り上げたMary Meeker氏(BOND)によるレポートは、なんとなく思い描いていた「COVID-19以降の世界観」を明確に統計的数値と共に言語化してくれていました。原文では、ここには載せていないような数値や企業からのコメントなどを用いて、さらに詳しく分析をしているので、一読ゆっくり目を通してみてはいかがでしょうか。コロナ後(もしくは共存)の世界観をより明瞭に思い描くことができるかもしれません。

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デジタルホワイトボード「Miro」が目指すコロナ時代の「ニュー・ノーマル」な会議

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ピックアップ:Online collaborative whiteboard startup Miro raises $50M  ニュースサマリー:オンラインコラボレーションツール「Miro」は24日、シリーズBにて5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はIconiq Capitalが務める。また、AccelやGoogleにてプロダクト・マネジメント部門副社長を務めるBradl…

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ピックアップ:Online collaborative whiteboard startup Miro raises $50M 

ニュースサマリー:オンラインコラボレーションツール「Miro」は24日、シリーズBにて5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はIconiq Capitalが務める。また、AccelやGoogleにてプロダクト・マネジメント部門副社長を務めるBradley Horowitz氏も同ラウンドに参加している。

同社は2011年創業で、オンライン上にホワイトボード型のコラボレーションツールを提供するスタートアップ。同サービスを利用すれば、リモートワークや分散型のグローバルチームが同時にブレインストーミングやアイデアの洗い出しを効率よく行える。同社によれば既にユーザー数は500万人を超えており、主要企業にはネットフリックス、CISCO、ロジテック、Spotifyなどが利用しているという。

話題のポイント:COVID-19の影響でリモートワークが一般的になりつつある中、オンライン会議ツールであるZoomやMicrosoft Teamsらが急成長し、さらにはFacebookが「Messenger Rooms」をリリースするなど環境整備が進んでいます。

ところで上述したようなビデオカンファレンスツールやSlackなどのチームチャットツールは、確かにCOVID-19以降、ユーザー数の面で急成長を遂げていますが、以前からも導入企業は格段に多い状況でした。しかし、社会全体がパンデミック以降「オフィスの必要性」を考え直し、Work From Home時代に突入した結果、浮き彫りになったのが働き方の課題です。

特にFace2Faceで繰り広げられていたクリエイティビティーな議論をどう維持するかについては大きな問題になっていると思います。

コラボレーションツールの有名どころでいえば、プロジェクト・タスク管理をオールインワン型で提供するnotionや、音声を通しリアルなバーチャルオフィスを提供するTandemなどが「クリエイティビティー維持」の面で注目されています。

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Miroも同様に、物理的距離を保ちつつリアリティの高い議論が行えることを特徴としてます。「会議」を行うだけなら、ビデオ通話で足りていると思われるかもしれません。しかしMiroでは、ビジネス的議論というより、プロダクト開発やUXリサーチ&デザイン、ユーザーストーリーマップの作製などクリエイティブな作業における議論を想定しています。ホワイトボードをベースとしたコンセプトもそれが主な目的だからです。

また、即座に利用が開始できるように目的に応じたテンプレートが数百の単位で用意されています。例えば、ブレインストーミングのセクションでは以下のように11のテンプレートが用意され作業効率性を維持・向上させるきっかけを提供しています。

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同社サービスはフリーミアムモデルを採用しています。通常、チームがある一定数を超えるとサブスク型課金が求められるのですが、同社では閲覧だけなら人数無制限でのサービス利用を提供しているのも特徴のひとつです(無料で編集できるユーザーアカウントは3つまで)。

COVID-19により、VCによる投資は特に2020においては減少気味になるとささやかれています。以前報じたように、あれだけトラベル・ホスピタリティー業界のパイオニアであったAirbnbでさえ同社の根本的コンセプトにメスを入れなければならないほど緊迫した状況であるのは間違いありません。

Coral CapitalのJames氏が同社ブログにて発信しているように、COVID-19によって「ニュー・ノーマル」が再定義され、そのパラダイムシフトの中でいかに進歩の機会をつかみ取るかが重要になってきます。

これからの世界では、なかなか以前のようにオフィスの一室に集まってUberEatsをオーダしながら、何時間も顔を並べて会議することはなくなるかもしれません。まさに、Miroが提供するバーチャル世界におけるホワイトボード付き会議室はそんな世界のニュー・ノーマルを感じさせるプロダクトになるのだと思います。

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宿泊移動から「荷物の煩わしさ」を取り除くAirporterが2億円調達

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ニュースサマリー:空港~宿泊施設の手荷物当日配送サービス「Airporter」を運営するAirporterは27日、総額2億円の資金調達を実施したと発表した。同ラウンドに参加したのは、31VENTURES、マネックスベンチャーズ、Global Catalyst Partners、地域創⽣ソリューション、みずほキャピタルの5社。同社は昨年6月に、シリーズAの調達を完了していた。 話題のポイント:「観…

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Image Credit : Airpoter

ニュースサマリー:空港~宿泊施設の手荷物当日配送サービス「Airporter」を運営するAirporterは27日、総額2億円の資金調達を実施したと発表した。同ラウンドに参加したのは、31VENTURES、マネックスベンチャーズ、Global Catalyst Partners、地域創⽣ソリューション、みずほキャピタルの5社。同社は昨年6月に、シリーズAの調達を完了していた。

話題のポイント:「観光時間を創出する」ことをミッションに掲げるのがAirporterです。同社は、旅をする際には欠かせない「荷物」の配達事業を展開しています。

利用方法は至って簡単です。事前に預かり場所と配送先を選択し支配いを済ませておけば、手ぶらでの移動ができます。空港から宿泊施設へ、または、宿泊施設から空港へ、のどちらの場合でも利用可能なため、現地到着から現地出発まで全く荷物を持たずに移動することが可能です。また、値段についても手の出しやすい価格帯に抑えられておりタクシーのように気軽さを持った利用が想定されています。

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実は、空港からホテル・市街間における荷物配達事業は海外を見ると複数スタートアップが台頭し始めていました。その中でも近年では、オンデマンド型、例えばスペインのBobやBagbnbなどがそれぞれ荷物配達版Uber・Airbnbのような形で事業を展開しています。

旅から煩わしさを取り除くという観点では、例えば旅先に必要な服を全て届けてくれるTRVL Porterなど、旅に「コンシェルジュ」サービスの民主化を目指すようなトレンドもあります。

これまでにもAirporterのような、コンシェルジュ的荷物配達の概念は存在していました。しかし、その多くは例えばクレジットカードの付帯サービスのようなケースで、利用者は限定的でした。つまり、Airporterの取り組みはこうした限られた層へ向けたサービスを、限りなくオープンにし、同社の掲げる「観光時間の創出」を実現するものといえるでしょう。

同社が本質的に狙っているのは「旅ナカにおける訪日外国人とのタッチポイントを持つサービス」としています。訪日旅行客で大型の荷物を持たない人はまずいないでしょうから、ここを入り口にしたのは納得感があります。

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Airpoterチーム:プレスリリースより

また同社がリリースでも言及しているように、今まで「荷物移動に対価を払う」という行為は一般化されていなかったため、抵抗がある方がいることも想像できます。

そうした根本的な問題解消に向け、同社では無料配送のビジネスモデルにも挑戦するそうです。無料配送で得られる顧客データを活用し、企業のマーケティング支援やデータ分析などを支援するということですが、この辺りがスムーズにいくかどうかも興味深い点です。

ここで一つCOVID-19の投資への影響についても考えてみましょう。

トラベル・ホスピタリティー系領域の代表格であるともいえる、AirbnbはCOVID-19以降、大きくダメージを受けています。コロナ前後の世界で移動者の絶対数減というのは避けられない現実となりそうです。事業会社からの出資が大きくストップすると囁かれる中、このタイミングでの出資となった31VENTURESはこのようにコメントしています。

今回のCOVID-19は全体的には良い影響ではないですが、その意味ではふるいにかけられ、本当に強い信念を持ち、ユーザーにとって価値のあるサービスを展開できるスタートアップだけが生き残って行くのだろうと考えております。特に、今回三井不動産とのCVCファンドから出資させていただいており、三井不動産系ホテルや商業施設等との連携を検討していく予定です。ある種、今後のグロースに向け良い仕込み期間が取れたとも考えております。

COVID-19によりある一定期間は移動が制限されるものの、力のあるスタートアップは必然的に生き残るため、注意は払っているでしょうが、特段トラベル・ホスピタリティー系だからどうこうと考えていないようです。

個人的にアフターコロナの世界観ではあらゆる企業が歩み寄り、サービスを充実させる方向へ向かっていくと感じています。そういう意味でも、スタートアップとエンタープライズ間における事業連携はさらに重要なポイントとなってくるのではないでしょうか。

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Facebookが「Messenger Rooms」公開、Zoomのような会議室(ルーム)を作成可能に

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ピックアップ:Introducing Messenger Rooms and More Ways to Connect When You’re Apart ニュースサマリー:Facebookは25日、新たなビデオ通話サービス「Messenger Rooms」を発表した。同サービスはモバイル・デスクトップの両者どちらからでも利用可能で、URL招待制を取る。Facebookにアカウントの有無は問わない…

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ピックアップ:Introducing Messenger Rooms and More Ways to Connect When You’re Apart

ニュースサマリー:Facebookは25日、新たなビデオ通話サービス「Messenger Rooms」を発表した。同サービスはモバイル・デスクトップの両者どちらからでも利用可能で、URL招待制を取る。Facebookにアカウントの有無は問わない。

新規にルームを作成する場合は「Create a Room」と表示される画面を押すと、リンクの生成が可能だ。また、既存のルームに参加する場合はニュースフィード上部(ストーリーズより上部)に表示されるアイコンをタップすることで参加できる。また、Messengerアプリを持っていれば、ウサギ耳のようなARエフェクトや、没入感のある360度の背景やムード照明など、AIを使ったおなじみの機能も利用できる。

同機能は、米国を始めとする少数の国に既にテストリリースされており、数週間以内にはグローバルリリースを迎えるとしている。また、近日中にはInstagram Direct、WhatsApp、Portalからもルームを作成できるようになる予定。

話題のポイント:ついにFacebookから、ビデオ通話のルーム機能がリリースされました。ZoomやMicrosoft Teamsなどで使われている会議室機能で、現段階では日本へのリリースはされていないようです。

さて、このタイミングでFacebookが新たにビデオ通話サービスのリリースへ踏み切った背景は何でしょうか。もちろん、究極的にはCOVID-19に向けたサービス拡充ですが、同新機能は実際にユーザーの需要が数値として見られたことによるリリースであることがわかります。

同社によれば、同社が保有するWhatsApp並びにMessengerを通した通話機能は毎日7億回以上利用されており、特にビデオ通話の利用が3月には倍増近く増加したそうです。そこでMessenger Roomsリリースにあたり、同社創業者のマーク・ザッカーバーグ氏は以下のような投稿をしています

I hope these new product updates will help bring people closer together and help us all feel more present with the people we care about during this period. (新機能Messenger Roomsが、この苦しい時期により多くの人たちが大切な人との距離を近く感じられことに少しでも協力できることを願っています)。

Messenger Roomsはあくまで友人や家族間におけるコミュニケーションツールとしての利用が想定されているのだと思います。つまり、現時点ではZoomやMicrosoft Teamsへの直接的な対抗ではなく、あくまでターゲット層は既存のFacebookユーザーとなります。利用シーンについても家族間通話やバーチャルデートなどが提示されてることからも明らかです。

同社ブログで述べられていたように、急激なビデオ通話の上昇、ユーザーの行動変容に基づく需要算定で明らかに「複数対応の高機能ビデオ通話」を同社がこのタイミングでリリースしたのは当然の流れだったのでしょう。

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振り返ってみると、Zoomはビジネス利用のデフォルトと化してきていましたが、友人間のフランクなビデオ通話までもZoomが利用されるのには違和感がありました。そうした利用者層のギャップをうまく埋めた、Facebookにしか出来ないといえるビデオ通話市場への参入でした。

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さらにFacebookは、自社プラットフォームにてビジネス向けチャット・コミュニケーションツール「Workplace」を運営しています。1つの機能では、非常にSlackと近い機能を提供しており、メッセンジャーをさらにビジネスライクに利用したい需要に応えたものです。

つまり、同社の発表通り初期ステップにおいてMessenger Roomsは一般ユーザー向けなのは需要の高まりからして必然ですが、いつでもビジネス向けの機能としてRoomsを提供する準備は整っているといえます。

すぐさま、Messenger RoomsがZoomやMicrosoft Teamsと対峙するストーリーは想像できませんが、いずれどこかのタイミングではバッティングするのでしょうね。

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長期滞在にリモートワーク利用、Airbnbに起こる劇的変化ーー資金はさらに10億ドルを調達

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ピックアップ:Airbnb Announces $1 Billion Term Loan ニュースサマリー:Airbnbは14日、COVID-19に向けた対策の一環としてシンジケートローンを利用した10億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はプライベートエクイティーファンドのSilver Lakeが務め、BlackRock、Eaton Vance Corp、Fidelity Inves…

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Image Credit : Airbnb

ピックアップ:Airbnb Announces $1 Billion Term Loan

ニュースサマリー:Airbnbは14日、COVID-19に向けた対策の一環としてシンジケートローンを利用した10億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はプライベートエクイティーファンドのSilver Lakeが務め、BlackRock、Eaton Vance Corp、Fidelity Investment、T.Rowe Price Group Incも参加している(総勢20以上)。

同調達はファースト・リーン(第一順位の抵当権付ローン)で実施される。つい先日には、今回のラウンドにも参加するSilver Lake、またSixth Street Partnersから同額の10億ドルを調達していた。このラウンドはセカンド・リーン(第二順位の抵当権付ローン)と株式で構成されている。

話題のポイント:Airbnbは今月始め、COVID-19に応じて長期滞在を受け入れるホストの割合が増加していることを同社ブログにて公表していました。それによれば、全体の80%以上がロングタームでの貸し出しを許可し、その内50%が長期滞在ディスカウントを提供しています。

今まで民泊のロングターム利用といえば、ビジネストラベラーを中心とした利用者層が割合を多く占めていました。「ビジネストラベラー版Airbnb」と称される2nd Addressや、Lyricなどは急激な成長を遂げ、また、ホテルの空き部屋等をマンスリーベースで貸し出すプラットフォームAnyplaceの成長も著しく、フレキシブルにワークベースを創り出す手段として注目されている状況です。

Airbnb本体にも、Airbnb for Workと称し、ビジネストラベラーに特化したサービスの展開を進めていました。しかし、今回のパンデミックで一気に「ビジネストラベラー」の需要は減り(物理的な移動を要するビジネストラベラー)、逆に緊急で中長期にわたり居場所を確保する必要が伴う層からの需要が増したことが伺えます。

Airbnb product screenshot showing a modal window that introduces host to a tool that that helps them set up their listing(s) for longer term stays.
長期滞在を促すポップアップ

さて、同社が医療従事者向けに住居の提供を始めていることに加え、例えば米国では、大学のオンライン授業への移行で寮が一時封鎖されるケースが目立ち始めています。それに伴った一時滞在の場所として賃貸契約が生じない民泊、Airbnbのロングターム利用へのシフトが大きく始まっています。

また、ビジネストラベラーは減少傾向にあるものの、AirbnbをWork From Home環境としてロングターム利用する需要が高まっている気配を感じます。例えば東京の物件では「リモートワーク向け」といった文言が強調され始めているなど、そうした需要の可能性をコミュニティーが感じ始めているのだと思います。

元々同社は「C2C型・ショートステイ」として目まぐるしい成長を遂げてきました。そのため、全てのステイをロングステイベースと変化を遂げていくには、企業・ホスト両社にとってカルチャーが大きく変わるターニングポイントとなりそうです。

同社は先日、今までホストがフィジカルに提供してきた「Airbnb Experience」を完全オンライン型にするなど、#StayHome の流れに積極的な貢献姿勢を見せています。

同社共同創業者であるBrian Chesky氏は「冒険し、だれかと繋がり、新しい経験をし、「家」という心地よい場所を持ちたいという欲求は何があろうと普遍的かつ永続的なものです。私たちが進むべき道はこれからも変わりません」とリリースで述べており、彼らの信念は何があろうと簡単には変わらないことが伝わります。

ホスピタリティー・トラベル業界が苦しんでいる中でも、総額20億ドルの資金を集めることができる強さはこの辺りにあると感じます。

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平時と戦時、それぞれのCEOの存在意義ーーAndreessen Horowitzが贈る10年分のリーディングリスト

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ピックアップ:Reading List for Leaders in Uncertain Times 新型コロナウイルによる経済損失はほぼ全ての業界にて現在進行形で進んでいる。そんな時代を生き抜くため、著名VCのAndreessen Horowitz(a16z)は同社が今までに執筆してきた、今の境遇だからこそ読むべき「Reading List」を公開した。 同リストは、同社が過去10年に渡りスター…

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Photo by Andrea Piacquadio on Pexels.com

ピックアップ:Reading List for Leaders in Uncertain Times

新型コロナウイルによる経済損失はほぼ全ての業界にて現在進行形で進んでいる。そんな時代を生き抜くため、著名VCのAndreessen Horowitz(a16z)は同社が今までに執筆してきた、今の境遇だからこそ読むべき「Reading List」を公開した。

同リストは、同社が過去10年に渡りスタートアップへ向けたメッセージとして公開してきたアーカイブで構成される。特にリーダーシップ、メンタルマネジメント、戦略、また事業運営をトピックとしたものでまとめられる。以下では、リーダーシップに枠組みされるストーリーをまとめた。

Peacetime CEO/Wartime CEO (戦時と平時、それぞれのCEOの存在意義)

概要:2011年、GoogleのCEOがエリック・シュミット氏からラリー・ペイジ氏へと移り変わる際に、a16z創業者であるベン・ホロウィッツ氏によって書かれたもの。当時、あらゆるメディアは社交的であったエリックから、シャイなラリーへとCEOの座が移ることで、はたして彼がGoogleの「顔」となれるのかばかりに焦点を当てていた。しかし、ベンはGoogleのCEOがラリーに代わる意義は同社が「戦時」に突入する意思だと表現し、エリックもラリーも同様の考えを持っていると語っている。

所感:ここでいう「Peacetime」並びに「Wartime」は以下のような定義です。

Peacetime:Those times when a company has a large advantage vs. the competition in its core market, and its market is growing. In times of peace, the company can focus on expanding the market and reinforcing the company’s strengths.

Wartime: A company is fending off an imminent existential threat. Such a threat can come from a wide range of sources including competition, dramatic macro economic change, market change, supply chain change, and so forth.

「Peacetime」は、一言でいえば無敵状態。大きなアドバンテージを持ち、他社に影響を受けることが少ないため、何も気にせずマーケット拡大につき進める状態としています。対して「Wartime」は想定できないマクロ的な経済影響や競合他社による潰し合いが起きている状態と定義しています。

では、両者におけるCEOの存在意義はどういった点にあるのでしょうか。記事内では数多くの面で両者の役割を比較していました。以下はその一例です。

(1)Peacetime CEOは勝ち筋を知っている者。反して、Wartime CEOは勝ち筋と思われている常識を覆すことが出来る者

(2)Peacetime CEOはスケーラブルで、ハイボリュームな採用活動を実践する者。反して、Wartime CEO はPeacetimeの活動しつつも、レイオフを遂行できる者

(3)Peacetime CEOは企業カルチャーを定義する。反して、Wartime CEOは「War」にカルチャー定義をさせる

(4)Peacetime CEOは常に不測の事態に備えるプランを持っている。反して、Wartime CEOにはサイコロを振って運任せな気持ちも必要

(5)Peacetime CEOは市場拡大を試みる。反して、Wartime CEOは市場を勝ち取りに行く

Which Way Do You Run?  (不安に包まれた時、創業者がとるべき行動)

概要:2019年にベン・ホロウィッツ氏によって執筆された、創業者特有の「不安」への対峙を示したもの。同氏がドットコムバブル時にCEOを務めていたLoudcloudで感じた、創業者としての不安心の経験ベースに話が構成されている。

所感:スタートアップ創業者にしか分からない、あらゆるケースへの「不安」が題材となっています。バリュエーションの変化による精神的不安や、自分の選択で雇った従業員の分野に対する理解度が想像以上に低かったことによる後悔から生じる不安。これらに対してどう立ち向かうべきなのかに対し、自身の経験を元に話が綴られています。印象的なのはベンのこの一文。

To this day, every time I feel fear, I run straight at it, and the scarier it is, the faster I run.(今の今まで、恐怖や不安を感じるたびに、ただそれに向かって、怖ければ怖いほど、早く走ってきました)。

First Rule of Leadership (リーダーシップ、最初で最後のたったひとつのルール)

概要:2017年にベン・ホロウィッツ氏によって執筆された、リーダーシップの最初のルールについて記されたもの。1993年に、プロバスケプレーヤーCharles Barkley氏の著名なセリフ「 “I am not a role model. Just because I dunk a basketball doesn’t mean that I should raise your kids.”」からリーダーシップのあるべき姿が論じられている。

所感:記事内では、リーダーシップとは難しいものでなくたった一つのルール「 In order to be a great leader, you must be yourself.」を軸に話が展開していきます。つまり、立場が変われど自分自身で居られることが最大のリーダーシップであるという意味です。

実際、これは当然のように感じられますが、ベンはこの当然がなかなか難しいと伝えています。同氏はStanという人物を例に出してこの状況を説明しているのですが、マネージャーに昇格した途端「Stan」から「Manager Stan」へ変わってしまい、Stan自身が評価されていたにもかかわらずマネージャーという頭文字が付いてしまえば、そこにリーダーシップは生まれないという論理を展開しています。

Lead Bullets(銀の弾丸はない)

概要:2011年にベン・ホロウィッツ氏によって執筆されたプロダクト開発における必要不可欠な心掛けについて記されたもの。

所感:Benは良く起業家と以下のような会話をするとしており、ここに全ての本質が詰まっています。

Entrepreneur: “We have the best product in the market by far. All the customers love it and prefer it to competitor X.”

Me: “Why does competitor X have five times your revenue?”

Entrepreneur: “We are using partners and OEMs, because we can’t build a direct channel like competitor X.”

Me: “Why not? If you have the better product, why not knuckle up and go to war?”

Entrepreneur: “Ummm.”

Me: “Stop looking for the silver bullet.”

銀の弾丸は、あらゆる困難を一発で解決できるような素晴らしい方法のことを一般的に差します。同氏は、企業運営において銀の弾丸探し、つまりただひたすら「珍しいプロダクト機能」を追い求めるほど意味のないことはないと語ります。早い段階から銀の弾丸を探しにピボットを始めてしまうことで、マーケットの需要から製品の本質がずれていくことを意味しているのでしょう。経営者として、逃げ出したくなる時に自問自答すべき一文で締めくくられています。

“If our company isn’t good enough to win, then do we need to exist at all?”

いずれのストーリーも、ベンの実体験を基に話が構成されていました。哲学的でもあり、説得性のある、まさにAndreessen Horowitzらしさが詰まったリーダシップに関わる一覧と感じます。上述以外にも、下記2つのポッドキャストがリストに記載されていたので、ぜひ聞いてみてください。

次回は「On managing your own psychology and professional development」、メンタルマネジメントと成長についてお届けします。

 

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Airbnbが医療従事者に宿泊先を無償提供、2万件のホストが提供を申し出

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ピックアップ:Airbnb Hosts to Help Provide Housing to 100,000 COVID-19 Responders ニュースサマリー:Airbnbは26日、新型コロナウイルス(COVID-19)対策に従事する医療関係者向けに宿泊先を無償にて提供するプログラムを発表した。これは国際赤十字、国際救済委員会、国際医療隊と協力で実施される。同プログラムは同社が2012年よ…

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ピックアップ:Airbnb Hosts to Help Provide Housing to 100,000 COVID-19 Responders

ニュースサマリー:Airbnbは26日、新型コロナウイルス(COVID-19)対策に従事する医療関係者向けに宿泊先を無償にて提供するプログラムを発表した。これは国際赤十字、国際救済委員会、国際医療隊と協力で実施される。同プログラムは同社が2012年より開始した、Open Homes Platformの一環として実施される。

話題のポイント:AirbnbのOpen Homes Platformはこれまで、災害や難民の「一時避難場所」としてサービス提供してきました。「ホストが無償で自宅を提供する」という概念が提唱されたのは、2012年にニューヨークを襲ったハリケーン・サンディーの際に同社ホストが被災者の避難所として無償提供したのが始まりだと言われています。

同社共同創業者でCEOのBrian Chesky氏によれば、27日(アメリカ時間)朝にて約2万を超えるホストが医療従事者に向けて自宅の提供に名乗り出ていると報告しています。

上述通り、同社は今まで難民のみを対象に同プログラムを提供していたため、医療関係に伴うこうした動きは初の試みとなります。そのため、どれだけのホスト側賛同者を得られるか不明でしたが、約24時間で2万人・2万宅のスペースを確保できたことになります。

しかし仮に、COVID-19問題が長期化(1年以上)するとなると一体どこまで同プログラムを継続し続けるのかの選択は難しい問題に発展しそうです。

確かに、現状は最低でも2万の自宅を確保しているものの、実際に参加しているホストはホスティングにて”それなりの”収入があった層であることが想定できます。これは、同プログラム参加条件である「Entire Home (まるまる貸切)」や清掃体制が整っている必要性があるからです。

同社は今月14日にCOVID-19に伴う宿泊予約のキャンセルを一定ポリシーに基づき無料としました。筆者も同期間内にキューバのAirbnbに宿泊予定でしたが、驚くほど迅速にキャンセル手続きをすることが出来ました。手続きの際には、こちらから連絡するよりも前にホスト側からキャンセルポリシーに関して詳細な連絡が届くなど、おそらくAirbnb側からホスト側へ何かしらのアクションがあったのかと感じています。

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同社は今年にもダイレクトリスティング(直接上場)されるのではないかと言われていたほど順調な経営状態でしたが、上述のようなキャンセル続出により「ホスピタリティ業界の牽引企業」として大打撃を受けるのは避けられないでしょう。

しかし、企業は事業に需要があれば資金は集まるため内部崩壊の心配はさほど大きくありません。どちらといえば、ホスト側がどこまで耐えられるか、つまり自宅をホスティングすることで大部分の生計を立てていた層のサポートをAirbnbは積極的に実施することが求められるかもしれません。

Reutersの報道によれば、米国におけるホストは失業保険を受けられる可能性が高いとしており、こうした面からの資金サポートが受けられるかは民泊事業者の重要なターニングポイントであると感じます。(「Airbnbのホスト」が職業として公に認められるという意味でも)。

同社最大の売りでもある「ネットワーク効果」が一気に没落することは考えにくいですが、一時的なストップな状態へと突入するのは仕方なさそうです。

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1年契約のAirbnb「Zumper」が目指す、長期滞在型民泊の可能性と体験

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ピックアップ:Zumper Secures $60M To Become The ‘Airbnb For One-Year Leasing’ ニュースサマリ:賃貸住宅のマーケットプレイスを運営する「Zumper」は10日、シリーズDにて6000万ドルの資金調達を実施したことを発表した。リード投資家にはe.venturesが参加し、Greycroftも同ランドに参加している。 同社は米国・カナダにお…

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ピックアップ:Zumper Secures $60M To Become The ‘Airbnb For One-Year Leasing’

ニュースサマリ:賃貸住宅のマーケットプレイスを運営する「Zumper」は10日、シリーズDにて6000万ドルの資金調達を実施したことを発表した。リード投資家にはe.venturesが参加し、Greycroftも同ランドに参加している。

同社は米国・カナダにおける賃貸マーケットプレイスを展開するスタートアップ。「ホテル予約のシームレスさを賃貸に」をミッションに置き、賃貸契約までの手軽さを売りとしている。今回の調達ラウンドにて、同社は2012年の創業依頼、累計で1億5000万ドルの資金調達に成功していることになる。

話題のポイント:「賃貸のシームレス体験」を自称するZumperですが、賃貸契約の流れをオンラインへシフトさせただけであれば、同社以外にもZillowやApartments.comなどのオンライン型マーケットプレイスは数多く登場しています。

また、Zumperは「Airbnb For One Year Leasing」の実現を目標としているものの、中長期型民泊も例えばWhyHotelなど多岐にわたって勢力拡大が始まっています。そのため、Zumper特有なオリジナリティー性はそこまでないのが実情です。

とはいえ、同社は今後の戦略に「Airbnb」というキーワードを持ち出しています。これは、今後の展開としてZillowなどには見られない、個人間の利用体験を加速していくことが想定できます。

特に注目したい体験が支払いです。同社ではアプリ内にて家賃の支払いが完了するペイメントの仕組みの導入を開始しています。つまりサービスプラットフォーマーとして家賃のやりとりを集約しているのですが、これはUberやAirbnbなどでもお馴染みの体験で、利用しているサービス(今回の場合は賃貸している家)をスイッチしやすいことにつながります。

例えば先日シリーズAにて2000万ドルを調達した「Landing」もひとつの参考です。同社では、メンバーシップ型の賃貸契約サービスを導入することで、入居から退去まで、まさにフレキシブルな体験提供を目指しています。

<参考記事>

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一方で全てがシンプルに設計されているかというとイマイチな点もあります。

上図はZumperの賃貸申し込み(問い合わせ)初期画面です。簡単な個人情報のみで、問い合わせが可能なのはありがたいですが、これ自体はZilliowなどでも一般的なフローとなっています。同画面からの問い合わせ後、担当者より連絡があり、物件の内覧といった流れです。

これでは「Airbnbの楽さ」や「ホテルのような予約体験」には程遠い煩わしさが伴います。民泊プラットフォームが持つスムーズさを実現するためにはこのあたりのフローも何かアイデアが欲しいところ。

まあ、一年契約なので契約や諸手続きが煩雑なプロセスなこともあり、確かに問い合わせまではデジタル化されていても、その後のやり取りを旧来型に据え置いているのはプライオリティの問題だけなのかもしれませんが。

 

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【新型コロナ】Facebookが中小向け「1億ドル規模」の支援金を発表、最大3万社に配布へ

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ピックアップ:Facebook Small Business Grants Program ニュースサマリー:Facebookは17日、新型コロナウイルス(COVID-19)にて経済的影響を著しく受けている中小企業向け支援プログラムを1億ドル規模で実施することを発表した。対象となるのは、Facebookがオペレーションを実施する世界30カ国における企業。最大で3万社への支援が予定されている。 支援…

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ピックアップ:Facebook Small Business Grants Program

ニュースサマリー:Facebookは17日、新型コロナウイルス(COVID-19)にて経済的影響を著しく受けている中小企業向け支援プログラムを1億ドル規模で実施することを発表した。対象となるのは、Facebookがオペレーションを実施する世界30カ国における企業。最大で3万社への支援が予定されている。

支援金自体はキャッシュまたはFacebookにおける広告クレジットを通し配布される。そのため、キャッシュでの受け取りを希望する場合は、使用用途に制限なく利用することができるとしている。

話題のポイント:Facebookが実施する支援プログラムは、上述通り3万社へ1億ドルとなるので、1社単体で見ると平均3000ドル程度と見積もられます。具体的な応募プロセスや、実際に資金が配布される時期などの詳細は未だ発表されていませんが、同社によれば数週間以内の迅速な対応を進めていくとしています。

数週間前にはMicrosoft、Amazonなどが共同でウイルス対策ファンド「COVID-19 Response Fund」を設立するなど、各IT企業を中心とした資金的援助策がでてきています。また、義援金以外にも、コロナウイルスに関わるフェイクニュースを撲滅し、正しい情報を届けるためMS、Facebook、Google、LinkedIn、Reddit、Twitter、YouTubeが共同声明を発表しています。

Facebookに目を向けると、実際にオフィシャルな形でコロナウイルスに関わるニュースをチェックできる機能を実装し、リアルタイムでWHOや国家機関の近況を確認することが可能です。また同時に、Business Resource Hubと呼ばれる特設サイトを開設し、中小企業が現在の状況でいかにインターネットを活用し困難を乗り切れるかの諸情報を発信するなど協力的な姿勢を見せています。

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世界各国では、カフェやレストランなどの運営がウイルス感染対策として原則禁止されるなど、収入源を完全に断たれている状況下にある地域が増え始めています。筆者の住むシアトルも、原則レストラン・カフェ・バーなど接触を伴う事業は禁止されているものの、UberEats等を利用したデリバリーは許可されています。

しかし、UberEatsなどテクノロジーベースのサービス利用経験のない事業者は、導入までにかなりのギャップを感じているというのが実情だと思います。なのでこのようなテクノロジーと無関係だった中小企業に対しては、直接的な支援の方が受け入れやすいのは間違いありません。

もちろん、サービス提供の企業側にとっては導入事業者絶対数を増やす機会となりますが、同時に事業者にとっても固定費用支出を少しでも減らせることを考えれば導入を拒む理由が見当たりません。

また、下記ツイートが示しているようにレストランオンライン予約の「OpenTable」も新型コロナウイルスの状況悪化に伴い、新たな局面に入っていることがわかります。もちろんOpenTable自体もそうですが、そうしたオンライン予約に頼っていたレストランの悲痛さが伝わってきます。

そのほかで影響が大きいものと言えばやはりAirbnbがあるでしょう。米国が3月19日より、国外への渡航を実質禁止にしたことで、例えば中南米で民泊を営んでいる事業者の春休み期間における米ドル収入源は完全に断たれたことになります。

このように、実際見えないところで多くの収入源が立たれるところを見ると、いかに新型コロナウイルスが世界経済を狂わせているのかがわかります。筆者も現地で過ごしながら超短期的な、数日先の生計に不安を抱えるアメリカ労働者の実情をひしひしと感じています。今後、州政府がいかにこの混乱を短期・中期的に乗り越え、また、時にはIT企業との協力で打開策を見つけていくのか、緊迫した状況は続いていきそうです。

 

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5年前に「次の疫病大流行」を危惧していたビル・ゲイツ氏、新型コロナに関する31の問に答える

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ピックアップ:31 questions and answers about COVID-19 ニュースサマリー:3月18日、マイクロソフト共同創業者で現在はBill & Melinda Gates Foundation (ビル&メリンダ・ゲイツ財団)にて慈善活動に力を入れるビル・ゲイツ氏は、Reddit上にて新型コロナウィルス(COVID-19)に関する「Ask Me Anything (…

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ピックアップ:31 questions and answers about COVID-19

ニュースサマリー:3月18日、マイクロソフト共同創業者で現在はBill & Melinda Gates Foundation (ビル&メリンダ・ゲイツ財団)にて慈善活動に力を入れるビル・ゲイツ氏は、Reddit上にて新型コロナウィルス(COVID-19)に関する「Ask Me Anything (AMA) 」を実施した。AMAでは、同財団を通した活動方針を交えながら、パンデミックに対していかに向き合い、収束へ導くべきかを中心に回答している。

話題のポイント:2015年、ビル・ゲイツ氏がTED TALKにて講演した「The next outbreak? We’re not ready(もし次の疫病大流行(アウトブレイク)が来たら?私たちの準備はまだ出来ていない)」がまさに現在世界を股にかけたパンデミックと重なっていると話題になっています。

同講演では、私たちの世代が最も恐れ準備を進めるべきなのは「戦争による核爆弾」ではなく「空気感染するウイルス」であることが論じられています。

エボラウイルスがアフリカ大陸で蔓延した事例を基に、いずれ近い未来に起こり得る世界的パンデミックへの対抗策を今すぐに始めなければならない、また、エボラウイルスは空気感染しないかったのは偶然的なだけで、いつ空気感染するウイルスがアウトブレイクするかは未知なことを理解しなければならないと強調しています。

以下は、今回のReddit上でのAMAを一部抜粋したものです。パンデミックで最も恐れること、最大の解決先はどこにあるのか?という問いですが、この質問に対する答えは、5年前となる上記TED TALKでも明確に語られていました。

Q : 私たちが今起きているパンデミックで最も恐れるべきことは何なのでしょうか?また、これら悪循環を抜け出す希望はあるのでしょうか?

A : 今、最もパンデミックが進んでいるのは先進国(裕福国)がほとんどです。そのため、きちんと統制のとれた感染確認フローやソーシャル・ディスタンシング(シャットダウン)を実行に移せれば2〜3か月で最小限に抑えられるはずです。もちろん、それに伴う経済損失も大きいですが、私が最も恐れているのは、貧困国におけるパンデミックの収束手段です。彼らにとって、ソーシャル・ディスタンシングは容易ではないですし、医療施設も充実していません。

政府機関がある程度の統制を取れ、医療機関が充実した先進国であればパンデミックにおける最大の対策である「ソーシャル・ディスタンシング」を選択できるため、大きな心配はないとしています。TED TALKにおいても同様の回答を残しており、同氏はその際も「Poor Countries (貧困国)」への医療環境を整えることが、最大の対策であると当時から触れていました。さらに同氏は講演にて、世界規模のヘルスケアシステムを整えなければならないと触れており、その理由に関しても今回のAMAにて回答しています。

Q: いつ、COVID-19は終わりを迎えるのですか?

A: グローバルに絶対数をゼロに近づけるためにはワクチンの存在が欠かせません。裕福国は適切な太陽によって感染の絶対数を減らすことが可能です。しかし、貧困国にとってそれは容易くありません。そのため、ワクチンは絶対不可欠なのです。そうした国々へワクチンを必要数届けるため活動するGAVIという団体が、重要な役割となるでしょう。

同氏はTED TALKにて、現代社会がスペイン風邪が起きたような1910年代とは比較にならないほど情報伝達性や医療発展に恵まれていると述べています。しかし、最も重要なワクチンについては、これを貧困国へ届け、診断・研究開発が実施できるシステム構造が整備されているとは言い難いとしています。これがまさに現段階における問題点の核心であるというのがゲイツ氏の指摘なのです。

さて、ビル&メリンダ・ゲイツ財団も今回のCOVID-19対策には積極的なかかわりを見せており、新型コロナウイル感染の是非を自宅で検査可能なキットの配布も近日中に実施することを明らかにしています。

マイクロソフトにおける取締役を正式に退いた同氏が、現在進行形で進むCOVID-19に如何に関わりを見せ、「The next outbreak? We’re not ready」にて述べた世界的ヘルスケアシステムを構築していくのか非常に興味深いです。

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