Takashi Fuke

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執筆記事

行動経済×チャレンジャーバンクーーイスラム教徒向けオンライン銀行「insha」

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行動経済とフィンテックの相性の良さは度々目にします。出費を抑えたり、貯蓄目標を達成させるために特定の行動をトリガーとする設計のものです。 たとえば貯蓄アプリ「Qapital」。2015年に米国で立ち上げられ(創業はスウェーデン)、3,000万ドルの調達を果たした2018年には米国市場で42万ユーザーを抱え、5億ドル近くが貯蓄されたといいます。同社はデビットカードから予算管理ツール、ロボ投資に至るま…

Image Credit:insha

行動経済とフィンテックの相性の良さは度々目にします。出費を抑えたり、貯蓄目標を達成させるために特定の行動をトリガーとする設計のものです。

たとえば貯蓄アプリ「Qapital」。2015年に米国で立ち上げられ(創業はスウェーデン)、3,000万ドルの調達を果たした2018年には米国市場で42万ユーザーを抱え、5億ドル近くが貯蓄されたといいます。同社はデビットカードから予算管理ツール、ロボ投資に至るまで、多岐にわたるサービスを展開しています。

ユーザーは自分で貯金目標額と、そのためのトリガー行動を設定します。たとえば毎日スタバでコーヒーを買うのであれば、カード利用されると同時に同額を貯金すると言った具合です。ユーザーの目標を満足させるため、日常行動を基にサポートするQapitalの業態はある程度市場にハマっているようです。

Qapitalのサービス形態はターゲットを変え、特化市場向けに応用されています。それがイスラム教徒向けのチャレンジャーバンクを展開する「insha」です。

Image Credit:insha

inshaは欧州市場を中心に展開する、「規範ある口座」をコンセプトにした銀行サービスです。オンライン銀行口座や貯蓄目標のサポートなどはQapitalと同じ。同社は先日250万ユーロの調達に成功しています。預金が何に使われているかを気にする倫理的意識の高い消費者層に向けて、より幅広い金融商品を提供するのがinshaです。同社の投資口座を利用することで、ユーザーは倫理的なビジネスアイデアに投資することができるようになります。

もともとイスラム教では自分で働くことなくお金を稼ぐことが嫌われています。

そのためinshaでは、利息を徴収する消費者ローンに預金が使われていないことが保証されています。加えて、投資講座の運用資金が武器製造業者を筆頭とする道徳的に問題性のある企業へ流れることもありません。お金の流れも宗教や改修制度に伴うことで変わってきます。UXも当然変わるので、この点を行動経済学に則って最適化させたのがinshaです。

イスラム教は世界で大きな影響力を持つ宗教のひとつです。中東や東南アジア、中国にもリーチできる市場がありますし、Qupitalとは違い市場特化型のサービスであるため、同じ共通点を持ったコミュニティ形成もしやすい印象があります。TAM(Total Addressable Market)の大きさを考えつつ、他社と違いのあるコンセプトを打ち出すことで差別化の図りやすいサービス事例の好例と言えるでしょう。

今回はイスラム教の事例を挙げましたが、それ以外にも特定の疾患や職種、民族、ジェンダーに最適化したオンライン銀行が出てくるかもしれません。金融機関も幅広く種類が用意される時代になってきそうです。

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Zoomに足りない体験で競争加速、ちょっと便利なウェブ会議ツール市場

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ウェブ会議ツールが多数登場しています。オンライン授業が中心となった教育現場と、企業の会議ユースケースにおいて多くはZoomが導入されています。そしてこの流れに乗り、Zoomには足りない多機能サービスが待望されるようになりました。Zoom自体も新たなプラットフォーム戦略を発表しています。 たとえば先日ステルスからの公式立ち上げが発表された「Grain」が挙げられます。手軽にオンライン講座・ミーティン…

Image Credit : Grain

ウェブ会議ツールが多数登場しています。オンライン授業が中心となった教育現場と、企業の会議ユースケースにおいて多くはZoomが導入されています。そしてこの流れに乗り、Zoomには足りない多機能サービスが待望されるようになりました。Zoom自体も新たなプラットフォーム戦略を発表しています。

たとえば先日ステルスからの公式立ち上げが発表された「Grain」が挙げられます。手軽にオンライン講座・ミーティングの議事録を取れるサービスとして登場し、4月には400万ドルを調達しています。同社はZoom会話の録音・録画・書き起こし・ハイライトを記録し、Slack・Twitter・Discord・Notionなどのプラットフォームに共有することができる動画メモサービスです。今後ビジネス向けにサービスを売り込む予定だとのことです。

Grain創業者のMike Adams氏は出世払い大学「Mission U」の創業者でもあります。同校はウェブ会議サービスを使った講義を行うオンライン形式の学校で、教育費用は卒業後に5万ドルを稼げる職に就いたら、3年間毎月収入の15%をシェアするISA(Income Sharing Agreement)型のビジネスモデルを確立しました。

Mission Uの経験から誕生したGrainが最初に切り込むのは教育市場でしょう。この点、Grainは学生ニーズを的確に汲み取ったサービスとして展開することが予想されます。同校以外に、Minerva Schoolのようなオンライン校からユースケースを作っていくと予想されます。

Image Credit : Grain

コロナの影響もあり、オンラインスクールが急速に普及しています。講義体験をリッチ化させるAdd-Onサービスの需要も上がってくるでしょう。たとえば、学生がオンライン授業でメモを取りたいと考えた時、先生が話している内容の一部を録音して保存したり、クラスメートと共有したりすることができ、講義全体を見直す必要をなくす便利なサービスが求められます。

似たようなWeb会議ツールを見ると、録画サービス「Loom」に注目が集まっています。同社は資料説明動画が手軽に録れる非常にシンプルなサービスです。Sequioaも投資をしており、累計調達額は4,480万ドル。他にもEvernoteの創業者が立ち上げ、先日3,100万ドルの調達を発表したZoomプレゼン向けエフェクト追加サービス「mmhmm」も登場しています。加えて、Grainの直接競合にも当たる、つい先日430万ドルの調達とステルスからの公式ローンチを発表した「Vowel」も市場参入しています。

いずれもZoomやSkypeのようなコミュニケーション・プラットフォームではなく、機能追加できるエクステンション型のサービスです。上場するに至るまでサービスが成長するかどうかは疑問ですが、Zoomを含め大手に買収される可能性は十分にあるでしょう。

たとえばSlackは2017年、YC出身のスクリーンシェアサービス「ScreenHero」を買収しています。Loomやmmhmm、Grainがエグジットするとしたら、このようなプラットフォーマーに技術力やユーザーを買われる形だと考えられます。Zoomが高い音声解析技術を持つ書き起こしサービス「Otter.ai」と提携したりと、スタートアップと組む事例も発生していることから、今後レッドオーシャン化しているウェブ会議市場がどのような勢力図になっていくのか、注目が集まりそうです。

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フィットネス版Netflix「Playbook」ーーパッションエコノミーの流れを掴む動画市場

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質の高いコンテンツを持つ個人が、プラットフォームの制約にできるだけ縛られずサービスを提供できるパッション経済の流れが加速しています。自らサービス内容を考え、市場展開できるほどの熱意ある個人事業主を指す「マイクロ起業家」の活躍です。なかでもフィットネス市場の機運が高まっている印象です。2020年はLululemonが鏡型フィットネス器具「Mirror」を5億ドルで買収するニュースが報じられたり、Ap…

Image Credit:Playbook

質の高いコンテンツを持つ個人が、プラットフォームの制約にできるだけ縛られずサービスを提供できるパッション経済の流れが加速しています。自らサービス内容を考え、市場展開できるほどの熱意ある個人事業主を指す「マイクロ起業家」の活躍です。なかでもフィットネス市場の機運が高まっている印象です。2020年はLululemonが鏡型フィットネス器具「Mirror」を5億ドルで買収するニュースが報じられたり、Appleが「Apple Fitness+」を立ち上げたりと、市場を賑やかせています。

在宅フィットネス市場の成長は、冒頭で紹介した個人をエンパワーメントするトレンドと重なり、「在宅フィットネス + マイクロ起業家」の流れを生みそうだと感じています。その中でも期待されているのが今回紹介する「Playbook」です。同社は10月14日に930万ドルの調達を発表しました。6月に300万ドルのシード調達を達成したばかりで、投資家からの注目も集めています。

Playbookはフリーランストレーナー(“フィットネス・クリエイター”)が、動画フィットネス教室をサブスク型で提供するための支援ツールです。決済・動画配信・スケジュール設定・アクティビティ分析などの各種機能を提供。ソフトウェア利用料としてクリエイターから手数料20%を取る形のSaaSモデルとして展開しています。

同社は、フィットネスクリエイターたちのコンテンツを集約し、月15ドルもしくは年99ドルの利用料でユーザーを獲得。Netflixと同様のサービス形態で集客支援をある程度自社で行っています。視聴数に応じた収益分配が行われる一方、クリエイターが発行したオリジナルURLを踏み、自分たちのファンがサブスク加入をした場合、手数料を抜いた残り80%全額が手元に渡る仕組みとなっています。こちらの方が取り分は大きいです。

Netflixモデルと、個人が提供するフィットネスプランを上手くミックスしているのがPlaybookの特徴です。多くのコンテンツの中から好きなクリエイターがいれば、そのまま個人のコミュニティに入れる動線を作り出しています。

パンデミックの影響で、ジムの営業が苦しくなり、別の職を探す必要も出てきたトレーナーたちを救える、社会的な意義もあるプラットフォームがPlaybookと言えるでしょう。日本でも「MOSH」のような個人ビジネス支援プラットフォームが登場していますが、未だPlaybookのような領域特化の機能を持ち合わせたサービスは登場していません。

在宅フィットネスサービスは過去あまりヒットしていない日本ですが、コロナの影響で生活習慣とジムの経営スタイルが見直されつつある今、個人のトレーナーを応援する動画配信アプリは大きなチャンスを掴めるかもしれません。

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夢の別荘は近場でーーPacasoが採用した少人数・共同所有モデル(2/2)

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(前回からのつづき)米国には約3,000万戸の別荘が存在しているそうです。しかし利用期間は年間で4〜6週間。言い換えれば11カ月ほどが使われずにいます。しかもこうした物件に飽きて、不動産を売買したいとなると未だに煩雑なプロセスが伴います。ここに共同所有の考えを用いたのがPacasoです。 まず同社は顧客需要が高そうな物件を代表して購入します。その物件を欲しい購入希望者は物件シェアの1/8(12.5…

Image Credit:Outsite co

(前回からのつづき)米国には約3,000万戸の別荘が存在しているそうです。しかし利用期間は年間で4〜6週間。言い換えれば11カ月ほどが使われずにいます。しかもこうした物件に飽きて、不動産を売買したいとなると未だに煩雑なプロセスが伴います。ここに共同所有の考えを用いたのがPacasoです。

まず同社は顧客需要が高そうな物件を代表して購入します。その物件を欲しい購入希望者は物件シェアの1/8(12.5%)〜50%を保有する必要があります。残ったシェアはPacasoが保有し続け、他の購入者を探すまで持ち続けます。最低シェアが1/8であることから、物件は最大8名の間で共有される計算となります。

Pacasoは共同所有を実現させるため、代表して購入した物件の売却開始と同時にLLC(有限責任会社)を設立します。つまり、1つの物件を1つの会社で運営できる体制を整えるのです。シェア率に関わらず、常に会社の経営はPacasoが担うため、メンテナンス、資金調達(物件購入のローン)、法務などの面倒な作業を顧客が考える必要はありません。収益源として、1オーナー当たり10〜15%の利ざや(手数料)を求めます。加えて購入価格の1%に当たる年間運営費用を徴収することで、定期収入も獲得しています。

一見、タイムシェアモデルと似ていると感じるかもしれませんが、冒頭で紹介したように都市部から2時間ほどの移動圏内にある物件に特化し、リゾート地ではなく、アットホームな住宅体験の提供に絞っているのが特徴です。

また、よくあるタイムシェアの物件は1年以内に購入期間を利用しなければならず、かつ物件価値は徐々に下がっていく傾向にあります。1部屋に対し50人が以上が利用予約するケースもあるため期間変更も難しくなります。この点、Pacasoは最大で8名の所有者がいるのみなので利用期間の予約が取りやすく、住宅価値も上昇する可能性が残っています。

競合には大手バケーションレンタル企業「Vacasa」がいます。別荘を民泊化するため、オーナー不在でも鍵の受け渡しや物件管理などのフルサービスを提供しています。同社の収入は10億ドルほどだそうで、十分なベンチマークと言える事業規模です。別荘購入を民主化させるPacasoがどの程度市場を切り開けるのかに期待が集まります。

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夢の別荘は近場でーーポストコロナの不動産購入「Pacaso」(1/2)

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2020年は顧客行動が大きく変わりました。例えばキャンプ用品市場。ソーシャルディスタンスを意識し始めた4〜5月以降、米国ではキャンプ、RV車、ドライブ旅行に関する主要製品が2桁、3桁の伸びを示したそうです。こちらの記事では、4月後半の2週間、レクリエーション・テント(30%増)、ハンモック(103%増)、キャンプセット(119%増)、キャンプファイヤー用品(42%増)などのキャンプ用品の売上が増加…

Image Credit:Pacaso

2020年は顧客行動が大きく変わりました。例えばキャンプ用品市場。ソーシャルディスタンスを意識し始めた4〜5月以降、米国ではキャンプ、RV車、ドライブ旅行に関する主要製品が2桁、3桁の伸びを示したそうです。こちらの記事では、4月後半の2週間、レクリエーション・テント(30%増)、ハンモック(103%増)、キャンプセット(119%増)、キャンプファイヤー用品(42%増)などのキャンプ用品の売上が増加したことを伝えています。

空の移動が嫌厭されリゾート地や国外旅行が控えられました。そのため、他人との接触をなるべくしない大型バンやキャンプカーをレンタルして都心から2〜3時間、遠くても4〜5時間程度の郊外で過ごす需要が高まったのだと思います。同様のトレンドが別荘市場にも発生しています。

今回紹介する「Pacaso」は、まさに手軽に別荘で時間を過ごしたい需要を抑えた不動産売買プラットフォームを展開するスタートアップです。ただし別荘の場所はリゾート地ではなく、大都市から2〜3時間にある比較的容易にアクセスできる場所です。キャンプ市場と同じく近郊需要です。

同社共同創業者は不動産情報検索サイト大手「Zillow」のグループ企業で代表を努めた経験を持つSpencer Rascoff氏で、業界を知り尽くした経験豊富な企業です。また9月30日には、シアトルのVC「Maveron」がリードする1700万ドルのシードラウンドを発表し、Crosscut、Global Founders Capital、元スターバックスCEOのHoward Schultz氏らがラウンドに参加しています。シード調達に加え、合計2億5,000万ドルのデッド調達を行いました。(次につづく)

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【EC化するコンビニ】30分配達「goPuff」は次のセブンイレブンになれるか(3/3)

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(前回からのつづき) データ軸:goPuffは独自予測アルゴリズムを開発しており、各拠点の在庫レベルを常に把握しているため、在庫切れや代替品の必要性のリスクを軽減しています。配達員の移動速度や地域性、悪天候などの変数に基づいて配送システムを調整しているそうです。 加えて、例えば学生の顧客がどこから注文しているか(寮の部屋、図書館、パーティーなど)、何時に注文しているか、どのような種類の製品を注文し…

Image Credit:goPuff

(前回からのつづき)

データ軸:goPuffは独自予測アルゴリズムを開発しており、各拠点の在庫レベルを常に把握しているため、在庫切れや代替品の必要性のリスクを軽減しています。配達員の移動速度や地域性、悪天候などの変数に基づいて配送システムを調整しているそうです。

加えて、例えば学生の顧客がどこから注文しているか(寮の部屋、図書館、パーティーなど)、何時に注文しているか、どのような種類の製品を注文しているかまで把握し、それに応じてマーケティングプランを調整できるようにしています。同社は今のところデータを販売する予定はないと言いますが、Amazonなども手を出せていない膨大な独自の価値を持っており、物流とマーケティング、両方に寄与するデータを保有することで垂直統合型の配達サービスを確立しています。

簡単に5つの戦略を紹介しましたが、今回の大型調達の後押しになったのは新規ユーザー層へアプローチできたことにありそうです。同社のパンデミック関連のレポートによると、「週に1回以上注文する顧客数は90%近くの増加、注文金額は55%増加(2019年3月比)」したとあります。

成長要因となったのが、これまであまり需要のなかった料理および美容商品の販売売上増加にあります。在宅時間が増え、DIYの機会が増えると同時に新しいカテゴリー需要が発生。こうしたトレンドを見逃さずに先述した予測アルゴリズムに組み込み、的確な量の在庫を揃えることで対応できたのがgoPuffです。

さらに、若者世代だけでなく高齢ユーザーの流入も確認されたといいます。「新規顧客の注文額は、週7日のうち5日で既存のgoPuff顧客の注文額を上回った」とあることから、可処分所得の多い年齢層の高いユーザーがお金を多く落としていると言います。パンデミックの影響でgoPuffのCACが下がり、自然流入で顧客数を増やせています。こうした新需要に迅速に応える体制がgoPuffの魅力となっていると考えられます。

今後、膨大なデータを基に自社ブランド商品を販売することでさらなる利益率向上も狙えるかもしれません。特に消費財はブランド力が差別化要因にならないため、goPuffブランドでも十分に購入されるチャンスがあります。伸び代の高い事業モデルは次なるセブンイレブンの座を射止める可能性も踏めているでしょう。

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【EC化するコンビニ】30分配達「goPuff」の戦略とは(2/3)

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(前回からのつづき)goPuffのパフォーマンスは高く、新店舗領域を立ち上げると平均5.5カ月で損益分岐点を超えるそうです。これはコンビニ利用者の50%超を占めるミレニアルおよびZ世代の需要を汲み取ってることが要因となっています。それでは具体的にどのような戦略を打っているのでしょうか。5つ簡単にご紹介します。 製品軸:まず最初に挙げられるのが、衝動買い需要を抑えた製品ラインナップです。例えば深夜の…

Image Credit:goPuff

(前回からのつづき)goPuffのパフォーマンスは高く、新店舗領域を立ち上げると平均5.5カ月で損益分岐点を超えるそうです。これはコンビニ利用者の50%超を占めるミレニアルおよびZ世代の需要を汲み取ってることが要因となっています。それでは具体的にどのような戦略を打っているのでしょうか。5つ簡単にご紹介します。

製品軸:まず最初に挙げられるのが、衝動買い需要を抑えた製品ラインナップです。例えば深夜の間食や、大事な物資を切らしてしまった時など、すぐに満たしたいニーズがあります。また、生理品やピルを含む対面でもらうには恥ずかしい一方、緊急性を要する商品需要も挙げられます。Amazonプライムの配達では2日もかかるので待てないといった消費者心理を突くべく、商品ラインナップも必要性に駆られる物を中心に揃えています。

価格軸:競合他社がダイナミック・プライシングに基づき、時間帯によって配達料金を変えています。これは収益を配達料金に頼っているため、固定価格でのサービス提供ができないデメリットを抱えているからです。一方のgoPuffは配達料で稼ぐことはせず、商品販売マージンを収益源に据えることで低価格の配達料金設定を実現できています。

goPuff はサービス提供する都市において、在庫保管するために地元の倉庫施設を所有しています。注文は倉庫から直接顧客に届くため、物流の手間が省けます。パートナー企業から商品をピックアップして配達するプロセスは経ていません。物理的な流通センターを所有しているため、サプライヤーから卸売価格で製品在庫を一括購入できます。これにより、価格が低く抑えられ、利益を得るために配送料に頼る必要がなくなる仕組みです。顧客にとっては毎回配達コストを考える手間が省け、UXとしても洗練されたものとなります。

非競合軸6,478億ドルが米国のコンビニ販売高と紹介しましたが、その内3,959億ドルが燃料販売なのだそうです。ただ、利益率は比較的低く、コンビニ全体の利益額の38%しか占めません。一方の食品販売は利益率が高いのですが、フード配達となるとUberEatsを筆頭とする大手プレイヤーを敵に回す必要が出てきます。そこでgoPuffは生鮮食料品やレストランの出来立て料理の配達にウェイトを置いていません。販売するとしても長期保存可能な冷凍食品やスナック菓子がメインです。利益率の高いカテゴリーの中でも、競合を持たない戦略が功を奏しています。(次につづく)

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【EC化するコンビニ】生活品を30分配達「goPuff」が39億ドル評価へ(1/3)

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消費財(FMCG:Fast Moving Consumer Goods)のEC販売は、世界的に見ても成長市場となっています。2018年、オンラインFMCG販売高成長率は世界平均で20%、米国では35%となっており、飛び抜けた高さを見せています。代表例がコンビニです。コンビニの店舗数は15万店超。パンデミック以前には毎日1.65億人が利用していました。米国では2019年のGDP21.4兆ドルの内、約…

Image Credit:goPuff

消費財(FMCG:Fast Moving Consumer Goods)のEC販売は、世界的に見ても成長市場となっています。2018年、オンラインFMCG販売高成長率は世界平均で20%、米国では35%となっており、飛び抜けた高さを見せています。代表例がコンビニです。コンビニの店舗数は15万店超。パンデミック以前には毎日1.65億人が利用していました。米国では2019年のGDP21.4兆ドルの内、約3%に相当する6,478億ドルがコンビニ市場規模となっています。2020年度のコンビニ市場規模自体はコロナの影響で減少していると推測されますが、以前から成長していたEC化は著しく進んでいると考えられます。

コンビニ・消費財EC市場には、Amazon・Instacart・Uber・Postmastes・DoorDash・SevenEleven(米国)に至るまで多数のプレイヤーが参入するレッドオーシャンとなっています。そしてこの中で頭角を現しているのが30分以内にコンビニで並ぶような生活品を配達する24時間営業のオンライン・コンビニ「goPuff」です。10月8日には3億8,000万ドルの調達を発表し、企業評価額は39億ドルとされています。

goPuffの提供価値は、競合他社より早く多くの商品の中から好きな物を届けることにあります。同社は大学生向けの生活品配達事業として開始し、夜中のふとした瞬間にアイスやスナック菓子が欲しくなった際、すぐに商品を配達する衝動買い需要を満たすサービスとして立ち上がりました。今でもこうした需要を獲得しており、配達料金一律1.95ドルと安めの設定で人気を得ています。現在、500以上の拠点を運営し、2,500以上の商品を扱っているそうです。Crunchbaseによる予想収益は年間1億ドルほどとなっていました。(次につづく)

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Amazonも注目するトレンド市場「Luxury Commerce」ーー1.4兆ドルの贅沢市場を狙え(2/2)

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(前回からのつづき)Amazonがラグジュアリー・コマース市場に目を向けた背景には、他社小売ブランドとの対立構造が見え隠れします。 Luxury Storeの立ち上げは、Amazonがハイエンド・ファッション市場に参入しようとした最新の試みです。一方、従来のAmazonは大量の衣料品を販売していますが、これらの商品の大半がファストファッション商品です。その理由として、Amazon独自の購買データ搾…

Image Credit:Amazon

(前回からのつづき)Amazonがラグジュアリー・コマース市場に目を向けた背景には、他社小売ブランドとの対立構造が見え隠れします。

Luxury Storeの立ち上げは、Amazonがハイエンド・ファッション市場に参入しようとした最新の試みです。一方、従来のAmazonは大量の衣料品を販売していますが、これらの商品の大半がファストファッション商品です。その理由として、Amazon独自の購買データ搾取や類似商品の展開に対し、高級ブランドが批判して彼らがマーケットプレイスに参加しなかったためです。例えば、Nikeは2019年、Amazonが供給できる以上に顧客との「より直接的な関係」を望むとして、Amazonを通じた全ての直接商品販売を停止しました。

この点、Luxury Storeはこうしたブランド側の不満に対処するための試みのように見えます。Amazonはブランド招致をした上で、これらブランドを敵に回すような動きを早々にはしないはずです。

2020年は特に感染症拡大という大義名分ができました。Amazonにとってはソーシャル・ディスタンスによって実店舗経営が苦しいプレイヤーを同社マーケットプレイスに引き込むには好機と言えます。響きは悪いですが、ラグジュアリー・コマース市場への拡大展開タイミングとしては、数年に一度のチャンスでもあるのです。

Amazonとしてはこれを機に、コピーの疑いや嫌悪を持たれていた小売ブランドと再度コミュニケーションを図りたいはずです。一方、ブランド側からすればデータを取られ、類似商品を低価格でAmazonに展開されるという、これまでの二の舞を繰り返すリスクもゼロではなく、難しい舵取りを迫られることになりそうです。

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Amazonも注目するトレンド市場「Luxury Commerce」ーー1.4兆ドルの贅沢市場を狙え(1/2)

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新型コロナの影響で、世界的に消費が落ち込んでいます。なかでも贅沢品を扱う「ラグジュアリー・コマース」市場の影響は計り知れないでしょう。 ラグジュアリー・コマース市場は「車」「ホスピタリティー(旅行や宿泊など)」「個人向け高級品」の3つが、80%の規模を占めます。米コンサルティング会社のBain & Companyによると、2018年の世界市場規模は1.2兆ユーロ(約1.39兆ドル)で、年間…

Image Credit:Tamara Bellis

新型コロナの影響で、世界的に消費が落ち込んでいます。なかでも贅沢品を扱う「ラグジュアリー・コマース」市場の影響は計り知れないでしょう。

ラグジュアリー・コマース市場は「車」「ホスピタリティー(旅行や宿泊など)」「個人向け高級品」の3つが、80%の規模を占めます。米コンサルティング会社のBain & Companyによると、2018年の世界市場規模は1.2兆ユーロ(約1.39兆ドル)で、年間成長率は5%ほど。ちなみに同年の高級車売上は4,950万ユーロ、ホスピタリティーは5%の成長、グルメは6%、豪華クルーズ体験は7%増だったそうです。加えてBusiness of Fashionの記事では、2019年の個人向け高級品市場規模を2,810億ユーロと試算しています。これは2000年の1,160億ユーロから倍以上の規模へと成長しています。

これが感染症拡大で一変しました。

The Wall Street Journalが伝える2020年第2四半期の車の販売台数は、前年比で34%落ちという大幅下落です。先ほど紹介したBusiness of Fashionの記事では2020年第1四半期の高級品売上も25〜30%減少するとしていますから、単価の高い高級車の売上も通常の車と同等に減っていると仮定すれば、ラグジュアリー・コマース市場の下落は全体で20%台を下回ることはないでしょう。結構な落ち込みです。

このように市場の勢いが衰えている今、Amazonが市場参入を果たしました。

9月15日、同社はAmazon Prime会員向けの招待制ECサービス「Luxury Stores」を開始したのです。Oscar de la Rentaの2020年秋冬ブランド商品の扱いからサービス展開を開始し、今後はRoland MouretやLa Perlaのようなブランドや新進気鋭のデザイナーブランドが追加される予定です。

Amazonらしい特徴が、買う前に高級品を体験できるAR機能「View in 360」です。選択した商品を360度フル回転させて見ることができ、自分に合ったものを見極めることができます。もし自分のサイズに合わないものを購入した場合は、30日以内であればほとんどの商品を対象に返品して全額返金することができるそうです。

今回、Amazonがコンセプトとしたのが「Store within Store」です。これは利用ブランド企業が在庫管理・品揃え・価格・顧客発見をよりデータ・ドリブンにコントロールできるプラットフォーム思考を指します。さらに、先述したAR機能を実装させることで、在宅でも顧客体験を最大化できるようにさせます。まさに川上から川下までを抑えたラグジュアリー体験をオンラインで実現させよう、としているのです。後半ではAmazonの思惑についてまとめます。(次につづく)

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