THE BRIDGE

Takuya Tsuchiya

Takuya Tsuchiya

Chanoma共同創業者。これまでに北米スタートアップ5000社以上の調査をした経験からTHE BRIDGEでは海外トレンドコラムを時折執筆。 現在は自らのスタートアップとして、福利厚生としてのオフィスで筋トレサービス、RepFit(レップフィット)をCEOとして運営中。 https://repfit.jp/clients

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執筆記事

電動歯ブラシのD2Cサブスク注目株「Quip」、拡大理由は”歯医者との連携”にあり

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ピックアップ:Quip raises $40 million to expand its subscription dental care products and services ニュースサマリ:定期購入型のデンタル関連スタートアップ「Quip」が株式と借入によって4000万ドルの調達に成功している。昨年11月27日に報じられたもので、AirbnbやUberの初期投資家でもあるSherpa C…

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ピックアップ:Quip raises $40 million to expand its subscription dental care products and services

ニュースサマリ:定期購入型のデンタル関連スタートアップ「Quip」が株式と借入によって4000万ドルの調達に成功している。昨年11月27日に報じられたもので、AirbnbやUberの初期投資家でもあるSherpa Capitalがリードを務めた。

話題のポイント:注目しているスタートアップのビジネスモデルについて解説するコラム、今回取り上げるのはデンタル関連のD2C「Quip」です。創業は2014年、今回のラウンドで累計調達額は6220万ドルになりました。正式ローンチは2015年末で、2017年時点で10万個の電動歯ブラシを販売。2018年11月時点での累計販売数は100万人に到達しているそうです。

ビジネスモデルの中心は3カ月毎の定期購入コースです。ユーザーはまず40ドルを支払い、電動歯ブラシの本体とヘッド、歯磨き粉からなるスターターキットをオーダーします。本体のカラーは8色の中から選ぶことができて、スターターキット購入以降は3カ月毎に10ドルでサブスクリプションすることで新品のヘッドと単三電池、歯磨き粉が送られてくる仕組みになっています。

最も安いプランは歯磨き粉を抜いたもので3カ月で5ドルです。本体は防水なのでシャワールームなどでも使えて、旅行のお供としてもオススメされています。なお、米国歯科医師会から認可されている商品になっています。

記事にもありますが、米国におけるヘルスケア、衛生関連のオンラインサブスクリプションには注目が集まりつつあります。例えば美容スタートアップのBirchboxは2018年はじめにヘッジファンドが株式の過半数を取得しましたし、少し前ですが、ユニリーバは2016年に髭剃りのサブスク「Dollar Shave Club」を10億ドルで買収しています。

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気になるのは「本当に電動歯ブラシの定期購入だけでスケールするの?」という点ですが、Quipはオンライン直販以外にも全米数千の歯医者のネットワークを持つ「Dental Connect」というサービスを始めているんですね。

これはユーザーに定期的な歯科検診を促し、ローカルの提携プロバイダー(歯医者)にQuipユーザーを向かわせることによって、ユーザーが何らかリワード(おそらくQuip製品のクーポン券)を貰えるという仕組みになっています。

ユーザーは歯科検診をすることでクーポン券がもらえて、歯医者は顧客獲得の可能性、そしてQuipはエンゲージメント向上を見込める、というわかりやすい展開です。なお、同社はオフラインでも事業展開を始めており、2018年10月には小売大手のTargetと提携し、リアル店舗にて商品の陳列を始めています。

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女性向け「家トレ+インフルエンサー」で抜け出したFitOn、”どこでも系“フィットネスアプリに可能性の高まり

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティ Freaks.iD 編集部との連動記事。いち早くニュースをチェックしたい人は こちらを参照してください。 ピックアップ: Remote Exercise Startup FitOn Grabs $4.6M to Ride Home Workout Wave ニュースサマリ:SNSフィットネスアプリ「 FitOn 」が460万ドルを調達。フ…

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Photo by bruce mars on Pexels.com

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティ Freaks.iD 編集部との連動記事。いち早くニュースをチェックしたい人は こちらを参照してください。

ピックアップ: Remote Exercise Startup FitOn Grabs $4.6M to Ride Home Workout Wave

ニュースサマリ:SNSフィットネスアプリ「 FitOn 」が460万ドルを調達。フィットネスアプリにSNSが組み合わされており、友人がアプリを利用していることをリアルタイムで知ることができる。加えて他のユーザーと通話しながらワークアウトも可能。フィットネスコーチにInstagramで有名なトレーナーを起用するなどをしてマーケティングを拡大している。月額14.99ドルから利用できる。

話題のポイント:ヘルスケア関連は引き続き注目テーマです。今回ご紹介するFitOnは2018年設立、カリフォルニア州ロサンゼルス拠点のスタートアップです。同社が提供しているのは、ワークアウトのガイド動画に従って、ヨガマット一枚あればエクササイズできる、“いつでも、どこでも”系のサブスクリプション・フィットネスアプリになります。

記事内で書かれている調査結果によると米国民で、月イチ程度に運動する層 の過半数(54%)は家でトレーニングするための「フィットネスシステム」購入に興味を持っているそうです。一方で多くの回答者は機器の高コストと、それらを置いておくスペースの不足について懸念を持ってるとも回答しています。この辺りは理解しやすいニーズ&課題ですね。

Image Credit : Peloton web site

そしてこの分野でのNo.1フィットネススタートアップと言えば「家+動画+サイクリングサービス」を提供するPelotonです。しかし彼らの機器は2000ドル以上もする上に、家にサイクル機器のスペースを確保し続けなければなりません。FitOnの今回の調達はバーティカルとしてはPelotonと同じ ”家トレ” の中に含まれますが、”機器いらず”という小カテゴリ市場の成長を狙ったものと言えそうです。

主に女性向けで、カーディオ、ストレングス、HIIT(高強度インターバルトレーニング)などをスキマ時間でできるのがウリで、特にソーシャルフィットネス界のインフルエンサーによるライブ・オンデマンドのコンテンツが強みになっています。

例えばフィーチャーされているCassey Ho氏はインスタグラム上で140万人のフォロワー数を持つ強いインフルエンサーです。その他ランキングやリアルタイムで友達と一緒にトレーニングできる機能なども提供しています。

ちなみにフィットネス(特に筋肉育成好き)に興味ある方であれば「HIIT」と聞いてハードコア向けの時短筋トレがどうしてこんな女性向けアプリにニーズがあるのだろうと思ったかもしれません。

これについては文化の違いなど様々な理由が挙げられるんですが、米国の高校ではウェイトトレーニングを授業として選択できることが理由ではないかなと考えてます。低年齢時からトレーニングの認知度が高く、教わった事があれば一人でアプリを見ながらワークアウトすることができるからです。

筆者はオフィス訪問型のエクササイズを運営するスタートアップでもあるのですが、この手のバーティカルは市場としては日本では未だ存在していないと考えてます。一方、国内ではFitOnのような ”一人でハードコア” より、もっと緩く始められるサービスや、ランニングなどをサポートするオーディオフィットネスの方が相性がよいとは思いますが。

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2019年はユニコーンのIPOパレードが始まる?ーー時価総額と国別トップランキング、日本からのエントリーはあの1社のみ

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<ピックアップ:The unicorn parade via Axios > ニュースサマリ:米Axiosは短いコラムで2019年がスタートアップのIPOパレードになると予測している。理由としては単純で、現存のユニコーンたちの平均年齢が10歳を超えており、従業員や投資家からリクイディティを求められるからである。特にLyftとUberが当てはまるとのこと。 <参考記事> Y …

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Photo by Dazzle Jam on Pexels.com

<ピックアップ:The unicorn parade via Axios >

ニュースサマリ:米Axiosは短いコラムで2019年がスタートアップのIPOパレードになると予測している。理由としては単純で、現存のユニコーンたちの平均年齢が10歳を超えており、従業員や投資家からリクイディティを求められるからである。特にLyftとUberが当てはまるとのこと。

<参考記事>

話題のポイント:言われてみれば確かにそろそろイグジットの季節ですね。ということで年始に改めて現在のランキングをおさらいしておきましょう。テクノロジー企業などの調査会社のCB Insightsが随時アップデートしている世界のユニコーンリスト「The Global Unicorn Club」より15位までの企業と、国別のユニコーン保有数ランキングをまとめました。日本からは機械学習技術のPreferred Networks(時価総額2326億円)1社がエントリーしております。

CB Insightsのリストは全部で305社で、記事の内容は2019年1月9日時点のもの。表示は時価総額 / 拠点 / バーティカル / サービス

  • 1位:Toutiao

◦ $75B / 中国 / デジタルメディア・AI / ニュースアプリ・動画SNS

  • 2位:Uber

◦ $72B / 米国 / オンデマンド / 配車サービス

  • 3位:Didi Chuxing

◦ $56B / 中国 / オンデマンド / 配車サービス

  • 4位:Airbnb

◦ $29.3B / 米国 / Eコマース / 民泊マーケットプレイス

  • 5位:SpaceX

◦ $21.5B / 米国 / 輸送 / 宇宙輸送(商業軌道輸送サービス)

  • 6位:Palantir Technologies

◦ $20B / 米国 / ビッグデータ / セキュリティソリューション

  • 7位:WeWork

◦ $20B / 米国 / 不動産 / コワーキングスペース

  • 8位:Stripe

◦ $20B / 米国 / フィンテック / 決済ソリューション

◦ $18.5B / 中国 / フィンテック / P2P融資

  • 10位:JUUL Labs

◦ $15B / 米国 / 電子機器 / 電子タバコ

  • 11位:Epic Games

◦ $15B / 米国 / ゲーム / アクションコンソールゲーム開発

  • 12位:Pinterest

◦ $12.3B / 米国 / ソーシャル / ブックマーキングサービス

  • 13位:Bitmain Technologies

◦ $12B / 中国 / ブロックチェーン / ビットコインマイニング

  • 14位:Samumed

◦ $12B / 米国 / バイオテクノロジー /再生医療薬開発

  • 15位:Lyft

◦ $11.5B / 米国 / オンデマンド / 配車サービス

国別のユニコーン保有数ランキング(全体数=305社)

  • 米国:150
  • 中国:83
  • インド:14
  • イギリス:14
  • ドイツ:7
  • 韓国:5
  • インドネシア:4
  • イスラエル:4
  • スイス:3
  • フランス:2
  • コロンビア:2
  • 南アフリカ:2
  • カナダ:1
  • フィリピン:1
  • シンガポール:1
  • オーストラリア:1
  • 香港:1
  • ブラジル:1
  • アラブ首長国連邦:1
  • スペイン:1
  • スウェーデン:1
  • ポルトガル:1
  • エストニア:1
  • ルクセンブルク:1
  • マルタ:1
  • ナイジェリア:1
  • 日本:1(※Preferred Networks)

エリア別社数

  • 北米:総数 = 151社(※99.99%が米国)
  • アジア太平洋:総数 = 111社(※75%が中国)
  • ヨーロッパ:総数 = 32社(※44%が英国)
  • 中東:総数 = 5社
  • 中南米:総数 = 3社
  • アフリカ:総数 = 3社

 

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昨年比ユーザー 25%増も株価は2割の急落ーーパーソナライズスタイリング「Stitch Fix」の評価を落としたのはまたまたAmazon

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。エンジェルと起業家による勉強会「Ask the Angel」も定期開催中 ピックアップ:Stitch Fix tumbles 20% in after-hours trading following lukewarm earnings report via TechCrunch ニュースサマリ:パーソナ…

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。エンジェルと起業家による勉強会Ask the Angelも定期開催中

ピックアップ:Stitch Fix tumbles 20% in after-hours trading following lukewarm earnings report via TechCrunch

ニュースサマリ:パーソナルスタイリストサービス「Stitch Fix」の株価が四半期業績報告書の発表後、20%急落。同社はAIとスタイリストが顧客の好みに合ったアパレル用品を選び販売するサービスを展開。市場予想売上とアクティブ顧客数に達しなかったことが株価下落の大きな要因と指摘される。

話題のポイント:ZOZOSUITの登場で国内でもにわかに熱気をおびているファッション・テクノロジーですが、こちらStitch Fixはその元祖とも言えるサービスです。2011年創業で、20ドルのスタイリング・フィーを支払えば似合いそうなファッションを送ってきてくれます。何か気に入って購入すれば20ドルはキャッシュバックされる仕組みで、それ以外は送り返せばOKです。

開示されてる直近四半期業績報告書によると数字はこんな感じ。

  • 純利益:$18.3M
  • 一株当たり利益:18セント(アナリスト予想は4セント)
  • ネット売上:$318.3M(アナリスト予想は$318.6M)
  • 時価総額:$4.4B
  • YoYのユーザー成長率:25%
  • ユーザー数:270万人(StreetAccount社予想は281スタートアップのAmazonとの競争力に対する警戒感が高まっていることを反映している万人)

直近の通期(2018年10月開示)のネット売上は12億ドルで純利益が4490万ドルです。

アナリスト予想に対して未達成かもしれませんがそこまで外してないと思うのですよね。創業から7年経過しての年間成長率25%は立派です。CEOのKatrina Lake氏は2019年内リリース目指して英国展開を発表、また、子供向けバージョンのStitch Fix KidsのCMOとして、Deirdre Findlay氏を採用したことも公表してます。

しかし市場はエラく厳しくこの発表後に20%も下げました。なぜでしょう?

Fortuneの記事によると、またまたここにもAmazonです。Blue Apronといい、Amazonは何でもかんでも飲み込んじゃうのでしょうか。

直接的な要因に挙げられてるのが、2018年9月にAmazonがテスト公開したScoutというパーソナライズのショッピングレコメンドサービスです。現在はインテリアフォーカスとなっていますが、ファッション領域にも簡単に展開できる可能性ありということで競合認定された様子です。インテリアとファッション、まあ、嗜好的には似てるかもですがそれで20%も落とすAmazonおそるべしです。

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ミールキット「Blue Apron」はなぜIPO後1年で株価を9割減らしたのかーー大手参入やトレンド変化、重なる不幸を読み解く

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。エンジェルと起業家による勉強会「Ask the Angel」も定期開催中 ピックアップ:Blue Apron tumbles to a record low (APRN) via Business Insider ニュースサマリ:ミールキットサービス「Blue Apron」の株価が最低値を記録。これまで…

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。エンジェルと起業家による勉強会「Ask the Angel」も定期開催中

ピックアップ:Blue Apron tumbles to a record low (APRN) via Business Insider

ニュースサマリ:ミールキットサービス「Blue Apron」の株価が最低値を記録。これまで月額サブスクリプションモデルを採用していたが、ニューヨークでオンデマンド配達サービスを実験的に立ち上げた。しかし、新サービスの立ち上げも虚しく最低株価を記録。8月には対年比でユーザー数が24%減少したと公表していた。

話題のポイント:IPOした後にずっと苦境が続いている感のある(というかそういう報道ばかり目立ってしまう)Blue Apronですが、気がついたら株価がエライことになってました。IPOでおおよそ10ドルほどついていた株価は10月時点で1.5ドルまで下落、さらに今日時点で1ドルに限りなく肉薄している状態です。

ユーザー数の減少と共にミールキット購入者数も第1四半期で9%減少しています。ユーザー数の変動グラフを見ると瀕死状態といってもいいほどです。

昨年8月の記事なのでちょっと古いですが、Blue ApronのCPA(新規顧客獲得)は460ドルで平均利用単価が250ドルあたりで横ばい。IPO直後にAmazonやWalmartなどの参入が続いたのは確かに影響あったでしょうが、こんな簡単な競合参入は織込めなかったのでしょうか?株価にして9割落ち込むのは競合だけで納得するのは難しいです。

この低迷を紐解くヒントが今年8月のForbesに寄稿されていました。

これを読むと、確かにIPO戦略をミスってブランドが毀損してしまい、ダウンスパイラルに入っているのにCEOのMatt Salzberg氏を切れなかったこと、オペレーションが未だにユニットコストを最適化レベルに達していないなどの課題はあるものの、それ以上に「ミールキット」そのものに対するトレンド離れが結構な影響を与えている印象でした。

例えばReady to eat mealsのプレーヤーの台頭です。国内でもUberEatsを使う人が増えていますが、ICON Mealsのようなオンデマンドフードデリバリーの方がミールキットよりもすぐ食べられて便利です。Blue Apronももちろんそれは理解していてGrubhub上にてニューヨーク市限定のテストを開始していますが、やっぱり調理は必要みたいであまり市場の支持は得られていないみたいです。

CEOはオンデマンドでの展開で競合優位性を向上させ、ブランド拡大を図るとしていますが、マクロでの食トレンドの変化、消費者のサブスクリプション離れ、レストランのオンライン化など次々と悪材料しか出てこない状況はまさに「HARD THINGS」です。

虚業でもないのに株式公開後にここまで短期間に評価を落としてしまった事例として記憶に刻みたい内容です。

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あの人は今ーーチェックインの火付け役「Foursquare」誕生から約10年、実は10億人が使っている影の主役に

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Foursquare raises $33 million to expand its location technology platform via VentureBeat ニュースサマリ:位置情報サービスのFoursquareが10月2日に3300万ドルの資金調達に成功している。VentureBeatの記事によれば、引受先になったのはSimon VenturesとNaver、Union Sq…

Foursquare raises $33 million to expand its location technology platform via VentureBeat

ニュースサマリ:位置情報サービスのFoursquareが10月2日に3300万ドルの資金調達に成功している。VentureBeatの記事によれば、引受先になったのはSimon VenturesとNaver、Union Square Ventures。ラウンドはシリーズFで、2500万ドルの資金については調達が完了しており、セカンドクローズとして今年年末までに残りの800万ドルを調達する予定としている。

話題のポイント:今では当たり前になった位置情報サービスですが、この火付け役としてのFoursquareを知ってる人はどんどん減っているんじゃないでしょうか?

消費者向けの位置情報 x SNSアプリとして2009年にリリースされたもので「チェックイン」という言葉と共に一世を風靡したスタートアップです。チェックインするともらえるバッジなどの仕組みは「ゲーミフィケーション」(ゲーム要素のある行動促進施策)と呼ばれ、書籍などで解説本が出るなど「ああ、そういえばそんなのあったな〜」と思われる人も多いかもしれません。2015年には6000万登録ユーザーを獲得しており、月間MAU5000万人とその人気ぶりがわかります。

しかしFacebookを中心とする強力な消費者プラットフォームに位置情報機能が組み込まれたおかげで、チェックインのシェアは消失しました。その後、2014年に「Swarm」を分離するなどアレコレと消費者向けの施策はありましたが、最終的に行き着いた先はやはりビジネス向けだったようです。

その準備は2013年頃からで、蓄積された位置情報のビッグデータを「Foursquare for business」や「Foursquare API」などの形で事業者向けに提供し、これが彼らを生き残らせる源泉となるわけです。具体的な展開はこんな感じです。

  • Place Insights:1億以上の場所の情報を持ち、人々がどう動いているかがわかるツール
  • Pilgrim:サードパーティアプリ向けの広告配信ツール。GPS、通信、通信信号強度、周囲のWi-Fiネットワークなどの信号を組み合わせることで、ユーザーがチェックインする必要なくユーザーの位置を推測することができる。
  • Pinpoint:ロケーションベースの広告配信・分析ツール
  • Attribution:来店者の動向分析ツール。Attributionの最新リリースでは、過去の訪問数、時間帯、曜日、店舗からの距離、アプリやプラットフォームの使用状況など、500を超えるさまざまな要素が存在。
  • Places API:直近リリースしたアプリ開発社、中小企業、スタートアップ向けの位置データ活用ツール。ロケーションベースのデータへのアクセスを提供するだけでなく、Placesデータベース内の1億以上の場所に関する写真、ティップス、レビューなどを利用することができる。

このような形でかつての消費者向けサービスは裏方に回り、彼らの位置情報サービスを利用している顧客会社数は12万社に拡大するまでになっているそうです。有名どころでは、Uberの地図上の店舗名はFoursquareのデータが使われており、同社のジオロケーションのツールを利用しているアプリのユーザーのリーチ総数は10億人に上ります。

記事にもありますが、中でもロケーションベースの広告配信・分析ツールはDisneyやSubway、Walmart、AT&T、Citibank、Office Depotなど超大手に利用されており、3年間のグロースは491%と成績好調です。

消費者向けサービスとしては「あの人はいま」的な存在になりましたが、しっかりと着実にビジネスを進めている事例として興味深い内容ではないでしょうか。

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広がる「給与前払い市場」の日米差とはーーPayActivが2000万ドルを調達

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ピックアップ:PayActiv Raises $20 Million to Expand Financial Wellness Offering for Millions of Financially Stressed Workers via PayActiv Press Release ニュースサマリ:雇用に関わる金融サービスを提供するPayActivが10月10日、シリーズBラウンドで2000…

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ピックアップ:PayActiv Raises $20 Million to Expand Financial Wellness Offering for Millions of Financially Stressed Workers via PayActiv Press Release

ニュースサマリ:雇用に関わる金融サービスを提供するPayActivが10月10日、シリーズBラウンドで2000万ドルの資金調達に成功している。リードしたのはGeneration Partners。給与の前払いサービスほか総合的な従業員向け支払いサービスを展開しており、小売や飲食、介護・ヘルスケア業界が採用している。設立は2011年で2016年の実施したシリーズAラウンドはソフトバンクキャピタル(当時)が引き受けた。

話題のポイント:日本でも「Payme」など話題になることが多くなった前払いサービスですが、米国では少し前提を理解しておくとグッと理解が進みます。

米国では日本にない「お金の文化」があります。

米国の銀行はオーバードラフト・フィー(overdraft fee)という罰則金制度があります。これは何らかの支払いにおいて口座資金が不十分の場合、銀行側が超過分を建て替える代わりにその罰金を銀行側に支払う必要がある、というものです。

例えば大手金融機関のウェルス・ファーゴでは一取引につき35ドルの罰金が設定されていて、口座がマイナスの状況で(それに気付いていないとして)カフェや飲食店で数ドルの商品をVISAデビットで5回買ったとすると、オーバードラフトフィーとして175ドルを追加の罰金として支払う必要が発生します。

つまり、口座に現金がない状態を回避しやすい前払いサービスは従業員目線でありがたいセーフティーネットサービスと捉えることもできるのです。

では今回取り上げたPayActivを見てみましょう。国内の前払いサービスと比較して多機能を謳っているのが特徴です。

従業員側

  • 前払い AIとマシンラーニングを活用した貯金プランニング
  • ファイナンシャルアドバイザーへの無料アクセス
  • 提携店舗でのディスカウント * リアルのVISAプリペイドカード

企業側

  • サービスの分析 従業員への通知
  • アンケート 現金リワードプログラム

記事によると同社の前払い決済ボリュームは月間1億ドルあるそうです。ビジネスモデルとしては従業員が前払い申請をする際、従業員側から手数料をフラットフィーとして徴収することになっています。導入費用や月額費用など企業側に掛かるお金は一切ありません。競合にはEarnin(旧Activehours、$65M累計調達)やEven($52M累計調達)DailyPay、FlexWageなどがあります。

ただ、完全に被った競合かというとそうでもなく、例えばWalmartは2017年末にEvenとPayActivの両社と実証実験ベースで提携しているのですが、EvenのアプリをWalmart従業員に提供し、プロセッシングの裏側をPayActivが担当するという連携も可能らしいです。

前払い解決系は提供するサービスがシンプルですから飲食チェーンやコンビニなど、必要とする業界をバーティカル毎にいかに獲得していくかが鍵になります。また、金融事業ですから監督省庁などが定める規制に触れないよう事業設計することも必要になります。

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評価額はSlack以上、買い物代行「Instacart」は何がすごいーー76億ドル評価、年商20億ドルのビジネスモデルを改めておさらいしよう

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ピックアップ:Instacart is now valued at $7 billion via CNN ニュースサマリ:買い物代行のInstacartが6億ドルの資金調達に成功した。10月16日に同社が公表した情報としてCNNが報じた内容によると、今回の調達ラウンドにおける同社の評価額は76億ドル。サンフランシスコ拠点のInstacartの創業は2012年。Costco, Walmart and…

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Photo by Erik Scheel on Pexels.com

ピックアップ:Instacart is now valued at $7 billion via CNN

ニュースサマリ:買い物代行のInstacartが6億ドルの資金調達に成功した。10月16日に同社が公表した情報としてCNNが報じた内容によると、今回の調達ラウンドにおける同社の評価額は76億ドル。サンフランシスコ拠点のInstacartの創業は2012年。Costco, Walmart and Sam’s Clubなど300店舗が利用可能になっている。今年9月にはトロントにR&D部門を立ち上げた。

話題のポイント:国内でもお買い物代行を使われている方が増えているのではないでしょうか。Instacartはその先駆けとして2012年に登場したスタートアップで、今回評価額としてはおなじみSlack(71億ドル)やインドコマース大手Snapdeal(70億ドル)を上回る規模になりました。

Instacartはウェブやアプリから欲しい商品を選び、ピックアップの時間を設定して決済するとスタッフが代わりに買い物を済ませて届けてくれます。

  • 消費者が商品をオーダー
  • 同社のショッパー(スタッフ)に上記内容の通知が届く
  • ショッパーはオーダーによって指定されているスーパーにて買い物を済ませ、消費者に商品を届ける。ショッパーはコミッションか時給制の2つの給与モデルを選ぶ

スタッフは商品をローカルのWhole Foods(Amazonが買収)、Trader Joe’s、Safewayなど、日本でいうところの西友やイオンにあたる店舗で直接買ってきてくれます。

私も何度も使ったことがありますが、スタッフが買い物中にテキストや電話で「このブランドのサラミ売り切れだけど違うのでもいい?」などとリアルタイムに連絡してきてくれたりします。国内でも利用できるAmazonFreshが体験として近いですが、こういうフランクなコミュニケーションはInstacartならではですね。

ビジネスモデルは都度払い(5.99ドルから)と年額のサブスクリプション(149ドル)のデリバリーフィーとメーカーが商品の認知を拡大したい場合に使えるマークアップ(広告枠)が柱としてあります。

Forbesが昨年末に試算した記事によると、同社は50万以上の顧客を持ち、グロスの売上高は年間で約20億ドル。平均的な顧客は月に2度注文し、1回の注文額が95ドル。年間149ドルを支払っている優良顧客の平均は月に4回注文し、年間で約5000ドルを消費するそうです。なかなかよい数字ですね。

ちなみに競合だったアラバマ州拠点のShiptは2017年末に米国小売大手のTargetに5億5000万ドルで買収されています。実はそれ以外にもUber的なオンデマンド・デリバリー系サービスは結構な数出てきました。彼らが生き残った理由はどこにあるでしょうか?

その点について興味深い理由を指摘している記事がありました。「在庫管理」です。

注文を受けた在庫管理において他のスタートアップが失敗したのに対し、同社は既存の小売事業者とパートナーシップを結び、オンタイム(定時)にデリバリーすることのみにフォーカスをしていました。結果的に品質の高い配送が可能になりますから、パートナー店舗とも良好に付き合えたそうです。

WhatやWhyを持っているスタートアップは多けれど、Howを見つけられる起業家は一握り、という実例のようでもあります。

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欧米で急成長中「バイオ肉」市場、3週間で出荷できるMeatableがシード資金調達

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ピックアップ:Meatable to Feed the World with Breakthrough Single-Cell-based Meat Technology via Meatable Press Release ニュースサマリ:人工肉を開発するバイオテックスタートアップのMeatableは9月30日に350万ドルのシード資金獲得を公表している。リードしたのはBlueYard Capi…

selective focus of ham burger on wooden surface photo
Photo by Dana Tentis on Pexels.com / ※写真はイメージでMeatableではありません

ピックアップ:Meatable to Feed the World with Breakthrough Single-Cell-based Meat Technology via Meatable Press Release

ニュースサマリ:人工肉を開発するバイオテックスタートアップのMeatableは9月30日に350万ドルのシード資金獲得を公表している。リードしたのはBlueYard Capitalで、Atlantic Food Labs、Future Positive Capital、Backed VCおよびエンジェル投資家が参加した。同社は特許取得済みのプラットフォームを使って鶏肉や豚肉、牛肉などの人工的な生産に成功している。

話題のポイント:日本では馴染みのない代替食品市場の話題です。実はこの市場、海外では急成長しておりまして、英ガーディアンの記事によれば、2017年の代替食品市場の成長率はヨーロッパで27%、米国で35%あるそうです。試算としての市場規模は2027年に数十億ドルを突破する見込みということで今回ご紹介するMeatableもその中で戦うスタートアップの1社になります。

同社はオランダ拠点、2018年設立の新興企業。美味しくかつ罪悪感が起きない人工肉を100%肉と同じ状態で作り上げてくれるそうで、その手法をインフォグラフィックスとしてサイト上に公開しています。牛肉の生産には通常18カ月から3年かかるところ、同社のシングル細胞から生み出す人工肉は3週間以内に生産を完了します。

meatable.png

代替食品肉はベースとなる製造方法で大きく2つに分けることができます。彼らのように細胞ベースで作り上げる「cell based meats」と植物ベースの「plant based」です。CrunchBaseにはこのような企業が登録されていました。

cell based meats

  • Memphis Meats(2015年設立 / サンフランシスコ拠点 / 累計調達額$20.1M)
  • MosaMeat(2013年設立 / オランダ拠点 / 累計調達額€7.5M)

plant based

  • Impossible Foods(2011年設立 / サンフランシスコ拠点 / 累計調達額$387.5M)
  • Beyond Meat(2009年設立 / 南カリフォルニア拠点 / 累計調達額$72M)

2017年11月のCBInsightsのレポートによると肉(リアルミート)そのものの市場はグローバルで900億ドルあり、大手7社がその内の710億ドルを占めているそうです。

また代替食品市場は上記以外にも、人口卵、ビーガンマヨネーズ、代替海産食品、エンドウタンパクミルク、非乳製品チーズ、昆虫など多種多様です。少し古いですが2016年にCBInsightsが代替食品市場のランドスケープを出してまして、すでにこの時点で相当混雑している様子が伺えます。

人工肉は元々ヨーロッパで数十年前から販売されていたもので、ビーガンやベジタリアンに愛されていました。人工肉ではありませんが「これだけ食べていればいい」がコンセプトの完全食Soylentはフィットネス界で「ミールリプレイスメント」と呼ばれており話題になったのも記憶に新しいです。

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LinkedInが21社目となる「Glint」買収ーー毎秒2人を獲得する「隠れた巨人」を数字でおさらい

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ピックアップ:LinkedIn + Glint: Helping Talent Leaders Build Winning Teams via LinkedIn Talent Blog ニュースサマリ:LinkedInが従業員エンゲージメントの可視化ツール「Glint」を買収した。同社が10月8日付のブログにて公表したもので、買収条件は公開されていない。TechCrunchの記事にはGlintが公…

adult business call calling
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ピックアップ:LinkedIn + Glint: Helping Talent Leaders Build Winning Teams via LinkedIn Talent Blog

ニュースサマリ:LinkedInが従業員エンゲージメントの可視化ツール「Glint」を買収した。同社が10月8日付のブログにて公表したもので、買収条件は公開されていない。TechCrunchの記事にはGlintが公表しているPitchBookの情報として、最新調達ラウンドでの評価額が2億2000万ドルであることに触れている。

話題のポイント:日本でも度々話題になる隠れたSNS巨人、LinkedInが新たな買収を公表しました。2010年に実施した最初の1件目の買収から数えて今回で21社目になります。ざっと最近の数字をおさらいしてみましょう。

  • 総ユーザー数:5.62億人(2018年9月時点)
  • 米国のユーザー数:1.46億人
  • MAU:2.6億人
  • DAU比率:40% * 1秒間の新規ユーザー:2人
  • 米国以外のユーザーが70%
  • 男女比は男性56%、女性44% * ミレニアル世代(15−34歳)は全体の11%

2017年1月の記事に61%のユーザーは30〜64歳に該当する年齢だという言及もあるので、圧倒的なおっさんプラットフォームですね。

なお、米国には若者や女性向けに特化したThe Museのような採用プラットフォームも出現してきてますから、LinkedInはこれからも今のターゲット年齢を変えずに突き進むのかというのも密かに注目しているポイントではあります。ただ買収先を見る限り、現時点でそういった傾向が感じられるものはなさそうです。買収実績を並べるとこんな感じです。(参考情報はCrunchBaseから)

  • Connectifier:リクルーター向けの候補者ソーシングツール
  • Run Hop:オンラインコンテンツディストリビューション
  • PointDrive:ソーシャルセリング※B2B営業の際の購買プロセスの中で、見込み客向けにパーソナライズされた資料を見せてトラッキングするためのツール
  • Heighten:営業支援ツール(セールスプロセストラッキング / CRM)
  • Glint:従業員エンゲージメント可視化ツール(今回買収)

個人的にはこれらサービスは所謂「固い」企業で、LinkedInプラットフォームの機能拡充ももちろん、サービスに強いエンジニア人員の確保などが主な狙いと見ています。ちなみにLinkedIn自体も2016年6月にMicrosoftによって262億ドルの評価で買収されています。

 

 

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