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Column

変化するエンジニア採用、グローバル化で広がる「チーム開発」の可能性

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載 企業が海外人材を雇用するには面倒なプロセスをクリアしなければなりません。 他国で合法的に人を雇用するためには、現地法人を設立し、現地の労働法を学び、現地の給与計算を行い、現地の弁護士を探して、各国法に準拠した雇用契約書を作成する必要がありました。こういった現地雇用法や規制への準拠は、ほとんどのスター…

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

企業が海外人材を雇用するには面倒なプロセスをクリアしなければなりません。

他国で合法的に人を雇用するためには、現地法人を設立し、現地の労働法を学び、現地の給与計算を行い、現地の弁護士を探して、各国法に準拠した雇用契約書を作成する必要がありました。こういった現地雇用法や規制への準拠は、ほとんどのスタートアップおよび中小企業にとって対応コストが高すぎて、海外人材へのアクセスは容易にできません。

一方、米国ではクラウドソーシングおよびフリーランス人材採用プラットフォームとして「Upwork」や「Fiverr」があります。しかしながら、プラットフォーム側の人材精査が甘いために企業が一人一人細かく面接する必要があったり、本格採用をするには別途手続きを自社で手配する必要があります。プラットフォーム事業として成長していながらも未熟な印象です。

こうした問題を解決し、どの国からでも・どの国に住む人でも雇用できるようにしたのが、4月22日に1,100万ドルの調達を果たした「Remote」です。

Remoteは世界中のどこにいても、誰でも数分で採用活動を開始できるHRプラットフォームを運営しています。さらに採用だけでなく、先述したような給与計算・福利厚生・コンプライアンス・税金など、海外人材を“正しく”雇用する際に必要なリーガル/アドミン業務を、1つのプラットフォームで処理してくれます。ヘルプが必要な場合には、Remoteの専属弁護士が対応に当たり、適切な処理を支援します。

パンデミック禍、リモートワークの成長傾向が高まる中で、他国での契約社員や正社員の雇用を簡素化できるニーズは刺さるはずでしょう。なにより、海外へ直接赴けない環境下、手軽にバーチャルな意味で現地法人を立ち上げられるプラットフォーム開発は非常に価値を発揮するはずだと感じています。

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Photo by Ketut Subiyanto on Pexels.com

Remoteの提供価値はその名の通り「海外リモート人材採用」にあります。SmartHRが提供しているような労務管理の機能をグローバルに拡大させ、さらに人材採用プラットフォームとしての機能も持ち合わせ持ち、一気通貫でチームを作るサービスを提供しています。

現在は個人開発者を採用するプラットフォームですが、注目すべきは“Hire your own team in any country”とあるように、グローバルチーム組成を行えるメッセージ性に重きを置いている点です。

昨今、従来のスポット開発依頼の仕事とは違い、チームプロジェクト単位の開発仕事に対応するプラットフォームに対するニーズが上がっています。個人ではなく「開発チームおよびプロジェクト」を丸ごと外注するクラウドソーシングプラットフォームに注目が集まりつつあります。

例えばウェブサイトやアプリ開発の外注サービス「Engineer.ai」は「アプリ開発のコンビニ」を作っています。

UberやInstacart、Snapchatと言った代表的なプラットフォームとそっくりのテンプレートをマーケットプレイスで選ぶと、そのままの機能を備えたサービス開発を外注できます。諸機能を取捨選択してオリジナルアプリの開発も可能です。

一方のEngineer.aiは事前に用意したテンプから「選んで買ってもらう」流れを採用しているため、自社でユニークな機能を毎回構築する必要がありません。工数のかかる機能開発注文がくる可能性を潰しており、自分たちの開発しやすい・利益率の高いサービス開発に誘導しているのです。

Enginner.aiは自社で世界中のエンジニアを囲い、依頼のあったテンプレートから即座にチーム組成を実施し、過去の記録からコンポーネントを渡して開発効率化を図っているわけですが、こうしたグローバルチーム組成を誰もができる可能性を秘めるのがRemote、というわけです。

彼らが仮に企業と個人を結びつける採用プラットフォームから、企業と開発チーム(組成)を支援するサービスへと成長すれば、より多額の取引を発生させるはずです。国内ではランサーズがチーム単位で発注できるサービスを提供していますが、これのより発展的な拡大・グローバル版です。

採用市場は「チーム採用」へと変わりつつあり、これからは「グローバル・チームプラットフォーム」が台頭してくる時代になると感じます。こうした背景を踏まえ、「アジア版Remote」のような企業が日本から登場しないか、期待をしながら市場を見ています。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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リモートワークはやめてオフィスに戻った話

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緊急事態宣言の解除から1カ月近くが経過しようとしています。報道など見てると、観光地や商店街などに賑わいが戻りつつある様子が伝えられる一方、世界的なパンデミックは収束どころか拡大している地域もあり、ああ、結局ワクチンが出てくるまでは薄氷を踏むような状況なのだなと再認識している次第です。 気になる働き方の変化についても各社方向性が決まりつつあります。 例えばそもそも昨年からテレワークを計画していたKD…

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Photo by Marc Mueller on Pexels.com

緊急事態宣言の解除から1カ月近くが経過しようとしています。報道など見てると、観光地や商店街などに賑わいが戻りつつある様子が伝えられる一方、世界的なパンデミックは収束どころか拡大している地域もあり、ああ、結局ワクチンが出てくるまでは薄氷を踏むような状況なのだなと再認識している次第です。

気になる働き方の変化についても各社方向性が決まりつつあります。

例えばそもそも昨年からテレワークを計画していたKDDIや、今年早々に全グループ社員をリモート推奨としたNTTグループのように、事業者自体がテレワーク関連のサービスを提供しているようなケースは妥当として、カルビーのようなメーカーまで新しい生活スタイルに合わせてきています。中でも日立製作所についてはかなり意外でしたが、記事にある通り数年前から実験を繰り返していたということで、改めて経営サイドの準備の大切さを感じるわけです。

一方、スタートアップ含め、比較的動きやすいテクノロジー系各社はどうでしょうか。

ここ数回、オフィスのあり方については各社の意見をまとめて書いてきましたが、Work From Homeのメリットで聞こえてきたのは(1)多様な生活に対応できるようになった、(2)通勤時間の無駄と同時に業務の棚卸しと効率化が議論できた、辺りに集約されるかなと。

<参考記事>

感染症拡大防止の観点で自宅に高齢者などを抱える人は、引き続き感染リスクを下げるために在宅が必要になると思いますが、それ以外にも子育てや介護など、ライフステージにおけるイベントは突然やってきます。こういったケースに働き方が柔軟に対応できるようになった結果、とあるテクノロジー系大手では離職率が下落したという話も聞いています。

また、多くの経営者、マネジメントで意見があったのが業務効率化、無駄の削除です。サイバーエージェントの意思決定が参考になりますが、原則出社に戻す一方、会議については社内であってもオンライン対応するというのが代表例です。場所の確保や移動時間もそうなのですが、オンライン・ミーティングは事前の準備等がしっかりとしていないと、かなりグダグダになります。特に会議中に発言をしないケースでは、本当に参加していたかどうか分からないため、発言責任などがより鮮明になるのも特徴です。それ以外にもハンコなくそう運動や、実は名刺いらなくね?問題など、今後もビジネスシーンにおける効率化は進むのではないでしょうか。

しかし思ったよりも「いや実は違うんじゃないか」と言われているのがコスト削減メリットです。

感染症拡大が決定的になった時、スタートアップ各社でオフィス解約の動きが活発化したのですが、やはり検討の結果、オフィスに戻るという選択をした企業もあります。LayerXもオフィス解約で話題になった1社でしたが、検討を重ねた上で、やはりチーム全員で場所に集まろうという意思決定をしたそうです。

リモートワークに関するメリット等の議論は他社のそれらと大差変わりなく、例えば採用に関する一次面接などは引き続きオンラインを継続するなど、双方の良い点を取り入れていくという意思決定になったというお話でした。しかしそれ以上に彼らが懸念したのが「新しい働き方を議論するコスト」だったそうです。これは大変興味深いコメントでした。

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完全テレワークの実施は約5割、同僚とのコミュニケーションも課題に。 ~ウィズコロナ時代テレワークの課題・工夫に関する調査結果を発表~(KDDI調査・6月11日)

KDDIが実施したリモートワークに関する調査でも、例えば雑談が少なくなる、運動不足になりがち、作業環境が悪い、といったデメリットが挙げられています。では、これらをどうやって解消するのか。この意思決定はスタートアップのような小さなチームにとっては結構な負担です。また、彼らのようにクリエイティビティや思考プロセスが求められる業務が多い分野もリモートワークが苦手とするところです。

具体的なオフィスの契約についても、完全になくしてしまうという意思決定はあまり聞こえてこなくなって、定期的に対面できる場所の必要性を訴える声や納得感の方が大きくなりつつあります。前述のサイバーエージェントは基本出社に戻って、その代わりに週に1回の「リモデイ」という原則リモートの日程を加えますし、こちらのオフィスのように曜日単位で借りられるオフィス、というものも出現してきています。

先行事例としても例えば、投資事業を手がけるミスルトゥではオフィスではなく「MISTLETOE OF TOKYO」というコミュニティスペースを運営していて、ここでは出社が目的ではなく、繋がりを作るといったセレンディピティを重視した考え方になっています。

重要なのはオフィスの考え方も多様性が一気に拡大する一方、「完全になくす」という選択肢は多くの企業にとっては難しいのだろうなということです。最終的にはオフィスの契約は残るケースが多くなり、一時的に期待されたコスト効率化(特に小さなチーム)についてはそこまで劇的なものにはならないのかもしれません。

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ミスルトゥが展開するスペースはオフィスというよりギャラリー

因みに本誌編集部では長らくWork From Anywhere(※在宅ではないので)の考え方で運営しています。シンプルに記事を書く、取材するという活動には各自の自律的な意思決定が重要で、そこに複数の判断が介在すると動きが鈍くなります。一方、事業については、企画運営などの観点からミスルトゥに似たようなコミュニティスペースを作ったりしたこともあります。

きっかけは悲しいパンデミックではありますが、場所ありきではなく、働き方や事業に合わせて場所を考えるよいきっかけであることは間違いないのではないでしょうか。

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創業2年で評価額830億円(7.8億ドル)の新星スタートアップ、そのビジネスモデルとは

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載 新しい投資運用の形として、注目のスタートアップが小売市場に登場しました。名前は「Thrasio」。創業年2018年のスタートアップです。 Thrasioは2019年4月に650万ドルのシード調達を実施。そこからたった1年しか経っていない2020年4月、シリーズBで7,500万ドルの大型調達に成功して…

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

新しい投資運用の形として、注目のスタートアップが小売市場に登場しました。名前は「Thrasio」。創業年2018年のスタートアップです。

Thrasioは2019年4月に650万ドルのシード調達を実施。そこからたった1年しか経っていない2020年4月、シリーズBで7,500万ドルの大型調達に成功しています。同時期に3,500万ドルのデッド調達をしているため、総額1億ドル超を調達していることになります。現在の評価額は7.8億ドルという急成長企業です。

同社はAmazonサードパーティ・プライベートレーベル事業を買収する事業を運営しています。Amazonの商品の中から「トップレビューのあるベストセラー商品」を見つけ出し、そのブランドを中小企業のオーナーから購入します。Crunchbaseが伝えるところによると、すでにある程度の利益を生み出しているそうです。

Thrasioの着眼点は、Amazonで事業展開をする中小企業が抱える「ビジネスを始めるのは簡単だが、成功すると時間の経過とともに管理が難しくなる」という課題です。成長フェーズにあるが、生産から配送、価格最適化、広告展開まで手に負えなくなってしまったブランドを買い取る「ミニ買収」を繰り返し、爆発的な成長を遂げているのがThrasio、というわけです。この手のブランドは、オーナーが予想していた以上のスピードで成長してしまい、手に負えなくなっているケースが大半とのこと。

これまでに43の事業をオールキャッシュで買収し、自社オペレーティング・プラットフォームに統合。ブランディングや検索などを通じて最適化を図っています。買収したブランド製品には、フィットネス機器ブランド「Beast Gear」、疲労防止フロアマット「TrailBuddy Hiking Poles」などが挙げられます。

利益が500万ドル以下のブランドに対して投資家があまり注目してくれない、という状況も追い風になっています。100万ドルから500万ドルの範囲でThrasioが独占的に買収オファーを出している状況はPeter Thielが提唱する、ニッチ領域で高いシェアを占める典型例であると感じます。

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さて、Thrasioのモデルは小売市場における新たな投資業態です。ここからは考察になってしまいますが、おそらくビジネスモデルは次のようなものでしょう。

  1. 投資家などから出資を募る(事業資金を募る)
  2. 過去の売り上げデータなどを分析して成長性の高いブランドをピックアップ (AIによる期待収益予想)
  3. 買収提案をして、ディールが決まったらAmazonアカウントを連携させるだけ(FBA – Fullfillment by Amazon
  4. 1〜2年で元を取る

日本でも楽天で大きく成功している中小企業ブランドがいたり、100均やちょっとした商品開発にアイデアを持って行って成功させている個人がいます。こうした人たちのExit先として成立させる小売買収事業は、パンデミック禍で落ち込んでしまっている企業を救い、投資マネーを循環させる上で良いかもしれません。もし期待収益を高精度で予測できるのならば、収益も確保でき、Thrasioのような成長ビジネスになるはずです。

D2Cブランドが世界的に乱立しており、消費者からしたらどれを選べば良いのかわからない状態になっていますので、新たな買収モデルとして一度スキームを作ってしまえば、他の様々な市場で買収事業モデルが応用される予感がしています。経済を促す社会的な意味合いも込めて、そしてある種の新たな投資ファンド事業として、ポストコロナで活躍する可能性は大いにあるでしょう。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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スタートアップが本当に重視すべき「粗利」の捉え方

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ピックアップ:Moats Before (Gross) Margins スタートアップが本当に重視すべき「粗利」の捉え方について、Andreessen Horowitzがレポート「Moats Before(Gross)Margins」を公開している。同レポートでは、スタートアップが高い粗利率を継続しなくても安定した経営を可能とする4つの「Moats(堀)」を例に挙げ分析している。 Economie…

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Photo by Francesco Ungaro on Pexels.com

ピックアップ:Moats Before (Gross) Margins

スタートアップが本当に重視すべき「粗利」の捉え方について、Andreessen Horowitzがレポート「Moats Before(Gross)Margins」を公開している。同レポートでは、スタートアップが高い粗利率を継続しなくても安定した経営を可能とする4つの「Moats(堀)」を例に挙げ分析している。

  • Economies of Scale(規模の経済・スケールメリット)
  • Meaningful Differentiated Technologies(意味のあるテクノロジー優位性)
  • Network Effect(ネットワークエフェクト)
  • Direct Brand Power(ブランド力)

もちろん、スタートアップが利益を重要視しなくていいという主張ではない。利益が立たなければ、そもそも企業経営は続かないし、R&Dやマーケティング費用等へのキャッシュフローが回らず、悪循環に陥る。

むしろ、上記にあげたような「Moats」が前提にあるからこそ、高い利益率は自然とついてくる性質にある。つまり、粗利の高さが「Moats」となり安全な企業経営を出来るのではなく、注目すべきなのは「Moats」を如何に構築していくかであって、ゴールのないR&D・マーケティングではないということだ。その一例にAppleを取り上げ、同社の粗利率は38%のみであることを指摘している。

以下で、それぞれのMoatsに関する詳細をまとめた。

Economies of Scale

Economies of Scaleの顕著な例として、Amazonの流通ネットワークが挙げられている。絶対的な経済規模を構築し、コスト面で優位性を獲得することでユーザー視点で見れば「そのプロダクトを利用する意味」を自動的に生み出すことが可能となる。これが、生産可能量の絶対数増加に伴うコスト優位性を意味するEconomies of Scaleだ。

では、Economies of Scaleを自社が得ているかの判断基準はどういったものになるのか。レポートでは以下のようにまとめられている。

  • 単価コストが競合より「確実かつ明確に」低くなっているか?
  • ユニットエコノミクス(最小単位あたりの収益性)を下げず、単価コストが成長しているか?
  • サプライヤー・バイヤーに対する「明確な交渉材料」を持っているか?

「交渉材料」を市場から獲得した例には「Spotify」が挙げられる。確かに同社はテイラースウィフトなどのアーティストと、音楽に対する捉え方の違いから問題を抱えていた過去があった。しかし、Spotifyは今や5000万曲以上のコンテンツまでスケールさせ、アーティストとの明確な交渉材料を手にしはじめている。

Meaningfully differentiated technology

経営者として「明確な」テクノロジーの違いを導くためには、プロダクト機能や性質のどの1点にフォーカスした差別化に取り組んでいくかがキーとなる。多くの企業は自社の技術が「飛びぬけて素晴らしい」と信じているため、それを別の角度から表現していくことが重要となる。

  • その技術・プロダクトはIP(Intellectural Property: 知的財産、特許など)を取得しているか?
  • 競合より価格設定が多少高くても、その技術に投資するユーザーから選択してもらえるか?

Network effects

粗利が低くとも、なぜ成長を遂げることができるのかに対する答えが「ネットワーク・エフェクト」です。UberやLyftなどのデジタルマーケットプレイスのスタートアップの成長過程をその代表例に挙げる。ネットワーク・エフェクトが自社プロダクトに生じているかは、「ユーザーエンゲージメント」・「マネタイズ」の2点から判断できるとしている。

  • ユーザー数が伸びるのと並行して、ユーザーエンゲージメント(DAU/MAUなど)に成長はみられるか?
  • プラットフォームにおける需要と供給にオーガニックグロース(自律的成長)がみられるか?

Direct brand power

「強い」ブランド力の構築には「カルト的信者」をどのように長期的目線で集めていくかが重要となってくる。もちろん、そうしたブランドの構築には資金投入が求められるが、必要資金と捉えるより投資と捉えリターンを求めるべきであるとしている。

  • 売り上げのトラフィックが常に「Organic > Paid」となっているか?
  • 初期のCAC率(Customer Acquisition Cost: 顧客獲得費用)は継続的に下落傾向にあるか?

実際、スタートアップを経営するうえで上記にあげたような「Moats」は知らないうちにマーケティング施策に取り組まれていることが多いと感じる。だからこそスタートアップ経営としてトップがこういったオーダーを重視すると、自然にこれ自体が一つのMoatsとなり、スタートアップのDefensibilityへと繋がるのだと思う。

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2020年・エコシステムはどう変わる(2)激変するオフィスと働き方

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私たちはどうやら簡単には元のオフィスには戻れないらしい。 We have often been in large open spaces at technology companies filled with people using laptops at standing desks while wearing headphones to tune out background noise… i…

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Photo by Sharad kachhi on Pexels.com

私たちはどうやら簡単には元のオフィスには戻れないらしい。

We have often been in large open spaces at technology companies filled with people using laptops at standing desks while wearing headphones to tune out background noise… is there a better win-win arrangement?(テクノロジー企業の多くはオープンスペースで、スタンディングデスクを使って、ノートパソコンにずっと目を向け、周りの雑音を取り除くためヘッドフォンを取り付け黙々と作業する人で埋め尽くされるだけです…なぜそうした状況が生まれてしまったのでしょう?)。

元Kleiner Perkinsのパートナーであり、毎年発行される「Internet Trend」でお馴染みの著名投資家、メアリー・ミーカー女史が発行した「Coronavirus Trends Report」にある一節だ。

感染症拡大による最も大きな変化は「人との接触を極力減らす」生活スタイルにある。特に日本の首都圏で働いているテック系スタートアップであれば、ここの満員電車だったり、足の踏み場のないオフィス環境を経験したことがあるかもしれない。緊急事態宣言が解除された今もまだ、無自覚のまま他人を感染させてしまうという恐怖もある。

元に戻れない、というのはあながち大袈裟でもないのだ。

この状況を比較的リモートワークに対応しやすい国内テック大手はどう見ているのか。感染症拡大を前に、いち早く動いたのがGMOグループだ。1月末で早々に全社リモートワークへの切り替えを実行に移し、週の1〜3日を目安に在宅勤務とする指針を公表している。

またサイバーエージェントのように、会って仕事をすることのカルチャーを重要視している企業もあるが、それでも社内会議についてはZoomを使ったミーティングを推奨するなど、接触と同時に時間の無駄を排除する動きを進めている。生産に装置を必要とする業務や、セキュリティの関係で場所に縛られるケースなど、全てが「Work From Home」に移行できるわけではないが、それでもこれを機に効率化を見直す動きはさらに進むだろう。

これだけ大きな変化だ。ビジネスチャンスがないわけがない。

変わる働き方を投資サイドはどう見る

では、投資サイドはこの状況をどう見ているのだろうか。

まだしばらくソーシャルディスタンスが必要とされることで加速しそうなのがxRと5G技術だ。KDDIの中馬和彦氏は今回の件で、仮想と現実の境界線を「融合する」ソリューションに注目するとコメントしてくれている。

「コロナ以前の注力領域は『バーチャル世界のリアル化を加速するもの』(xR等)と『リアル社会のインターネット化に寄与するもの』(AI&IoT等)でしたが、コロナ後はこれに加えて『バーチャルとリアルの融合(パラレルワールド化)を実現するソリューション』に注目していきたい」(KDDI経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部長/中馬和彦氏)。

また、ソニーフィナンシャルベンチャーズで投資を担当する中村順司氏もまた、ソーシャルディスタンシングの継続で変化が訪れるとした一人だ。リモートワークが加速する中で徐々に視点はできることから品質へと移り関連する技術に注目が集まると指摘した。

「多くの分野で自宅でも仕事はできるということが確認される中、リモートコミュニケーションの品質が問われ始めていて、ここに高い品質と付加価値を実感できるソリューションの登場には注目しています。また『非接触』に対するニーズは多様化し、コスト効率の観点とともに評価の対象軸になると考えています。具体的にはセンシング技術、画像認識技術、セキュリティ、オンライン営業・業務支援ツール、エッジコンピューティング、デジタルヘルスなどがそれです」(ソニーフィナンシャルベンチャーズ取締役 投資業務部長/中村順司氏)。

ここでひとつ実例を挙げよう。米Microsoft Researchが発表しているソリューションにVROOMというものがある。職場に等身大のロボットを配置し、リモート環境からヘッドマウントディスプレイを付けたユーザーが「アバター」として遠隔のオフィスに参加する、という代物だ(詳しくはこのビデオを見て欲しい)。

まだ研究段階のものでとても実用には程遠い体験のように感じられるが、これこそ現時点で想像できるリアルとバーチャルの融合パターンと言えるだろう。使われている技術もソフトウェアのみならず、ハード、センシング、通信と幅広い。

仮想空間についてはこれまでもスタートアップによる開発が進んできた。国内で言えば、エンターテインメント文脈でのVirtural YouTuber(VTuber)開発企業の資金調達が相次いでいたし、VR空間についても、例えばClusterのようなプレーヤーがイベント空間の提供で先行しつつある。

確かにZoomやMicrosoft Teamsのような「オンライン・ミーティング」は便利で、現時点でのベストソリューションかもしれないが、「実際に会ったような体験」とまでは言いづらい。ソーシャルディスタンシングの制約が解除されるのがもう少し先であることを考えると、時間と空間の制約も飛び越える、xR空間での体験、特に中馬氏が指摘する「リアルとバーチャルが融合した」ソリューションはこれからも出てくるはずだ。

どうなる「地方での起業」

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THE SEEDは京都にインキュベーション施設をオープンさせている

ここ数年、スタートアップの現場で語られてきたテーマのひとつに「地方起業」というものがある。東京以外にも関西や福岡などが活動を活発化させており、それぞれ投資ファンドや独立系ベンチャーキャピタル、学生起業家といったローカルプレーヤーが根付き始めているのが今だ。

その代表的な一社である福岡拠点のF Ventures、両角将太氏は今回の件を地方起業拡大の契機と考えている。

「東京のビジネス上のメリットである人の密集が、今回ばかりは逆効果となってしまいました。コロナは容易に根絶できるわけではなく、共存していかなければならなくなる可能性は高いと思います。withコロナ時代では、地方で起業する人たちにとってチャンスが拡がるのではないでしょうか。

地方であれば家賃も安価に抑えられる分、コストを採用に回すことができます。また、オンラインで完結できるようになり、地方ではこれまでできなかった人材獲得ができるようになるのではと考えています。また、そのほかリモートで完結できる業務も増えると予想できるため、地方でのチャンスがより広がってくると思っています」(F Ventures代表パートナーの両角将太氏 )。

彼が指摘するように、地方の分かりやすいメリットは首都圏に比較して圧倒的なコストの安さにある。そもそもテック系スタートアップの多くは「持たざる経営」で競争力を高めてきた。首都圏に集まる理由は主要な投資家や事業会社、そして何より優秀な開発者たちが多く集結していたからに他ならない。しかし、今回の件で距離という制約がゼロにはならないにしても、大きく緩和されれば可能性が出てくる。

例えば海外では国境を超えたチームワークという概念がある。

37Signals(現在のBasecamp)は2010年台半ばにオフィスを持たない、新しい働き方について提唱をしていた。ここ最近のスタートアップでもAndreessen Horowitzが出資した「Deel」のように国境を超えたチームのバックオフィスを効率化する、そんなスタートアップまで出現してきている。

オフィスはオンラインにあり、働く人たちは同じ国ですらないというパターンだ。日本でも今回の件を契機に、本社機能は福岡、働く人たちは東京、アジア、欧米と分散するようなケースが出てきてもおかしくない。

次回は大きな注目が集まる企業のデジタルシフト、デジタル化する経済「DX」大航海時代についてケーススタディを掘り起こしてみたいと思う。

参考記事:2020年・エコシステムはどう変わる(1)スタートアップの投資判断

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ビットコインを稼げるソーラーパネル付きノード「blockSpace」がアフリカに金融包摂をもたらすワケ

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ピックアップ:One Man’s Mission to Deploy Solar-Powered Bitcoin Nodes Across Africa 2015年に世界銀行が実施した統計によれば、アフリカのサブサハラ(サハラ砂漠より南のアフリカ地域)では約3億5,000万人以上の人が銀行口座を保有しておらず、十分な金融サービスにアクセスできない状態で生活しているそうです。 しかしそんな状況を、ビ…

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Image Credit : blockSpace

ピックアップOne Man’s Mission to Deploy Solar-Powered Bitcoin Nodes Across Africa

2015年に世界銀行が実施した統計によれば、アフリカのサブサハラ(サハラ砂漠より南のアフリカ地域)では約3億5,000万人以上の人が銀行口座を保有しておらず、十分な金融サービスにアクセスできない状態で生活しているそうです。

しかしそんな状況を、ビットコイン技術を通して改善を試みる動きがあります。ナイジェリアを拠点とするblockSpace Technologies Africaは、ソーラーパネルを搭載したビットコインノードを提供することで、金融包摂及び人々の経済的独立を実現しようとしています。

同社が提供するデバイスキット「SpaceBOX」は、ソーラーパネルに加えて、ビットコインの処理性能向上技術ライトニングネットワークのノードを含んでいます。つまり太陽光発電の電力がそのままビットコインの取引処理に用いられる仕組みです。

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blockSpace社のSpaceBOX Image Credit : blockSpace

本プロダクトのリリースに関して、blockSpace代表のChuta氏は以下のようにコメントしています。

これにより、世界の中で低所得地域に住む人でも、簡単にビットコインのエコシステムの一員になることができます。私たちの目標は、今後1年でアフリに大陸のあらゆる場所でビットコインライトニングノードの運用者を増やしていく予定です。

アフリカでも、一部の地域では既にビットコインは大きな人気を博しています。Coindeskによれば、送金の際はWestern Unionなどの決済業者はなく、ビットコインが用いられるケースも存在しているといいます。

ライトニングネットワークに関して少しだけ解説します。ライトニングネットワークは、ビットコインブロックチェーンそのものではなく、その上のレイヤーで、ビットコイン取引の高速化を実現するネットワークです。本稿では技術詳細の説明は省きますが、ビットコインの課題である取引遅延や手数料高騰を解決する技術として最も期待されています。

<参考記事>

世界ではジャック・ドーシー氏率いるSquare Cryptoが、Lighning Development Kitを提供するなどの貢献を見せていたり、日本にもいくつか研究開発を行う企業があります。

<参考記事>

現在世界には5,000を超えるライトニングネットワークノードがあり、そのほとんどは欧米に集中しています。ビットコインのマイニングと異なるのは、中国への集中がないことや、アフリカや東南アジア、オセアニアなど南半球にもネットワークが分散している点です。

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Image Credit : Lighting Network Explorer

最後に、blockSpaceのソーラーパネルを用いたアプローチは、環境への負荷のないクリーンエネルギーを活用している点に大きな魅力があります。現在のビットコインのマイニングには、大量の電力を消費するイスラエルやバングラデシュなどの国よりも多い電力を消費しています。

したがって、ビットコインはしばしば環境に悪いと批判されますが、ライトニングネットワークの規模が大きくなっていき、かつSpaceBoxのような再生可能エネルギーを動力としたノードが増加していけば、そのようなネガティブな見方も変化してくるのではないでしょうか。

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2020年・エコシステムはどう変わる(1)スタートアップの投資判断

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まるで5年、いや10年という時を飛び越したかのような気持ちになる。 今年のはじめ、私は2030年までの10年間を占うために幾つかの記事を公開した。投資家たちの言葉に耳を傾けた「次の『10年パラダイムシフト』を探る旅、投資家たちが語るスタートアップ・2030」がそれだ。 この中で語られるデジタルシフト、働き方の変革、お金の概念、ロボットたちとの共存。テクノロジーが私たちの世界を徐々に浸透し、10年た…

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Photo by Josh Sorenson on Pexels.com

まるで5年、いや10年という時を飛び越したかのような気持ちになる。

今年のはじめ、私は2030年までの10年間を占うために幾つかの記事を公開した。投資家たちの言葉に耳を傾けた「次の『10年パラダイムシフト』を探る旅、投資家たちが語るスタートアップ・2030」がそれだ。

この中で語られるデジタルシフト、働き方の変革、お金の概念、ロボットたちとの共存。テクノロジーが私たちの世界を徐々に浸透し、10年たった2030年に「さて、実際はどうなったのか」と答え合わせをするはずだった。

しかし全ての予定は変わってしまった。いや、まさかと思ったが、世界の方から変化を求めて「やってくる」とは思っていなかった。

感染症はもちろん怖い。自分の大切な人を奪っていくからだ。疲弊している人たちもいる。だから手放しに喜ぶことではない。けど、それでも変わる世界に、希望を持って進んでいくのがスタートアップの使命だ。

一方で本当に世界は変わるのか?一時的な混乱で元に戻るのでは?と思う自分も確かに存在する。何が変わって何が変わらないのか、何がじわじわと変化するのか。

そこで本稿では年初にまとめた「次の10年パラダイムシフト」の補足版として、スタートアップ世界に何がこれから起ころうとしているのか、改めて彼らの声に耳を傾けて次の4項目にまとめてみることにした。

  • (1)スタートアップの投資判断
  • (2)激変するオフィスと働き方
  • (3)デジタル化する経済「DX」大航海時代
  • (4)エンターテインメントの未来

変わらないスタートアップの投資判断

まずなにより大切なのは「今を生きる」投資家や起業家たちの生の言葉だ。例えば企業のほぼすべてが投資をストップする、という調査結果を掲載している報道もある。本当にそこまで極端な状況なのだろうか?

グローバル・ブレインが実施した調査「 αTrackesアンケート」(事業会社・CVC21社が匿名で回答)と、独立系ベンチャーキャピタルCoral Capitalが実施した「JAPAN STARTUP LANDSCAPE(2020年版・4月〜5月に83人の起業家・18人の投資家が匿名で回答)」、そして私が5月に実施した主要なスタートアップ投資を手がけるVC・CVCアンケート(13社が記名でコメント回答)の結果を合わせて整理してみた。

投資サイドの考え方はどうだろうか。

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Image Credit : Global Brain Corporation

αTrackesのアンケートで「投資を控える」としたのは10%未満、私が実施したアンケートでも全員が基本的な投資スタンスはこれまでと変わらない、と回答していた。

一方で、今の混乱がおさまって落ち着いて投資ができるようになるには1年後、来年の春以降と考えている人も多い。また、JAPAN STARTUP LANDSCAPEの設問「資金調達環境は悪くなるか」で投資サイド全員(18社)が「悪くなる」と回答している。

投資スタンスは変えないが資金調達環境は悪く、状況が回復するまでに時間を要する。

ーーこの一見矛盾するような状況はなぜ起こるのか。私が実施したアンケートのコメントを一部紹介したい。まずはスタートアップに積極的な投資を続ける専業の独立系VCの見方だ。

「投資スタンスは基本不変ですが、B2Bではインターネットがより既存産業の根幹に入っていくことが予想されますし、B2Cではよりオンラインとオフラインのシームレスなサービス設計が重要になっていくので、これらをなし得るより強いチームへ投資していきます」(ジェネシア・ベンチャーズ代表取締役/General Partnerの田島聡一氏)。

「投資判断への影響はネガティブ、ポジティブ両方あります。まず、ネガティブな面から。シードファンドとしては起業家そのものに投資をさせていただくという側面が強いため、その起業家と直接会うことなしに投資判断をするのは難しいと感じています。今でもやはり最終的には会って、お互いの相性を含めて判断したいため(そのほうが起業家にとってもよいと思います)、その点で投資判断が以前より遅れがちな部分があります。ポジティブな面としては、オンラインで全国津々浦々、どんどん起業家の皆さんの話を聞けるようになった点です」(IDATEN Venturesの足立健太氏)。

一方、独立系VCとはややスタンスが異なるCVC各社もほぼ同様だ。ネガティブ要因として直接、出資先候補に会えない点を挙げている投資家は他にもいた。しかし、彼らも投資方針は別に変えていない。

「コロナ禍までは予測できませんでしたが、経済状況の変化は想定していたのでこのタイミングでCVCを設立しています。今回の件によってスタンスを変えることなく、攻めの姿勢は変わりません。今後、積極的に価値のあるスタートアップには投資していきます」(ヤマトホールディングス専務執行役員の牧浦真司氏)。

「31VENTURESとしては、特に新規および追加投資方針そのものには変化はありません。ただし、運転資金をどれだけ確保できているか、ならびに『Post COVID-19』を見据えて起業家がどのように自らの事業を捉えているのかについては、これまで以上に厳しく問うことになると思います。また、下降局面において起業家側に経営存続を求める以上、CVC側もその運営を継続するために一層の努力を行う必要があるとも考えています」(31VENTURESのグループ長、小玉丈氏)。

つまり各社「何も変わらない」と言ってるわけではない。

特にややバブル気味だった2010年代後半の資金調達環境に対して、筋肉質な経営を求める声は多かったのも事実だ。例に挙げるまでもないが、WeWorkとソフトバンク・ビジョン・ファンドの顛末はその象徴として語られることになるだろう。また事業についても、アップデートされた社会に対応したものが求められるのは言うまでもない。

筋肉質な経営を求められるスタートアップ環境

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Image Credit : Coral Capital

では、スタートアップ側の状況も見てみよう。JAPAN STARTUP LANDSCAPEによると、昨年、8割近くが「起業のタイミングとして適している」としていた回答が、ややトーンダウンしており、7割近くが起業すべしとする投資サイドとの食い違いを見せた。また、以降の調達ラウンドが厳しくなるか、という問いに対しては7割以上が「厳しくなる」と回答している。

つまり、市況の変化だけでなくコロナ禍によって大きく社会に変化が生まれ、このギャップにビジネスチャンスは見出せるものの、投資環境についてはここ数年のようなやや緩い状況はなく、また、数が増える分競争環境が厳しくなる、という見方が浮かび上がってくる。

少しエピソードをご紹介しよう。

YJキャピタルの堀新一郎氏とポッドキャストで公開取材した際、今回の混乱で出資先の動きが大きく分かれたと教えてくれた。不要なオフィスの解約判断、人材についてもランク分類をした上で、いつまでにこの状況が改善されなければ休職や解雇の経営判断をするなど、迅速に動いた経営者とそうでない人で1カ月ほどのタイムラグがあったそうだ。

特に人材のカットは非常に重い。しかしスタートアップ経営は本来、厳しい環境にあるもので、ここに対する考え方や準備ができていたかどうか、今回の件が期せずしてそういったリトマス試験紙になったのは注目に値することだと思う。

恐らくこれから起こることとして、シード期についてはよりチーム、創業者の経験や総合的な「能力」は問われることになるだろう。シリーズAというハードルについては、ビジネスモデルの確かさ、ユニットエコノミクスの正確性、市場規模とスケーリング、そして何より、今のこの新しい世界観・トレンドの風を捉えたものから先に選ばれることになるはずだ。

また、CVCや事業会社の投資であればシナジーや本業への貢献はより正確に見積られることになるのではないだろうか。

次回は大きく変わった働き方、オフィスの考え方についてまとめてみたい。

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野心はコーチできない【ゲスト寄稿】

本稿は、パリと東京を拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。英語によるオリジナル原稿は、THE BRIDGE 英語版に掲載している。(過去の寄稿) This guest post is authored by Paris- / Tokyo-based venture capitalist Mark Bivens. The …

mark-bivens_portrait本稿は、パリと東京を拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。英語によるオリジナル原稿は、THE BRIDGE 英語版に掲載している。(過去の寄稿

This guest post is authored by Paris- / Tokyo-based venture capitalist Mark Bivens. The original English article is available here on The Bridge English edition.


Image credit: PhotoFond

Red Auerbach(レッド・アワーバック)——1950-60年代に Boston Celtics(ボストンセルティックス)を9回の NBA チャンピオンに導いた名将だ。彼の有名な言葉に、「身長はコーチできない」というものがある。これは、なぜドラフトで背が高いだけでスキルの低い選手を指名するのかと、記者から質問を受けた際に放った言葉だ。つまり、パス、ドリブル、シュート、リバウンドショットなど、プレーを指導することは出来るが、身体的特性は教えようがないということである。

起業家にとってこの表現に相当するのは、「野心はコーチできない」ということだ。

私は直近の Clubhouse の資金調達ラウンドに関するスタートアップ業界の反応を見て、この言葉を思い出した。

先般、Clubhouse はシリーズ A で Andreesen Horowitz から1,000万米ドルを調達し、そのうちの200万米ドルはセカンダリーとして創業者に直接支払われた。200万米ドルが創業者の懐に入るということで、本件は注目を集めた。

これは私のキャリアがシリコンバレーよりもヨーロッパで長いからかもしれないが、このようなディールストラクチャーは、一見悪意があるように見えても、特別批判に値するものではないと思っている。

ヨーロッパのスタートアップ創業者は、決して貧困層ではないものの、特権階級出身の創業者はほとんどいない。今まで会ってきた創業者のほとんどは、そこそこの給料(とりわけ高い税金と社会保障費を差し引くと)をもらいつつも、保有株式のキャピタルゲインも限定的で長年苦労してきている。

アメリカとは対照的な広範囲な社会保障は起業家のセーフティネットとして機能し、さまざまな層の人々が起業する選択肢を選ぶことを可能にした。このような社会的背景もあり、ヨーロッパでは「のるかそるか」というギャンブル的なメンタリティをもった起業家は非常に少ない。

こうした背景を鑑みると、長年少ない金銭的リターンで努力してきた起業家が、セカンダリーラウンドで恩恵を受けるのは、不自然なことではないと私は思っている。200万米ドルよりも少ない額、且つシリーズ A ではなくもっとレイターステージだが、私も同様の取引は複数回行っている。

私の経験では、このような取引は幾つかのケースでは創業者をモチベートし、更なる成長を促すことに寄与し、別のケースでは成長に結びつかず、他の投資家とのミスアラインメントを引き起こした。

そしてこのような経験を通して私が学んだことは、別の変数、すなわち創業者の野心をコントロールすることが重要という点である。

例えば創業者のパフォーマンスを高める上で、家庭の生計といった外部要因が制約となっている場合、セカンダリーラウンドを通して負担を軽減してあげることが企業成長にポジティブに働くことは証明されている。

野心は生ものであり、私を含む投資家が提供できるサポートとは全く別物である。アワーバックが若い選手をコーチしてきたように、会社のストラクチャー、ファイナンス、マーケティング、リクルーティング、ピッチ、資金調達、交渉、Exit 等々はスキルとして育成できる。しかし、野心はコーチできない。

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毎日2.3億人が使う「Snap」のすべて、ARの未来とユースケース

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載 スマートフォンアプリ「Snapchat」を開発する「Snap」は6月11日、Snap Partner Summit 2020をオンライン開催した。本記事ではイベントの内容を下記のトピックに沿ってまとめ、簡単なコメント共に考察している。 メンタルヘルス重視 主要トラクション ARクラウドに向けた動き …

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

スマートフォンアプリ「Snapchat」を開発する「Snap」は6月11日、Snap Partner Summit 2020をオンライン開催した。本記事ではイベントの内容を下記のトピックに沿ってまとめ、簡単なコメント共に考察している。

  • メンタルヘルス重視
  • 主要トラクション
  • ARクラウドに向けた動き
  • AR時代の検索
  • モバイル映像コンテンツとARストーリー体験
  • SnapKit連携
  • 共有体験とSuper App化

メンタルヘルス重視

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CEO創業者のEvan Spiegel氏から最初に語られたのはメンタルヘルスに関して。Snapchatユーザーがメンタルヘルスの専門家リソースを検索できるサービスを発表した。「Crisis Text Line」「activeminds」らと連携し、若者世代の孤独問題解消などを目指す。

世界各地の優れたストーリーテラーが発信するスペシャルショー「Snap Originals」において、若者世代のメンタル問題を取り上げた『MindYourself』をリリースしたことも同時に発表されている。合計1200万ユーザーが視聴しており、ウェルネススタートアップ「Headspace」とパートナーを結び、より積極的にメンタル問題をサポートしていくとも述べられた。

主要トラクション

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続いてはSnapchatに関するトラクション。

  • 2020年第1四半期の平均デイリーアクティブユーザー数は2億2,900万人超。
  • アメリカだけでも1億ユーザー以上に達している。TwitterとTikTokを合わせた数よりも多くの米国ユーザーにリーチできている。
  • 同じく第1四半期には、FacebookやInstagramよりも多くの13歳から34歳の若者にリーチ。
  • イギリス、フランス、カナダ、オーストラリアなど、世界中で大きな成長を遂げている。また、インド市場では、過去1年間で1日のアクティブユーザー数が120%以上増加。
  • Snapchatters(Snapchatユーザーの名称)は非ユーザーよりも何かしらのコミュニティサービスに従事する可能性が50%高くなっている。
  • 動画コンテンツをマップに表示・検索できたり、友人と繋がれる「Snap map」の月間リーチユーザ数は2億以上。地元商店のリストが並び、ストーリー・営業時間・レビュー・PostmatesやDoordashを通じた配達オプションを備えている。
  • Snapchat上のプレミアムコンテンツの視聴時間は第1四半期に前年比2倍以上に増加。60以上の番組が月間視聴者数1,000万人以上に達している。
  • 毎日40億回以上スナップが作成され、1日に300万回以上のスナップがストーリーに投稿されている。

ARクラウドに向けた動き

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SnapchatがARプラットフォームであることが改めて明言された。事実、1億7,000万人以上のSnapchatユーザーがARを利用しており、ユーザー当たり平均毎日30回前後ARレンズを活用しているとのことだ。

ARレンズを制作・発表する「Lens Studio」では、数万人のクリエイターが存在し、累計100万以上のレンズが発表されている。今回、新たに「Music Lens」が発表され、音楽に合わせたAR効果を楽しめる。レンズの中でもイベントで特集されたものが下記である。

  • 「butterflyyy」 by alexia:140億視聴
  • 「star freckles」by ana casciello:70億視聴
  • 「Bokeh A7 NEW」by Ahmed Ali:60億視聴
  • 「Shrinky Drink」by Kryptik:29億視聴

これまで世界中で25の新しいランドマーカーを発表し、3Dフェイスメッシュやスケルトントラッキングを含む11のテンプレートをリリースしてきた。カスタム3D エフェクトを作るためのビジュアルプログラミングツール、マテリアルエディタも発表。加えて、レンズスタジオをSnapが開発するARグラス「Spectacles」にも導入。ARソフトウェアとハードウェアをシームレスに統合してきた。

世界中のクリエイターが機械学習モデルをレンズデータに直接取り入れることができる「SnapML」の立ち上げも発表された。たとえば物体にカメラレンズを向けると対象物の名前が検索できるサービスなどを手軽に実装できるようになる。

Prisma」やMRクリエイター集団「2020CV」はSnapMLを使っているという。また、ARコマース企業「Wannaby」はシューズのAR試着を可能とするフットトラッキングモデルをアップし、誰もが手軽に様々な柄のスニーカーデザインをレンズ越しに試着できるようにしている。

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Snapは昨年からランドマーカーを導入し、お気に入りの場所・建築物でARを楽しめるようになった。そして今回、友人と一緒により広い街のブロック全体で友達と同時にARを体験できる「Local Lens」が発表された。

360度画像やユーザーコミュニティから投稿されるスナップコンテンツなど、さまざまなデータソースを使用して物理世界点群データを構築。3D再構成、機械学習、分散型クラウドコンピューティングと組み合わせることで、都市ブロック全体をマッピングすることに成功。物理世界の上にARレイヤーを加え、ユーザー同士がコラボレーションしながら遊べる体験を実現させた。

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重要なポイント:さて、「Pokemon Go」を開発する「Niantic」が3D空間マッピング企業「6D.ai」を買収しています。また、同社は先日、ユーザーから許可を取る形で3Dビジュアルデータを収集することも発表しています。クラウドからデータを集め、都市の点群データを効率的に集めるこの戦略ですが、まさにSnapも同様の動きをしていると言えるでしょう。

SnapはPokemon Goより先んじて点群データを集め、実際にサービス化へと走り出していることがわかります。ユーザーがいる特定箇所に紐づいたデータや、ユーザーがその箇所に残した過去の活動情報をクラウド上に保管し、常に呼び出せる「ARクラウド世界」の実現に動き出しています。

デモ上では複数ユーザーがARレンズ越しに屋外の壁にペイントをしながら遊んでいました。友人ユーザーが残したペイント情報が即座に共有され、1つの共同体験として完成しています。あたかも「リアル版Splatoon」とも呼べるものです。ここに様々な情報が乗っかり、より高機能なSpectaclesが登場すれば、スマホに変わる次のコンピューティング環境が切り開かれます。今回、SnapはxR業界誰もが望む世界のver1.0を披露してくれているのです。

ARクラウド環境とハードウェアをSnapが揃えれば、マーケットプレイスモデルのようにサービスを開発・提供するパートナーを増やすだけになります。たとえばSplatoonを開発する任天堂がSnapと提携し、ゲームソフトだけを提供する具合です。Nintendo Switchなどのハードウェアの開発も不要となるので、あらゆる企業がSnapのような巨大なAR経済圏に参加することを前提に、何かしたらのサービス開発をする必要が出てくるかもしれません。こうした未来を見据えた事業構想が求められるでしょう。

AR時代の検索

実生活に役立つARユースケース創出にも動いている。昨年、Snapは「Shazam」「Amazon」「photo math」らと提携しコマース領域を強化。PlantSnapを使えば、60万以上の植物・樹木データにアクセスし、90%の識別能力で該当物を判断できるようになっている。

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400種類近くの犬種を識別するレンズもある。通りかかった子犬の正確な犬種を知る必要がある場合に役立つ。スーパーに行ってバーコードをスキャンすれば、どのくらい栄養価の高い商品なのかを知ることができる。

マーカーレンズの美容業界での活用法も発表された。たとえば「Too Faced」はアイシャドウパレットにバーチャルトライレンズを連携。購入者がアイシャドウをスキャンすると、どんな場所であっても手軽にパレットの中の色の使い方のチュートリアルが表示されるようになった。

ARスキャントリガーの活用も発表されている。たとえば空にかざして発動するARレンズを開発したのならば、Lens Stuido上で「Sky」とトリガーを置けば、ユーザーは空にカメラレンズをかざすだけで特定AR効果を引っ張ってこれるようになる。コンピュータービジョンを使ったビジュアル検索機能だ。

音声コマンドにも力を入れている。「SoundHound」との提携を発表し、音声だけでARレンズを使うことができる。たとえば「Hey Snapchat, give me a hug」というと熊のぬいぐるみが抱きしめてくれたりする。

重要なポイント:Snapが参入する領域はカメラを使って目の前の物を検索する「Google Lens」と同じです。ただ、Snapは他社連携を強く推し出しており、例えばAmazonとのパートナーシップは彼らの強みになっています。

関連して「Alexa for AR」と称される、“声のAR”にも力を入れている点も注目でしょう。音声入力はARグラス端末の主要UIの一つとなると感じており、ビジュアル検索と音声コマンドの両方を抑えることはデバイスを確立するためにも必須条件となります。

自社製品ラインナップだけで囲う傾向のあるGoogleやAppleとは一線を画しており、逆に言えば、将来的にiPhoneやPixelからSnapのAR機能が排除される可能性も少なからずあるかもしれません。この点を踏まえ、SnapはSpecatacles開発を進め、一刻も早くモバイルデバイスからARグラス端末の時代へ進めたいと考えているはずです。モバイルARを戦略時に置くGoogleと、グラス時代を見据えたSnapの対立構造が見えてきます。

モバイル映像コンテンツとARストーリー体験

友人が投稿したストーリーズやパブリックストーリーズを楽しめる「Discover」に関しても数値データが共有された。

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  • Will Smith氏の軽快なトークショー『Will from home』は3,500万以上視聴されている。
  • 2019年、Discoveryコンテンツの視聴時間は35%増加した。
  • 今年の第1四半期にはSnapchatで番組を視聴する時間が2倍になった。
  • 2019年にはパートナー企業に前年よりも60%多くの収益を支払った。
  • 過去3か月、8,000万人以上のSnapchattersが、NBC、The Gardian、Lamontを含む100以上のパートナーからの報道を視聴した。
  • 今年だけで1億2,500万ユーザーがニュースストーリーズを視聴した。
  • 全てのチャネルで毎月約5000万人のSnapchattersによる視聴が発生。
  • Snap Originalsは米国ジェネレーションZ世代の50%以上に視聴されている。
  • Snap Originalsの作品『Nikita Unfiltered』は2,200万ユーザーが、『Dead of Night』は配信開始から48時間で70%のユーザーが視聴した。

Discoveryと並び紹介されたのがSnap Originals。NBCUniversalが制作したSnap Originals上の作品『Face Forward』の視聴者は、作品で美容メイクを扱うことから、ARレンズを使って登場キャラクターになりきれる。同様にMission Controlが制作した『Fakeup』、StellARの『Move It!』でもストーリーに合わせたARレンズを楽しめる。

重要なポイント:ここで紹介されているSnapchat限定映像コンテンツを、ARレンズを通してバイラルさせるSNS戦略は興味深いところです。TikTokも中国本土では映像コンテンツを試験的に配信している動きがあると聞きましたし、フィルター/レンズを使ったコンテンツ連携はこれから主流となってくるはず。映像の世界観をUGC(User Genrated Content)の形式で普及させることができるため、広告コストのハックに繋がるかもしれません。

また、Netflixが『Staranger Things』で成功を収めているように、Snapは『Dead of Night』で映像コンテンツの魅力さが際立っている印象です。AR + 映像配信企業としての独自のコンテンツプラットフォーム路線を描いていることが想像できます。

SnapKit連携

開発者がSnapchatを活用したサービスを簡単にビルドできる「SnapKit」に関しても発表がされた。ここでは簡単に要点だけを紹介したい。

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  • 800以上のアプリがSnapKitと統合されており、毎月1億5,000万ユーザーがこれらの統合されたサービスを利用している。
  • イギリスに拠点を置く写真編集アプリ「Infltr」は、700万以上のユニークな写真や映像作品を持つ。SnapKitと統合後、フィルターのサブスクリプションの売上高は5倍になり、以前はほとんど利用されることがなかった中東では、1日あたり50万ほどスナップが共有されている。
  • 先月、パートナーが開発した20以上のアプリがiOS App StoreとGoogle Play Storeのトップ100に入った。
  • 匿名メッセージアプリ「YOLO」は、Snapchatの友達向きのサービス。リリースから1週間も経たないうちに米国App Storeで1位になり、Social Appのトップ10にランクインしている。

共有体験とSuper App化

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ユーザーに似せたアバターを作れる「Bitmoji」。これを使ってSnap Gamesを遊べるようになっており、あたかも自分が遊んでいるかのような体験を得られるようになった。

インストール不要、デフォルトで友人Snapchattersと繋がり、ゲーム内チャットおよび音声コミュニケーション機能が付いているSnap Games。これまで1億ユーザーがゲームをプレイしたという。さらに、毎日1プレイヤー当たり平均20分遊んでいるとのこと。「Ready, Chef, Go!」は2,500万ユーザーがプレイしたヒット作。一人で遊ぶより多人数で遊ぶ方が2倍長くプレイすることがわかっており、Snapは引き続きコミュニティ作りに邁進するという。

また、チャット機能内で選択できるミニプログラム「Snap Minis」が発表された。たとえば「atom」では、面白そうな映画の予告編を送信することができ、お互いに気に入ったら近くの映画館の座席チケットをその場で予約できる。「headspace」では友人と一緒に瞑想をすることができ、感想を送り合える。

重要なポイント:Bitmojiをゲーム内で使い友人と一緒に没入体験を味わえる手法や、同じプログラムを楽しむ手法は、友人とのライブ動画チャットを楽しめる「Houseparty」が採用する戦略に似たものを感じます。

クイズや映像、瞑想をしながら共通の話題・体験を共有することで、小さなグループの絆を強くすることができます。こうした小さなグループを大量に作ることで、大量のユーザー数を低い離脱率かつ長いリテンション率に留めることができます。

Snapchatはコミュニケーションアプリであることから、決済やモビリティ、小売領域へはまだ進出していないようですが、中国のアプリに見られるように、ありとあらゆるサービスをミニプログラムとして動かすことで、1つのアプリで全てのサービスニーズを抑えられる「Super App」の戦略舵取りをすることが今回、明らかになりました。すぐにでもパートナー企業を増やし、ユーザーの生活体験全てを抑えるべく、あらゆる領域のミニプログラムを展開するはずでしょう。

次世代コンピューティング時代の主要アプリとしての市場ポジションを睨みつつ、Super Appとして多角化を目指す強さは、GAFAを筆頭とする大手IT企業に引けを取りません。プライバシー問題に大きく揺れるGAFAよりむしろ動きやすいことから、戦略展開も着実に進めていけるかもしれません。なにより、比較的若い世代のユーザーを囲えているコミュニティの競合差別要素がSnap“らしさ”を高めています。この点は次の5-10年の戦略的優位性となるでしょう。

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最後に、Snapはカメラユースケースの最発明に軸を置いたところから始まっている企業です。これは日本のSonyやCanon、Nikonが古くから参入している市場です。これをカリフォルニアの若手起業家に全て持っていかれてしまっています。言い換えれば、技術力ではなく、いかに新時代を生きる若者向けのUXを作り出せたのかどうかで成長力が決まることをまざまざと見せつけられていると感じます。

Appleが巻き起こした黒船襲来の二の舞を、指をくわえながら眺めているしかないのが今の日本の現状かもしれません。世界の“レンズ”はARが普及する時代を見据えています。それはここまでの内容で何度も強調されている点です。

この未来を到底実現しない馬鹿げたものと捉えるか、はたまた目の前にある現実として捉え、今すぐ行動に移すかで日本のお家芸の運命は変わるかもしれません。Snap然り、日本の大手企業がいかに時代を捉えて経営戦略を最適化させるかにも注目しています。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

 

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「おうち体験キット」は巣ごもり消費の未来をつくる

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本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です アソビュー代表の山野です。 本日、「アソビュー!ストア」という新サービスをリリースしました。おうちで本格体験が楽しめる体験キット專門の通販サイトです。本稿では大きな打撃を受けた観光・レジャーという産業の中、私たちが取り組んできたいくつかのことを共有させてください。 「体験」をもっと多くの方に まず最初に、アソビュー!ストアについて…

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アソビュー!を開発・運営するチーム

本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です

アソビュー代表の山野です。

本日、「アソビュー!ストア」という新サービスをリリースしました。おうちで本格体験が楽しめる体験キット專門の通販サイトです。本稿では大きな打撃を受けた観光・レジャーという産業の中、私たちが取り組んできたいくつかのことを共有させてください。

「体験」をもっと多くの方に

まず最初に、アソビュー!ストアについてご紹介させてください。

ご自宅で簡単にできる陶芸体験、ハーバリウム作り、科学実験や味噌作り体験など28種の体験キットから販売をスタートします。販売する体験キットはアソビュー社が独自に開発したオリジナル商品や、スタッフが実際に体験し、厳選した商品で構成されており、お子さまとご家族で楽しむことができます。

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ハーバリウム体験キット レクチャー動画

オリジナル商品は、コロナ渦で同じく売上が低迷しているアソビュー!で人気の体験教室の先生に監修をお願いし、共に開発しました。体験キットとレクチャー動画のセット商品で、おうちにいながらも体験教室におでかけしたような臨場感をも体感することができます。

立ち上げに合わせ、1000個の体験キットを無料でプレゼントします。これはコロナ渦で出荷の叶わなかった余剰在庫の花材を活用したハーバリウム体験です。できるだけ多くの人たちに、離れていても「体験は楽しめる」、それを感じていただくきっかけにできればと考えています。ぜひ、多くの方に手にとっていただきたいです。

生き残りをかけて

では、ここまでに私たちの身に何が起こったのかについても、少しお話いたします。

新型コロナウィルスの感染拡大防止策として、安倍首相が2月27日に臨時休校を要請、3月25日には小池知事が外出自粛を要請しました。その後、4月7日に緊急事態宣言が発出され、それが全国に広がっていきました。

この図は少しわかりづらいですが、販売金額の推移を可視化したグラフです。緊急事態宣言以降、ほぼ0に近い数字が継続していきました。即ち、売りげがほぼゼロになりました。

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キャプションの入力

企業存続の鍵はランウェイの確保です。

そのためにはシンプルに(1)売上総利益の最大化(2)販管費の削減 が必要です。ネガティブシナリオで新型コロナが2年続くと仮定し、2年間のランウェイ確保を目標に掲げ、3月初頭から様々な施策を実行しました。

とはいえ、先は見えませんでしたが、感染拡大に終わりがあることだけはわかっていましたので、必ず復活するであろう需要を見越した上で、【1】事業の継続 【2】雇用の維持 を必達事項として、仲間の経営者らに協力してもらいながら「従業員シェア」(※1)など新しい枠組みを立ち上げ、同時に、限られたリソースでの売上総利益の拡大に向けて奔走しました。

※参考:緊急提言:災害時雇用維持シェアリングネットワークの必要性

本日リリースしたアソビュー!ストアも長期化するであろう売り上げ低迷の打開策として、3月初頭から企画をまとめ、粛々と準備を進めていた施策のうちのひとつです。

未来をつくる一歩

元々、基幹事業である「アソビュー!」というサービスはもともと雨や台風、気温の低下などに売上を左右されるサービスでした。外出の機会は天候・気温に大きく左右されます。また、サービスをご利用頂いているゲストの方々から外出自粛期間に「家の中で子どもと遊ぶネタがない」「動画視聴サービスだけだと飽きてしまう」などのリアルな声も聞いていました。それであれば、家から出られないこの有事に、家の中での良質な遊びの機会を作ればいい、という発想に至り本日まで準備を進めてきました。

アソビュー社のミッションは「ワクワクを すべての人に」です。「おでかけ」がすべてのように思うかもしれませんが少し違います。事実、アソビュー!ギフト(※2)という思い出をプレゼントできる体験ギフトを3年前にリリースし、順調に成長しています。

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先行していた「アソビュー!ギフト」

今回のプロジェクトは、私とCOOの宮本は事業の企画とサービス品質の確認こそ行いましたが、立ち上げはほぼ全て新卒入社のメンバーを中心としたチームで行いました。仲間が散り散りになっているタイミングですが、だからこそ社内外のメンバーたちは発奮し、全てに当事者意識を持って取り組んでくれています。そのひたむきな姿勢に、ほぼゼロに近い数字を経営者として毎日見ては、崩れそうになりながらも、勇気をもらい続けてきました。ピンチをチャンスにとはよく言いますが、有事を機会に組織の団結力が一層増したと実感しています。

これからの「ワクワク」をつくる

パンデミックを契機に、人々の遊び場の認識が拡張されました。ニューノーマルにおいて「おうちで遊ぶ」需要が着実に成長していくと予想しています。

過去、「遊び」の市場の主戦場は「(〜に)行く」という動詞が枕言葉の様に連想されることもからも明らかなように、おうちの外でした。そこから家庭用ゲームやスマホゲーム、定額制の動画視聴サービスなど様々なサービスが立ち上がり、選択肢を増やしてきたわけですが、そこによりリアルで良質な体験の機会が必要になると実感しています。

これはお子さまがいらっしゃるご家庭は特にだと思います。海外では「peloton」や「skillshare」などのリアルな体験の機会を提供するサービスが既に人気です。こうした需要に対して「おうち×体験」の良質な選択肢となるべく、ピンチをチャンスに、アソビューは力強く事業を拡大させていくつもりです。

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