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スマートウォッチのGarmin、妊娠中のトラッキング機能を追加

ピックアップ:Garmin adds pregnancy tracking to Connect app ニュースサマリ:Garminは11月10日、同社のスマートウォッチとConnectアプリに妊娠中のトラッキング機能を追加することを発表した。女性のための機能としては、2019年に発表された月経周期トラッキングに続いた機能追加となる。 詳細な情報:今回新たに追加された妊娠トラッキング機能では、ユ…

画像出典:Garmin プレスリリース

ピックアップ:Garmin adds pregnancy tracking to Connect app

ニュースサマリ:Garminは11月10日、同社のスマートウォッチとConnectアプリに妊娠中のトラッキング機能を追加することを発表した。女性のための機能としては、2019年に発表された月経周期トラッキングに続いた機能追加となる。

詳細な情報:今回新たに追加された妊娠トラッキング機能では、ユーザーが赤ちゃんの出産予定日を入力することで、胎児の大きさなどの妊娠中のタイムラインをスマートウォッチ端末で確認できる。また、心拍数アラートや水分補給のモニタリング、妊娠期間中のトレーニングに関する通知を一時停止にすることも可能なうえ、妊娠中に予想される症状や摂取すべき栄養、毎週の体重増加に関するアドバイスを受け取ることもできる。

  • さらにConnect IQアプリを使用すると、母親およびパートナーは、互換性のあるGarmin端末から陣痛の期間と頻度を追跡することもできる。同社グローバル・コンシューマー・マーケティング担当副社長であるスーザン・ライマン氏は、以前発表した月経周期トラッキングに好意的な反響があったことをふまえ、女性がテクノロジーを活用してヘルスケアを向上させる機会を求めていると今回の機能追加についてコメントしている。
  • Apple WatchFitbitでは、月経周期をトラッキングすることはできるものの、妊娠をトラッキングする機能は現時点(2020年11月)では発表されていない。一方、Withingsは、妊娠モードが搭載されており、妊娠中の体重増加のトラッキングや妊娠中のアドバイスなどの情報を受け取ることができる。

背景:妊娠中のユーザーは、過去にスマートウォッチやウェアラブル端末の開発企業が製品に妊娠モードを搭載していないことを批判してきた。例えば、2018年にSwapna Krishna氏がEngagetにて執筆した「How fitness- and health-tracking apps failed me during my pregnancy(フィットネストラッキングアプリが妊娠中いかにポンコツだったかについて)」と題した記事ではこの課題を通じて、女性の絶対数が少ないシリコンバレーのテック業界や投資家に構造についても言及している。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

女性のライフステージ「更年期障害」にテック・アプローチするMPowder

ピックアップ:UK femtech MPowder closes €550K seed round to support women experiencing menopause ニュースサマリ:ロンドンを拠点とし、更年期障害向けサプリメントのEコマースを展開するMPowderは、11月4日、55万ユーロのシードラウンドでの資金調達を発表した。本ラウンドにはPink Salt Ventures、F…

画像出典:MPowder 公式ウェブサイト

ピックアップ:UK femtech MPowder closes €550K seed round to support women experiencing menopause

ニュースサマリ:ロンドンを拠点とし、更年期障害向けサプリメントのEコマースを展開するMPowderは、11月4日、55万ユーロのシードラウンドでの資金調達を発表した。本ラウンドにはPink Salt Ventures、Founders Factory、Mumsnet共同創業者のCarrie Longton氏をはじめとするエンジェル投資家が参加した。

詳細な情報:MPowderは、同社ウェブサイト上で顧客に更年期障害の3つのステージに合わせた植物性の粉末サプリメントを販売している。

  • 同社は2019年、創業者兼CEOのRebekah Brown氏によりロンドンで設立。Evening Standardの記事によると、Brown氏はクリエイティブエージェンシーで幹部を務めていた46歳の時、更年期障害の症状に悩まされていたものの医師からは診断が下されず、市販のサプリメントを摂取するように勧められた。しかし、膨大な製品の中から何を選ぶべきかわからなかったという原体験が設立のきっかけだという。
  • Brown氏は今回の調達に関する同社プレスリリースにおいて、更年期障害についての理解や研究は十分ではなく、更年期障害は人生の中年期のエンパワーメントのカテゴリーであるべきなのに、終末期のカテゴリーとして提示されていると指摘している。その上で、人口の51%が通過するライフステージを革新させるソリューションが必要とこの事業の重要性を伝えている。
  • 今回調達した資金は、生産規模や臨床試験の拡大、チームの構築に活用する予定だという。

背景:同社プレスリリースによると、英国だけで毎年1,300万人が更年期を迎え、更年期障害市場は2023年までに約44億7,000万ユーロの規模になるという試算を提示している。また、2015年時点の推計では、2030年までの15年間で更年期に入る人の数が全世界で12億人にのぼるとされている。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

中国のバイオテックスタートアップD3 Bio(徳昇済)、シリーズAラウンドで2億米ドルを調達

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Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから。 中国のバイオテックスタートアップ D3 Bio(徳昇済)はシリーズ A ラウンドで、Sequoia Capital China(紅杉資本)、Matrix Partners China…

Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから


中国のバイオテックスタートアップ D3 Bio(徳昇済)はシリーズ A ラウンドで、Sequoia Capital China(紅杉資本)、Matrix Partners China(経緯中国)、シンガポールの政府系ファンド Temasek、Boyu Capital(博裕資本)、上海の製薬会社 WuXi AppTec(薬明康德)から2億米ドルを調達したと発表した。

George Chen(陳之鍵)氏
Image credit: D3 Bio(徳昇済)

別の提出資料によると、WuXi AppTec は、D3 Bio の発行済み株式約16.67%に相当する21,00万ドルのシリーズ A-1 株を購入することに合意したという。D3 Bio は、この新しい資金を使って、がんと免疫の分野でポートフォリオを開発する予定だ。

D3 Bioは、イーライリリー、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アストラゼネカなどの多国籍製薬会社に勤務していた George Chen(陳之鍵)氏が立ち上げた。彼は、米国国立衛生研究所で研究員として働いていた経験もある。

D3 Bio は、既存の標準的な治療法を改善したり、代替したりするための精密医薬品の開発と商業化に注力している。臨床開発から得られた知見に基づいて、免疫・がん分野における新たな疾患ターゲットとデリバリ方法を特定し、患者の疾患を治療するための治療法と患者をマッチングさせている。同社は、前臨床開発において、関連するがんのバイオマーカー、治療法の改善、代替目標を理解することで、創薬と開発を「可能な限り効率的かつ集中的に」行うことができると述べている。

「当社のがん・免疫領域の研究開発プログラムは、現在の充足していない臨床需要に対応し、将来の医薬品開発の基礎となるバックボーンとなる構造を提供することを目的としている。D3 Bio は、社内のコア資産を活用して、フォローオン開発に活用できる強固なポートフォリオを構築していきたいと考えている。(Chen 氏)

バイオテック分野の類似したローカルプレーヤーには、シリーズ B ラウンドで Sequoia Capital や Temasek 傘下の Vertex Ventures などから2億2,260米万ドルを調達した RecBio(端科生物技術)や、先月香港での IPO で4億5,160万米ドルを調達した Everest Medicines(雲頂新耀)などがある。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

妊産婦死亡率の高い米国でマタニティケアの新しいスタンダードを作るOula

ピックアップ:Hybrid maternal health company Oula launches with seed funding round ニュースサマリ:妊婦向けのケアを提供するOulaは10月20日、シードラウンドで320万ドルの資金を調達したことを発表した。本ラウンドはCollaborative Fund が主導し、Female Founders Fund、8VC、Metrodo…

画像出典:Oula公式ウェブサイト

ピックアップ:Hybrid maternal health company Oula launches with seed funding round

ニュースサマリ:妊婦向けのケアを提供するOulaは10月20日、シードラウンドで320万ドルの資金を調達したことを発表した。本ラウンドはCollaborative Fund が主導し、Female Founders Fund、8VC、Metrodora、Kapor Capital、Rock Health、January Ventures、Great Oaksなどのベンチャーキャピタルのほか、One Medicalの創設者であるTom Lee氏、Maven Clinicの創設者兼CEOであるKate Ryder氏などの著名なヘルスケア事業者も参加した。

詳細な情報同社は2019年、Adrianne Nickerson氏とElaine Purcell氏の両者によりニューヨーク・ブルックリンにて創業。AlleyWatchの取材によると、自身らが30代で家族計画を考えた際に、出産が病院での医学的アプローチか自宅での助産師による自然分娩かの二者択一の選択肢しかない現状に疑問を抱き、それらを組み合わせてより個々の妊婦が希望するマタニティケアを提供できるようなサービスの必要性を感じたことが創業のきっかけだという。

  • 現在同社が提供するサービスは、マンハッタンにある実店舗型のクリニックとバーチャルケアサービスがある。患者は妊娠前から産後まで、対面とバーチャルを組み合わせて受けることができる。アプリも提供しており、患者は自分のマタニティケアプランのトラッキングや、提携する専門家とのメッセージ、予約の確認ができる。
  • 今回のラウンドに参加したVC・Metrodoraの設立者であるチェルシー・クリントン(ビル・クリントンとヒラリー・クリントン夫妻の長女)は、Oulaについて「女性は特に妊娠中、自分の健康管理の中心にいなければなりません。Metrodoraは、Oula Healthをサポートし、産前・産後のケアを実現するためのアプローチを提供できることを誇りに思っています」とコメントしている。
  • 今回得た資金は、2021年初頭にブルックリンにてオープン予定のクリニックの開設費用や、現在も開院中のマンハッタンのクリニックでの新たな出産オプションの追加、バーチャルケアサービスの拡充等に活用される予定だという。

背景:2019年6月のHarvard Business Reviewの記事によると、世界では出産で亡くなる女性の数が着実に減少している中、米国では妊産婦死亡率は1991年から2014年の期間において、2倍以上に上昇し続けている。この背景として、米国内での人種間の格差の問題があり、黒人女性は白人女性よりも3~4倍出産で死亡する可能性が高いという。またアメリカでは帝王切開率が30%を超え、世界保健機関(WHO)の基準である10〜15%を大きく上回っている。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

フィットネス版Netflix「Playbook」ーーパッションエコノミーの流れを掴む動画市場

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載。 質の高いコンテンツを持つ個人が、プラットフォームの制約にできるだけ縛られずサービスを提供できるパッション経済の流れが加速しています。自らサービス内容を考え、市場展開できるほどの熱意ある個人事業主を指す「マイクロ起業家」の活躍です。なかでもフィットネス市場の機運が高まっている印象です。2020年はL…

Image Credit:Playbook

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載。

質の高いコンテンツを持つ個人が、プラットフォームの制約にできるだけ縛られずサービスを提供できるパッション経済の流れが加速しています。自らサービス内容を考え、市場展開できるほどの熱意ある個人事業主を指す「マイクロ起業家」の活躍です。なかでもフィットネス市場の機運が高まっている印象です。2020年はLululemonが鏡型フィットネス器具「Mirror」を5億ドルで買収するニュースが報じられたり、Appleが「Apple Fitness+」を立ち上げたりと、市場を賑やかせています。

在宅フィットネス市場の成長は、冒頭で紹介した個人をエンパワーメントするトレンドと重なり、「在宅フィットネス + マイクロ起業家」の流れを生みそうだと感じています。その中でも期待されているのが今回紹介する「Playbook」です。同社は10月14日に930万ドルの調達を発表しました。6月に300万ドルのシード調達を達成したばかりで、投資家からの注目も集めています。

Playbookはフリーランストレーナー(“フィットネス・クリエイター”)が、動画フィットネス教室をサブスク型で提供するための支援ツールです。決済・動画配信・スケジュール設定・アクティビティ分析などの各種機能を提供。ソフトウェア利用料としてクリエイターから手数料20%を取る形のSaaSモデルとして展開しています。

同社は、フィットネスクリエイターたちのコンテンツを集約し、月15ドルもしくは年99ドルの利用料でユーザーを獲得。Netflixと同様のサービス形態で集客支援をある程度自社で行っています。視聴数に応じた収益分配が行われる一方、クリエイターが発行したオリジナルURLを踏み、自分たちのファンがサブスク加入をした場合、手数料を抜いた残り80%全額が手元に渡る仕組みとなっています。こちらの方が取り分は大きいです。

Netflixモデルと、個人が提供するフィットネスプランを上手くミックスしているのがPlaybookの特徴です。多くのコンテンツの中から好きなクリエイターがいれば、そのまま個人のコミュニティに入れる動線を作り出しています。

パンデミックの影響で、ジムの営業が苦しくなり、別の職を探す必要も出てきたトレーナーたちを救える、社会的な意義もあるプラットフォームがPlaybookと言えるでしょう。日本でも「MOSH」のような個人ビジネス支援プラットフォームが登場していますが、未だPlaybookのような領域特化の機能を持ち合わせたサービスは登場していません。

在宅フィットネスサービスは過去あまりヒットしていない日本ですが、コロナの影響で生活習慣とジムの経営スタイルが見直されつつある今、個人のトレーナーを応援する動画配信アプリは大きなチャンスを掴めるかもしれません。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

低所得者層の意図しない妊娠を遠隔医療で防ぐ「Twentyeight Health」

ピックアップ:Twentyeight Health is a telemedicine company expanding access to women’s health and reproductive care ニュースサマリー:ニューヨークを拠点とし、女性の健康のための遠隔医療サービスを展開するTwentyeight Healthは10月14日、シードラウンドにて510万ドルの…

画像出典:Twentyeight Health 公式ウェブサイト

ピックアップ:Twentyeight Health is a telemedicine company expanding access to women’s health and reproductive care

ニュースサマリー:ニューヨークを拠点とし、女性の健康のための遠隔医療サービスを展開するTwentyeight Healthは10月14日、シードラウンドにて510万ドルの資金調達を実施したと発表した。同ラウンドにはリード投資家としてThird Primeが参加し、Town Hall Ventures、SteelSky Ventures、Aglaé Ventures、GingerBread Capital、Rucker Park Capital、Predictive VCなどのベンチャーキャピタルのほか、Stu Libby氏、Zoe Barry氏、Wan Li Zhu氏などのエンジェル投資家も参加している。同社資金調達総額は660万ドルとなった。

詳細な情報:同社は、元コンサルタントで自身も保険問題で2年間産婦人科の診療が受けられなかった経験を持つ創業者Amy Fan氏が2018年後半にニューヨークにて設立。ゲイツ財団で発展途上国の家族計画、マラリア、HIVなどの医療アクセスの改善を主導していた共同経営者・Bruno Van Tuykom氏と出会い、十分な医療サービスを受けることができない低所得者層の女性に向けた遠隔医療サービスとして設立された。

  • 同社はメディケイド(米国の低所得者に対する公的医療保険制度)加入者や保険に加入していない低所得者層の女性が、十分な医療ケアを受けられない状況を問題視している。人種や所得階層、健康保険の種別に関わらず人々を包括する質の高いリプロダクティブ・ケアを提供することをミッションとして掲げる。同社プレスリリースによると2020年には顧客基盤が5倍に拡大し、これを受けてFan氏はAlleywatchの取材において「私たちのサービスに対するニーズがあることを実感しています」とコメントしている。
  • 同社サービスへの登録は、まずオンラインで問診票に記入し、24時間以内に米国の理事会認定医師がレビューすることで完了する。顧客は100以上のFDA承認ブランドの避妊薬、パッチ、リングなどの中から適したものを1〜3営業日以内に受け取ることができる。また、継続的なケアを行うため、医師とのフォローアップのメッセージは無制限で、処方箋の更新や副作用への対処などについて相談することができる。
  • 同社サービスは現在、フロリダ州、メリーランド州、ニューヨーク州、ニュージャージー州、ノースカロライナ州、ペンシルベニア州で提供されている。今回調達した資金は、米国全土でのサービス拡大を継続するために活用されるという。
画像出典:Twentyeight Health 公式ウェブサイト

背景:同社共同設立者・Tuykom氏はプレスリリースで、「今日、低所得者層の女性は米国の平均的な女性よりも3倍以上意図しない妊娠をする可能性が高く、そのうえ全国の医師の3分の1近くがメディケイドの新規患者を受け入れていない」との声明を発表している。さらにCOVID-19の大流行により対面での医療行為の予約が制限されていることも、この問題を増大させているという。日本においては、内閣府が10月8日の男女共同参画に関する専門調査会で、緊急避妊薬を処方箋なしで購入できるよう検討する方針を打ち出している。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

医師不足の南アフリカで医療ネットワークを構築する「Vula Mobile」

重要なポイント:アフリカの多くの国と同じく医師不足が深刻な南アフリカでは、周囲に専門的な知識を持つ医師のいない状態でコミュニティヘルスワーカーと呼ばれる人達が病人のケアや簡単な治療を行なうケースが多くある。医療従事者向けアプリVula Mobileはこういった人達の抱える問題を解決し、南アフリカ全体での効率的な医療ネットワークを構築、同国の医療問題解決に貢献している。 詳細な情報:2019年度に南…

Image Credit : Vula Mobile

重要なポイント:アフリカの多くの国と同じく医師不足が深刻な南アフリカでは、周囲に専門的な知識を持つ医師のいない状態でコミュニティヘルスワーカーと呼ばれる人達が病人のケアや簡単な治療を行なうケースが多くある。医療従事者向けアプリVula Mobileはこういった人達の抱える問題を解決し、南アフリカ全体での効率的な医療ネットワークを構築、同国の医療問題解決に貢献している。

詳細な情報:2019年度に南アフリカのアプリアワード MTN Business App of the Year Awards のベストヘルスアプリ賞を受賞した医療従事者向けアプリVula Mobileは今年、新型コロナウィルスの感染の広がる南アフリカで全国的な「Doctors-on-call hotline」として治療にあたる医療従事者を支援、改めてその価値を証明した。

  • 医師不足の南アフリカでは、人口10万人あたりの医師の数が都市部で53.3人、それ以外では39.8人程度となっている。日本は206.3人
  • 都市部以外に住む多くの人は簡単にアクセス出来る場所に病院が存在せず、代わりにトレーニングなどを経て、限られた医療行為のみ許可されたコミュニティヘルスワーカーと呼ばれる人々が中心となって各地での病人のケアや薬の処方などにあたる。そのほか、地方の病院には医師であっても経験の浅い医師が1人だけで診療・治療の対応にあたっている施設もある。
  • Vula Mobileは主にこのような医療従事者を対象としたアプリで、53以上の診療科目で必要とする時に医師の専門的な意見やアドバイスをもらうことができる。医療従事者が症状などを元に照会をかけると、条件に合致した症状のある患者の匿名化された診療記録や当時の診断画像を含むフィードバックが15分以内に受け取れる。必要に応じて専用のチャットラインを使用した1対1の相談も可能。
  • 対象となる分野には、眼科、心臓、耳鼻咽喉、やけど、常備薬、HIV/エイズ、整形外科などが含まれ、現在4,000人を超える医師が月に1万9,000人を超える患者のサポートにあたっている。
  • また、これまで医療施設間で重病患者の他院への紹介はそれぞれの判断によって行われていたため、数の少ない高度な設備を持つ医療施設に他の医療施設でも治療可能だった患者が集中してしまい、診療までの待ち時間が長くなってしまうという問題も起こっていたが、Vula Mobileはこの問題も解決する。
  • 2019年のSouth African MedicalJournalの論文 で行われたVula Mobileを利用した本機能の調査によると、約7ヶ月の期間に39の施設238人のユーザーから2,275人の患者の紹介に関しての相談を受け、患者の3分の1はアドバイスを受けて当初の病院で治療が行われた。

背景:Vula Mobile創業者であるWilliam Mapham博士は、エスワティニ(旧スワジランド)の地方にある同国唯一の眼科で働いている時に、地方のコミュニティヘルスワーカーが困難な問題に直面した際に医師からのアドバイスをもらうことの困難さを知り、この問題を解決しようとVula Mobileの開発を始めたバックグラウンドを持つ。

南アフリカ保健省のPillay博士によると、「アプリにより不要な(医療機関から別医療機関への患者の)紹介が最大31%削減されたほか、臨床部門の責任者は同アプリのオンラインダッシュボードを使用して、リアルタイムの臨床ガバナンス、月次レポートの生成、調査などに利用していることが明らかになった」とのことで、効率的な医療ネットワークの構築だけでなく、Vula Mobileを基軸とするデータは副次的にも南アフリカの医療に役立っている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

ブロックチェーンで世界の「偽造医薬品」問題に挑むナイジェリアのChekkit

ピックアップ:Nigerian blockchain startup, Chekkit, pilots its drug verification tech in Afghanistan ニュースサマリー:ナイジェリア発のスタートアップ「Chekkit Technologies」は9月、アフガニスタンにおける同社事業展開へのパートナーシップを当局保健省と締結したと発表した。同社はブロックチェーンを…

Image Credit:Checkit

ピックアップ:Nigerian blockchain startup, Chekkit, pilots its drug verification tech in Afghanistan

ニュースサマリー:ナイジェリア発のスタートアップ「Chekkit Technologies」は9月、アフガニスタンにおける同社事業展開へのパートナーシップを当局保健省と締結したと発表した。同社はブロックチェーンを利用した追跡可能なスマートラベルを使用し、新興国で毎年多くの死者を出している「偽造医薬品」問題の解決に取り組んでいるスタートアップ。2018年にナイジェリアで創業した同社は、現在同国ならびに米国にもオフィスを構えている。

重要なポイント:同社の技術は主に、サブサハラ(アフリカ全土のうち北アフリカを除いたサハラ砂漠より南の地域)全域を中心に新興国で毎年多くの死者を出している「偽食料品」・「偽造医薬品」問題の解決に取り組んでいることで知られている。

詳細な情報:新興国では毎年多数の死者が出ている偽造医薬品市場は推定で年間2,000億ドルにもなるといわれている。その多くは中国産とされる偽造医薬品だ。本物と見分けがつかないほど精巧なパッケージのものも多く、医薬品の輸入に関する規定や制度、検閲体制などが整わない国では国内への流入を防ぎきることが難しいため、深刻な被害が出ている国が多くありながらも、現在まで根本的な解決が難しい状態が続いている。

  • Chekkit Technologies はこの問題を解決するために、倉庫から流通業者、最終消費者に至るまで、製品の動きが追跡可能なブロックチェーンベースのプラットフォームを構築した。
  • Checkitが提供するスマートラベルは、パッケージに貼付されたQRコードもしくは数値コードによる一意のIDによって流通の過程を管理・記録していく。輸入されてきた医薬品には、輸入された段階でその情報とともにパッケージにラベルが貼付される
  • 消費者や販売者は、Checkitのアプリからスマートラベル上のQRコードをスキャンもしくはIDを入力することで、パッケージ単位での流通経路や実際に医薬品として認可されている製品であるかどうかの確認が可能。誤って偽造医薬品を販売したり購入・服用したりすることを防止する。
  • ナイジェリアを始め新興国ではスマートフォンの普及率もまだ低いため、フィーチャーフォンからでも当該IDを使用したUSSDコードによる情報取得が可能。
  • 2018年に設立されたChekkitは昨年2つの大きな成果をあげた。2019年11月、アフガニスタン保健省と偽造医薬品問題について既に協議を行っていたFantom Foundationがスポンサーを務めるAfricArena SummitのブロックチェーンピッチコンペティションでChekkitが1位を獲得した。その後、今回発表に至ったアフガニスタン保健省とパートナーシップの締結に至る。
  • 今後アフガニスタン市場において、実際に販売される8万点の医薬品にChekkitのスマートラベルを貼付し3ヶ月のパイロット運用が行なわれる。
  • ナイジェリアとガーナのDeep Tech企業向けアクセラレータープログラム FbStart Accelerator にも参加。CEOのOdumade氏によれば、参加後の同社収益は1200%増加し、10万件を超える製品の認証確認が行われたとのこと。「2025年までに、アフリカと世界の数百万人の人たちを(偽造薬・偽造品などから)守りたい」という同社の信念に向け、精力的に事業を拡大している。

背景:アフリカ大陸の中でも特にサブサハラ以南の地域での偽造医薬品問題は非常に深刻であり、偽の抗マラリア薬により毎年10万人以上の死者が出ているほか、5歳未満の子どもの12万人以上が何らかの偽造医薬品を摂取した事が原因で亡くなっている。WHOによれば2013年から2017年の間に報告された偽造医薬品の42%がアフリカで押収されたものであった。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

友人とオンラインでサイクリング、Zwiftが4.5億ドル調達に成功

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ピックアップ:Cycling Startup Zwift Passes $1 Billion Value After Fund Raising ニュースサマリー:オンライン・サイクリングサービスを提供する「Zwift」は9月16日、総額4億5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。同ラウンドには、Amazon Alexa Fund、Specialized Bicycle、Zone 5 Vent…

Zwiftウェブサイト

ピックアップ:Cycling Startup Zwift Passes $1 Billion Value After Fund Raising

ニュースサマリー:オンライン・サイクリングサービスを提供する「Zwift」は9月16日、総額4億5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。同ラウンドには、Amazon Alexa Fund、Specialized Bicycle、Zone 5 Venturesが新たに参加している。また、既存投資家のHighland Europe, Novator, Causeway Media and Trueも同ラウンドに参加した。同社はカリフォルニア州ロングビーチに本拠地を置くスタートアップ。在宅中でも、オンラインプラットフォームとリアルデバイスを組み合わせ、手軽にサイクリング体験ができるサービスを提供している。

話題のポイント:今回大型調達を発表したZwiftは、フィットネス体験をバーチャルとリアルを上手く結びつけアップデートを目指しています。ユーザーは、保有する自転車と自宅内で利用するためのアクセサリー(ストッパーなど)を用意します。その後、iPadなどの外部デバイスとスピードセンサーをペアリングすることで、簡単にオンライン上と繋がったサイクリング体験を味わうことができる、というものです。

Zwiftウェブサイト

 

オンラインプラットフォーム上では、サービスに登録するグローバルなユーザーと繋がることができ、レースイベントへの参加や実際の友達などと、リアルタイムなオンライン上のサイクリング体験をすることも可能です。今までリアルの世界でしか物理的に叶わなかった遠く離れた友人とのサイクリング体験を、Zwiftはバーチャル上に持ってくることに成功しています。

さて、同様に自宅からフィットネスを楽しむ例ではPelotonが挙げられます。しかし、同社はライブ配信されるコーチを観ながら運動することを最大の売りとしており、Zwiftのサイクリング特化型オンラインコミュニティーとは大きく異なる性質です。筆者のシアトル自宅のジムにも、Pelotonに対応したサイクリングマシンが設置してありましたが、特に「オンラインコミュニティー」と意識したことはなく、普通に運動するよりトレーナーとリアルタイムに運動することができるマシーンという印象でした。そのため、Zwiftとは違う性質な両者といえますが、フィットネス体験とデジタルの接点を作り出しているという意味では似ています。

ZwiftやPeloton含め、フィットネスの世界でも仮想世界のアバターが交じり合うサービスは注目を集め出しています。特に米国のアパートメントでは、ジムなどのアメニティーの質を宣伝文句にしているケースも多いため、わざわざ自分でデバイスを用意せずともZwiftやPelotonに触れられる機会は加速度的に増えていくことが予想されます。COVID-19により、積極的な外出がままならない状況ですが、フィットネス体験にもリアルとバーチャルが交じり合うタイミングが訪れているのかもしれません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏

Nurxが「偏頭痛」に特化した遠隔医療プラン、コロナ禍でニーズ急増が背景

ピックアップ:Nurx sets sights on the migraine and headache space ニュースサマリー:女性向けにデジタルヘルスケアを遠隔で提供するNurxは8月11日、シリーズCにて2,250万ドルの資金調達を実施したと発表している。同ラウンドには、Trustbridge, Comcast Ventures, Wittington Venturesが新規で参加し、…

画像出典:Nurx 公式ウェブサイト

ピックアップ:Nurx sets sights on the migraine and headache space

ニュースサマリー:女性向けにデジタルヘルスケアを遠隔で提供するNurxは8月11日、シリーズCにて2,250万ドルの資金調達を実施したと発表している。同ラウンドには、Trustbridge, Comcast Ventures, Wittington Venturesが新規で参加し、既存投資家のUnion Square Ventures、Kleiner Perkins Digital Growth Fundも同ラウンドに参加している。これにより、同社の総資金調達額は1億1,300万ドルとなった。

重要なポイント:Nurxは9月1日、偏頭痛に特化して遠隔で治療できる新プランの提供を開始した。患者は年会費60ドルで、オンラインでの医療相談やビデオ検査、パーソナライズ化された治療計画と毎日のトラッカー、薬の宅配などのサービスを受けることができる。

詳細な情報:Nurxは2015年創業。女性向けにオンラインでのヘルスケアを提供している。2020年上半期には、COVID-19の影響により遠隔医療のニーズが急増し、避妊薬処方の新規リクエストが75%増加するなど、合計25万件以上の新規患者が同社サービスを利用したという。

  • 今回発表された偏頭痛の新プラン提供背景には、女性はホルモンの影響で男性の3倍の確率で偏頭痛を抱え、実際に米国の2,800万人以上の女性が偏頭痛に悩まされている現状などがある。
  • さらに、偏頭痛を抱えるNurxの患者を対象にした調査によると、2人に1人近くが頭痛の症状を医師に見捨てられたことがあると答え、4人に1人が友人や家族からのサポートを受けられなかった経験があるという。
  • Nurxの臨床アドバイザーで、米国頭痛学会の特別研究員でもあるCharisse Litchman博士は「遠隔医療は、頭痛に苦しみながらも物理的にケアを受けることができない人々や、過去に医療提供者から症状を否定されたと感じている人々に手を差し伸べるための解決策となる」と期待を寄せる。

背景:Migraine Buddyによる2020年4月の調査によると、偏頭痛を抱える人のうち84%が、パンデミックが偏頭痛の症状や治療計画に影響したと回答している。COVID-19の流行の中で、対面での受診が困難であること、薬局で薬を受け取る際の感染リスクへの不安、偏頭痛を誘因するストレスや不安のレベルが高くなっていることが背景にあると考えられる。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:増渕大志・岩切絹代