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NAVERスピンオフの韓国版スニダン「Kream」が97億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(10月11日~10月15日)

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。 Copyright 2021 © Media Recipe. All Rights Reserved. ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する…

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

Copyright 2021 © Media Recipe. All Rights Reserved.


10月11日~10月15日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは12件で、資金総額は2,297億ウォン(約220億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • 限定品リセールプラットフォーム「Kream(크림)」が1,000億ウォン(約97億円)規模のシリーズ B 調達。去る3月には200億ウォン(約19億円)を調達、今回の調達を受けて累積投資額は1,400億ウォン(約136億円)で業界最高記録。調達した資金でモデル高度化、新規カテゴリ・ターゲットを拡大し、海外市場への進出のための人材招聘を計画。
  • P2P金融サービス「8%(8퍼센트)」がシリコンバレーの投資会社などから453億ウォン(約44億円)を調達。調達した資金を活用して、これまで蓄積した金融・非金融データを融合し、既存の金融機関との提携を拡大。中金利ローンとオルタナティブ投資サービスをより高度化する予定。
  • ロボアドバイザー「Fount(파운트)」が400億ウォン(約38億円)を調達。調達した資金は、マイデータ事業(韓国政府が主導、情報の主体である個人が開示を要請すると、その個人に関して企業が保有するデータを個人や第三者に開示しなければならないスキーム)に対応し、金融人材の採用、技術力の強化に使用する予定。
  • メタバースオーディオ企業 Gaudio Lab(가우디오랩)が113億ウォン(約11億円)を調達。OTT、ストリーミングサービス、スマートフォンなどのモバイル機器向けオーディオソフトウェアを開発・供給している会社で、調達した資金は技術の高度化、海外進出拡大に活用予定。
  • 非対面診療・処方薬配送サービス「Dr. Now(닥터나우)」が100億ウォン(約9.7億円)を調達。一時的に許可された非対面診療にサービス提供。累積利用者30万件の記録。非対面診療の利便性強化を図る予定。
  • 新車購入情報プラットフォーム「Getcha(겟차)」が80億ウォン(約7.7億円)を調達。累積ダウンロード数150万件、韓国国内1,500あまりの車両情報を提供、韓国国内ディーラーの74%が利用している。

トレンド分析

グローバル市場攻略する「K-コンテンツ」スタートアップ

コンテンツ産業がコロナ禍で新たな機会を迎えている。公演がオフライン化され、映画産業が困難を経験したのに対し、OTT サービスとウェブトゥーンは、Web 小説などの非対面で消費されるコンテンツに関心が急増した。映画「パラサイト」「ミナリ」に次いで「イカゲーム」まで、最近「K-コンテンツ」が世界でも爆発的な人気を得る中、成長可能性が高い韓国のコンテンツ企業にも関心が集まっている。

特にウェブトゥーンは、Web 小説の分野 IP コンテンツ制作能力を持つスタートアップの投資家から大きな関心を集めている。ウェブトゥーンプラットフォームを運営する Topco(탑코)は昨年9月に創業以来最大の242億ウォン(約23億円)を調達。また、北米向けウェブトゥーンプラットフォームを昨年発表した Copin Communications(코핀 커뮤니케이션즈)は、4月と9月に2回の調達で305億ウォン(約30億円)を調達し、東南アジアなどグローバル市場攻略に着手した。

今年は、コンテンツの力量を強化しようとする大企業がスタートアップを買収したニュースもよく聞くようになった。ここでもウェブトゥーンと Web 小説プラットフォームは、最も人気のある分野だった。Kakao(카카오)は、ウェブトゥーンの Tapas Media(타파스미디어)と Web 小説の Radish を買収し、Naver は Web 小説プラットフォーム「Munpia(문피아)」、KT はオーディオコンテンツ「ミルリ=蜜里の書斎(밀리의서재)」などをそれぞれ自社に編入させ、新しい融合コンテンツを披露する計画を明らかにした。

コロナ禍で公演や展示などのオフラインコンテンツ制作や流通が難しくなった今、オフライン経験をデジタルで実装することができるメタバース技術を持つコンテンツスタートアップも大きく成長している。韓国のメタバーススタートアップは、国外でも頭角を現している。

今年初め、100億ウォン(約9.7億円)規模の資金を調達した AmazeVR(어메이즈 VR)は、グローバルアーティストのための VR メタバースコンサートを制作・流通させ、グローバル市場で活躍しており、ホログラム技術を持つメタバース企業 DoubleMe(더블미)は8月、スペインのバルセロナのショッピングモール「Glòries」に MR(複合現実)水族館を披露した。これは、韓国のメタバース企業としては初めて、流通大手とコラボレーションした事例だ。DoubleMe は、韓国コンテンツ振興院(KOCCA)がサポートするグローバル進出プログラム「Launchpad」を通じて、シンガポールとアラブ首長国連邦(UAE)への進出も本格化させた。

K-POP など韓流コンテンツに技術をもたらした企業も、グローバル成長の可能性に向け資金を調達している。Makestar(메이크스타)は、K-POP や韓国ドラマコンテンツプロバイダとグローバルファン層を接続するサービスで、売上高の70%は国外で生み出している。同社は今年初めの60億ウォン(約5.8億円)に続き、9月に140億ウォン(約14億円)を調達し、メタバースを活用した仮想アーティスト分野に進出する計画を明らかにした。小規模デジタルツインを標榜する Art&Space IT(예간아이티)は、K-POP ミュージックビデオの空間をメタバースプラットフォームで実装するなど K-POP ファンのためのサービスを提供し、グローバルユーザを集めた。

Launchpad に参加し、アメリカ、日本、中東などで現地進出を支援する6つのアクセラレータの代表者らは、K-コンテンツスタートアップの技術力を高く買いながら、グローバル進出の可能性を肯定的に評価した。日本のゼロワンブースターのディレクター川島健氏は、「韓国はメタバースの初期版とも言える MMORPG のゲームの歴史があるので、メタバースコンテンツ分野が強く、日本におけるメタバース市場の成長と相まって、韓国スタートアップが成功する可能性は高い。」と話した。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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インドのローカル言語翻訳プラットフォーム「Devnagri」運営、個人投資家多数から60万米ドルをシード調達

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<情報開示> 個人的関係から、筆者は Devnagri にアドバイスを行う立場にあります。出資関係はありません。本稿には非公開情報を含みません。 B2B 向け翻訳 SaaS「Devnagri」は、シードラウンドで60万米ドルを調達した。なお、ラウンドはまだクローズしていない。現時点でこのラウンドに参加したのは、Venture Catalysts、Inflection Point Ventures、…

Devnagri の共同創業者。左から、Nakul Kundra 氏、Himanshu Sharma 氏。
Devnagri

<情報開示> 個人的関係から、筆者は Devnagri にアドバイスを行う立場にあります。出資関係はありません。本稿には非公開情報を含みません。

B2B 向け翻訳 SaaS「Devnagri」は、シードラウンドで60万米ドルを調達した。なお、ラウンドはまだクローズしていない。現時点でこのラウンドに参加したのは、Venture Catalysts、Inflection Point Ventures、その他の共同投資家。今回の調達を受けて、同社は10億人以上いるインドのインターネットユーザに対し、AI を活用した大規模な人的翻訳により、企業がインド各地の言語でサービスを提供できるようにする。

今回の資金調達に参加した共同投資家には、Apoorva Ranjan Sharma 氏(Venture Catalysts 共同創業者)、Mitesh Shah 氏(IPV-First Port Capital)、Rohit Chanana 氏(Sarcha Advisors)、Nimesh Kampani 氏(Trica)、Sameer Karulkar 氏(Coverpage Ventures Advisory)、Prashant Sharma 氏(Facebook の動画部門インド責任者)、Karan Bhagi 氏(HUL の eコマース担当部門ジェネラルマネージャー)、Deepak Sharma 氏(Kotak Bank の CDO)がいる。

Nakul Kundra 氏と Himanshu Sharma 氏が発案した Devnagri は、公用語(正確には指定言語)だけで22言語、方言を除いても260言語近くが話されているインドで、ユーザが自分の言語であらゆるコンテンツにアクセスできるようにすることを目指している。一般的にインドでは英語が通じるとされるが、英語を話すのは比較的 IT などの先進的な産業分野や高等教育を受けている人に限られ、コンシューマ向けのサービスを提供する企業が、全人口に隈なく情報をリーチさせるには英語だけでは不十分だ。

Devnagri は、ニューラル機械翻訳に機械学習とコミュニティを組み合わせて、翻訳をパワーアップさせている。その AI と人的翻訳の組み合わせにより、企業はいつでも、どの言語でも、コストを最大50%削減、翻訳時間を80%短縮することで、翻訳者の5倍のスピードで、事業を拡大することを可能にする。今回の資金調達を受けて、インドの二級都市や三級都市のエンドユーザにリーチできるレベルにまで、企業のローカル言語コンテンツの充実を支援する計画だ。

今回のラウンドに参加した Venture Catalysts の Apoorva Ranjan Sharma 氏は次のようにコメントしている。

インドのローカル語翻訳市場の規模は530億米ドルで、現在、エドテック、e コマース、出版、OTT(ストリーミング)などの産業が中心となっている。二級都市や三級都市に住む1億人のインド人がインターネットに接続していると予想されているが、インドの言語で提供されているコンテンツはわずか0.1%で、英語を話せるインド人は全人口の10%にも満たない。

Devnagri は、機械翻訳を使ってこの大きなギャップを埋めることに自信を持っている。自然言語処理業界におけるインドの主要なスタートアップの一つとして、同社は Digital India(モディ政権が立案した「デジタルインド計画」)と Atma Nirbhar Bharat(インドの経済政策「自立したインドキャンペーン」)のビジョンに沿って、インドの言語でインターネットを可能にする。

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決済大手Stripe、インドの取引照合・突合スタートアップReckoを買収へ

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決済大手 Stripe は、インドのバンガロールに本社を置き、リコンサイル業務を専門とする Recko を買収する計画を発表した。買収の条件は公表されていない。 リコンサイル業務とは、内部の会計記録と外部の銀行取引明細書を比較し、すべてが一致しているか、矛盾がないかを確認する簿記の一種だ。取引数の少ない小規模な企業であれば、リコンサイル業務は非常に簡単なプロセスだが、企業が成長し、複数の通貨、チャ…

Image credit: Stripe, Recko

決済大手 Stripe は、インドのバンガロールに本社を置き、リコンサイル業務を専門とする Recko を買収する計画を発表した。買収の条件は公表されていない。

リコンサイル業務とは、内部の会計記録と外部の銀行取引明細書を比較し、すべてが一致しているか、矛盾がないかを確認する簿記の一種だ。取引数の少ない小規模な企業であれば、リコンサイル業務は非常に簡単なプロセスだが、企業が成長し、複数の通貨、チャージバック、返金などを扱うようになると、事態は急速に複雑化する。

Stripe の CPO(最高製品責任者)Will Gaybrick 氏は、プレスリリースで次のように述べている。

リコンサイル業務は、企業の成長に伴って偏頭痛にまで発展するような、軽い頭痛の種ではあってはならない。簡単で高度に自動化されたプロセスであるべきだ。

決済を自動化

2017年に設立された Recko は、eコマースプラットフォームやマーケットプレイス、デジタル決済ゲートウェイ、物流企業、会計・企業資源計画(ERP)ソフトウェア、ペイアウトプロセッサーなどの中間に位置し、トランザクションの照合から収益報告までの全照合プロセスを自動化する。

7月に Stripe が Recko への出資を検討しているとの複数の報道があったが、Stripe はすでに Recko との連携を実現していることから、このニュースは必然的なものだった。

時価総額が950億米ドル超に達したサンフランシスコを拠点とする Stripe は、2022年の株式公開に向けて、自社の機能を強化するだけでなく、Flipkart 傘下のファッション E コマース企業 Myntra など、知名度の高い顧客を有するインドで、有益なテクノロジーや e コマース市場への参入を目指している。Stripe は今年初め、インドの規制に対応するため、インドに拠点を置く同社の顧客のために、データホスティングインフラを現地サーバに移行した

Recko は、4年前の設立以来、外部から約700万米ドルの資金を調達してきた。今後は、Stripe の課金請求収益認識を含む統合製品群の一部として提供されることになるが、Stripeは、Recko が引き続き単独製品として提供されることを確認している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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B Dash Camp in 福岡が開幕——〝持たざる国〟日本のスタートアップは、世界でどう勝つか? #bdashcamp

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本稿は、10月21〜22日に開催されている B Dash Camp 2021 Fall in Fukuoka の取材の一部。 コロナ禍で約2年ぶりとなった B Dash Camp が福岡市内で開催されている。国内で約半年ぶりに緊急事態宣言が全面解除となったのを受けて、長らく人とリアルに会う機会を失っていたコミュニティの人々が、久しぶりに集結したという印象。公式発表値ではないが、今回の B Dash…

渡辺洋行氏

本稿は、10月21〜22日に開催されている B Dash Camp 2021 Fall in Fukuoka の取材の一部。

コロナ禍で約2年ぶりとなった B Dash Camp が福岡市内で開催されている。国内で約半年ぶりに緊急事態宣言が全面解除となったのを受けて、長らく人とリアルに会う機会を失っていたコミュニティの人々が、久しぶりに集結したという印象。公式発表値ではないが、今回の B Dash Camp には700名程度の投資家や起業家が参加しているようだ。

今回のイベントの最初を飾ったパネルセッション「ネット企業の成長はどこに向かうのか」では、アメリカや中国のそれと差が拡大しつつある日本のスタートアップシーンについて、どうすれば世界で勝てるのか、その可能性や具体的な戦術について、論客でもある起業家4人を交え議論が繰り広げられた。

このセッションに登壇したのは、

  • 家入一真氏(CAMPFIRE 代表取締役社長)
  • 國光宏尚氏(gumi ファウンダー、Thirdverse 代表取締役 CEO ファウンダー、gumi cryptos capital マネージングパートナー)
  • 佐藤航陽氏(スペースデータ・レット 代表取締役社長、メタップス 創業者兼会長)
  • 辻庸介氏(マネーフォワード 代表取締役社長 CEO)

モデレータは、B Dash Camp の主催者である B Dash Ventures 代表取締役社長の渡辺洋行氏が務めた。

日本は、〝リソースを持たざる国〟

辻庸介氏

セッションの冒頭、渡辺氏は日本のスタートアップシーンが先進国の中でも圧倒的に遅れてきていることを指摘。VC のファンド運用規模で言えば、10年ほど前であれば日米で100倍くらいの差があったが、ここ数年は日本のファンドも大型化するなど、その差を縮滅つあったが、世界的な資金余りからアメリカのファンドがさらに大型化し、日本のファンドとの差を再び広げた。ユニコーンの数では、日本は米中と一桁異なる。果たして、日本のスタートアップやそれを取り巻くプレーヤーは、世界で勝てるのだろうか。

今夏315億円の公募調達を発表し時価総額4,000億円をつけたマネーフォワードの辻庸介氏は、戦いのルールが変わってきたのではないか、と応じた。今回の調達において、同社は半分以上は海外の機関投資家から資金を集めているが、彼らは「ARR(年間売上高)成長率で評価し、利益が出なくても成長に(資金を)突っ込んでほしい(辻氏)」という姿勢が強い。だが、このシリコンバレーの流儀に従っている限り日本は世界で勝てず、「どうすれば日本発の自分たちのルールが作れるか」をしばしば考えていると辻氏は語った。

佐藤航陽氏

佐藤氏は、衛星データと 3DCG を活用して仮想空間に世界を自動生成する AI を開発。衛星データからリアルを創造するこの事業は、ゲームで使われればメタバース、テロ対策に使われればデジタルツインなど、アプリケーションの幅は無数に広がる。佐藤氏は、ネットの2次元から3次元への進化、衛星や宇宙データの活用、環境など SDGs への期待は世界的に確かなものになっていると語った。

ここで挙げた3つの分野で、日本は圧倒的に遅れている。仮に国とかが後押ししたとしても、今から巻き返すのはかなり難しい。資金・プラットフォーム・人材の全てを持っている中国のような戦い方と、そういうものを持っていない(日本の)我々の戦い方は、変えるべきかな、と思っている。(佐藤氏)

gumi 創業者の國光宏尚氏今年6月に取締役会長を退任し、現在は、VR ゲーム開発の Thirdverse、仮想通貨事業に投資する Gumi Cryptos、ブロックチェーン関連事業フィナンシェの代表を務める。國光氏は VR 分野への投資を2015年から(Tokyo VR Startups など)、仮想通貨分野への投資を2017年から(gumi cryptos)始めている。

彼はこれまでに世界中のスタートアップに投資してきたが、既に VR からは12社、仮想通貨からは9社のユニコーンが生まれており、わずか数年で多くのイグジットが出ていることを強調。こうしたスタートアップを身近で見てきた経験から、日本からユニコーンが出づらいのは、「起業家やエンジニアのレベルは世界に負けていない。日本のマーケットが小さいだけ。」と環境要因が大きい可能性を指摘した。

家入一真氏

家入氏は、グローバルで戦おうとすると、技術をはじめとするリソースを総動員する必要があるが、それ以外の選択肢、例えば、事業がうまくいかなかった時の受け皿を民間でどう作っていくかについて、この数年間考えてきたという。公的な支援などで救われる部分もあるが、一方で個人個人が助け合うレイヤーが共存することで、世の中の仕組みからあふれた人々を包摂する必要性を強調した。

分散型、非中央集権型は、日本が世界で勝つカギになるかも

國光宏尚氏

コロナ禍でリモートワークが常態化したことで、分散型の働き方はもはや特別なものではなくなった。この分散型の働き方と、分散型概念の産物であるブロックチェーンを元にした仮想通貨(トークン)を積極的に取り入れることで、佐藤氏が言っていた「資金・プラットフォーム・人材」の3つのリソースのうち、資金や人材面の問題がかなり解決されるだろうと、國光氏は言う。

Thirdverse は東京に40人ほどのスタッフがいるが、ビジネス開発とマーケティングはサンフランシスコ、デザインはオースティン、開発はウクライナに分散していて、国や地域に関係なく人材を集めるとすごくラク。日本だけで採用しようとすると、こうは行かないだろう。

またブロックチェーンを使ってできるようになったのがインセンティブの革命だ。ビットコインやイーサリアムといったプロジェクトもオープンソースだが、従来のオープンソースがボランティアの尽力で作られてきたのと対照的に、トークンという形でインセンティブが得られ、超金持ちが現れるようになった。(國光氏)

応援したユーザにもトークンという形でインセンティブが配れる、まるでストックオプションのような仕組みが構築できれば、勤務場所の自由度と、報酬の自由度が担保される。アメリカの一部スタートアップでも採用されているようなエクイティとトークンによるハイブリッド報酬のような仕組みが確立されれば、日本のスタートアップは世界で勝てる可能性があるかもしれない、と渡辺氏は解説した。

佐藤氏も現在のプロジェクトに関わる人とはほぼリモートで作業を進めており、「会ったこともないし、普段はカメラをオフにしているので、声とアイコン以外はわからない」相手と仕事を共にしていても違和感は無いという。自身が創業したメタップスでは、優秀な人にコミットしてもらおうと採用活動に勤しんできたわけだが、現在のプロジェクトで関わる人たちとの関係性は、それと対照的だ。

良いポジションやキャリアの方々に、それを捨てて、先がどうなるかわからないプロジェクトに入ってきてもらうのは、なかなか難しい。ものすごいコストをかけて、覚悟をしてもらって、入ってきてもらってきたわけだが。しかし、今は(副業として)本業のために勉強したいからと言って来てくれる人もいるし、今後は給料もトークンでいいという人も出てくるかもしれない。(佐藤氏)

佐藤氏はまた、人それぞれの個性によって、適性のあるビジネスも違ってくるだろうと話した。例えば、パネリストの家入氏や國光氏は、大企業の空気には馴染めないかもしれないが、新しい技術が生まれた時にその個性が発揮される。対して、勤め人を一定期間やれた人は、これからの10年間、DX(デジタルトランスフォーメーション)分野などに身を振った方がいいと思う、と締めくくった。

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動画活用で企業のDX推進を支援するエビリー、7億円を資金調達

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動画の活用で企業の DX 推進を支援するエビリーは20日、直近のラウンドで7億円を調達したと発表した。シリーズ C ラウンド相当と推定される。このラウンドに参加したのは、大和企業投資、地域創生ソリューション、西武しんきんキャピタル、みずほキャピタルで、調達額には金融機関からのデットが含まれる。これは、2019年12月に実施した2億5,000万円の調達に続くものだ。 同社は2006年10月の創業。2…

エビリーのチーム。左から:空閑将志氏、取締役 大城亜城彦氏、代表取締役社長 中川恵介氏、CFO 坂田元氏、CTO 崔元杰氏、福羽りさ氏
Image crredit: Eviry

動画の活用で企業の DX 推進を支援するエビリーは20日、直近のラウンドで7億円を調達したと発表した。シリーズ C ラウンド相当と推定される。このラウンドに参加したのは、大和企業投資、地域創生ソリューション、西武しんきんキャピタル、みずほキャピタルで、調達額には金融機関からのデットが含まれる。これは、2019年12月に実施した2億5,000万円の調達に続くものだ。

同社は2006年10月の創業。2016年に動画 SNS データ分析ツール「kamui tracker」をローンチし、これまでの5年間でYouTuber、広告主、広告代理店など2万人以上に利用されている。また、コロナ禍において、企業内でのコミュニケーションや教育において動画の活用が進んだことで、クラウド型動画配信システム「ミルビィポータル」の新規契約数が前年比約380%増加した。

同社は今回調達した資金を使って、データに基づいた動画制作から配信までをワンストップで提供することで、顧客の動画マーケティング領域、インナーコミュニケーション領域の課題解決を行うソリューションを強化するため、開発人材、幹部人材全部門での人材の採用強化と、販売促進活動の強化を行うとしている。

<関連記事>

via PR TIMES

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仮想通貨投資家、政府規制回避で国外に会社登記する動きが顕著に——中国ブロックチェーン界週間振り返り(10月13日〜10月19日)

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一部の中国の仮想通貨投資家は、政府の仮想通貨取引の取り締まりをバイパスする方法を探している。ハードウェアウォレット企業の KeystoneKeystone(鎧石)は、中国本土の顧客へのウォレットの販売を停止する。広東省政府は、ブロックチェーンを使って企業向けの銀行融資を促進する。 仮想通貨の取り締まり 中国メディアの北京商報は18日、多くの中国の仮想通貨投資家が、中国のユーザに対する仮想通貨取引所…

Image credit: TechNode/Xuewen Song

一部の中国の仮想通貨投資家は、政府の仮想通貨取引の取り締まりをバイパスする方法を探している。ハードウェアウォレット企業の KeystoneKeystone(鎧石)は、中国本土の顧客へのウォレットの販売を停止する。広東省政府は、ブロックチェーンを使って企業向けの銀行融資を促進する。

仮想通貨の取り締まり

  • 中国メディアの北京商報は18日、多くの中国の仮想通貨投資家が、中国のユーザに対する仮想通貨取引所の規制を回避するために、国外の会社証明を登録していると報じた。この報道によると、国外への会社登記サービスに対する需要が増加しており、多数のサードパーティ企業が中国の e コマースアプリで国外への会社登記サービスを販売することになった。中国が9月に仮想通貨取引の取り締まりを強化して以来、主要な仮想通貨取引所は中国本土の顧客へのサービスを停止している。北京商報
  • オープンソースのハードウェアウォレット企業 Keystone(鎧石)は18日の通知で、中国の法律を遵守するために中国本土のユーザへのウォレットの販売を停止すると述べた。同社は、投機的な仮想通貨取引の取り締まりを目的とした中国人民銀行の9月24日の指令を引用している。律動
  • 中国東部の浙江省の当局は9月初旬、公共資源を利用した仮想通貨マイニング事業を是正・停止するための作戦を開始した。この作戦では、4,699個のインターネットプロトコル(IP)アドレスをスクリーニングし、184個のIPアドレスを使用している77のエンティティが、政府やその他の公共所有のリソースを使用して仮想通貨をマイニングしている疑いがあることがわかった。浙江省網絡安全和信息化委員会

ブロックチェーン利用

  • 中国南部の広東省は、ブロックチェーン技術を利用した公共データ資産の証明書を国内で初めて発行した。同省政府は10月16日、地元の金属メーカーに証明書を交付した。この証明書は、メーカーの一定期間の電力使用量を検証したもので、銀行融資の際の抵当権証明書として利用できる。省政府のデータ管理チームは、プロセスを容易にするためにブロックチェーンベースのプラットフォームを構築し、さらに多くの証明書を発行する予定である。広東省政府

マネーロンダリング

  • 中国南西部の貴州省の警察は、仮想通貨を使って8億人民元(約143億円)相当のマネーロンダリングを行っているグループを摘発した。遵義市の警察は7月から事件を調査していて、332件の詐欺事件を発見し、100人近くの容疑者を逮捕し、8億人民元を仮想通貨やその他のルートでロンダリングされた資金にたどり着いた。貴陽晩報

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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GojekとTokopediaの統合会社、IPOを前にアブダビ投資庁から4億米ドルを調達——インドネシア史上最大規模

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インドネシアで最も著名なテックグループ GoTo Group(Gojek と Tokopedia が統合して発足)は、プレ IPO ラウンドでアブダビ投資庁の完全子会社から4億米ドルを調達することになった。これは、ADIA の子会社 Private Equities Department (PED)が、東南アジアのテクノロジー事業に対して行う初のプリンシパル投資であり、これまでのインドネシアにおけ…

Image credit, Gojek, Tokopedia

インドネシアで最も著名なテックグループ GoTo GroupGojek と Tokopedia が統合して発足)は、プレ IPO ラウンドでアブダビ投資庁の完全子会社から4億米ドルを調達することになった。これは、ADIA の子会社 Private Equities Department (PED)が、東南アジアのテクノロジー事業に対して行う初のプリンシパル投資であり、これまでのインドネシアにおける最大の投資となる。

ADIA は今回のラウンドでリードインベスターとなり、Alibaba Group(阿里巴巴集団)、Astra International, Facebook、Global Digital Niaga、Google、KKR、Sequoia India、PayPal、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2、Telkomsel、Temasek、Tencent(騰訊)、Warburg Pincus といった著名な GoTo 投資家のグローバルリストに加わる。

今年8月、ロイターは情報筋の話として、GoTo が数週間以内に最大20億米ドルのプレ IPO 資金調達ラウンドをクローズする予定だと報じた。さまざまな報道によると、GoTo は2021年末までにインドネシアで上場した後、アメリカでの上場を進め、潜在的な時価総額は400億米ドルに達するとされている。

ADIA のプライベート・エクイティ部門エグゼクティブ・ディレクター Hamad Shahwan Al Dhaheri 氏は、次のように述べている。

今回の GoTo への投資は、急成長する東南アジアの市場におけるデジタル経済の成長など、当社の主要な投資テーマに沿ったものだ。この地域、特にインドネシアには大きな可能性があると考えており、活気に満ちた経済的背景は、ADIA がその存在感を深めることを後押ししている。

GoTo は、5月に Gojek と Tokopedia が合併して誕生した。同社はインドネシア最大のデジタルエコシステムであり、そのサービスは、オンデマンド輸送、e コマース、食品・食料品デリバリ、物流・フルフィルメント、金融サービスなど多岐にわたる。2020年には18億件以上の取引が発生し、グループ全体の総取引額は220億米ドルを超えたとしている。

1976年に設立された ADIA は世界中に散在する投資機関で、アブダビ政府に代わって、長期的な価値創造に焦点を当てた戦略により、慎重に資金を投資している。ADIA は、1989年からプライベート・エクイティに投資しており、資産商品、地域、セクターを超えた経験を持つスペシャリストで構成される重要な社内チームを構築している。

【via e27】 @E27co

【原文】

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ベトナム版Amazon「Tiki」、2.4億米ドルをシリーズE調達——まもなくユニコーンに

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Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから。 VentureCap Insights のデータによると、ベトナムを拠点とする E コマース大手 Tiki は、シリーズ E ラウンドで2億4,000万米ドルの資金を確保した。この資…

Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから


VentureCap Insights のデータによると、ベトナムを拠点とする E コマース大手 Tiki は、シリーズ E ラウンドで2億4,000万米ドルの資金を確保した。この資金調達により、Tiki の時価総額は約8億3,200万米ドルとなり、ベトナムで最も価値のあるテクノロジー企業の一つとなった。Tech in Asia は Tiki にコメントを求めたが、同社は回答を拒否した。

Image credit: Tiki

保険大手の AIA が、総額6,000万米ドルを拠出して最大の投資を行ったようだ。7月、AIA ベトナムは Tiki と10年間のパートナーシップを結び、Tiki の独占的な保険パートナーとなった。また、今回の資金調達では、UBS AGロンドン支店、Taiwan Mobile(台湾大哥大)、Mirae Asset-Naver Asia Growth Fund などの著名な支援者も参加している。

Taiwan Mobile は今年初め、Tiki に2,000万米ドルを出資したことを発表した。この投資は、Tiki と同社のeコマース・プラットフォーム「Momo」が、ベトナム以外の地域で新たな成長機会を模索するのに役立つと期待されていた(ここでいう Momo は、ベトナムの電子ウォレット「MoMo」とは別)。

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DealStreetAsia は7月、Tiki が約1億米ドル相当のシリーズ E ラウンドのファーストクローズを調達したことを初めて報じた。

iPrice Group の最新の四半期データによると、ベトナムでは、Tiki が激しい競争にさらされており、月間ウェブトラフィックとアプリのランクの両方で、東南アジアのプレーヤーである Shopee と Lazada の後塵を拝している。Tikiは昨年、地元 e コマースプラットフォーム「Sendo」との合併を検討していると報じられたが、この取引は失敗に終わった。

Tiki は、Amazon からヒントを得て、2010年にベトナム人起業家の Son Tran 氏によって設立され、当初は書籍のみを販売していた。その後、他のカテゴリにも進出し、現在はサードパーティの販売者向けにマーケットプレイスを提供している。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

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米フードデリバリ大手Instacart、スマートチェックアウトのCaper AIを3.5億米ドルで買収

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Instacart は19日、リアル店舗でのチェックアウト体験を自動化する技術を開発するスタートアップ Caper AI を現金と株式を合わせ、約3億5,000万ドルで買収したことを発表した。今回の買収により、Instacart は、小売業者が「顧客のために店舗とオンラインのショッピング(フロー)を統一する」ことを目指すとしている。 Caper のニューヨーク拠点の従業員は Instacart に…

Image credit: Instacart

Instacart は19日、リアル店舗でのチェックアウト体験を自動化する技術を開発するスタートアップ Caper AI を現金と株式を合わせ、約3億5,000万ドルで買収したことを発表した。今回の買収により、Instacart は、小売業者が「顧客のために店舗とオンラインのショッピング(フロー)を統一する」ことを目指すとしている。

Caper のニューヨーク拠点の従業員は Instacart に参加し、Instacart の既存の製品開発チームにハードウェアエンジニアリングの人材として加わる。今後、Instacart は Caper の技術を Instacart のアプリや提携小売店の e コマースサイトやアプリに連携し、顧客がオンラインで買い物リストを作成したり、事前にレシピを閲覧したり、買い物中にリストをチェックしたりできるようになることを期待している。

Instacart の CEO Fidji Simo 氏は、声明の中で次のように述べている。

Instacart は、長年にわたり小売店向けのサービスを拡大し続け、北米の実店舗を持つ食料品店がビジネスをオンライン化し、成長し、顧客の進化したニーズに応えることを支援してきた。今後は、小売業者がオンラインショッピングとリアル店舗での買い物の両方で消費者のニーズに応えることができる、統一されたコマースサービスを開発するための方法をさらに増やすことに注力していく。

AI を活用したショッピング

Caper は、2016年に Lindon Gao 氏と York Yang 氏によって設立された。ジュエリーメーカー JPG Crafts の社長である Gao 氏は以前、ゴールドマン・サックスや J.P.モルガンで投資銀行のアナリストを務めていた。

Gao 氏は、プレスリリースの中で次のように述べている。

我々が生み出したパワフルなテクノロジーは、顧客にとって直感的で、あらゆる規模の小売業者にとって導入しやすく、これまで存在しなかったフィジカルリテールのエコシステムを生み出した。我々は、食料品小売業者のビジネスに一歩進んだ変化をもたらす新しいイノベーションを実現するという Instacart のビジョンを共有しており、 Instacart と協力して小売業者のオンラインとオフラインを結びつけるソリューションをさらに開発できることを誇りに思う。

Caper は、「Caper Cart」と「Caper Counter」という2つの製品を提供している。

「Caper Cart」
Image credit: Caper AI

Caper Cart は、画像認識とカメラを使用してアイテムを検知し、デジタルショッピングリストに追加するショッピングカートだ(Amazon の「Dash Cart」のようなもの)。買い物客が商品をカートのカゴに入れると、2,000万枚以上の画像データベースで学習したアルゴリズムによって商品が認識され、カートに取り付けられたスクリーンを介して、パーソナライズされたお勧め商品や近くのお得な情報が提供される。また、商品の重さを自動的に計測したり、店舗内の商品を検索して案内したりする位置情報サービスも近日中に提供する予定だ。

また、「Caper Counter」は、AIとカメラを採用し、バーコードなしで商品をスキャンすることで、従来のセルフレジに代わって、5つの異なる角度から商品をスキャンして取引を完了する装置だ。このカウンターでは、プロモーションの提供や、デジタルディスプレイによるデジタルレシートの提供のほか、盗難防止のためにスタッフが行動を監視したり、見慣れない商品の画像を Caper の画像認識データベースに追加したりすることもできる。

「Caper Cart」は、重さや大きさで価格設定された商品を正確に販売できることを証明する連邦政府の「NTEP(National Type Evaluation Program=米国型式承認制度)」にアメリカで初めて承認されたもので、現在、Kroger と Wakefern、カナダの Sobeys、フランスとスペインの Auchan に導入されている。これに加えて、コンビニエンスストアに設置されている Caper のスマートレジカウンターもある。

「Caper Counter」
Image credit: Caper AI

Caperは買収されるまでに、Lux Capital、FundersClub、HCVC、First Round Capital、Red Apple Group、Redo Ventures、Precursor Ventures、Y Combinator から1,300万米ドルのベンチャー資金を調達していた。

Simo 氏は次のように述べている。

Caper AI チームを Instacart に迎えることができて、とても嬉しく思っている。我々は、競争が激化する業界で成功するために、小売業者に新しく革新的な技術を提供するとともに、顧客に最高の体験を提供するという同じ目標を共有している。Caper のスマートカートとスマートチェックアウトのプラットフォームを世界中のより多くの小売店に提供し、食料品の未来を共に再構築していけることを嬉しく思う。

また、当社のエンタープライズ・テクノロジー・サービスへの投資を継続し、北米の小売業者の包括的な e コマース・プラットフォームを強化するための新しいソリューションを提供していく。

スマートリテールブーム

Instacart による Caper の買収は、小売店向けに事前注文とケータリングのソリューションを提供する FoodStorm の買収に続くものだ。これは、 Instacart のエンタープライズ・テクノロジー・サービスへの一連の投資の中でも最新のもので、同社はデリバリ以外の新しいビジネスラインを模索する中で、2017年に Aldi、Costco Canada、Heinen’s、Kroger、Publix、Sprouts、The Fresh Market、Walmart Canada、Wegmans といったパートナーに提供を開始した。

Instacart は、北米最大級のオンライン食料品プラットフォームであり、600以上の小売業者が5,500以上の都市の55,000店舗から配達を行っている(同社は、アメリカの85%以上の世帯とカナダの90%以上の世帯が、同社のサービスを利用していると推定している)。 最近、Instacart は2億6500万米ドルの資金調達を完了し、時価総額は昨年10月の2倍に当たる390億米ドルに達した。

しかし、買い物客、配達員、レジ係の専用ネットワークを維持するという課題を考えると、デリバリはハイコストな事業だ。今週、Instacart の50万人の買い物客のうち約1万3,000人のネットワーク「Gig Workers Collective」が、同社の低賃金と労働者とのコミュニケーション不足に抗議してストライキを行った。Instacart は、第2四半期には約1,000万米ドルの利益を上げたと報じられている。しかし、2019年の時点では、毎月2,500万米ドルの赤字を出していた。パンデミックでオンライン食料品の購入額が1兆米ドルにまで跳ね上がったにもかかわらず、このような状況になってしまったのだ。

収益を上げるために、Instacart は、消費者向けパッケージ商品の企業が Instacart アプリのユーザに自社製品を宣伝できるツール「Instacart Advertising」など、企業向けサービスを拡大してきた。また、7月には、大都市圏の密集地での運用を想定したロボットによるマイクロフルフィルメントサービスを提供するスタートアップ Fabric と共同で、新たなフルフィルメントソリューションを開始した。また、FoodStorm の買収に伴い、小売店が青果やパッケージ商品などの食料品よりも一般的に収益性の高い調理済み食品を予約販売する方法の提供を開始するとしている。

Instacart は、計画的な事業拡大の一環として、2021年に従業員数を50%増加させる予定だと述べている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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研究開発を効率化するデータ管理SaaS開発のランデフト、インキュベイトFから7,000万円をシード調達

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東京を拠点とするランデフトは20日、シードラウンドでインキュベイトファンドからから約7,000万円を調達したと発表した。同社は調達した資金を使って、素材業界向けの研究開発データ管理プラットフォームの構築に着手する。 ランデフトは2020年12月、中性子や放射光を用いた永久磁石材料の研究など、素材業界を中心にリサーチやプロトタイプ開発に関わってきた斉藤耕太郎氏により創業。科学は、実験科学、理論科学、…

ランデフト 創業者 兼 代表取締役 斉藤耕太郎氏
Image credit: Randeft

東京を拠点とするランデフトは20日、シードラウンドでインキュベイトファンドからから約7,000万円を調達したと発表した。同社は調達した資金を使って、素材業界向けの研究開発データ管理プラットフォームの構築に着手する。

ランデフトは2020年12月、中性子や放射光を用いた永久磁石材料の研究など、素材業界を中心にリサーチやプロトタイプ開発に関わってきた斉藤耕太郎氏により創業。科学は、実験科学、理論科学、シミュレーション科学に大別されるが、ランデフトはこれらに続く4つ目のデータ駆動科学のアプローチで、材料開発を支援するスタートアップだ。日本は世界的に見ても素材産業の分野で強い国だが、データ駆動による材料開発を支援することで、間接的には日本の産業競争力アップに寄与することが期待できる。

データ駆動材料開発は、「実験・評価」「解析」「蓄積・管理」「データ活用」の4つのフェーズに大別される。「実験・評価」については材料科学に強い素材企業の R&D 部門・測定代行・検査代行らが、「データ活用」については情報科学に強いデータ処理業やマシンラーニング代行らがその役割を担いつつあるが、「解析」「蓄積・管理」については未整備だ。ランデフトはこの境界領域での橋渡し役となることを目指す。

Image credit: Randeft

材料開発の現場では、さまざまな材料、構造特性、実験・評価に用いる手法や装置などの違いから、得られるデータはさまざまな形式の情報集合体となる。形式が一様でないため手作業への依存度が高く、得られたデータの十分な利活用ができていない。さらには、時代の変遷に伴う検出器の効率化や高機能化、合成や測定の自動化などにより得られるデータは以前よりも格段に増えており、「解析」「蓄積・管理」フェーズにおいても省力化や自動化が急務だ。

ランデフトのプラットフォームを使えば、属人的になりがちな過去の実験・評価データなども共有しやすくなり、それらを再利用・修正して図や報告書を作成できるなど、二度手間が生じにくくなる。将来の活用を前提としたデータの蓄積により、データ駆動のアプローチが可能になり、ひいては材料開発のプロセス全体が効率化される。研究者は、プラットフォームの利用で日常の煩雑なデータハンドリングタスクにかかる作業時間の短縮、見落とし・手戻りの減少​が期待できる。

ランデフトのプラットフォームは現在開発中で、本年中に2022年4月開始予定のクローズドテストの希望者を募り、2022年秋から冬ごろに正式提供開始を目指している。

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