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バーチャルヒューマンたちはどのようにして生まれる

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載 ニュージーランド拠点の「Soul Machines」が今年公表したバーチャルヒューマンは、CESで披露されたサムスン傘下のスタートアップ「NEON」と並ぶ、近未来的なアシスタントとして話題になりました。 同社はAI、脳計算モデル、経験学習を組み合わせて自動アニメーションプラットフォームを開発。…

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Image Credit : The Soul Machines

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載

ニュージーランド拠点の「Soul Machines」が今年公表したバーチャルヒューマンは、CESで披露されたサムスン傘下のスタートアップ「NEON」と並ぶ、近未来的なアシスタントとして話題になりました。

同社はAI、脳計算モデル、経験学習を組み合わせて自動アニメーションプラットフォームを開発。ユーザーと面と向かって話すことができるほどの個性と性格を持つ、まるで生きているかのように感情を表わすことのできる「デジタルヒーロー」、つまりバーチャルヒューマンを作り出します。

<参考記事>

表面的な「人間らしさ」はいざ知らず、肝心の中身はどのようにして成立するのでしょうか?そのひとつの鍵となるのがAIアシスタントの存在です。

英国オックスフォード大学の社会・コンピュータ科学部門であるオックスフォード・インターネット研究所(OII)は、Googleと提携して、AIに関するまとめサイト「The A-Z of AI」を公開しました。A-Zの26個の項目が並んでいます。

選ばれた26のトピックから本記事ではARグラスが普及した時代「Spatial Computing(空間コンピューティング)時代」に向けて応用できる項目を4つほど選び、バーチャルアシスタントの具体像に迫ってみたいと思います。

Fakes

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Photo by Carolina Castilla Arias on Pexels.com

ディープフェイクは現実世界の画像や音声を研究、詳細にマッピングおよび操作をして、不気味なほど忠実なフィクション作品を作成することで機能します。

ほんの数年前には不可能と考えられていたこれらの技術は、ハリウッド映画のCGIから音楽制作、ポルノに至るまで、幅広い分野で応用されています。多くは娯楽や想像力をかきたてることを目的としていますが、不適切な使い方をすれば、社会に有害な誤報を生み出す可能性もあります。

Fakes文脈で注目しておきたい事例は2つです:「Ryff」と「Pokemon Go」。

たとえばGoogleが提供する3D検索では、動物のリアルなオブジェクトをその場に表示できます。ただ、未だ一瞬で3Dであると見破れる完成度に留まっています。

DeepFake技術が進めば、カメラが現実世界の環境条件を認識し、リアルタイムでとても高精度の3Dオブジェクトがレンダリングされる世界が実現するでしょう。すでにLA拠点の「Ryff」は映像市場で超高精度のAI画像およびパターン認識を活用したユースケースを提供しています。

次世代フェイクの概念も知っておくべきでしょう。Pokemon Goは仮想世界に住むポケモンとのやり取りをスマホのカメラ越しに実現させました。そしてイベントがあれば街の至る所でユーザーたちが画面を見つめながら必死にモンスターボールを投げている光景を見かけます。

しかし、現実世界に住む私たちから見れば、何をしているのかわからない“小さいコミュニティ”にしか見えません。こうした仮想・虚構の存在に導かれて発生する「フェイクコミュニティ」を今後頻繁に見かけることになるでしょう。昨年、筆者も参加したAppleが主催のARを楽しむウォーキングイベント「[AR]T Walk」でも、複数の参加者が、街行くに人にはわからない3Dオブジェクトを眺めるという楽しい体験がありました。このように、同時多人数でARを楽しむコラボレーション体験が増えるほど「フェイクコミュニティ」の発生数も増してきます。

Image Recognition

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Photo by Torsten Dettlaff on Pexels.com

コンピュータビジョンとして知られている画像認識システムは、提供された参照画像を調べるだけで、個人から有名なランドマーク、ペットまで何でも認識できるようになります。このシステムは、スマートフォンの写真を整理するなどの日常的な作業を楽にします。例えば、旅行に行った後に休暇の写真の新しいアルバムを自動的に提案します。

それぞれの画像は指紋のようなものです。AIシステムは、色や形などの識別機能を見つけ出し、何千もの画像と相互参照して正確に認識し、ラベルを付けるように訓練されています。また、ランドマークやグループ旅行の写真を認識できるのと同じ技術は、外国語の警告標識を翻訳したり、オンライン上の露骨なコンテンツから子供たちを保護したりするのに役立ったりと、他の場所でもより深く活用されています。

Spatial Computing時代は、ARグラスが広く普及した世界を前提に話が進みます。この時代では一人称視点の高性能カメラを手軽な価格で手にすることができます。そこでは、かつてGoogle Glassが登場した際に人気を集めた視覚障害者向けの音声サービス「Envision」のようなスタートアップが再興するはずです。

画像認識技術が進んでいることや、昨今のGoogle Map ARナビゲーション機能実装のことを考えると、Envisionと比較して、かなりの付加価値を持った市場展開がなされると考えています。

さらに、Google Glassは2Bを中心に市場戦略が進んでいるため、Envisionが手をつけられていないユーザーは多くいると思います。そこで、今のうちから中国の安価ARグラス「Nreal」などを提供しながら、自社音声サポートサービスなどを展開すれば大きな成長が望めるのではないでしょうか。

Speech Recognition

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Photo by Tyler Lastovich on Pexels.com

音声認識システムは、ディクテーションソフトウェアから言語翻訳ツール、音声起動型スマートスピーカーまで、あらゆるもののバックボーンを形成しています。機械は音声を認識することはできても、人間と同じように理解できるわけではありません。人間は、文脈がなくても、文章がごちゃごちゃしていても、言葉を理解することができます。しかし、機械はそれが難しいのです。

“自然言語処理 “は、人間の複雑な話し方をよりよく理解するために、AIが文法的なルールを引き出し、生きた音声を分析することを可能にする、最近の音声認識の進歩である。これにより、AIシステムは、トーンやユーモアなどの何かが文章の意味をどのように変えてしまうのかを把握することができるようになります。

これらの技術は、私たちが何を言うかだけでなく、何を意味するかを理解するために着実に進化しています。AIの設計チームは、システムにより多くのニュアンスを組み込む方法を継続的に模索しているため、人々はこれまで以上にAIとシームレスで自然なやりとりをすることができるようになっています」とのこと。

筆者は直近まで音声サービスのアイデアを模索していたこともあり、今後タイピング入力から音声入力、ジェスチャー入力といったUIへと大きく転換する予感がしています。ARグラスを用いた体験では、スマホのスクリーン上で行うような高速タイピングは想定されていません。その上で、入力コストを圧倒的に下げて、ユーザーが検索したいことを即座に反映させる入力は音声が現実的でしょう。たしかに公共の場で声を発しづらいなどの解決すべき根本課題が存在しますが、何かしらの解決策が登場するのではないかと思います。

音声UIがARグラスと共に台頭することを考えれば、現在のFace IDやTouch IDに並び、「Voice ID」の重要性が高まると考えます。

すでにAmazon Echoは空間内で特定の人物を認識できますが、より音声認識技術が発展すれば、各ユーザー特有の発生をIDとして活用できるようになるかもしれません。冒頭で説明したFakesに絡み、フェイク音声技術はすでに確立しつつあり、いずれバッティングするかもしれませんが、こうしたセキュリティ上の市場課題を乗り越えれば、非常に大きなニーズを獲得するでしょう。この分野では大型スタートアップが登場しそうです。

Virtual Assistants

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Photo by ThisIsEngineering on Pexels.com

Virtual Assistantsは、基本的には人間のアシスタントをデジタル化したものです。最もよく知られている例は、スマートフォンやスマートスピーカーを介して話す音声アシスタントです。

これらのアシスタントは日常的に、オンラインで情報を検索したり、音楽を再生したり、基本的な質問に答えたりするのに役立っています。人々の生活や家庭がより接続されるようになるにつれ、バーチャル・アシスタントは、新しいタスクをより簡単に実行するのに役立つようになります。

話しかけられたコマンドに反応することで、これらのアシスタントを簡単かつ効率的に使用できるだけでなく、読み書きの問題や障害、その他の理由でキーボードに困難を感じる人にもメリットがあります。AI機会学習を利用して、バーチャルアシスタントが質問の文脈を理解し、人間の声を解釈するために使用する自然言語システムは、人とそのデバイスの間に、より自然な会話を生み出しています。

説明文にもあったように、現在のVirtual Assistantsの好例はSiriやGoogle Assistantに代表される音声アシスタントでしょう。ただ、今後はここまで紹介してきた「Fakes」「Image Recognition」「Speech Recognition」の集大成のような新たなアシスタントが登場します。

それが冒頭で紹介したようなバーチャルヒューマンたちです。

たとえば、GucciやLouis Vuittonのような高級ブランドの背景や世界観を汲み取った音声と容姿をした本物そっくりのバーチャルヒューマンが開発されれば、話す内容や口調はそれぞれのブランドに最適化されたものになるはずです。

ARグラスを通じ、こうした仮想世界のブランドキャラクターとやり取りすることもSpatial時代の特徴です。高いAI画像認識・音声認識を元に、高精度のフェイクヒューマンとコミュニケーションを取る時代がSpatial Computing時代とも言えます。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家 隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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平時と戦時、それぞれのCEOの存在意義ーーAndreessen Horowitzが贈る10年分のリーディングリスト

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ピックアップ:Reading List for Leaders in Uncertain Times 新型コロナウイルによる経済損失はほぼ全ての業界にて現在進行形で進んでいる。そんな時代を生き抜くため、著名VCのAndreessen Horowitz(a16z)は同社が今までに執筆してきた、今の境遇だからこそ読むべき「Reading List」を公開した。 同リストは、同社が過去10年に渡りスター…

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Photo by Andrea Piacquadio on Pexels.com

ピックアップ:Reading List for Leaders in Uncertain Times

新型コロナウイルによる経済損失はほぼ全ての業界にて現在進行形で進んでいる。そんな時代を生き抜くため、著名VCのAndreessen Horowitz(a16z)は同社が今までに執筆してきた、今の境遇だからこそ読むべき「Reading List」を公開した。

同リストは、同社が過去10年に渡りスタートアップへ向けたメッセージとして公開してきたアーカイブで構成される。特にリーダーシップ、メンタルマネジメント、戦略、また事業運営をトピックとしたものでまとめられる。以下では、リーダーシップに枠組みされるストーリーをまとめた。

Peacetime CEO/Wartime CEO (戦時と平時、それぞれのCEOの存在意義)

概要:2011年、GoogleのCEOがエリック・シュミット氏からラリー・ペイジ氏へと移り変わる際に、a16z創業者であるベン・ホロウィッツ氏によって書かれたもの。当時、あらゆるメディアは社交的であったエリックから、シャイなラリーへとCEOの座が移ることで、はたして彼がGoogleの「顔」となれるのかばかりに焦点を当てていた。しかし、ベンはGoogleのCEOがラリーに代わる意義は同社が「戦時」に突入する意思だと表現し、エリックもラリーも同様の考えを持っていると語っている。

所感:ここでいう「Peacetime」並びに「Wartime」は以下のような定義です。

Peacetime:Those times when a company has a large advantage vs. the competition in its core market, and its market is growing. In times of peace, the company can focus on expanding the market and reinforcing the company’s strengths.

Wartime: A company is fending off an imminent existential threat. Such a threat can come from a wide range of sources including competition, dramatic macro economic change, market change, supply chain change, and so forth.

「Peacetime」は、一言でいえば無敵状態。大きなアドバンテージを持ち、他社に影響を受けることが少ないため、何も気にせずマーケット拡大につき進める状態としています。対して「Wartime」は想定できないマクロ的な経済影響や競合他社による潰し合いが起きている状態と定義しています。

では、両者におけるCEOの存在意義はどういった点にあるのでしょうか。記事内では数多くの面で両者の役割を比較していました。以下はその一例です。

(1)Peacetime CEOは勝ち筋を知っている者。反して、Wartime CEOは勝ち筋と思われている常識を覆すことが出来る者

(2)Peacetime CEOはスケーラブルで、ハイボリュームな採用活動を実践する者。反して、Wartime CEO はPeacetimeの活動しつつも、レイオフを遂行できる者

(3)Peacetime CEOは企業カルチャーを定義する。反して、Wartime CEOは「War」にカルチャー定義をさせる

(4)Peacetime CEOは常に不測の事態に備えるプランを持っている。反して、Wartime CEOにはサイコロを振って運任せな気持ちも必要

(5)Peacetime CEOは市場拡大を試みる。反して、Wartime CEOは市場を勝ち取りに行く

Which Way Do You Run?  (不安に包まれた時、創業者がとるべき行動)

概要:2019年にベン・ホロウィッツ氏によって執筆された、創業者特有の「不安」への対峙を示したもの。同氏がドットコムバブル時にCEOを務めていたLoudcloudで感じた、創業者としての不安心の経験ベースに話が構成されている。

所感:スタートアップ創業者にしか分からない、あらゆるケースへの「不安」が題材となっています。バリュエーションの変化による精神的不安や、自分の選択で雇った従業員の分野に対する理解度が想像以上に低かったことによる後悔から生じる不安。これらに対してどう立ち向かうべきなのかに対し、自身の経験を元に話が綴られています。印象的なのはベンのこの一文。

To this day, every time I feel fear, I run straight at it, and the scarier it is, the faster I run.(今の今まで、恐怖や不安を感じるたびに、ただそれに向かって、怖ければ怖いほど、早く走ってきました)。

First Rule of Leadership (リーダーシップ、最初で最後のたったひとつのルール)

概要:2017年にベン・ホロウィッツ氏によって執筆された、リーダーシップの最初のルールについて記されたもの。1993年に、プロバスケプレーヤーCharles Barkley氏の著名なセリフ「 “I am not a role model. Just because I dunk a basketball doesn’t mean that I should raise your kids.”」からリーダーシップのあるべき姿が論じられている。

所感:記事内では、リーダーシップとは難しいものでなくたった一つのルール「 In order to be a great leader, you must be yourself.」を軸に話が展開していきます。つまり、立場が変われど自分自身で居られることが最大のリーダーシップであるという意味です。

実際、これは当然のように感じられますが、ベンはこの当然がなかなか難しいと伝えています。同氏はStanという人物を例に出してこの状況を説明しているのですが、マネージャーに昇格した途端「Stan」から「Manager Stan」へ変わってしまい、Stan自身が評価されていたにもかかわらずマネージャーという頭文字が付いてしまえば、そこにリーダーシップは生まれないという論理を展開しています。

Lead Bullets(銀の弾丸はない)

概要:2011年にベン・ホロウィッツ氏によって執筆されたプロダクト開発における必要不可欠な心掛けについて記されたもの。

所感:Benは良く起業家と以下のような会話をするとしており、ここに全ての本質が詰まっています。

Entrepreneur: “We have the best product in the market by far. All the customers love it and prefer it to competitor X.”

Me: “Why does competitor X have five times your revenue?”

Entrepreneur: “We are using partners and OEMs, because we can’t build a direct channel like competitor X.”

Me: “Why not? If you have the better product, why not knuckle up and go to war?”

Entrepreneur: “Ummm.”

Me: “Stop looking for the silver bullet.”

銀の弾丸は、あらゆる困難を一発で解決できるような素晴らしい方法のことを一般的に差します。同氏は、企業運営において銀の弾丸探し、つまりただひたすら「珍しいプロダクト機能」を追い求めるほど意味のないことはないと語ります。早い段階から銀の弾丸を探しにピボットを始めてしまうことで、マーケットの需要から製品の本質がずれていくことを意味しているのでしょう。経営者として、逃げ出したくなる時に自問自答すべき一文で締めくくられています。

“If our company isn’t good enough to win, then do we need to exist at all?”

いずれのストーリーも、ベンの実体験を基に話が構成されていました。哲学的でもあり、説得性のある、まさにAndreessen Horowitzらしさが詰まったリーダシップに関わる一覧と感じます。上述以外にも、下記2つのポッドキャストがリストに記載されていたので、ぜひ聞いてみてください。

次回は「On managing your own psychology and professional development」、メンタルマネジメントと成長についてお届けします。

 

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Amazon Go Groceryがもたらすフード革命

Amazonは同社史上初となるフルサイズのキャッシャーレススーパーマーケットのオープンにより、フードシステムに大規模なパーソナライゼーションをもたらし、第二次世界大戦の終わり以降長らく保たれてきた常識を覆そうとしている。 戦後、連邦政府の法案に反映された食糧政策は、食糧を豊富に、手頃な価格で、そして安全に保つことだった。Cargillの前CEOであるGreg Pageの言葉を借りれば、米国連邦政府…

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シアトルにオープンしたAmazon Go Glocery店舗(Image Credit : Taishi Masubuchi)

Amazonは同社史上初となるフルサイズのキャッシャーレススーパーマーケットのオープンにより、フードシステムに大規模なパーソナライゼーションをもたらし、第二次世界大戦の終わり以降長らく保たれてきた常識を覆そうとしている。

戦後、連邦政府の法案に反映された食糧政策は、食糧を豊富に、手頃な価格で、そして安全に保つことだった。Cargillの前CEOであるGreg Pageの言葉を借りれば、米国連邦政府は、地球上には各人たった1ドルですべての人に十分な食料があることを保証している。

これは、特にカロリーとタンパク質の生産にフォーカスした食糧政策だ(原料となるトウモロコシ、パンになる小麦、家畜飼料のための大豆とする)。この政策の結果、商品価格が大幅に低下し、中西部の農作物生産者は生計を立てることができなくなり、一人前の分量が数年ごとに倍増するほど安価で糖尿病を引き起こす「ファストフード国家の食品」に行き着いた。全く、誰も得をしない食糧政策だ。

食品システムの反対側で、消費者にも目を向けてほしい。Hellmann’sなどの「レガシーブランド」が衰退している一方で、Sir Kensington’sのようなオーガニックブランドは急速に成長している。これは消費者が食に対し、価値観、味、願望を反映するようになりつつあることの表れである。

ほぼすべてのレガシーフードブランドの売上は横ばいまたは減少しているが、小さなエキゾチックフードブランドは急成長している。小売業者はとにかくCheeriosのような商品では稼げないため、より稼げるNature’s Path、Cascadian Farms、Bob’s Red Millのような商品を棚に置きたがっている。そして、消費者が欲しているのもそれらのブランドなのだ。

もちろん、Amazonのホールフーズは、主流になりつつある最新のニッチフードサービスを実験していく発信者でありマスターだ。ホールフーズは、ヴィーガン、肉中心の古食、ナッツ中心のスーパーフード、ナッツを含まない低刺激性スナックなど、トレンドの完全食に対応している。

大きなストアは通常、価格や機能をスマートフォンを使って比較する消費者を恐れる。しかしAmazonは、販売を促進するハイパーパーソナライズされた情報を顧客に提供する道を切り開いた。考えられるあらゆる倫理的、実践的、また物理的な軸に沿って、各ストックユニットを探索できるプロジェクトとの関係性を目の当たりにできる。

また、数百台のカメラとセンサーで消費者を追跡するキャッシャーレススーパーマーケットでの最新実験にも注目したい。 Amazonは「自動運転車で使用されているのと同じタイプのテクノロジー:コンピュータービジョン、センサーフュージョン、ディープラーニング」を使用して、どの顧客がどの製品を排除(または閲覧のみ)するかを特定および監視する。

商品への視線や接触、足取りなどが分析され、この発表後にKrogerやCostcoのようなレガシー食料品チェーンが株式市場において大敗していることに驚きはない。Amazonが成したのは、それが偶然であれ意図的であれ、戦後の食糧システム全体をかき回し、作物助成金によってではなく、背後にいる消費者によって動かされる仕組みに変えたことだ。

消費者は、Amazon Goのかなり正確にパーソナライズされたレコメンドにより、オーガニックスペルト、インコーン、エンマー小麦入りの朝食シリアルなどを列に並ばずに購入できる。それだけでなく、他の農家が育てている冬小麦を栽培していないがために突然生計を立てられるようになった農家に対して、より多く支払おうという意思が逆伝播する。

多様な植物、サステナブルな生産過程、またテロワール(場所・気候・土壌などの栽培環境)など、特定の属性を持つ食品をより多くの消費者が望むほど、農場システムは分解され、農家が生計を立てるための実行可能な道を提供する。アメリカの田舎にとっては、よいことなのではないだろうか?

VentureBeat編集部注:この記事をゲストポストしてくれたAdam Wolf氏はアグリテックスタートアップのArable Labs.の創業者であり、チーフサイエンティスト。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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不況の時にスタートアップする理由

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ピックアップ:Stocks dive on Dow’s worst day since 1987, tech crashes and Bitcoin is no haven ニュースサマリー:ダウ平均株価は10%以上の下落を見せた。たった1日でこれほどの下落幅を更新したのは、1987年の株式市場暴落時(ブラックマンデー)以来とされいている。またこれに対しニューヨーク連邦準備銀行が1.5兆ドル(約1…

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ピックアップStocks dive on Dow’s worst day since 1987, tech crashes and Bitcoin is no haven

ニュースサマリー:ダウ平均株価は10%以上の下落を見せた。たった1日でこれほどの下落幅を更新したのは、1987年の株式市場暴落時(ブラックマンデー)以来とされいている。またこれに対しニューヨーク連邦準備銀行が1.5兆ドル(約158兆円)を市場注入し救済に当たったと公表した。

またビットコイン市場は株式市場以上の暴落を見せている。ビットコインは金と同様に、既存金融市場と価格相関性の低い安全資産だと言われてきたが、ここ1カ月半のビットコイン価格の下落率は40%と、他の金融市場よりも大きな下落幅を記録している。

話題のポイント:Y Combinator創業者のポール・グレアム氏は自身のブログ記事「不況の時にスタートアップを始める理由」で以下のような言葉を残しています。

Which means that what matters is who you are, not when you do it. If you’re the right sort of person, you’ll win even in a bad economy. And if you’re not, a good economy won’t save you.

重要なのはいつやるかではなく、あなたが誰であるかだ。もしあなたが正しい人であれば、不況だろうとあなたは勝利を掴むだろう。その逆であれば、失敗に終わるだけだ。

今、まさにスタートアップしようとしている(あるいは転職を考えていた)人たちの中には動揺が走っているかもしれません。確かに国内にはIPOを延期する動きも顕著になってきました。上場やEXITを予定・検討している企業は計画変更を余儀なくされるケースもあるのではないでしょうか。

<参考記事>

ですがリーマンショックのような不景気がスタートアップにとって絶望的かと言えば、決してそうとは言い切れない面もあります。

グレアム氏のブログにも指摘あるように、不況という局面を成長又は変化のチャンスと捉えることも可能です。プロダクトの開発に集中しているフェーズのチームは市場の不景気は気にする必要はありません。買い手市場になればできるだけ運営費を安く抑えることも可能ですし、こういった大きく社会が変化するタイミングでいち早く優位性のある技術を開発し、新しい市場を発見する良い機会になるかもしれません。

ちなみに、2004〜2006年に誕生したFacebookやReddit、Twitterは創業から5年以内のタイミングでリーマンショックを経験しています。2008〜2010年にあった不況真っ最中の期間は、GithubやUber、Airbnb、Instagramが誕生した時期でもあります。もっと過去を振り返れば、マイクロソフトが誕生し事業を伸ばし始めたのは、石油危機と不況が重なる1975年ごろです。

国内に関して言えば、リーマンショックの打撃はあったものの、その後海外SNSの日本進出やスマートフォンの登場、その他クラウドやアドテクの発展により、国内のスタートアップ・エコシステムは10年で現在の規模にまで成長しています。

つまりスタートアップの発展は景気(資金)だけではなく、社会の変化と技術の発展により大きく影響を受けるということです。したがって、今日本のスタートアップがすべきことは、金融市場の動向を気にかけることではなく、これまで通り、次のテクノロジー・トレンドや参入タイミングを見分け、適切に事業を運営し続けることではないでしょうか。

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テーブルの上に残された資金——休眠資産の驚くべき規模を検証する【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿) The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture c…

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿

The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture capitalist.


先日「強みを生かした投資」というタイトルの記事を投稿した。記事にある様に、VC とヘッジファンドのスタンスは根本的に違うものであり、数ヶ月前に S&P500 に投資した時も、投資判断において VC 投資経験が生きた訳ではない。結果的にこの投資判断は正しかったものの、マクロトレーダーではない私は、結果的に少々タイミングを逸して、テーブルの上に投資資金を残すこととなった。

投資資金を残してしまうことのペナルティは、ここ2年で急速に大きくなっている。前 ECB(ヨーロッパ中央銀行)総裁の Mario Draghi 氏の「金融危機を脱するためには〝何でもやる〟」という宣言は、経済をゼロ金利・マイナス金利時代へと導いた。

Image credit: Pixabay

高名なヘッジファンドトレーダーであり、「The Anti-bubbles」の著者である、Diego Parrilla 氏の示唆に富む表現を借りれば、我々は「リスクフリー金利」から「金利フリーリスク」へのパラダイムシフトの渦中にある。先日からのマーケットの下落を受け、中央銀行は今後もさらなる量的緩和が必要となる旨を宣言しており、マイナス金利時代がすぐに終わることはないと私は予想している。

リターンを得る手段が限られている環境では、小さな判断ミスが高くつく。例えば、フランス政府の後ろ盾がある「Livret(リブレ)」という預金は利率が0.75%である。これは現在の環境では高金利であり、特にリスクフリー(フランス政府を信用していればの話だが)というメリットがある。

一方、中小企業向けのクラウドレンディングプラットフォームの利率は4〜5%、実際はすぐに返済が始まるので2%程度は口座にデポジットとして残しておく必要がある。さらにクラウドレンディングサービスは看過出来ないレベルのデフォルトリスクもあるため、実際のところリスクを考慮したリターンがこの金利レベルで得られているのかは判断が難しい。

対して、0.75%の金利であっても、流動性が保証された Livret に資金を置いておく方が、タンス預金よりはベターである。これはほとんどの人が直感的に分かることだと思う。

この直感的なメリットの不明瞭さは、仮想通貨に関しても同様である

取引量の大きいデイトレーダー以外にも、さまざまな理由で仮想通貨を保有している人がいる。例えばイノベーションの先端を把握したい技術者、デイトレーダーではないが長期的なバリューアップを信じる人、若しくはポートフォリオの一部として少額を保有する人などである。

こうした人々にとっては、仮想通貨は単に眠っている資産であり、事実上タンス預金とほとんど変わりがない。現在は様々な仮想通貨関連のソリューションが登場しているため、短期保有者であっても積極的なトレーディングなくして価値を獲得することが出来る。リターンはリスクの取り方にもよるが、休眠資産として眠らせたり貸し出すよりも、保有資産をリスク・リターンのフロンティアに押し上げる方がよほど有益である。

私は、この仮想タンス預金が実際にどの程度あるのか試算するのは難しいであろうと考えていたが、最も優秀なブロックチェーン起業家の一人と会話する中でデータが存在することを知った。

Curvegrid のマルチ BaaS(Blockchain-as-a-Service)プラットフォームは、このような休眠している仮想通貨の額を調べることが可能である。彼らの計算の仕組みを理解するにはさらなるディスカッションが必要であるが、同社の優秀なチームが好意で私の質問に対する解答を用意してくれた。この驚きのデータにご興味お有りだろうか?

Image credit: Curvegrid

200億ドル

これは休眠資産となっている ETH(イーサリアム)の価値であり、実に ETH 総マーケットキャップの80%にも上るのである!

多くの人々がテーブルの上に資産を残したままにしている。私はまだこの数字を個人投資家、仮想通貨交換、レギュレーターに細分化し、更なるデータの意義を見出すことを試みている。近々またこのトピックについてお話させていただこうと思う。

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スティーブ・ブランク氏が語る、起業家のための生存戦略——新型コロナウイルスから事業を守るために今すぐやるべきこと【ゲスト寄稿】

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Steve Blank 氏はシリコンバレーで複数のテックスタートアップに従事。スタンフォード大学やコロンビア大学でアントレプレナーシップのシニアフェローを務める。著書に「The Four Steps to the Epiphany」(邦訳「アントレプレナーの教科書」)や「The Startup Owner’s Manual」(邦訳「スタートアップ・マニュアル」)など。 本稿は著者のブロ…

Steve Blank 氏はシリコンバレーで複数のテックスタートアップに従事。スタンフォード大学やコロンビア大学でアントレプレナーシップのシニアフェローを務める。著書に「The Four Steps to the Epiphany」(邦訳「アントレプレナーの教科書」)や「The Startup Owner’s Manual」(邦訳「スタートアップ・マニュアル」)など。

本稿は著者のブログで最初に掲載されたもので、転載にあたり、BRIDGE は SteveBlank.com から独自に許可を得た。

This story originally appeared on Steveblank.com. Copyright 2020


冬がやって来る。

このブログ投稿は、私の予想が全くもって間違っていてほしいと願う内容だ。

新型コロナウイルスが世界的大流行となる中、あなたがスタートアップやスモールビジネスを率いているのであれば、「プランBは何か?」と自問するべきだ。あなたの救命艇には何が入っている?

ここでは、大流行による不確実な状態を乗り切る方法について、いくつか考えを共有したい。

2015年10月、Startup Istanbul で講演する Steve Blank 氏。
Image credit: Masaru Ikeda

影響

社会的隔離や国家緊急事態の宣言は、人々を集める産業——会議、見本市、航空会社やクルーズ船、あらゆる種類の旅行、ホスピタリティ業界、スポーツイベント、劇場、映画、レストラン、学校——に即座に影響を与えた。大企業は従業員を自宅で働かせ、大規模な小売チェーンが店舗を閉鎖している。ギグエコノミーにおけるスモールビジネスやワーカーへの影響はニュースになっていないが、彼らにとっては状況がさらに悪い。彼らは現金の準備が少なく、突然の不況に対処できる許容が小さい。こういった閉鎖のすべての波及効果とフィードバックは、経済に大きな影響を与える。影響を受ける各産業は人々を失業させ、解雇された人々はプロダクトやサービスを購入しなくなるからだ。

他の産業においても、通常のビジネス状態ではなくなった。事実、パンデミックのために経済封鎖を行ったことは、これまでに一度もなかった。これからの数ヶ月、経済全体が荒廃する中で何百万人もの人々が仕事を失うかもしれない。1929年〜1939年の世界大恐慌以来、初めて目にする光景かもしれない。私はこの予想が間違いとなることを願っているが、今回のウイルスの社会的影響および経済効果は深刻なものになる可能性が高く、我々の買い物、旅、仕事の進め方を数年にわたり変化させるだろう。

スタートアップやスモールビジネスを経営しているなら、(家族の次に)従業員と顧客を安全に保つことが最優先だ。しかし、次に尋ねたくなる質問はこうだろう。「私の事業はどうなるのか?」

全てのスタートアップやスモールビジネスの CEO は、次のような疑問を持つ。

  • バーンレートとランウェイは?
  • 新しいビジネスモデルはどのようなものか?
  • これは3ヶ月の問題か、1年の問題か、それとも3年の問題か?
  • 投資家は何をするか?

バーンレートとランウェイ

最初の質問に答えるには、現在のバーンレート、つまり毎月どのくらいのキャッシュを使っているかを調べる。固定費(変えられないコスト、賃料など)はいくらか、変動費(給与、コンサルタント料、手数料、旅費、AWS / Azure 料金、消耗品など)はいくらか?

次に、毎月の実際の収益を見る。予測ではなく、毎月の実際の収益だ。アーリーステージの会社の場合、その数値はゼロである可能性がある。

毎月のグロスバーンレート(総バーンレート)を毎月の収益から引き算すれば、ネットバーンレート(実質バーンレート)を得られる。支出より多くのお金を稼いでいる場合、プラスのキャッシュフローがある。あなたがスタートアップであり、費用よりも収入が少ない場合、ネットバーンレートはマイナスとなり、それはあなたの会社が毎月失う(燃やす)金額を表す。今、会社の銀行口座をチェックしよう。あなたの会社が毎月その量のキャッシュを燃やして何ヶ月生き延びられるかを確認してほしい。これがあなたのランウェイ、つまり会社がキャッシュを使い果たすまでの時間だ。この数学は、通常時の市場で機能する話であるが…。

世界はさかさまになった

残念ながら、現在はもはや通常時の市場ではない。

  • 顧客、販売サイクル、そして最も重要なこととして、収益、バーンレート、ランウェイに関するすべての仮定はもはや正しくない。
  • あなたがスタートアップの場合、次のラウンドの資金を調達するまで、ランウェイの計算がおそらく続くだろう。次のラウンドがあると仮定する。それはもはや正しくないかもしれない。

現在のビジネスモデルはどのようなものか?

今日の世界は1ヶ月前と同じではなく、今から1ヶ月後にも悪化する可能性が高いため、今日のビジネスモデルが今月の初めと同じようなら、あなたは現実から目を逸らしていて、おそらく廃業することになる。

スタートアップの CEO の性格は楽観的であるべきだが、顧客と収益についての仮定をすばやくテストする必要がある。

  • B2B ビジネス……顧客の売上は落ちているか? 顧客は今後数週間、事業を閉鎖するか? 人を解雇するか? その場合、収益予測や販売サイクルの見積は無効になる。
  • B2C ビジネス……サービスを提供していた市場は、多面的市場(編注:民放にとっての視聴者と広告主の関係性のように、直接的にサービスを享受する側とお金を支払う側が異なる業態)ではなかったか? お金を払ってくれる人に対する仮定は、今でも正しいか? どうしてそう思うか?

新しい財務指標は何か? 売掛金、そして、資金が残っている日数は?

この新しい環境下で実際のバーンレートとランウェイを把握する必要がある。これは3ヶ月の問題か、1年の問題か、それとも3年の問題か?

次に深呼吸して、これは3ヶ月の問題か、1年の問題か、それとも3年の問題かを考えよう。企業の閉鎖は経済の一時的な停止になるのか、それともアメリカとヨーロッパを長期不況に追い込むのか?

わずか3ヶ月の問題である場合、(日ごとに発生する可能性は低い、給与・マーケティング費・出張費などの)変動費の即時凍結が有効だ。ただし、経済の影響が長く続く場合は、事業のリストラを開始する必要がある。救命艇戦略が必要だ。これは、会社存続のために何が最小限必要で、何を捨て去るべきかを把握するフェーズだ。

1年の問題なら、バーンレートにメスを入れること(すなわち、変動費を下げるため、レイオフと福利厚生を廃止する)。以前は固定費と思われていたもの(家賃、機器のリース支払など)を再交渉し、救命艇で生き残るのに必要なものだけに絞り込むことを意味する。

(CFO がとるべき行動のアドバイスはこちらから)

オンライン対面で販売している場合、(顧客がまだそこにいると仮定して)有利になる可能性がある。そうでなければ、販売戦略を変更しよう。

先月の時点でのプロダクトマーケットフィット(PMF)がどうであれ、それは今となってはもはや通用せず、新しい基準を満たすために変更する必要がある。これにより、新しいバリュープロポジション(提供価値)が見出せるか、競合を負かせられるか、あるいは、プロダクトを変更するか?

そして、それが3年の問題なら、生存に不可欠ではないものをすべて捨てる必要があるだけでなく、おそらく新しいビジネスモデルが必要になる。短期的には、ビジネスモデルの一部を新しい社会的隔離のルールに向けることができるかどうかを検討してほしい。プロダクトをオンラインで販売、配送、生産できるか? そのような形でプロダクトを供給した場合、メリットはあるか(Sequoia Capital のアドバイスを参照するとよいだろう)。そうでない場合、あなたのプロダクトやサービスを、他の人が不況を乗り切るための救命艇として位置づけることはできるか?

リーダーシップ——思いやりを持って計画し、伝え、行動する

販売収益の目標とプロダクトのスケジュールを修正し、新しいビジネスモデルと運用計画を作成し、投資家と従業員に明確に伝えよう。明確に理解できる達成可能な計画に人々を集中させよう。過去3回の不況を経験した立場から言わせてもらうなら、CEO 達が犯した最大の過ちは、経費を短期間で大幅に削減できなかったことだ。彼らは、そのままやり過ごせるのではないかとも取れる魔法のような考えで、レイオフを怠り費用削減を放置しプロジェクトを進めた。今すぐ行動する必要がある

レイオフを検討している大企業の場合、最初の選択肢は、(他の従業員より)賃金の高い幹部や従業員の給与を削減し、一方で余裕のない人々を雇用し続けることだ(救命艇に飛び込む前に、まず船上の全員を救おうとする CEO にはいいことがあるだろう)。人をレイオフする必要がある場合、思いやりをもって実行すること。辞めてもらう人には、追加で補償を出すべきだ。最悪、キャッシュが不足していると思われる場合でも、残金がゼロという状況はないだろう。適切な対応を行い、最低でも2週間以上の給与を全員に提供するのに十分な現金を用意すべきだ。

あなたの投資家

生存の重要な要素の1つは、資本へのアクセスだ。スタートアップやスモールビジネスの立場から、投資家が今回のパンデミックがビジネスモデルにどのように影響するかを自問していると考えるべきだ。そして、冷たくも厳しい真実は、不況下においては、VC が「救命艇で何を救うか」を考える準備運動を始めるということ。

彼らは、自らが持つ投資にトリアージ(優先順位付け)をする。まずは、バリュエーションの高いレイトステージの投資の流動性を心配する。こういったスタートアップは通常バーンレートが高く、投資した資金が崩れ落ちる可能性があるからだ。あなたやあなたのスタートアップは投資家にとってもはや優先事項ではなく、あなた方の関心はもはや同じ方向を向いていない(そうでないという VC は未熟で白々しい嘘をついているか、彼らの投資家(LP)の利益に役立とうとしていないか、のいずれかだ)。大規模な景気後退のたびに膨らんだバリュエーションが消え、それでも新しい小切手を書き続けている少数の VC だけが買い手市場であることに気付く(彼らは「ハゲタカキャピタリスト」という言葉で呼ばれる)。

投資家の中には、バリュエーションが上がり投資資金が豊富な活況のある市場しか経験したことがない人もいる。しかし白髪の投資家は、2000年と2008年の景気後退後に訪れた核の冬を思い出すことができ、アーリーステージのスタートアップを経営する CEO 達に、不況と景気回復の歴史循環について教訓を伝えることができる。1987年の不況の時にはまだ生まれていなかった人も、2000年の不況の時には10歳、この前の2008年の不況の時には18歳だ。そして、現在の状況とは異なることに留意してほしい。今起きていることは株式市場が弱気なわけではない。我々の経済の大部分は意図的なシャットダウンにより、数十万人もの命を救うために彼らの職を引き換えにしているため、それが弱気相場と不況っぽい状況を作り出しているのだ。

この前の2008年の大不況のデータでは、シードラウンドが早期に回復しているが、その後のステージの資金調達が空白となり、回復に何年もの時間を要した。(2008年不況前後の四半期毎 VC 投資を示す、以下の図を参照されたい。Tomasz Tunguz 氏の投稿から抜粋。)

(クリックして拡大)

今回、ベンチャービジネスの健全性は、ヘッジファンド、投資銀行、プライベートエクイティ、ソブリンウェルスファンド(政府系ファンド)、大規模なセカンダリマーケットグループ(既発行有価証券の取引市場)が何をするかに依存する可能性がある。彼らが後退すると、レイターステージのスタートアップ(シリーズ B や C ラウンドなど)にとって流動性危機(信用不安による取引の収縮)が起こるだろう。短期的にはすべてのスタートアップにとって、取引条件とバリュエーションが悪化し、出資を検討する投資家が減ることになる。

スタートアップ の CEO であるあなたは、バーンレートを根本的に削減せず、新しいビジネスモデルを思い付かないと、取締役らがあなたを責め立てるかどうか、あるいは、いろいろ考えずに現状維持すべきだと責め立てるかどうか、を知る必要がある。

後者の場合、取締役たちが間違いなら、彼らが会社の経営にどれほど責任を果たしているかを知りたい。VC にとっては、「次の調達ラウンドが必要になった時には、あなたの味方ですよ」と言うのは実に簡単だ。投資家達が「全速前進」の号令とあなたの銀行口座に入金する行動を一致させない限り、今は回復不可能なバーンレートに踏み込む時ではない。

長く寒い冬に備えよう。

しかし、冬が永遠に続くことはないということを忘れてはいけない。冬の時代においても、スマートな起業家と VC は、スタートアップの次の世代のために種を撒き続けるだろう。

学んだことのまとめ

  • 今起きていることは経済の意図的なシャットダウンである。数十万人もの命を救うために彼らの職を引き換えにしている。
  • 不況を引き起こす可能性が高い。
  • 新型コロナウイルスは、少なくとも1年間、高い可能性で3年間は、我々の買い物、旅、仕事の進め方を変化させるだろう。
  • 30日前と同じビジネスモデルを今日も使えるとは考えられない。
  • 3ヶ月、1年、3年にわたり景気後退が続く場合の計画を救命艇に入れよう。
  • 投資家は投資家の関心に沿って行動すると認識すべき。もはや、起業家であるあなたの関心と同じではない。
  • 今すぐ行動を。
  • でも思いやりを持って行動を。
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日本にもソーシャルコマースの時代がやってくる、その2つの理由

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「個」の影響力は年々拡大しています。 YouTuber、 Instagramer、Tiktokerと呼ばれる人々が現れ、芸能人もテレビを超えて各SNSチャンネルに「個」として進出してきています。そして「個」の影響力の拡大に伴い、人々の消費行動は大きく変化しつつあります。 以下はFacebookが発表したデータです。商品を見つけ、商品を調べ、商品を買うと決める際に、Instagramは多くのユーザー…

「個」の影響力は年々拡大しています。

YouTuber、 Instagramer、Tiktokerと呼ばれる人々が現れ、芸能人もテレビを超えて各SNSチャンネルに「個」として進出してきています。そして「個」の影響力の拡大に伴い、人々の消費行動は大きく変化しつつあります。

以下はFacebookが発表したデータです。商品を見つけ、商品を調べ、商品を買うと決める際に、Instagramは多くのユーザーに役立っていることが伺えます。

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引用:How Instagram Boosts Brands and Drives Sales・2019/2

SNSに購入機能がついたソーシャルコマースの分野でみると、中国では “Instagram + Amazon” と例えられるサービス「RED(小紅書)」が急速に成長していますし、ヨーロッパでも同様に、アパレルに特化した欧州版REDのようなサービス「21Buttons」がユーザー数を勢いよく伸ばしていると聞いています。

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引用:中国ソーシャルコマースの衝撃ーー「インスタ+Amazon」“RED”(小紅書)攻略法

このように各国で拡大するソーシャルコマースは日本はもちろん、世界中に広がり浸透していくと考えています。そこで本稿では、ソーシャルコマース「PARTE」を開発・運営する私たちREGALIが、インフルエンサーやアパレルブランドの方々と接する中で得た気づきやデータを元に、これからのソーシャルコマースについてお話できればと思います。

日本におけるソーシャルコマースの拡大

なぜソーシャルコマースはこれから加速度的に拡大すると考えているのか?今回は「PARTE」と関連性が高いアパレル業界に絞って紐解いていきます。まず、拡大要因は、大きく2つあります。

1点目が「消費者と生産者のECへの意識変化」です。

下記は、大手アパレル会社のEC売上と全体売上におけるEC比率をまとめたグラフです。アパレル各社の方々とお話させていただくと、現在、SNSへの投稿を始めとするオンラインマーケティングからのオンライン販売の強化に力を入れて取り組まれていることがわかります。

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※各社決算資料、リリースより・資料作成:REGALI

そもそも数年前は現在よりネットで服を買うことに抵抗があるユーザーが多数で、また、アパレル各社も「オンライン販売拡大 = モールへの出店」という認識が一般的でした。その状況下において、ソーシャルコマースを展開することは市場環境的に難しい一面があったことが容易に推測されます。

一方、現在においてはネットで服を買うユーザーは増加し、アパレル各社はオンライン販売へ注力しており、ソーシャルコマースの土壌が醸成されたように感じます。

2点目が「個」のマネタイズ方法の多様化です。

YouTube上で投稿者が広告収益を得られるようになる「パートナープログラム」が開始されたのが2012年4月のことです。結果、YouTubeに動画投稿を行うユーザーは増え、その1年後にはYouTuber事務所であるUUUMが誕生します。

実は前述したRED、21Buttonsも投稿者が金銭的なインセンティブを受け取る仕組みが用意されています。

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PARTEで一部ユーザーに公開している報酬還元の確認画面 via コーデで貢献したユーザーには還元も、ソーシャルコマース「PARTE」にGBやジェネシアVなどが1.7億円出資

これらの例からも分かる通り、金銭的なインセンティブは投稿ユーザーをよりアクティブにし、プラットフォームの盛り上がりを加速させることが伺えます。さらに現在はYouTubeの広告収入、ライブアプリなどの投げ銭機能など、「個」に直接的に金銭的インセンティブが入る仕組みが一般に受け入れられてきていると感じます。

SNSのあり方が「コミュニケーション主体」であった数年前からすれば、これまでの日本のソーシャルコマースサービスに金銭的なインセンティブが導入されなかったことは至極当然です。

逆説的に言えば「個」が対価を得て情報を発信し、消費活動が生まれることが証明された現在、インセンティブの存在はこれからのソーシャルには必要不可欠なものと考えられるのです。

さらなる拡大に必要な鍵

もちろん課題もあります。

特に「個」が自由に情報を発信し、そこから消費活動が生まれる場所において、大切になってくることが「正しさ」だと考えています。発信された情報に虚偽、偽りがない。ステマではない。安心して情報を取得し、買い物ができるプラットフォームでなければユーザーに選ばれません。

また、金銭的インセンティブを導入する場合、適切な設計、不正検知も「正しさ」を保つ上で非常に重要です。故に、システム的な監視とその機能を含めた適切なコミュニティ設計が必要不可欠です。ちなみにPARTEでも誰が、誰の、どのコーデから、どのアイテムを購入したかのデータを蓄積しています。このデータをスコア化し、投稿の健全性、インセンティブの正当性を担保しています。

ということで、ざっとですが現在の日本(特にアパレル関連)におけるソーシャルコマースの現状をデータと私たちの体験から整理してみました。世界でソーシャルコマースの波が押し寄せる中、私たちも日本発の世界中で愛されるソーシャルコマースプラットフォームを作っていきたいと思います。

<参考記事>

本稿はショッピングSNS「PARTE」を開発・運営するREGALI代表取締役、 稲田光一郎氏によるもの。Twitterアカウントは@kou1na。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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パッションエコノミーから考える「旅」の価値とスタートアップチャンスについて

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  旅の経験をもっと可視化することはできないでしょうか。 というのも、旅から得られる経験はオリジナリティー性が強く、個人に依存するため、旅人一人ひとりが価値を創出できる可能性を秘めていると感じているからです。また「旅のストーリーが個人を強くする時代」でも触れたように、パッションエコノミーの機運が高まるにつれその傾向はさらに強まると考えてます。 旅に出ることのハードルが低くなっていることも…

 

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Photo by Belle Co on Pexels.com

旅の経験をもっと可視化することはできないでしょうか。

というのも、旅から得られる経験はオリジナリティー性が強く、個人に依存するため、旅人一人ひとりが価値を創出できる可能性を秘めていると感じているからです。また「旅のストーリーが個人を強くする時代」でも触れたように、パッションエコノミーの機運が高まるにつれその傾向はさらに強まると考えてます。

旅に出ることのハードルが低くなっていることも要因のひとつです。(時期的には難しいですが)Airbnb・LCCの浸透で、金銭的にも思い立った時にどこか異国の地へ旅立つことが容易となりました。また世界300都市で利用可能なスーツケースの民泊「BagBnb」や、旅先にレンタル形式で必要な服を配達してくれる「TRVL Porter」が台頭してきています。これらにより、旅に出るための物理的な事前準備さえも必要なくなる未来が見えてきています。

<参考記事>

旅のアウトプットといえばYouTubeでVlogを残したり、記事ブログを書いたりすることが一般的です。もちろんそういった活動も、旅を通した価値の可視化であることに間違いありません。ただ、こういった手法では旅をした人の価値を社会に還元させる、とまではいかなさそうです。何らかの新たなアウトプット手法はないものでしょうか。

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Image Credit:PokemonGo

答えの一つとして、一世を風靡(び)した位置情報スタートアップ「Foursquare」の存在が挙げられます。同社は位置情報 × SNSの事業領域にゲーム性を付け加えることで、リアルRPGのような感覚を世界へ普及させました。ユーザーの位置情報を移動した後も所有し続ける環境をSNS上で整えたのです。今ではインスタのストーリーが彼らと同じ価値提供者になっていたり、NianticのPokemonGoもその延長線上と言えるでしょう

また、P2P型の旅人マーケットプレイスを提供する「TRVL」では「Together we’ve been everywhere」をビジョンに、旅のエキスパートが集まる市場となることを目指しています。同マーケットプレイスでは、旅のエキスパート(旅先に関しての知識が豊富)が個人のエージェントとなれ、旅へのアドバイス・予約までを担当しコミッションフィーを稼げる仕組みとなっています。今まで旅人を自称しTripAdvisorなどでコメントをたくさん書いていた層と考えると分かりやすいでしょう。

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もうひとつの答えとして旅を通じた人材を育成しようという動きもあります。日本のトラベルスタートアップ「TABIPPO」はちょっと変わったキャリア育成プログラムをスタートさせました。TABIPPOが昨年より実施する人材育成プログラム「POOLO」の定義は、「旅をした経験を社会に還元する、次世代を創るアンバサダーコミュニティー」です。まさに「旅 × パッションエコノミー」を体現したものと言えます。

具体的には、旅の経験が豊富な参加者が集まり、議論する場を通してグローバルで活躍すために本当に必要なマインドセット・スキルを共有していくプログラムとなっています。世界中を旅した個人だからこそ得られる価値観や視点ではないでしょうか。

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POOLOが考える旅を通じたグローバル人材の定義

さて、旅人がその場その時で感じたある場所での経験は、表現の仕方によっては身分証明書と同じような「信頼」になるのではと感じています。

いくつかのトラベル・スタートアップたちは旅人である価値を表現し始めています。パッション・エコノミーがこれからさらに注目されることになれば、その市場には魅力的なチャンスが生まれることになるのは確実でしょう。

しかしこの市場に特化したスタートアップは多くありません。先日a16zから発表のあった「The a16z Marketplace 100」におけるトラベル領域もそのほとんどが、OTAと民泊でした

とはいえ、私たちがAirbnbを既に珍しがらなくなったように、市場は既に新しい価値提供ができるサービスを求めています。この点において、パッションエコノミー文脈とつながりの強い、「旅の価値表現」は注目され始めるのではないでしょうか。

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「GAFAにどう立ち向かうのか?」 7つの視点で考えるテンプ回答

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載 アイデアが独り立ちし、製品化されると必ずと言っていいほど突き当たるのが「GAFAが攻めてきたらどう戦うのか?」という質問でしょう。実績が積み重なってくればなおさらです。ただ、実際にGAFAが同じような製品を展開したとしても、すぐさまユーザーが離れるのかどうか、市場シェアをすぐに奪われてしまうの…

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載

アイデアが独り立ちし、製品化されると必ずと言っていいほど突き当たるのが「GAFAが攻めてきたらどう戦うのか?」という質問でしょう。実績が積み重なってくればなおさらです。ただ、実際にGAFAが同じような製品を展開したとしても、すぐさまユーザーが離れるのかどうか、市場シェアをすぐに奪われてしまうのかどうかはわかりません。

それでも、なぜこういった質問がしつこく聞かれるのか。答えは「起業家がどこまで考えきれているのかを探るため」ではないでしょうか。

では「GAFAにどう立ち向かうのか?」の質問への回答アプローチはどんなものがあるのでしょうか。ここで著名VC、GreylockのパートナーであるBrendan Baker氏のブログ投稿を元に、いくつかの視点を共有してみたいと思います。

なお、私の場合はAR市場展開を想定しているため同市場寄りの説明になっている箇所があります。そのため、特定パートは読者みなさんの市場に置き換えて説明を考えてみてください。

7つの視点

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Photo by Daniel Reche on Pexels.com

1. 得意収益軸:GAFAはなんでもできるわけではありません。必ず各々が得意とする稼ぎ方の「型」があります。年次報告書や四半期毎報告書を眺めつつ、まずは彼らがどこを得意に稼いでいるのか見定めてみます。

2. ハードウェア展開:ハードウェア開発および販売に強いのか、サービスで稼いでいるのか、もしくは両方なのかは重要な点です。IoTやロボット、AR企業にとってはなおさらです。たとえば忘れ物発見タグ「Tile」の模倣品をAppleが近々リリースされるともっぱら噂です。模倣品の生産だけでなく、iPhoneユーザーネットワークとの連携をされたらひとたまりもありません。このようにハード + ネットワーク効果のような連携サービスの形を取られるのがスタートアップにとっては最大の脅威となります(Tileの真の敵はiPhoneネットワークのフル活用)。

3. 失敗したサービス一覧:過去に撤退や不発で終わったサービスを確認してみましょう。どのような分野に強く、弱いのかが一目瞭然となります。

4. 自社領域の特性と時勢:噂レベルの話でも構いません、GAFAの開発リーク記事などを読みながら市場の動きを知ります。AR市場関連ではこうした噂話しか判断基準がないのですが、たとえばAppleの人材採用ページを見るとAR関連でどのような製品を作ろうとしているのかは薄っすらと見えてくるところもあります。

5. ハイパーフォーカス:たとえGAFAが何かしらの製品を展開してきたとしても、多くの製品ラインナップの内の1つです。圧倒的な選択と集中はスタートアップの強みであり、説明ロジックの軸となりえます。

6. プロテクション:大手企業になるほど既存製品の市場シェアを守ろうと走ります。既存製品への影響を無視してまで新規サービス展開へ積極的にリソースを割くことはない、という考え方です。

7. 企業文化:未来を信じるのか信じないのか。熱狂するのか、懐疑的なのか。特定分野の“熱狂者”しかいない環境が構築されるため、“熱質”が競合優位性になり得ます。ちなみにAR企業は知人らのスタートアップを見ていると、こうした「共感力」が圧倒的な差別化になると感じます。

Googleを紐解く

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Alphabetが発表した2019年の年次報告書より

ではこれらの視点をベースに、私が挑戦しているAR市場を軸に、大手各社を分析してみたいと思います。まずはGoogleから(5〜7は一般論なので割愛)。

1. 得意収益軸:年次報告書の「Revenue」パートを見ると、Google広告が収益の8割強を占めていることがわかります。YouTube広告もそこそこの収益シェアを占めています。ただ、広告が主軸であることから、YouTube Premiereのようなサブスク事業が大きく立ち上がっている見通しが未だありません。

改めてGoogleは広告企業であり、サブスク企業ではないと言えるでしょう。スタートアップが突くとしたら、Googleの事業領域でサブスク展開で急成長を狙える製品だと説明できるかもしれません。

2. ハードウェア展開と、3. 失敗したサービス一覧:次にGoogleが失敗してきた製品を適当な記事で確認してみましょう。(こちらの記事より抜粋)

Google Wave、Orkut、Google+、Google Hangouts on Air、Google Answers、Google Catalog Search、Dodgeball、Google Notebook、Google Page Creator、Google Video、Google Glass、Daydream etc…

4. 自社領域の特性と時勢:現在、Googleのハードウェア製品と言ったらPixelシリーズが有名でしょう。かつてはGoogle GlassやDaydreamのようなグラス端末やヘッドセットを開発してXR市場へ参入をしてきましたが上手く立ち上がっていません。そのため、同社は「モバイルAR戦略」へと大きく舵を切っています。

「広告企業」「Pixel」を組み合わせ、当分はモバイル市場を活用したAR広告戦略を打ってきそうな予感がしそうです。逆に言えば、モバイルAR広告以外の領域ではスタートアップも戦える領域があると言えるかもしれません。

Facebookを紐解く

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Facebookが発表した2019年第4四半期結果資料より

続いてはFacebook。

1. 得意収益軸:FacebookはSNSを活用した広告企業であることが一目瞭然です。ほぼ100%広告。Googleが苦手とするSNS領域に特化した「広告企業」とした不動の地位を得ています。ちなみにFacebookもGoogleのような巨大IT企業の脅威にさらされながらも、ハイパーフォーカスを武器に成長してきました。

2. ハードウェア展開:さて、ハードウェアではVR領域(Oculusシリーズ)で秀でています。2017年の開発者会議「F8」でARプラットフォームを構築していると発表したことや、Mark Zuckerberg氏のブログ投稿で2020年代に画期的なARグラスをリリースすると宣言したことから、Oculusシリーズと同様の展開を見せそうです。ハードウェア(ARグラス)と広告を組み合わせた戦略を仕掛けてくるかもしれません。

3. 失敗したサービス一覧:次にFacebookの失敗プロダクトをこちらの記事を参考に見ていきましょう。

Notify、Facebook Home、Facebook Deals、Facebook Gifts、Facebook Offers、Facebook Credits、Autofill with Facebook、Facebook Inbox、Facebook FBML etc…

総じて見ると、トレンドサービスを開発しようとコピーキャットを作ろとして数々の失敗をしています。結局Facebookの派生サービスとして埋もれてしまう印象です。ただ、Snapchatのストーリーズを全力で模倣するずる賢さも持ち、この機能だけ大成功を見せました。

一方、次のメディアやメッセージ系サービスに張るのは非常に上手いです。WhatsAppやInstagramを買収できている目利き力は非常に高いと言えます。Facebookとは別の独立アプリとして資本力を注がれると急成長を見せます。

4. 自社領域の特性と時勢:まとめるとSNS・メッセージ・画像/動画系の2Cサービスでは勝ち目がありませんが、フィンテックや小売系サービスのような派生サービスの立ち上がりは続けて失敗しており、スタートアップの参入余地となります。結局サービス成功までやり抜くことはなく、自社サービスのプロテクションに走るのは7つの視点で話した内容に合致します。

最大の弱点は「規制」。ユーザーデータの流出から市場反発が激しいです。若者ユーザー離れも深刻化しています。この2点もスタートアップの事業領域として適切だと考えます。たとえ同じSNS領域だとは言え、過去の失敗の事例をなどを上手く引っ張ってくればステークホルダーを説得できるはずです(編集部注:要約のため、AmazonとAppleの考察については原文をご一読ください)。

ただ正直、投資家らから必要以上にGAFAとの戦い方を詰められても、最終的に「未来のことはわからない、、、」と言わざる得ない場面に突き当たるでしょう。もし徹底的に叩かれてしまった場合は、自分の考えが浅はかだったと捉えて反省を持ち帰るか、やっかみだけ言ってくる人だと感じてばっさり切るのが一番だと感じます。

最後に、今回は紹介しませんでしたが、より戦略用語を用いてロジックを組み立てるには下記の記事を参考に、さらなる強固なディフェンス構築するのをおすすめします。

<参考記事>

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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なぜSiriは使われないのか?

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最近、音声プロダクト開発に向けていろんな人に会わせていただきながら、ざっくりと音声アシスタント(Siri・Google Assisntant・Alexa)の利用状況を聞く機会が増えました。(※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載) 膨大なボリュームを調べていないため反論もあると思いますが、結論から言うとSiri(もしくはGoogle…

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Image Credit: Apple

最近、音声プロダクト開発に向けていろんな人に会わせていただきながら、ざっくりと音声アシスタント(Siri・Google Assisntant・Alexa)の利用状況を聞く機会が増えました。(※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載)

膨大なボリュームを調べていないため反論もあると思いますが、結論から言うとSiri(もしくはGoogle Assistant)を日常的に使う人はほとんど見当たりません、今のところ。

ここで言う「日常」とは、日々持ち歩くスマホやスマートイヤホン経由で音声アシスタントを少なくとも毎日、2〜3度以上は起動・利用するシチュエーションを指します。

肌感としては自宅でEchoシリーズを使っている方が5人に一人の割合、スマホの音声アシスタントを日常的に利用する人は数十人に一人くらい。ちなみにAlexaはスマホには進出していないため、自宅ユースケースが大半です。Google Assistantもスマートホーム文脈が比較的強いため、持ち歩き外出シーンではあまり使われていない印象でした。AppleのHome Podはほとんど普及していないため、Siriは完全にスマホ利用を想定しています。

日本と音声アシスタントの相性

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なぜ日常的にSiriやGoogle Assistantを使うユーザーにヒットできないのか。私が人を選んで会っていないという理由を除き(選ぶと市場の俯瞰的な定性データが集まらない)、2つほど仮説を立てました。

1つはお国柄。

まず音声アシスタントの利用シーンとして考えられるのは移動時間。しかし、日本(特に公共交通機関が発達した首都圏)では欧米のように、音声やオーディオサービスの価値が発揮されるプライベートが担保された自動車空間にいることがあまりありません。電車内で声を出すこともエチケット違反であると感じるため、使いところはないでしょう(この点、唯一タクシーや自転車移動を頻繁にされる方には刺さるかもしれませんが)。

加えて、タイピング文化が日本に追い風なのも特徴です。

フリック入力文化もあり、高速でGoogle検索できます。メッセージアプリもテキスト入力が比較的多いと思います(要検証項目ですが)。一方、中国ではタイピングフォーマットと言語がマッチしない理由から、音声メモを送り合う文化が形成されていると聞きました。欧米では先述したように、自動車空間に縛り付けられる拘束時間があるため、両手を使うテキスト入力が音声に代替されることに合点がいきます。

まとめると、「日本ではそもそも音声を発する場がない」「タイピング文化がフィットし過ぎている」が1つ目の仮説です。

逆に言えば次の3つのターゲットは1つ目の仮説を反証してくれると考えています。ただ、非常にニッチなのは否めないかもしれません。

  • 音声を発することにためらいをあまり感じない、デジタルネイティブな10代を中心とした「若者世代」
  • 比較的勝手に声を発しても許されるタクシー移動空間や、忙しなく仕事をして多量のタスクを処理する必要性に駆られている「ビジネスプロフェッショナル層」
  • プライベート空間が保たれ、常にパソコンを見つめながら作業をしてスマホを随時チェックする作業に多少の煩わしさを感じる「リモートワーカー層」

ボイスファースト時代の「コミュニケーション・キャズム」

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Photo by Valdemaras D. on Pexels.com

では、どうすれば音声アシスタントは使われるようになるのでしょうか。

そこで考えたいのが「コミュニケーション・キャズム」です。これは音声アシスタントの利用を多くの人が躊躇してしまう根本的なUX上の問題を指します。

従来のモバイルでは「アプリを開く→特定サービスを受ける」という導線でした。しかし、⾳声コマンドでは「要望を伝える→サービスを受ける」の導線へと変わります。つまり、サービス名やブランドに価値がなくなる世界観があるのです。これまでスマホ画面をタップしてサービスを指定していた習慣を変える必要があるので、ここでキャズムの概念が適応されるのです。

市場には、イノベーター(革新者)・アーリーアダプター(初期採用者)・アーリーマジョリティ(前期追随者)・レイトマジョリティ(後期追随者)・ラガード(遅滞者)の5タイプのユーザーがおり、順にプロダクトを利用するとされています。アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にある“崖”を超えれば、製品利用が爆発的に増える概念です。

スマホの音声アシスタント利用に関しては、イノベーター層は一定数存在すると踏んでいます。なんとかしてSiriやGoogle Homeの活用方法をハックして、自宅でEchoシリーズを使うように工夫する人がいるはず。もしくは音声メモをMessengerやSlack、LINEに頻繁に使ったり、私のように記事執筆の書き起こしに使う人がいるでしょう。

彼らはボイスファースト時代のサービス導線を自ら作る、学習コストの高いサービスを独自に工夫したりして自分なりの利用方法を開拓するイノベーターおよびアーリーアダプタ層「ProConsumer」です。

鶏と卵問題

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ProConsumerたちは音声の良さを最大限享受し、恩恵を受けています。しかし、私たちが使うほとんどのサービスがモバイルアプリ体験から⾳声体験へシフトができていないことから、キャズムを超えられていません、爆発的に音声の良さが伝わっていません。

ユーザーにとって⼊⼒やサービスが呼び出しが楽にも関わらず、なぜ⾏われていないのか?

もともと音声は人間が本来持つコミュニケーションであり、ストレスなく情報を入力・取得できるものであるはず。にも関わらず、なぜ体験シフトへ動かないのか?

答えは2つ挙げられます。1つは「鶏と卵の問題」。サービス開発者は市場からの強いニーズがあれば音声体験への最適化へ必然的に動きますが、未だに少数しか音声を使いこなせていません。この堂々巡りが市場を硬直させていると感じます。

ただ、一石を投じたのがAirPodsです。耳元にSiriを持ってきた高性能イヤホン「ヒアラブル」端末の急先鋒として市民権を得ています。AirPodsは硬直状態の市場を少しずつ動かすはずです。

シークレットクエスチョン

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ここ数年で発生したハードウェアの進出・利用浸透でもなお、シフトが発生しないのはなぜか。それが2つ目の答え「シークレットクエスション」、つまり今は誰もが当たり前に受け入れている問題のことです。

PCからモバイルへと体験がシフトしただけで、インスタグラムやUberなど、潜在的な課題を解決する様々な巨大企業が誕生しました。シークレットクエスチョンにはそれほどのインパクトがあるのです。

何かしら大きな市場がキャズムの先にあるにも関わらず、私たちは未だに制限された音声体験を当たり前に受け止めています。長年使い続けた、生産性の低いタイピングでカバーしようと自然と考えてしまっています。これが私が考え、気付いたシークレットクエスションです。

将来的にFacebookやAppleが開発に注力するARグラス端末が増えれば、音声アシスタントを通じたコミュニケーション手法は主要UIとして採用される可能性が高いです。まさにSF映画のように、音声コマンドだけであらゆるサービスを利用できる環境が2020年代に整うかもしれません。

その下地をモバイルファースト時代に作っておくことで、戦略的に次世代ハードウェアが活躍する「Spatial Computing時代/ミラーワールドが実現された世界」へと打って出ていけると考えています。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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