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バーチャルガイド「マップ・インフルエンサー」は登場するのか

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載 ピックアップ:Know who’s in the know: Get community updates in Maps ニュースサマリー:昨年Googleは、Google Maps上でローカルガイドをフォローできる機能をパイロット版として実装した。ローカルガイドとは熱意あるMapsユーザーたちのこ…

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Photo by Leah Kelley on Pexels.com

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

ピックアップ:Know who’s in the know: Get community updates in Maps

ニュースサマリー:昨年Googleは、Google Maps上でローカルガイドをフォローできる機能をパイロット版として実装した。ローカルガイドとは熱意あるMapsユーザーたちのことで、Google Mapsでクチコミの投稿、写真共有、質問の回答、場所の追加や編集を行ったり、情報を確認したりするユーザーの世界的なコミュニティを指す。

そして7月30日からは写真やレビュー、リストを一般公開している全ユーザーをフォローできるようになった。ユーザーをフォローしておくことで、各ユーザーのおすすめ情報やアドバイス、更新情報をGoogle Mapsの「更新情報」タブで閲覧できるようになる。

例えばテイクアウトメニューの写真や、街中の広い公園のリスト、地元のお店やサービスの写真などを共有している人をフォローすれば、その人たちが更新する最新のおすすめ情報を手にすることができる、というわけだ。

ようやく結実?Googleのソーシャル・サービス

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Photo by Patryk Kamenczak on Pexels.com

話題のポイント:Google MapのSNS化が進んでいます。

ただ、Googleはソーシャル要素には弱い印象です。事実、2019年4月には同社のSNS「Google+」を閉鎖しています。傘下企業のYouTubeは非常に強力なネットワークを持っていますが、Googleが自ら立ち上げたものではありません。

GAFAの中でもそれぞれに特徴があります。Googleは広告、Appleはハードウェア、Facebookはソーシャル、Amazonはコマースと言った具合の役割分担が暗黙的に存在します。この点、Googleユーザーは検索クエリを投げることで能動的に情報を取りにきているため、誰かをフォローして1対1の形で情報をやり取りするわけではありません。

しかし、Google Mapsには違った予感がしています。Maps上に存在するユーザー情報には、特別な価値があると考えているためです。

誰もが一度は友人がオススメする場所に行ったり、雑誌やTV番組で紹介されたお店を訪れたりしたことがあるはずです。この体験を実現する場所として実はGoogle Mapsは最適です。さらに言えば、Googleがこれまで得意としてこなかった「双方向に」地図情報を交換する場として、消費者向けサービスの中では随一の部類に入るでしょう。

先述したGoogle+では、FacebookやTwitterではなく、Google+にわざわざつぶやきや近況を投稿する理由があまりありませんでした。言い換えれば、利用ユーザーのサービス利用モチベーションが薄かったのです。ところが、Mapsでは場所検索に紐づいた、他のサービスにはないロケーション機能が充実しています。他社SNSではもはや追いつくことは難しい状況です。

“マップ・インフルエンサー”の登場

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Photo by Leah Kelley on Pexels.com

仮に各メディアが娯楽施設やレストラン、アクティビティスポットをキュレートする形で情報提供するようになれば、新たなプラットフォーム価値が誕生するはずです。そこで活躍するのが積極的に情報発信する「マップ・インフルエンサー(Maps Influencer)」と私が呼ぶ存在です(Googleはローカルガイドと呼んでいますが)。

日本で言えば「POPEYE」のような情報雑誌や、「王様のブランチ」と言ったTV番組がよくお店情報を発信していますが、こうしたメディアのインターネットへの置き換えです。仮にお店の利用アフィリエイト収入を得られる動線があれば、Google十八番の広告ビジネスとしての広がりも見えてきます。他にも、東京の特定地域に強いマイクロインインフルエンサーや、食べログなどのグルメサイトで活躍するレビュアーの発信場所にもなりえます。

ニッチな情報のやり取りも得意です。たとえば母親向けGoogle Mapsを展開する「Winnie」の活躍が挙げられるでしょう。

遠出をしたり都心へ出かけてショッピングを楽しみたいと思った時、子供連れでも問題のない場所を探すのに苦労することはないでしょうか?たとえばお昼時になってレストランを探すとなった際、Google Mapを開いても「子連れOK」のお店情報は探しづらいです。

そこで登場したWinnieでは、子供連れに優しい場所に絞り込んだ地図情報を提供しています。公園などのアクティブスポットからレストランのような食事処など、複数のカテゴリーと目的別に手軽に行き先を検索できます。

同社はGoogle Mapsでは手の届かなかった地図検索領域に特化した、痒い所に手が届くサービスを展開していました。もしMapsがSNS化し、母親インフルエンサーのようなユーザーが登場すれば、徐々にWinnieが囲っている情報もGoogle側へ流れていく可能性があります。あらゆる領域の地図情報がGoogle Mapsでやり取りされる世界が、今回紹介した機能を皮切りに実現されていくかもしれません。

最後に少し別領域の話をすると、最近ではGoogle CalendarにSNS要素を足した「IRL」が人気で、Social Calendar・Calendar Influencerという体験を作り上げています。IRLが市場に提案するのは、既存のGoogle製品にソーシャル要素を付け足す方向性はスタートアップの参入領域として十分に可能性がある点でした。

しかしここにきてGoogle自身がその動きに乗り始めました。今回のGoogle Mapsの機能実装が上手く働けば、もしかしたらCalendarにも同様の機能を付け足し、各サービスをシームレスに繋げるSNS戦略に打って出てくるかもしれません。

Winnie然り、IRLもサービス基盤を崩されかねない状態になるかもしれません。単なる情報プラットフォームの価値だけでは勝ち抜けないため、より強固なネットワーク効果を生み出す必要があるでしょう。これまで広告企業として成長を遂げてきたGoogleが、過去の失敗を乗り越えてどこまでSNS企業としての立場を確立できるのかに注目が集まります。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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暗号資産バブル再来か、DeFi(分散型金融)エコシステムで今起こっていること

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ピックアップ:What’s ‘Yield Farming’? (And How Do You Grow Crypto?) 日々暗号資産やブロックチェーンの情報を追っている人なら一度は聞いたことがあるかもしれませんが、DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)という言葉が、今大きな注目を集めています。 DeFi(ディーファイ)とは、イーサリアムブロックチェーン上の金融エコシス…

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Image Credit : Pixabay

ピックアップWhat’s ‘Yield Farming’? (And How Do You Grow Crypto?)

日々暗号資産やブロックチェーンの情報を追っている人なら一度は聞いたことがあるかもしれませんが、DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)という言葉が、今大きな注目を集めています。

DeFi(ディーファイ)とは、イーサリアムブロックチェーン上の金融エコシステムを総称する言葉です。現在、DeFiエコシステム内のサービスに投入されている資金額の合計が、37億ドル(約3,900億円)を超えており、凄まじいスピードで成長しています。

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Image Credit : DeFi Pulse

7月後半からBTCやETH価格が急上昇しているのも、このDeFiの成長による影響です。2年前まではユーザーもサービスの数もわずかでしたが、今やブロックチェーンエコシステムに最も注目される領域の一つになっています。

DeFiとは何か

DeFiといえど提供されるサービスが既存金融と360度異なるという訳ではありません。DeFiエコシステム内には、既存の金融システムではお馴染みの取引所やレンディング、デリバティブ、投資などの金融サービス群があります。

したがって、既存の金融システムをパブリックブロックチェーン上で複製したもの=DeFiという認識でも間違いではありません。しかし異なるのは、根本的な思想や設計の部分です。以下はDeFiの特徴・メリットです。

透明性が高い
ブロックチェーン上の取引は誰でも閲覧・検証可能

カウンターパーティーリスクが存在しない
金融機関に資産を預ける必要がなく、ブロックチェーン上にて自分自身で資産を管理できる

プログラマブル(構成可能性)
開発者は、既存のDeFiサービスを組み合わせて自由に新しいDeFiサービスを開発できる

誰でも利用可能
インターネットに繋がっていて、暗号資産を持っていれば世界中誰でも利用できる

検閲耐性
第三者が恣意的な理由で取引を無効化・改竄できない

DeFiの”De”がDecentralizedの頭文字2つであるように、これらの要素を抽象化して「分散性/非中央集権性がある」と表すこともできます。ただし現状全てのサービスが完璧な非中央集権モデルを実現してはいません。その点はしばしば批判の的になっており、解決すべき課題の一つです。

<過去のDeFi関連記事>

今、DeFiで何が起きているのか

現在のバブルとも呼べるブームに火をつけたのは「イールドファーミング(Yield Farming)」と呼ばれる概念です。イールドとは利回りのことです。この言葉は、資産をサービスを介して誰かに貸し出したり、流動性を提供することで、利回り/手数料を得る行為を指します。

DeFiには、資産を貸し借りができるレンディングサービスが複数存在します。それらのサービスにETHを預けておくと、反対側でその資産を借りた人から支払われる金利手数料として、貸し手は利回りを得ることができます。

もう一つ、DeFiには分散型の取引所サービスが存在します。この取引所サービスにおいても、ユーザーは自分自身の暗号資産をサービスに預け流動性を提供することで、反対側でその資産を交換した人が支払った取引手数料を報酬として受け取ることができます。

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Image Credit : DeFi Pulse

冒頭述べたように、エコシステム全体でこうして預けられた資産の合計額が、現在3,900億円にまで急上昇しているのです。預けられる資産額が大きいということは、つまり預ける金銭的報酬が高いことを意味します。言い換えれば、それほど借入/取引の需要も高いということです。

上述のモデルのサービスが稼働し始めたのは最近のことではなく、1年ほど前から十分認知されていました。しかしそれに火をつけたのが、「資産を預ける」行為に二次的なインセンティブを提供する新しいトークン発行スキームが現れたからです。

これは端的に言えば、サービス側が資産を預けてくれた人に、株式に似た新規発行トークンを配布するというモデルです。資産を貸せばかすほど、流動性を提供すればするほど、「イールド(利回りor手数料収入)」に加えて、この先価値が価値が高まる(と期待されている)新規トークンが手に入るため、ここにユーザーが殺到しました。

このモデルの代表格であるレンディングサービスCompoundのCOMPトークンは、配布開始から5日後、一時1,000億円の評価額を記録しました。不適切な比較であることは承知ですが、もし株式なら”ユニコーン企業”に肩を並べるバリュエーションです。

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COMPトークン時価総額  Image Credit : CoinGecko

人々がCOMPを求める(COMPの価格が上がる)のは、それが投機対象としての価値を持っているからです。

ユーザーがCOMPの時価総額が上がると予想する理由は、間違いなくCompoundの利用度が増加しているからです。ですがその利用度の増加は何から生み出されているのでしょうか。それはサービスの利用に応じて配布されるCOMPです。

つまり、投機熱が投機熱を生む、限りなくバブルに近い構図だといえます。何を隠そう、これこそがレンディング及び取引所サービスに預けられている資産額が急上昇している理由です。

現時点でCOMPのように発行されるトークンは、株式のような議決権としての性質しか持ちません。そのため、根本的な価値がないはずのものに大量の資金が流れ込んでいるという見方もできてしまいます。当然、熱狂と同時に「DeFiは一過性のバブルに過ぎない」と強く批判されています。

イールドファーミングにトークン配布を組み合わせたサービスは未だ数えるほどしかありませんが、エコシステムの投機熱は十二分に大きいといえます。つられてETHを始めとする暗号資産の価格が上昇しているため、良い意味でも悪い意味でも、ICOを契機に始まった2017年のバブルを彷彿とさせるものがあります。

DeFiは元来、既存の金融機関への信用を必要せず、世界中の誰もが利用できるオープンな金融システムの構築を目指し成長してきたエコシステムです。注目度が上がるに越したことはありませんが、本来の目的やイメージを失ってしまっては意味がありません。

新規発行されるトークンに配当的性質を持たせる仕組みや、その他に別の利用価値を付け加えていくことは、トークン保有者の意思決定(投票)次第では実装可能です。一時的な投機熱の後に、健全で持続的なモデルを生み出していくことが、今後のエコシステムの発展には不可欠です。

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ホテル業界で始まるUberEats化、注目すべき「バーチャル・ルームサービス」モデルとは

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載 実店舗を持たず、「UberEats」「Postmates」「Doordash」に代表されるフード配達アプリ上でメニュー展開をする業態は「ゴーストレストラン」と呼ばれます(バーチャルレストランなどとも時折呼ばれます)。 ウェイトレスを雇用する必要がなく、調理場所さえ確保してしまえば、オンラインで出店が…

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Butler Hospitality ウェブサイト

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

実店舗を持たず、「UberEats」「Postmates」「Doordash」に代表されるフード配達アプリ上でメニュー展開をする業態は「ゴーストレストラン」と呼ばれます(バーチャルレストランなどとも時折呼ばれます)。

ウェイトレスを雇用する必要がなく、調理場所さえ確保してしまえば、オンラインで出店が可能。経営のスリム化が図れます。人との接触が憚られる時勢に最適なソリューションとして世界中で認知・利用が高まりました。Uber創業者のTravis Kalanick氏も、同社退職後の今は「CloudKitchens」を立ちあげ、フード配達市場へ進出しています。すでに同社は50億ドルの企業価値がつけられているとのことです。

そして今、ゴーストレストランの業態をホテルに持ち込んだ事業モデルに注目が集まっています。新たなホテルビジネスを展開するのが「Butler Hospitality」。同社がニューヨークで2015年に創業し、7月10日1,500万ドルの資金調達を発表しています。

従来、ルームサービス経由で料理を注文する場合、サービス料金として数十ドルの非常に高額な料金がかかっていました。人件費が高い一方で注文量が少ないために、料金は高止まりせざるを得ないジレンマが起こってしまうケースです。

ルームサービスを頼むより、近くのレストランへ宿泊客が自ら出向いて料理を調達した方が格安に収まる場合もしばしばですが、見知らぬ土地であったり、ホテル周辺にレストランがないような場合は、渋々ルームサービスを頼まざるを得ない状況になります。

そこで活躍しているのがButler Hospitalityです。同社はバーチャル・ルームサービスを展開しているのですが、これがなんとホテル内のレストランを買収して自社事業として運営するモデルなのです。できたての料理を近隣30分以内で配達できるホテルに届ける、ルームサービス特化のフード配達事業を立ち上げています。

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Butler Hospitality ウェブサイト

ホテルとは完全別運営の、配達特化のレストラン「ゴーストレストラン」として事業を独立させており、配達距離の短いルームサービスを提供。Butler Hospitalityと提携するホテルは、従来より安い、できたての料理を宿泊客に提供できるようになります。自社でスタッフを抱えることもなく、月額利用料をButler Hospitality側に支払う形式になるため、コスト予測も容易にできるようになります。

一方、Butler Hospitality側に求められるのは需要予測です。UberEatsのように、配達需要・距離・時間でデリバリー料金が変動するダイナミック・プライシングとは違い、ルームサービス料金は一定である必要があります。この点を加味した上で、適切な配達拠点・料金設定が必要となります。

近隣ホテルと提携できているのはレストランを買収しているためです。運営を完全に独立させているため、レストランが置かれているホテルにサービスを特定させる必要がありません。売上の悪いホテルレストランを買収し、運営手法含めリブランドしながらネットワーク網を増やす、巧みなビジネスモデルと言えるでしょう。

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Butler Hospitality ウェブサイト

さて、Butler Hospitatlityの真価はパンデミックで発揮されています。先述したように、同社のレストランはホテルオーナーやビルテナントとも独立しています。そのため、率先してニューヨーク市内で日々必死になって働くエッセンスワーカーを支援する動きを見せています。「Businesswire」によると、医療従事者、隔離された高齢者、コロナ患者、パートナーホテルに滞在する軍人などに17万5,000食以上の食事を届けたとのことです。

コロナ禍、空回りのレストランを持つホテル事業者がButler Hospitalityと同じ事業を地域で展開することも十分考えられるでしょう。地域のエッセンシャルワーカー向けにサービス業態を変えることで、社会の共感性を得やくなるかもしれません。

確かに消毒作業のコストはバカにはなりませんが、この非常時に最前線でウィルス感染のリスクを被る人たちの受け皿の一つとなるアイデアとなるかもしれません。地域の医療機関や教育機関、行政から収益化することで、エッセンシャルワーカーを支える生活インフラ事業としてホテル事業を転換できる可能性もあると感じます。

宿泊料からの収益と比べれば微々たるものかもしれませんが、ホテル業界の生存戦略を考える上で、そして雇用を守る上で考えられる一つのソリューションではないでしょうか。

ニッチなデリバリー業態で成長を続けているのがButler Hospitatlityであり、毎年収益が2倍で増加しているレストラン・ネットワーク事業です。稼働が下がっている、ホテル内レストランを新たな事業として生まれ変わらせるモデルは日本でも十分に応用が効くかもしれません。

Butler Hospitatlityが提供するのはルームサービスですが、提供範囲およびレストラン買収・配達拠点を広げて一般ユーザーにも配達は可能でしょう。東京以上に状況が厳しいニューヨークから、新たなビジネスが芽を出してます。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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スタートアップがカルチャーを体現するために費やした「600時間」のこと(2/2)

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本稿はPR TIMES STORYからの転載記事。一部、執筆者の許諾を得て要約・編集をしております 前回からの続き atama plusはMission実現に向けて大切にしたい価値観をValuesとして定めていますが、創業から2年と少し経過した頃、Valuesの短い言葉だけでは表しきれない、かつ皆が大事にしたい価値観があることに気づきました。 たとえば「Speak up. 話そう、とことん。」とい…

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半年を投資して作ったカルチャーコード

本稿はPR TIMES STORYからの転載記事。一部、執筆者の許諾を得て要約・編集をしております

前回からの続き

atama plusはMission実現に向けて大切にしたい価値観をValuesとして定めていますが、創業から2年と少し経過した頃、Valuesの短い言葉だけでは表しきれない、かつ皆が大事にしたい価値観があることに気づきました。

たとえば「Speak up. 話そう、とことん。」というValueについて、atama plusではチームの垣根を越えて議論しあうという文化があります。では、チーム外の人とどこまで“とことん”議論すべきなのでしょうか?

そもそも背景知識の異なるチームの人が検討主体のチームに対して意見すべきなのでしょうか?そして意見されたら検討主体のチームはどういったスタンスでその意見を聞くべきなのでしょうか?「他チームの業務に関心を持って意見すること」と「役割分担して任せること」のバランスってどう考えたらよいのでしょうか?

皆が同じMissionを目指しているのにもかかわらず、Valuesの認識のズレが生まれたらもったいない。この先、メンバーが増えていくにあたり、皆が大事にしている暗黙の価値観をきちんと言葉にしておきたい(逆に言えばそれ以外は多様性を大事にしたい)、そういった想いでカルチャーコード作成がはじまりました。

作成にあたっては職種横断のタスクフォースを組成し、全メンバーの意見を聴きながら、半年以上の時間をかけて侃侃諤諤の議論を行いながら作りました。正直、創業3年目(作成開始当時)のスタートアップにとってこんなにも作成に時間をかけるというのは非常に大きな投資です(スタートアップは時間がほぼ全ての資産です)。

しかしatama plusは、Missionを実現するために設立された会社ですから、皆がMission実現に向かって大事にする価値観の認識を合わせることは何よりも重要だと考えています。そうしてValuesを体現するために必要なことを定めたカルチャーコードが完成しました。

カルチャーコードは、いわば、何を「いい」と感じるか、何が「リスペクトに値するか」のモノサシです。atama plusという「場」を共にする一人ひとりにとって決定的に重要なもので、各々の働き方や日々の意思決定の基盤になります。

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atama plus社内でValuesを意識するための取り組み

私たちは、「全員がカルチャーコードを体現している状態」であり続けるために力を尽くしたいと考えています。なぜなら、その状態であれば細かい(そしてつまらない!)ルールも管理も不要になるからです。

全員がカルチャーコードを体現できていれば、必然的に個々の判断・行動はひとつの大きな方向を向いたものになります。その中での裁量の自由を最大化できます。一人ひとりがMission実現の当事者として、自律的に行動できるようになります。

Atama plus社内はMissionやValuesに関係したものであふれています。壁にはMissionが掲げられたポスターがあり、会議室や日常の業務で使用するものにValuesが記載されていたり、等身大の生徒(ペルソナ)のパネルがあったり、、、

ただし、これらはカルチャーへの投資のごく一部の結果にすぎません。「一人ひとりがMission実現の当事者」であるカルチャーであるために、何よりも大事なのはメンバー全員がatama plusで大切にするValuesを完全に理解し、体現していることだと考えています。

Culture gardening

カルチャーコードは作成しておしまいでは意味がありません。

全員でカルチャーコードに記載されている内容の認識をすりあわせるべく、カルチャーコードができあがった当日から3日間かけて「Culture gardening」というイベントを行いました。一般的にカルチャーを築くためのイベントのことを「Culture building」と呼ぶことが多いと思いますが、atama plusでは全員で「庭」のようにカルチャーを作っていくという目的から「Culture gardening」と呼んでいます。

新型コロナウイルス対応で多忙な時期ではありますが、全メンバーの通常業務をストップして全員でカルチャーコードに記載されている内容の認識をすりあわせるセッションを行いました(のべ600時間!)。コロナ禍で対面でのイベントができないため全てZoomでのセッションです。

各自の自宅に郵送で届いた「atama+ culture code」を読んだ上で、普段業務を一緒に行っているチームで「役割の異なる仲間からの意見を真摯に受け止めるSpeak upな姿勢とは、具体的にはどんなことですか?」「自ら仕事を楽しむLove funな状態と、単に楽をすることの違いって具体的にはなんですか?」といったValuesに関連する答えのないテーマについて議論を行いました(おおいに盛り上がりました!)。

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atama+ culture codeをもとに、ValuesについてZoomで議論する様子

これはCulture gardeningの第1弾。引き続き第2弾、第3弾も実施していく予定です。カルチャーはいきなり作れるものではありません。Atama plusはこれからもカルチャーに投資し続け、カルチャーをガーデニングしていきます。

Atama plusは「○○すべし」がほとんどない会社です。

What we doで縛るより、What we respectをシェアし、How we feelを誇れる集団。それは複雑化した社会において、変化に強い集団にもなります。細かいルールでガチガチに管理するよりも、一人ひとりが「atama+ culture code」を体現しながら自律的に行動するほうがMission実現への近道だと考えます。

だからルール作りよりもカルチャー作りに投資します。

これからもatama plusの現メンバーと未来のメンバーの一人ひとりが、Mission実現の当事者として、教育を通じて社会を新しくしてまいります。

本稿はAI先生「atama+」を開発・提供するatama plus代表取締役、稲田大輔氏によるもの。Facebookアカウントはdaisuke.inada.10。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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カルチャーに半年もの時間を投資したスタートアップが得たもの(1/2)

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本稿はPR TIMES STORYからの転載記事。一部、執筆者の許諾を得て要約・編集をしております 今月、atama plusでは、自分たちが大切にしているカルチャーについてまとめた「atama+ culture code」を公開しました。 カルチャーコードとはValuesを体現するために必要なことを言語化したものです。作成にあたっては職種横断のカルチャーコード検討タスクフォースを作り、全メンバー…

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atama plusが発行したカルチャーコード・ブック

本稿はPR TIMES STORYからの転載記事。一部、執筆者の許諾を得て要約・編集をしております

今月、atama plusでは、自分たちが大切にしているカルチャーについてまとめた「atama+ culture code」を公開しました。

カルチャーコードとはValuesを体現するために必要なことを言語化したものです。作成にあたっては職種横断のカルチャーコード検討タスクフォースを作り、全メンバーを巻き込みながら実に半年以上の時間をかけ侃侃諤諤の議論を行いました。

創業3年目(作成開始当時)のリソースの限られたスタートアップがなぜこんなにもカルチャーに投資を行うのでしょうか?本稿では、カルチャーに投資する理由、そしてその結果得られたものの体験をみなさんに共有したいと思います。

「エライ」のはMission

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創業前のatama plus(写真:atama plus)

話は創業前にさかのぼります。これはatama plusを創業した2017年4月のさらに半年前の写真です。私の自宅に集まり、これから立ち上げる会社(まだ名前もない!)のMissionについて議論していた頃の様子です。

なぜ、私たちはそれなりに順風なキャリアを歩んできたにもかかわらず、わざわざリスクをとって新しい会社を立ち上げるのか?そんな議論を重ねた結果、「教育を通じて社会を新しくするために会社を創るんだ」ということを決めました。

そうです。創業より先に決めたのはMissionの方だったのです。ですから、atama plusはなぜ存在するのかというと、答えは明快です。「Missionを実現するため」。それ以外にありません。

atama plusは、社会のまんなかを新しくするために、限られた生徒ではなく、数億という規模の生徒に良い教育を届けていく。そのために、atama+というサービスを軸としたビジネスで、教育を進化させる持続可能な仕組みをつくる、そしてそれをなるべく早く実現することを目指すという会社です。

そのため、atama plusの意思決定の基準もシンプルです。あらゆる決定の基準は、究極的にはただひとつ「Missionの実現に向かって前進しているか?」。

それだけです。

判断に迷ったらここに立ち返っています。ちなみに、atama plusでは組織図の一番上にはMissionがあり、代表である私は一番下にいます。「エライ」人はいなく、「エライ」のはMissionです。誰かの顔色をうかがうよりもMissionの実現に向かって前進することを最優先にしています。

カルチャーは庭

企業のカルチャーとは何なんでしょうか?

カルチャーは変わり続けるものです。
仲間が一人増えれば変わる。
事業やプロダクトが変われば変わる。
組織が変われば変わる。毎日変わり続けます。

カルチャーは変化し続ける「状態」なので、どんなカルチャーを作りたいかを決めて、それに向かって努力し続けるのみです。カルチャーは「建築物」のように一度作ったら壊れないものではなく、作るのに時間はかかるし手入れし続けないとすぐに壊れる「庭」のようなものです。

種を植えたり雑草を抜いたりしながら、ずっと丁寧に磨き続けるものだと思います。毎日の地道な積み重ねの結果が企業のカルチャーとなります。atama plusは「一人ひとりがMission実現の当事者」であるカルチャーであり続けたいと思っています。それにはMissionに共感したメンバーが集まり(そういう人だけ採用し)、そして全員が継続してカルチャーを磨き続ける必要があります。

atama plusの強みは何ですか?

よく聞かれる質問ですが、教科書的な回答をしようと思えば「プロダクト」「ビジネスモデル」「データ」「顧客基盤」「ブランド」、、、などがあげられますが(私も社外にはそんな説明をすることが多いですが)、本当はそこじゃありません。

真の強みは「カルチャー」です。プロダクトもビジネスも真似できますが「カルチャー」は真似できるものではありません。「庭」はすぐには作れません。

ひとつ、例を挙げさせてください。

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atama plus4月のプレスリリースより

2020年2月27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、全国の学校に臨時休校要請がなされました。私たちの顧客である塾も休校することとなります。

Atama plusのプロダクトは塾内のみで利用することを前提に作られており、塾が休校したら全く使えないものになります。さらにタイミングの悪いことに、臨時休校要請の翌日2月28日はオフィス移転の日で、引越し準備で仕事どころではないといった状況でした。それでも、急ピッチで開発した自宅でも利用できるプロダクトを塾に提供し、1カ月後にはユーザー数が10倍以上に伸びることとなりました。

すべてのチームが自律して動いた結果でした。各チームの一人ひとりがMission実現の当事者だったのです。(後編へ続く)

参考記事:なぜatama plusはここまでカルチャーに投資するのか?

本稿はAI先生「atama+」を開発・提供するatama plus代表取締役、稲田大輔氏によるもの。Facebookアカウントは 彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はdaisuke.inada.10。 こちらからコンタクトされたい

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ビジネス資料のGitHub化ーーNotion2.0が目指す「テンプレ図書館」の衝撃

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載 プログラミングをせずとも、ウェブもしくはモバイルアプリを直感的に構築できるノーコードサービス分野が成長してきました。「Bubble」や「AppGyver」のようなアプリ開発、日本の「STUDIO」や「Strikingly」に代表されるLP開発など、領域は様々です。ノーコードの本質は、時間やコストを圧…

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Almanacウェブサイト

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

プログラミングをせずとも、ウェブもしくはモバイルアプリを直感的に構築できるノーコードサービス分野が成長してきました。「Bubble」や「AppGyver」のようなアプリ開発、日本の「STUDIO」や「Strikingly」に代表されるLP開発など、領域は様々です。ノーコードの本質は、時間やコストを圧倒的に削減することにあります。そして今、ノーコードトレンドの考えが新たな体験として企業で広く使われるドキュメント作成分野にも広がりつつあります。

Almanac」は、ビジネスドキュメントテンプレートのクラウドライブラリを提供。マーケティング、人事、法務テンプレートなど、専門家によって公開された、磨き上げられた1万件の文書を提供しています。各資料をコピペすれば、ユーザーは手軽にプロのドキュメント内容をトレースできます。UIはノートツール「Notion」にとても似ています。

同社はサンフランシスコに拠点を置き、シードファンディングで900万ドルを調達。General Catalyst、Inspired、Abstract、Shrug、Worklife、Indicator、Wing、Liquid2とともにFloodgateがリードしたシードラウンドを経ています。現在のユーザー数は1万ほど。

ユーザーは、チェックリストや販売促進用の電子メールスクリプト、コースガイドなどのドキュメントをコピー可能なテンプレートから選べます。クラウドベースでありながら、バージョン管理が可能なソーシャル・コラボレーション機能も備えています。

同社の提供価値は大きく3つです。「バージョン管理」「ドキュメントのソーシャル性」「トレース」。順に説明していきます。まずは「バージョン管理」から。

たとえばローカル作成したファイルをチームメンバー複数人で管理していると、やがていろいろな箇所にちらばり、「最新版はどこにあるんだっけ」など、バージョン管理ができない問題が発生します。こうした非同期の問題に対して、NotionやEvernoteが解決してきたようなクラウドベースの手法を取り入れています。

次に「ドキュメントのソーシャル性」。

未だビジネスドキュメント作成においてソーシャル性を持たせたツールは確立されておらず、誰もが自由に改訂し、新たなデータとして公開できるような体験というものは浸透していません。他方、Githubはエンジニアのコードを、Figmaはデザインソースをオープンにさせ、コラボレーション・プラットフォームとして確立させることで大きな成功を収めています。そこでAlmanacも、ビジネスドキュメントに同様の価値を付けようとしています。

最後に「トレース」。

単にユーザー同士がコラボレーションできる場を提供するだけではNotionなどに勝てません。そこでAlmanacは各領域の専門家のドキュメントをオープンにすることで、誰もが資料デザインをトレースできる環境を整えました。ビジネスドキュメント領域にインフルエンサーを登場させ、誰もが欲しくなる資料をキュレートする場を作ったのです。

手軽に0-1で直感的に資料作成でき、その資料の出来栄えはプロ並み。ノーコードで重要視されるポイントを綺麗にビジネスドキュメント作成に応用したのがAlmanacと言えるでしょう。上記、3つの点を抑えることで大手競合サービスに並ぼうとしているのがAlmanacです。

コロナが大流行する中、Almanacは急速に成長しており、プラットフォーム上で作品の公開、サンプルを執筆するユーザーの数は、過去2カ月間で9倍に増加しているとのこと。

Almanacのようなドキュメントサービスは特定言語に依存しているため、日本でも類似サービスは十分に立ち上げ可能でしょう。日本市場にローカライズさせることで、一定規模の市場を開拓できるかもしれません。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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KDDI「200億円買収」のソラコムが急成長、IPOも視野にーーグローバル展開の秘策を語る #discovery2020

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買収から3年、創業5年のソラコムが新たな成長への歩みを始めるようだ。 今日、オンライン開催となったソラコムの年次カンファレンス「SORACOM Discovery 2020」の壇上で発表された成長戦略の中には明確に「IPO」の文字が刻まれていた。創業から2年、200億円という高評価でKDDIグループ入りしたIoTプラットフォームのソラコムが3年という時間でどのように成長し、そして次にどこに向かおう…

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ソラコム共同創業者、玉川憲氏と安川健太氏(写真提供:ソラコム)

買収から3年、創業5年のソラコムが新たな成長への歩みを始めるようだ。

今日、オンライン開催となったソラコムの年次カンファレンス「SORACOM Discovery 2020」の壇上で発表された成長戦略の中には明確に「IPO」の文字が刻まれていた。創業から2年、200億円という高評価でKDDIグループ入りしたIoTプラットフォームのソラコムが3年という時間でどのように成長し、そして次にどこに向かおうとしているのか。

イベントに先立って、ソラコム創業者で代表取締役の玉川憲氏に話を伺った。彼らが創業から目指し続けた「グローバル・プラットフォーム」への一つの「解」と共にご紹介したい。

200万回線

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買収時に8万回線だったSORACOM、3年で200万回線へ(資料提供:ソラコム)

Internet of Things、モノのインターネット化に必要不可欠な通信環境をクラウドでコントロール可能にし、あらゆる機器のサービス化を実現したのがソラコムの提供する「SORACOM Air」だった。衝撃的なデビューから約5年、今年の6月末には200万回線の契約を公表している。

この数字、実は3年前にKDDIが高評価で買収した際には8万回線と多くなかった。契約しているアカウント数(※法人と個人を含む契約者数で回線数とは別)は7000アカウント(現在は1万5000アカウント)とある程度のボリューム感があるものの、ビジネスとしてまだ各社が手探りの状態だったからだ。ユースケースとしても自動販売機のメンテナンスやスタートアップのIoT機器(まごチャンネルやWHILLは良い事例)への利用などバラエティに富むものの、数字という面ではインパクトに欠ける。

これを大きく変えたのが日本瓦斯(ニチガス)とソースネクストの事例だ。ニチガスではLPガスのスマートメーター化を進め、2020年度中の85万回線を見込む。一方、ソースネクストは翻訳機「ポケトーク」が大ヒットし、こちらも2020年2月時点で70万台を記録している。ここにはソラコムの「eSIM」技術が採用され、ユーザーはわざわざモバイル通信契約を意識することなく翻訳サービスを利用することができるようになっている。

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ニチガスのスマートメーター事例(資料提供:ソラコム)

結果、KDDIグループ入りしてから1年後の2019年6月には100万回線、そしてその1年後に200万回線をマークするようになった。KDDIもまた別口で法人向けIoT回線契約を2000年頃から提供しており、グラフの通り綺麗な成長曲線を描き始めている。

もちろん、ソラコムについてはその数字の大半は大口2社の契約であることは確かだが、それでもその可能性のある企業が彼らのネットワークに1万5000アカウント以上が存在している。具体的な事例は明かせないとしつつも、決済関連は非常に有望だそうで次のヒットの可能性は充分すぎるぐらいにあるだろう。

グローバル化への壁:ローミング問題を超える

今日の発表で最も(関係者にとっては)インパクトのある内容が「サブスクリプションコンテナ」だったのではないだろうか。国境を超えた通信価格がエリアによって7割以上も安くなる、IoT関連サービスを世界展開する際のローミング問題を解決する技術だ。

簡単に説明しよう。通常、モバイル通信(私たちが普段使ってるスマホも含め)を海外で利用する場合、現地のSIMを買うか、ローミングして日本のキャリアから海外キャリアへ再接続して利用することになる。

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サブスクリプションコンテナを使えば現地価格の通信がSORACOMの体験を通じて利用可能に(資料提供:ソラコム)

現地SIMは現地キャリアの価格で利用できるものの、購入したり、プリペイドの契約、追加チャージなどがめんどくさい。ローミングはそのまま国内キャリアが使えて便利な反面、価格に反映されてしまう。

IoT機器でも同じことが発生していた。ソラコムのIoT回線サービスを海外で使う場合、提携する海外キャリアにローミングして使う以外に方法がなく、例えば可愛らしいロボットにSIMを入れて日本から海外販売する場合、ローミングした通信費がサービスに乗っかってしまう。一方、現地の回線をロボット事業者が独自に入れようとすれば、各国でキャリアと交渉・契約し、さらにSORACOMのような管理ツールなしにユーザーとの契約を管理する必要が発生する。

もちろんほぼ不可能な話だ。

これを仮想的に実現したのが今回発表されたサブリプションコンテナの考え方だ。イメージとしてはeSIMに近く、SORACOMのプラットフォーム上で事業者サイドが各国の回線契約自体を切り替えることができるので、ローミングと異なり契約そのものが現地キャリアのものになる。結果、前述したような7割〜最大9割という大きな値下げが期待できるようになる、というわけだ。

実はこれまでもSORACOMはカバレッジとしてグローバル(ローミング)と特定地域を分けて提供していたのだが、今回発表されたサブスクリプションコンテナの機能を使えば利用できるエリアの範囲はGSM/3Gで148カ国・296キャリア、LTEで76カ国・148キャリアに拡大する。

実際に国を切り替えるデモを見せてもらったがワンクリックで終了とあまりにもあっけない。これで事業者は出荷する先の国を世界主要都市から選ぶことができるようになるのだ。

取材時、玉川氏が「これでようやく真のグローバル化が見えてきた」と感慨深そうに呟いていたのが印象的だった。

IPOも視野「スウィング・バイ」オープンイノベーション

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ソラコムとKDDIの取り組み(資料提供:ソラコム)

ソラコムの創業は2014年11月。翌年3月から玉川氏が前職(Amazon Web Service)を離れて本格的に事業を開始し、2015年6月にはInfinity Venture PartnersおよびWorld Innovation Lab(WiL)から7.3億円を調達。第一弾となるサービス「SORACOM Air」を公開した。

サービスインから約半年の翌年2016年5月には シリーズBラウンドでやはりIVPとWiLから24億円を調達。そして2017年8月にKDDIが過半数を200億円で取得するという「ザ・スタートアップ」の物語だった。

ただこの買収劇の時、なぜ全株ではなく過半数だったのかやや不思議な気持ちがあったのも事実だ。しかしこうやって振り返ると、当時の回線契約はたった8万回線。玉川氏がよく話していた「グローバル」の規模感からはほと遠い位置だったことがよくわかる。まだ何も成し遂げていない状態だったのだ。

連結の営業利益1兆円を超えるメガ企業にスタートアップがどこまでインパクトを残せるのか。

ここまでの3年間は両社合わせて1400万回線というIoT市場の拡大・牽引が分かりやすい結果として残った。この市場をグローバルサイズにするために、両社が取った決断はソラコムの株式上場も含めた独立的な成長路線になる。

今後、グローバル展開を本格化させようとすると、場合によって各国のキャリアやキープレーヤーとの資本を含めたパートナーシップ戦略が必要になってくる。また、優秀な人材も集めなければならない。こういった機動力のある、資本も含めた経営戦略は独立も視野に入れた方がやりやすいと考えたのだろう。

具体的な計画は(上場するかも含めて)まだこれからの話だが、これだけの成長株が公開されることになれば話題になるのは間違いない。ちなみにKDDIはもうひとつのオープンイノベーション施策として「非通信業」のスタートアップを買収したマーケティング・グループ「Supershipホールディングス」を形成し、こちらも上場を目指すとしている。

玉川氏は今回の成長に向けた戦略を「スウィングバイ」と表現していた。巨大な惑星の引力を活用してより遠くに飛ぼうとする飛行方法だ。大企業が新たな成長を目指す上で新しい概念や技術をいち早く取り入れ、市場を開拓するオープンイノベーションの新たな展開としてもソラコムの事例は引き続き注目に値するのではないだろうか。

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「Facebookの改善」は可能なのか?

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Facebookは今までにないレベルでボイコットの脅威に直面している。公民権運動を実施する連合団体Stop Hate For Profitは、Facebookに対して10つの提案を実施し、ハラスメントや女性蔑視、人種差別や過激主義への対処を求められている。 このようなFacebookへの問題提起の共通点は、誰もがFacebookの軌道修正が可能だと信じている点だ。 しかし、もしそうでないとしたらど…

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Photo by Juan Pablo Serrano Arenas on Pexels.com

Facebookは今までにないレベルでボイコットの脅威に直面している。公民権運動を実施する連合団体Stop Hate For Profitは、Facebookに対して10つの提案を実施し、ハラスメントや女性蔑視、人種差別や過激主義への対処を求められている。

このようなFacebookへの問題提起の共通点は、誰もがFacebookの軌道修正が可能だと信じている点だ。

しかし、もしそうでないとしたらどうだろうか?

もちろん、私はFacebookが批判へ対応を講じない理由に結び付けたいのではない。むしろ、提起されている問題はFacebookの根本的な構造、つまりソーシャルメディアそのものに起因しているのではないかということだ。

同社はよく「何も対策を講じていない」と指摘される。しかし、実際Facebookは数多くの行動を取ってきているのが事実だ。

ヘイトスピーチ対策においては、同社は最新の報告書にて今年のQ1で960万件のコンテンツをブロックしたと触れており、昨年Q4の570万件から増加していることが分かる。また、今週は「Boogaloo」と呼ばれる反政府的活動のグループを200件以上閉鎖している。加えて5月には、Content Oversight Board (コンテンツ監視委員会)を開設した。これらはFacebookの対処の内、ほんの一握りの例だ。

このように、Facebookはテクノロジーでの解決を模索する以外にも人的解決策の取り組みも拡大してきている。しかし、ニューヨーク大学の研究が指摘しているように、これらの多くが第三者機関に依存しており、不十分な要素が目立つことが指摘されている。

さて、冒頭で触れた連合団体の提案では、「差別、バイアス、ヘイトスピーチの監視を強化するための、自社内における組織編制」が要求されている。また、透明性を検証するための第三者機関への情報提供、悪質なコンテンツに影響を受けた広告主への返金、白人至上主義、反ユダヤ、ホロコースト修正主義、ワクチン関連のフェイクニュースや気候変動否定主義に関連するグループの削除などが含まれている。

ほかの多くの提案は、有害コンテンツをフラグ化できる機能、政治的コンテンツの正確性、政治家への特例撤廃などは既に同社が取り組んでいる、または検討しているとされているものだ。提案の中には、誹謗・中傷を受けた被害者が、Facebookの従業員と話す機会を持てるコールセンターの設置というものもあるが、これは現実的でないように思える。

さて、Facebookは実際に、コンテンツの監査などいくつかの措置に合意したものの、未だボイコット運動の勢いは収まりを見せていない。同社副社長のニック・クレッグ氏は、インタビューにて有害なコンテンツ検閲に努力を惜しまないと述べている。

「Facebookはヘイトスピーチを放置しておいたところで、全く利益を生みません。何十億もの人がFacebookやインスタグラムを利用しているのは、そこでポジティブな経験ができるからです。広告主もユーザーも、悪意あるコンテンツをみたくはありません。つまり、私たちがそうしたコンテンツを取り締まることには大きなインセンティブがあるのです」。

しかし、有害コンテンツの完全な排除は現実には不可能に近いと言えるだろう。同氏は以下のようにも語っている。

「日々、多くのコンテンツが投稿される中で、悪意あるコンテンツのみを見つけることは非常に難しいと言わざるを得ません。Facebookでは、プラットフォームの安全性とセキュリティー対策のため、人員を約3倍の3万5000人規模に増員しています。そういった意味では、私たちは悪意あるコンテンツを見つけ出すAI技術のパイオニアと言えるでしょう」。

つまり、同社が取り組んでいる対策は、現時点で講じることのできる最善の一手なのだ。しかし、極右勢力にとっては未だにFacebookがプロパガンダ・フェイクニュースを生み出す最善の手段だと認識しているのが現実だ。

とはいえ、Facebookが自身で公開している同社の「対策」結果によると、昨年4月から9月までの間に32億件の偽アカウントを削除したとしている。これは、2018年の実績である15.5億アカウントからほぼ倍増していることになる。

これは、MAUが23.7億人を超えるSNSと考えると驚異的な数字だろう。言ってしまえば、同社は四半期ごとに月間利用者数を超えるフェイクアカウントを追い出していることになる。それでも、まだ月間アクティブユーザーの5%は偽物であるとの推測を出している。

この状況を踏まえると、現在提案されている対策を仮に全て受け入れたとしてもFacebookが根本的に変化を成し遂げることは難しいのではないだろうか。いわば、Facebookは少数の「偽の人物」が「本物の人物」を煽りフェイクニュース、プロパガンダ、ヘイトスピーチを拡大させる身近な最良のツールと化している。

抜本的にFacebookを改革するのなら、ユーザー登録に身元確認書類を必須にするなどの対策が考えられるが、ユーザーからの大きな反発が起こることは容易に想像できる。ほかには例えば、米国政府が主導になってプラットフォームがコンテンツに対して法的責任を回避することを許容しない法律の再制定も想像できる。しかし、それもマジョリティーに受け入れられる可能性は低いだろう。

では、Facebookは一体どうすればいいのだろうか?おそらく、この問題は規制を求める側とFacebookのやり取りがほぼエンドレスに続く状況へ帰着するのだろう。

もちろん、Facebookは、ある程度ボイコットが収まるまで自主的な規制強化を施すことになる。並行して新たな規制論者が生まれ、また、それと同時に何もそこで起きていないかのように何十億人もの人がFacebookを利用し続ける。そうした傍では、悪意を持った人々がいかにFacebookを悪用するか考え続けている、という状況が続くのだ。

そしていつの日か、何十年・何百年の間人類と時間を共にしたFacebookがどの様に私たちの暮らしに影響を与えたのか振り返る、そんな時が来ることになるのではないかと思う。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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次の10億ドル企業は「子供の寝かしつけ」市場を狙う

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載 ピックアップ:Moshi, a sleep and mindfulness app for kids, raises $12M Series B led by Accel ニュースサマリ:子供向けの寝かしつけ音声アプリ「Moshi」は、AccelをリードにLatitude VenturesとTrip…

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Photo by Anastasia Shuraeva on Pexels.com

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

ピックアップ:Moshi, a sleep and mindfulness app for kids, raises $12M Series B led by Accel

ニュースサマリ:子供向けの寝かしつけ音声アプリ「Moshi」は、AccelをリードにLatitude VenturesとTriplepoint Capital参加のラウンドで1,200万ドルを調達した。同社は子供の睡眠を助けるアプリを開発。アプリには150近いオリジナルコンテンツが用意されており、80本の30分就寝ストーリーは、すべて同社が執筆・制作したものだ。

コンテンツ1つ1つの流れは、子供が寝やすいように忠実に練られている。たとえば、同アプリで最も人気のあるストーリーの一つである「Mr.Snoodle’s Twilight Train」では、ストーリー全体の背景に「シュッシュッポッポ」という電車の音が鳴り響く。この効果音は、子供の平均的な安静時心拍数に合わせたもので、子供が安らかな気持ちになれるように工夫されている。

現在10万人以上のサブスクライバーを抱え、8,500万回のストーリーが再生されているという。年間40ドルの利用料で収益化を図る。

もともとMoshiはMindy Candyという会社が名称を変更したもの。評価額10億ドルを超える「ユニコーン企業」の仲間入りをした瞑想アプリ「Calm」の創業者兼CEOであるMichael Acton Smith氏が創業したのだが、Calmに専念するために同社を抜けている(後継として現Moshi CEOのIan Chambers氏が着任)。つまり、流れとしてはCalmと同じDNAを汲んでいることがわかる。

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Photo by nappy on Pexels.com

話題のポイント:お子さんの寝かしつけに悩まれている方は多いのではないでしょうか?

コロナの影響で子供と一緒に過ごすことが多くなり、寝かしつけ問題(お昼寝含め)がさらに顕著になっているかもしれません。これは長年に渡って親御さんたちの大きなペインポイントでもあり、ここを切り口に、子供を落ち着かせる音声コンテンツを提供するのが「Moshi」です。

室内フィットネス市場では「Peloton」「Mirror」などの大型器具が注目を集めています。一方、自宅で手軽にできる瞑想アプリ領域も「Calm」を筆頭に、「SimpleHabit」のような瞑想版Netflixや、「Journey Meditation」のようなオンデマンドライブ配信が人気です。「自宅 + フィットネス/瞑想」のトレンドが子供市場にもやってきた、と今回のニュースは読んで良いでしょう。

子供独特の精神状態全てに対応するため、まずは寝かしつけという誰もが共感する課題から入り、将来的には自閉症やADHDなどの特定状態に対応するための音声コンテンツを提供することができれば、巨大プラットフォームになる可能性も見えてきます。音声書籍ストアや、Amazon的なマーケットプレースなど色々な展開が予想できるので、まさに「子供向けCalm」の市場を独占できる戦略思考です。チーム背景も文句ないので、急成長が望めるスタートアップの匂いがしてきます。

ちなみに数年前にはAmazon Alexa Fundから出資を受けた、Echoを使った絵本読み聞かせサービス「Novel Effect」が登場しています。同社もまたMoshiと同じ読み聞かせ市場を狙っており、親御さんや教師が読む幼児向け本に合わせて、Amazon Echoやスマホから効果音が出る立体演出サービスを提供します。「音のAR」とも呼べる領域で、累計調達額は310万ドル。Techstartsアクセラレータプログラム出身のスタートアップです。

現在、Novel Effectは保育園を中心にB2B営業をかけてサービス展開させており、Moshiに関しても、仮に寝かしつけの一定の効果がしっかりと検証されたのであれば、保育園に卸せるかもしれません。Cにも、Bにも展開でき、坂路拡大に悩む出版社との提携も考えられます。日本でも十分にトレンドとなる領域だと感じますし、その最前線にいるのがMoshiと言えます。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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【IPOスタートアップの資本政策解剖】マネーフォワード編〜第2回「Smartround Academia」から

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前回のビザスクに続き、今回、資本政策を解剖するのはマネーフォワード(東証:3994)だ。2012年5月に創業し、2017年9月に東証マザーズに上場。当時、今ほどメジャーではなかった SaaS スタートアップの IPO としては先駆け的存在である。今回、マネーフォワードの資本政策を披露してくれるのは、同社を IPO へと導いた当時の CFO 金坂直哉氏である。 金坂氏は東京大学経済学部を卒業後、ゴー…


前回のビザスクに続き、今回、資本政策を解剖するのはマネーフォワード(東証:3994)だ。2012年5月に創業し、2017年9月に東証マザーズに上場。当時、今ほどメジャーではなかった SaaS スタートアップの IPO としては先駆け的存在である。今回、マネーフォワードの資本政策を披露してくれるのは、同社を IPO へと導いた当時の CFO 金坂直哉氏である。

金坂氏は東京大学経済学部を卒業後、ゴールドマン・サックスの東京オフィスとサンフランシスコを経て、2014年にマネーフォワードに参画。同社が個人向けの家計簿アプリから、事業者向けの会計サービスへと進化を始めた直後のことだ。昨年までマネーフォワードの CFO を務めていた金坂氏だが、IPO 経験を生かし昨年設立された成長企業向けのフィナンシャルアドバイザリーを提供するマネーフォワードシンカの代表に就任。7月1日付けで、金坂氏が再びマネーフォワードの CFO に復帰就任したことが発表されている

なお、マネフォワードシンカは新型コロナウイルス感染拡大を受けて、今年3月に VC とスタートアップのオンライン面談マッチングを支援する活動を実施したほか(すでに終了)、5月には投資家向けに保有する未上場スタートアップ株式の売却先を紹介する株式売却アドバイザリーサービスを開始している。

今回の聞き手も、スマートラウンド COO 冨田阿里氏が務めた。

<これまでのマネーフォワード関連記事(一部)>

<上場前(2012年5月〜2017年9月)>

マネーフォワードは2017年9月に上場を果たしたが、上場前段階で44億円、上場後も市場以外で143億円を調達するなど、事業成長に成長資金を常に調達し続けている。最初の資金調達となったのは、創業から7ヶ月後の2012年12月。代表取締役の辻庸介氏の古巣マネックス証券のベンチャー投資部門からだった(当時のマネックス・ビジネス・インキュベーション、現在のマネックスベンチャーズ)。マネーフォワードにとって初めての外部資金調達(2,000万円)だったが、同社ではこれをシリーズ A ラウンドと位置付けている。

シリーズ B〜C ラウンド位までは VC 調達が多いが、シリーズ C〜D ラウンドあたりからは地方銀行や事業会社からの調達が増えている。マネーフォワードは、B 向けの販売チャネルとして地方銀行や会計事務所などとの協業を行っており、事業ステージの進捗とともにベンチャー資金よりは事業パートナーからの資金注入が増えていることがわかる。ちなみに金坂氏がマネーフォワードに参画したのも、同社が シリーズ C を始める2014年のことである。

スタートアップ経営者にとって資金調達のリードを掴むことは重要ミッションの一つであり、この日の視聴者からは金坂氏に対し、自社に合った VC や投資家にたどり着く方法、投資家とのリレーションに対して質問が多くなされた。質問の順序は前後するが、金坂氏の説明を要約すると概ね次の通りだ。

  • アーリーステージにおいて特に重要なのは資本政策。後戻りできず、投資家とのやりとりで飲んだ条件や契約が、結果的に上場で足を引っ張ることが起こりうるのがエクイティファイナンスの怖さだ。バリューエションも、ダイリューションも、上げ過ぎても下げ過ぎても良くない。多面的な角度から考えることでリスクを下げるべきだと思う。
  • 投資家との契約にあたっては自社にあったアドバイザーと相談し、二社以上の投資家と話すことで、投資家との契約における交渉力を維持すべきだと思う。
  • エクイティファイナンスにかけた時間は、2014年の時で半年(シリーズ C)、2015年の時で4ヶ月(シリーズ D1)、その次は数ヶ月くらい(シリーズ D2)。回数を経るにつれ、普段からリレーションが取れているため、短くできるようになっていった。
  • 投資家とは常にコミュニケーションし、「次にファイナンスするときは声をかけてください」と言ってもらえる関係性を確立しておく。あるラウンドのファイナンスが終わった瞬間から、投資家には次のラウンドに参加してもらう可能性があるという位置づけ。
  • 地方銀行から資金を調達できた背景には、ビジネス面でのアライアンスが進んでいることが大きく影響している。アプリを作るとか、クラウドサービスを進めるとか、そういった協業関係が無いと、地方銀行からの資金調達は難しいのではないか。
  • バリュエーションが100億円を超えてくると VC からの調達は難しくなってくることも事実。投資家に対しては、バリュエーションや投資リターン以外のメリットを見せる必要が出てくる。レイターステージで事業パートナーからの調達が増えるのには、そういう理由もあるだろう。
  • ストックオプションは、基本的に年に1回の形で運用していた。全株式の中で、上場時の何%を割り当てるかは投資家らとの契約の中で決めていた。例えば、ストックオプションで付与できる割合を全株式の15〜20%程度に設定しておき、創業から上場までを4年と見るなら、1年あたり4〜5%程度は付与できる、というようなイメージ。誰にどのように付与するかについては、社員が100人程度の規模までは評価制度が確立されていなかったので、CEO や CFO が相談して決めていた。
  • どの投資家から、バリュエーションをいくらにして、どれだけ調達するかについては、まずは自分たちのビジョンを明確にし、それに必要な資金を算出する。そして、どの程度のバーンレートをカバーして、その金額で何年持たせられるかを計算する。マネーフォワードの場合は、比較的厚めにファイナンスしてきた。ストレッチしたバリュエーションでファイナンスができたのは幸運だった。そして、投資家には、事業上の関係やフィーリングも含め、一緒の船に乗ってやっていける人や企業を相手に選ぶべきだ。
  • 投資家に伝えていくストーリー(業績見通しの計画)については、事業のステージによって違ってくる。2014年くらいまでは(シリーズ C あたり)売上はまだ1億円に届かない位の業績だったので、今後どういうプロダクトをローンチしていくのかを話していた。2015年(売上4億4,000万円)、2016年(売上15億4,000万円)くらいになると、トラックレコードで将来成長を見せられた。売上がまだ無いときは SAM(実際に提供可能な市場規模)や TAM(獲得可能な最大市場規模)で、売上が出てきたら実績の延長線で話せるようになる。
  • 資金調達は CEO 中心でも CFO 中心でもできるが、どんな体制で臨むかはその会社次第。資金調達に表面的なスキルよりも、むしろ、投資家との信頼関係を築いたり、最後までやり切れる人だと見てもらえたりすることが大事。投資家も経営者を2〜3年見ていればそのあたりが分かってくるので、安心して投資ができるようになる。投資家に対しては、真摯かつ愚直に事業に取り組んでいる姿を見せ続けるというのが王道。ファイナンスが必要になってから、ある日投資家に出会い、「いきなり投資を決めてください」と申し出る選択肢は勧めない。

<上場(2017年9月)>

スタートアップ経営者にとって、自社の業績が上場基準を満たしたとして、いつ上場するかというのは熟慮すべき課題。最近では、ファンドの大型化によって、資金需要だけで考えれば VC からの調達でも充足することができるだろう。しかし、「金は天下の回りもの」であるゆえ、経済のある部分がスタックすると資金調達を含め経済全体がスタックする危険を指摘する CFO は多い。

マネーフォワードでは、シリーズ E ラウンドを迎えた2016年前後から経営陣の間で上場に向けた話が出始め、「上場を最速で目指そう」という意見の一致から2017年夏にターゲットを定めた。マネーフォワードの初期投資家の代表者でもあり、辻氏の心の師でもある松本大氏が言う「上場はタイミングが難しいがゆえ、できるときにするのがいい」という以前からの進言も参考にしたそう。

タイミングは重要であるが、タイミングは簡単にずらせるものでもない。したがって、シンプルに考えた結果、最速を目指した。すべての会社に当てはまらないかもしれないが、マネーフォワードの場合、IPO できるときに IPO して次の成長に備えるということで、そういうタイミングになった。(中略)

海外ではかなり大きくなるまでは IPO しないという傾向がある。これは IPO しないというよりも、大きくならないと IPO できないからという感じ。日本の場合はマザーズという新興市場があるので、IPO できるタイミングで IPO というのもありだし、大きくしてから IPO するというどちらも選択肢としてありだと思う。(金坂氏)

<上場後(2017年9月〜)>

マネーフォワードが2020年4月に公開した第1四半期の決算説明会資料によると、同社の株主のうち機関投資家比率は過半数を超え、海外機関投資家が36%、国内機関投資家が16%を占める。昨年、日経が発表した売上高100億円以下の上場企業「NEXT1000」を対象にした調査では、2018年度に海外投資家を増やした会社1位はマネーフォワードだった(89社)。別の日経記事によれば、これら海外からの公募増資は、主に M&A 資金などに充てるためのものだ。

実際のところ、クラビス(2017年11月)、ナレッジラボ(2018年7月)、ワクフリ(2018年8月)、スマートキャンプ(2019年11月)と、マネーフォワードはスタートアップ買収にも積極的だ。マネーフォワードの海外投資家からの資金調達は、日本の SaaS や会計系サービスなどへの強い期待の現れと見ることもできる。また、買収はしていないが、Chatwork(東証:4448)や BASE(東証:4477)といった上場を果たしたスタートアップに対する投資家でもあった。

そういったこともあり、マネーフォワードはこれまで海外投資家への IR 活動を積極的に行ってきた経緯がある。IPO 以降、通算で三度にわたる海外からの資金調達を行っており、1度目は IPO と同じタイミングで、旧臨報方式(アメリカを除くアジアやヨーロッパなどの世界にオファリングをする)により30億円、2度目と3度目は海外公募増資(Global Offering)により、それぞれ66億円(2018年12月)と47億円(2020年1月)を調達している。1度目の調達時に旧臨報方式を選んだのは投資家からの需要が大きかったこためで、英文でのドキュメンテーション作成も必要とされなかった。

金坂氏によれば、M&A する場合と、マイナー出資する場合では、投資先スタートアップの選定基準が全く異なってくる。マネーフォワードの M&A 戦略はプロダクトを増やす M&A とユーザを増やす M&A に大別されるが、これまではプロダクトを増やす方に終始してきたそうで、今後はユーザを増やす M&A 案件も手掛けていきたいという。また、M&A では買収先のスタートアップの経営者をマネーフォワードグループの経営陣に迎えることを前提とするため、会社間や人の間のカルチャーフィットが重要となる。資本提携や出資の場合はこの限りではなく、投資先のスタートアップの経営者が IPO までやり切れるかどうかを見極めるそうだ。

また、上場後は、いかに株主に長く会社を愛してもらうか、もっと言えば、株を持ち続けてもらうかというのはテーマだ。安定株主をどうやって確保するかという視聴者からの問いには、金坂氏は次のように応えた。

安定株主という概念は信じていない。どんな株主にも、売りたい時に売る権利があるからだ。ただし、投資家とはコミュニケーションを密にとって、長期にわたって株式を保有してもらえるよう努力はしている。投資家とは立場が違うので、株式を売り出すタイミングについては交渉はできても無理は言えない。普段からしっかりした IR を心がけ、マネーフォワードの場合は大口の株式売却があっても、株価に影響を与えずに、それをいい投資家にまた買ってもらえている。

<その他>

  • 株主が多いと株主とのコミュニケーションが大変になる、と懸念する経営者もいる。マネーフォワードの場合、ミドルステージ以降は、事業パートナーに株主になってもらったものが多い。そのため、彼らに対しては投資家への説明以前に事業における説明があり、月1回ペースでの KPI 報告会、その後、社長や担当者も交え飲み会という形で運営していた。株主=事業パートナーに毎月会っているので、次のファイナンスの情報も伝えやすい。複数の株主が同時に同じ場所に集まれ、効率的に意見を交換できる点でもよかった。
  • 新型コロナウイルスの影響で資金調達が難しくなるのも事実だろうが、工夫をする方法はある。まず、資金が足りないからと言って新規投資家に連絡を取る前に既存投資家と密にコミュニケーションをとるべきだ。新規投資家と既存投資家では、そのスタートアップに対して持っている情報量が違うし、既存投資家がサポートできないのに新規投資家がサポートするのは難しい。既存投資家の支援を獲得し、それから新規投資家を呼んでくるべき。営業上ムダなコストはとことん削ること。

マネーフォワードシンカのクライアント企業

金坂氏が代表を務めるマネーフォワードシンカでは、スタートアップが IPO などイグジットを目指す上でのフィナンシャルアドバイザリー事業を行っている。昨年9月の創立から、スタッフメンバーは総勢10名体制にまで成長。マネーフォワードの上場を通じて得られた知見や経験をもとに、2021年までにスタートアップ100社の支援を目指しているそうだ。

また本セッション終盤には、先月のエルピクセルの元取締役横領事件にも触れられた。CEO は CFO に全幅の信頼を置くものだが、悲しいことにこういう事案が時々世の中を賑わせてしまう。今回の事件では、銀行口座の通帳コピーが細工されるという単純なトリックで経営陣が騙されてしまったわけだが、マネーフォワードを使えば、口座情報はリアルタイムで金融機関からアグリゲートされるため、その情報をオンラインで経営陣が共有すれば、同じような問題は生じない、とのことだった。

スマートラウンドは、起業家の資本政策づくりを支援する SaaS「smartround(スマートラウンド)」のユーザが去る6月16日で1,000社を超えたと発表した。smartround のローンチは昨年6月22日なので、1日平均約2.8社のペースでユーザが増えたことになる。また先頃、これまでの「資本政策 smartround」「経営管理 smartround」「会社紹介 smartround」「ライブラリ smartround」に加え、新たに「株主総会 smartround」をリリースした。株主総会 smartround の機能の一部は、先月ケップルがローンチした「株主総会クラウド」と競合する可能性がある。

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