コラム

「NFTは価値あるものを拡張する技術」——エンタメ業界をDXするGaudiyに聞いたNFTの今と未来

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本稿は起業家や投資家にトレンドを聞くオンラインイベントTokyo  Meetupの公開収録から。来年1月19日に開催するBRIDGE Tokyoは現在限定の無料チケットを配布中 今年のスタートアップシーンでホットなトレンドの一つである「NFT(非代替トークン)」。これまで価値を可視化して載せることが難しかったバーチャルなものにも、リアルと同じような希少性を生み出すことが可能になりました。これを私た…

本稿は起業家や投資家にトレンドを聞くオンラインイベントTokyo  Meetupの公開収録から。来年1月19日に開催するBRIDGE Tokyoは現在限定の無料チケットを配布中

今年のスタートアップシーンでホットなトレンドの一つである「NFT(非代替トークン)」。これまで価値を可視化して載せることが難しかったバーチャルなものにも、リアルと同じような希少性を生み出すことが可能になりました。これを私たちの日常に生かせるかで NFT の将来の可能性は大きく変わります。

投資家と起業家を招いて語る「Tokyo Meetup INTRO」では、新技術の社会実装に取り組むスタートアップとして、NFT をはじめブロックチェーンでエンターテイメント業界を DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む Gaudiy の石川裕也さんと、同社顧問を務める慶應義塾大学教授で経済学者の坂井豊貴さんに話を伺いました。

NFT の現在地、社会実装の事例、今後の課題など、誰もが気になる NFT のアレコレをお話し頂きましいた。聞き手は、2020年11月、Gaudiy のシリーズ A ラウンドに3億円を単独出資した STRIVE から四方智之さんにお願いました。夢や幻ではない、現実の NFT が作り出す世界を読者のみなさんと一緒に探訪したいと思います。

果たして、NFT は一時のブームなのか?

NFT はその時の需要と供給のバランスで価値が変動します。一時は数億円といった高値で取引されていた NFT もありましたが、徐々にその値を下げつつあります。これは、新技術が浸透する際に避けることができないハイプサイクルの一種との見方もありますが、石川さんは NFT が普及してきたことの裏返しと見ているようです。

NFT 化すること自体は難しいことではないし、NFT マーケットプレイスが整備され供給量が増えたりして、NFT の単価が一時的な水準より下がっているのは当然の動き。ただし、NFT には所有権がついているので、(所有権がついていない)デジタルコンテンツより下がることはないだろう。(石川さん)

また、坂井さんは、NFT というものを特別視し過ぎると、事態を見誤りかねないと警鐘を鳴らします。

NFT という括り方が適切でないかもしれない。リアルの世界で、種々雑多なものを「物理的なアイテム」という括り方をしないのと同じ。何かしら価値があるものに NFT を適用すると、そういう価値がもてるようになるという考え方が正しいと思う。(坂井さん)

例えば、(ツイッター創業者の)Jack Dorsey 氏が最初に書き込んだツイートが NFT 化されて3億円の価値がついたという話があります。ツイッターは言わばデジタル万葉集なので、その最初のページの原本が3億円と言われたら、この金額にも合点がいくかもしれません。つまり、うまく文脈をつけることが、高い価値をつける上で重要になると坂井さんは言います。

NFT だからできる社会実装

Gaudiy が解決したいエンタメ業界の課題
Image credit: Gaudiy

バーチャルの世界だけで完結するのでなく、リアルの世界や日常生活にも影響を及ぼすのが NFT の面白い部分です。絵画、映像、音声、デジタルアイテムなどに NFT が導入されるのは一般的になっていますが、ユニークな利用例を石川さんに教えてもらいましょう。

ちなみに、Gaudiy では、この10月、「TOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)」で、オンライン閲覧権だけでなく後々に特典がもらえる NFT チケット、NFTサイン会、NFT を使ったアイドル応援投票、ファン活動を個人に結びつける TIF ID といった機能を提供されました

自分達が直接関わっているエンタメ領域は、ブロックチェーンも NFT も底上げすることに貢献できたのではないか、と思っている。実用性がわかりやすい分野だからだ。

そのほか、ベトナムの「Axie Infinity(NFT ゲーム)」では、ゲームで遊ぶことで稼ぐ(Play-to-Earn)モデルで、ゲームすることで借金を返したり、家を建てたりする人が出てきた。エンタメで生活できたり、消費ではなく資産になり価値になっていくのはわかりやすい実用性だ。新興国ではコロナで生活できなかった人々がゲームで生計を立てる人が現れ始めた。

この他にも、NFTfi のような NFT を担保にして仮想通貨が借りられる、レンディングプロトコルも出てきました。リアルの世界でも、運転免許証を ID にしてお金が借りられるのは、発行母体がしっかりしているからですが、NFT が免許証と同じような役割を果たすことで、NFT を担保にして、ローンを借りられるというのは非常に面白い事例です。

坂井さんはファッションを上げてくれました。

特にハイブランドがメタバースで洋服を NFT で出す、というユースケースは非常に面白い。見栄を張る行為、つまり「顕示的消費」がバーチャルの世界でもできるようになるからだ。我々はリアルで人に会った時、その人が身につけたいろんなものを見ながら、その人のことを判断している。

これまでバーチャルの世界ではそれができなかったが、ファッションの NFT でそれが可能になる。価値あるものを身につけているということは、それがその人の素性を示す一つのシグナリングになるからだ。NFT では本物と偽物の見分けもつきやすいので、ハイブランドのファッションには非常に向いている。(坂井さん)

NFT に落とし穴は無いか?

Gaudiy が NFT ベースで構築した「TOKYO IDOL FESTIVAL」のコミュニティ
Image credit: Gaudiy

ここまでメリットをいくつか伺ってきましたが、デメリットは無いでしょうか? 坂井さんは、確かに問題はあるものの、そういった問題は NFT だから起きるわけではなく、リアルの世界でも起きているので、NFT だからネガティブなことが増えたということは無いと言います。この意見には石川さんも同調しました。

リアルの世界よりも、NFT の方が問題は起こりにくい。デジタル証明が付与されるからだ。虚偽されたらどうなるか、というよりは、結果的に虚偽されなくなっていく。また、NFT は、秘密鍵の管理の問題、仮想通貨を使う UX、ガス代(ネットワーク手数料)が高い、など、他のものに劣っている点もあるが、すでに改善策が見えているので解決できる。

「NFT だから・・・」という理由で思考停止になっている人が多いように思う。NFT はすでに価値あるものを拡張する技術であって、NFT そのものに価値は無い。NFT を主語にするのではなく、価値あるものを作って、そこに NFT を活用しようとしなければいけない。(石川さん)

石川さんは、インターネットの黎明期と同じで、NFT ユーザが指数関数的に普及していくと見ています。それに向けて、より実用価値のあるユースケースをさまざまなプレーヤーと組んで世の中に出していきたいとのことでした。また、NFT の普及には、技術より社会的認知や行政の認知が課題になるため、こうした啓蒙活動にも注力していかれるようです。

セッションではそれ以外にも石川さん、坂井さん、四方さんと一緒に NFT に関する話題を提供していますので、ご興味ある方は今日、17時から配信開始するオンラインイベントTokyo Meetupをチェックしてみてください。

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VCを評価する上で、AUMが適正な指標ではない理由【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。彼は、日本で Shizen Capital(旧 Tachi.ai Ventures)のマネージングディレクターを務める。本稿は Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。英語によるオリジナル原稿は、BRIDGE 英語版に掲載している。(過去の寄稿) This…

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。彼は、日本で Shizen Capital(旧 Tachi.ai Ventures)のマネージングディレクターを務める。本稿は Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。英語によるオリジナル原稿は、BRIDGE 英語版に掲載している。(過去の寄稿

This guest post is authored by Mark Bivens. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture capitalist. He is the Managing Partner of Shizen Capital (formerly known as Tachi.ai Ventures) in Japan. The original English article is available here on Bridge English edition.


Image credit: Pixnio

ベンチャーキャピタルの人たちがプライベートエクイティの人たちに対して言いたがる言葉に、「プライベートエクイティの人たちは AUM で自分のエゴの大きさを自慢するが、ベンチャーキャピタルの人たちは本当に重要なのは IRR であることを知っている」というものがある。

さて、この3文字の言葉を定義してみよう。まず、エゴという言葉は、性別を問わないように、ここでは婉曲的に使っている(実際には、このような自慢をするのは男性が多いが……)。AUM は Assets Under Management(ジェネラルパートナーチームが運用するファンドの総資金量)を意味する。IRR とは、内部収益率は Internal Rate of Return(ファンドの投資家に分配されるキャッシュリターンを年率換算したもの)のこと。

アセットマネージャーが AUM を気にするのは、それが収益の保証に直結するからである。クローズドエンド型の投資ファンドは、一般的に「2:20 モデル」を採用している。これは、年間管理料が2%で、ファンドが生み出したキャピタルゲインのうち20%を分配するというものだ(別名キャリード・インタレスト)。年間管理料は、AUM の直接的な関数であり、毎年 AUM 総額の2%となる。契約上は、ファンドの存続期間(通常は10年間)にわたって設定される。一方、キャリード・インタレストは、ファンドのパフォーマンスに比例して発生するもので、ファンドから発生するキャピタルゲインの20%に相当する。

したがって、AUM が大きいということは、ファンドの存続期間中、多額の収益が保証されることに直結する。AUM が10億米ドルのファンドマネージャーは、おそらく年間約2,000万米ドルの経常収入を得ているだろう。一方、1,000万米ドル規模のマイクロ VC ファンドでは、管理手数料を通じた経常収益は年間20万米ドルに過ぎない。

ズレが生じるリスク

管理手数料はファンドの運営をカバーするためのものであるため、過度に高い管理手数料は、マネージング・パートナーの高額な給料、豪華なオフィス、豪華なパーティーにつながる。たとえファンドの業績が低迷していても、2桁台の年間収益が数年間にわたって保証されていれば、かなり快適な生活を送ることができる。これでは、どこかにズレが生じてしまうのではないだろうか。

一方、小規模な VC ファンドにはそのような余裕は無い。小さな VC ファンドのマネージャーは、管理手数料だけでは豊かになれない。彼らはパフォーマンスを発揮しなければならない。自分が運用しているファンドから大きなキャピタルゲインを得て初めて、彼らはキャリード・インタレストの仕組みを使って自分のために富を得ることができるのだ。IRR は各ファンドの財務パフォーマンスを表している。

財務的リターンを重視するプライベートエクイティや VC ファンドの LP 投資家にとって、IRR は AUM ではなく、財務的リターンを反映する指標だ。だから、ファンドマネージャーが AUM を自慢するときには、IRR を尋ねるのが適切な反論になると思う。

正直に言うと、私も以前は AUM を自慢していた。AUM を10億米ドル近く運用していたファンドの元 GP として、カンファレンスではよくこの数字を引き合いに出して自己紹介をしていた。しかし、時間が経つにつれ、IRR がファンドマネージャーとしての私の真の KPI であることを学んだ。IRR は、自分の仕事の出来不出来を示す指標だ。私が最もパフォーマンスの高いファンドは、ファンドサイズが小さく、つまり、AUM が小さいファンドであることは、数学的には異常なことではない。

実際、IRR よりも AUM を重視する傾向は、エコシステムの段階を示すものでもある。ある地域のベンチャー市場がまだ始まったばかりの頃は、トラックレコードが限られているため、最も近い指標は AUM となる。しかし、ファンドマネージャーが最初の時代を過ぎると、「では、あなたの IRRは?」という質問になってくる。

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タッチポイントが増える理由ーーメルカリのオフライン戦略「メルロジ」を考える(2)

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タッチポイントの先行事例 (前回からのつづき)EC躍進を背景とした「集荷」タッチポイントの事業はもちろんメルカリだけではありません。先行しているひとつに三菱商事が展開する「SMARI(スマリ)」があります。EC事業者の「返品」に着目したタッチポイントで、例えばファッションレンタルのエアークローゼットは使い終わった商品をここの集荷ボックスに返却することができます。同じ系列のローソンに3,000カ所設…

メルカリポスト

タッチポイントの先行事例

(前回からのつづき)EC躍進を背景とした「集荷」タッチポイントの事業はもちろんメルカリだけではありません。先行しているひとつに三菱商事が展開する「SMARI(スマリ)」があります。EC事業者の「返品」に着目したタッチポイントで、例えばファッションレンタルのエアークローゼットは使い終わった商品をここの集荷ボックスに返却することができます。同じ系列のローソンに3,000カ所設置されており、見かけた方もいるかもしれません。

最近では日本郵便の「e発送」サービスがこのSMARIでも使えるようになり、メルカリも「ゆうゆうメルカリ便」で発送する場合はこのタッチポイントから発送が可能になっています。メルカリポスト同様、コンビニのレジを塞ぐことはありません。

またヤフオク!を運営するヤフーとヤマト運輸も10月から1カ月間、タッチポイントを活用した実証実験を実施していました。ヤマト運輸が提供する宅配ロッカー「PUDO(プドー)」を使ったもので、ヤフオク!ユーザーはここに商品を入れるだけで梱包をヤマト運輸側で実施し、発送してくれるというものです。あくまで実験レベルですが、面倒な梱包という作業を代行してくれるメリットはわかりやすいです。

宅配ロッカー「PUDO(プドー)」を使った梱包サービスの実証実験

日本郵便が開始したゆうパケットポストも特徴的なタッチポイントです。e発送サービスで個人間取引の商品を発送できるポストですが、専用資材に印刷されている二次元コードをメルカリなどのアプリで読み込むだけで、送り状すら貼り付けずに投函することができます。

店舗型のメルカリステーションでは体験教室など啓蒙活動を可能にし、一次流通と連携するきっかけを作ろうとしています。メルカリポストやPUDO、SMARIといったタッチポイントは時間によらない集荷や返品にまつわるサービスを提供します。また、これらの拠点ではすべてデータを取ることが可能です。

「集荷という変化に対してデータを駆使することで新しいサービスの展開が可能になります。従来物流では夕方に出荷するのが通例だったりしますが、(個人間売買の)お客様の購買行動は必ずしもそうではありません。夜遅くなど余暇の時間に購入しているし、出荷も集中したセンターでまとめてやるわけではありません。朝に持ち込みが多いなど、いつどこでというデータが取れるので、例えば朝に荷物を取りに行くことができれば、もっと効率化できるかもしれませんし、それを還元することができるかもしれないのです」(進藤さん)。

メルカリポストについては2024年に現在の1,000カ所から8,000カ所へ設置場所を広げるという計画も発表されています。地域についてはやはり生活導線上に置かないと無駄になるため、自然と現在利用の多い一定地域に集中して展開たすることになるだろうとの見込みをお話されていました。また、梱包レス発送やクリーニング、リペアのような付加価値サービスについては来年春から提供する予定だそうです。

垂直統合型のメリット

ローソン設置のSMARIはすでに3000カ所に拡大

またメルカリポストは垂直統合型という隠れたメリットもあります。実は筆者、この取材に先立ってひとつメルカリで手持ちの道具を他人にお譲りし、メルカリポストを使ってみることにしました。しかし、近所には設置店がなく、ローソンにあったSMARIを見つけてこれはと使ってみることにしたのです。

しかし、SMARIは日本郵便の「e発送」に対応したサービスです。らくらくメルカリ便(ヤマト運輸)を選択した後では、こちらを使うことができず、もっと言うと、らくらくメルカリ便とゆうゆうメルカリ便でこういった違いが発生すると分かっていなかったのです。

発送の体験を向上させる、という意味において複雑な工程はマイナスにしかなりません。結果としていつも使い慣れてるファミリーマートの店舗端末から店頭レジで発送することに。この辺りは様々な事業者に水平展開しているプラットフォームよりも、(一般論ですが)自社のサービスに融合した垂直統合型のモデルの方がやはり使い勝手はよくなるはずです。

ビジネスはどうなる?

ここまでの考察で分かる通り、メルロジは領域こそ物流ですが、従来型の物流企業とはやはりことなるユニットになることは明らかです。実際、進藤さんも現在20名ほどのチームで新たに求めるのは、データサイエンティストや3PLの現場やサプライチェーンを理解したコマース経験者といった人物像を挙げていて、例えば自社で配送トラックを所有するような想定はないとしていました。一方、具体的な売上などについてはこれからと、まだ構成自体を検討しているというお話です。

PUDOやSMARIといった既存事業について、各社の決算を見てみたのですがまだ事業として言及している情報は見当たらず、前述の梱包サービスなどもまだまだ実証段階という状況は各社変わらないようです。またコンビニなどで集荷によって得られる手数料も筆者が調べた限りでは数円から数十円程度だそうで、コンビニ側にしてみれば集客の一環として捉えていることが想像できます。

とは言いつつ、そもそもメルロジには本体となるメルカリがあります。前述した3600万人の潜在ユーザーを掘り起こすだけで本業へのインパクトは相当です。かつ、明確に梱包などの付帯サービスも見えてきています。そして大きな資産になるのがやはりデータです。例えば無人コンビニを展開する600(ろっぴゃく)は自社で得た配送ルートをAIで最適化したサービス「Vending Hero」として切り出し、大手清涼飲料水メーカーに採用されています。

メルロジとしては付帯サービスがついたタッチポイントを他社のECに展開することも可能ですし、こういったデータを活用した物流ソリューションを新たに提供することも視野に入れることができるわけです。

ということで、メルカリが発表した物流戦略、メルロジについて整理をしてみました。タッチポイントが増えるに従い、これまでコンビニが担ってきたオフラインでの場所の体験がどのように変わり、潜在するという3600万人がどう動くのか、その他のメルカリShopsやメルコインといった新しい動きと合わせて引き続き考察を続けてみたいと思います。

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小型貨物の“ヤバい”伸びーーメルカリのオフライン戦略「メルロジ」を考える(1)

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10月の終わり、メルカリは新たな戦略として新設の子会社「メルロジ」を発表しました。翌日の最新決算(2022年6月期・第1四半期)においても2ページほどを割いて紹介されており、主力3事業(メルカリJP、メルペイ、メルカリUS)および新規事業のソウゾウ(メルカリShops)、メルコイン(暗号資産)鹿島アントラーズの3社に加え、ここに新たなプロジェクトが立ち上がることになりました。 テーマは物流です。既…

写真右手:メルロジ代表取締役COOに就任した進藤智之さん

10月の終わり、メルカリは新たな戦略として新設の子会社「メルロジ」を発表しました。翌日の最新決算(2022年6月期・第1四半期)においても2ページほどを割いて紹介されており、主力3事業(メルカリJP、メルペイ、メルカリUS)および新規事業のソウゾウ(メルカリShops)、メルコイン(暗号資産)鹿島アントラーズの3社に加え、ここに新たなプロジェクトが立ち上がることになりました。

テーマは物流です。既報の通り、大きく躍進するEC市場を背景としたものですが、では、彼らは既存のヤマト運輸や佐川急便、日本郵便を脅かすようなポジションを考えているのでしょうか?

今回、新たにメルロジ代表取締役COOに就任した進藤智之さんにお話を伺う機会を得ましたので、実施背景や将来的なビジネスの可能性などの疑問を整理してみたいと思います。進藤さんはヤマト運輸でキャリアをスタートさせ、その後、日本IBMやアマゾンジャパン、イオン系列などで長年サプライチェーンに関わる経験を積んできたロジスティクスのプロです。

小型貨物に関するヤバい伸び

このお話を進める前にまず、数字の整理をしておきましょう。メルロジ設立会見でもいくつか上がっていましたが、現在、日本国内における宅急便の利用は「うなぎのぼり」に増加しています。今年8月に国土交通省が公表している「令和2年度宅配便取扱実績」によると、昨年の宅配便取扱個数は約48.3億個で、前年比約5億個増(12%)の状況だそうです。

国土交通省「令和2年度宅配便取扱実績」

さらにヤマト運輸の公表している小口貨物取扱実績をみると、最新の情報(11月5日発表)でEC向け「ネコポス」の累計取扱個数が約2.2億個と、昨年比にして約148%の大幅成長を遂げていることがわかります。ちなみにネコポス躍進の背景にはその前年10月に実施された料金改定(195円から175円)が影響しているのでは、という話もあるようです。

そしてメルロジの設立発表会ではこれに加えて興味深い数字が公表されていました。メルカリの独自調査としてこの日本の宅配荷物におけるメルカリの荷物の割合が5〜10%を占める、というのです。ざっくりと2.5億個から5億個で、さらに多くの利用ユーザーがこれらの荷物発送に使っているであろう、コンビニにおける荷物配送の実に8割がメルカリに関連したものである、というから驚きです。

10月末に実施された会見資料で明らかになったコンビニ発送の実態

激動の市場環境変化を背景に進藤さんはメルロジ設立の理由を次のように語っていました。

「コロナ禍もあって配達環境は大きな変化がありました。各社が注目しているのはラストワンマイルです。(異物混入などのトラブル懸念から)タブーだった置き配が当たり前になったり、数年前は考えられない世界になっています。例えばこれまでも2時間刻みで(自宅に)集荷に来てくれていたんですが、それが待てなくなって自分でコンビニや取扱店に持ち込むようになりました。かつて最高の価値だったものが変化してきているんです」。

ちなみに分社化したのは意思決定のスピードを上げるためです。例によって人の採用については重要視しているというお話でした。

さて、以前に本誌でもお伝えしたように、現在の日本におけるECの利用率はまだまだ途上です。最新の調査では一つの指標として注目されている「EC化率」の成長角度が変化するなど、踊り場を迎える様子はありません。

メルカリ自体も継続して成長しており、メルカリJPのMAUは年次成長で13%増の1984万人、流通総額についても昨年比19%増の2034億円(11月5日発表の決算)と高い成長率を保っています。あらゆる数値がこの規模で伸びている。成長痛という課題も見えてきている。つまりそこにはチャンスしかないわけです。

コンビニだった「場所」のアップデート

ではこのチャンスにメルロジはどのようなアプローチを考えているのでしょうか。

彼らがチャレンジするシンプルな課題のひとつに「潜在的な」3600万人の利用意向ユーザーの存在があります。実際に利用しているユーザー2000万人ほどに留まっており、使ってない人たちの課題は出品や個人間売買への不安、梱包の体験など「出品まで」の改善点に集中しているそうなので、ここをブレイクスルーできれば大きな利用者増が見込めることになります。

大筋のシナリオは昨年2月に開催された事業戦略発表会で明らかになった「コネクト戦略2020年」がベースになっていると考えられます。大きくはこれまで二次流通だったメルカリが一次流通と交わり、データを追うことでよりモノを捨てることなく必要な人の手元に流通させる、という構想です。

そしてこれを実現するためのアプローチとして重要になるのがオフラインの設置でした。昨年の戦略発表会で明らかになった新拠点「メルカリステーション」はこれまでにマルイなど11箇所で開催、「メルカリポスト」については現在1,000カ所への設置が終わっているそうです。

これまでメルカリとユーザーをつなぐリアルなタッチポイントはコンビニや宅配便の集荷センターでした。しかし創業以来、スタートアップであった彼らは急激な成長を実現するため、ここをある意味「ハック」して活用していたにすぎません。巨大な社会インフラに成長してしまった結果、コンビニには大きな集荷の負荷がかかり、メルカリ側は貴重なユーザーのタッチポイントをコントロールできないという状況が発生したわけです。ちなみに会見ではメルカリポストひとつ設置すると、コンビニ窓口の発送業務は1件あたり60秒の短縮につながるとお話されていました。

つまりメルロジはこの「場所」をアップデートすることで、新しい展開を生み出そうとしていることになります。ここで得られる成果は大まかに「体験啓蒙」「データ収集」「サービス」の三つになると考えられます。(次につづく)

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連続起業家が初回起業家に語る極意、〝試合〟に勝つための攻略法〜IVS 2021 Fall in 那須から

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本稿は、11月17〜19日に開催された、IVS 2021 Fall in 那須の取材の一部。 イベント1日目の17日の午後には、5つ会場で合計14に及ぶパネルディスカッションやワークショップが進行された。本稿では、この中から、筆者の興味をひいたセッションのひとつ「強くてニューゲーム?連続起業家が語るスタートアップ裏攻略法」を、ポイントをかいつまんで簡単に紹介してみたい。このセッションのスピーカーは…

本稿は、11月17〜19日に開催された、IVS 2021 Fall in 那須の取材の一部。

イベント1日目の17日の午後には、5つ会場で合計14に及ぶパネルディスカッションやワークショップが進行された。本稿では、この中から、筆者の興味をひいたセッションのひとつ「強くてニューゲーム?連続起業家が語るスタートアップ裏攻略法」を、ポイントをかいつまんで簡単に紹介してみたい。このセッションのスピーカーは以下の通り。モデレータは、グロービス・キャピタル・パートナーズの代表パートナー高宮慎一氏が務めた。

(以下は発言の要旨をまとめたものであるため、言い回しなどは発言の通りでない場合があります。)

一度目の起業と比べ、二度目以降の起業はうまくできているか? 初回起業家より連続起業家は有利か?

Fril(フリル)は黒字だったので、VC から調達しなくても事業を回すことができていた。赤字を掘ってトップラインを伸ばすという経営を以前はしてこなかった。競合(メルカリのこと)が出てきて、自分のやってきたサービスがコモディティ化してくると、兵隊の数で試合が決まるということを学んだ。いかに資金を調達して、兵隊の数を確保して試合に勝つか、ということが重要。(堀井氏)

1回目の経験を2回目以降の事業に活かすことができているものはあまり無いかもしれない。採用はこういうことをするとミスする、といったようなことはわかる。また、毎度、起業をする毎に、知り合いから資金調達できるスキームができてきたことは非常にありがたい。

投資家にとっては、投資を検討している起業家が投資家を損させない気概をどの程度持っているか、イグジットの際に起業家がどう動くかは、気にはなることではあるがよくわからなかったりする。以前の起業で投資に参加していれば、それがわかるので投資をしやすいというのはあると思う。また、投資家と起業家は立場の違いから意見の相違が生じることもあるが、ブレずに合理的な判断に基づいた意見を出し合うことが重要。合理性があれば、互いの立場を理解し尊重しあえる。合理性なく「あの時は、あんなに仲良く一緒にやったのに」と言われると辛い。

前の事業を一緒したチームが、そのまま次の起業の時のチームに入ってくれると、前の組織での失敗を引き継ぐことができ、コミュニケーションの擦り合わせコストを減らせるのは大きい。(古川氏)

信頼をフックにして、人とお金を調達できるのは大きい。今の事業も半分くらいは以前の事業からのメンバーだし、VC との付き合いもあったので、スマートバンクで昨年10億円を調達した時には、プロダクトはまだ無かったが、ほぼピッチ資料だけで調達できた。投資家には信頼してもらえる分、プレッシャーも大きいが。信頼残高をフックにし、最初のひと転がしのところから、お金を使ってブーストができるのは大きい。足りないリソースは、だいたいお金で解決できる。フリルの頃はとにかく赤字が怖かったが、今はどれくらいお金が必要かを最初に見極めて、それを調達し勝負するということができる。

お金は集めるのが難しいが、使うのも難しい。調達する人と、事業にそれを張っていく人が会社の中で別の方がいいと思う。その方が調達した資金を積極的に事業に投資していけるから。エンジニアをはじめ、フリルの時の創業メンバーがそのままスマートバンクに入ってくれたので、会社のカルチャーが変わらなかったのは大きい。(堀井氏)

アメリカで VC に就職し、その日本支社を立ち上げる過程で日本の VC 各社に会っていたので、最初の起業をするときの資金調達もやりやすかった。VC の経験から投資契約書(タームシート)の内容も熟知していたので、自分の力で資金調達を実行することができた。ただ、ロケーションバリューの時にはエンジニアを採用するのに苦労したので、スマートラウンド起業の前には誘われていたグーグルに入社し、入社時の挨拶では、3年後にはグーグルのエンジニアを引き連れて辞め起業することを公言した。これは戦略的なものだった。

一度目の起業でイグジットしているので、今の事業からは給料をとっていないものの、仮に失敗しても生きていけるという心の余裕があるのはよい。また、複数回起業をしていると、多く失敗をしているし「この光景、前にも見たことがある」というデジャブで遭遇することがよくある。そういう点で経験は生かされる。また、起業家と投資家を経験した自分の場合は、その両方を経験していないとわからないペインポイントをサービスにしているので、すごく有利だった。(砂川氏)

一度目の起業に戻ってやり直せるとしたら、何をしたいか?

堀井翔太氏

自分の応援団をどれだけ作れるかを意識したい。応援団の人数で事業規模が決まるから。現在は数が増えたが、当時は100億円規模のファンドを持つ VC の数も限られていた。そういった VC を軒並みおさえていきたい(編注:VC は利益相反を避けるために、原則として同業は一社にしか投資しない。自社が投資を受けられれば、その VC は競合には投資しないことになり、自社が投資を受ける著名 VC 各社を味方につければ、必然的に競合が資金調達できる VC は選択肢が限られることになる)。(堀井氏)

もっとかわいくありたい。自分は性格が尖っているので敵を作りがち。スタートアップは、みんなに育ててもらうんだという感覚が必要。リソースも何も無いところから作っていくので、みんなに助けてもらってこそ、何かができるようになる。そのためにはかわいさが必要。しかし、人間はそんなに簡単には変われない。自分はかわいい人間にはなれないので、そういう皆に愛される人(COO の冨田阿里氏)にパートナーとして加わってもらった(砂川氏)

小さく成功したくらいでは喜ばず、逆に大きな挑戦に失敗しても笑ってくれるような株主を入れること。そうすると、チャレンジ量が多くなるので、よかったなと思う。以前の事業のとときは、なんとか形にしなくてはいけないというプレッシャーが大きかったので、事業としては小さくまとまってしまっていたかもしれない。大きな戦略を描くよりも戦術を考える方に社内の意識が向いてしまうと、うまくいかないように思う。(古川氏)

連続起業家から初回投資家へ。何をやるべきか、何をやるべきではないか。

砂川大氏

自分が初回起業家であっても、周りに連続起業家は多くいるだろうから、連続起業家から教わることが大事。コーチされる力、コーチする側にコーチしてあげたい、と思わせる力が必要。いわゆる「coachability」が備わっている人なら、初回起業家だからと言って、連続起業家よりも不利とは限らない。(砂川氏)

初回起業家が連続起業家を相手に戦うときは、その戦場を自分たちにとって有利な戦況にするのがセオリー。たとえば、連続起業家はお金を持っている場合は「彼らはお金で解決しようとしているけど、我々は顧客を大事にするという戦略です」みたいなポジションを取られると、連続起業家はやりづらくなる。同じ土俵で戦うのでなく、「これだったら負けない」という一番になれる要素を持っておき、常に有利な戦況を作ること。やるべきでないことは、その逆のこと。(古川氏)

チームの最初の10人の質を良好に保つこと。最初の10人は企業文化の土台になる人たち。特に黎明期は混沌としたり仕様が変わったりすることが続く時期なので、良い人を集めることに注力する。逆に自分が失敗したなと思うのは、事細かく仕様を作ったり、カスタマサポートに来たメールの返信を続けたりしたこと。自分の代わりになる人を早く採用し、早く権限を移譲すべきだった。マイクロマネジメントせず、一通り役割を任せられる形で人を採用し、起業家は採用か調達に集中して動けるようにすべきだ。(堀井氏)

連続起業家の立場から、初回投資家に「これやられたら嫌だなぁ」というのは何か。

(前述もしたが)国内のトップティア VC を先におさえられること。改めて起業して思うのは、特に C2C サービスは成長にどういうドライバが有効か、どういう優先順位で何を伸ばせばいいのか、最初は手探りで進めることになるが、こういうポイントは精通している人に話を聞いた方が早い。ボードメンバーに自分が戦っている領域に強い人に早く参画しもらうことが大事。特に、競合は精通した上で攻めてくる。今までは、痛手を追いながら自ら学んできたが、週に一度とかのペースで精通している人に業務委託で入ってもらうだけでも、相当無駄な遠回りを回避できる。競合に自分のプロダクトを完全コピーされて、資金を倍集められるのは最も嫌。(堀井氏)

怖いもの知らずの若者が一番怖い(言い換えれば強い)。我々はすでにいろいろ経験してしまっているから用心深く行動することがあるが、それがディスアドバンテージになる可能性はある。投資先の起業家で、結構な金額を資金調達したのに、それを全部、広告に突っ込んで、しかし、蓋を開けてみたら、結果、上手くいったいう事案があった。自分がスタートアップを始めた頃は一回失敗すると NG だったが、今はうまく失敗するとむしろプラスに働く(評価される)ので、恐れずに突っ走るのはアリだと思う。日本のスタートアップシーンの成長のためにも、他人のプロダクトの完全コピーはやめた方がいい。(砂川氏)

通常であれば、ニッチで張らなさそうな領域に、初回投資家が張って成功されたら非常に怖い。市場のメインセグメントではないが、あるターゲットを絞り込んでリソースを集中とかすると、それが正解だということもある。ビジネスモデルを完全コピーされて、行儀の悪いこと(競合優位のために相場より高い金額で需要を取り込み、結局、短期間のうちにその事業をやめてしまうようなこと)、戦略無しでやられて、それで早々に潰れられたりするようなことがあると非常に困る。市場が荒れる。(古川氏)

最初の起業の時、急に数字が伸びてきて成長するなと確信した瞬間は?

「Fril(フリル)」では、読者モデルの人が使ってくれて、ブログに書いてくれたらユーザ数が伸びて、また、読者モデルの人が使ってくれて、ブログに書いてくれたらユーザ数が伸びて、というのが連鎖して続いたことがある。(堀井氏)

ロケーションバリューが提供していた「おてつだいネットワークス(2011年にロケーションバリューから独立分社化、2012年にフルキャストホールディングスが買収)」は、「ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)」でローソン本社店舗での実証実験風景が取り上げられ、それをまた別の放送局が取材してくれる、という連鎖が起こった。一局出る毎に採用者が増える事象が繰り返され、最終的には全国のファミリーマートでアルバイト要員欠員時の人材確保手段に採用するまでになった。(砂川氏)

スタートアップにとって、応援されることは大事ということだが、そのためには応援されるための人脈が必要。その人脈はどう築いたか?

古川健介氏

応援されている人の周りは 応援力の高い人が多い。自分の場合は、キングコングの西野亮廣氏に応援してくれるように口説きに行って、その結果、西野氏を応援している人が自分のプロジェクトを応援してくれるようになった。対照的に、斜に構えている人の周りには、斜に構えている人が多いと思う。(古川氏)

自分の場合は、穐田誉輝氏(クックパッド元代表執行役兼取締役)や馬場功淳氏(コロプラ創業者・代表取締役)といった、プロダクトを作る姿勢が自分と近い経営者が、メンター兼投資家として応援してくれた。「ゼロから作った実績があれば、またゼロから作れるよ」と言ってもらえたことはよく覚えている。自分とバックグラウンドが近い人を見つけて口説くのは大事。(堀井氏)

どうやったらベースが作れるかではなく、どうやったらそのキーパーソンを捕まえられるか。自分にかわいげがあれば、向こうから寄ってきてくれるようになる。(砂川氏)

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米国で盛り上がる「ベビーテック」、VC総投資額は過去5年間で2.7倍に

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<ピックアップ> Nap apps and smart bassinets hook new parents 重要なポイント:Pitchbook のレポートによると、アメリカのベビー向けスタートアップの VC ディール数は2016年の32件から2021年は59件に増加し、過去5年間で総投資額は1億8,200万米ドルから4億9,100万米ドルへと約2.7倍に増加した。 詳細:赤ちゃんの授乳やおむつ交…

Image credit: Unsplash

<ピックアップ> Nap apps and smart bassinets hook new parents

重要なポイント:Pitchbook のレポートによると、アメリカのベビー向けスタートアップの VC ディール数は2016年の32件から2021年は59件に増加し、過去5年間で総投資額は1億8,200万米ドルから4億9,100万米ドルへと約2.7倍に増加した。

詳細:赤ちゃんの授乳やおむつ交換、薬の服用のタイミングや昼寝の時間、日ごとの成長などを記録するアプリ「Huckleberry」は11月4日、Morningside Ventures がリードしたシリーズ A ラウンドで1,250万米ドルを調達したと発表した。同社の累計調達額は1,600万米ドルに達した。このアプリは179カ国で120万世帯が利用しているという。

  • 11月9日の Bloomberg の記事 によると、泣いている赤ちゃんを揺らして落ち着かせ、睡眠時間を増やすスマートバシネット(赤ちゃん用の簡易ベッド)「SNOO」を開発する Happiest Baby は、IPO を検討しており、評価額は約10億米ドルになる可能性がある。
  • 同じくスマートバシネットやベビーモニターを開発する Cradlewise も11月9日に、Footwork がリードしたシードラウンドで700万米ドルの調達を発表している
  • Pitchbook のデータによると、ベビーフードに関わるスタートアップや、オンラインで登録すると哺乳瓶やベビー服などのベビー用品サンプルが届く BabyList なども収益性の高い取引となっている。その他にも、オーガニック粉ミルクメーカー、スマートベビーモニター、ベビー服のマーケットプレイス、AI 睡眠トラッキング製品などが高額案件として挙げられている。

背景:元ヘルステックジャーナリストで、Omers Ventures のベンチャーキャピタリストである Christina Farr 氏は、次のように述べている。

ベンチャーキャピタルに女性や子を持つ親が増えたことで、ベビー用スマートデバイスや子育てアプリの資金調達が増えている。

  • さらに Farr 氏は家族のカレンダーやスケジュールを管理するアプリも、育児に関する記録アプリと同様に人気が高まると考えており、その理由として次のようにコメントしている。

仕事に関するスケジュールを整理するアプリやサービスはたくさんあるのに、家庭に関するスケジュール管理方法が少ないのはおかしいですよね。また、コロナ禍で育児と仕事の両立ができずに女性が大量に離職したことや、アメリカ政府の育児への補助が少ないことから、育児アプリもさらに成長することが見込まれます。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:池田 将

via  Axios

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工場ラインの改善はデジタルツインで:BMWがNvidiaのOmniverseを採用(2)

BMWの未来の工場の青写真 (前回からのつづき)BMWがNvidiaのGTC November 2021 Conferenceで行った4つのセッションは、BMWがどのように生産拠点を未来の工場に変えていくかという青写真を示している。その青写真の中核となるのは、バックエンドの統合サービスを適切に行うことだ。これにはProjectWise、BMWの社内システムであるPrismaおよびMAPP、Tecn…

Above: McKinsey and WEF’s ongoing collaboration provides new insights into how manufacturers can continue to adopt new technologies to improve operations, add greater visibility and control across shop floors, and keep costs in check. Source: McKinsey and Company, ‘Lighthouse’ manufacturers lead the way—can the rest of the world keep up?

BMWの未来の工場の青写真

(前回からのつづき)BMWがNvidiaのGTC November 2021 Conferenceで行った4つのセッションは、BMWがどのように生産拠点を未来の工場に変えていくかという青写真を示している。その青写真の中核となるのは、バックエンドの統合サービスを適切に行うことだ。これにはProjectWise、BMWの社内システムであるPrismaおよびMAPP、Tecnomatix eMSとのリアルタイム統合が含まれる。

BMWは技術スタックのフロントエンドの各アプリケーションとのライブシンクをサポートするOmniverse Connectorsを利用している。フロントエンド・アプリケーションには、多くの主要な2Dおよび3Dコンピュータ支援設計(CAD)、リアルタイム・ビジュアライゼーション、製品ライフサイクル管理(PLM)、および高度なイメージング・ツールが含まれる。BMWは、Nvidia Omniverseを集中型プラットフォームとして採用し、さまざまなバックエンドおよびフロントエンド・システムを大規模に統合することで、技術スタックを拡張し、31の製造工場におけるアナリティクス、AI、デジタル・ツイン・シミュレーションをサポートした。

リアルタイムでのモデルのカスタマイズを実現

他の企業が失敗する中、BMWがNvidia Omniverseをどのように導入したかは、未来の工場への取り組みの成功例を知る上で重要だ。BMWは、CAD、PLM、ERP、MES、品質管理、CRMなど、生産に不可欠な各システムの異なるクロック・スピードやケイデンスを、誰もが理解できる単一のデータ・ソースに基づいて同期させる必要があることを早くから認識していた。

Nvidia Omniverseは、データ・オーケストレーターとしての役割を果たし、各部門が解釈して行動できる情報を提供する。BMW AGの取締役会メンバーであるMilan Nedeljković氏は次のように述べている。

「グローバル・チームは異なるソフトウェア・パッケージを使用して共同作業を行い、完全なシミュレーションで動作する機能を使用して、リアルタイムで工場を設計・計画することができます。これは、BMWの計画プロセスに革命をもたらしました」。

製品のカスタマイズは、BMWの製品販売と生産の大半を占めている。現在、年間250万台の自動車を生産しているが、その99%がカスタムなのだそうだ。BMWによると、各生産ラインは10種類の車のいずれかを迅速に構成して生産することができ、それぞれの車には10種類のモデルにわたって最大100個以上のオプションが用意されており、顧客は最大2,100通りのBMWを構成することができる。さらに、Nvidia Omniverseを使用することで、BMWは新しい大型モデルの発売に合わせて工場を迅速に再構成できる柔軟性を備えることができるようになった。

ラインの改善をシミュレートして時間を短縮

BMWが製品カスタマイズ戦略に成功したのは、生産に不可欠な各システムがNvidia Omniverseプラットフォーム上で同期化されているからだ。その結果、あるモデルをカスタマイズする際のすべてのステップで顧客の要求が反映され、各生産チームにもリアルタイムで共有される。

さらにBMWは、リアルタイムの生産モニタリングデータをデジタルツインのパフォーマンスのベンチマークに利用しているという。BMWのエンジニアは、工場全体のデジタル・ツインを使って、各モデルの生産工程のどこをどのように改善すればよいかを迅速に把握することができる。

例えば、BMWはデジタルヒューマンとシミュレーションを使って、作業者の人間工学と効率性のための新しいワークフローをテストし、実際の従業員のデータを使ってデジタルヒューマンを訓練している。また、工場内に設置されているロボットについても同様のことが行われている。リアルタイムの生産・プロセスモニタリングデータとシミュレーション結果を組み合わせることで、BMWのエンジニアは改善すべき点を迅速に特定することができ、品質、コスト、生産効率の目標を達成し続けることができる。

Above: BMW simulates robotics improvements using Nvidia’s Omniverse first before introducing them into production runs to ensure greater accuracy, product quality, and cost goals are going to be met.

BMWのような複雑な製品カスタマイズ戦略を成功させるためには、製造業が依存するすべてのシステムがリアルタイムで互いに同期していなければならない。各システムが共通して動作し、各チームがそれぞれの仕事をするために必要なデータや情報をリアルタイムに提供する必要があるのだ。今日、BMWはこれを実現しており、モデルごとの構成レベルまで大規模な計画を立てることができる。

また、各モデルの構成をNvidiaのOmniverseで完全に機能するデジタル・ツイン環境でテストし、新しいモデルを生産するために生産ラインを再構成することができる。既存の生産ラインとデジタル・ツインから得られるリアルタイムの生産およびプロセス・モニタリング・データは、BMWのエンジニアリングおよび生産計画チームが、どこで、どのように、なぜデジタル・ツインを修正して、新しい改良点を生産に移す前に完全にテストするかを知るのに役っているそうだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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未来の工場はメタバースにある:BMWがNvidiaのOmniverseを採用(1)

BMWは、Nvidiaが発表した新技術「Omniverse(オムニバース)」を標準化し、製造業務のあらゆる側面をシミュレートすることで、スマートマニュファクチャリングの限界に挑戦している。BMWは、生産ネットワーク内の31の工場から工場労働者への作業指示に至るまでこれを実施し、生産計画の時間を30%短縮したという。 NvidiaのGTC November 2021 Conferenceでは、BMW…

Image Credit: Aviva

BMWは、Nvidiaが発表した新技術「Omniverse(オムニバース)」を標準化し、製造業務のあらゆる側面をシミュレートすることで、スマートマニュファクチャリングの限界に挑戦している。BMWは、生産ネットワーク内の31の工場から工場労働者への作業指示に至るまでこれを実施し、生産計画の時間を30%短縮したという。

NvidiaのGTC November 2021 Conferenceでは、BMWのDigital Solutions for Production Planning and Data Management for Virtual Factoriesのメンバーが、BMWとNvidiaがデジタルツインに対応した製造オペレーションのシミュレーションについての最新情報を提供した。彼らのプレゼンテーション「BMW and Omniverse in Production」では、Regensburg(レーゲンスブルグ)の工場が、現場での作業指示やロボットのプログラミングに至るまで、制約条件に基づいた大規模な生産と限られたスケジューリングをシミュレーションできる、完全に機能しているリアルタイムのデジタル・ツインの様子を詳細に紹介している。

製品の品質向上、生産量の増加に伴う製造コストや計画外のダウンタイムの削減、作業者の安全性の確保は、すべてのメーカーが目指す目標だが、一貫して達成することはほとんどないそうだ。これらの目標を達成するためには、生産やプロセスのモニタリング、製品定義、製造現場のスケジューリングなどから得られるデータを、いかに流動的かつリアルタイムに、各チームが理解しやすい形式で製造現場で共有するかが重要になる。

これらの目標を達成するための課題を克服することが、アナリティクス、AI、デジタルツイン技術を採用する理由となる。これらの課題の核心は、製造業が日々生成する膨大なデータを正確に読み解くことにある。製造業が日々生成するデータから最大限の価値を引き出すことが、スマートマニュファクチャリングの本質だ。

未来の工場とは何か

McKinseyと世界経済フォーラム(WEF)は、他の工場とは異なる優れた工場の特徴を研究している。彼らは「先進的な製造業と生産の未来を形作るプラットフォーム」の構築など、最初の共同研究やその後の多くの調査研究を行っており、この共同作業がいかに生産的であるかを物語っている。さらに未来の工場とは何かという定義に高い基準を設け、選ばれたメーカーの経営を継続的に分析して顧客に提供している。

McKinseyとWEFによると、ライトハウス・メーカー(訳注:グローバル・ライトハウス・ネットワーク参照)たちはパイロット版を大規模な統合生産へと発展させるそうだ。また彼らは製造プロセス全体の可視性とコスト管理を維持しながら、拡張性のある技術プラットフォーム、変更管理の優れたパフォーマンス、変化するサプライチェーン、市場、顧客の制約への適応性を備えていることでも知られている。BMWオートモーティブは、McKinseyとWEFが1,000社以上の企業を評価して特定したライトハウス・マニュファクチャリング・カンパニーの初代メンバーになる。McKinseyとWEFの調査によると、以下の図は、ライトハウス・メーカーの世界各地の工場の所在地を地理的に示している。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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新時代の検索「You.com」のアイデアとは/GB Tech Trend

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載 GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。 今週の注目テックトレンド 数年に一度の消費者向け(To C)サービス・トレンドが来ていると言われている昨今、新たな検索サービス誕生の機運が高まっています。ということで、今…

2,000万ドルを調達した検索サービス「You.com」(Image Credit:You.com)

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

数年に一度の消費者向け(To C)サービス・トレンドが来ていると言われている昨今、新たな検索サービス誕生の機運が高まっています。ということで、今回ご紹介するのは「You.com」です。11月9日、2,000万ドルの資金調達を発表しています。

You.comの特徴は2つほど挙げられます、「ホライズン表示」と「アプリ連携」です。Googleを筆頭とする従来の検索サービスは、大半が縦スクロールで検索結果を表示させていました。テキスト記事やウェブサイトの検索結果を多く表示する上では適切な手法であったためです。

しかし、バーティカル表示(縦長表示)は20年以上前のUXに囚われている表示手法とも言えます。今ではテキスト以外に動画やニュースなどのカテゴリー別の結果も細かく求められていますし、RedditやMedium、TikTokのような大手コンテンツプラットフォームの結果表示もあります。こういったあらゆるサービスから統一的に情報検索したいというニーズに答えるべく登場したのがYou.comです。

You.comではサービス別・カテゴリー別に綺麗に分類した結果を表示させるUIを採用しています。その上で各トピックがホライズン表示(横スクロール)することで網羅性を高めました。コンテンツから別アプリに飛ばすことも重視しています。これはGoogleのように自社サービスに「閉じた」利用を求める大手企業の戦略の裏をかいたUXとも言えるでしょう。ユーザーからすれば様々な検索ソースを集めることができるメリットが生まれます。

ユーザーは一覧化された各検索結果カテゴリーの好みの優先度を付けることもできます。たとえば動画結果を優先して表示したい場合は、動画セクションを一番に持っていくことで今後利用する際のトップ画面に結果表示することができるようになります。

You.comは、検索結果のソース別にあらゆるカテゴリーを網羅的に表示することに秀でたサービスです。ただ闇雲に結果を表示するのではなく、そこにホライズン表示を採用することで見やすくなるように設計しており、ユーザー自身による結果表示のパーソナライズ化にも取り組んでいます。

以前、このコラムでは各種検索窓口と連携するAdd-on型の検索サービス「Neeva」をご紹介しました。創業者は元Googleで検索広告事業部にいたSridhar Ramaswamy氏であり、同氏はGoogleの検索結果は広告が優先的に表示され、ユーザーがほんとうに求めるコンテンツがなかなか探し出せないアルゴリズムに疑念を呈し、Neeva開発を手がけることになっています。

今回のYou.comが2,000万ドル、Neevaは4,000万ドル(記事掲載時)を調達しており、検索市場にも新たなトレンドとして次のGoogle誕生を期待する声が聞こえてくるようになりました。

今週(11月9日〜11月15日)の主要ニュース

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ARの壮大な挑戦と危険性ーー「ポケGO」Nianticが語る拡張現実の未来像

NianticのCEOであるJohn Hanke氏は、Augmented World Expoのスピーチでメタバースについて語った。メタバースとはNeal Stephenson氏、William Gibson氏、そして映画「マトリックス」を思い起こさせるものだ。 「架空の未来像では世界があまりにも混乱しているため、人々はそこからある種の仮想現実に逃避し、そこで生活し、仕事をし、遊ぶ必要性が出てくる…

Image Credit: Niantic

NianticのCEOであるJohn Hanke氏は、Augmented World Expoのスピーチでメタバースについて語った。メタバースとはNeal Stephenson氏、William Gibson氏、そして映画「マトリックス」を思い起こさせるものだ。

「架空の未来像では世界があまりにも混乱しているため、人々はそこからある種の仮想現実に逃避し、そこで生活し、仕事をし、遊ぶ必要性が出てくるでしょう。では、みなさんにお聞きしたい。

それはあなたが想像する未来ですか?そしてそれはあなたの子供たちにも同じことが言えますか?

そう、これは私たちNianticが実現すると信じている未来ではないのです」(Hanke氏)。

Nianticは最近、Lightship Augmented Reality Developer’s Kitと呼ばれる新しいソフトウェア開発パッケージで、そのプラットフォームを公開した。Lightship ARDKには、同社のARゲーム「Pokémon Go」や「Pikmin Bloom」の開発に使用されたシステムの多くが搭載されている。同社はこれらのツールを利用することで、開発者が拡張現実コンテンツを作成する際の助けとなることを期待している。さらに一歩進んでHanke氏は本日(訳注:原文掲載日は11月11日)、Lightship ARDKがNiantic Mapと呼ばれるものにアクセスできるようになることを発表した。Hanke氏はこう続ける。

「ARの壮大な挑戦、それは世界をマッピングすることです。現実の持続的で共有された解釈に対応し、そこに物事を固定して、マルチプレイヤーコンテンツやリアルタイムマッピング、理解をもたらし、世界と融合させることができるようになります。これが実現すれば、世界の特定の場所に合わせた体験ができるようになります。私たちはそのバージョンを持っており、機能しているのです」。

Hanke氏はこの地図を示すために、現実世界の地図とジオキャッシングのコンセプトを組み合わせたNianticの新しいアプリを紹介している。ジオキャッシングとは世界中で行われている活動で、人々が物やメモを探し当てるために隠し、そのGPS座標を一般に配布する、言わば巨大な借り物競争のようなものだ。Nianticの新しいゲームは、同じコンセプトに基づいているのだが、代わりにARオブジェクトを使用している。デモでは一人のプレイヤーが像の下にある穴の中にカードを入れ、他のプレイヤーがそのエリアを探し回ってカードを見つける様子が披露された。

Niantic Mapと拡張現実、そして責任の重さ

マップのデモンストレーションが終わると、Hanke氏はこの責任についても語った。

「この技術で何ができるのか、世界中の開発者がARで何を作れるのか、ワクワクすると同時に、このコンピューティングの次の段階には、大きな責任が伴うことを認識しています」。

先に述べたSFのディストピアというテーマに戻ると、Hanke氏はARの世界を利用する不謹慎な輩の危険性について警告している。

「一日中身につけているウェアラブルデバイスを考えてみてください。頭につけていれば、あなたがどこを見ているのか、たいていはわかるはずです。他にも心拍数なども把握しているかもしれない。製品や広告を見たとき、生理的にどうなったでしょうか?心拍数が上がりましたか?人を見たらどうでしょう?あなたのメガネはその人を認識しているかもしれない。あなたの心拍数はどうなりますか?他の人を見たとき、瞳孔が開きましたか?感情はどうですか?それもかなり正確に予測できるようになってきている。つまり、これはSFではないのです。私が今説明したことは、今すぐにでもエンジニアが実際に行うことができるのです」。

警告を発した後、Hanke氏は基調講演を前向きに総括した。

「もちろん、そのようにならなければならないとは思っていません。私たち次第ではありますが、その方向に行く必要はないのです。Nianticではこの世界が提供する最高のものをさらに高め、そして信じられないほどポジティブな方法でこの技術を使用する選択を、私たちが一緒に実現できる未来を確実に描いています。人々を集め、楽しみ、経験を共有することができます。最終的には、私たちを分断するのではなく、人と人とを結びつけるためにあるのです」。

Lightship ARDKは現在入手可能で、来年にはNianticのマップが彼らのdevkitに登場する予定だ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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