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Column

なぜ人はスニーカーに熱狂するのかーートレードする若者、スーツを着なくなった40代

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ここ数年のシェア経済で認められる一つのトレンドに「スニーカーのC2C」というテーマがあります。今年の春先に企業価値を10億ドルと評価された(とされる)米StockXがその急先鋒ですが、創業者が1年前に語った記事によれば、毎日200万ドルの売上(グロス・セールス)が発生しており、従業員は700名に拡大しているそうです。 2015年の創業なのでトラクションが強烈なことがよくわかります。彼らのモデルは「…

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モノカブを通じて売買されるスニーカーたち

ここ数年のシェア経済で認められる一つのトレンドに「スニーカーのC2C」というテーマがあります。今年の春先に企業価値を10億ドルと評価された(とされる)米StockXがその急先鋒ですが、創業者が1年前に語った記事によれば、毎日200万ドルの売上(グロス・セールス)が発生しており、従業員は700名に拡大しているそうです。

2015年の創業なのでトラクションが強烈なことがよくわかります。彼らのモデルは「リアルタイムプライシング」による個人間売買で、売却成約時に販売者から8〜9.5%、購入者から約2%の手数料モデルとなっています。

私は今、Bhrino(ブライノ)というスタートアップでスニーカーの個人間売買「モノカブ」を手掛けています。現在、創業から約1年半ほどですが反響は大きく、流通総額は毎月50%を積み上げるなど、改めて日本でもスニーカー人気が証明されつつあると実感しています。

なぜ人はスニーカーに心を奪われ、取引するのか。

サービスを運営する中で一つ、興味深い数字に出会いました。それが利用ユーザーの4分の1を占める「40代」ユーザーの存在です。若い10代、20代の世代はもちろん、この大人世代が加わることで、この市場にある動きが生まれているからです。

メルカリでビジネスを覚えた若者たち

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発送するモノカブのスタッフもまたユーザーだったりする

メルカリの誕生で10代,20代の人はものを売るといったことが当たり前になってきました。スニーカーというのは不思議なもので相場という概念があり、その時々により値段が変動しています。「この商品は将来的に上がると考え、資産運用のように長期で保有する」といった議論がスニーカー好きの若者たちの中で当たり前のようにされているのです。

その考え方はまさに株式投資に近いもので、今の10代から20代はメルカリでビジネスを覚え、今度はモノカブである種の金融に自然と取り組んでいるのではないかなと感じています。

ハマってる40代

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数万円から10万超のスニーカーを大人買いする40代

一方、こういったマーケットが成立するには、力強い買い手の存在も必要です。特に10万円以上するスニーカーをポンと買える購買力があるのは一定層の大人たちがやはり中心です。日本にスニーカーブームが始まったのは1990年からと言われています。ReebokのPump FuryやAir Jordan 1,Air Max 95など、日本では空前のスニーカーブームとなり、1足40万円などで取引されるスニーカーが出てきて「エアマックス狩り」という言葉が生まれるほどの社会現象を巻き起こしました。

このど真ん中世代がまさに今の40代なのです。

憧れのスニーカーは当時の学生だった彼らには高価すぎて購入することはなかなかできません。その世代の方々が現在社会人となって、ある程度の金額を支払えるようになった。そこで再度、スニーカーにハマりだした、という現象が起こっているのです。

着なくなったスーツ、スニーカーに流れるお金

もう一つ、スーツを着なくなったことも要因として考えられます。まだまだスーツ中心の社会ではありますが、スタートアップを中心にスーツを着ない働き方のスタイルが広がっています。

意思決定を減らすために毎日同じような会社のTシャツにパンツ・アップルウォッチを着ける。そうなると男性の身だしなみではスニーカーぐらいにしかお金をかけるところがなくなってくるのです。高級革靴として考えればスニーカーのプレ値もそこまで高くはないため、どんどん購買されていくのではないかと思います。

スニーカーを単なるファッションやスポーツアイテムとして捉えれば、成立するのはせいぜい中古品の売買程度かもしれません。しかし、ここに挙げたような世代のお金に対する考え方の変化、ライフスタイル、若かった頃の歴史、こういった背景が加わることで、全く異なる市場が生まれ、そして成立しているのです。

もちろんここに挙げた要因はほんの一角だと思います。これから拡大するこの魅力的な市場を引き続き事業者としてウォッチしていきたいと思います。

<参考情報>

本稿はスニーカーC2C「モノカブ」を運営するBrhino代表取締役、濱田航平氏によるもの。Twitterアカウントは@koheyhamada。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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成長企業が押さえるべきDX「5つの型」ーーデジタルトランスフォーメーション【DXの羅針盤】

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DX。「デジタルトランスフォーメーション」の略語であり、近年メディアで目にする機会も多くなりましたが、文脈によっては、既存の業務フローやオペレーションをただ表面的にデジタル化することだけを指して使われていることも多いように思います。 この概念を一言で表すことは難しいですが、次の2点が頭の整理に重要です。 各産業におけるステークホルダー毎の提供価値と、受け取る利益のバランスが適正となるビジネス構造を…

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Photo by Pixabay on Pexels.com

DX。「デジタルトランスフォーメーション」の略語であり、近年メディアで目にする機会も多くなりましたが、文脈によっては、既存の業務フローやオペレーションをただ表面的にデジタル化することだけを指して使われていることも多いように思います。

この概念を一言で表すことは難しいですが、次の2点が頭の整理に重要です。

  • 各産業におけるステークホルダー毎の提供価値と、受け取る利益のバランスが適正となるビジネス構造を実現すること
  • プロダクトやサービスを単なる機能提供に留まらせるのではなく、ユーザーの体験価値との共存を視野に入れた形で、包括的にデザインすること

私たちジェネシア・ベンチャーズの考えるデジタルトランスフォーメーションとは、自社が本質的に提供したい価値=事業やサービスの“あるべき姿”を考え抜き、実際のビジネスに落し込むこと、そしてその実現のために、デジタルを中心に据えた持続可能な事業モデルや業務フローへ文字通り「転換」していくことを意味します。

幅広い概念なだけに各社、取り組みの前にまずは「言語化」から入るのがオススメです。

DXには「型」がある

では、企業がDXに取り組むためにまず何から始めれば良いのでしょうか?

私たちはベンチャーキャピタルという仕事を通じて数多くの有望なビジネスモデルの発掘、支援に日々注力しています。その中で、DXには一定の「型」があることに気づきました。

  • ネットワークの拡張
  • 情報探索・選択コストの削減
  • 多重取引構造の解消
  • データ・アグリゲーション
  • モノ・時間・空間のROI最大化

本稿ではそのサマリーをみなさんに共有したいと思います(全編はこちらをご覧ください)。

型①:「ネットワークの拡張」

基本的な型として「ネットワークの拡張」があります。インターネットが広く一般に普及した結果として、出自や居住地といった生来の制約条件に縛られることなく、時空間を超えて人や情報、売買の機会にアクセスすることが可能となりました。

これはほぼ全てのウェブサービスに当てはまる最も基本的かつ汎用的な型ではありますが、具体的なサービス例としては人的ネットワークを拡張するInstagramやTwitter(SNS)、商取引のネットワークを拡張するAmazonや楽天、AppStore(マーケットプレイス)があります。

型②:「情報探索・選択コストの削減」

二つ目の型が「情報探索・選択コストの削減」です。

一つ目の型とはある意味で相反するものですが、インターネットを通じて膨大な情報に制約なくアクセスすることができるようになった結果、今度はそれらの情報を特定の目的に資する形で効率よく整理して解釈し、意思決定に繋げるという行程に大きなコストが伴うようになってしまいました。

そこで、仲介者として雑多な情報を集約・整理し、ユーザーが求めるフォーマットに変換して送り届けるプレイヤーが出現してきます。具体例として、TripAdvisor(旅行)、Yelp(グルメ)、Zillow(不動産)等のバーティカルメディアや、GunosyやSmartNews等のキュレーションメディアも同様の型に基づいたサービス例です。

型③:「多重取引構造の解消」

三つ目の型は「多重取引構造の解消」です。

取引される製品やサービスの単価が高く、一定の専門性が伴う不動産や建設、人材仲介といった業界においては、利用者と提供者の間に多くの仲介業者が介在する多重請負型の産業構造が常態化しています。つまりここの効率化です。

上の図は、中古不動産の売買取引透明化を例示したものですが(私たちの支援先であるNon Brokersが、インスペクション=住宅診断機能を武器にこのシフトを促進しています)、建設業界ではシェルフィーが、印刷業界ではラクスルが、人材業界ではビズリーチが、それぞれの業界において多重請負構造の解消を推進しています。

ただし、各業界において全ての中間プレイヤーが即座に排除されるかと言えばそうではなく、取引の間をとり持つ過程で、実績に裏付けられた信用力や交渉力、真贋判定機能等によって適切な介在価値を提供するプレイヤーについては、今後も存続していくことが想定されます。各業界の中間プレイヤー向けのSaaSビジネスが伸びる理由は、まさにここにあります。(C2Cについては原文で解説しています)

型④:「データ・アグリゲーション」

次が「データ・アグリゲーション」型です。

上の図は個人の資産管理を例にとり、銀行や証券会社等の大手金融機関に対するMoney ForwardやFreeeのポジショニングを示したものです。今後あらゆるシステムやアプリケーションが外部連携を前提として構築されるようになることを踏まえると、個別企業のもつ情報をユーザー視点で整理し直し、統合されたデータからそのユーザーに最適な機能や情報を推薦してくれるサービスには、業種やカテゴリーを問わず大きなニーズが付随するように思います。

また、この型はSaaS(Software as a Service)のビジネスにも同様に当てはまります。型③の説明でも触れた通り、SaaSの本質は業務効率化ではなく、企業内オペレーションや企業間取引のデータ化であるため、収集したデータを基にユーザー体験を向上したり、新たにファイナンスサービスを提供したりすることができるという点で、「データ・アグリゲーション」の典型例と言えます。

型⑤「モノ・時間・空間のROI最大化」

最後が「モノ・時間・空間のROI最大化」です。人やモノの情報がネットワーク化されたことで、消費や労働のモデルが所有から利用へ、占有から共有へと大きくシフトしつつあり、それに伴って、自らの持つモノや時間、空間から得られる便益を最大化しようとする価値観が広まっています。

上の図は、一社に専属的に雇用されて働く従来型の労働モデルから、単発で労働リソースを提供するギグエコノミーモデルへの転換を示したものです。

代表的なサービス例としては、ドライバーとユーザーをオンデマンドでマッチングするUberやGrab、Gojekがありますが、私たちの支援先では、建設現場と建設職人をマッチングする助太刀や、単発アルバイトアプリのタイミーもこの型を取り入れたサービスを展開し、急成長を遂げています。

なおワークシェアリング以外にも、民泊サービスのAirbnbや、スペースシェアリングのスペースマーケットやakippa、クラウドコンピューティングのAWSやMicrosoft Azureも、モノや時間、空間のROIを最大化させる性質を持ったソリューションと言えます。

おわりに

本稿では、私たちが普段思考のフレームワークとして使用しているDXの型について、その一部を例示しながらご紹介してきました。背景としては、冒頭にも述べた通り、真のDXを実現させるためには各々の企業がバラバラに効率化や個別最適を追求するのではなく、スタートアップも、大企業も、VCも、政府機関も、社会全体が同じ方向を向いて取り組みを進めていく必要があるという強い思いがあります。

産業をデジタルの力でアップデートし、持続可能で豊かな社会を実現するために、世の中の普遍的な変化の方向性を捉え、その促進を支援する仲間が一人でも多く生まれて欲しいと願っています。

<参考情報>

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのインベストメントマネージャー相良俊輔氏によるもの。Twitterアカウントは@snsk_sgr。11月15日から毎週、朝の事業プラン相談「DX Cafe by Genesia.」を開催予定。くわしくはこちらから。

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リファラル採用で「自社をおすすめしない社員」は1割、3,000社の声からみえた“実態”と4つの成功フロー

先日、私たちは400名以上の人事担当者を対象にしたアンケート結果を公表しました。 採用難が続く昨今、多くの担当者は新たな採用手法の検討だけでなく、会社の本質的な課題まで考える必要が出てきていると回答しています。 一方、新たな手法として注目度が増している「リファラル採用」についても、その導入の現場においてよく聞かれるのが「うちの社員は帰属意識が低いから…」といった不安の声です。 私はリファラル採用の…

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Photo by Helena Lopes on Pexels.com

先日、私たちは400名以上の人事担当者を対象にしたアンケート結果を公表しました。

採用難が続く昨今、多くの担当者は新たな採用手法の検討だけでなく、会社の本質的な課題まで考える必要が出てきていると回答しています。

一方、新たな手法として注目度が増している「リファラル採用」についても、その導入の現場においてよく聞かれるのが「うちの社員は帰属意識が低いから…」といった不安の声です。

私はリファラル採用の導入を支援する「MyRefer」というサービスを2015年に開始し、これまで3,000社以上の企業で社員が社員を呼び込む「社員のファン化」という現象を直近に拝見してきました。

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その経験とデータから見えてくるリファラル採用の実態は実は次のようなパターンに大きく分類されます。

  1. アクティブな社員:1割・・・進んで友人に声がけをする、会社へのロイヤルティが高くSNSなどで積極的に自社の情報をシェアする
  2. パッシブな社員:8割・・・進んで声がけはしないが、転職を考えている友人が周りにいたら紹介してもいい
  3. ネガティブな社員:1割・・・自社をおすすめしたくないから、そもそもリファラル採用をしたいと思えていない

自社を積極的に友人におすすめするアクティブな社員がいなければリファラル採用の促進が難しいと考えてしまいがちですが、実はリファラル採用の8割は「たまたま前職の同期と飲んだときに仕事の悩みを相談された」といった受動的な機会から紹介するケースがほとんどなのです。

つまり、リファラル採用を促進させるためにはこの「8割を占めるパッシブな社員」がおすすめしたくなるような組織創りが重要になってきます。重要なポイントは次の4つです。

  • 隠れている「自社ファン」の特定
  • 自社ファンをチームにする
  • 透明性の高いコミュニケーションプラン
  • 人を動かす「ストーリー」

#1 リファラルにおける自社のファン、隠れファンの特定

まずは前提でお話した社員の構造を理解した上で、自社のファンや隠れファンを特定することから始めます。ファン社員は自社を積極的に友人に語ってくれているアクティブ層、隠れファン社員は、自社を積極的に友人に語ることはないが、機会があればおすすめするパッシブ層になります。特定の方法については、下記2つのアプローチがあります。

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  • 過去のリファラル採用の紹介状況を分析し、積極的に声をかけてくれているアクティブ層、積極的ではないが、友人からの相談の機会に受動的に紹介してくれているパッシブ層を特定する
  • 社内アンケートやサーベイからリファラル採用に協力的である社員を抽出し、アクティブ層、パッシブ層を特定する

#2 ファンを巻き込んだプロジェクトチーム組成(ファンの声回収)

次に手がけるのは特定したファン、隠れファンを選別したプロジェクトチームの組成です。人事だけでリファラル採用の制度設計するのではなく「自社をなぜおすすめしたいと思うのか?」ファン社員の生の声を聞くことが重要です。過去の紹介数や友人に紹介するときの自社の魅力ポイントに基づいて、ファンベース採用を実現する仕組みを構築します。

プロジェクトチームの体制としては、役職・性別・部門を交えて多様なメンバーを選ぶことで、より本質的な声を回収することが可能になります。

#3 透明性の高いコミュニケーションプランの設計

リファラル採用の促進にあたっては、採用に関わるあらゆる情報を透明性もって流通させます。特にパッシブ層に対し、いかに採用を「自分ゴト化」してもらうかが鍵です。そのためのコミュニケーションプランを設計し、自社の採用戦略から採用計画、チャネル施策、おすすめポイントや入社者情報などを共有していきます。

例えば自社の空きポストのみを共有しても、背景がわからなければ自分ゴト化することができません。

  • 今、自社の採用はどういう状況なのか?
  • そもそも何で募集しているのか?
  • どこのポストでどういうスペックの人に声がけすればいいのか?
  • 現状の採用チャネルは何を使っていて、リファラル採用はその中でどんな位置づけなのか?

つまり、みんなでファンを作って採用していくための前提としての背景情報を共有するのです。

#4 おすすめしたくなるストーリーを纏ったコミュニケーションプランの設計

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透明性の高い情報を受け取った上で必要になるのが「どうやって友人に紹介してもらうか」というHowの部分。ここでオススメするのがストーリーです。

説明的言語ではなく、Whyから始まるストーリーをもった感情的言語は語り手(社員)本人の推奨度を高め、そして聞き手(友人)の共感を高めていくことができます。さらに、ストーリーは人間の脳に長期記憶として残ります。

例えば、子どもを教育するときには、説明的にくどくど説教されるより、『アリとキリギリス』の童話を読み聞かせるほうが納得感があって記憶にも残ります。つまり、社員自身のエンゲージメントを高めておすすめを促進し、友人の意向を高めるためには、人の心を動かし共感を得るストーリーが不可欠なのです。

いかがだったでしょうか。

冒頭でも申し上げた通り、今、日本では2030年に向けて明らかな労働人口の減少が指摘されています。持続可能な企業の成長を考える上での採用、組織戦略は経営企画の喫緊の課題です。私たちはリファラル採用を通じて社員をファンにし、ファンをベースに会社を創っていくことがそのソリューションになると信じています。

<参考情報>

本稿はリファラル採用活性化サービス「MyRefer」を提供する株式会社MyRefer代表取締役社長CEO、鈴木貴史氏によるもの。Twitterアカウントは@takafumi_szk。12月10日に「社員をファンにするおすすめしたい会社創り」をテーマにしたmeetupイベント「Fanbase Recruiting Meeting」を開催予定。くわしくはこちらから。

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資金調達の民主化は「投資型クラウドファンディング」が完成させる

「株式会社」は、会社法で株主の権利と経営者の責任が明確に規定されている素晴らしい仕組みです。 事業目的に共感し参加する株主に支えられることによって、社会性の高い事業を推進する。株主の投資目的は本来、配当やキャピタルゲインではなく、社会に役立つ事業を共同で成し遂げることにあるのです。 その一方、マネーゲームに代表される「お金儲け」が本来の価値とは異なる視点を与えている、というのも事実です。 株式会社…

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Photo by Pixabay on Pexels.com

「株式会社」は、会社法で株主の権利と経営者の責任が明確に規定されている素晴らしい仕組みです。

事業目的に共感し参加する株主に支えられることによって、社会性の高い事業を推進する。株主の投資目的は本来、配当やキャピタルゲインではなく、社会に役立つ事業を共同で成し遂げることにあるのです。

その一方、マネーゲームに代表される「お金儲け」が本来の価値とは異なる視点を与えている、というのも事実です。

株式会社という仕組みを本来あるべき共同事業の形に最適化し、多くの人たちが夢を叶えるための手段としてもっと活用できるようにする。私たちが手掛ける株式型クラウドファンディングはその答えになるものと信じています。

私たちは今日、2019年11月6日、「株式型クラウドファンディングサービスを展開するDANベンチャーキャピタルの株式取得(グループ会社化)に関するお知らせ」を発表しました。CAMPFIREグループに参画することを決意した最大のポイントは、「資金調達の民主化」を掲げる同社の理念にあります。

私が20年に渡り理念に掲げてきた「中小企業のための資本調達のインフラづくり」。そのインフラは中小企業の事業に共感する多くの株主に応援いただく「資本市場の民主化」とも言えます。

上場会社だけに限られてきた資本市場の裾野を大きく広げ、皆が挑戦できる社会を築き上げる。

それが私たちの目指す世界です。

おカネではなく「ファン」を生み出す株式型クラウドファンディング

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CAMPFIRE・コーポレートページ

では、具体的にどのようにやるのか。それについて少し言及させてください。

中小企業の多くは創業者が株主であり経営者です。創業者と理念を共にする株主がみなの共同事業として出資をして、その経営を経営者に託する仕組みとして機能することが何より重要です。

日本国内に存在していると言われる法人数は260万社超、会社を組織形態別にみると、株式会社が約213万社(全体の94.3%)といわれます。その内、上場会社の数は約3,600社と、全体の0.2%未満。「公開会社」として株式を通じて広く遍く資金調達が実施できる権利を持つ企業は極わずかとも言えます。

この出資の仕組みをオンラインで効率化したのが株式型クラウドファンディングでした。

日本証券業協会によると「非上場株式の発行により、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集める仕組み」と定義、2014年に中小やベンチャー企業の資金調達を支援する目的とした改正金融商品取引法が成立、2015年に解禁された歴史浅い制度です。

しかしこの株式型は1社あたりの出資額が年間で1億円までと厳しく、かつ、投資家あたりの出資額も50万円までと大きく制限されています。また、上場を目指すいわゆる「スタートアップ投資」を手掛ける投資家には、不特定多数の個人投資家が含まれることに警戒感を示す方がいるのも事実です。

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CAMPFIREのミッション

そこで私たちは改めて株式会社の原点に立ち返り、株式に関心を持つ投資家ではなく、その企業や事業、経営者に関心を持つ方に株主として出資いただく「拡大縁故募集」というアプローチを取ることにしました。これは縁をいただいた友人知人、お取引先、地域でお世話になっている方が株主として事業を応援できる「永続的なファンをつくる仕組み」のことです。

つまり、株式市場やベンチャーキャピタルからの資金調達は上場を前提したものが大半ですが、それとは異なるものが「株式型クラウドファンディング」であると考えているわけです。

近年は、企業の意義や社会的責任が以前よりも注視され、投資家、株主も単に金銭的リターンだけではない、事業に対する社会的評価を今まで以上に重視されています。社会の公器たる株式会社は「公開会社」と呼ばれます。中小企業の多くが上場しなくても「公開会社」となれるのが「株式型クラウドファンディング」制度なのです。

これでCAMPFIREには購入型、寄付型、融資型、そして株式型の全ての手法が揃いました。目指す金融包摂の世界は目の前にまでやってきています。

「資金調達の民主化」が本当に起こった世界はどうなるのか、ぜひご期待いただければと思います。

<参考情報>

本稿は投資型クラウドファンディング「GoAngel」を手掛ける出縄良人氏によるもの。Twitterアカウントは@CAMPFIREjp。CAMPFIREの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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Spotifyが築く“音の帝国”ーー知っておくべき音声市場45社スタートアップまとめ(後編)

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前編ではGAFAMらが一挙にリリースさせたスマートイヤフォンを皮切りに、音声市場の成長性と音声SNSカテゴリーについて語りました。後編では他3つのカテゴリーについて触れていきたいと思います。後編の主役となるのがSpotifyです。同社が描くのは2つの戦略。「音声SNS」と「Podcastストリーミング」です。 2019年5月、Spotifyが「ソーシャルリスニング機能」をテストしていると報じられま…

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Image Credit: Spotify

前編ではGAFAMらが一挙にリリースさせたスマートイヤフォンを皮切りに、音声市場の成長性と音声SNSカテゴリーについて語りました。後編では他3つのカテゴリーについて触れていきたいと思います。後編の主役となるのがSpotifyです。同社が描くのは2つの戦略。「音声SNS」と「Podcastストリーミング」です。

2019年5月、Spotifyが「ソーシャルリスニング機能」をテストしていると報じられました。実際にはユーザーアカウントに紐づいたQRコードを読み込むと、友人のプレイリストを登録できるサービスであった模様です。前編で紹介したリアルタイムで音声対話をするような機能ではなかったようです。

しかしこれでSpotifyがP2Pネットワーク構築に興味を持っていることが推測できました。単にQRコードを通じたネットワークはあまり強固なものになるとは思いません。SNSとして機能させることでユーザーをフックさせることができます。Spotifyがここに賭ける可能性は高いと考えます。将来的に考えられるSNSの形は前編を参考にしていただければと思います。

タイトルにもある、Spotifyが目指す“音の帝国”が指すものは「音楽ストリーミング事業」「音声SNS」「Podcastストリーミング」の3つに集約されます。音楽ストリーミング事業で盤石なビジネスを確立し、次に目指したのはソーシャル要素。そして同時にPodcastストリーミング事業を急拡大させています。ここで話を戻し、3つのカテゴリーを紹介しようと思います。

2. Podcast制作/編集ツール

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Image Credit: Gimlet Media

2019年2月、SpotifyがPodcast市場への攻勢をスタートアップ買収を通じて急速に強めました。その1社が『Gimlet Media』です。2014年にニューヨークで創業し、2,850万ドルの調達をしています。

同社はオリジナルPodcastシリーズを配信する制作スタジオ。火星移住の模擬実験プロジェクトの参加者に密着したドキュメンタリー『The Habitat』や、AIアシスタントが登場するSFフィクション番組『Sandra』などの人気作品を続々と配信。eBayがスポンサーを務めるPodcast番組を配信し、ネイティブ広告を成功させています。Spotifyが得意とする音声広告をPodcast市場で成功させている点が評価され、買収に至ったのがGimletといえます。

Gimletのように自社制作スタジオ事業に手を出すスタートアップは多くありません。多大なコストがかかることから長く市場にいる人で無ければスケールすることはないでしょう。そのため大型競合は少なく、『Western Sound』や『Wait,What?』『The Athletic』のような中小規模のスタジオしか目立ったプレイヤーはいない印象です。

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Image Credit: Anchor

SpotifyはPodcast制作プラットフォームも買収しています。それが「Anchor」。2015年にニューヨークで創業し、累計調達額は1,500万ドル。手軽にPodcastを制作でき、Spotifyなどの各種音声プラットフォームに配信まで行える一気通貫サービスを提供。音声広告を展開することもできるワンストップ・プラットフォームと呼べるでしょう。

さて、企業がPodcastを制作をする場合、機材とチームがが揃っているため高品質なコンテンツを収録することができます。しかし個人ではなかなか編集するのに時間がかかりますし、リテイクを何度もする課題が発生します。この市場課題に目を付けたのが「Descript」。2017年にサンフランシスコで創業し、累計2,000万ドルの調達をしています。著名VC「Andreessen Horowitz」も出資している有望スタートアップといえます。

Podcast音声を読み込ませると、AIがデータ分析をしてテキスト表示に変換。単語単位で編集が可能となります。たとえば感嘆表現など、必要のない声を手軽にカット編集できるツールとなっています。筆者も試しに利用しましたが、編集から商用利用可能な音声挿入まで1つのダッシュボードで出来ることから利便性の高い印象でした。同社はテキストをプロのナレータが吹き込んだPodcastに変換するサービス「Lyrebird」を買収。テキストとオーディオの両方を編集できるツールとして市場攻勢を強める戦略です。

少し話が逸れますが、音声アプリを構築するビルダーサービスも登場しています。Amazon AlexaスキルやGoogle Assistant機能を、様々なトリガーを設定してプロトタイプアプリを作成できる「Voiceflow」。2018年にカナダのトロントで創業し、350万ドルを調達しています。

3. Podcastコンテンツ・プラットフォーム

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Image Credit: Parcast

世の中には大量のPodcastコンテンツが散らばっています。こうしたコンテンツを集めてネットワークとして束ねるプラットフォーマーの市場ポジションを目指す企業が多数登場しています。Spotifyもこの分野に注目し、「Parcast」を買収しています。

Parcastは提携パートナーから提供されるコンテンツを流通するディストリビューターとしてサービスを展開。SpotifyからすればGimletとParcastの買収を通じてPodcast制作スタジオから流通ネットワークまで、Podcast市場の川上から川下までを抑える戦略に打って出たといえるでしょう。

Parcastの競合は数え切れません。2018年にニューヨークで創業し、すでに1億ドルを調達しているPodcastネットワーク『Luminary Media』は最大の競合と呼べるでしょう。50万以上のPodcastショーへアクセスできるプラットフォームとして展開しているコンテンツホルダー。アジア展開はしておらず、欧米市場のみでサービス提供をしています。同じく1億ドル調達をする、2015年サンフランシスコ創業の『Himalaya Media』は2,400万Podcastコンテンツ(コンテンツ単体ベース)を配信する大手です。

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Image Credit: Castbox

他にも2016年にサンフランシスコで創業し、累計2,970万ドルを調達している「Castbox」も有名です。9,500万に上るPodcastコンテンツを配信しており、その数ではLuminaryに引けを取りません。2013年に北欧で登場した「Acast」も累計9,700万ドルの大型調達をしているPodcast配信プラットフォーム。配信サーバーから分析ツール、広告ネットワークまでを持っており、配信インフラが整っている点が特徴。

2016年にロサンゼルスで創業し、1,500万ドルの調達をした「Wondery」も比較的大手の部類に入るPodcast配信ネットワークサービスです。「Misson.org」などのPodcastネットワーク企業も登場しています。中小規模のスタートアップでは200万ドル超の調達をしている『Entale Media』、UIが優れている印象の「Breaker」や「Brew」、「Overcast」など多数挙げられます。

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Image Credit: Blinkist

ビジネス記事や小説を聴く体験も普及しています。Podcastというよりはテキストコンテンツをそのまま読み上げるタイプのサービスです。2012年にドイツで誕生した「Blinkist」は3,480万ドルの調達に成功しています。様々な本の要約オーディオコンテンツを聴くことができます。この領域ではAmazonが展開するオーデイォブックプラットフォーム「Audible」が最大手といえるかもしれません。また、本の要約を一口サイズの音声コンテンツで配信する「Headway」も競合として挙げられます。

膨大なテキストコンテンツを効率的に理解する媒体として音声コンテンツは最適だと考えられます。「Curio」は『The Guardian』や『Financial Times』に代表される大手メディアの配信記事にナレーションをつけて音声配信するメディアプラットフォーム。忙しい若手ビジネスプロフェッショナル層をターゲットにキュレートコンテンツを提供します。テック/ビジネス系Podcast配信では「upside」というアプリも登場しています。

4. 特化型音声コンテンツ

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Image Credit: SimpleHabit

特定領域のコンテンツだけを配信する音声メディアがとても多く誕生している印象です。なかでも最近注目市場であるメディテーション(瞑想)市場から多数の音声アプリが登場しています。

2016年にサンフランシスコで創業し、累計1,260万ドルの調達を果たした「SimpleHabit」は好例でしょう。“瞑想版Netflix”をコンセプトに展開しており、全米の瞑想家のクラスを5-10分程度の短尺で聴ける手軽さが特徴です。電車の中やオフィスの仕事場などのシチュエーション別にクラスを選べる使い勝手の良さも評価できるでしょう。

競合には1億ドル以上の調達をしてユニコーン入りをした「Calm」が挙げられます。瞑想分野のコンテンツを幅広く揃えている点では肩を並べる競合はほとんどいないでしょう。2013年にボストンで創業した「10% Happier」も成長株として注目。累計510万ドルを調達しています。加えて2010年にロサンゼルスで創業し、累計7,500万ドル調達に成功している「Headspace」も大手スタートアップに数えられます。

日本でもメンタルヘルス市場に対して関心と需要が年々高まりつつあります。生産性改革に注目が集まる中、忙しい人に特化した短尺メディテーションコンテンツを配信するSimpleHabitを模倣した日本ベンチャーが急成長する可能性が大いにあると感じています。

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Image Credit: Aaptiv

コンテンツ領域特化で注目されるのは瞑想以外にスポーツも同様。激しい運動をする際、動画を観ながらレクチャーを受けるシチュエーションは考えにくいです。そこで登場するのがオーディオ。冒頭で説明したAppleやGoogleの完全無線イヤホンがあれば音声を聴きながら運動ができます。

こうしたユースケースに注目したのが「Aaptiv」。2015年にニューヨークで創業し、累計5,210万ドルも調達しているスポーツ特化の音声アプリ。トレーナー毎の運動コンテンツを聴きながら楽しく身体を動かせます。運動中に音楽が流れるため、どこにいてもジムにいるような感覚を得られる点も特徴です。同じようなコンセプトに300万ドルの調達をしている「MoveWith」もいます。

競合には2億ドル超の資金調達をした「ClassPass」が提供する「ClassPass Go」が挙げられます。ClassPassは月会費を払うことで様々なフィットネスクラスに通うことができるサブスクサービス。従来、1つのジムチェーンに会費を払う必要がありましたが、各ジムをネットワーク化して様々なクラスを楽しめる体験を提供しています。同社が最近注力しているのが音声フィットネス。全米のトレーナーが提供するクラスを手軽に楽しめます。ClassPassが音声市場へ参入するのは、ジムに通う人からジムに行かずとも屋外で自分で運動をする人に至るまで、フィットネス市場の全てをカバーする戦略に打って出ている証拠ともいえます。

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Image Credit: Tingles

ニッチなコンテンツを配信することで市場ポジション確立を目指す動きも目立ちます。Y Combinatorのプログラムを卒業したASMR配信プラットフォーム「Tingles」はまさにその事例に当たります。

ASMRは聴くだけで快感を持てる音声コンテンツを指します。耳を掃除する音や石鹸を削ると音などが代表的。YouTubeで流れる3-4時間以上の勉強向けBGMや、カフェの音、雨音なども広義にはASMRに入るでしょう。こうしたASMRコンテンツはこの2-3年で徐々に注目を集めており、Tinglesは世界中のASMRユーザーのプラットフォームになっています。

旅行ガイドアプリも登場しています。Skypeの創業者が作ったDetour」は音響機器メーカー「Bose」によって買収されています。旅行ガイド市場は非常に小さいですが、競合には「Audm」と呼ばれるスタートアップも現れています。

最後に、筆者が最も注目している音声スタートアップを紹介しています。それが音声学習コンテンツプラットフォーム「Knowable」です。“音声版Udemy”をコンセプトに、音の学校を作り上げています。各ユーザーが作った学習コンテンツを販売できるマーケットプレイスになっています。

現在は著名な起業家や投資家がコンテンツを吹き込んでいることから、ユーザーが自然とコンテンツをアップする流れにはなっていません。しかし、これから音声市場が成長し、コンテンツの制作のハードルが下がれば大きなビジネスチャンスを獲得できるでしょう。特化型学習コンテンツをたくさん集めることができ、流通総額が上がれば徐々にマーケットプレイスの成長速度も上がると感じます。事実、著名VC「Andreessen Horowitz」のパートナーも出資しており、これからの事業拡大は確実といえると考えます。

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ここまで駆け足で音声市場で活躍するスタートアップ約45社を紹介してきました。冒頭で説明したようにSpotifyが目指す“音の帝国”が指すものは「音楽ストリーミング事業」「音声SNS」「Podcastストリーミング」の3つ。コンテンツ量と強固なネットワークエフェクトを武器に完成されるのが音声市場の勝者です。その座を虎視眈々と狙っているのがSpotifyと感じます。

ソフトウェアサイドではSpotifyが最前線にいます。一方、前編でも紹介したスマートイヤフォンを発表したApple・Google・Amazon・Microsoftの4社はハードウェアサイドの最前線にいるといえます。この4社が同様に音声市場を狙いにきたらどうなるでしょう。

視聴体験の入り口となるイヤフォンを抑え、音声コンテンツまでを集めることでビックデータによるスマートアシスタントによるコンテンツレコメンドから自社プラットフォームで配信されるコンテンツを聴かせる綺麗な体験を提供する流れができます。他社プラットフォームへ逃さないユーザーの独占が始まるでしょう。まさに小売市場でAmazonが私たちを独占している構図が音声市場で起きる具合です。

話が飛躍してしまいましたが、2019年はSpotifyの買収劇をきっかけに音声市場が急成長する年になりました。2020年以降はプレイヤーが揃い、先述したような大きなビジョンと戦略を描きながら事業展開できる企業が勝てると感じます。

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耳の覇権争い始まるーー知っておくべき音声市場45社スタートアップまとめ(前編)

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「こんな魔法、聞いたことがない」 10月30日、Appleから華々しいデビューを飾った「AirPods Pro」。ノイズキャンセル機能が搭載され、より没入感のあるサウンドを味わうことができるようになりました。「Hey Sir」と呼びかけるだけで音楽・通話・音量調節もできるスマートアシスタントの機能も担っています。外部音取り込みモードが追加され、周囲の音も自然と聞こえるように。価格は249ドル。 G…

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Image Credit: Apple

「こんな魔法、聞いたことがない」

10月30日、Appleから華々しいデビューを飾った「AirPods Pro」。ノイズキャンセル機能が搭載され、より没入感のあるサウンドを味わうことができるようになりました。「Hey Sir」と呼びかけるだけで音楽・通話・音量調節もできるスマートアシスタントの機能も担っています。外部音取り込みモードが追加され、周囲の音も自然と聞こえるように。価格は249ドル。

Googleは先んじて「Pixel Buds」を発表しています。従来モデルとは違い、完全無線タイプとなりAirPodsと直接競合となる製品。環境音に合わせて自動的に音量を上げ下げする機能を搭載。「OK Google」でアシスタント機能を呼び出すことができます。最大の特徴は目の前の相手の内容を翻訳するGoogle翻訳機能を搭載している点。2020年春に価格179ドルで販売予定です。

Amazonも9月末に「Echo Buds」を発表。音響アシスタントAlexa機能とノイズリダクション機能を搭載。SiriやGoogleアシスタントと連携可能。価格は129.99ドルとApple、Googleと比較して最も手頃なもの。そしてMicrosoftも完全ワイヤレスイヤホン「Surface Earbuds」を発表。Officeソフトと連携ができ、たとえばPowerPointの資料情報を翻訳できるとのこと。価格は249ドルとAppleと同額。

3つの“聴く”習慣

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Photo by Feruz Matkarimov on Pexels.com

こうして直近1か月ほどで発表されたスマートイヤフォン製品を見るとGAFAM5社のなかでFacebookを除く四つ巴状態であることがわかります。世界のインターネットを支配すると言っても過言でもない巨大企業らを急速にキャッチアップさせる音声市場にはどのような魅力や成長性があるのでしょうか。考えられる理由は3つほど挙げられます。

1つはスマートスピーカーの普及。Amazon Echoシリーズが市場シェア約70%を占めている中、次のようなデータが公表されています。こちらの記事によると、全世代平均で週17時間ほどオーディオコンテンツを消費するとのこと。Podcastやラジオ、ストリーミング音楽などが該当します。なかでもスマートスピーカー所有者は、非所有者と比較してプライムアワー(8-10PM)に47%以上多くの時間をオーディオコンテンツに割いているそうです。

スマートスピーカーがプライムアワーに使われるシチュエーションを自宅リビングであると仮定すると、私たちがより多くオーディオコンテンツに増える機会は増えるでしょう。2019年6月時点で7,000万台のスマートスピーカーが流通していますが、次の3-4年で1億台を数えるはずです。こうしたスピーカーによってリビングで消費するオーディオコンテンツ時間は比例して増えると想像できます。

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2つ目は「観る」から「聴く」行動へ私たちの習慣が変わりつつある点です。これは先述したハードウェアによって提供されるオーディオ体験とは違い、習慣という最も力強い市場成長を支える要素となります。

読者の方で、スクリーンオフにした状態でYouTubeを聴き流した経験のある方はいないでしょうか?筆者はYouTubeの有料ユーザーなのですが、ざっと見積もって利用時間の7-8割は聴き流しており、そのためにお金を支払っています。私がこの記事を書いている間もYouTubeを聴き流しながら4-5時間ほど作業に当たっています。こうしたユーザーの新たな行動様式が自然と構築され、習慣化されることほど強力な市場要因はありません。

実際、著名VCであるMarc Andreessen氏も同じような点を指摘しています。同氏曰く、YouTubeの視聴者は職場で仕事をしながら動画コンテンツを聴く習慣ができていると語ります。1日8時間ほど労働時間があるとすると、週平均40時間ほどオーディオコンテンツの視聴時間が発生する計算です。これは前述した世代平均のオーディオコンテンツ消費時間17時間の6倍にも匹敵する市場です。

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3つ目は運転時間。米国では月間1.1億回の自動車通勤が発生。合計走行時間は25億時間にも及ぶといいいます。これから自動運転技術がさらなる発展を遂げ、完全自動運転化が実現すれば車内の運転時間がそのまま余暇時間として新たな市場に成り代わります。

そこでオーディオコンテンツは市場シェアの大半を占めると考えられます。というのも、動画視聴をしては仮に事故を起こした際に運転手が過失を取られることが予想され、非常にリスクの高いコンテンツになるためです。オーディオであれば視界を逸らさずにコンテンツ消費できます。

ここまで音声市場の成長性を3つの視点から説明してきました。ここからは音声市場で活躍するスタートアップ45社を4つのカテゴリーから簡単に説明していこうと思います。

1. 音声SNS

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Image Credit: Spoon Radio

声で繋がるSNSが流行の兆しを見せています。その最先鋒が「Spoon Radio」。2013年に韓国で創業したSNSスタートアップ。累計調達額は1,960万ドル。口パク動画SNSとして米国市場で台頭し、後にTikTokに買収されたMusical.lyの投資家も出資しています

Spoon Radioは「音声版SHOWROOM」といえるでしょう。ユーザーはタイトルと背景画像を設定するだけで自分のライブ配信ができます。ホストユーザーは音声で配信をし、ゲストユーザーとチャットをしながらやり取りをします。最大の特徴は音声のみの配信。動画とは違いどんな場所からでも配信ができる手軽さが売りです。

日本上陸初期の頃から私も使っており、ライブ・ランキングTop10位前後に毎回入るほど好んで配信をしていました。Spoon Radioは間違いなくオンラインで友人を最短、かつ最も簡単に作るためのツールであったのは間違いありません。その理由が2つ。「配信体験」と「Facebook・Twitter以上のフレンドネットワーク」です。

たとえば自室のベッドで横になりながら配信・聞けるシチュエーションを独占できる点は、他社ライブ配信アプリにはない大きな強みでした。街を歩きながらでも電話感覚で配信ができます。動画配信より手軽に配信できる参入障壁の低さは大きな魅力。そして前述したように他ユーザーのライブ配信をどんな環境下でも気軽に「聴き流せる」体験は余暇時間の大半を支配できます。この点、Spoon Radioを通じて音声が次なる巨大市場になると確信できました。

魅力的な音声配信体験に加えて、FacebookやTwitter以上のソーシャルフレンドの繋がりが大きな魅力として挙げられます。お互いの配信枠に遊びに行き、手軽に声で直接繋がることで知らないユーザーとより親密になれます。こうした力強いネットワークエフェクトがユーザーを逃がしません。事実、筆者はFacebookやTwitter以上にのめり込んでしまい、ソーシャル中毒状態になるほどはまってしまったためアカウント削除してしまいました。ですが、仕事が一区切りついて時間や気持ちの余裕ができればいつでも戻っていきたいと思わされる製品でした。

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Image Credit: TTYL

さて、アジアにおけるライブ音声市場ではSpoon Radioの独走状態であると感じています。一方、欧米市場では深く浸透していません。この市場機会を狙ったスタートアップが多数登場しています。その1つが「TTYL」です。2018年にロサンゼルスで創業し、累計調達額は200万ドル。

TTYLは累計7,000万ドルを調達してエグジットした多人数動画チャットアプリ「Houseparty」の音声版と呼べます。Spoon Radioが一方的な配信であるのに対して、複数人の双方向音声チャットの場を提供しています。

リアルタイムで音声配信されている枠にユーザーがジャンプインする体験が用意されています。知らない人との会話も楽しめることができます。似たようなプロダクトに「Chalk」が挙げられます。しかしどちらのアプリも近しい友人との会話を想定しているため、ユーザー同士のネットワークが広まるのかという点に課題が残ります。

一方、特定のトピックを事前に設定して配信するのが「Dabel」。日本人起業家である井口尊仁氏が仕掛ける音声SNS。TTYLとは違い、見知らぬ人同士との対話に軸を置く製品。配信枠にタイトルが入っているため事前にある程度どんなトピクが話されているのか想像できます。また、いきなり音声対話が始まるわけではなく、ホストユーザーがゲストユーザーを指名することで双方向の音声チャットが始まるため、ユーザー心理的に自然と会話を始められる導線が用意されています。

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Image Credit: Playlist

音声SNS市場の中でも少し違った切り口を出しているスタートアップもいます。たとえば「Playlist」は事前に用意されている音楽ライブラリの中から好きな曲を選んで友人と一緒に聞くサービスを提供。チャットをしながら感想を述べ合ったりできます。

友人が投稿した音声コンテンツを聴くことで繋がるサービスも一般的です。一般ユーザーが投稿するコメントを聞いてやり取りし合います。2014年にニューヨークで創業し、累計600万ドルを調達した「HereMeOut」が代表的。また、同じようなコンセプトの「Koo!」も登場しています。短い音声データをシェアする体験はSnapchatの流れに乗っているといえるかもしれません。

前編はここまで。後編では他3つのカテゴリーを、Spotifyの戦略を説明しながら紹介しようと思います。

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AmazonからMSへ電撃移籍、ゲームストリーマーShroudが「Mixer」で独占配信へ

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ピックアップ:Twitch megastar Shroud is joining Ninja on Mixer as an exclusive streamer ニュースサマリ:世界で最も有名なゲームストリーマーの一人であるShroud(シュラウド)が、Amazon傘下のストリーミングプラットフォーム「Twitch」を離れ、Microsoftが所有する「Mixer」で独占配信することを発表した。 …

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Image Credit: Twitter

ピックアップ:Twitch megastar Shroud is joining Ninja on Mixer as an exclusive streamer

ニュースサマリ:世界で最も有名なゲームストリーマーの一人であるShroud(シュラウド)が、Amazon傘下のストリーミングプラットフォーム「Twitch」を離れ、Microsoftが所有する「Mixer」で独占配信することを発表した。

今年8月に同じくTwitchのスターであったNinja(ニンジャ)がMixerと専属契約を結んだことを発表し、ストリーミング業界に衝撃を与えたニュースは聞くに新しい。著名ゲーマー2人の移籍はファンにとっても、業界にとっても衝撃を与えるだろう。

話題のポイント:e-sportsやストリーミング業界に少しでも関わりがある人なら誰でも知っているShroud。プロゲーマー達も彼の一挙手一投足に注目し、新作ゲームに対する彼の評価は大きな影響力を持ちます。

現在ストリーミングプラットフォームはTwitch(Amazon)、YouTube Gaming Live(Google)、Mixer(Microsoft)、Facebook Gamingの4つが市場シェアの大半を占めています。Twitchが業界をリードしており、視聴時間で比較すると業界2位のYouTube Gaming Liveに38倍の圧倒的な差をつけています。(ちなみにMixerの283倍)

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Image Credit:Streamlabs & Newzoo Q3 2019 Live Streaming Industry Report

Shroudは業界をリードするTwitchで第2位のフォロワー700万人を超えるトップストリーマー。その彼が業界3位を争うMixerに移籍したのです。大胆に例えると、日本でYouTube登録者数第2位のヒカキンがニコニコ動画にだけ動画を上げることを宣言したのに匹敵する衝撃です。ちなみにNinjaもTwitchでフォロワー1,400万人を超えるトップストリーマーでした。

今回はShroudのMixer移籍がストリーミングプラットフォームにどのような影響を与えるのか、2カ月早く移籍しているNinjaの例から考えようと思います。

SteaLabsとNewzooの業界レポートによると、Ninjaが加入した8月以降、Mixerのストリーミングプラットフォーム主要指標は第2四半期比で、総視聴時間は10.6%減の902万時間、総ストリーミング時間は288%増の326万時間、ユニークチャンネルは200%増の300万でした。

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Image Credit:Streamlabs & Newzoo Q3 2019 Live Streaming Industry Report

総視聴時間が減少している点に言及すると、メガヒットゲーム「Fortnite」に世界中が飽き始めていることが原因だと思われます。現在でも最も視聴されているコンテンツであることに間違いありませんが、全盛期に比べると40%ほど視聴時間が減っています。

Ninjaは「Fortnite」で絶大な人気を手に入れたプレイヤーです。Ninjaによるストリーミングのほぼすべてを占める「Fortnite」の人気に陰りが出たことが活躍の足かせになっていることは自明でしょう。

しかし、この傾向は移籍前から出ていました。Ninjaチャンネルの有料登録者数は2018年3月時点で25万人いたのに対し、2019年7月時点で1万5,000人と約6%にまで急激に落ち込んでいます。つまりMixerがNinjaに移籍金をわざわざ払って引き抜いた目的は視聴時間の増加ではなく、ストリーマー数の増加が目的と推測されます。

一般的にストリーミング拠点を複数持つ人は少なく、ユーザーにお試しで使ってもらえるだけで一定数のユーザーがMixerに定着する自信が合ったのでないでしょうか。言い換えれば広告塔としての役割を持ってもらうだけで十分な費用対効果があるという算段であったと感じます。

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Shroud のTwitterを引用

Mixerの引き抜き戦略を考えるとShroudの移籍もストリーマ増加が目的でしょう。ただしNinjaとは違い、視聴時間の増加も大いに期待ができます。

Shroudの特筆べき特徴は「配信回数の多さ」「人気がゲームタイトルに依存しない」の2点です。Ninjaが1カ月に約15日ストリーミングを行うのに対して、Shroudは約25回です。そのほとんどで7〜12時間のストリーミングを行います。また、FPSを軸に「PUBG」「Apex Legends」「CoD」など多様なゲームをプレイし、どのゲームに対しても2万人程度の視聴者を集めています。つまり、ゲームタイトルの流行り廃りの波を乗りこなしてくことができるわけです。

最近の二人のストリーミング状況を参考に、今後のMixerでの活動実績を予想してみます。Ninjaの基本スペックを「視聴者数:1万人、視聴時間:6時間、視聴回数:15回 / 月」と仮定すると月の総視聴時間は90万時間。Shroudを「視聴者数:2万人、視聴時間:6時間、視聴回数:25回 / 月」と仮定すると月の総視聴時間は300万時間になります。およそ33倍となり、ShroudだけでMixer全体の1/3程度の視聴時間を生み出す計算になります。

もちろん既存Twitchユーザーにとってはスイッチコストがあるため上記ほどの差は生まれないと思います。しかし、「配信回数の多さ」「人気がゲームタイトルに依存しない」の2点が続くとすればMixerの躍進に貢献することは間違いないでしょう。Ninjyaがユーザーのアテンションを惹きつける役割を果たし、Shroudが継続利用するフックとして機能する形になると感じます。

タレントの人気を生み出すことで成長したライブストリーミング業界。まだ黎明期の業界を牽引してさらなる成長を生み出すのは誰になるのか、GAFAMのうち4社(Google VS Amazon VS Facebook VS Microsoft )がしのぎを削る戦いにこれからも目が離せません。

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Amazonが変革する医療サービス

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ピックアップ:Amazon acquires start-up Health Navigator, its first health-related purchase since PillPack ニュースサマリ:10月24日、Amazonがオンライン医療診断サービスと患者の重篤度選別ツールを開発する「Health Navigator」を買収したことを発表した。買収額は非公開である。 Health…

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credits : Amazon HP

ピックアップ:Amazon acquires start-up Health Navigator, its first health-related purchase since PillPack

ニュースサマリ:10月24日、Amazonがオンライン医療診断サービスと患者の重篤度選別ツールを開発する「Health Navigator」を買収したことを発表した。買収額は非公開である。

Health Navigatorは2014年に設立され、臨床医や看護師が患者を症状に合わせて適切な施設に案内できるサービスとして立ち上がった。Health Navigatorはオンライン医療企業向けサービスであり、顧客企業のプラットフォームに統合することを前提に開発されている。

買収後はAmazonが9月に立ち上げた「Amazon Care」に参加し、従業員向けにサービスが継続提供される。これまでの外部顧客に対しては段階的に提供を停止する。

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credits : Health Navigator HP

話題のポイント:今回の買収はAmazonが目指す“ヘルスケア・ポートフォリオ”の実現に向けた確かな一歩となります。昨年、Amazonは「Berkshire Hathawa」と「JPMorgan Chase」と提携して非営利団体「Haven」を立ち上げました。また、オンライン薬局「PillPack」を7億5,300万ドルで買収しています。今回の「Health Navigator」の買収も、Amazonが目指す一大ヘルスケア・ポートフォリオ確立を達成する上で重要なマイルストーンになったことは間違いないでしょう。

こうした買収企業サービスとAmazonが持つ物流インフラと組み合わさった際、医療サービスの利便性が向上される点は容易く想像できます。病院へは必要最低限行けばよく、軽度な症状の治療に必要な物は自宅に届くようになるでしょう。風邪薬と安心感を貰うためにスケジュールを割いて病院へ通う時間を消耗する必要がなくなるはずです。

ここまで聞くとサービスの恩恵を受けるのは消費者だけだと感じるかもしれませんが、むしろ一番喜んでいるのは雇用主である企業です。

米国の医療費が世界で最も高いことは知られています。日本と違い米国では公的医療制度は高齢者および障害者を対象としたものしか用意されていないため、企業が保険料を負担して従業員を民間保険に加入させるのが一般的です。企業にとって年々高騰する医療費に合わせて高くなる保険料が大きな負担になっているのです。

そのためAmazonの業界参入を称賛し、最適化したリソースで予防医療に挑む試みに期待が寄せられています。

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credits : Amazon Care HP

しかしAmazonはとても慎重なプロセスを選んでいます。今年9月に自社従業員向けサービス「Amazon Care」を発表。Amazonの従業員であればオンライン医療サービスを通じていつでも受けられます。つまり、市場需要は把握しつつも、自社内で完結するサービスに留まる決定しかしていません。

大きな理由として、ヘルスケア業界はステークホルダーが複雑であることが挙げられます。一貫したシステムを構築するには提携が困難になることが予想でき、時間とお金を無駄に消費する可能性が高いため大きな失敗の原因になると判断したのでしょう。

実際、2008年にGoogleは「Google Health」という処方箋や投薬履歴、通院記録の管理ができるサービスを立ち上げましたが、病院や保険企業などと提携に苦戦した結果、2011年に閉鎖しています。

現在60万人を超える従業員数を抱えるAmazonでは、従業員向けだとしてもサービス展開規模としては十分なもの。ここで培われるノウハウとサービス完成度を武器に、ヘルスケア業界に乗り込む戦略をじっくり取れる点は一つの強みといえるでしょう。

現状、米国にある医療に関する社会問題を解決できる環境が整いつつあるのはAmazonだけのように思えます。Amazonが生み出す結果がこれからの社会の流れを大きく変えることになるかもしれません。果たして救世主になれるのか、今後の動向に注目が集まります。

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“インスタ小説”で30万読者獲得に学ぶ新たなストーリー戦略 ーー スマホに収まる「21世紀型 図書館」登場

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ピックアップ記事: Hundreds of thousands of people read novels on Instagram. They may be the future ニュースサマリー: ニューヨーク公共図書館がInstagramストーリズで古典小説コンテンツを配信する「Insta Novels」の提供を2018年8月から開始。最初の作品は『不思議の国のアリス』。ストーリーを躍動的に…

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ピックアップ記事: Hundreds of thousands of people read novels on Instagram. They may be the future

ニュースサマリー: ニューヨーク公共図書館がInstagramストーリズで古典小説コンテンツを配信する「Insta Novels」の提供を2018年8月から開始。最初の作品は『不思議の国のアリス』。ストーリーを躍動的に伝えるためにアニメーションを加えた形で発表された。

以来、同図書館は古典文学を世界に広めるというミッションを基にストーリズを通じて若者をターゲットに作品を立て続けに発表。2019年9月末までの約1年間で30万ユーザーがInsta Novelsを閲覧したとのこと。ニューヨーク公共図書館のInstagramアカウントフォロワー数は13万に上る。

ニューヨーク拠点のデザイン事務所「Mother New York」がコンテンツ制作を委託されている。これまでKindleを代表とする電子書籍リーダーに古典文学作品を最適化させる試みはあったとのことだが、Instagram特化のコンテンツプロバイダーとして着地点を見つけ、大きな反響を呼んだ形だ。

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Image Credit: nypl

記事のポイント: 今回取り上げたニューヨーク公共図書館が目指すのは「21世紀の図書館」と言える試みです。たしかに図書館に足を運んで蔵書を読める公共価値は不変ですが、コンテンツを多世代に呼んでもらう努力がなければ、世代と共に価値が薄れてしまう危機感もあります。

そこで取り組んだのが「場所」と「コンテンツ体験」の2つ。マーケティング4Pの「Place」と「Product」に当たる2つの変革に当たったわけです。まずは読書する場所を4億ユーザーが集まるInstagramへと移行することで、スマホの中に収まる図書館へと市場ポジションを変更。

3、4年前に全盛期を迎えた分散型メディアに通じるコンセプトを公共施設へと適用し、自社施設にユーザーを呼び込むスタイルではなく、ユーザーが普段利用するSNSへと自ら“出向く”ことを意識してコンテンツ配信を開始しました。

次に、古い蔵書内容に“サクサク感”を付け足すことで製品体験をアップデート。長いページ数のある作品であっても1タップで次へ進めるストーリズにコンテンツを最適化。1ページを読み終える前に15秒コマで消えてしまうデメリットに対しても、ちょうど親指を画面に置ける右下にタップ場所を用意してゆっくりと読めるようにデザインに趣向を凝らしています。

また、アニメーションを散らしたり、古くに印刷されたフォントを若者向けに変更するなどして作品を現代風に新たに発表しています。このように読者の関心を継続して留められるプラットフォーム選択やデザインの工夫を古典文学に施すことで生まれ変わったのがニューヨーク公共図書館といえるでしょう。

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さて、ニューヨーク公共図書館が新たな読者を獲得した戦略はメディア市場を変える示唆に富んでいると感じます。たとえば出版社が本を出版することなく、印刷費用をInstagram運用に充て、新たに広告事業へ参入できるかもしれません。

具体的には人気作家をなかなか囲えずに苦しんでいる出版社が、著作権の切れた出版物をリメイクしてInstagramで配信することで人気を集めるケースも生まれる商機を指摘できます。

ストーリズの合間に作品にあった広告コンテンツを差し込むことで収益化。著作権フリーであるため、コンテンツの仕入れは無料。あとは印刷費用をデザイナー採用やInstagram担当者に充てることで、昔話や童話を若者向けにリリースすることで新しい市場価値が見いだせるかもしれません。

先述したように分散型メディアの最大のメリットはサーバー代金などのインフラ費用を一切負担する必要がない点です。この点を十分に活かすことで21世紀型に出版事業を刷新できるはずでしょう。

チャット形式で物語を読みすすめる携帯小説アプリ「Balloon」や「TELLER」、「LINEノベル」などが登場しているように、私たちが普段使うインターフェースに作品を最適化して配信する形式が流行っています。そこで過去の作品を現代版に改めて提供するストーリー戦略に、ビジネスモデル確立の視点を含めて注目が集まると思います。

なかでも世界展開を目指すメディアスタートアップが、InstagramやSnapchat、TikTokへ古典小説コンテンツの配信をし、「21世紀型 図書館」のコンセプトの名の下、市場参入する可能性を強く感じます。今回取り上げた事例は公共図書館ではありましたが、民間であれば十分に本事例を参考に収益化へ動くチャレンジをしても良いかと思いました。

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BASEの夜明け、創業者からのメッセージ

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朝、私のfacebookメッセンジャーに一通のメッセージが届いた。BASEの共同創業者、鶴岡裕太さんからのものだ。せっかくなので私が持ってる思い出の写真を少し追加させてもらい、BASE上場のこの日に全文を掲載させていただく。 NO TITLE 今日に至るまで楽しい事も辛い事も本当にいっぱいありました。みんなで住んでたシェアハウスからオフィスまでけん玉としょうもない話をしながらの通勤や、オフィスでみ…

朝、私のfacebookメッセンジャーに一通のメッセージが届いた。BASEの共同創業者、鶴岡裕太さんからのものだ。せっかくなので私が持ってる思い出の写真を少し追加させてもらい、BASE上場のこの日に全文を掲載させていただく。

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今日、上場日を迎えたBASE(引用:東京証券取引所Twitter

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今日に至るまで楽しい事も辛い事も本当にいっぱいありました。みんなで住んでたシェアハウスからオフィスまでけん玉としょうもない話をしながらの通勤や、オフィスでみんなで自作して行ったメンバーの結婚式、大切なお取引先とのミーティング、初めてメンバーの結婚式に行った日、初めて僕たちだけのオフィスを借りた日、本当にいろんな事を昨日のことのように思い出せます。

勿論楽しい事ばかりじゃなく、謎の蕁麻疹が止まらず今日に至るまで左ポケットには常にそれを抑える薬が入ってるし、メンバーやユーザーさんに辛い思いをさせ過ぎて一晩中都内を歩き回った夜もありました。

ただ、本当に多くの方々に支えていただいて、本日無事東証マザーズに上場をする事ができ、ようやく本当のスタートラインに立つことができました。会社を代表いたしまして、ここに厚く御礼申し上げます。

何気なく日々が過ぎ去り、明日からまたミッション遂行への壮大な日々を送っていくと、過去を振り返ることも減っていくと思うので、新たなスタートを迎えたこの日に今の想いを綴っておこうと思います。

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サービスインした時のBASE(筆者保存スクショ)

これはユーザーの皆さまにお伝えしたい事

2012年夏、「BASE」というサービスを作るためにエンジニアとしてだめだめな僕が<?phpというコードを書き出したあの瞬間から、いま文章を書いているこの瞬間まで、僕たちは “インターネットによって個人や小さなチームがより強くなったその時に、世界がもっともっと良くなる” そう信じ続けてきました。またその想いは、今後も変わることはないと確信しています。

創業以来の一番の発見は、世界一小さなチームであっても世界一偉大なチームになることができる、という事です。それはインターネットとテクノロジーがもたらした一番の恩恵だと、実際に多くのショップさまを見てそう思いました。

僕たちのビジネスモデルにおいては、ユーザーさまの成功が、弊社の成功には不可欠です。それは創業以来もっとも大切にしてきた関係性であり、今日まで継続できていることは、僕たちの誇りです。そして同時に、僕たちの成果をもってユーザーさまの凄さを証明できればと思っているので、BASEが信じている未来が1秒でも早く訪れるようにこれからも最高のプロダクトを作っていきます。

本当にここまで連れて来ていただいて有り難うございます。

ここからは僕らが引っ張る番です。これからもどうぞ宜しくお願いいたします。

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2016年の年始、メルカリがBASEに電撃出資した際の様子。同社は多くの株主に恵まれた

これは株主の皆さまにお伝えしたい事

今まで、そしてこれからの株主の皆さま。本当に大切な資金を投じていただき有り難うございます。まず、上場に至るまでに投資してくださった皆さま。ただの大学生で何もない僕たちを信用してくれて有り難うございます。先にリスクを取っていただいたからには必ずリターンをお返しすると、この約7年間必死に生きてきました。

最後の最後の上場の売り出し決めの瞬間まで僕のわがままを突き通させてくださり、本当に今日に至るまで感謝しかありません。

上場ゴールという言葉をたまに目にします。勿論今日がゴールではなく、スタートであると本当に心から思っていますが、ここまででも多大なるお金を投資していただいた僕たちとしては、今日という日が大切で特別な1日であるという事実は疑いようがありません。

そして、本日以降新たに株主になっていただく皆さま。またこの瞬間から、いただいた大きなご期待にしっかりお応えできるよう精一杯頑張ってまいります。これからどうぞ宜しくお願いいたします。

株主の皆さまへのメッセージ、並びに今後の成長可能性に関しましては別途掲載しておりますので、もし宜しければそちらもご覧いただければと思います。

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BASEチーム(引用:2019年1月・鶴岡氏のFacebookから

これはチームのみんなに伝えたい事

今いるみんなも、そして過去にいてくれたみんなも、本当に多大なる時間を共に過ごしてくれてありがとう。みんなとの距離を遠くしないため意識してみんなと話さないとなと思っていましたが、いつからか強烈にみんなに依存してしまい、今では一番の安らぎをくれる存在で、全く子離れできない親のようになってしまいました。

最近は友達という感覚の方が近くて、いままで全く友達ができなかった僕にとっては最高の場所で、これからもみんなでミッションを遂行していけると思うと本当に幸せです。

この前ふと、僕はBASEって会社好きなのかなって思った事があって。そしたらそんなに好きじゃないのかもなってなって。好きじゃないというか恐らくみんなと同じくらいの好きって感情で。ただ僕にとっては本当に大切なもので、それって何でなんだろって考えたら、ここがみんなと会うためには必要な場所だったからなのかなって。なくなったら泣くなって。

そしてそんな場所でこんなにも大好きな人たちに出会えるなんて7年前以前の僕には到底予想できなかった。ありがとう。

今後も大変なこといっぱいあるだろうけど、愚直にGEEKに淡々と最高のプロダクトを作り続けれる、そんな世界一偉大なチームになれるよう頑張ろう。

良い会社にしていけるようにも頑張るから。

引き続きよろしくね!

これは未来のメンバーに伝えたい事

僕たちは「Payment to the People, Power to the People.」という、ビジョンを持っています。冒頭にも書きましたが創業以来の一番の発見は「世界一小さなチームであっても世界一偉大なチームになることができる」という事で、そう言った方々がこれからの主役になっていくと僕たちは心から信じています。

プロダクトはまだまだ小さくてここからで、もっと大きなチャレンジをしていかなければと感じています。

もし我々が目指す未来を信じても良いと思われる方がいらっしゃれば、ぜひ一緒にその未来を追求させてもらえると嬉しいです。

どうぞ宜しくお願いします。

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家入氏と鶴岡氏(「ウェブは僕らの戻る場所」ーー鶴岡裕太と家入一真が語るBASE2周年

これは家族に伝えたい事

2018年12月、家入さんのバースデー会にてサプライズムービーを流す為に、家入さんのお母様に会いに福岡に行きました。本当にいいお話しをいっぱい聞かせていただいて。ありがとうございました。

その際に一番深く個人的に心に残った言葉がありました。それは「家入さんが生まれてから今までで一番嬉しかった瞬間はいつでしたか?」という問いに対するお母様の答えです。

「ペーパーボーイが上場した日。鐘を叩く姿を現地で見せてくれた時。挙げだすとキリがないがあえてあげるならその瞬間。息子が本当に輝いて見えて、世の中にしっかり貢献してるんだなと実感できて、それと同時にほんとに色々あったけれど今まで自分が行ってきた事はどれも間違ってなかったんだなと確認できたから」。

この瞬間、いつか僕が鐘を叩くその日には、必ず母親を招待すると心に決めました。

ここ数年は家族にとっては大変な変化もあったのに、ろくに実家に帰ることも出来なかったから。今日という日が初めての親孝行になっていれば嬉しい。

そして声を大にして伝えたい。

あなた達のお陰で今日の僕があり、あなた達が下してくれた無数の判断のお陰で今日僕はこの場所に立てました。僕は完全に両親の写し鏡だと思います。これは他のメンバーにも言える事かもしれません。まだまだだけれど、僕らの成果をもって僕らの家族の凄さを証明していければと思います。少しずつ家族孝行もできるように頑張ります。

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二人はいつも一緒だった(鶴岡裕太と家入一真ーーBASEを生んだ学生起業家と連続起業家が眺める未来【インタビュー】

これは家入さんに伝えたい事

この10年で間違いなく一番多く会話しました。みんなが会えない会えないと嘆く中、何故か約10年間毎週僕には時間をくれましたね。僕の10年前の人生を想像した時に10年後こんなにも多くの仲間や、大切にしたい人、大好きな人に出会えてるとは思いませんでした。

ちなみに創業初日から話続けてた「一緒に鐘叩こうね」という約束、何気にすごいプレッシャーだったんだぞ!(笑。

唯一僕が自分を褒めるのであれば10年前のあの日、家入一真という人に惚れてこの人について行きたいと思えて、その後恩返しのためにもこの人の凄さを身を以て証明したい。そう思えた事かなと思います。正真正銘、僕の人生を変えてくれた人です。本当に出会えてよかったです。一生かけて家入さんにとって自慢の作品になれるように頑張ります。

12月28日。それは僕と家入さんの誕生日。同じ22歳で起業して、同じ29歳で上場しました。どうやら僕の方が3カ月ほど早く上場した様です。なので次のお茶は奢ってください。今週末もボンダイカフェでいつもの様にインターネットのお話でもしましょ。

最後に

株主でもあるマネーフォワードの辻さんにこう言われました「鶴ちゃんやBASEの様な会社が上場してどう経営していくのかを見てみたい。それだけでもこれからの社会や若い子にとっては十分意義があると思う」と。

周りを見ると優秀な起業家だらけ。同世代や年下であっても、到底僕では追いつけない能力を持たれた方ばかりです。Twitterを見るだけでつらくなります。そんな中で僕たちBASEがいままでやってこれたのは、インターネット・ユーザー・仲間・プロダクトの未来を長期で信じている事。今から誰でも出来るその1点に尽きると思います。

起業して7年弱。ここまでで分かった事があります。

1つは、人々が何を思っていて、何を目指していて、何を大切だと思っていて、といった個人個人の具体的な想いは到底他人では分かりかねるという事。

もう1つは、全ての人が別々の想いを持っていて、それはどれも正しくて正義だという事。

そして最後は個の想いの強さ。たった1人の想いで世の中を変えることができるという事。

これからも僕たちはそれぞれの想いを持った人たちを尊重して寄り添っていければと思っています。改めまして、全てのステークホルダーの皆さまに心より御礼を申し上げます。

これからも世の中と皆さまにしっかり還元して行けるプロダクトを追求し、時代を代表する企業になっていきたいと考えています。

今後とも、社会や責任と向き合いながら企業価値向上に努めてまいりますので、皆さまのご支援のほど、よろしくお願いいたします。

Payment to the People, Power to the People.

BASE株式会社 代表取締役CEO 鶴岡裕太

本稿は今日、上場を果たしたコマースプラットフォーム「BASE」共同創業者、鶴岡裕太氏によるもの。Twitterアカウントは@0Q7。彼らと新しい一歩を踏み出したい人はここからコンタクトされたい。

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