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コロナ「対応時」スタートアップはどう動く?インキュ、GB、Plug and Play支援先130社動向まとめ

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ニュースサマリ:パンデミックによる社会変化に対し、スタートアップも動きを活発化させている。本誌取材に対し、Plug and Play Japan、グローバル・ブレイン、インキュベイトファンドの各社は支援先の活動をまとめ、情報提供してくれた。 話題のポイント:緊急事態宣言前後、傷ついた支援先の救済に奔走していた投資サイドも徐々に落ち着きを取り戻しているようで、情報が少しずつ戻ってきています。私たちも…

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ニュースサマリ:パンデミックによる社会変化に対し、スタートアップも動きを活発化させている。本誌取材に対し、Plug and Play Japan、グローバル・ブレイン、インキュベイトファンドの各社は支援先の活動をまとめ、情報提供してくれた。

話題のポイント:緊急事態宣言前後、傷ついた支援先の救済に奔走していた投資サイドも徐々に落ち着きを取り戻しているようで、情報が少しずつ戻ってきています。私たちもこの後がどうなるのか、連日、海外含めて考察やニュースをお届けしているわけなのですが、情報を集めれば集めるほど、一筋縄ではいかないのだろうなという思いを強くしています。

例えば今、大きく打撃を受けているレストラン事業ですが、確かにデリバリーやキャッシュレスが躍進するようなシーンをイメージし、オンデマンド・ビジネスの新たな局面を期待する内容を伝えたりしています。

<参考記事>

しかし現実は厳しく、Uberは5月6日時点で全体の14%にあたる3700人のレイオフを発表しています。中核事業の配車サービスが移動自粛で激減したため、純粋に足下のコストカットが目的です。一方、同じくオンデマンド配車の中国Didi(滴滴)はコロナ収束をもって業績を回復させている、という報道もあります。

当然ですが、社会が元に戻るのであれば中核事業をこの規模でピボットするのはナンセンスです。また、韓国の事件にもありましたが、2次流行という恐怖とも背中合わせです。つまり今は、対コロナという緊急避難的な状況下で新たなアイデアを試しているフェーズ、とも言えます。社会が戻れば元に戻すかもしれないし、先に進む・変化すればそれに合わせたサービスにピボットするかもしれない。

私は4月の終わりにこのような記事を出しました。

当時は対コロナ真っ盛りであり、緊急対応的なリリースも多くありましたが、時間がやや進むと各社、テストとは言いませんが、実験的な動きを見せるところも出てきています。このタイミングで活動を前進させている企業の取り組みを観察すると、その先にある市場のニーズが透けて見えることがあります。そういう意味で下記のリストはこれからの市場動向を考えるヒントになるかもしれません。

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Plag and Play Japanが公開するe-book

詳細情報:Plug and Playは新型コロナに対峙する100社の支援先を分類したe-bookを公開している。テーマは(1)行動記録(2)顧客体験(3)医療機器(4)人流調査(5)在宅勤務(6)自己診断(7)遠隔医療の7項目。e-bookはこちらのページから簡単な情報登録で入手できるほか、ブログにてまとめも公開している。

独立系VCのグローバル・ブレインは、支援先の企業で取り組みを公表しているケースをまとめた。

エンブレース :医療・介護従事者間の連携及び医療・患者連携のプラットフォームであるメディカルケアステーションを運営

セーフィー:クラウド録画サービス。頻繁な患者の状態確認が必要な医療機関や、リモートワーク対策に追われる法人全般で導入事例多数。

CAMPFIRE:新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、イベント中止・自粛を発表したアーティストやイベント事業者、予約キャンセルが相次ぎ来店客数が著しく減少した飲食店舗・宿泊施設などをはじめ、経営に大幅な支障をきたした事業者を対象に、クラウドファンディングを通じたサポートプログラムを開始。影響を受けた事業者を対象に、クラウドファンディングを通じた支援を届けるとともに、オンラインでの収益機会を提供

Schoo:手軽な学びの場となるオンライン生放送授業配信プラットフォーム「Schoo」を提供

JX通信社:報道機関の大半が導入する情報SaaS「FASTALERT」の提供元。その情報力を活かし、コロナ関連情報も提供。統計情報や、感染確認場所などの情報を最速で配信。感染事例が報告された場所マップは不動産などにも活用されている

Patra:韓国アパレル&化粧品の発注から販売サポートサービス「OWNERS BY PATRA」を提供。コロナで仕入れ不可となった企業を優先して対応中

Idein:高度な認識・検知エンジンを備えたAIカメラを安価にする「Actcast」提供。新たにウイルス感染拡大防止エッジAIアプリケーションの開発に着手し、それらを当社が開発したエッジAIプラットフォームActcastで利用可能とすることで、有事の際に機動的に対応が可能な次世代AI/IoTシステムの構築を可能にすることを発表

ベースフード:完全栄養食(ヌードル、パン)の開発・販売。コロナによりコロナ太りが騒がられる中、ダイエットしながらしっかりと栄養が取れるベースフードセットをお得に購入できるプログラムを開始

CADDi:COVID-19対策医療物資支援室を立ち上げ、新型コロナウィルスに関連する物資および、製造装置の部品供給支援を開始。人工呼吸器や空気清浄機等の医療機器および、マスクや消毒液・防護服などの医療用製品の製造装置に関する、金属・樹脂加工部品の製作・品質保証・納品、(機械メーカーと連携した)組立・製造を支援

プレースホルダー:ファミリーや店舗・組織のチームメンバーなど、小規模なグループ内で体温を手軽に記録・共有したい方に向けて提供するアプリ「たいおんログ」を提供。スワイプ操作で体温を入力するとグラフで毎日の体温変化が表示されるほか、ひとりひとりの体温を一覧で確認することができる。検温忘れを防止するため、特定の時間でプッシュ通知を設定することも可能

JustinCase:少額短期保険業者としてテクノロジーで保険業を変革することを目指し、インシュアテック事業「わりかん保険」を展開

ユーフォリア:アスリートのコンディション管理、ケガ予防のためのSaaS型データマネジメントシステム「ONE TAP SPORTS」を開発・提供するスポーツテック企業。新型コロナの感染拡大を受けて、体調管理機能の一部を無償で開放する。家族など同居する人の発熱や症状も集約可能にした

一方のインキュベイトファンドは「COVID-19によって生じる社会課題と市場機会」と題したブログを公開し、現状の「コロナ対応期」から「コロナ共存期」、そして「コロナ終息期」においてどのような市場の変化があるか考察を公表している。また、彼らも支援先の対応リストを本誌に共有してくれている。

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インキュベイトファンドが支援するグラファーのプロジェクト

Carstay(クルマ版Airbnb)キャンピングカーを医療現場へ無償で貸出し、病床不足の解消や、医療関係者の方の休憩所設置を支援するクラウドファンディングを実施

ドクターメイト(介護施設スタッフ専用の医療質問チャットサービス)緊急事態宣言に伴いオンライン医療相談サービスを7都府県の介護施設を対象に無償提供(5/6まで)

リンクウェル(ネットを活用した次世代型医療機関の運用ソフトウェア開発及び経営支援事業)クリニックフォアグループの医師とともに、「新型コロナLINE相談アカウント」を開設

ベルフェイス(オンライン商談システム「bellFace」の提供)新型コロナ対策として2020年5月31日まで無償提供

BearTail(経費精算サービス「Dr.経費精算」の提供)新型コロナ対策として「Dr.経費精算」を2020年12月末まで無償提供

グラファー(クラウド行政サービス事業)企業の新型コロナ融資・助成金手続き支援として「脱・窓口混雑プロジェクト」を開始

フューチャースタンダード(クラウド映像解析プラットフォーム事業)新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた赤外線サーモグラフィカメラのレンタルサービスを開始

Creww(事業会社の課題をスタートアップとの協業で解決)「コロナ対策支援特別プラン」を4月23日から提供開始

リフカム(リファラル採用)ツナグ、リフカムが共同でリファラル採用支援サービスの無償提供を開始/コロナ禍で社会を支えるエッセンシャルワーカーの採用を支援

SQUEEZE(バケーションレンタルソリューション事業のSuitebookとアセットマネジメント事業のMinnを展開)新型コロナで苦しむ宿泊事業者にシステムを無料提供、6月30日までの3カ月間

センセイプレイス(独学にコーチをつける「オンライン独学コーチング」を提供)ネット自習室の企画。毎朝8時45分から11時の間にZoomを活用したネット自習室に集まり、1日の目標を定め学習を開始。学習終了後には1日の振り返りを行うという学習リズムを植え付ける

プレースホルダ(ARを活用したテーマパーク事業)休校期間も自宅で遊べる「ARぬりえ」全27種を無料公開

PoliPoli(『政治家に直接声を届けられる』政治プラットフォーム)国会議員の新型コロナウイルス対策の政策へ、直接意見を届けられる特設サイトをリリース

アイカサ(傘シェア)街中にある一部のアイカサスポットでアルコール手指消毒による感染予防が可能に。不要不急の外出自粛支援としてアイカサ利用2日目以降の追加料金0円に

メイクラフト(クラフトビール受発注)国内約350社の地ビールメーカーに販売するとともに、各メーカーが製造する様々な樽生クラフトビールを飲食店向けに受発注するプラットフォームの形成を目指す。ビールイベントでの約800杯分のクラフトビールを廃棄から救うためクラウドファンディング実施

TERASS(高級不動産売買ブローカレッジプラットフォームの運営)【新型コロナウイルス感染拡大防止】無料の「住宅購入マンツーマン・オンラインレッスン」を開始

ユアマイスター(サービスECプラットフォームの開発・運営)新型コロナウイルス等のウイルス感染拡大防止へ向け一般家庭・大型施設・オフィス・テナントの室内除菌・消毒サービスを開始

ジョイズ(AI英会話サービス事業)AI英会話アプリ「TerraTalk」新型コロナウィルス感染拡大を受け、期間限定で無償提供を開始

ClipLine(動画を用いたサービスマネジメントツール「ClipLine」の開発・運営事業)コロナに負けるな!フリーランス支援プロジェクト。映像クリエイター最大1,000名大募集

KOMPEITO(オフィス向け生鮮野菜定期配送サービス「OFFICE DE YASAI」運営事業)新型コロナウィルス感染拡大の影響により全国で外出自粛・在宅勤務が進められる中、個人宅での“手軽で健康的な食事”への需要の高まりを受け、この度個人宅向けにサラダの定期宅配サービスを開始

エニタイムズ(日常のちょっとした用事を依頼したい人と、空き時間で仕事をしたい人をつなげるスキルシェアアプリ『ANYTIMES (エニタイムズ) 』を運営)ご近所助け合いコミュニティサービス「エニタイムズ」、新型コロナウイルス感染拡大・緊急事態宣言発令に伴い、2020年5月6日までシステム利用料の無料提供開始

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ライブ配信で失敗する2大ケース

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本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です 2020年2月より猛威を奮っている新型コロナウイルスの影響拡大に伴い、イベントやセミナーの自粛が相次いでいます。ぴあ総研の発表によると、3月23日時点で文化・スポーツ業界で中止・延期となったイベントの数は少なくとも8万1000件。5月末まで現状が続けば、9000億円の市場においておよそ4割が消失するという試算も出ています。このよう…

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高まるライブ配信の必要性(Image Credit : bravesoft

本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です

2020年2月より猛威を奮っている新型コロナウイルスの影響拡大に伴い、イベントやセミナーの自粛が相次いでいます。ぴあ総研の発表によると、3月23日時点で文化・スポーツ業界で中止・延期となったイベントの数は少なくとも8万1000件。5月末まで現状が続けば、9000億円の市場においておよそ4割が消失するという試算も出ています。このような状況を受け、拡大しているのがライブ配信を使用したオンラインイベントです。

ライブ配信は「どこからでも配信・視聴できる」「何人でも参加できる」などのメリットがあります。しかし、いざライブ配信をしてみようとすると次の大きな2つの落とし穴にハマるかもしれません。

  • 配信トラブルで失敗するケース
  • 進行・運営で失敗するケース

私たちはeventosというサービスを通じ、大手企業含め様々なイベントをアレンジして来た実績があります。そこで本稿ではその躓きを防ぐ方法をお伝えしたいと思います。

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スムーズな視聴体験がオンライン配信の鍵を握る(Image Credit : bravesoft

ケース1:配信トラブルでの失敗

ライブ配信を見る上で「快適な動作」というのは極めて重要なポイントです。しかし、初めてのライブ配信では配信側の設定がうまくいかないなどの環境構築に戸惑うケースが多く、見る側が不快または見ることすらできない事態に陥ります。これを防ぐための留意点を項目毎にご紹介します。

通信速度が重くなってしまう
解決方法:有線LANがある場所を使う

実はライブ配信において有線LANの確保は最優先事項です。有線LANでは(1)高速通信ができる、(2)電波の干渉が起こらないので安定性が高い、(3)外部から勝手に接続される心配がないというメリットがあり、配信環境を快適にしてくれます。目安として、アップロード速度が最低でも20Mbpsの回線は確保したいところです。

配信が落ちてしまう
解決方法:スペックの良いPCを使う

ライブ配信では映像をリアルタイムに変換して配信ソフトで流すことになるのですが、これはPCにとって非常に負荷のかかる作業となります。よってPCのスペックは必然的に高いものが推奨されるのですが特にメモリとCPUが重要です。具体的にはメモリ16GB以上、CPU Core i7以上、可能であればグラフィックボードは NVIDIA GeFOrce 1660Ti(メモリ6GB以上)を推奨しています。さらにこれからPCを購入する方へはMacよりもWindowsをおすすめします。

動画がカクつく
解決方法:配信ビットレートとキーフレーム間隔を適切にする

配信が開始できたと思っても、いざ配信された動画を見るとカクついてしまっている場合があります。それは配信ソフトの「ビットレート」設定に問題がある場合が多いです。ビットレートは高くすれば高画質になりますが、むやみに高くすると視聴する側のダウンロード速度が必要となってスムーズに視聴できる人が限られるほか、配信サイトの上限ビットレートに引っかかり逆にカクついてしまいます。

これには配信サイトの上限ビットレートを調べ、かつ自分の上り速度を調べ、低い方のビットレートに合わせて設定すると回避できるのですが、基本的には「512Kbps」をおすすめしています。また、その際キーフレーム間隔も「0(自動)」ではなく「1」に設定するとよいでしょう。

音質が悪い
解決方法:マイクをつける

意外と見落とすポイントに「音質」があります。ライブ配信ではリアル以上に「音」の印象が重要で、音質の良し悪しにより視聴し続けてもらえるかが決まったりします。PCのスピーカー機能ではなく、ノイズキャンセリング付きのヘッドセットや、USBコンデンサーマイクを使うと音質の改善が見込め、またPCに直接挿入できるため手軽にはじめることができます。

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参加者との質問コミュニケーションは必須(Image Credit : bravesoft

ケース2:進行・運営での失敗

ライブ配信をする場合、リアルと違って「参加者の反応が見えない」ということを念頭にいれる必要があります。このポイントを忘れてしまうと、セミナーを通して主催者側の一方通行となってしまうケースに陥るのです。参加者の満足度を最大化するため、押さえるべき留意点をみていきましょう。

反応をリアルタイムに確認できない
解決方法:チャット機能など双方向コミュニケーションを取り入れる

リアルのセミナーでは、発表者は参加者の表情や反応を見つつ、発表を進めていくことができます。しかしライブ配信の場合、発表者は参加者の反応を確認できないまま進むため、時に参加者が飽きてしまったり、一方通行の発表になってしまうケースがあります。

この対処方法としては、発表中に何らかの方法でリアルタイムに参加者とコミュニケーションを取ることです。例えば、私たちが提供しているサービスでは、ライブ配信中に「Live!アンケート」という機能を使って参加者からリアルタイムにコメントやアンケートを受け付けることができます。実際にこの機能を活用したライブ配信を実施しているのですが、参加者の満足度が非常に高く、いかにセミナー中の双方向のコミュニケーションが大切かが伺えます。

参加者同士のネットワークができない
解決方法:オンラインでネットワーキングができるツールや取り組みを促す

リアルのセミナーにおける参加目的の一つに「終了後のネットワーキング」が挙げられます。登壇者や参加者同士で名刺交換や会話をすることで繋がりを作る、というのもセミナーに参加する大きな目的の一つです。そこで最近のオンラインセミナーでは、例えばRemo等のサービスを利用してWeb懇親会を実施することも注目されていたりします。

また、第2部と称し、セミナー終了後ZoomやGoogle Hangouts Meetなどのツールに切り替えて懇談会を行っているケースもあります。私たちが行ったセミナーでは「オンライン名刺交換」として、参加者がTwitter内で相互フォローをしあったり、共通のハッシュタグ内でコミュニケーションが取れるよう、主催者側から積極的にネットワーキングが作れるように促していく取り組みを実施したりもしています。

最後に

オンラインセミナーをいざ開催しようと試みた時、リアルのセミナーでは想像もできなかったハプニングや失敗が起こります。そのような時に対処ができるよう、日頃から練習を行い様々なノウハウを貯蓄しておくことが重要です。

アフターコロナの世界では、セミナーのあり方はオンライン+リアルのハイブリッド化がなされ、今までリアルでの開催が主流だったセミナーは、改めてデジタル化の流れを取り入れることになるでしょう。これには実際にセミナーに訪れる参加者だけでなく、オンラインからの参加者によって指数関数的な集客・拡散に繋げられる可能性を秘めていると考えています。

自分達で開催するセミナーの未来を成功へと導くため、是非今から準備と実践に挑戦していただければと思います。

本稿は誰でも簡単にイベント・ライブ配信向けアプリを作れる「eventos」を提供するbravesoft株式会社 代表取締役CEO/CTO、 菅澤英司氏によるもの。Twitterアカウントは@braving。彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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デジタルノマド向け賃貸マーケットプレイス「Anyplace」シリーズAで530万ドル調達ーーLife as a Serviceへ拡大目指す

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家具付きの部屋、ホテルの賃貸サービスを提供する「Anyplace」は5月12日、シリーズAで530万ドルの資金調達を発表した。GA Technologiesがこのラウンドをリードし、他の出資者としてはEast Ventures、サイバーエージェント(通称:藤田ファンド) 、三井住友海上キャピタル、デジタルベースキャピタル、Heart Driven Fundが参加した。また個人としてもJason C…

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Credit by Anyplace

家具付きの部屋、ホテルの賃貸サービスを提供する「Anyplace」は5月12日、シリーズAで530万ドルの資金調達を発表した。GA Technologiesがこのラウンドをリードし、他の出資者としてはEast Ventures、サイバーエージェント(通称:藤田ファンド) 、三井住友海上キャピタル、デジタルベースキャピタル、Heart Driven Fundが参加した。また個人としてもJason Calacanis氏、本田圭佑氏、富島寛氏が参加している。同社の創業は2015年、サービス立ち上げは2017年である。

Anyplaceはホテルの部屋や家具付き住宅を月ごとに契約して借りることができるオンラインマーケットを運営。最近ではホテル以外にCo-livingの物件も取り扱っている。住宅やホテルを所有せず、集客と手続きの処理を行い、手数料として10%を徴収するモデルだ。月額契約時におけるホテルの割引率は通常30〜50%だが、これによりホテルは月額収入という新しい収入方法を得られる仕組みになっている。

現在23カ国70都市で利用可能。予約可能部屋数は1万室以上がマーケットプレイスに掲載されている。月間流通総額の成長率は新型コロナウィルスによる影響がある前で20%を達成していたという。累計顧客数は1,000人超。

今回の調達資金を用いて、ライフスタイルを提供するプロダクトを開発予定。具体的には年内にCommunity・Perks・Loyalty Programなど、ノマド的なライフスタイルをより促進できる仕組みをローンチするとのこと。

Airbnbとは違う、「居住」という強み

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Credit by Anyplace

さて、withコロナ時代の資金調達だ。これからやってくるであろう経済低迷期を乗り越えるための調達をどこも急いでおり、その一環としても受け止められるかもしれない。だが、筆者個人としてはそんなコンサバティブな調達としては見ていない。理由は2つある。

1つは「居住」という提供価値。

短期滞在としてみれば、コロナの影響でホテルや民泊利用は沈んでいる。たとえばAirbnbだ。先日、Airbnb CEOのBrian Chesky氏は1,900名の従業員解雇を宣告した。また2020年は、2019年の収益約48億ドルの半分しか計上できない可能性をメディアで報じられている。明らかに不動産系スタートアップには苦難の時代と言えよう。

だが、ここでAnyplaceの提供価値が活きてくる。同社はデジタルノマド向けの中長期滞在ニーズに焦点を当てている。ホテルの利用価値を「滞在」から「居住」へと変えているのだ。

たしかにAirbnbを筆頭に、宿泊系サービスは大きな影響を受けている。しかし、これは短期滞在ニーズに集中しているゆえの打撃である。一方のAnyplaceは長期滞在ニーズに着目している。この違いはミドル・ロングスパンで見れば大きい。

with-コロナの現在、外出自粛が市場に横たわっているため、AirbnbもAnyplaceも大きなダメージを受けるはず。他方、市場が徐々に持ち直してくるpost-コロナ時代には、娯楽目的の旅行需要より先に、居住需要の方が先に持ち直す可能性がある。

完全オンラインで仕事をする習慣ができたことから、仕事のために各地を転々とする行動は今の自粛の反動のように加速すると考えられる。このニーズを先にすくい取れるのはAnyplaceの可能性が高く、短期滞在にサービス価値を振っているAirbnbやExpediaのような旅行市場の巨人ではない。安直に「ホテル版Airbnb」のように解釈するとAnyplaceの可能性を見失う。

Googleより強いデータ資産を持つ未来

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Credit by Anyplace

もう1つは「インホーム・コマース」の可能性だ。

生活拠点をホテルに移す人たちが増えている。そこにあらゆるライフサービスを提供することで新たな市場が開く算段を持っているのがAnyplaceだ。

居住に関連するライフサービスの強化は高い可能性を秘める。1社事例を挙げたい。マンション住人向けの家事手伝いサービスを提供する「Hello Alfred」だ。同社は入居者向けに生鮮食品配達や洗濯、食器洗いなど、あらゆる生活サービスを提供する。利用者には専属スタッフが付き毎回訪問するシステムのため、細かなライフスタイルまで知り尽くしている。オンラインサービスでは獲得できない「信頼」が同社の強みである。

Hello Alfredは不動産ディベロッパー(マンションオーナー企業)から収益を上げ、入居者からはお金を取らないB2B2Cモデルとして成長を続けている。生活者一人一人の購買活動に直接介入し、家の外に出ることなくあらゆる製品・サービスを提供することで「インホーム・コマース」という新経済圏を作り出した。生活者の情報を隅から隅まで知っているため、Googleより密な個人データ資産を持つのが特徴だ。

不動産オーナー企業との契約を地道に積み重ねているモデルであるため収益は確実に上がる。他方、エンドユーザーの満足度を高め、ネットワークを積み重ねることで新しい提供価値を世に生み出した。あまり知られていないスタートアップだが、個人的には大好きな企業の1つになっている。

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Anyplace 創業者 CEOの内藤聡氏

さておき、筆者はAnyplaceもHello Alfredと同様の生活体験価値とデータポイントを獲得できると踏んでいる。Hello Alfredの場合、すでにマンションに住んでいる人に生活サービスパッケージを提案することでここまで成長してきた。

Anyplaceの場合はと言えば、ホテルネットワークを自ら作り、その上にサービス展開する流れとなる。有形資産を持たないマーケットプレイスモデルとは言え、新市場を0から立ち上げるに等しいため、立ち上がるまで比較的時間がかかる。

ただ、利用者の生活全ての面倒を見るサービス領域にまで手をかければ、これは先述したようにGAFA勢を超えるデータ企業へと様変わりするのだ。時間コストをかけてでもやりきる意味が見えてくる。

Anyplace居住者との「信頼」を勝ち取ることができれば、次の転居先でもAnyplaceを継続利用してもらえる確率も上がる。個人の生活習慣データを引き継げば、担当が変わってもストレスのない生活体験を世界中どこでも再現できるからだ。実際にAnyplaceがどう動くかは別として、筆者はこのLife-as-a-Serivce(通称LaaS)のモデルにとてつもない可能性を感じている。

もっと言えば、Hello Alfredは2018年時点でシリーズBを突破、累計5,000万ドル超の調達に成功している。ライブサービス軸で語れば、Anyplaceが同程度の伸び代を持っていることが想像できるし、今回の530万ドル調達のもっと先、Anyplaceがさらに次のラウンドを重ねてバリュエーションを高められる可能性は十分にある。日本に拠点を置いていれば、おそらくスモール上場規模までは全く夢ではないはずだ。

海外市場でサービス展開をする日本人起業家で、この領域にまで足を踏み入れられて人は数える程しかいないだろう。内藤氏は確実にその中に数えられる存在となると感じられる。

繰り返しになるが、市場は新型コロナの影響で大きく低迷するだろうし、トラクションの大幅減少も容易に想像がつく。しかしAnyplaceの調達は、post-コロナに到来する新たな生活スタイルへの準備するための調達と捉えられる。生存するための調達という意味合いだけでは測れない市場の展望がある。

とりわけ、そう簡単には発生しない私たちの行動習慣が変わるタイミングが今まさに起きている。リモートワークが増えれば、コロナが去った後には自由に世界中を移動しながら仕事をするデジタルノマド層が増えることも想像される。そしてAnyplaceが狙うのはこうした時代の門出直後に誕生するマーケットだ。ホテルやCo-livingをレバレッジする、新たな長期滞在領域を寡占する可能性を大いに秘めていると考えている。

最後に、有難いことに筆者はAnyplaceを長く見させてもらっている。創業者の内藤氏がアイデアを浮かんだシェアハウスに一緒に1年近く住んでいた仲であり、同じ2015年にサンフランシスコで起業した仲でもある。ついにシリーズAまできて身も震える想いだ。そしてシリーズAのタイミングで「居住」と「生活」の両方を囲うサービスへと進化を遂げようとしている。厳しい時代だが、ここまで書いてきたように眠った巨大な可能性しか感じない。引き続き“日本人シリコンバレー起業家”の代名詞に目が離せない。

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Airbnb創業者の言葉で辿る「旅の新たな価値創造」

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ピックアップ:Interview with Brian Chesky ニュースサマリー:Airbnbの共同創業者Brian Chesky氏は4月下旬、トラベルスタートアップメディアSkiftとのオンラインインタビューに臨んだ。この中で同氏はCOVID-19対策で同社が講じている施策や、トラベル市場の今後の展望を中心に今後の展望を語っている。 ※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です…

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オンラインインタビュー(左からAirbnbのBrian Chesky氏・Skift創業者のRafat Ali氏)

ピックアップ:Interview with Brian Chesky

ニュースサマリー:Airbnbの共同創業者Brian Chesky氏は4月下旬、トラベルスタートアップメディアSkiftとのオンラインインタビューに臨んだ。この中で同氏はCOVID-19対策で同社が講じている施策や、トラベル市場の今後の展望を中心に今後の展望を語っている。

※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です。

話題のポイント:Airbnbは5月5日、全従業員の25%を占める1900人程度のレイオフを実施することを発表しました。同社ブログにChesky氏が従業員へ送った「レター」を公開するという形で話題になっています。

今回取り上げたインタビューは、同社がレイオフ実施を発表するより約2週間ほど前のものです。5日に公開されたレターでは当初、Airbnbとしてはレイオフを議論にしていなかったという記述がありますが、インタビューを通して聞くと、Chesky氏はこの時点である程度レイオフの決断を決めていたのだろうなと思わせる回答が続いていました。

原点回帰

インタビューは冒頭の、「(COVID-19による)危機によってビジョンが縮小(contract)しましたか?それとも逆に拡大(expand)しましたか?」という質問で、同社創業時の「human connection」を大事にするビジョン「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」が今後どう変化していくのか?について問われるところから始まります。

Crisis gives you clarity why you do what you do.「危機に直面すると、いったい自分が何に向かって今この取り組みをしているのか、改めて気づかせてくれます」(Chesky氏)。

彼は今現在の「成功」していたと思われるAirbnbは順調すぎたことで、自由に選べる選択肢を持ちすぎていたと語っています。「Airbnbはそもそも、不動産やトラベル市場の開拓や問題解決をするために始まった会社ではなく、『human connection』を満たす何かを探した結果である」と、創業時のストーリーを示し、今回の危機を機に、改めて始まりの頃のスタンスへ目線を向きなおすといった覚悟のメッセージを示していました。

つまり、多岐に渡っていた同社のプロジェクトを一度縮小し、改めて創業時ベースの想いに沿った事業へ原点回帰を考えているのだろうなと個人的には感じました。当然ですが、それに伴うレイオフは避けられないということです。

禁じられた「Human Connection」から見えるもの

Chesky氏はコロナ後・共存の世界だからこそ、「Human Connection」を感じられる環境価値は高くなるだろうという考えを示しています。そもそも、この言葉はいわゆるサブスクやD2Cなどのトレンドワードではなく、人間が生まれながらにして持っている性質であり、禁じられれば禁じられるほど、求めることが意欲的になっていくと話しています。

もちろん、今現段階においてはソーシャルディスタンスを取ることが重要なため、今まで私たちが定義してきたような「human connection」の欲求を満たすことは避けるべきです。だからこそ彼は「人類史上初めて禁じられたその欲求を満たすためにあらゆる手段を考え、その解決策を講じる時間を与えられている」と考えるべきだとしています。

確かに、私たちがCOVID-19によって他者との接触がネガティブなものであるとレッテルを張られた結果、例えばZoomを通して会話をしたり、なんとかして誰かと繋がっていたい欲求を満たすソリューションを考えに考え続けた約2カ月間を過ごしています。

しかし、彼はそうしたオンライン上のみの「human connection」はこれから先もずっと続くとは思わないという見解を示しています。だからこそ、「human connection」の本質を考え、本当に大切なものは何だったのか?という問いを世界的に考えるタイミングであるといえるのです。ちなみにChesky氏は本当に大切なものは、家族、友達、恋人など他者と自身の関わり合いと示しています。

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Airbnbが開始したオンラインアクティビティ

Air bed and Breakfast、変わりゆく「旅」のリーダー

Chesky氏は2008年、投資家に向けてAirbnbの前身となる「Air bed and Breakfast」のピッチをする際、必ず言われた言葉があると語っています。

「Hey Brian!経済がこんなにも落ち込んでいて、成功するのが確実なスタートアップにも投資できないこの状況で、どこの誰がAir bed and breakfastに投資すると思っているんだい?!」。

そして彼らの言葉は全く間違ってないとしながらも、「不況」だからこそ忘れてはいけないポイントが2つある、そう述べています。

  • In a recession, people are gonna be looking for new ways to make money.
    (不況時、人間は新しい稼ぎ方を見つけ出す)
  • In a recession, you are gonna see many major shifts – multi decades transition is gonna happen in weeks.
    (不況時、数十年・数百年の単位で変化を遂げるはずだった事柄が、たったの数週間で変化してしまう)

では、COVID-19による不況はどのように世界がラディカルに変容を遂げるポイントとなるのでしょうか。 まず、彼は次世代の旅における価値観は以下のように変化を遂げるとしています。

smaller city, smaller community. smaller cowed, but more intimate. NOT BAD THING.(小さな都市へ、小さなコミュニティーとの関わり合いに。そして、より混んでいない場所が理想となるが、今までより一つ一つの出逢いが親密なものとなっていくだろう。そんな世界も悪くはないさ)。

また、旅という概念は常に変化を遂げてきたものだったと歴史を振り返っています。第二次世界大戦後、旅というものは当初ラグジュアリーなカテゴリーでした。しかし、ひとたび世界経済が発展するとビジネストラベルが旅行業界の重要なセクターへと変化を遂げました。

確かに、昔から旅という考えはあれど、その都度市場を牽引するドメインは変わっていたのです。Airbnb自体も、同社の法人向け事業は大きなビジネスドメインとなっていました。今後の流れとしては、全員に当てはまらないとしながらも以下のような考えを示しています。

The more you stay home, the more you desire to leave home… People started to think I don’t need to live in this city to do this job,  I can live any city to do this job. (StayHomeすればするほど、人間は家を離れたくなる(中略)そして人は、ある特定の場所に定住する必要性を問いだすのだ)。

現在のAirbnbはCOVID-19以降、30日以降のロングタームステイにプラットフォーム構造を切り替えています。

ショートステイ中心だったAirbnbにとって、ロングステイへの変換は大きな出来事です。私は当初、彼らが創業当初に思い描いていた「人」を中心とした「belonging and connection」とは限りなく違う方向性へ歩みだしたのではないかと考えたことがあります。

しかしインタビューを聞く限り、彼にとってはそんな「ズレ」などなく、これも歴史が辿ってきた「旅の変化」のひとつなのかもしれません。

オンラインエクスペリエンスが成功した理由

Airbnbは「#StayHome」が世界的に始まってから、同社のホストによるアクティビティー事業を完全にオンライン限定の方向へとシフトしました。Chesky氏によれば、このアイデアはそもそもホスト側からの提案であったことを明かしています。このオンラインエクスペリエンス事業は同社プロダクトの中で最も成長スピードが早いプロダクトとなったことも明かしています。

要因として、価格とそのシンプルな内容が釣り合ったことを挙げています。そもそも、トラベルは「High-consideration purchase(高価な買い物)」で、旅の予定を立てフライトやホテルを取り、当日まで幾多の準備期間を経てやっと体験できるものでした。

しかし、オンラインエクスペリエンスは「Lower-consideration purchase」に該当するものです。精神的な決断に加え、価格的にもフィジカルなエクスペリエンスが平均50ドルほどだったものが、オンライン化することで平均17ドルほどまでに抑えられたことが成長の要因だとしています。

この点に関しても、彼が思い描くこれからの旅の形と辻褄があっていると感じました。Chesky氏は今後、ミレニアル世代やそれ以降の世代による、「Budgetトラベル」が主流になるだろうという考えを示しています。そのため、旅行体験がさらに身近なものとして広がるには、価格面で今までの水準を大きく破壊する必要があったのです。

ということで彼のインタビューからいくつかポイントを整理してみました。私はここ数日のAirbnbの動きで、今後の旅の形というものの輪郭がはっきりしてきたように感じています。

Airbnbのビジョン「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」と、コロナ後・共存の私たちの生き方を考えることはおそらく、同じ道筋にあるのだと思います。

以前の記事「旅が復活しても、もう違うものになるーーAirbnb「共同創業者からの手紙」が大切にしたもの」でも、今後の旅は自然と調和した「オフロード」となっていくとしました。ここからさらに踏み込んで、私たちの生活様式と旅の境界線は薄くなり、最終的には融合された形となって再び私たちの目の前に現れてくれるのではないかと信じています。

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いま高まる「リモートカルチャー」の重要性 ーーオンライン前提社会における新たな企業ニーズ

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載 ポストコロナの時代、いままでの生活が戻った時にふと、「ほんとうに出社する必要があるのか?」と感じる人が増えるかもしれません。 在宅ワークやオンライン出社の価値が認められ、従来より非出社比率が高まることも予想されます。するとリモートワーカー向けの企業文化「リモートカルチャー」を構築する必要性が登場して…

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

ポストコロナの時代、いままでの生活が戻った時にふと、「ほんとうに出社する必要があるのか?」と感じる人が増えるかもしれません。

在宅ワークやオンライン出社の価値が認められ、従来より非出社比率が高まることも予想されます。するとリモートワーカー向けの企業文化「リモートカルチャー」を構築する必要性が登場してくるでしょう。本記事では2つのトピックを説明しつつ、関連スタートアップを紹介します。

「引っ越し(リローケション)」ニーズの高まり

ポストコロナ時代では、たとえば都市部に住むことを見直す人が出てくることも考えられます。東京は比較的安心ですが、たとえば米国の都市部は必ずホームレスが集まる場所があり、危険と隣り合わせ。なおかつ高い生活費を支払う必要があり、郊外へと引っ越すニーズが増えてくるかもしれません。

郊外へと人の移動が増えるとなると都市部地価の下落が始まります。地価高騰が止まり、住みやすい場所へと徐々に変わっていく。これまで世界人口は都市部一極集中になると予測されていましたが、しばらくの間は都市流入トレンドが止まるかもしれません。

いわゆる「人口均一化」「脱都市化」の流れです。Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏はブログで都市部の変化についてまさしく同様の予測をしています。ザッカーバーグ氏はテクノロジーによって起きると予測していますが、図らずもコロナによってトレンドが加速されました。

こうした背景の元、従業員が必ずしも出社する必要性を感じなくなり、住み心地の良い地方へ引っ越しすることを考え始めるでしょう。すると企業が従業員の引っ越し手配をするニーズが高まると予想されます。一種の福利厚生として手配する具合です。そこでベンチマークとなるのが企業向け引っ越しサービスを提供する「Localyze」です。

Localyzeは、従業員の海外移転サポートサービスを提供しています。従業員の移転は企業にとって高額な費用がかかります。一方、TechCrunchによると、毎年200万人もの人々が仕事のためにアメリカやヨーロッパに移住しているのが実情なのだそうです。

そこで同社はこのプロセスを合理化するために、移民手続き、引越し、住居に関するタスクを50%高速する自動化ソフトウェアを開発しました。また、外国人従業員に銀行、保険、交通機関などのサービスを紹介します。2019年8月時点で27社のB2B顧客と提携しており、8月は1万6000ドルの収益を上げたそうです。

Localyzeは移民市場に目を向けていますが、コロナの影響で国外移動は当分控えられるでしょう。他方、国内移動の方が持ち直すのが早いと考えられます。そこで、たとえば東京拠点の企業が満足度向上やリテンション率向上を目的に、地方移住ニーズのある従業員に住居を手配するような動きが出てくるかもしれません。クラウドワークスやランサーズ、OffersのようなプラットフォームがLocalyzeのようなサービス提供をしたら面白いのではないでしょうか。

メンタル崩壊を防ぐ「リモートケア」

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リモート従業員の中には、孤独を感じることでメンタルに不安を持つ人が出てくることが予想されます。

例えば現在の状況では、直接会って上司の顔色を伺ってから案件を通すようなプロセスは難しくなっています。なぜなら、Zoomの入室ボタンをオンにしたら目の前に機嫌の悪そうな上司がいて、その場で説得するシビアな環境になっているからです。これは極端な例かもしれませんが、オンラインへと仕事がシフトすることによる、これまで見えなかったワークフローの危険性の一つです。

そこで参考になるのが「MentalHappy」です。同社はケアパッケージ「Cheerboxes」を提供し、社員が会社とのつながりを維持できるサービスを作りました。Cheerboxには、Amazonでは手に入らないようなスナックや本などが詰め合わせてあります。こうしたオリジナル性の高いグッズセットを定期的に送ることで、雇用主が従業員のメンタルヘルスを気にかけていることを示すのに役立ちます。

瞑想やフィットネスサービスの割引券をあげたとしても、必ずしも企業が従業員を「ケア」していることは感じられない課題を解決します。「企業ギフト」という新たな業態を開拓したのがMentalHappyです。

同じ文脈で人気を集めているのが有名人の動画メッセージを変えるマーケットプレイス「Cameo」です。VICEによれば、コロナの影響でハリウッドを中心とした有名人の広告予算は急に止まり、撮影も中止。家で時間を持て余している俳優やインフルエンサーが多発しているそうです。

そのためCameoを通じて自宅で撮影した動画を販売している人が増えています。Cameo自体は2C向けですが、従業員向け福利厚生サービスとしての提供価値を持たせれば、MentalHappyが狙う同じ層に刺さる可能性も十分考えられます。

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Photo by Riccardo Bresciani on Pexels.com

オンラインハラスメントという社会問題も深刻化しています。

こちらの記事によると、2017年の調査では「アメリカ人の5人に1人近く(18%)が、身体的な脅迫、持続的な嫌がらせ、セクハラ、ストーカー行為など、オンライン上で特に深刻な形態のハラスメントを受けたことがある 」とのことです。コロナ前のデータではありますが、直接誰かに触れる機会がなくなったことで、嫌がらせはインターネットへと場を移すことも考えられます。

Tall Poppy」はオンラインハラスメントに特化した従業員ケアサービスを提供している企業です。各ケースを審査した上で、正しい対処方法や法的処置の知識、セーフティスコアの計測など、あらゆるシチュエーションに対処してくれます。このようなオンライン化が進んだ社会における新たな犯罪から従業員を守るサービスにも注目が集まるでしょう。

ここまで「引っ越し」と「リモートケア」の2つを軸に、企業が考えるべきこれからのバーチャルカルチャーの姿の一端に触れてきました。ひとえにカルチャーと言っても、さまざまなアプローチやコンテンツがあるので解はいくつも挙げられます。今後は従来のようにマッサージ券や宿泊券、フィットネスサービスなどの福利厚生だけではなく、オンラインワーカーならではの需要に応える必要が出てきそうです。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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未来を創るCVCーーエコシステムの拡大、仮想化に挑戦したKDDI∞Laboの「今」

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\本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事を「POST」へ要約転載したもの。全文はこちらから(初回・2回目・3回目・4回目・5回目・6回目) ソラコムの買収 3年前の夏、朝一番にあるニュースが飛び込んできた。KDDIによるソラコムの子会社化だ。発行済み株式の過半数を取得するため、KDDIが支払った金額は約200億円。2010年…

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ソラコム代表取締役の玉川憲氏(2017年・筆写撮影)

\本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事を「POST」へ要約転載したもの。全文はこちらから(初回2回目3回目4回目5回目6回目

ソラコムの買収

3年前の夏、朝一番にあるニュースが飛び込んできた。KDDIによるソラコムの子会社化だ。発行済み株式の過半数を取得するため、KDDIが支払った金額は約200億円。2010年以降のインターネット系企業の買収案件としてはポケラボ(グリー、2012年・138億円)とチケットキャンプを運営するフンザ(ミクシィ、2015年3月・115億円)を大きく超える評価となった。

まさに、2010年以降の国内スタートアップシーンで最大規模となる買収劇は当時、多くの関係者を驚かせた。

KDDIのオープンイノベーション戦略でこれまで紐解いてきたKDDI∞LaboやKDDI Open Innovation Fund(以下、KOIF)はいずれも主なターゲットを「非通信事業」、つまりKDDI本体の主力事業とは異なる分野をターゲットにしていた。当たり前だが年間数千億円規模の利益を稼ぎ出す「本業」は鉄板であり、そこを補完するベンチャーなどそう簡単には出てこない。

しかしソラコムは全く違うアプローチで新たな市場にチャレンジしていた。それがInternet of Things(通称:IoT・モノのインターネット)分野だったからだ。彼らは通信キャリアから回線を借受けるMVNOの方式で独自のSIMカードを発行し、さらにモバイル通信をまるでクラウドサーバーのように必要なだけ利用できる「SORACOMプラットフォーム」を構築した。

KDDIとの協業は買収の約1年前、2016年10月に遡る。KDDIにソラコムの保有するコア部分を開放し、「KDDI IoT コネクトAir」の提供を開始したのが始まりだ。元々Amazon Web Serviceの日本開発担当だったチームが手掛けたサービスなだけに技術的な信頼度も高い。結果、法人向けの利用を中心に7000件もの利用社(2017年8月の買収時点)を獲得するまでに成長し、グループ入りを果たすことになる。その後も利用社はさらに拡大し(2020年3月時点で1.5万社)紛れもない国内IoTのトッププラットフォームとなった。

買収「後」から始まるオープンイノベーションとエコシステムの拡大

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KOIF3号のスキーム

そしてKDDIとソラコムはもうひとつの注目すべき仕掛けを用意していた。それが「ソラコムファンド」の存在だ。

2018年4月に発表された「KDDI Open Innovation Fund 3号」には特徴的なテーマが設定されていた。それが5G時代に向けた共創戦略である。これまでの1号・2号の4倍となる200億円の組成となった3号ファンドにはAI(ARISE analytics AI Fund Program)、IoT(SORACOM IoT Fund Program)、マーケティング(Supership DataMarketing Fund Program)が明確なテーマとして組み込まれた。

買収したソラコムは事業拡大だけでなく、IoT分野で5Gプラットフォームを活用したアイデアを共創する、新たなパートナーを探し出すための「顔役」にもなったのだ。同社は早速6月にIoTデバイスソフトウェアマネジメントプラットフォーム「Resin.io」や、8月にはシンガポールや台湾でsigfox通信ネットワークを提供するUnaBizへの出資を決め、ソラコムとの戦略的業務提携を実現させている。

KOIFの始まりは初代ラボ長、塚田俊文氏(現・KDDI理事)のある提案からだったそうだ。ファンド組成のきっかけをグローバル・ブレイン(以下、GB)の熊倉次郎氏はこう振り返る。

「2005年あたりですかね、当時、私たちはニフティさんと一緒にファンドの運営をしていて、その支援先の協業提案でKDDIさんにも出入りをしていたんです。そこで出会ったのが塚田さんでした。ちょうど、KDDIでコーポレートベンチャーキャピタルの新たな組成が話題として上がっていた頃です」。

それから10年。インキュベーションの企画として始まったKDDI∞Laboは、年数を重ねてKDDIがスタートアップのみならず、他業種の企業と協業・共創するプラットフォームに成長した。50億円で始まったKOIFは運用総額を300億円にまで拡大し、AI、IoT、マーケティングまでもテーマとした戦略敵投資ファンドとして存在感を発揮している。

KDDI∞LaboとKOIFが狙う協業とファイナンシャル・リターンのバランス、そしてそこから生まれる新たな事業チャンスとの出会い。その可能性はグループ全体の戦略にも影響を与えつつある。

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バーチャルイベント「MUGENLABO DAY 2020」に登壇する高橋誠社長

ウィルスとの戦いで幕を開けた2020年

今、この原稿を執筆している2020年3月というタイミングは、あらゆる常識を疑う日々に包まれているように思う。突如として現れた「COVID-19」というウィルスが、人々を社会から完全に隔離してしまったからだ。

一方、こういった社会の否応のない変化は、新たな価値・体験のきっかけにもなる。先の不況を引き起こしたリーマンショックは、シェアやオンデマンド、クラウドのような「持たざる」新しい経済インフラ、テクノロジーを促進させることに繋がった。

KDDI∞Laboも例外ではない。3月24日、例年であれば大型のカンファレンス・ホールで1000名規模を集めて開催されるはずだったイベント「MUGENLABO DAY 2020」は、人との接触を防ぐため異例のオンライン開催を余儀なくされる。しかし転んでもタダでは起きないのがこのプログラム。単なる無観客イベントをストリーミング放送するのではなく、空間自体を仮想化するという道を選んだのだ。

バーチャル・リアリティ空間での大型カンファレンス

クラスターがスタートアップしたのは2015年7月。α版などの提供を経て、約2年後にバーチャル・リアリティ(VR)空間を自由に生み出せるソーシャルネットワーク「Cluster」を正式公開した。Cluster上には現実とは異なるオルタナティブ世界が広がり、ユーザーはそこでもう一人の自分としてアバターをまとい、様々な活動を楽しむ。

当然ながらこの世界にはウィルスは無関係だ。KDDIはリアル世界での開催が難しいと判断するや否や、Clusterを新たな会場に指定した。クラスターにKDDIが投資したのは2018年9月。シリーズBラウンド(総額4億円)で出資をした後、今年1月のシリーズCラウンド(総額8.3億円)にも続いて参加している。現在、KDDI∞Laboのラボ長を務める中馬和彦氏も社外取締役として経営に参加している。

VRならではの体験といえば一人称視点と没入感だ。OculusなどのVRヘッドセットを装着すれば、まるでそこにいるかのような体験も可能になる。ライブストリーミングだけでは不可能と言われる、リアルイベントならではのネットワーキングについても可能性が見えてくる。ただ今回は残念ながら取材という仕事があるため断念した。どうしてもヘッドマウントディスプレイを付けながら現実世界のキーボードを叩くのは難しい。

私の都合でリアルカンファレンスの体験を完全に再現するまでには至らなかったが、十分未来を感じることのできる取り組みだった。

披露された4つの事業共創プログラム

では、2011年の開始から10年目を迎えることとなった共創のプログラムはどのようなものになっているのだろうか。大枠として走るのは、5GをテーマにKDDI ∞ Laboがネットワークするパートナー連合46社とスタートアップが協業を目指す「5G for Startups」と、より具体的なテーマを盛り込んだ共創プログラムの「∞の翼」の二つだ。

共にPoC(実証実験)ではなく、企業に予算がついた事業にスタートアップの技術・アイデアが加わることで、具体的な事業化を目指すものになっている。「5G for Startups」は通年での応募が可能で、「∞の翼」については第一弾となる取り組み内容と参加スタートアップを含むチームが公開された。

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KDDI ∞ Labo パートナー連合46社:リリースより引用

例えばスタジアムと5Gをテーマにした共創プロジェクトには、KDDIとサッカーチーム、名古屋グランパスエイトがタッグを組んだ。利用可能なアセットとして名古屋グランパスのホーム「豊田スタジアム」が利用可能で、5G時代における新たなスポーツ観戦の体験を生み出すのが狙いだ。ここに採択されたのが2017年創業の「ENDROLL」。昨年には東京急行電鉄と協力し、渋谷の街を謎解きゲームの舞台にした「渋谷パラレルパラドックス」を発表するなど、現実世界をテクノロジーで拡張する新進気鋭のAR(拡張現実)スタートアップだ。

KDDIの持つ5Gインフラと技術、グランパスの持つファンベースとスタジアム、ENDROLLが仕掛けるARエンターテインメント・テクノロジー。これらを掛け合わせることで、来場するサッカーファンたちにゲームだけでない、新たなテーマパーク的体験を提供するのが狙いだそうだ。3社はこれから年末の本格導入に向けて開発・テストを開始する。その他にもコミュニケーションや商業施設、テレビの合計4つの共創テーマが発表され、それぞれ取り組みを開始している。

企業のオープンイノベーションに必要とされるもの

これまで6回に渡ってKDDIのオープンイノベーション戦略を紐解いてきた。戦後復興の昭和に始まった成長神話は絶頂バブルを生み、ゆるやかに下り坂に入った平成を経て令和の今、企業には自前主義ではなし得ない新たな成長戦略が求められるようになった。その焦燥感にも似たうねりが、2010年から始まった企業によるスタートアップ投資や協業・オープンイノベーションという文脈なのだろうと思う。

各社は先行する企業を見様見真似でファンドを立ち上げ、筆者も数多くの取り組みを取材してきた。しかしそこには残ったものと消えたものという、明確な差が生まれたのも事実だ。何が異なっていたのか。

ひとつ明確に言えることはリーダーシップと覚悟だ。

成長戦略におけるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)やアクセラレーション・プログラムは、手段であって目的にはなり得ない。さらにその変数の多い道のりには不確定な協業シナジーと、必要に迫られるファイナンシャル・リターンが待ち受ける。実施をすれば矛盾も起こる。企業トップが明確に「変わらねば」という意思表示しなければ、現場はこの矛盾と葛藤に飲み込まれてしまう。

KDDI∞LaboやKOIFのようなエコシステムは他の企業にも生まれるのか。先行き不透明感が増す中、次の10年が終わったあとの振り返りを楽しみにしたい。(了)

ーーー

筆者:平野武士・・ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現・BRIDGE)を共同創業し、2018年4月に株式会社PR TIMESに事業譲渡。現在はBRIDGEにてシニアエディターとして取材・執筆を続ける傍ら、編集からPRを支援するOUTLINE(株)代表取締役も務める。

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旅が復活しても、もう違うものになるーーAirbnb「共同創業者からの手紙」が大切にしたもの

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ピックアップ:A Message from Co-Founder and CEO Brian Chesky  ニュースサマリー:Airbnbは5日、COVID-19による先行き不透明な経営状況のため約25%規模のレイオフを実施することを明らかにした。現従業員7500名の内、約1900名が対象となる。人員削減により、今後の主要事業転換に向け体制を整える狙いがある。 COVID-19以降、Airbnb…

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ピックアップ:A Message from Co-Founder and CEO Brian Chesky 

ニュースサマリー:Airbnbは5日、COVID-19による先行き不透明な経営状況のため約25%規模のレイオフを実施することを明らかにした。現従業員7500名の内、約1900名が対象となる。人員削減により、今後の主要事業転換に向け体制を整える狙いがある。

COVID-19以降、Airbnbは医療従事者向けに住居の無償提供や旅行キャンセル者への100%の返金など対応に追われてきた。先月には10億ドルをデッドファイナンスにより調達したが、主要事業の絶対的利益減少によりレイオフが避けられない状況となった。

同社の今年度収益は2019年度の半分以下になると予想されている。

※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です。

話題のポイント:AirbnbはCOVID-19以降、シェアリング事業者の中でも迅速に各方面への対応を進めている印象がありました。過去にも自然災害や人道支援の観点で取り組んできた住居の無償提供に始まり、急激なキャンセルにより経済的な困難に直面するホストへ向けた救済基金の設立、長期化を見据えた10億ドルの調達などできる限りの対応を進めていたと思います。

特に最大で5000万ドルの支援を実施するスーパーホスト救援基金は「Airbnbらしさ」を顕著に表した取り組みでした。総額1700万ドルの内100万ドルをAirbnb従業員、900万ドルを共同創業者で負担し、残りの700万ドルを投資家の寄付で用意。自社負担のホスト基金2億5000万ドルとは別で、Airbnbエコシステムに関わる全員が「寄付」という形で手を差し伸べたのがAirbnbらしさを物語っています。

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エコシステムをステークホルダー全員で支える基金

みなさんはご存知でしょうか?

Airbnb立ち上げ当初のキャッチフレーズは「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」といったものでした。

今回公開されたBrian Chesky氏のレターでも言及されているように、Airbnbはもちろん旅に関わるプラットフォームですが、それ以上に、常に「人」を中心とした考えを持ち続けてきました。だからこそ「ビジネスライクにホストを救済する」と発表するだけでなく、繋がりを持つ全員が一丸となって助けようという姿を示したのだと思います。

加えて、今回のレイオフに際してもAirbnbは「完全な透明性」をベースに意思決定と情報伝達をしていくと強調しています。レイオフの詳細と仮定は公開可能な状態になる段階で隠すことなく全て公開するとしており、「部分的な透明性」は状況を悪化させるだけだという認識を示しています。

レイオフされる従業員へのアフターケアに関しても全てレター上にて明確に公開されています。簡単にまとめると以下の通りです。アフターケアを大事にする「人」を中心とした企業カルチャーがにじみ出ていることがわかります。

  • 退職金
    – 米国における従業員は14週間の基本給に加え、Airbnb勤務年数ごとに1週間の追加
    – 米国外における従業員は割いてでも14週間の基本給、加えて各国ごとに準じた追加金
  • 持ち株(ストックオプション)
    – 公平性担保のため過去1年間に雇用された従業員の株式行使期間(1年)の取り下げ
    – 退職者は全員5月25日に権利が付与される
  • ヘルスケア(健康保険)
    – 米国ではCOBRAを通じた12か月間の健康保険のカバー
    – 米国外では2020年内における健康保険のカバー
    – KonTerraを通じた4か月間のメンタルヘルスケアサポート
  • ジョブサポート
    – 退職者に向けウェブサイトを通じた新しい職場と出会う機会のサポート
    – 2020年度におけるAirbnb採用担当者の実質的退職者の新規職場探しサポート
    – 「RiseSmart」転職活動に特化したサービスを4カ月間にわたりサポート
    –  残り続ける社員による、退職者の新規職場探しサポートプログラム
    – 貸与していたラップトップPCの譲渡

さて、レターではBrian Chesky氏がAirbnbを創業した当初のキーワードを「belonging and connection(帰属と繋がり)」と表現しています。

Airbnb創業当初、同社の名前が「Air Bed and Breakfast」であったことは有名です。これは、エアベットと朝食が提供される簡易宿泊施設という意味で、まさにショートステイという「誰かとのちょっとした共同生活」を通し、人との繋がりを持つことが意図されていました。そして最終的には、現在の民泊という形へたどり着きます。

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創業期のAirbnbサイトより

しかしまさに、COVID-19による世界的なソーシャルディスタンスでランダムな「人」との繋がりが実質的マイナスであるという概念が生まれてしまったのです。しかも、世界同時に。

現在のAirbnbはショートステイをプライオリティーから外し、ロングターム型民泊へとコンセプトを切り替え始めていました。もちろん。#StayHome が叫ばれる世の中でショートステイの需要がない分、ビジネス的に選ばざるえない選択だったのは明らかです。しかしこれは、創業当初に思い描いていた「人」を中心とした「belonging and connection」とは限りなく違う方向性へAirbnbが歩みだした瞬間だったのではと感じてしまいます。

Airbnbがその「らしさ」を捨てて全く違う企業へ生まれ変わってしまうのかといえば答えはNOでしょう。

同社も述べている通り、新型コロナショックによる売り上げは年次比較で50%以下が見込まれており、おそらく旅行業界をマクロ的に見ればそれ以上のマイナス成長となることは避けられません。だからこそ、まずはその時代を戦い抜くための、新しいビジネス構造をいち早く創り上げようとしているのは正しい選択です。

では実際どこまで、旅行市場は危機を迎えているのでしょうか。レターでは今までのような旅を取り戻すことはできないとまで言及してます。以下がその抜粋部分です。

  • We don’t know exactly when travel will return. (旅がいつ、ごく日常のものとして帰ってくるのかはハッキリしない)
  • When travel does return, it will look different. (仮に旅が復活しても、今までのそれとは違うものとなるだろう)

私もですが、みなさんも今までの日常はいつか帰ってきて、当たり前のように飛行機に乗り、全く違う文化の国へ旅をすることができるだろう、そうした思いがどこかにあったかもしれません。しかし、ホスピタリティー・トラベル業界をけん引してきたAirbnbがこうした考えを持っているとなると、やはり事態は難しい状況にあるのだと再認識させられます。

では、今後Airbnbはどのような形へシフトしていくのでしょうか。

上述したように、ロングタームへのシフトやオンライン型のエクスペリエンスなどコロナ後・共存の世界観に対応させた仕組みを作りを目指しているのは明らかです。しかしこの世界経済混沌な中、まだ具体的な方向性は定まっていないのが実情なのでしょう。そのため、人員削減はどうしても避けられない意思決定だったのです。

This crisis has sharpened our focus to get back to our roots, back to the basics, back to what is truly special about Airbnb — everyday people who host their homes and offer experiences. (日々、自宅を提供し特別な体験を提供するーー今回の危機は、Airbnbが真に特別としていたもの、そもそもの原体験に我々を引き戻させてくれた)

これは、レターにて述べられていた今後のAirbnbを形作っていくことになる一文です。「旅の形は変わりゆくある。しかしhuman connectionを求める人間本来の性質は変わらない。だからこそ、私たちは、原点に戻って『Travel like a human(人間らしく旅をしよう)』を応援していく」、そういった思いが込められていると感じます。

COVID-19により、あらゆる分野で常識と思われていたことが変化を遂げつつあります。

例えば、オフィスの必要性や都会に住むことの必要性が問われるなどが挙げられるでしょう。逆に言えば、東京など人が多く集まる場所にフィジカルに生活する意味合いを取り戻すことはもはやできないかもしれません。つまり、これから田舎や人の少ない過疎地域を中心に自然との共同生活様式が望ましいとする世界観へと変化していく可能性も大いにあります。

そうした意味では「Travel like a human (人間らしく旅をしよう)」というフレーズの最終地点は、自然との共同生活様式でライフスタイルを創り上げる(旅をする)と繋がっていくのかもしれません。

人間らしく旅をするーー。

観光地をバスで詰めに詰めたスケジュールで回りきることでしょうか。おそらく、その正解は上述した「自然」と共に生活しながら、忘れられない経験を見つけ出していくことにあるのだと考えます。

今までのメジャーな旅は、アスファルトで補正された「オンロード」な旅でした。

しかし、これからの世界では何も補整されていない自然な「オフロード」な中で、人間らしく旅をすることが日常に溶け込んでいくのではと思っています。

Airbnb共同創業者であるBrian Chesky氏が同様な考えを持っているかは定かではありません。しかし、適度に人とのつながりがあり、自然と現代社会が上図に調和された中で生きていくことは少なからず訪れる世界のフォーマットであると思います。

少なくとも、キャッチフレーズ「Travel like a human (人間らしく旅をしよう)」を基に、あのBrian Chesky氏らがAirbnbを率いている限り、同社はコロナ後・共存の世界でも「人」を中心として新たな生活様式を創り上げる中心にいることは間違いないと、信じています。

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新型コロナ収束後、投資はどう変わる?

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本稿を寄稿してくれたMike Abbaei氏は投資ファンド「Naples Technology Ventures」の共同創業者 COVID-19の大流行は、今後数十年にわたって社会や経済に影響を及ぼし、予測が可能なことを前提として回っていた社会のしくみを変えてしまうだろう。常に変化すること、これは現時点では多くの人々にとって脅威だ。今回のようにグローバルな危機では特に、その後の人々の相互作用、ビジ…

Image credit: Pixabay

本稿を寄稿してくれたMike Abbaei氏は投資ファンド「Naples Technology Ventures」の共同創業者

COVID-19の大流行は、今後数十年にわたって社会や経済に影響を及ぼし、予測が可能なことを前提として回っていた社会のしくみを変えてしまうだろう。常に変化すること、これは現時点では多くの人々にとって脅威だ。今回のようにグローバルな危機では特に、その後の人々の相互作用、ビジネスの相互作用、ビジネス運用、ビジネス行動、ヘルスケア、規制環境、セキュリティなどが必然的に変化するだろう。

例えば9.11。混乱が落ち着いた後、航空交通、航空券の予約・発券、荷物の取り扱い、空港及び飛行機のセキュリティ、TSAロック、さらにはフードサービスと、人々の移動方法から機内の調理器具に至るまで大きな変化が生じた。国土安全保障省が創設された以外にも、政府による監視や国内外での安全対策にも影響を及ぼした。

新型コロナウイルスによる景気後退の影響力は、通常なら何年にもわたって徐々に進行していくべき変化を、ほんの数カ月に凝縮してしまう。この変化には痛みのみならず、進展も伴うだろう。VCの投資に関しては次のような変化がみられる。

価値に対する影響

いま、起業家と投資家がもっとも気になることは、当然ながら、この不況が企業価値にどう影響するかということだ。答えは簡単、資金を求める民間企業にとっては予想通り残念なものとなり、評価額は全体的に1年前と比べて30%〜50%も下がる恐れがある。極端に保守的な時代の訪れだ。公開市場は大打撃を受けて風化し、あらゆる民間投資市場にも影響するだろう。ここ数年は公開市場も経済も急速に成長しており、投資哲学は「企業にやさしい」ものになっていた。しかし今後は、少なくとも成長率が近年のレベルまで回復するまでは、「投資家にやさしい」ものとなるだろう。

起業家も経営陣も、投資家からの評価額が厳しいものになることを認識しなければならない。これまでよりも資金が流れにくくなる。しかし、この締め付けへの対抗策も考えられる。経験豊富なVCによる投資への積極的な関与と手引きだ。時代が保守的になれば、VCはより一層本腰を入れて投資の背後にある戦略や意思決定に関与するようになる。このことは、より少ないリソースでより多くのことを行うことを使命とする起業家世代にとって歓迎すべき手引きとなるだろう。

リーンへの回帰はスタートアップの運営そのもの

評価額が下がれば、VCから難問、特に、企業の収益ストリームの安定性、キャッシュの管理方法、収益化する道筋の明確さといった問題を突きつけられることになるだろう。速いキャッシュバーンに加えて、まだ経済的に成功を収めるタイミングや方法を掴めていない企業に長期的に投資する時代は終わった。ビッグアイデアだけでなく、賢明な財務管理が必要だ。VCはその両方を適切に兼ね備えた企業を理想として探し求めている。

VCは突発的な困難を乗り切る能力を持つ新たなビジネスをより一層評価するようになるだろう。少額を前払いするサブスクリプションのように、定期的な収益に基づくモデルはかつてないほど魅力的だ。これはレンタルスクーターのスタートアップからの教訓だ。

何百万米ドルもかけた設備が街の通りに並べられているが、それを支えているのは予測不可能な非経常収益であり、しかもほぼ枯渇している。投資家がいつも同じ道をたどるとは思えない。今は適者生存の時代だ。キャッシュに余裕のあるリーン企業はこの嵐を乗り切れるだろう。しかし肥大化し金遣いの荒い組織は無駄を削ぎ落とさなければ店じまいするしかない。

ビジネスモデルを効果的にする上で新たに求められるもの

当然ながら、2020年後半以降、特定のビジネスモデルが他よりうまくいくだろう。この10年間は、ブランドとの関係を再定義するディスラプティブで消費者志向のビジネスが主流だったが、今後10年間は、人間どうしのつながりが取引の中で果たす役割を考え直し、効率、適応、持続可能性を優先する時代になるだろう。

現状ではeコマースビジネスが明らかに勝者として浮上しているように見えるが、消費者が生活必需品の確保に急いでいる今、WalmartやTargetなどの従来の小売業者もまた、オンライン事業へとスケールするチャンスを得ている。デジタル化に乗り遅れた者たちも含め、これらの企業が消費者に提供するオプションが新たな標準を生み出すだろう。サプライチェーン内の敏捷性も、消費者と投資家の両方にとって非常に優先順位の高い要素になる。

これからの企業には、今回のパンデミックによって生じるであろう新たな消費者行動を予測することが不可欠だ。対面式のイベントや会議からZoomなどを使ったオンラインでの開催への大幅なシフトについて考えてみよう。その多くは短期的な生存戦略ではない。多くの人々が、その効率性を享受し、新しい行動が生み出されている。投資家が重要視する新たな社会規範になるだろう。消費者が小売業者や専門家よりもオンライン取引の大切さに気づき、オンラインへの移行が進むにつれて、ヘルステック、インシュアテック企業は通信業以上に成長するだろう。

これらの業界だけでなく、SaaSプラットフォームがパンデミック後の投資状況で優位に立つだろう。なぜなら経常収益を得られ、かつ迅速にスケールできる利点があるからだ。原理的にクラウドベースなので、通常リモートで運営され、非接触的な方法でビジネスを行っている。これは現在だけでなく将来的にも大きな利点となる。

新たな規範にふさわしいニッチなテクノロジーを提供する新規参入者が市場に現れることは疑いの余地がない。在宅勤務、リモートアクセス、新たなセキュリティ、健康対策、遠隔医療、非接触型の決済や取引、あらゆる種類のバーチャルショールーム、バーチャルな旅ーースタートレックのような移動手段さえも!

多くの企業がパンデミックとその後の景気後退に取り残されようとしている。現実から目を背けて進化に失敗した企業は特にだ。しかしどんなに景気が低迷していても、優れた企業は必ず頭角を現すし、投資家はパンデミック後の消費者や企業のニーズに応える準備ができている新世代の企業と手を結ぼうとするだろう。今はただ待ちの姿勢でいるべき時ではない。未来に向けてマインドセットとモデルを再考すべき時だ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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「オフィスに集まる必要性」はあったのか?ーー著名投資家が語る“コロナ前後”で変化する世界観

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ピックアップ:Mary Meeker’s coronavirus trends report ニュースサマリー:元kleiner perkinsで、著名投資家のMary Meeker女史をパートナーとするVC「Bond Capital」が4月後半、同社投資先へ向けて「ポストCOVID-19市場」を分析したレポートを公開している。同レポートは全28ページで構成され、5つの重要なアウトライ…

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ピックアップMary Meeker’s coronavirus trends report

ニュースサマリー:元kleiner perkinsで、著名投資家のMary Meeker女史をパートナーとするVC「Bond Capital」が4月後半、同社投資先へ向けて「ポストCOVID-19市場」を分析したレポートを公開している。同レポートは全28ページで構成され、5つの重要なアウトラインに分かれている。

話題のポイント:Mary氏が毎年発行している「Internet Trend Report」は多くの起業家、投資家にとって指針のような存在になっているレポートです。読者のみなさんも一度は目にされたり読み解いたりされたりしたことがあるのではないでしょうか。

今回、同氏を中心に執筆されたレポート「ポストCOVID-19」は、「Our New World」と称しコロナ後(もしくは共存)の世界概念が一変する前提を元に描かれています。概要は大きく5つのトピックに分類されており、最初のトピックでは、COVID-19による経済的影響がどこまで長引くかに関する分析をしています。

経済回復の面ではできるだけ早く「人々が安全に外出できる指標」を示し、共通理解を広めることが大切で、それまでは政府資金を効率的に利用すべきだと主張しています。

(1)COVID-19 = Shock + Aftershocks
(2)Viruses + Microbes = Consistent + Periodic Agents of Disaster
(3)Creative Innovators (Globally + Together) Will Rise Above the Virus

2・3つ目のトピックでは、過去に私たちが対峙していた「ウイルス」と情報社会に生きる現代の私たちが対峙する「ウイルス」は全く別物であるという指摘をしていました。同レポートによれば、COVID-19に関する研究論文は既に3000件も発表されており、前例時と比較しても20倍のスピードでソリューションの発見へ動いているとしています。要は過去のパンデミックと比較して比べ物にならないぐらい動きが早い、ということですね。

さて、私たちにとって特に重要なのが4つめの「世界観の比較」です。3つの題材に分けてCOVID-19前後の世界観を比較しているのでもう少し詳しくみてみたいと思います。

(4)Rapid Changes Drive Growth in Both Directions

• Scientists / Engineers / Domain Experts Get Back More Seats at The Tables
• Work-Life Re-Balanced
• Digital Transformation Accelerating
• Rise of On-Demand Services as Economic Growth Driver Continues (for Consumers + Workers)
• Government’s Role in Stabilizing / Stimulating Economy (& Jobs) Must Be Enabled by Modern Technologies
• 2020 = Step-Function Year for Technology + Healthcare?
• Traditional Sports = Post COVID-19 Evolution Provides Real-Time

(5)The World Just Doesn’t End That Often = We Will Get Through This… But Life Will be Different

GAFAは正しかったか

情報社会をリードするテクノロジー企業の代表格Microsoft、Amazon、Apple、Alphabet(Google)、Facebookに焦点が当てられています。各企業を率いてきたリーダーたちが短・長期的(10〜20年単位)ビジョンに基づいてリードしてきたのが「データの有効活用」です。

テクノロジー企業はデータを取り扱うという性質上、プライバシーの観点で近年問題視され始めていました。一方、このデータがなければ例えばAppleとGoogleの大規模な協業のような動きは不可能です。

参考記事:GoogleとAppleがCOVID-19対策でタッグ、まずは公衆衛生当局アプリから

同氏はCOVID-19はこうしたデータドリブンな長期的計画を持つことの重要性を顕在化させたと指摘しています。これは、決してテクノロジー企業のみの話でなく、全ての業界・業種に共通点だったということを気づかせてくれます。また同時に今後、「彼らとサイエンティスト、エンジニア、各業界のエキスパート」がヘルスケアの観点で協業することが重要であるとも言及していますが、これらは実際に進むのではないでしょうか。

ワークライフは分散型へ

大きく変わるのがワークスタイルです。Mary氏は「Shelter-in-place」によってワークライフは分散型へと移行するのはほぼ確実、と指摘しています。ベイエリアのテック企業は3月2日以降、Work From Homeを実践してきましたが、そもそもそれ以前から「オフィスに集まる必要性」はあったのか?と疑問を呈しています。

We have often been in large open spaces at technology companies filled with people using laptops at standing desks while wearing headphones to tune out background noise… is there a better win-win arrangement?(テクノロジー企業の多くはオープンスペースで、スタンディングデスクを使って、ノートパソコンにずっと目を向け、周りの雑音を取り除くためヘッドフォンを取り付け黙々と作業する人で埋め尽くされるだけです…なぜそうした状況が生まれてしまったのでしょう?)。

BONDはリモートワークを始めた投資先企業に、以下のような質問をしているそうです(一例)。

  • あなたの会社は効率的になりましたか?
  • チームはハッピーになりましたか?
  • コミュニケーションツールには、ビデオカンファレンス・メッセンジャーのどちらを使うようになりましたか?

これらの回答を結論付けるのはまだ早いとしながらも、ほとんどの企業で効率性が同様もしくは向上されたとしているのです。また、家族との時間が増えたことやあらゆるフレキシビリティーが生まれたことで、幸福度も上がっているとしています。

興味深かったのは、ビデオ会議をすることで多くの人が集合時間を守り(中には5分前行動のように早く登場する人も!)、かつ予定される終了時刻に合わせテキパキと議論を進めるようになったと報告しています。

DXはもう止めたくても止められない

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、テクノロジー企業であろうがなかろうが関係なく導入を余儀なくされることになるだろうとしていました。DXの動きがCOVID-19によって明確に可視化されたことの影響は、日本国内でも「ハンコ廃止」や「EC・オンラインデリバリー」の加速などで実感している方も多いのではないでしょうか。

以下は、DXが急速に進むであろうと同レポートで指摘される一例です。

  • ローカルの古びたレストラン:店内からピックアップへシフト
  • ローカルスーパー:完全ECへシフト
  • ローカルのコミュニティー:リアルミートアップからデジタルへシフト
  • ブランドビジネス:完全ECへシフト、しかしブランドはデジタルでも強い
  • 学校:オンデマンド&バーチャルクラスへシフト
  • 家族の娯楽:移動からデジタルへシフト
  • 日用品:買い出しからオンデマンドデリバリーへシフト
  • 外食:イートインから、持ち帰りへシフト
  • 医療:対面型から、オンライン診断へシフト
  • 企業情報管理:紙からクラウドへシフト

オンデマンドP2Pに明暗

オンデマンドP2Pプラットフォームといえば、Airbnb、Uber、Lyftが挙げられます。現在、COVID-19により人の移動が制限されてしまい、フィジカルな移動が伴うAirbnb、Uber、Lyftのオンデマンドモデルの需要低下は避けられない状況になっています。一方、デリバリー面ではInstacart・DoorDashが需要拡大化してきており、オンデマンドP2Pの需要シフトが大きく始まっていると指摘しています。

今、この時点で判明していることを現在進行形で以下の4点です。

  1. 働き方が確実に変わってきている
  2. 多くの人が働く機会を失っている
  3. 多くの人が資金的に追い込まれている
  4. 3カ月、そして24カ月後のいずれも「予想は不可能」

同氏はこうした状況が、さらにオンデマンド型の働き方(需要が増える分)が新たなスタンダードになる可能性を指摘しており、それによる社会構成が再定義されることまで言及していました。

The World Just Doesn’t End That Often.(世界はそんな簡単に終わると思うか?)

さて、同レポートの結論部分で引用されるこの言葉は、2008年の金融危機の際T. Rowe Priceの会長・CIOであったBrian Rogers氏のものです。この発言を引き合いにMary氏は「…だけど、私たちの”生き方”は変わってしまう」と、COVID-19以降の世界観を最後に6つのポイントでまとめています。以下がその要約です。

  1. 主体性のある政府機関の発展と共に、ヘルスケア、教育分野がローコストかつ効率的に変化を遂げる
  2. 国民の「幸福度」が重要視され、政府・企業間の連携がさらに強まる
  3. 個人のライフバランスやスキルに準じた働き方が当たり前とされ、そうした体制がきちんと整えられていく
  4. いたずらな「消費」を良しとしない風潮になる
  5. 家族と時間を共にすることや、本当の幸せとは何かを追い求める社会となる
  6. 家族間の絆、人生で成し遂げたいこと、コミュニティー、信仰心などにより大きな意味が課せられていく

今回取り上げたMary Meeker氏(BOND)によるレポートは、なんとなく思い描いていた「COVID-19以降の世界観」を明確に統計的数値と共に言語化してくれていました。原文では、ここには載せていないような数値や企業からのコメントなどを用いて、さらに詳しく分析をしているので、一読ゆっくり目を通してみてはいかがでしょうか。コロナ後(もしくは共存)の世界観をより明瞭に思い描くことができるかもしれません。

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売上ゼロからの挑戦ーースナックミーが老舗メーカーとの協業で大切にした「あること」

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本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です スナックミーでは全国の50社以上のおやつの生産者様とお取引をしています。 店舗向けやお土産用のおやつの生産を主とされている生産者様の中には、新型コロナウイルスに関する外出自粛の影響を受けている方も多く、観光客の減少による店舗販売の大幅な売上減、百貨店への売上減など、様々なお困りの声が寄せられるようになりました。先日発表した京都の老…

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おやつ体験BOX「snaq.me」

本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です

スナックミーでは全国の50社以上のおやつの生産者様とお取引をしています。

店舗向けやお土産用のおやつの生産を主とされている生産者様の中には、新型コロナウイルスに関する外出自粛の影響を受けている方も多く、観光客の減少による店舗販売の大幅な売上減、百貨店への売上減など、様々なお困りの声が寄せられるようになりました。先日発表した京都の老舗和菓子問屋「美濃与食品」さんもその一社です。

私たちとしても何かできないか。

私たちには自社が持つデータやテクノロジーを活用したノウハウがあります。これと生産者様の培ってきた製菓の技術を組み合わせることで、新たな取り組みができるのではないか。

本稿では、新型コロナウイルスの影響を受けた美濃与食品さんとスナックミーが、約3週間という短い期間で、オリジナル商品を共同開発・オンライン販売を行った裏側をお伝えします。

店舗も卸先も壊滅的な状況に

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美濃与食品株式会社様

スナックミーには、日本全国の生産者様と連携し新商品開発を行うバイヤーがおり、そのバイヤーのもとにはこのような声が届いています。

「行楽シーズンの催事用に用意していたおやつの売り場がない」「店舗で販売できないのでオンライン販売に乗り出したいがノウハウがなく困っている」

美濃与食品さんも同様です。

京都に店舗があるため観光客の激減により、店舗での土産菓子販売は壊滅的な状況で、さらに百貨店の営業時間等の自粛が追い打ちをかけます。残念なことに主要販売先の百貨店での売上はほぼゼロになったそうです。

美濃与さんは、以前よりスナックミーの和菓子カテゴリー(羊羹、おしるこ等)を支えてくださっているお取引先様で、和菓子以外にも老舗の技術を活かしながら、新しいチャレンジを一緒に続けてくださる大切なパートナーです。弊社の目指している素材本来の味わいを活かしたおやつを作ることや、一見するとわがままな要望もスピード感を持って実現していただきました。

当初、美濃与様や他の生産者様の店舗等で売れなくなってしまった商品を、スナックミーのオンラインショップを通じて一時的に販売することも検討しましたが、私たちだからできることを今一度見つめ直し、次のようなもう一歩進んだ協業を提案してみたのです。

  • 老舗菓子メーカー様とプラットフォーマーでもあるスナックミー、双方の価値を活かした新しい事業モデルを作る
  • 一時的な支援ではなく、再現可能かつ持続可能で双方にメリットのあるものにする

最大の困難:「通常の6倍のスピードで新商品を開発」すること

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製餡の達人が作る「新食感!生スイートポテト」販売開始(プレスリリースより)

商品作成が決まってからは先方に次のような難易度の高い依頼をしました。

  • 初夏から夏にかけて、気温が上がるからこそ美味しくなる洋菓子を(和菓子メーカーが洋菓子を作るという挑戦の意味も込めています)
  • 最低限の原料で、焼き時間などの技術の工夫で、特徴のある食感を出して欲しい

技術面では原料が芋と砂糖だけの2つで「スイーツ感」を出すことに苦戦し、1回目の試作では要ブラッシュアップとなり、「甘すぎてしまい、素材の旨味が出しきれていない」ことを伝え、砂糖の種類と量・芋の調整を何度か行い、発売の状態へこぎつけました。

上記だけでもとても大変なのですが、何より困難を極めたことは「早く商品を世に出さなければならない」ということです。

通常、製菓業界では新商品に対して、数カ月~半年などの時間をかけることが一般的です。しかし、今回は「経済復興」という意味合いが強く、1日も早くおやつを完成させて早く商品を世の中に出し、それによって双方に売上を立てて持続可能な取り組みの第一歩にしたいという想いがあったため、猛スピードで開発をしていただきました。

同時に、スナックミー側もオペレーションの構築(梱包・配送などの体制作り)、各種クリエイティブ作成などを行い、発売直前まで文字通りバタバタの状態でしたが、無事に「新食感!生スイートポテト」を発売し、想定を上回る売上を実現することができました。

大切なことは「継続すること」

「今自分達にできることで、お取引先様やお客様に喜んでいただける可能性があるのであれば、やれることはやろう」。

今回の共同開発は確かに緊急事態における避難措置的な部分もあります。その一方で、大切なものも見失いたくありません。困難な中、これだけのスピード感で協業が実施できたのは、こういったベストを尽くそうという考えが双方にあったからだと思います。

実は新型コロナウイルスが世の中に影響を及ぼし始めた頃、スナックミーとしてもできることを模索していました。しかし、この影響で自社のオペレーションが止まってしまう可能性もあり、また、明るくないニュースが続く中で新商品の発表が本当に求められているのか、という迷いもありました。

そういった障害や迷いもありましたが、やはり大切なのはユーザーであり、多くのステークホルダーのみなさまです。これからも、スナックミーのユーザー様はもちろん、全国のおやつの生産者様にとってのプラットフォームとしての役割を果たし、それによって「おやつの時間をもっと価値のあるものにする」というミッションを実現していきたいと考えています。

本稿はおやつ体験BOX「snaq.me」を運営する株式会社スナックミー代表取締役、 服部慎太郎氏によるもの。Twitterアカウントは@haztr。彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい。

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