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a16zが考える4つのコンシューマテック・トレンド

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ピックアップ記事: Four Trends in Consumer Tech 米国著名VC「Andreessen Horowitz(a16z)」は1月23日、コンシューマテック市場4つのトレンドに関するブログ記事を発表している。本稿ではその内容を紹介しつつ、筆者の考えを整理してみたい。 1. Super App マーケットデータサービス「eMarketer」の調べによると、2019年にモバイル利用…

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ピックアップ記事: Four Trends in Consumer Tech

米国著名VC「Andreessen Horowitz(a16z)」は1月23日、コンシューマテック市場4つのトレンドに関するブログ記事を発表している。本稿ではその内容を紹介しつつ、筆者の考えを整理してみたい。

1. Super App

マーケットデータサービス「eMarketer」の調べによると、2019年にモバイル利用時間がTV視聴時間を初めて上回った。具体的にはモバイルが3時間35分である一方、TVは3時間43分。

モバイルシフトは長い間言われ続けており、そこまで不思議なことではない。ただ、注目すべきはその中身。利用時間のうち3時間近くがアプリに消費されており、残りの26分しかモバイルブラウザーに使われていない。加えて、新規アプリのダウンロード数の少なさが目立つ。平均的なユーザーの毎月の新規アプリダウンロード数は0であることも珍しいことではない。

誰もが自分好みのアプリを集中的に使い、新規アプリをダウンロードすることがなくなったのが現状であり、新陳代謝が全く行われていないのがモバイル市場とも言える。そこで登場するのがSuper App。

記事では中国のライフスタイルサービス「Meituan(美団)」を紹介している。2013年から同社は収益源の多角化を考え始めたという。手始めにホテル予約サービスができるボタンをアプリ上部に設置。今では中国の宿泊予約50%ほどのシェアを占めているとのこと。ちなみにホテル市場の競合「Ctrip」はシェアを22%にまで縮小させている。

Meituanは他にもエンタメやモビリティ系サービスを次々と立ち上げ。高頻度ながら利益率の低いサービスで顧客獲得を進めつつ、最終的には低頻度で利益率の高い事業へと送客する仕組みを確立した。顧客理解と幅広いデモグラフィック分布を武器に攻勢を強めている。こうしたサービスの一極集中モデルをSuper Appと呼ぶ。

中国では「WeChat」や「Alipay」、東南アジアには「Gojek」がSuper Appとして市場を確立。米国では「Uber」が同様の動きを見せている。記事ではアジアから欧州へとSuper Appのトレンドが来ていると紹介されている。

仮にユーザーに高頻度で使われるアプリを運営しているのならば、常に新しい収益源となるサービス立ち上げを勧めている。もしユーザーに頻繁に使われるサービスでないのであれば、大手企業が持たない付加価値や顧客データを基に提携を模索すべきとアドバイスしている。一例として「Spotify」を挙げている。同社はユーザーの音楽趣向データを保有。このデータを用いて、アーティストのツアー都市と、各都市での公演曲選定サポートに役立つだろうと指摘している。

2. Commerce

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モバイルユーザーの大半は、ビデオアプリ・コミュニケーションアプリ・ソーシャルメディアアプリなどのアプリに多くの時間を費やしている。これらのアプリは広告配信ツールとしては最適であり、購買チャネルとして主流となる可能性を秘めているという。

記事では短尺ライブストリーミング動画アプリの事例を紹介。農家が美味しそうに実っているみかんをスライスする動画から、直接みかんを購入し、取り寄せることができるEC機能が紹介されている。また、同じくその場でオンライン注文可能なロブスターを、漁師が捕まえる動画を紹介。

ユーザーの背景を汲み取りながら動画コンテンツを配信し、購買意欲を掻き立てる新たな小売チャネルがトレンドになりつつあると述べた。

3. Go Physical

中国では200以上の空港で顔認識機能を備えたキオスクが配置されている。各人がどのゲートに行くべきか、どのようにそこに到達するかを正確にキオスクを通じて伝えてくれる。また、学校の教室では顔認識を使った出欠機能も実装済。

米国でも同様の動きが見られるとのこと。デルタ航空はチェックインと搭乗のため、複数の国際空港で顔認識をテスト。72%の人は、以前の方法よりも顔認識技術を使った手法を好むと回答しているという。ニューヨークの一部の私立学校では、顔認識を使用して銃や、キャンパスにいるべきではない危険人物を選別している。また、英国では、中国企業「Tencent(腾讯)」と提携して、動画や映画、TV番組に広告情報をオーバーレイする2年間の広告に関する独占契約を結んでいる。

従来私たちが目にしてきたデバイスや場所に対し、新たな技術が実装されることで現実世界での生活のありかたが大きく変わろうとしている。

4. Earshare

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10年前は「モバイルファースト製品とはどのようなものか?」を考える時期であった。カメラとGPSが活用され始めたため、InstagramやLyftのような素晴らしい会社が登場した。ここにきて、オーディオ消費が爆発的に増加している。そこで 「オーディオファーストのコンテンツはどのようなものか?」を考える必要性が増していると記事では指摘。

たとえば、Andreessen Horowitzの投資先であるポッドキャスト企業「Knowable」が一つの答えを示している。同社は『スタートアップを立ち上げる方法』、『ポッドキャストを始める方法』、『自信を持って話す方法』、『よりよく眠る方法』など、さまざまなトピックに関する厳選されたオーディオコースを提供するポッドキャストプラットフォーム。

Knowableが他社ポッドキャスト企業より一歩進んでいる点は、「オーディオファースト + Super App」の思考を組み合わせている点。一例として『スタートアップを立ち上げる方法』のポッドキャストコースを購入したユーザーの事例を挙げている。このユーザーは高確率で起業することを検討している。そこでAWSと連携し、コース購入者に1,000ドルのAWSクレジットを提供しているという。他のコースでも提携企業を見つけ、特典を提供する戦略を採用。

Super Appの要素の組み合わせた戦略は強力に働き、先述した「必ずしも高頻度で使われるアプリでないのであれば、提携を模索すべきである」という質問への解となっている。

各企業はより多くのユーザーへリーチするためのチャネルを探している。そこで多くの提携先を見つけ、新たな収益化を図ろうと躍起になっている。そのため、誰もがSuper Appになるため、協力し合う時代が到来していると指摘する。顧客は誰で、コアサービスを支えるために他にどんなサービスが必要なのか、データ資産を活用して新しい収益源を作り出す必要がある。

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話題のポイント: 以上が発表された内容の紹介でした。ここからは簡単に筆者の考察を2点ほど述べていきたいと思います。

Super Appがもたらす新体験

あらゆるサービスを一社がパッケージとして提供するSuper App。昔から長く米国で使われているサービス「Craiglist」がSuper Appの最初の事例として数えられるかと思います。

ただ、同社はモバイル時代に一切対応できていません。また、Craiglistの抱える複数サービスの中から、特定分野の体験のみを圧倒的に向上させるスタートアップは多数登場したものの、全てを束ねてプラットフォーム化させられたライブサービス企業はあまり登場しませんでした。GAFAでさえ、それぞれに弱いサービス領域があり、完全なコンシューマサービス企業としては数えられない印象です。

一方、中国ではBATの台頭と共に、急速にトップ数社による全サービス領域の網羅およびユーザーの囲い込みが加速。立ち上げられていない領域を探す方が困難になってきていますし、スタートアップは太刀打ちできないほど各分野への参入攻勢は強力です。

このように、中国ではモバイル時代の流れに乗って垂直統合型のサービスが登場しています。ウェブ時代からのシフトチェンジを求められてきた米国勢とは違い、時代に沿った形でいち早く市場を席巻してきました。ピックアップ記事にある通り、Super Appのトレンドは欧米へと渡り、世界中で特定企業の寡占状態を引き起こすキーワードとなると考えます。

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ここで注目すべきはSuper Appがもたらす新たなUXです。それはユーザーのしたいことを願うだけで、最短ルートで叶えてくれる「魔法のランプ」のような体験です。

Super App上では特定のサービス名は意味を成しません。同一アプリから特定サービスを探し・引き出す体験がベースにあるため、「何をしたいのか」というユーザーのニーズを言語化してアプリ上検索する体験が上位に来ます。Googleのようなサイトからサービス名を頼りに検索することは想定されていません。

現在はアプリからタイピングを通じて検索する体験が一般的。ただ、インプット手法は音声へと変わっていくでしょう。Google HomeやAmazon Alexaを使うように、何をしたいのかを声に出せばサービスを検索・引き出せる体験が次の主流になると考えます。

「モバイルファースト」から「オーディオ(ここではボイス)ファースト」の思考に沿ったSuper AppのUXが次に来ると感じています。Knowableが「オーディオ + Super App」で成長しているように、Super Appは音声体験を最大限に高めることでスマホの次にやってくる音声時代で活躍できるでしょう。

耳の覇権争い

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オーディオファーストを探すべきだとブログ記事では指摘されていましたが、そこまで音声市場に魅力があるのはなぜでしょうか。具体的には3つほど挙げられます。

1つはスマートスピーカーの普及。Amazon Echoシリーズが市場シェア約70%を占めている中、次のようなデータが公表されています。こちらの記事によると、全世代平均で週17時間ほどオーディオコンテンツを消費するとのこと。Podcastやラジオ、ストリーミング音楽などが該当します。なかでもスマートスピーカー所有者は、非所有者と比較してプライムアワー(8-10PM)に47%以上多くの時間をオーディオコンテンツに割いているそうです。

スマートスピーカーがプライムアワーに使われるシチュエーションを自宅リビングであると仮定すると、私たちがより多くオーディオコンテンツに増える機会は増えるでしょう。2019年6月時点で7,000万台のスマートスピーカーが流通していますが、次の3〜4年で1億台を数えるはずです。こうしたスピーカーによってリビングで消費するオーディオコンテンツ時間は比例して増えると想像できます。

2つ目は「観る」から「聴く」行動へ私たちの習慣が変わりつつある点です。これは先述したハードウェアによって提供されるオーディオ体験とは違い、習慣という最も力強い市場成長を支える要素となります。

読者の方で、スクリーンオフにした状態でYouTubeを聴き流した経験のある方はいないでしょうか?筆者はYouTubeの有料ユーザーなのですが、ざっと見積もって利用時間の7〜8割は聴き流しており、そのためにお金を支払っています。こうしたユーザーの新たな行動様式が自然と構築され、習慣化されることほど強力な市場要因はありません。

<参考記事>

実際、マーク・アンドリーセン氏も同じような点を指摘しています。同氏曰く、YouTubeの視聴者は職場で仕事をしながら動画コンテンツを「聴く習慣」ができていると語ります。1日8時間ほど労働時間があるとすると、週平均40時間ほどオーディオコンテンツの視聴時間が発生する計算です。これは前述した世代平均のオーディオコンテンツ消費時間17時間の6倍にも匹敵します。

3つ目は運転時間。米国では月間1.1億回の自動車通勤が発生。合計走行時間は25億時間にも及ぶといいいます。これから自動運転技術がさらなる発展を遂げ、完全自動運転化が実現すれば車内の運転時間がそのまま余暇時間として新たな市場に成り代わります。

そこでオーディオコンテンツは市場シェアの大半を占めると考えられます。というのも、動画視聴をしては仮に事故を起こした際に運転手が過失を取られることが予想され、非常にリスクの高いコンテンツになるためです。オーディオであれば視界を逸らさずにコンテンツ消費できます。

<参考記事>

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ここまで3つの市場成長背景を紹介してきました。筆者の予想ではさらに3つの側面から音声市場は開拓されていくと考えます。

1つはスマホ備え付けの音声アシスタント経由のサービス利用です。iPhone備え付けの「Siri」とAndroidの「Google」。アシスタントに今したいことを指示するだけで、希望するサービスを最後まで体験できる流れ。ロック画面を開くことなく完結する「魔法のランプ」的なUXからユーザー獲得できるチャンスが生まれるはずです。この点、スマホOSを寡占するAppleとGoogleには、音声時代のSuper Appの座をいち早く狙える理があります。

2点目は先述したSuper Appが提供する音声検索。依然としてアプリを開くステップを挟みますが、1つ目と同様に、スマホ時代に最適な音声体験としてユーザーに支持されるはずです。

3点目は移動時間や自宅で聴くポッドキャストの視聴時間や、運転時間に聴くオーディオコンテンツが挙げられます。まさにKnowableはどこでも聴ける高品質なオーディオコンテンツを提供することで、奇をてらうことのない自然なオーディオ体験を構築。一見、競合差別化のできていない体験から、Super Appのような多角的なサービス展開を狙っています。

最後に、ピックアップ記事で「Super App + オーディオ」の重要性が叫ばれたように、筆者も音声を軸にした新たな体験を軸に急成長する企業が登場すると感じています。音声市場はこれからより活気付くでしょうし、あらゆる企業が音声体験に注目するはずです。

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スーツケースの“民泊”BagBnb、世界3000地域と300都市でサービス展開中

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ピックアップ:BagBnb raised $2.8 million in seed funding ニュースサマリー:ローマに本拠地を置くトラベルスタートアップ「BagBnb」は1月15日、シリーズAにて280万ドルの資金調達を実施したと発表した。Vetrisがリード投資家を務めた。同社は旅行者向けに店舗やカフェ、ホテルなどの空いているスペースにスーツケースや大型の荷物などを安全に預けることができ…

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Image Credit: BagBnb

ピックアップ:BagBnb raised $2.8 million in seed funding

ニュースサマリー:ローマに本拠地を置くトラベルスタートアップ「BagBnb」は1月15日、シリーズAにて280万ドルの資金調達を実施したと発表した。Vetrisがリード投資家を務めた。同社は旅行者向けに店舗やカフェ、ホテルなどの空いているスペースにスーツケースや大型の荷物などを安全に預けることができるマーケットプレイスを運営している。

既に世界3000の地域と300の都市にサービス展開を完了しているという。また、合計150万にも及ぶ旅行者とストレージ場所とのマッチングをさせた実績を持つ。

話題のポイント:つい先日に紹介した「Bob」に引き続き、再びヨーロッパ発トラベルスタートアップの話題です。BagBnBの価格設定は、1つのスーツケース・荷物を丸一日保管すると、基本料金6ドル前後となっています。おそらく1日丸ごとの預かりではなく、最終日のホテルチェックアウト後の数時間等が想定利用シーンなのでしょう。国内では同様のサービスをecbo cloakが積極的に展開しています。

<参考記事>

従来、コインロッカーは事前予約ができないことから、利用できないという不安が常に旅行者を悩ませていました。たとえば、東京の中心街にはコインロッカーが充実していますが、観光地の周りには大きなスーツケースをいくつも収納できる場所を見つけるのは難しいのが現状です。

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一方、BagBnbではモバイルアプリかウェブサイトより、オンデマンド形式でストレージ場所の予約をすることができます。そのため、事前に旅行プランに沿った最適な場所にストレージを設定することが容易となりました。実はBagBnb、日本にも進出しています。築地市場の周辺でサービスを受け入れている店舗を見つけることができました。

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東京に限ってみると、全23店舗がサービスを提供しています。なかでも中央区から東側に対応店舗が増えてきており、築地や豊洲、東京スカイツリーや浅草など大きい荷物を持ったままでは観光UXが下がりそうな場所から攻めていっている印象を受けます。

このように、Bobの記事でも触れましたが、今まであまり注目されていなかった、確かな需要があるトラベルスタートアップの登場が2020年以降は目立ってくるのではないでしょうか。

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VISAが米国で急成長する銀行APIユニコーン「Plaid」を53億ドルで買収

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ピックアップ:Visa is acquiring Plaid for $5.3 billion, 2x its final private valuation ニュースサマリー:フィンテック企業が米国銀行APIを利用できるようになるサービス「Plaid」を国際カードブランド「VISA」が買収する。1月13日にVISAが明らかにしたもので買収額は53億ドル。2018年12月に実施されたシリーズCラウ…

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Image Credi : VISA

ピックアップVisa is acquiring Plaid for $5.3 billion, 2x its final private valuation

ニュースサマリー:フィンテック企業が米国銀行APIを利用できるようになるサービス「Plaid」を国際カードブランド「VISA」が買収する。1月13日にVISAが明らかにしたもので買収額は53億ドル。2018年12月に実施されたシリーズCラウンドにおける評価額の約2倍とされている。

Plaidは開発者がユーザーの銀行口座情報を取得・更新することを簡易化するAPIを提供する。Plaidを利用したサービスは、API経由で米国の銀行口座情報から取引・ID・認証・残高・保有資産などの情報へアクセス可能になる。同社は米国中の銀行とフィンテック事業者を繋ぐインターフェイスとしての役割を担っている。

たとえば、送金・決済分野では「Venmo」「TransferWise」、投資分野では「Robinhood」「Acorns」「 Betterment」、他にも暗号通貨取引所「Coinbase」やモバイル銀行「Chime」などの欧米の著名フィンテック・サービスらがPlaidのAPIを活用している。

本買収に関するVISAの公開記事によれば、米国の4分の1の銀行口座が、これまでPlaidのAPIを通し、2,600以上のフィンテック・サービス、1万1,000を超える金融機関に接続されているという。以下の画像を見ると、上記の関係性が分かりやすく把握できる。

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Image Credit : VISA

最近ではカナダや欧州圏にも進出しており、今後VISAと共にグローバルな拡大を進めていく見通しだ。本買収に関し、VISA CEOのAl Kellyは以下のようにコメントしている。

Plaidは最高の機能性を軸に急速に成長しているフィンテック業界のリーダー的存在です。 Plaidの存在は、VISAのプロジェクト・戦略と相交わることで、開発者や金融機関、消費者により多くの恩恵をもたらすでしょう。

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Image Credit : Plaid

話題のポイント:Plaid同様にVISAも金融機関・フィンテック企業向けにバックエンドからサービスを支える存在であり、両者のビジネスには親和性が高いと考えられます。実際、VISAは買収理由として「新規マーケット参入」「フィンテック事業の本格的刷新」「決済インフラ・サービス共同構築」の3つを挙げています。

たしかに本買収はVISAにとって新規マーケットへの参入、なかでもフィンテック領域への進出を強め、デジタル化経済における国際的決済インフラの地位を確立するための力強い一歩になったことでしょう。

そして注目ポイントは両社の技術を活かし共同で提供されるサービスです。フィンテック業界におけるこれまでのVISAとPlaidの立ち位置は近く、どちらも決済インフラとしての役割を担う立場にありました。

VISAは今後、Plaidの決済処理やアカウント認証機能を搭載した決済インフラの提供を進めていく予定です。これによりP2P及びB2C領域の応用例を増加させる見込みの他、よりグローバルなネットワークを構築できるとしています。また、PlaidはVISAにとって、セキュリティ向上やディスピュートプロセス(不正請求への対応)におけるソリューション強化にも繋がるといいます。

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Image Credit : VISA

買収は3〜6ヶ月以内に実行に移される予定で、現在両社は法的な承認に向け動いているとのこと。VISAは言わずと知れた国際的な決済インフラですが、Plaidを取り込むことで、さらなるグローバル化を進めていくことになりそうです。

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民泊市場と並行して広がる自宅のIoT化

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ピックアップ:The Guild Raises $25M For New Short-Term Travel Stay Option ニュースサマリー:トラベルスタートアップ「The Guild」は7日、シリーズBにて2500万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はMaveronが務めた。また、Convivialite Ventures、MarkVC、ATX Venture Partn…

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ピックアップThe Guild Raises $25M For New Short-Term Travel Stay Option

ニュースサマリー:トラベルスタートアップ「The Guild」は7日、シリーズBにて2500万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はMaveronが務めた。また、Convivialite Ventures、MarkVC、ATX Venture Partners、Corigin、Nicol Investment Group、不動産ファームRXR Realtyも同ラウンドに参加している。

同社は2016年創業。ビジネス旅行者向けに民泊事業を展開する。不動産デベロッパーとの提携に努め、設備投資に力を入れているのが特徴。現段階では米国のみの展開で、オースティン、シンシナティー、ダラス、デンバー、マイアミ、ナッシュビルに施設を所有している。米国中部から東海岸に焦点を当てている。

話題のポイント:「旅のストーリーが個人を強くする時代」でも触れたように、「〇〇版Airbnb」の需要は今年も続いていく傾向にありそうです。本記事では「ビジネス旅行版Airbnb」が当たります。

今回資金調達を実施したThe Guildは、Airbnbとの違いをビジネス旅行者向け施設のデザインと位置づけています。ホテルライクなアミニティ提供や、不動産を丸ごとThe Guildのブランド物件として提供しているのが特徴です。ただ、こうした特徴は他の〇〇版Airbnb企業にも数多くみられる差別化戦略です。たとえば「Lyric」も同じ戦略を採用してブランディングを始めています。

そのため、民泊事業は飽和状態にあり新興スタートアップが誕生したとしてもイノベーティブなものは生まれにくく、市場として盛り上がりに欠けます。一方、ここ数年大きく成長しているIoT市場は民泊と大きな親和性を見せ始めており、レッドオーシャン化している民泊市場にインパクトを与えつつあります。IoTを介した鍵の受け渡し自動化により、空き家の再活用を促すことに成功している事例はその際たる例です。

ビジネストラベル特化型では、チェックインからチェックアウトまでのシームレスな体験提供を売りにしている場合が多く、The Guildも例外ではありません。同社ではIoTを利用した鍵の受け渡し端末を開発・運営する「KeyCafe」とパートナシップを結び、ストレスを感じさせない民泊利用の体制を整えています。

バケーションレンタル・民泊市場の成長に並行して大きく伸びているのが、上述したようなIoT市場です。なかでもスマートロックが民泊と非常に相性の良い領域であるのは明らかでしょう。

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Image Credit: iProperty Management

スマートホームのコンサルティング事業を展開する「iPropertyManagement」によれば、2019年において260億のIoTデバイスが既に利用されているとしており、今後も順調な増加が見込まれているとしたデータを公開しています。そのうちの約15%がスマートホームへの利用だとされていることから、約39億のIoTデバイスが住宅物件へ導入済みということになります。

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米国において、セカンドハウス(第二の住居)を保有する世帯は900万とした統計が出されています。もちろん民泊として利用せず、賃貸契約されているケースもありますが、同統計によれば全体の約25%が賃貸として利用、残りは家族用の別荘としての利用がメインとなっているとされています

そこで、セカンドハウス市場がKeyCafeやその他IoTデバイスの導入を通じ、直接管理が不要になれば、さらに民泊化可能な物件数の増加が見込めます。IoTでなくとも「Leavy.co」のようなオンデマンド・ホストによる経済圏が出来れば、だれもが簡単に民泊経営することが可能となります。

日本においても、こうしたセカンドハウスや空き家の絶対数は今後も増加傾向とされており、新たな市場として注目を集めています。

<参考記事>

〇〇版Airbnbのビジネスモデルはどこも被り始めており、新規性を見出すことが難しくなりつつあります。しかし、関連サービスで成長を遂げているマーケットをうまく活用したモデリングを展開していくことで、市場の中でも一歩抜け出せる可能性が高くなるのではないでしょうか。

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元Google Pay開発者らが創業、インド・モバイルバンクの震源地「epiFi」

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ピックアップ:Former Google Pay execs raise $13.2M to build neo-banking platform for millennials in India ニュースサマリー:元インドGoogle Payの立ち上げを担当した2名によって創業されたネオ・バンク「epiFi」は1月13日、シードラウンドにてSequia IndiaおよびRabbit Capita…

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Image Credit : epiFi

ピックアップFormer Google Pay execs raise $13.2M to build neo-banking platform for millennials in India

ニュースサマリー:元インドGoogle Payの立ち上げを担当した2名によって創業されたネオ・バンク「epiFi」は1月13日、シードラウンドにてSequia IndiaおよびRabbit Capitalらから1,320万ドルを調達したと発表した。

また、投資ファンドHillhouse Capitalに加え、個人投資家としてブラジル拠点の金融サービス「Nubank」創業者David Velez氏、インドのクレジットカードリワードアプリ「CRED」創業者Kunal Shah氏なども出資に参加している。

TechCrunchのインタビューに対しepiFi共同創業者のNarayanan氏は、主にインドのミレニアムズ世代をターゲットにサービスを拡大させていくと発言した。

Google Pay開発の最中、我々はコンシューマー金融はデジタル決済を超え、保険、融資、投資機会、複数の商品を求めているということに気付きました。

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Image Credit : Pixabay

話題のポイント:インドのフィンテック市場は決済・融資・保険領域において顕著に成長を見せており、今後は投資や資産運用など多様化傾向も強くなっていくでしょう。そんな背景の中で、様々な金融サービスに対し簡単にアクセスできるインターフェイスの存在は、消費者に大きな快適さを提供すると考えられます。

epiFiが望んでいる姿は、全ての金融サービスにダイレクトにアクセスできるモバイル・アプリを提供することです。個々の機能に関して詳細な情報は未だ公開されていませんが、おそらくインド国外の既にメジャーになっているチャレンジャー・バンクやネオ・バンクのUIや機能を模倣した形になるでしょう。アプリのリリースは数カ月以内に行われるようです。

もう一人の共同創業者Sumit Gwalani氏によれば、現在epiFiには20名を超える従業員がおり、その中にはPaypalやNetflix、Flipkartで働いていたメンバーもいるとのこと。開発チームの能力の高さは申し分なさそうです。

記事によれば、未だ現金決済の割合が高いとされるインドでは、国内のPaytmやPhonpe、米国GoogleやAmazonによるモバイル・ペイメントアプリ、そしてカード決済の普及により、昨年10月中に1億人以上の消費者が10億を超える決済トランザクションを生み出したといいます。

デジタル決済の普及により、現金への依存が薄まれば、ますますフィンテック・サービスを利用していく人口も増加していくと予測できます。既存の金融サービスが先進国ほど成熟していないインドのような地域では、比較的容易にサービスを普及させることができます。

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電動スクーター「Lime」が人員解雇、12市場から撤退

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ピックアップ:E-scooter startup Lime shuts in 12 markets, lays off around 100 ニュースサマリー:電動スクーター・スタートアップ「Lime」が従業員の14%(約100名)を解雇し、展開する120を超えるマーケットのうち、12の都市でのサービス提供を終了すると報じられた。 Limeは2017年に米国サンフランシスコで創業され、累計7億65…

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ピックアップE-scooter startup Lime shuts in 12 markets, lays off around 100

ニュースサマリー:電動スクーター・スタートアップ「Lime」が従業員の14%(約100名)を解雇し、展開する120を超えるマーケットのうち、12の都市でのサービス提供を終了すると報じられた。

Limeは2017年に米国サンフランシスコで創業され、累計7億6500万ドルの資金を調達を行い、世界各地でサービス急拡大を進めてきた。しかし、電動スクーター市場が急拡大し、資本集約型マーケットへと変容するにつれて生じた市場競争が同社の拡大に歯止めをかけている。

展開を終了したマーケットは、米国のアトランタ・フェニックス・サンディエゴ・サンアントニオの4つの地域。そしてラテン・アメリカのボゴダ・ブエノスアイレス・モンテビデオ・リマ・プエルトバヤルタ・リオデジャネイロ・サンパウロも終了する。欧州では唯一オーストリアのリンツがリストされている。

話題のポイント:本ニュースは、世界の電動スクーター市場の縮小を意味している訳ではありません。Limeだけでなく、同市場の覇権争いに参加する巨大プレイヤーらは過去1〜2年で同様にレイオフや市場撤退(BirdScootLyft, Skip)を行なっています。同時に新規市場への参入を実施しているため、着実にマーケット全体では拡大傾向が続いているのでしょう。

今回のレイオフ及び撤退に関してもLimeは焦りを見せてはいないようです。実際、AXIOSの見方では、Limeスクーターの寿命に技術的改善が施され、さらに競争力を高める見込みがあるからだと予想されています。また、競合プレイヤーの買収にも前向きな見方を示しているといいます。

冬は風が冷たく電動スクーターの利用率は下がります。そのため電動スクーター市場は夏に向けて徐々に加熱してゆきます。現在、各企業らは2020年の夏期のマーケット・シェア獲得に向け戦略の構築・技術的改善が続きそうです。

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インド最大のオンライン学習「Byju’s」が首位をキープしている理由

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ピックアップ:Tiger Global invests $200M in Byju’s at $8 billion valuation ニュースサマリー:インド最大のオンライン学習プラットフォーム「Byju’s」は、非公開株式にて、Tiger Global Managementから2億ドルの新規調達を実施した。本調達を機に同社の評価額は8億ドルに達した。 Byju&#821…

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ピックアップTiger Global invests $200M in Byju’s at $8 billion valuation

ニュースサマリー:インド最大のオンライン学習プラットフォーム「Byju’s」は、非公開株式にて、Tiger Global Managementから2億ドルの新規調達を実施した。本調達を機に同社の評価額は8億ドルに達した。

Byju’sは2011年に創業したEラーニング・プラットフォーム。インド全土で低価格な動画授業や教材、模擬テストなどのコンテンツを提供している。ユーザーの学習データ分析を基にパーソナライズ学習プランサービスも提供する。

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Image Credit : Byju’s

同サービスはiOS及びAndroidスマホアプリで利用できる。累計4000万ダウンロードを記録しており、アプリの評価は4.7と高い。展開都市は1700を超え、ユーザーによる1日の平均利用時間は約1時間10分だとされている。

話題のポイント:評価額8億ドルというと、既に立派なユニコーン企業の一つとして数えられます。実際、今回の調達を機に同社はSoftbankの投資先でもあるEコマース企業「Snapdeal」の企業価値を追い越し、インドで2番目にバリュエーションの高いスタートアップになりました。

ちなみに首位はByju’sの2倍の企業価値、16億ドルを誇る決済サービス「Paytm」を運営するOne97 Communicationsです。

インド教育市場の成長度合いは、同国経済の成長や人口増加の波を受け非常に強まっています。Crunchbaseのデータによれば、インド国内のEdtechスタートアップの調達額は2010年の2億ドルから、2019年は25倍の50億ドル規模にまで成長しています。

Byju’sはインド国内でも非常に早い段階でオンライン授業アプリの提供を開始し、独走状態のまま現在に至ります。「Tooper」や「Vedantu」などの競合も最近になり大型調達を行い、さらにTiktokが教育コンテンツ拡大戦略を進めているなどのニュースもありますが、既に同社の強烈なドミナンスが簡単に崩れるほどの脅威ではありません。

<参考記事>

というのも、同社は既に巨大な独占的シェアを獲得していることに加え、様々な顧客獲得戦略を講じているからです。主なな事例としては、Disneyとの提携によるオリジナル・コンテンツ戦略が挙げられます。

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Image Credit : Byju’s

これらのサービスは早期教育市場を念頭にしており、ちょうど勉強を開始する小学生世代をターゲットにしています。Disneyのブランド力を駆使したマーケティングによって、ユーザーが人生で最初に利用するEラーニングサービスである確率を高めます。

ユーザーがByju’sの利便性を理解してもらい愛着を持たせることができれば、その後の教育過程においてもサービスを利用し続ける可能性が高くなります。ユーザー獲得タイミングの重要性を理解した巧みな戦略です。2019年に入り、同社はインド国外の英語圏市場への参入を計画しているとの報道も出ており、米国や英国、オーストラリア市場を候補としてあげているようです。

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確かな需要に応えるスーツケースの“運び屋”、その名はBob

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ピックアップ:Investors pour €3M into traveltech biz Bob.io ニュースサマリー::スペイン・バルセロナを拠点とするトラベルスタートアップ「Bob」は9日、ベンチャーラウンドにて300万ユーロ(約330万ドル)の資金調達を実施したと発表した。同ラウンドには、 K Fund、 TA Ventures、 GAA Investments、 Big Sur Ven…

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Image Credit:Bob

ピックアップInvestors pour €3M into traveltech biz Bob.io

ニュースサマリー::スペイン・バルセロナを拠点とするトラベルスタートアップ「Bob」は9日、ベンチャーラウンドにて300万ユーロ(約330万ドル)の資金調達を実施したと発表した。同ラウンドには、 K Fund、 TA Ventures、 GAA Investments、 Big Sur Venturesが参加している。

同社は2017年創業。旅行者向けに市街から空港までのトランク・預入荷物運搬サービスを展開する。空港まで運搬される荷物は、そのまま提携航空会社のカウンターでチェックインされるるため、ユーザーはシームレスに飛行機への搭乗が可能となる。

同サービスは現在マドリードとバルセロナのみで展開され、荷物1つにつき15ユーロの値段設定となっている。(追加荷物は1つにつき5ユーロ)

話題のポイント:読者のみなさんが旅行をした際、一度は経験したことのあるであろう旅先の「スーツケースどうするか問題」。これに対し、ストレートなソリューションを提示しているのが今回ご紹介するスタートアップBob(正式名称:Bag on Board) です。

従来のケースを考えてみましょう。重たく、移動の邪魔になるスーツケースは宿泊先のホテルに預かってもらうか、専用のロッカーに預けるなどが一般的でした。しかし、問題点として必ず預けた場所に一度戻らなければならず、空港と市街を行き来することを考えれば、ストレスが伴っていたのが実情でしょう。

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Bobでは荷物の決まった受け渡し場所があるわけではありません。Uberのように自身が希望するロケーションを指定することで、配達員との受け渡しを完了することが出来ます。数多くのエアラインと提携することで、空港へ配達するだけでなく、チェックイン作業まで依頼することが出来るのが大きな強みでしょう。現時点で、イベリア航空、ルフトハンザ航空、KLM航空、Vueling航空、エアフランスがパートナーとされています。

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荷物の配達は、たとえばアメリカンエクスプレスが同社クレジットカードの特典として提供している例がありますが、Bobのようにオンデマンド型でというのは珍しかったのではないでしょうか。しかしよく考えてみれば、旅をする上でのニーズを踏まえたうえで妥当なアイデアです。

Bobは現段階ではスペインのみでサービス提供ですが、エアラインとのパートナシップを既に整えていることからEU圏内における拡大はそこまで難しくないことが予想されます。また、企業向けサービスとしての強化を図ることで、ビジネス旅行者の需要も多くカバーすることができると思います。

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コスト8割減、返金補償もーー大学単位取得可のオンライン学習「Outlier」

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ピックアップ:MasterClass founder launches Outlier, offering online courses for college credit ニュースサマリー:1月9日、完全オンラインで単位取得可能な学習コンテンツ・サービスを提供するスタートアップ「Outlier」が、シリーズAラウンドにて、GSV VenturesやHarrison Metal、Tectonic…

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Image Credit : Outlier

ピックアップMasterClass founder launches Outlier, offering online courses for college credit

ニュースサマリー:1月9日、完全オンラインで単位取得可能な学習コンテンツ・サービスを提供するスタートアップ「Outlier」が、シリーズAラウンドにて、GSV VenturesやHarrison Metal、Tectonic Capital、Jackson Square Venturesなどから総額1,170万ドルの資金調達を実施した。

Outlierは、完全オンラインで正式な学位取得可能な動画授業コースを提供する。現在は米国のPittsburgh大学と連携することで、同大学の「微積分I」及び「心理学入門」の2つのコースを秋学期にパイロット版として提供している。次回は2020年春学期のコースの受講者を募集し、提供コースの開発を進めている。

Outlierの創業者は、著名なビジネスマンやアーティスト、アスリートらのオンライン授業を受けられる学習サイト「Masterclass」の共同創業者であるAron Rasmussen氏。Masterclassと同サービスとの決定的な違いは、実際に正式な大学の単位を取得できる点である。

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Image Credit : Outlier

話題のポイント:Outlierのサービスの特徴は、コストとクオリティの点で、生徒に対し大きなメリットを提供している点です。

まず一つ目のコスト面では、オンライン動画授業による先生側の人件費をカット。加えて、生徒が単位を落としてしまった場合の全額返金保証制度の導入により、学習者の負担を大幅に軽減する設計がなされています。

同社によれば、米国の大学における一般的な「微積分コース」1コース辺りのコストは2,500ドル(約27万5,000円)である一方、Outlierの場合は400ドル(約44,000円)と、6分の1ほどの差があるとしています。

創業者のAron氏は、既存の大学の単価はOutlinerの6倍の学費に加え、落第者の割合は40%を超えるという事実を引き合いに出すことで、授業費の高騰や学生ローン問題に喘ぐ米国にとって、同社の学習システムがいかに重要かという点を強調しています。

二つ目に、同社の学習コンテンツでは一つのコース受講において、複数の先生の中からお気に入りの先生を選択できたり、授業中の休憩時に他の生徒とチャットを交わすソーシャル機能などの拡充を行うことで、学習コンテンツのクオリティを向上させる取り組みを導入しています。

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Image Credit : Outlier

肝心なビジネスモデルですが、今後Outlinerは2つの拡大路線が検討できます。一つはすでに著名なMOOCと呼ばれる「edX」や「Coursera」などのサービスのように、提供するコースを拡充し学位の獲得を可能なプラットフォーム・モデルです。

そしてもう一つが、米国中の大学に対し、SaaSモデル型で単位取得可能な学習コースの導入を進めていく形です。

というのも、Aron氏によれば、高等教育における上級クラス(研究や実践活動など)において、オフラインの教育機関に通うメリットは大いにあると認めています。一方、基礎科目の受講コストを削減することに大きな価値がある、と考えています。

この理念を踏まえると、同社は学位の提供というよりも大学でいう1・2年時に学習するような基礎科目コースの部分をOutlinerのサービスで代替することを目指していると考えられます。そのため基礎科目授業の提供において成長シナリオを描いている可能性が高いのではないでしょうか。

その場合、現時点のパートナーはピッツバーグ大学だけですが、今後は米国中に提携大学を増加させていき、主に基礎科目コース部分だけをOutlinerの動画授業で代替していくということになります。

さて、ここまで現状わかる範囲で、Outlinerの特徴・ビジネスモデルに関して考察を書いてきました。ただ、同社は未だ創業から1年未満であり、今度様々な方向転換が行われる可能性も十分にあることに留意が必要です。

米国は授業料の高騰による教育格差の拡大や学生ローンの肥大化が社会問題しているため、ポジティブに捉えれば、Outlinerのような革新的なエドテック・サービスが誕生し易い社会的なニーズが整っていると考えることができます。

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2020年は〝空港無人化〟が進む——無人ロボットカフェ「Cafe X」が空港へ進出

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ピックアップ:Cafe X shuts some of its robot coffee shops ニュースサマリー:ロボットがコーヒーを淹れる無人カフェ「Cafe X」が店舗を閉鎖したとAxiosが報じている。サンフランシスコの3店舗が対象で、2017年頃よりロボットアームが特徴的な無人カフェを香港・サンフランシスコダウンタウンにて展開を開始していた。 Cafe Xによれば、ダウンタウンの店舗…

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Image Credit: Cafe X

ピックアップ:Cafe X shuts some of its robot coffee shops

ニュースサマリー:ロボットがコーヒーを淹れる無人カフェ「Cafe X」が店舗を閉鎖したとAxiosが報じている。サンフランシスコの3店舗が対象で、2017年頃よりロボットアームが特徴的な無人カフェを香港・サンフランシスコダウンタウンにて展開を開始していた。

Cafe Xによれば、ダウンタウンの店舗は一時的な実証実験の一環だったとし、昨年12月にサンフランシスコ空港(SFO)とサンノゼ空港(SJC)に新店舗を設立したことを強調。2020年は空港を中心に施設展開していくとした。

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Image Credit: Cafe X

話題のポイント:2020年以降、空港店舗に「無人化」のトレンドが訪れると感じます。今回、Cafe Xが空港にバリスタロボット進出を果たしたように、24時間運営に需要がある環境「エアポート」に注目が集まりつつあります。

Amazon Goの「OMO戦略」でも触れましたが、Amazonは空港の不動産投資費用対効果に目を付け、無人コンビニの店舗拡大計画の一環として進出を進めているといいます。さらに、Amazon Goが中心商品として扱う「軽食」はダウンタウンの商品としては安価でありませんが、空港価格でいえば妥当なため販売促進が見込まれています。

Cafe XのCEO、Henry Hu氏によれば、過去2〜3年における街中での営業は消費者行動の分析を兼ねていたとAxiosに語っており、決してキャッシュフロー悪化によるシャットダウンでないとしています。つまり、実証実験の結果から同社のスイートスポットは空港であると結論付けたということでしょう。

ちなみに、空港における戦略で新しいものとえば、日本の成田空港・羽田空港に約300台ほど並ぶガチャガチャが想起されます。旅客のため、換金できない硬貨を最後の最後でお土産へと変身させることができることで世界中で話題となりました。旅行者需要を巧みに捉えた空港サービスと捉えられます。

さて、単なる「カフェ」でいえば、空港で求められるのは「コーヒーのクオリティー」より時間を過ごす場としての「環境」であると感じます。同社ウェブサイトを見る限り空港に設置されたロボットアームの”箱”(本記事最上部画像)は、自動販売機のような見た目で、いわゆるサードプレイスとしての環境提供を前提に置いていないことが分かります。

そのためCafe Xは空港をサードプレイスでなく、完全ロボット化を通した「圧倒的時短」による価値提供にこそ需要があると想定しているのかもしれません。この点で、Amazonが「無人店舗」戦略として空港に目を付けた背景とは大きく違ってきています。

いずれのケースにしろ、空港が環境として「無人店舗」と相性がいいことには変わりはなく、Cafe Xが空港における「圧倒的時短」への価値需要に対する仮説を証明できれば、今後より一層、空港のロボット化・自動化が進んでいきそうです。

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