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Autodeskによる建設SaaS企業の連続買収に見るVertical SaaSの現在地

ピックアップ:Why Autodesk Just Spent $1.15 Billion On Two Construction Tech Startups ニュースサマリー:図面作成ソフトウェアを提供するAutodeskは2018年にPlanGridを8億7,500万ドル、同時期にBuildingConnectedを2億7,500万ドルで買収している。買収した両社は共に建設系のテックスタートアッ…

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ピックアップ:Why Autodesk Just Spent $1.15 Billion On Two Construction Tech Startups

ニュースサマリー:図面作成ソフトウェアを提供するAutodeskは2018年にPlanGridを8億7,500万ドル、同時期にBuildingConnectedを2億7,500万ドルで買収している。買収した両社は共に建設系のテックスタートアップだ。

重要なポイント:建設ソフトウェアは、ソフトウェアの中で急成長しているカテゴリーの一つ。Autodeskとしては、BuildingConnectedを買収し、請負業者とサプライヤーや下請け業者のマッチングプラットフォームを手に入れ、設計から建設までのプロセスを一気通貫で扱うことを目指す。また、PlanGridはデジタル設計図と現場レポートを提供するのに最も人気のあるアプリの一つで、同領域の機能充足を目指す目的があるようだ。

詳細情報:急成長を続けるBuildingConnectedがAutodeskの傘下に入ったのは、北米以外の地域に進出する際のネットワークの有効活用が見込めるとの算段だろう。SaaSは大きく二分され、ひとつ目は業界横断で利用される人事・マーケティング・セールスなどのソフトウェアである水平分業的なSaaSがある。ふたつ目は、建設・物流・製造・小売りといったインダストリー特化のドメイン知識を盛り込まれた垂直統合型のSaaSがあり、今回の動きはまさにこの動きの中での成長戦略であると言えるだろう。

  • SaaS全体の市場規模は、グローバルでは16%で成長し2022年には15兆円規模に至り、日本国内では年平均成長率12%で2023年には8,200億円に到達すると予測されている。また、水平分業なSaaSもまだまだ成長の余地はあるものの、今後は垂直統合型のSaaSが成長のドライバーになっていくという考察もある。
  • その潮流にまつわる日本国内のマクロな動向として、国土交通省が7月末に「インフラ分野のDX推進本部」を立ち上げた。ここでは「非接触・リモートを前提とした公共事業への転換」「インフラのデジタル化を推進し2023年までに小規模なものを除く全ての公共工事についてBIM/CIM活用に転換」、「熟練技能労働者の技能のAI活用による継承」、を軸にインフラ領域のデジタル変革が推進される。
  • この推進本部は、スタートアップや大学との連携や、革新的技術によるオープンイノベーションの推進も表明し、PoCや技術開発に必要な実費を計上するなどより多くのスタートアップエコシステムからの参入を目指す。
  • 近年動向が活発な日本の建設関連のSaaSスタートアップとしては、アンドパッド・助太刀・Photoructionといった会社が挙げられる。
  • アンドパッドは、ANDPADという現場の効率化から経営改善までの一元管理を実現する施工管理アプリを2,000社以上の企業に導入している。今年7月には、40億円の資金調達、10月には追加で20億円の調達に成功している。クラウドサインやSalesforceを始めとした水平分業なSaaSソリューションを提供する企業を始めとしたパートナーリングを促進し、建築企業の業務全体のDXを目指す。
  • 建設業の受発注者のマッチングアプリ「助太刀」は建設現場の人手不足問題の解決を目指す。今年7月からは、求人情報を掲載できるサービス「助太刀社員」の提供を開始し、建設業の人材採用を支援する。2018年に5.3億円、2019年に7億円の資金調達を実施し、設立した2017年のその翌年からの2年間で累計13億円の資金調達をしている。
  • 建設現場を見える化して生産性と品質を向上させる建築・土木の生産支援クラウドが「Photoruction」だ。今年5月には、5.7億円の資金調達を実施し、開発強化と共に、建設業特化AIを活用した建設BPO事業の立ち上げを公表している。

背景:McKinseyによると、建設業界は生産性が最も低い業種の一つでデジタル化の遅れがその要因として指摘されている。しかし、それと同時に建設系のソフトウェアは急成長しているカテゴリーの一つで、当記事で挙がったようなスタートアップの台頭による生産性向上のポテンシャルは大きい。

執筆:國生啓佑/編集:岩切絹代

もはやゲームだけのものではないーー70億ドル評価の「Discord」が得た新たな価値

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ピックアップ:Discord is close to closing a round that would value the company at up to $7B ニュースサマリ:オンラインチャットプラットフォームの「Discord」は新たな資金調達ラウンドを間もなく終了する。TechCrunchが関係者の話として報じているもので、今回の調達での価値は最大70億ドルとみられる。6月に行った1…

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ピックアップ:Discord is close to closing a round that would value the company at up to $7B

ニュースサマリ:オンラインチャットプラットフォームの「Discord」は新たな資金調達ラウンドを間もなく終了する。TechCrunchが関係者の話として報じているもので、今回の調達での価値は最大70億ドルとみられる。6月に行った1億ドルでは35億ドルの価値であったため、5ヶ月で2倍の評価を得る。

話題のポイント:2015年5月、Discordはゲーマー向けの音声通話・メッセージングアプリとしてローンチされました。今ではマルチプレーをする際の必需品としてゲーム好きなら知らない人はいない存在となり、コロナの影響もあって2020年の月間アクティブユーザー数は1億2000万人に到達しているそうです。

そんな急成長を遂げるDiscordですが、愛好している筆者自身その役割の変化を感じています。それは、単なるコミュニケーションツールから懐かしく心地よいオンラインのたまり場のような場所になってきているのです。

元々サーバーに招待することでコミュニケーションが始まるDiscordでは、始めるきっかけのほとんどが顔見知りの友人とゲームをするときの通話機能が目当てです。役割として求めるものもSkypeやHangoutと変わりはありません。

それがオンラインでしか知らない友人との待ち合わせ場所になり、同じゲームが好きという共通点しかない人との情報交換の場になり、業界単位で良質で早い情報を交換する場に変わってきています。それまでTwitterでたくさんの人をフォローすることで必死に集めていた業界の流れはもはやなんの苦労もなくDiscordで集められるようになりました。Twitterで発信を繰り返し、影響力がなんとなく強まっているように見える「まやかし」のような数字はそこにはありません。

アニメの聖地である秋葉原に赴くような、中国テクノロジーの聖地深センに赴くような、そんな気持ちにさせてくれるコミュニティがDiscordにはあります。Discordを使わない人の最大の誤解は間違いなく「ゲーム向け」というターゲット設定でしょう。

今年のはじめに35億ドルの評価で1億ドルを調達してから数カ月。今回の調達でさらにコミュニティ向けに洗練されていくDiscordがメンタルを落ち着かせられるオンライン空間を作り上げることに疑いの余地はありません。

教育系ARをリードするMergeの戦略を紐解くーーFacebook SparkARへの拡張を発表

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ピックアップ:Merge Brings Hands-on Digital Teaching Aids to Instagram with Merge Cube ニュースサマリ:幼稚園から高校までの教育向けARソリューションを提供する「Merge」は11月20日、FacebookのSparkARプラットフォームに機能拡張したことを発表した。これによりMergeCubeがInstagramカメラ内で利…

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ピックアップ:Merge Brings Hands-on Digital Teaching Aids to Instagram with Merge Cube

ニュースサマリ:幼稚園から高校までの教育向けARソリューションを提供する「Merge」は11月20日、FacebookのSparkARプラットフォームに機能拡張したことを発表した。これによりMergeCubeがInstagramカメラ内で利用可能となる。Instagramで使えるようになった機能は次の4つ。

  • 人体ー鼓動する心臓、頭蓋骨、脳、肺
  • 細胞ー微細な植物細胞、動物細胞、真菌細胞、ニューロン
  • ウイルスー風邪やCOVID-19などのウイルス
  • 太陽系ー太陽系全体の軸方向の傾き、回転や地球と月の公転

話題のポイント:AR / VRのSTEM(科学、技術、工学、数学)プラットフォームとして、米国学校図書館協議会やTech&Learning ISTE 2019などで受賞歴がある同社の特徴は「マーカー」を使ったMerge Cubeにあります。19.99ドルで販売するMerge Cubeは正六面体のそれぞれの面をデバイスに認識させ、デジタルオブジェクトの向きと位置を一致させるためのマーカーの役割を持ちます。真新しい技術ではなく、正六面体の回転情報のやり取りが主となるシンプルな仕組みで動作します。

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今、ARに関わる多くのチームは空中にマーカーなしでデジタルオブジェクトを配置し、様々な入力インターフェイスで操作するようなシステムを開発しようとしています。素直に考えれば、何か基準となる固有のものがないと使用できないシステムは不便そうです。そこでMergeはプラットフォームの中心となる、汎用性の高い皆が持っているハードウェアを売る存在となる戦略を取ります。AlexaやGoogle Home、スマホやPCが分かりやすい例でしょう。

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だからこそコンテンツはMerge Cubeが売れるような、手首をひねって見たくなるような、普段見てるものでも違う側面を覗き込むような感覚が芽生えるものが充実しています。ビジネスモデルのシンプルさが手数を生み、シミュレートされたデジタルオブジェクトを見るというアイディアがウケたのだと思います。さらに言えば、この状態を作れる内容として教育系STEMは相性が良かったと言えます。

さらにこの戦略はMergeにサードパーティを呼び込むきっかけを与えます。

趣味や目的を持ったクリエーターが自己表現の一環として行う二次創作には爆発力があります。コミックマーケットやエンターテイメントの切り抜き動画などは導入として大きな役割を持つ良い例です。なので、今回のSpark ARへの拡張によるInstagram、Facebookでのエフェクト利用は、学生の学習体験を魅力的で有意義なものにするというよりは、クリエーターの自己表現欲を満たしてサードパーティとして参加させる役割の方が大きように思います。

AR/VRが日常生活に普及するキラーハードウェアの登場が待たれる現在において、教育というアプローチで事業を成立させているMerge。たしかにスマホのような革命が起きたときには淘汰される存在になるかもしれません。しかしこういった取り組みを通じてデジタルアセットに慣れ親しんだデジタルネイティブな世代が社会でAR/VRの価値を真に解き放つことを考えれば、彼らの功績はすでに偉大なものと言えます。

タイピングより効率的な音声コーディング「Serenade」の価値ーー病気でもエンジニアとして生きる方法

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ピックアップ:Serenade snags $2.1M seed round to turn speech into code ニュースサマリ:音声コーディングアプリを開発する「Serenade」は11月23日、AmplifyPartnersとNeoが主導するシードラウンドで210万ドルの資金調達を公表している。同社は効率を犠牲にすることなく、従来の入力メカニズムに依存しない、よりアクセスしやすい…

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ピックアップ:Serenade snags $2.1M seed round to turn speech into code

ニュースサマリ:音声コーディングアプリを開発する「Serenade」は11月23日、AmplifyPartnersとNeoが主導するシードラウンドで210万ドルの資金調達を公表している。同社は効率を犠牲にすることなく、従来の入力メカニズムに依存しない、よりアクセスしやすい音声によるコード記述方法を提供している。今回の資金はSerenadeチームの強化とプラグインや自動化などの開発強化に使われる予定。

話題のポイント:会話のように自然にOSとしゃべりする。これがSerenadeが生み出す価値です。

Quoraのエンジニアだった共同創業者のMatt Wiethoff氏が同じ動作を繰り返すことで組織損傷や炎症を起こす反復運動過多損傷を発症してコードが書けなくなったことをきっかけに創業されたのが同社だそうです。エンジニアが生産的な開発ができることを前提に作られているため、これまでのディクテーションソフトウェアとは全く異なる新しい音声コーディングアプリと言えます。

ディクテーションソフトウェアはNATOアルファベットを使用して話す必要があったり、単語とキーストロークの独自のマッピングを記憶する必要があったりします。たとえ使いこなせたとしても、ソースコードで発生するすべての文字を口述するのはあまりに面倒です。Pythonで関数を作成するとき「d>e>f>h>e>l>l>o>左括弧>右括弧>コロン>改行>インデント…」と言っていたのでは生産的とは言えません。

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Serenadeの共同創業者Tommy MacWilliam氏はこの音声コーディングアプリが最終的に単なる身体的障害を手助けする救済ツールから飛躍し、コーディングを変えうる発明になるとブログに綴っています。

Ultimately, we don’t think Serenade can be just as fast as typing—we think it can be faster. (Serenadeはタイピングほど開発を速くするとは思いません。もっと速くなると思います)

では具体的に他の音声プログラミングソリューションとはどのように違うのか、特徴をまとめていきます。

コード専用にカスタムモデルした音声テキストエンジン

音声テキスト技術の多くは典型的な会話で訓練されていることがほとんどです。会話の中で「attr」または「enum」と言う頻度を考えれば分かる通り、これはコードには理想的な学習材料とはなりません。一般的なプログラミング構造、変数名、およびプログラミング時に言う他の単語を学習し、編集しているファイルのコンテキストを使用できることさえできます。

たとえば、関数の中に「thebridge」という変数があるとします。コンテキストがない音声テキストエンジンでは一般的な用語でないため「ザブリッジ」という単語を低くランク付けしてしまいます。一方で、コンテキストを使用できるSerenadeでは「ザブリッジ」のように聞こえた言葉が変数である可能性が高いことを知っているため、代替リストのトップにランク付けできます。つまり変数、関数、クラスなどの名前を口にするとき、Serenadeはそれが何を意味するのかを正確に読み取れるのです。

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自然言語でコーディング

たしかに文字ごと単語ごとに口述するのは非効率的で遅いです。それはプログラム言語が自然言語と文法が異なることに起因します。仮に関数の中身を自然言語で構築できるのであれば、口述が日常会話並みの意味伝搬速度を発揮することになるでしょう。

Serenadeは構文や暗記を気にすることなく自然な英語の入力で「create function hello」と言うだけでhello関数を作成できるようになっています。もちろん「クラスの削除」や「パラメータのURLの追加」など既存コードの操作も自然言語に対応しています。

ファイルの上部にある関数を削除したいときには「最初の機能を削除」と言うだけ。関数を書いている最中で、fooという変数を書き忘れていたときには「パラメータfooを追加」と言うだけです。

この機能が改善されていく未来にMacWilliam氏が言う「タイピングを超える効率性」をエンジニアにもたらします。タイピングを完全に置き換える場合でも、キーボードと一緒に使用してワークフローに多様性と柔軟性を導入する場合でも、音声によるコーディングは開発速度の向上に役立つことは間違いなさそうです。

Epic Gamesが狙う「バーチャルセレビリティ業界」のポジションーー彼らはなぜフェイストラッキング企業を買い集める(2/2)

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(前回からのつづき)今回のターゲットユーザーは「バーチャルセレビリティ」でした。所謂キズナアイのようなバーチャルで活動する有名人のことです。YoutubeやBilibiliで動画投稿とライブ配信するVtuberだけでなく、TikTokやInstagramでインフルエンサーを務めるImma、Binxieもバーチャルセレビリティの括りです。 年々登録者が増すにつれて視聴時間も増加し、2019年には上位…

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(前回からのつづき)今回のターゲットユーザーは「バーチャルセレビリティ」でした。所謂キズナアイのようなバーチャルで活動する有名人のことです。YoutubeやBilibiliで動画投稿とライブ配信するVtuberだけでなく、TikTokやInstagramでインフルエンサーを務めるImma、Binxieもバーチャルセレビリティの括りです。

年々登録者が増すにつれて視聴時間も増加し、2019年には上位20人の視聴時間が2018年の2倍となりました。2020年はカバーが提供するホロライブからYouTube登録者数100万人を超えるライバーが一気に3人も誕生するなど、2019年の成長率を上回るペースで影響力を増しています。

すでに企業に所属して、マネジメントを受けるタレントは2D/3Dキャクターを操作するフェイスモーション技術を提供されているものの、今後ゲーム実況や雑談配信から企画が多様性を増した際、キャラクターが生きる世界にはゲームエンジンが必要不可欠になります。

開発者をプラットフォームごとに最適化する業務から開放し、今後も増えるであろう視聴方法(Oculus、PSVR、iPhone、iPad …etc)に対応し続けていくUnreal EngineかUnityのどちらかがゲームエンジンとして選ばれることになるでしょう。

その時、ウェブカメラだけでリアルタイムな高精度なフェイスモーションキャプチャができて、Discord/OBSなどで利用できる仮想ウェブカメラ機能を実現しているHyprsenseの技術はバーチャルセレビリティはもちろん、バーチャルセレビリティ予備軍にも刺さる要素となり得ます。

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まとめると、現在進行系で拡大を続ける「バーチャルタレントが自由を手にするツルハシとなる」これがフェイスモーションキャプチャ技術企業を買収し続けるEpic Gamesの目論見かなというのが筆者の考えです。

コンソールやPCでプレイすることを前提とし、視覚的に豊かなゲームに最適である一方、重く、使う人を選ぶ傾向があるのがUnreal Engineです。モバイルゲームではUnityが主流ではありますが、5GやGoogle Stadia/GeForce NOWなどのストリーミングサービスを背景に今後モバイルゲームのビッグタイトルに関わっていくことも十分視野に入れているでしょう。

追い風吹くUnreal Engineが現実と仮想世界の狭間でどんなツールをクリエイターに提供するのか。デジタルツインを始め、単なるゲームを生み出すための物理エンジンから異業種への基盤技術として飛躍しようとするゲームエンジンの動向に今後も目が離せません。

Epic Gamesが狙う「バーチャルセレビリティ業界」のポジションーー彼らはなぜフェイストラッキング企業を買い集める(1/2)

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ピックアップ:Real-Time Facial Animation Dev Hyprsense Joins Epic Games ニュースサマリ:Epic Gamesは11月16日、主要なリアルタイムフェイスモーションキャプチャ技術の開発者であるHyprsenseを買収することを発表している。Hyprsenseは創業まもなくVRHMDの顔追跡システムを開発。次にモバイル、PC、組み込みプラットフォ…

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ピックアップ:Real-Time Facial Animation Dev Hyprsense Joins Epic Games

ニュースサマリ:Epic Gamesは11月16日、主要なリアルタイムフェイスモーションキャプチャ技術の開発者であるHyprsenseを買収することを発表している。Hyprsenseは創業まもなくVRHMDの顔追跡システムを開発。次にモバイル、PC、組み込みプラットフォーム向けの2Dウェブカメラベースの汎用顔追跡ソリューションを開発した。HyprsenseのメンバーはEpic Gamesのゲーム開発チームと緊密に連携し、3LateralおよびCubicMotionが主導するデジタルヒューマンチームとも協力する。

話題のポイント:Epic Gamesは2019年1月に「デジタルヒューマン」の技術(アニメーションと人間の表情をリアルタイムで置き換えるリグロジック)を持つ3Lateral、2020年3月にはゲームタイトルで使われていたソフトウェアとモーションキャプチャ用のハードウェアリグをセットにしたPersonaシステムを持つCubic Motionを立て続けに買収しています。つまりEpic Gamesによるフェイスモーションをキャプチャする技術を有する企業の買収は今回のHyprsenseで3社目となります。

一見するとリアルタイム、フェイスモーションキャプチャという共通点があるため同じような企業を買収したように感じますが、それぞれテレビ、映画、ゲーム、ビデオ会議、配信と用途が違うためアプローチや精度、必要となるハードウェアでさえ異なるものです。

人間に似たロボットやCGに対して否定的な感情が芽生える「不気味の谷現象」を解決するためという大義名分はあるものの、これら全てをUnreal Engineに組み込むことで使用制限を大きく広げたいというのがEpic Gamesの戦略だと考えられます。

現在主に使われているゲームエンジンはUnreal EngineとUnityの2つしかありません。SteamのSourceエンジン、AmazonのLumberyardエンジン、ゲームが会社が自社開発するゲームエンジンも使われていますが利用者数は少なく、大手パブリッシャーの任天堂やスクウェア・エニックスもUnrealを使用したタイトルを販売し始めています。

Unityが基本的にサブスクリプション型で一定収益を得ているのに対して、Ureal Engineはライセンス料で収益を得ています。Unreal Engineを使用して稼いでくれればくれるほど比例して収益が大きくなる仕組みです。つまり、活用例が少なくても高単価であればUnreal Engineのライブラリを充実させるのに十分な理由となります。(次につづく)

完全な自動運転車へ向けてシミュレーションを提供する「Applied Intuition」

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ピックアップ:Applied Intuition Reaches $1.25 Billion Valuation In New Funding For Its Autonomous Vehicle Testing Software ニュースサマリー:自動運転用シミュレーションツールを提供する「Applied Intuition」は、シリーズCにて1億2500万ドルの資金調達を実施したことを発表して…

Image Credit :Applied Intuition

ピックアップ:Applied Intuition Reaches $1.25 Billion Valuation In New Funding For Its Autonomous Vehicle Testing Software

ニュースサマリー:自動運転用シミュレーションツールを提供する「Applied Intuition」は、シリーズCにて1億2500万ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家にはLux Capital、Andreessen Horowitz、またGeneral Catalystが参加している。今回の調達により同社バリュエーションは12億5000万ドルに達したとされている。

話題のポイント:TeslaやGoogleのWaymoの台頭で、自動運転の話題も日常化してきました。特に最近ではホンダが国交省より自動運転レベル3を取得したことで話題になっています。世界的には無人での自動走行などが実証実験中ですが、量産できるレベルでの認証取得という点で世界的にも大きな一歩となりました。

今回取り上げるApplied Intuitionは、主に自動運転車両を開発する企業内チームに向けてソフトウェア・インフラの環境を提供するスタートアップです。自動運転市場では「シミュレーション」技術の枠組みに入る同社は、2017年に創業したばかりですが、既に現在のラウンドまでで1億7650万ドルの調達に成功しています。

A roadmap to the trends guiding mobility automation in 2019.
Auto &Mobility Trends In 2019/CB Insights

CB Insightsが昨年公開した現段階における自動運転市場の各事業立ち位置をマッピングした「Auto &Mobility Trends In 2019」をみると、シミュレーション事業はマーケットシェア・業界アダプション共に中心に位置していることが分かります。また、実証実験の枠組みの中では最も重要度高く位置していることが分かり業界での需要が多く集まっていることが読み取れます。資料の大まかな要点は以下のようにまとめられています。

  • 完全な自動運転の確立まで、自動車メーカーは人間のドライバーと連携させた方法で技術強化を進めている
  • 運転シミュレーションプラットフォームは、自動運転車の路上テストに伴う時間と手間を大幅に軽減している
  • 自動運転車用のセンサーは、完全な自動運転に不可欠な視界の先を車が理解するのに役立っている

日本に目を向けると、まさにトヨタグループでは自動運転の仮説検証をApplied Intuitionのシミュレーションを用いて続けています。

冒頭に述べたように、自動運転で第一想起する企業やプロジェクトは限られている印象ですが、マクロ的に市場を見ると今回のシミュレーションツールに加えて様々な要素をカバーする技術が誕生していることが分かります。まだまだ広がりがあるこのテーマにどのようなプレーヤーが生まれてくるのか、引き続き注視したいところです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

AppleとSONYが買収交渉突入「Wondery」、ポッドキャスト市場に起こる引き抜き合戦

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ピックアップ:Apple, Sony both discussed buying podcast network Wondery ニュースサマリー:Podcastコンテンツスタジオ「Wondery」の買収交渉が報じられている。11月前半にFortuneが報じたもので交渉に参加しているのは最大で4社。そのうちの2社はAppleとSonyとされ、両者共に自社コンテンツの拡充に狙いがあるとされている。W…

Image Credit :Wondery

ピックアップ:Apple, Sony both discussed buying podcast network Wondery

ニュースサマリー:Podcastコンテンツスタジオ「Wondery」の買収交渉が報じられている。11月前半にFortuneが報じたもので交渉に参加しているのは最大で4社。そのうちの2社はAppleとSonyとされ、両者共に自社コンテンツの拡充に狙いがあるとされている。Wonderyは2016年創業のスタートアップ。昨年のシリーズBでは1000万ドルを調達し、これまでに合計1500万ドルの資金調達に成功している。また、Crunchbaseによれば同社のバリュエーションは1億ドルから5億ドルの範囲であるとされている。

話題のポイント:北米中心にポッドキャスト配信が当たり前となりつつある今、巨大プラットフォーマーたちによる囲い込み合戦が始まっています。中でも顕著にポッドキャストコンテンツの買収を進めていたのが、Spotifyでした。例えばSpotifyでは、コメディアンのジョー・ローガン氏と1億ドルの専属配信契約したことなどが話題となっています。

Appleにしてみれば強気な囲い込み戦略を進めるSpotifyに対抗し、Apple Musicにおけるポッドキャストのポジショニングを強めたいところです。また、今回のWonderyの買収交渉としては報じられていませんが、Amazonもポッドキャスト配信をAudibleで開始しています。

こうした動きを考えると、ポッドキャストの巨大プラットフォーマーの座を争う「Apple vs Amazon vs Spotify」の構図が浮かび上がってきます。特に3社はいずれもサブスク事業を展開していることから、コンテンツ力を高めてユーザーを引き付ける戦略が有効そうです。Spotifyがコメディアンと大型契約を結んだように、ゲーム配信市場で起きているような有名な配信者の取り合いが始まる可能性は大いに考えられます。

Image Credit : a16z

Andreessen Horowitzが昨年まとめて伝えている、ポッドキャスト市場のデータ分析によれば、米国における1週間当たりの平均的なポッドキャスト利用時間は6時間37分。また、エピソード数に換算すると平均して週に7つのエピソードを消費することを明らかにしています。

巨大プラットフォーマーによる引き抜き合戦によって、コンテンツの質の向上やポッドキャスト機能自体のUXアップデートが進むことになり、より消費しやすい設計に近づいていくのではないでしょうか。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

学校も“ノーコード”で設立、オンライン授業プラットフォーム「Thinkific」

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ピックアップ:Online course platform Thinkific raises $22M ニュースサマリー:オンライン授業立ち上げサービスを運営する「Thinkific」は、2,220万ドルの資金調達を実施したと発表している。リード投資家には既存投資家でもあるRhino Venturesが参加している。同社はSaaS型でオンライン学習プラットフォームを作成できるツールを提供するスター…

ピックアップ:Online course platform Thinkific raises $22M

ニュースサマリー:オンライン授業立ち上げサービスを運営する「Thinkific」は、2,220万ドルの資金調達を実施したと発表している。リード投資家には既存投資家でもあるRhino Venturesが参加している。同社はSaaS型でオンライン学習プラットフォームを作成できるツールを提供するスタートアップ。ドラッグ&ドロップで容易に自身のウェブサイトを作成できる特徴を持つ。

話題のポイント:オンライン学習作成プラットフォームの代表格と言えばUdemyや、1億ドルの調達を発表したMasterclassなどが挙げられますが、Thinkificはあくまでオンライン学習プラットフォーム立ち上げに焦点を当てており一線を画しています。同社のSaaSは自社で顧客を集める戦略などはなく、コンテンツクリエイター側に集客を完全にゆだねています。SaaS型でオンライン授業に特化したウェブサイト開発機能だけを充実させ、集客をノータッチにすることで、コース販売に関わる手数料は取らず個人の収益最大化を売りとしています。

そのため、オンライン授業製作者は4つの月額プランからコースの性質に応じて自由に選ぶことが可能です。無料プランでも最大で3つの授業を作成することができるため、最小限の機能とコンテンツ量であればこちらのプランで充分でしょう。ウェブサイト開発も、ドラッグ&ドロップを軸にプレミアムコンテンツの設定や受講条件の設定、メンバーシップサイトの作成などを簡単にすることができます。

covid new course creators
Image Credit :Thinkific

もちろんUdemyなどにコンテンツをリスティングすれば、ターゲット層にリーチしやすくなるものの、コンテンツの性質やプロモーションにお金をかけられない場合などは、自身のサイトで運営する方がベターです。Udemyのような学習プラットフォーム、ThinkificのようなSaaS型学習プラットフォームは対立するようで、実際に載ってくるコンテンツはそこまで被らない気がします。

ちなみに同社によれば、COVID-19以前と以降で比較するとオンラインコース制作量が221%増となったそうです。今後も増え続けると思われるオンラインコースの絶対量ですが、中長期的目線で見れば自身でウェブサイトを保有しマネジメントできる(しなければいけない)ThinkificのようなSaaS型の需要はより一層高まりそうです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

ノーコードの流れは続く、Retoolが評価額で約10億ドルに

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ピックアップ:Retool Nears $1 Billion Valuation With Funding From Sequoia ニュースサマリー:ノーコードスタートアップの「Retool」は、シリーズBにて5000万ドルの資金調達を完了している。リード投資家にはSequoiaが参加し、GitHubのCEOであるNat Friedman氏、Stripe創業者で兄弟のPatrick Collis…

ピックアップ:Retool Nears $1 Billion Valuation With Funding From Sequoia

ニュースサマリー:ノーコードスタートアップの「Retool」は、シリーズBにて5000万ドルの資金調達を完了している。リード投資家にはSequoiaが参加し、GitHubのCEOであるNat Friedman氏、Stripe創業者で兄弟のPatrick Collison氏とJohn Collison氏、Brex創業者のHendrique Dubugras氏とPedro Franceschi氏、またY Combinator共同創業者のPaul Graham氏も同ラウンドに参加している。

話題のポイント:社内ツールをノーコードで手軽に開発することが可能なサービス、それがRetoolです。Bloombergの報道などによれば、今回のラウンドにて同社バリュエーションは約9億2500万ドルと評価されています。

ノーコード・ローコード市場は非常に注目高く、例えばGoogle SheetsやExcelなどにデータを入力しインポートすることで自動でアプリケーションを生成することが可能なApp Sheetは今年初めにGoogleに買収されるなど、市場の中でも動きが早まりつつあることが分かります。直近では、Googleは新ノーコードツールとしてプロジェクト管理機能「Tables」などをリリースしています。

しかし、ノーコードツールのメインストリームは未だスタートアップに多い傾向にあります。例えば今となってはワーキングツールの定番と化したNotionやAirtableも、元はといえばノーコードツールの一種ですし、Retoolと同じく社内用ダッシュボードをノーコード開発可能なIndexなども、近年注目を集めてきています(IndexはRetoolと同じくSequoiaのリードで5000万ドル調達済み)。

さらには、Googleの開発するクロスプラットフォームのFlutterバックエンド用のFirebaseを用いてアプリケーションを全てノーコード開発することのできる「FlutterFlow」が発表されるなど、既存ソフトウェア開発環境をノーコードプラットフォーム化する流れも登場しています。ノーコード・ローコード市場は少々飽和状態にあるようにも思えますが、ユーザー視点ではサービス開発に選択できるオプションが増えていることに間違いはありません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆