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金融サービスにアクセスできない成人の2割をカバー、ケニアの「Finplus」

ピックアップ:Kenyan startup Finplus passes $500m transaction value mark 重要なポイント:ケニアを拠点とするフィンテック系スタートアップのFinplusはサービスを提供する5カ国(ケニア・ウガンダ・タンザニア・エスワティニ・南アフリカ)で金融サービスプロバイダを対象にSaaSプラットフォームを提供する。顧客はローンや保険などのカスタマイズし…

ピックアップ:Kenyan startup Finplus passes $500m transaction value mark

重要なポイント:ケニアを拠点とするフィンテック系スタートアップのFinplusはサービスを提供する5カ国(ケニア・ウガンダ・タンザニア・エスワティニ・南アフリカ)で金融サービスプロバイダを対象にSaaSプラットフォームを提供する。顧客はローンや保険などのカスタマイズした金融商品を作成して自社の顧客に向けて提供し、運用・管理まで単一のプラットフォーム上から行える。同社は創業から4年目の昨年2020年に総取引金額が5億ドルを超え、前年度から収益が倍増したことを報告している。

詳細な情報:2017年創業のFinplusは昨年度には収益を倍増させキャッシュフローを黒字化、9万3,000人以上のMSMEと個人が最も必要なときにクレジットにアクセスできるようサービスを提供する。同社は現在2億ドルを超えるトランザクション(ローン1億6,500万ドル、預金3,800万ドル)を処理し、今後は多角的な経営に向け新たにeコマースプロダクトも開始する。

  • 同社が提供するプラットフォームでは、デジタル預金、ローン、保険といった金融商品をSaaSプラットフォーム上から簡単に作成が可能で、迅速にローンチし効率的に管理が行える。プラットフォーム上には20以上のマイクロサービスが用意されており、現地のキャッシュレス決済サービス等と提携した柔軟なサービス設計が行えるだけでなく、KYC、リスク決定、返済や支払いの管理、SMSや電子メールによる問い合わせなど、周辺業務の自動化や効率化までもサポートしている。
  • 各顧客ごとの情報やそのトランザクションに関する情報もプラットフォーム上から確認できるようになっており、スタッフごとに細かいアクセス権限等も与えることができるため、運用やバックオフィス業務なども含めたところまでを1つのプラットフォーム上から利用できる。
  • 同地域で類似のサービスを提供するフィンテック系スタートアップには他にBranch、Tala、JUMOなどが挙げられるが、これら企業はカスタマイズ可能な金融商品を自社サービスとして提供することに注力している一方、Finplusはサービスをホワイトレーベルで提供するというアプローチを取っており、これが他社との差別化要因となっている。

背景:世界銀行によれば経済的に銀行口座を保有しておらず十分な金融サービスにアクセスできない成人は世界中で約20億人いると推定されており、そのうちの約17%の3億5,000万人は同社がサービスを提供する5カ国を含むサブサハラ・アフリカに集中している。同社がサービスを提供するケニア、タンザニア、ウガンダは、成人の20%以上がモバイルマネーのアカウントのみを所有しているという状況にある。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

コートジボワール初のY Combinator選出「Djamo」が取り組む課題

ピックアップ:Djamo, the Ivorian startup offering financial services to the unbanked across West Africa – Tech In Africa 重要なポイント:金融系スーパーアプリをフランコフォンアフリカと呼ばれる旧フランス領西アフリカ地域で展開するは、同地域発のスタートアップとしては2社目、コートジボ…

ピックアップ:Djamo, the Ivorian startup offering financial services to the unbanked across West Africa – Tech In Africa

重要なポイント:金融系スーパーアプリをフランコフォンアフリカと呼ばれる旧フランス領西アフリカ地域で展開するは、同地域発のスタートアップとしては2社目、コートジボワールからは初めてY Combinatorのアクセラレータプログラムに選出された。

詳細な情報:コートジボワールを拠点とするDjamoはフランコフォンアフリカ圏の消費者を対象とする金融系スーパーアプリを提供している。2019年当時西アフリカで最大のラウンドとなった35万ドルのシードラウンドで資金を獲得し2020年11月にアプリをローンチ、Visa提携のカードも発行している。現在既に約9万人の登録ユーザーがおり、毎月5万件を超えるトランザクションを処理している。

  • Djamoは、フランコフォンアフリカ圏に住む何百万人ものアフリカ人が、手頃な価格でシームレに銀行へのアクセスが可能になる社会を目指している。 提供するサービスには、サービスのメインとなるモバイルバンキング以外にも投資・貯蓄関連のサービスがあるほか、銀行口座保有率が20%を下回る同地域の金融リテラシー向上に向けた教育コンテンツも提供している。
  • DjamoはY CombinatorのアクセラレータプログラムY Combinator Winter 2021に選出され、3月のデモデーには12万5,000ドルのシード資金とさらなる投資の機会を獲得する。Y Combinatorのアクセラレータプログラムには、Stripeに2億ドル以上で買収されたナイジェリアのPaystackや、Flutterwaveを始めこれまでに40のアフリカのスタートアップが参加しているが、フランコフォンアフリカ発のスタートアップとしては2社目、同地域のフィンテックスタートアップとしては初の参加となる。3か月のプログラム終了後にはVisaが主催するFintech Fast Trackプログラムへの参加も予定されている。
  • 世界銀行は2019年にフランコフォンアフリカは急速に経済成長しており、2021年までにアフリカ経済の62.5%を占めるようになるだろうと予測しており、現在同地域の成長には注目が集まり始めている。寺久保拓摩氏による新ファンド「UNCOVERED FUND」が出資を明らかにした5社のうちの1社Gozemもフランコフォンアフリカのスタートアップだ。

背景:アフリカには公用語が英語の国も多く、サハラ以南の英語圏の国がアフリカ大陸全体のGDPの47%を占めているため、同割合が19%しかなく公用語がフランス語であるフランコフォンアフリカ圏は、海外の投資家からの目が集まりにくく過小評価されがちな傾向にある。West African Startup Decade Reportによれば、西アフリカには過去10年で100万ドル以上を資金調達したスタートアップが51社あるが、その中でフランコフォンアフリカを拠点とする企業は2社のみであった。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

APACを中心に成長するスマートロック市場とプレーヤーたち

ピックアップ:KWIKSET’S NEW SC1 KEYWAY BRINGS SMARTKEY SECURITY, MORE KEYING OPTIONS TO USERS AND PROS ニュースサマリ:米国の一般住宅用の大手鍵メーカーであるKwiksetは昨年11月に独自のSmartKeyセキュリティ技術を搭載したSC1キー溝を発表している。これにより、ドアからロックを取り外すことなくキーの…

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ピックアップ:KWIKSET’S NEW SC1 KEYWAY BRINGS SMARTKEY SECURITY, MORE KEYING OPTIONS TO USERS AND PROS

ニュースサマリ:米国の一般住宅用の大手鍵メーカーであるKwiksetは昨年11月に独自のSmartKeyセキュリティ技術を搭載したSC1キー溝を発表している。これにより、ドアからロックを取り外すことなくキーの再設定が数秒で可能となる。時間とコストを節約できるようになるため、一般消費者はもちろんのこと、大量の機械式ロックを購入するような建築業者や不動産所有者のようなB2Bマーケットにもメリットをもたらす。

重要なポイント:他ブランドのロックを持ち、家全体でSC1 キー溝を使っている人は、SmartKeyセキュリティ技術を介して新しいKwiksetロックを既存のロックに再入力することでKwiksetロックを組み合わせることができるため、住宅所有者が必要とするロックの総数が減るだけでなく、現在使用中のロックブランドに関係なくKwiksetロックを容易に導入できるようになる。

詳細情報:KwiksetのSC1キー溝は、すべての標準的なSmartKeyドアロックで機能し、最大10万通りのキーの組み合わせが可能ゆえ、家の全てのドアで一つのロックを共有する事が可能になり消費者に利便性をもたらす。

  • 上記の1キーの利便性の提供に加え、搭載されているSmartKeyセキュリティ技術はピッキングや不正開錠といった一般的な侵入方法からもユーザーを守り、キーの再生成の技術により返却されていなかったり紛失したりしたキーの使用からユーザーを守ることが可能。
  • グローバルでは、上記のKwikset社のように老舗の鍵メーカーがスマートロックの開発にも着手したようなケースもあるが、2012年創業の米August社や2014年創業の米CANDY HOUSE社のような新興のスタートアップが市場のメインプレイヤー。
  • August社は、2017年にドア開閉ソリューションを提供する世界最大手のスウェーデン企業ASSA ABLOY社によって買収され、CANDY HOUSE社のSesameというスマートロックのプロダクトはKickstarterでのクラウドファンディングで10万米ドル目標のところ140万米ドル以上を集めるなど市場からの注目度は高い。Sesameに関しては、日本の住宅向けに合わせたSesame miniの開発のためのクラウドファンディングをMakuakeで行った際に、目標額の11,847%になる1億1,847万円を集めるなど、日本国内でも注目を集める。
  • 日本発のスマートロック関連のプレイヤーとしては、Qrio社、ビットキー社、Photosynth社、ライナフ社などが列挙されるがグローバル同様に設立間もないスタートアップが名を連ねる。
  • Qrio社は、米投資会社のWiLとソニーの合弁会社として2014年に設立されたが2017年にはソニーに完全子会社化されて今に至る企業で、Qlio Lockという一般家庭用のスマートロック製品を中心に不動産事業者向けのクラウドキーボックスなどのB2B向けのサービスも展開している。スマートスピーカーやApple Watch、Nature Remoといったスマートデバイスとの連携も積極的に進めている。
  • ビットキー社は、2019年12月末にシリーズAラウンドで39億円以上の資金調達を果たし、2018年8月創業から累計調達額が約50億円となったが、この背景には2019年4月に発売開始した初期費用なしで低費用のサブスクで国内シェアを急伸させたことはもちろんだが、同社のデジタルキー基盤「bitkey platform」をベースにした事業展開への期待感がある。
  • Photosynth社は、社員証や交通系ICカードで開錠できるオフィス向けの後付け型「Akerun入退室管理システム」を提供しており、ビットキー社と同様に「Akerun ID」のような世界観を目指す。2020年8月には、凸版印刷と協業をして単一IDで様々なサービスや場所を利用できるキーレス社会の実現に向けた新サービスの開発を目指すような動きがある。なお、2020年8月に新たに35億円の資金調達を実施し、累計調達額が50億円を突破している。
  • ライナフ社は、「Ninja Lock」という住宅向けスマートロック、物件確認や内覧の自動化を実現するリーシング業務にまつわるサービス、入居後の物件管理の一元化を実現するサービスを提供し、不動産のデジタルリノベーションをAIやIoTの技術を活用して実現する企業。直近では、2020年3月に内閣府設立のスーパーシティオープンラボに参画、同年6月にアットホームのサービスとのAPI連携を開始、12月に東急リバブルの賃貸マンションに検温機能付きAI顔認証エントランスシステムの導入開始、といった動きがある。同社も2019年8月に東急不動産ホールディングスから資金調達を果たし、累計調達額が10億円を突破している。

背景:上記の通り国内外のスマートロック製品の提供は近年活発になってきているが、Technavioの調査によると、2020年から2024年にかけてのスマートロック市場の平均成長率は9%で、その成長のうちの55%はAPACによりもたらされると見込まれており、APACを中心に成長していくことが予想されている。

執筆:國生啓佑/編集:岩切絹代

食糧危機問題に取り組むケニア「Gro Intelligence」アフリカテック最大の資金調達に成功

ピックアップ:Kenyan data analytics company Gro Intelligence raises $85m Series B funding round 重要なポイント:食料安全保障や地球規模での気候変動に関する課題解決への貢献を目指すケニア発のデータ分析スタートアップGro Intelligenceは1月、アフリカのテック系スタートアップ全体で最大規模となる8,500万ド…

ピックアップ:Kenyan data analytics company Gro Intelligence raises $85m Series B funding round

重要なポイント:食料安全保障や地球規模での気候変動に関する課題解決への貢献を目指すケニア発のデータ分析スタートアップGro Intelligenceは1月、アフリカのテック系スタートアップ全体で最大規模となる8,500万ドルの資金調達を行った。今回の資金調達を受け、今後はAIを活用した同社プラットフォームのさらなる成長とグローバル展開に力を入れていく。

詳細な情報:本ラウンドはIntel CapitalAfrica Internet Ventures、Ronald Lauder氏とEric Zinterhofer氏のファミリーオフィスが共同で主導し、既存の投資家であるDCVC、GGVも参加したほか、食料安全保障イニシアチブに投資する米国拠点のRethink Foodなど新たな投資家も加わった。

  • エチオピア出身で元ウォールストリートのトレーダーである同社CEOのSara Menker氏は、各国間の農業に関連するデータの隔たりをなくすため、2014年にケニアのナイロビでGro Intelligenceを立ち上げた。同社は収穫量や土壌の質から気候要因に至るまで、世界中のさまざまな市場から収集された食料生産に影響を与えるデータを収集して膨大なデータセットを構築、農産物の需要、供給、価格設定を予測する。
  • AIを活用したGroのプラットフォームでは、4万を超えるデータセット、650兆を超えるデータの収集、正規化、モデル化を行い、食品、気候、貿易、農業、マクロ経済間の相互関係を明らかにし、食品、農業、気候、経済などのリスクに関する洞察や分析、意思決定ツール、ソリューションを提供する。
  • 現在はニューヨークにもオフィスを構えるGro Intelligenceは、各国や食品業界がバリューチェーン全体をどのように計画しているかを明確にし、地球規模での気候変動の課題解決に貢献したいと考えており、農業および気候のリスクをモデリングする世界初のビッグデータプラットフォームとなることを目指している。
  • 既存のクライアント及び潜在的なクライアントは政府から金融機関、農業投入企業、小売業者、食品および飲料企業、農業に必要な製品を生産する企業、その他さまざまな業界に及ぶ。New York Timesによれば、クライアントの1つであるユニリーバは、クノールブランドの食糧供給における持続可能な計画を立てるためにGroのデータを使用している。
  • 「Gro Intelligenceは最もエキサイティングなAI企業の1つであり、食料安全保障と気候リスクという世界最大の2つの課題に取り組んでいます。彼らのソフトウェアベースのプラットフォームは、コンピューティングを活用した国境を越えた知見によって意味あるインサイトの発見を促進し、農業領域においてより多くの情報に基づいた意思決定を可能にします」とIntel CapitalのシニアマネージングディレクターであるTrina Van Pelt氏は述べている。

背景:Groの前回の資金調達は2017年にTPG Growthが主導したシリーズAラウンドで、このラウンドはCellulant、LifeBank、Lori、およびEchoVCを通じて行われ1740万ドルを調達した。 今回の資金調達により同社の資金調達額総額は1億ドルを超えた。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

「保険を農家に直接販売しない」ケニアのインシュアテック、Pula

ピックアップ:Pula raises $6m Series A to provide insurance for smallholder farmers across Africa ニュースサマリ:ケニアのインシュアテックスタートアップPulaはシリーズAラウンドで600万ドルの資金調達を実施した。保険普及率が非常に低いアフリカで小規模農家を対象にした保険商品を提供する同社は、新型コロナウィルスの…

ピックアップ:Pula raises $6m Series A to provide insurance for smallholder farmers across Africa

ニュースサマリ:ケニアのインシュアテックスタートアップPulaはシリーズAラウンドで600万ドルの資金調達を実施した。保険普及率が非常に低いアフリカで小規模農家を対象にした保険商品を提供する同社は、新型コロナウィルスの流行が長引き、低所得者層の多い小規模農家がこれまで以上に保証を必要としている現在の状況をスケールアップの時とみている。

詳細な情報:調達のラウンドはTLcom Capitalが主導し、Women’s World Bankingも参加した。今回調達した資金は既存の市場拡大のために利用されるほか、アジアやラテンアメリカでの事業展開も視野に入れている。

  • 同社は機械学習やCCE(Crop-Cut Experiments)と呼ばれる収穫量の分析手法や気象パターンと農家の損失などをデータ化し、さまざまなリスクに対応する保険商品を提供する。従来の保険では実際に農場を訪問してリスク評価を行うが、Pulaは衛星画像やデータを使用して干ばつや豪雨の発生率などを予測している。
  • 50の保険会社・6つの再保険会社との提携、銀行や政府、農家向けの製品を販売する企業とのパートナーシップを通じてPulaは小規模農家に保険を提供するエコシステムを構築した。また、同社のクライアントは小規模模農家だけにはとどまらず、WFP(国連世界食糧計画)、ナイジェリア中央銀行、ザンビア政府、ケニア政府なども同社のクライアントとなっている。
  • Pulaの大きな特徴といえるのは保険を農家に対して直接販売しないスキームにあり、同社では代わりに銀行や種子の販売会社と提携し、銀行が農家へ融資をする際に保険への加入を義務付けたり、種子の販売をする際に企業が保険を付けた形で販売したりといった形で普及率が非常に低いアフリカ小規模農家の保険加入を促進する。実際にこの方法で同社はルワンダとケニアで18万5千人の保険加入者を獲得した。
  • 今回の資金調達に関してPulaのCEO Goslinga氏は、世界的な新型コロナウィルスの流行で農家がこれまで以上に保証を必要としている現在、サービス開始から5年が経つ同社にとってスケールアップの時がきたと述べており、今回の資金調達ラウンドを主導したTLcom CapitalのCaio氏はこのような状況下でのPulaの成長を確信している、とコメントしている。

背景:AIを活用して農家のコスト削減や生産性向上を支援するAeroboticsは昨年12月にシリーズBラウンドで1,700万ドルを調達、小規模農家に太陽光発電システムや灌漑システムを提供するSunCultureは同月にシリーズAラウンドで1,400万ドルを調達した。また、Pulaと同じく小規模農家の経済面を支援するApollo AgricultureもPulaと同じくシリーズAラウンドで同額の600万ドルの資金調達を実施するなど、アフリカの小規模農家を主な対象とするサービスを提供しているスタートアップの資金調達が相次いでいる。アフリカでは保険の普及率が低く、2017年のアフリカ大陸全体での保険普及率は2.8%と推定されており、その中でも農業分野における保険普及率はさらに低い傾向にある。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

投資額は過去5年で3倍、加熱するアフリカテック・スタートアップ投資

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ピックアップ:African tech startup funding passes $700m in record-breaking 2020 2020年は世界的に新型コロナウィルスの影響を受けた1年となったが、その状況下でもアフリカのテック系スタートアップ全体の年間資金調達額は7億ドルを超え、その額は過去5年で3倍以上に増加したとするレポートをDisrupt Africaが発表している。 詳細…

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ピックアップ:African tech startup funding passes $700m in record-breaking 2020

2020年は世界的に新型コロナウィルスの影響を受けた1年となったが、その状況下でもアフリカのテック系スタートアップ全体の年間資金調達額は7億ドルを超え、その額は過去5年で3倍以上に増加したとするレポートをDisrupt Africaが発表している。

詳細:Disrupt Afircaの発表したレポートによると、2020年はアフリカ全体で397のテック系スタートアップが資金調達を実施し、総額は7億146万565ドルとなった。2015年は125社が合計1億8,578万500ドルを調達しており、過去5年で3倍以上に増加している(前年比では企業数は27.7%、調達額は42.7%増)。

  • 調達額上位5ラウンドは、Vezeeta(エジプトのe-Health)が4,000万ドル、Flutterwave(ナイジェリアのフィンテック)が3,500万ドル、Skynamo(南アフリカの小売技術)が3,000万ドル、Twiga Foods(ケニアのアグリテック)が2,940万ドル、Komaza(ケニアの保全技術ソリューション)2,800万ドルとなっている。
  • アフリカ大陸の投資家の数も増加し、同レポートでは370人をアクティブな投資家としており、前年の261人から42.8%、2018年の155人から68.4%増としている。中でもアクティブな投資家はKepple Africa Venturesで、2020年の1年間で36のスタートアップへ出資した。
  • 依然として資金調達の多くはナイジェリア、ケニア、南アフリカの3国に集中している点はこれまでと変わらないが、ここ数年エジプトが存在感を増してきており、ナイジェリア、ケニア、南アフリカにエジプトを加えた4カ国における2020年の総調達額は307社・6億2,565万9,00ドルで、全体に占める割合は金額としては89.2%、企業数としては77.3%にも上る。

ケニア

2020年資金調達実績:59社・1億9,138万1,000ドル(全体に占める割合:27.3%、前年比28.3%増)

  • ケニアは4カ国の中で資金調達を実施したスタートアップの数は最も少ないが、資金調達額は最も高くなっており、平均チケットサイズは324万3,746ドルとアフリカで最も大きい。
  • 主要な実績としては上述のアグリテック企業、Twiga Foodsの2,940万ドルと環境保全を行うKomazaの2,800万ドルに加え、物流系スタートアップのSendyが2,000万ドル、RetailTechのSokowatchが1,400万ドル、再生可能エネルギー領域のSunCultureが1,400万ドル、Angazaが1,350万ドル、Solariseが1,000万ドルを調達している。
  • ケニアは他の国と比べてフィンテックスタートアップが占める割合が低く、セクター別では、エネルギー領域が4,100万ドル(ケニア全体の21.4%)、Agritechが3,570万ドル(18.7%)、物流領域 2,730万ドル(14.3%)、e-Commerce 2,370万ドル(12.4%)、Fintech 1,620万ドル(8.5%)となっている。

ナイジェリア

2020年資金調達実績:85社・1億5,035万8,000ドル(全体に占める割合:21.4%、前年比22.8%増)

  • ケニアとは対照的にナイジェリアはチケットサイズの小さい調達が目立ち、平均チケットサイズは176万8,918ドルで、過去6年間減少傾向にある。一方2020年には23のスタートアップが100万ドルを超える資金調達を実施し、同国全体の27.1%をこれらが占めている。
  • 主要な実績としてはフィンテックスタートアップのFlutterwaveが実施した3,500万ドルのシリーズBラウンドや、ブロックチェーンスタートアップBitfxtの1,500万ドル、e-Healthの54geneによる1,500万ドルなどがある。その他フィンテックのAella CreditKuda、e-HealthのHelium Healthはそれぞれ1,000万ドルを調達した。
  • ナイジェリアはフィンテックスタートアップによる資金調達が多く、37社8,934万2,000ドル(59.4%)がそれら企業によるもの。それ以外はe-Health領域が3,106万8,000ドル(20.7%)、eコマースが1,071万ドル(7.1%)、再生可能エネルギー領域が720万ドル(4.8%)と続く。

南アフリカ

2020年資金調達実績:81社・1億4,252万3,000ドル(全体に占める割合:20.3%、前年比95.2%増)

  • 資金調達を実施した企業数は81社と一昨年の79社からほぼ横ばいだが、チケットサイズは一昨年の平均92万4,296ドルから昨年で2倍近く増加し平均175万9,543ドルになった。
  • チケットサイズの増加の原因ともなるのは100万以上の資金調達を行った企業が26社あり、この数はアフリカで最も多い。主なラウンドには、RetailTech Skynamoの3,000万ドル、アグリテックAeroboticsの1,650万ドル、Planet42の1,240万ドル、WhereIsMyTransportの750万ドル、Valenture Institute700万ドル、DataProphet600万ドルなどがある。
  • 2020年の南アフリカでは、Skynamoの3,000万ドルの資金調達により、eコマース・小売テック領域の資金調達額が最も高く4,104万6,1000ドルで28.8%を占め、フィンテック領域が3,680万3,000ドル(25.8%)、アグリテック領域が1,852万5,000ドル(13%)、Ed-Techが1,071万5,000ドル、AI/IoTが985万ドル(6.9%)となっている。

エジプト

2020年資金調達実績:82社・1億4,139万7,000ドル(全体に占める割合:20.7%、前年比65%増)

  • 一昨年のエジプトのスタートアップの資金調達の多くはアクセラレータプログラムへの参加により調達したものが大半を占めていたが、2020年はVCからの資金調達が増加し、これによりチケットサイズも大きくなる傾向となった。チケットサイズは前年平均の97万2,886ドルから172万4,354ドルに増加した。
  • エジプトは、フィンテックが他国ほど投資家の注目を集めていないという点が特徴的。北アフリカの投資家にとっては、eコマース・小売テック領域が最も注目の領域であるほか、アフリカの他の国とは異なる市場への投資が活発に行われており、2020年の資金調達の34.1%は他国ではの主要な領域とはなっていないニッチな分野で行われている。
  • e-Health領域の資金調達総額が4,351万5,000ドルと大きく、同国で注目を集めている領域のように見えるが、これはVezeetaが今年初めに行ったシリーズDラウンドでの4,000万ドルの調達によるもので、資金調達総額が3,900万ドルの交通関連(Transport)領域も2つのラウンドによる調達でそのほとんどを占めている。これらを除いた同国の主要な領域はeコマース・小売テック領域の1,457万2,000ドル、フィンテック領域の317万9,000ドル、HR領域の456万2000ドル、物流領域の301万2,000ドルなどが挙げられる。

フィンテック

  • 全体を通して最も資金調達が多かったのはフィンテック領域で、資金調達総額は99社 1億6,031万9,065ドル。内訳はナイジェリアが8,934万2,000ドルで全体の55.7%、南アフリカが26社3,680万3,000ドルで全体の23%、ケニアが13社1,623万ドルで10.1%、エジプトが12社1,317万9,000ドルと、トップ4カ国でその97%を占める結果となった。

e-Health

  • 新型コロナウィルスの影響により、e-Healthによる医療の様々な課題解決に焦点をあてたスタートアップが急成長し、41社が1億299万4,000ドルの資金調達を実施、資金調達総額の14.7%を占め前年比では257.5%増となった。今年1年のe-Health領域の資金調達総額は、過去5年間の総額よりも多くなっている。
  • e-Health領域の成長に関しては、新型コロナウィルスの流行が続く限りは継続的な成長が見込まれているが、その後はユーザーがこの期間中に利用したサービスを好んで利用するか否かが長期的な成長を左右する重要な要因であると見られている。

背景:アフリカではここ数年リープフロッグ現象により、新興国や各国特有の社会課題を解決するテック系スタートアップが急増している。以前から注目していたGoogleやFacebookにとどまらず、2020年はStripeがナイジェリアのフィンテック企業Paystackを2億円で買収したり、ジェフ・ベゾス氏のVCファンドがアフリカのテック系スタートアップへ初の投資を行ったりと、先進国の企業や投資家からの注目も徐々に高まりつつある。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

毎日の支払いを環境に役立てる「Aspiration」、アイアンマンのRobert Downey Jr.氏ら出資

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ピックアップ:An Iron Man goes Green: Robert Downey Jr. launches ESG-focused venture capital funds ニュースサマリー:フィンテック・スタートアップ「Aspiration」は5,000万ドルの資金を獲得したことを発表している。リード投資家としてFootprint Coalition Venturesが参加している。 …

ピックアップ:An Iron Man goes Green: Robert Downey Jr. launches ESG-focused venture capital funds

ニュースサマリー:フィンテック・スタートアップ「Aspiration」は5,000万ドルの資金を獲得したことを発表している。リード投資家としてFootprint Coalition Venturesが参加している。

話題のポイント:今回投資家として参加したFootprintは、アイアンマンで有名な俳優、Robert Downey Jr.氏が設立した、ESG(Environmental, social and corporate governance)投資にフォーカスしたファンドです。Aspirationに対する案件が最初のプロジェクトとなっています。Aspirationは金融と環境問題を繋ぐ「Green Financial Services」というコンセプトに挑戦するフィンテック・スタートアップです。

アカウントを開設するとクレジットカードが発行され、一般的な支払いに利用ができます。iOSとAndroidアプリが用意されていて、支出管理など一般的なモバイルバンクと同様のサービスが受けられます。もちろんこれだけではありふれたサーヒスなのですが、やはり特徴的なのは金融を環境に繋げようとしている点でしょう。

例えば環境保全に協力しAspirationとパートナーシップを結んでいる店舗での支払いであれば10%のキャッシュバックがされる仕組みなどがあります。その他にも、他のモバイルバンクと同じように10ドル以下の小額からESGに特化したファンドへの投資ができるサービスを提供しています。

サービスは無料のものと、ESG関連のベネフィットが受けられる月額15ドルの課金のものが用意されています。有料機能のひとつに「Planet Protection」という機能があり、ガソリンの購入をAspirationのカードで決済すると、その二酸化炭素排出量を相殺するだけの森林保全事業をAspirationが勝手にやってくれます。ややもすると遠くなりがちなESGの活動も、まずは身近なところからコミットすることが重要です。

今までのクレジットカードは、個人の信用(クレジットスコア)を基に特定のオファーや利用限度額が割り振られていました。しかしAspirationでは、新しい概念として「Impact Score」というものを採用し、どれだけ環境保全にコミットしているかで評価されるような経済圏を作ろうとしています。同社によれば、これまで300万を超える植樹を達成しているとのことです。

あらゆる形でモバイルバンクが誕生してきていますが、Aspirationのようなアプローチも興味深いです。

ソフトタイプのスマートコンタクトに挑戦するInWith、CES 2021で開発状況を公表

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ピックアップ:INWITH PREMIERS THE FUTURE OF ELECTRONIC CONTACT LENSES AT CES 2021 CES2021でInWithが現在開発中の拡張ソフトコンタクトレンズの進捗状況が公開されました。開発中のロードマップの一部で、ぐにゃぐにゃと可変するソフトコンタクトレンズに埋め込まれた伸縮性の回路が定着している様子が示されています。 スマートコンタク…

Image Credit:InWith

ピックアップ:INWITH PREMIERS THE FUTURE OF ELECTRONIC CONTACT LENSES AT CES 2021

CES2021でInWithが現在開発中の拡張ソフトコンタクトレンズの進捗状況が公開されました。開発中のロードマップの一部で、ぐにゃぐにゃと可変するソフトコンタクトレンズに埋め込まれた伸縮性の回路が定着している様子が示されています。

スマートコンタクトレンズには大きく(1)血糖値などのバイタル情報を取得しやすくする(2)xRビジョンを提供し、現実世界の情報を拡張する、という目的があります。また、xRビジョンについても、単に情報の拡張だけでなく、老眼などの視力の衰えをデジタル的にサポートするという狙いもあります。ちなみに(1)の開発研究は2014年に話題をさらったGoogleのスマートコンタクトレンズ開発があります。

特にこの(2)にあたるビジョンの拡張については、どうしてもディスプレイを必要とするため、開発にはハードコンタクトレンズ(特に白目まで覆う強角膜レンズ)が必要でした。例えばこの分野で進んでいるMojo Visionは、国内で強角膜レンズの開発に強いメニコンと共同開発を発表しています。

一方、市場におけるハードコンタクトレンズは壊れやすいなどの使い勝手などの面からソフトコンタクトレンズに押されている状況があります。InWithの発表はこのソフトコンタクトの市場をカバーするという意味で注目に値します。

これまでにも伸縮性回路が存在しなかったわけではありませんが、これまでなかった理由はコンポーネント及び回路をコンタクトレンズ材料に結合する手段がなかったことがあるようです。InWithは通常の製造プロセスで材料を膨張および収縮させることでソフトコンタクトレンズの材料であるヒドロゲル材料に統合するブレイクスルーを手に入れたとしています。

そしてその過程を支えたのが、ソフトコンタクトレンズの大手メーカーであるBausch&Lomb(ボシュロム)です。すでに何百万人もの人々が着用しているコンタクトレンズの製造プロセスをたった5人のInWithチームに共有する判断を下したことは英断だったと言えるでしょう。アセット公開レイヤーが明確でなければ叶いません。その他の技術特許としては以下のようなものがあるそうです。

  • まばたきから電力供給する環境発電
  • 外しているときに充電するための液体スマートケース

まだ実用化については長い開発ロードマップのごく初期だと思いますが、この技術の先にはスマートコンタクトレンズの選択肢の幅が広がる可能性が待っているかもしれません。

編集・共同執筆:平野武士

VRゲームは脳波で操作するーーValveとOpenBCIがパートナシップを公表

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ピックアップ:Gabe Newell says brain-computer interface tech will allow video games far beyond what human ‘meat peripherals’ can comprehend ニュースサマリ:ゲーム会社であるValve CorporationのGabe Newell氏は1月25日、1N…

Image Credit:OpenBCI

ピックアップ:Gabe Newell says brain-computer interface tech will allow video games far beyond what human ‘meat peripherals’ can comprehend

ニュースサマリ:ゲーム会社であるValve CorporationのGabe Newell氏は1月25日、1Newsのインタビューに対してBrain Computer Interface(BCI)の将来について話し、OpenBCIとパートナーシップを結んだことを明らかにしている。

話題のポイント:OpenBCIは、BCI用の低コストで高品質のバイオセンシングハードウェアであるブレインコンピューターインターフェイス(BCI)の作成をするオープンソースプロジェクトです。

開発されているarduino互換バイオセンシングボードはEMG、ECG、およびEEG信号の高解像度イメージングを記録することで脳の活動をマッピングします。これらはオープンソースで開発されているため脳の信号をモダリティで利用することが可能です。

Image Credit:OpenBCI

簡単なデモンストレーションを紹介します。上図はフォーカスウィジェットのアルファとベータの脳波を利用して風船で飛んでいるサメを誘導している様子です。脳波はUltracortexMark IVヘッドセット で取得し、OpenBCI CytonBoardを使用してOpenBCIGUIにストリーミングされています。フォーカスウィジェットはアルファ、ベータ波の視覚化された波形を表示しどこを見ているかをフィードバックします。集中するだけでサメの進路を制御できます。

昨年の11月には「Galea」と呼ばれるVR / ARヘッドセット専用のBCIの製作を発表しました。Galeaが今回のValveとのパートナーシップに含まれるかは明らかではありませんが、GeleaにはEEGだけでなく、EOG、EMG、EDAおよびPPGが可能なセンサーも含まれており、幸福、不安、うつ病、注意力、関心などの「人間の感情や表情」を測定する方法を提供できるため関わっている可能性は大きいでしょう。

プレーヤーが興奮している、驚いている、退屈している、面白がっている、恐れているなどの感情を非侵襲的に読み取れれば、よりパーソナルな体験がVRで味わえるはずです。

CES 2021で評価、スポーツ専用スマートグラス「EVAD-1(Julbo社製)」

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ピックアップ:Prestigious ISPO Award for the Julbo EVAD-1, the first sport glasses to embed the ActiveLook® technology. ニュースサマリ:1月28日、ActiveLookテクノロジーを展開する「MICROOLED」がISPO Award 2021を受賞した。同社技術を搭載したアイウェアEVAD-…

ピックアップ:Prestigious ISPO Award for the Julbo EVAD-1, the first sport glasses to embed the ActiveLook® technology.

ニュースサマリ:1月28日、ActiveLookテクノロジーを展開する「MICROOLED」がISPO Award 2021を受賞した。同社技術を搭載したアイウェアEVAD-1(Julbo社製)が評価された。

話題のポイント:MICROOLEDは、ヘッドマウントスポーツデバイス、カメラファインダー、医療アプリケーションなどにニアアイディスプレイ(NED)を提供するフランスのスタートアップです。

MICROOLEDの特徴は、有機EL(OLED)を用いたマイクロディスプレイ開発能力にあります。OLED自体は電流を流すと発光する有機材料をベースにした薄膜半導体デバイスです。液晶の後発として登場し、薄く、コントラスントがはっきりとしていて、応答速度が速いことからスマートフォンにも採用されています。

Image Credit:ActiveLook

有機材料のいくつかの層で構成されていて、それぞれが特定の機能を持っているため、デバイスのアーキテクチャと材料を適切に選択することで様々な色の光を優れたエネルギー効率で表現できます。MICROOLEDはここに強みがあり、同等の画像サイズと解像度のモニターと比較して、数百分の1のエネルギーで十分に稼働します。

この技術を取り入れた例がアイウェア企業Julboが製品化したEVAD-1です。主にスポーツアスリート向けにスポーツ中のリアルタイム・パフォーマンスメトリックを表示できるディスプレイ付きアイウェアで、軽量かつ小型化のフォームファクター、頑丈なデザインで要求の厳しいアスリートを満足させています。()

これが評価され、EVAD-1は革新的なスマートグラステクノロジーを備えた組み込みテクノロジーとしてCES 2021 Innovation Award Honoree、ISPO Awardを受賞し、スポーツ活動に革命をもたらすスポーツメガネに認定されました。