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AppleとSONYが買収交渉突入「Wondery」、ポッドキャスト市場に起こる引き抜き合戦

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ピックアップ:Apple, Sony both discussed buying podcast network Wondery ニュースサマリー:Podcastコンテンツスタジオ「Wondery」の買収交渉が報じられている。11月前半にFortuneが報じたもので交渉に参加しているのは最大で4社。そのうちの2社はAppleとSonyとされ、両者共に自社コンテンツの拡充に狙いがあるとされている。W…

Image Credit :Wondery

ピックアップ:Apple, Sony both discussed buying podcast network Wondery

ニュースサマリー:Podcastコンテンツスタジオ「Wondery」の買収交渉が報じられている。11月前半にFortuneが報じたもので交渉に参加しているのは最大で4社。そのうちの2社はAppleとSonyとされ、両者共に自社コンテンツの拡充に狙いがあるとされている。Wonderyは2016年創業のスタートアップ。昨年のシリーズBでは1000万ドルを調達し、これまでに合計1500万ドルの資金調達に成功している。また、Crunchbaseによれば同社のバリュエーションは1億ドルから5億ドルの範囲であるとされている。

話題のポイント:北米中心にポッドキャスト配信が当たり前となりつつある今、巨大プラットフォーマーたちによる囲い込み合戦が始まっています。中でも顕著にポッドキャストコンテンツの買収を進めていたのが、Spotifyでした。例えばSpotifyでは、コメディアンのジョー・ローガン氏と1億ドルの専属配信契約したことなどが話題となっています。

Appleにしてみれば強気な囲い込み戦略を進めるSpotifyに対抗し、Apple Musicにおけるポッドキャストのポジショニングを強めたいところです。また、今回のWonderyの買収交渉としては報じられていませんが、Amazonもポッドキャスト配信をAudibleで開始しています。

こうした動きを考えると、ポッドキャストの巨大プラットフォーマーの座を争う「Apple vs Amazon vs Spotify」の構図が浮かび上がってきます。特に3社はいずれもサブスク事業を展開していることから、コンテンツ力を高めてユーザーを引き付ける戦略が有効そうです。Spotifyがコメディアンと大型契約を結んだように、ゲーム配信市場で起きているような有名な配信者の取り合いが始まる可能性は大いに考えられます。

Image Credit : a16z

Andreessen Horowitzが昨年まとめて伝えている、ポッドキャスト市場のデータ分析によれば、米国における1週間当たりの平均的なポッドキャスト利用時間は6時間37分。また、エピソード数に換算すると平均して週に7つのエピソードを消費することを明らかにしています。

巨大プラットフォーマーによる引き抜き合戦によって、コンテンツの質の向上やポッドキャスト機能自体のUXアップデートが進むことになり、より消費しやすい設計に近づいていくのではないでしょうか。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

学校も“ノーコード”で設立、オンライン授業プラットフォーム「Thinkific」

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ピックアップ:Online course platform Thinkific raises $22M ニュースサマリー:オンライン授業立ち上げサービスを運営する「Thinkific」は、2,220万ドルの資金調達を実施したと発表している。リード投資家には既存投資家でもあるRhino Venturesが参加している。同社はSaaS型でオンライン学習プラットフォームを作成できるツールを提供するスター…

ピックアップ:Online course platform Thinkific raises $22M

ニュースサマリー:オンライン授業立ち上げサービスを運営する「Thinkific」は、2,220万ドルの資金調達を実施したと発表している。リード投資家には既存投資家でもあるRhino Venturesが参加している。同社はSaaS型でオンライン学習プラットフォームを作成できるツールを提供するスタートアップ。ドラッグ&ドロップで容易に自身のウェブサイトを作成できる特徴を持つ。

話題のポイント:オンライン学習作成プラットフォームの代表格と言えばUdemyや、1億ドルの調達を発表したMasterclassなどが挙げられますが、Thinkificはあくまでオンライン学習プラットフォーム立ち上げに焦点を当てており一線を画しています。同社のSaaSは自社で顧客を集める戦略などはなく、コンテンツクリエイター側に集客を完全にゆだねています。SaaS型でオンライン授業に特化したウェブサイト開発機能だけを充実させ、集客をノータッチにすることで、コース販売に関わる手数料は取らず個人の収益最大化を売りとしています。

そのため、オンライン授業製作者は4つの月額プランからコースの性質に応じて自由に選ぶことが可能です。無料プランでも最大で3つの授業を作成することができるため、最小限の機能とコンテンツ量であればこちらのプランで充分でしょう。ウェブサイト開発も、ドラッグ&ドロップを軸にプレミアムコンテンツの設定や受講条件の設定、メンバーシップサイトの作成などを簡単にすることができます。

covid new course creators
Image Credit :Thinkific

もちろんUdemyなどにコンテンツをリスティングすれば、ターゲット層にリーチしやすくなるものの、コンテンツの性質やプロモーションにお金をかけられない場合などは、自身のサイトで運営する方がベターです。Udemyのような学習プラットフォーム、ThinkificのようなSaaS型学習プラットフォームは対立するようで、実際に載ってくるコンテンツはそこまで被らない気がします。

ちなみに同社によれば、COVID-19以前と以降で比較するとオンラインコース制作量が221%増となったそうです。今後も増え続けると思われるオンラインコースの絶対量ですが、中長期的目線で見れば自身でウェブサイトを保有しマネジメントできる(しなければいけない)ThinkificのようなSaaS型の需要はより一層高まりそうです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

ノーコードの流れは続く、Retoolが評価額で約10億ドルに

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ピックアップ:Retool Nears $1 Billion Valuation With Funding From Sequoia ニュースサマリー:ノーコードスタートアップの「Retool」は、シリーズBにて5000万ドルの資金調達を完了している。リード投資家にはSequoiaが参加し、GitHubのCEOであるNat Friedman氏、Stripe創業者で兄弟のPatrick Collis…

ピックアップ:Retool Nears $1 Billion Valuation With Funding From Sequoia

ニュースサマリー:ノーコードスタートアップの「Retool」は、シリーズBにて5000万ドルの資金調達を完了している。リード投資家にはSequoiaが参加し、GitHubのCEOであるNat Friedman氏、Stripe創業者で兄弟のPatrick Collison氏とJohn Collison氏、Brex創業者のHendrique Dubugras氏とPedro Franceschi氏、またY Combinator共同創業者のPaul Graham氏も同ラウンドに参加している。

話題のポイント:社内ツールをノーコードで手軽に開発することが可能なサービス、それがRetoolです。Bloombergの報道などによれば、今回のラウンドにて同社バリュエーションは約9億2500万ドルと評価されています。

ノーコード・ローコード市場は非常に注目高く、例えばGoogle SheetsやExcelなどにデータを入力しインポートすることで自動でアプリケーションを生成することが可能なApp Sheetは今年初めにGoogleに買収されるなど、市場の中でも動きが早まりつつあることが分かります。直近では、Googleは新ノーコードツールとしてプロジェクト管理機能「Tables」などをリリースしています。

しかし、ノーコードツールのメインストリームは未だスタートアップに多い傾向にあります。例えば今となってはワーキングツールの定番と化したNotionやAirtableも、元はといえばノーコードツールの一種ですし、Retoolと同じく社内用ダッシュボードをノーコード開発可能なIndexなども、近年注目を集めてきています(IndexはRetoolと同じくSequoiaのリードで5000万ドル調達済み)。

さらには、Googleの開発するクロスプラットフォームのFlutterバックエンド用のFirebaseを用いてアプリケーションを全てノーコード開発することのできる「FlutterFlow」が発表されるなど、既存ソフトウェア開発環境をノーコードプラットフォーム化する流れも登場しています。ノーコード・ローコード市場は少々飽和状態にあるようにも思えますが、ユーザー視点ではサービス開発に選択できるオプションが増えていることに間違いはありません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

スマートウォッチのGarmin、妊娠中のトラッキング機能を追加

ピックアップ:Garmin adds pregnancy tracking to Connect app ニュースサマリ:Garminは11月10日、同社のスマートウォッチとConnectアプリに妊娠中のトラッキング機能を追加することを発表した。女性のための機能としては、2019年に発表された月経周期トラッキングに続いた機能追加となる。 詳細な情報:今回新たに追加された妊娠トラッキング機能では、ユ…

画像出典:Garmin プレスリリース

ピックアップ:Garmin adds pregnancy tracking to Connect app

ニュースサマリ:Garminは11月10日、同社のスマートウォッチとConnectアプリに妊娠中のトラッキング機能を追加することを発表した。女性のための機能としては、2019年に発表された月経周期トラッキングに続いた機能追加となる。

詳細な情報:今回新たに追加された妊娠トラッキング機能では、ユーザーが赤ちゃんの出産予定日を入力することで、胎児の大きさなどの妊娠中のタイムラインをスマートウォッチ端末で確認できる。また、心拍数アラートや水分補給のモニタリング、妊娠期間中のトレーニングに関する通知を一時停止にすることも可能なうえ、妊娠中に予想される症状や摂取すべき栄養、毎週の体重増加に関するアドバイスを受け取ることもできる。

  • さらにConnect IQアプリを使用すると、母親およびパートナーは、互換性のあるGarmin端末から陣痛の期間と頻度を追跡することもできる。同社グローバル・コンシューマー・マーケティング担当副社長であるスーザン・ライマン氏は、以前発表した月経周期トラッキングに好意的な反響があったことをふまえ、女性がテクノロジーを活用してヘルスケアを向上させる機会を求めていると今回の機能追加についてコメントしている。
  • Apple WatchFitbitでは、月経周期をトラッキングすることはできるものの、妊娠をトラッキングする機能は現時点(2020年11月)では発表されていない。一方、Withingsは、妊娠モードが搭載されており、妊娠中の体重増加のトラッキングや妊娠中のアドバイスなどの情報を受け取ることができる。

背景:妊娠中のユーザーは、過去にスマートウォッチやウェアラブル端末の開発企業が製品に妊娠モードを搭載していないことを批判してきた。例えば、2018年にSwapna Krishna氏がEngagetにて執筆した「How fitness- and health-tracking apps failed me during my pregnancy(フィットネストラッキングアプリが妊娠中いかにポンコツだったかについて)」と題した記事ではこの課題を通じて、女性の絶対数が少ないシリコンバレーのテック業界や投資家に構造についても言及している。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

クラウドファンディングで金融包摂を目指すナイジェリアの「Owoafara」

重要なポイント:ナイジェリアで中小企業の持続的な成長と拡大を支援するフィンテックスタートアップOwoafaraは、これまで資金調達のために中小企業と金融機関をマッチングさせるサービスを展開していたが、中小企業の多くは金融サービスへのアクセスそのものが制限されているという問題点に着目し、既存のクレジットスコアリングを活用した資金調達のためのクラウドファンディングサービスを新たに開始。約半年で50億ナ…

重要なポイント:ナイジェリアで中小企業の持続的な成長と拡大を支援するフィンテックスタートアップOwoafaraは、これまで資金調達のために中小企業と金融機関をマッチングさせるサービスを展開していたが、中小企業の多くは金融サービスへのアクセスそのものが制限されているという問題点に着目し、既存のクレジットスコアリングを活用した資金調達のためのクラウドファンディングサービスを新たに開始。約半年で50億ナイラ(約1,300万ドル)を上回る取引が行われている。

詳細な情報:Owoafaraの設立は2019年1月。サービスの行き届いていない5,000万を超える中小企業の金融サービスへのアクセスをサポートすることを目的として立ち上げられた。中小企業と金融サービスを結び付けることで、中小企業の持続的な成長と拡大を支援することをミッションとしている。

  • Owoafaraは当初、中小企業にクレジットスコアを付与し、それを元に金融機関や信用機関の金融サービスを提案するクレジットスコアリングとファンドマッチングのプラットフォームを提供していた。15を超える金融機関の登録と10万ドルを超える取引が発生したが、ナイジェリアではほとんどの中小企業が、既存の金融機関のサービスを受ける基準を満たしていないため、この事業では同社のミッションである中小企業の持続的な成長と拡大の支援にはならないということが判明した。
  • ナイジェリアでは、中小企業は金融機関や信用機関から非常にリスクが高いと認識されているため、融資には非常に消極的でそもそも中小企業やスタートアップ向けの金融商品を持っていない金融機関も多い。一方ナイジェリアの中小企業の約79%は事業成長の主な制約として、資金不足と資金調達へのアクセスを挙げている(ナイジェリアでは雇用者が200人以下の企業を中小企業と定義する)。
  • 今年5月、Owoafaraは新たにRouzoというサービスをローンチ。これは、Owoafaraのクレジットスコアリングアルゴリズムを使用して中小企業の信用情報を検証し、個人や企業がプラットフォーム上に投資した資金から融資を受ける、中小企業の資金調達を目的とするクラウドファンディングプラットフォームだ。また、併せてSuppotrという資金調達の前段階にある企業を支援するサービスも展開している。
  • 同社HPによるとRouzoプラットフォーム上では既に24カ国15万回以上の取引によって、50億ナイラ(約1,300万ドル)を上回る資金が取引されている。
  • 同社はナイジェリアのラゴスでサービスを展開しているが、今後12カ月以内にナイジェリア内の5つの主要都市にサービス提供範囲を拡大する予定で、その後はアフリカ他国への展開も視野に入れている。また、創業者の性別によって資金調達の額や難易度に大きな差があるという問題は東南アジア同様ナイジェリアを含む西アフリカにもあり、Rouzoでは女性起業家の資金調達の支援も積極的にサポートしている。

背景:ナイジェリアの中小企業の金融サービスへのアクセスに関する問題点は、Owoafara共同創業者の一人Sally Ann氏自身が、運営していた消費者向けファッションブランドの生産と流通を拡大するための融資が受けられずに事業を失ったことがきっかけ。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

インシュアテック隆盛のシンガポールから東南アジア保険市場の変革に挑む「Igloo」

ピックアップ:Why insurtech startup Igloo is eyeing Vietnam for expansion ニュースサマリー:フルスタック保険会社IglooはシリーズA追加ラウンドにて、1,600万ドルの資金調達を実施したと発表している。同社は東南アジアで成長中のインシュアテック(保険関連テクノロジー)市場のハブとなるシンガポールを拠点とするスタートアップ。フィリピン、ア…

Image Credit : igloo

ピックアップ:Why insurtech startup Igloo is eyeing Vietnam for expansion

ニュースサマリー:フルスタック保険会社IglooはシリーズA追加ラウンドにて、1,600万ドルの資金調達を実施したと発表している。同社は東南アジアで成長中のインシュアテック(保険関連テクノロジー)市場のハブとなるシンガポールを拠点とするスタートアップ。フィリピン、アジア、ベトナムなど海外展開を強化、各国市場の状況や需要に即した保険を提供する。

詳細な情報:シンガポールのフィンテック協会のデータによれば現在80社以上のインシュアテック・スタートアップがシンガポールに集まっている。シンガポールから誕生した最初のフルスタック保険会社ともいわれるIglooは、以前はAxinanという社名でサービスを展開していた。

  • Iglooは、AIやビッグデータ、リアルタイムなリスク評価やエンドツーエンドの自動請求管理などを活用し、カスタマイズされた保険ソリューションに消費者がアクセスできるサービスを提供。扱う保険は病気や事故から電子機器などの身の回り品を対象としたものまで多岐に渡る。
  • 今後はフィリピンとタイにおける保険市場でのプレゼンス強化へ動き出すとともに、ベトナム市場への進出も計画している。Iglooは現段階で既に、インドネシア、マレーシア、オーストラリアでも保険商品を販売、同社によれば創業以来1,500万人以上の顧客にサービスを提供している。各国の市場環境は以下の通りだ。

フィリピン

  • 2020年8月にフィリピンのUnionBankとパートナーシップを締結、低所得者層向け事故保険の提供を予定。手頃な価格とUnionBankのAPIマーケットプレイスを通してサービスを提供することで全ての低所得者層の保険加入を目標に掲げる。
  • 世界で最も保険格差のある国の一つであるフィリピンの2018年度保険普及率は1%未満であり、保険ギャップ(保障ギャップ)の相対コストはGDPの1.3%(42億ドル)に相当する。
  • 現在このギャップを埋めるべくマイクロ保険商品市場が急成長している。 フィリピンでのマイクロ保険の普及率は世界で最も高く昨年は人口の25%を占め、2022年までに48%に達すると予想されている。

タイ

  • 2020年9月にFoodpanda Thailandとのパートナーシップを締結、配達ライダーにPandaCareと呼ばれる包括的な保険補償プランの提供を開始する。Pandacareの保険には MSIG Insurance (Thailand)の自動車保険、Cigna Insuranceの個人傷害保険、TuneInsurance の入院時の収入保障が含まれ、デリバリーを行なうライダーに特化した内容となっている。
  • Kasikorn Research Centerによれば新型コロナウィルスの影響によりフードデリバリー需要は前年比で最高84%増加するとの予測が示されており、この需要を受け増加の見込まれるライダーが安全に仕事に取り組み必要な保険やサポートが受けられるようIglooが支援をしていく。
  • 同国の保険普及率は1.7%で、保険ギャップ(保障ギャップ)の相対コストはGDPの0.3%(15億米ドル)に相当、ギャップ額が最も大きい国の上位25か国に含まれる。

ベトナム

  • ベトナムでの具体的な動きはまだ伝えられていないが、現在若年層の人口の多いベトナムはデジタル普及率も高く、中産階級が急成長しているため、デジタル保険サービスの需要があり今後さらなる増加が見込める。

背景:アジア太平洋地域(APAC)の保険市場は2029年までに世界の保険料の42%を占め、2030年半ばまでには世界最大の市場になると大手保険グループSwiss Reは予測している。また、accentureのレポートによると、2019年1月から9月の間に、シンガポールのインシュアテックの資金調達は2018年の同時期の3,500万ドルから1億2,800万ドルにほぼ4倍となり、シンガポールのフィンテック企業の資金調達額総額の中で保険会社の占める割合は前年度8%から17%に増加した。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

農業のデジタル化でケニア女性の自立を模索する「Farmers Pride」の取り組み

ピックアップ:Kenyan agri-tech startup Farmers Pride raises $220k funding from Gray Matters Capital’s coLABS 重要なポイント:11月初めに22万ドルの資金調達を行ったケニアのアグリテック・スタートアップFarmers Prideは国内の小規模農家や農業製品・農産物販売を行う女性に焦点をあて、ワンストップの…

ピックアップ:Kenyan agri-tech startup Farmers Pride raises $220k funding from Gray Matters Capital’s coLABS

重要なポイント:11月初めに22万ドルの資金調達を行ったケニアのアグリテック・スタートアップFarmers Prideは国内の小規模農家や農業製品・農産物販売を行う女性に焦点をあて、ワンストップのECプラットフォームを展開して女性の収入向上を支援している。

詳細な情報:出資したcoLABSは世界中の女性と少女が直面する重大な問題に取り組んでいる革新的でスケーラブルな企業に投資するために、2017年初めにGray Matters Capitalによって立ち上げられたグローバル投資ポートフォリオ。

  • Farmers Prideはテクノロジーとフランチャイズを活用し、農家の生産性や農産物販売の売り上げ向上など、農家が成功するのに必要なすべてのものをつなぐラストワンマイルのオンラインとオフラインをつなぐECプラットフォームを提供している。中でも小規模な女性農家や女性の農産物販売者のエンパワーメントに積極的に取り組んでいる。
  • 同社は既に1万人を超える農家と約300の農業製品や農産物を販売する小売業者のユーザーを獲得している。
  • 今回調達した資金は、主には女性農家を対象とする農村部約50万人の農家を対象に、同社のワンストップECプラットフォームを介した保険サービスや金融サービスへのアクセス、市場との連携、農業の機械化などによる収入向上を支援することに使われる。資金の一部はその他、テクノロジーを活用した農業関連製品及び農産物販売所の立ち上げや、2022年までに3万人の農家を支援することを目的とした教育プログラムの作成にも使われる。
  • オンラインベースの小規模農家のサプライチェーンを構築し、それぞれ独立していた小規模でインフォーマルな各農村の農業製品や農産物の販売所をマイクロフランチャイズに変えることで価格の透明性や公平性が高くなる。また、製品のトレースが可能になることで種子や農薬などの製品の期限切れや質の悪い偽造製品が流通することを防げる。

背景:ケニアは、2006年には性的犯罪法、2015年に家庭内暴力防止法、2019年はFGM撲滅政策とジェンダー開発に関する政策と女性の平等を高めるための措置を講じているため、依然としてジェンダーギャップはあるものの徐々に改善傾向にある。(2020年のグローバルジェンダーインデックスは0.671で153カ国中109位)

また、ケニア国立統計局は国連やユニセフ等と協力し、ケニアにおける女性と女児のエンパワーメントのための初の包括的かつ体系的な指標となるWEI(Woman Enpowement Index)を作成し今年8月に最初の調査を行った。結果として都市部と農村部、教育水準、貧困の度合いなど国内の中でも置かれている環境により、女性に与えられた権利や権限の差が数倍にのぼるケースもあり国内での女性の立場による格差が明らかとなった。同調査によれば都市部に住む女性の40%には権限が与えられており、これは農村部の割合の約2倍となる。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

クレカを持たない市場を狙え、メキシコのデジタルバンク「Klar」

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ピックアップ: Leading a $15 million round, Prosus Ventures makes the challenger bank Klar its first bet in Mexico ニュースサマリー:オンラインバンクの「Klar」はシリーズAにて1500万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはProsus Venturesが務め、International…

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ピックアップ: Leading a $15 million round, Prosus Ventures makes the challenger bank Klar its first bet in Mexico

ニュースサマリー:オンラインバンクの「Klar」はシリーズAにて1500万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはProsus Venturesが務め、International Finance Corporation、Quona Capital、Mouro Capital、またaCrewも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:今回調達を発表したKlarは、メキシコ市場に特化したオンラインバンクを提供しています。南米市場では、フィンテックスタートアップの成長が目まぐるしい状況です。Finovista(フィノビスタ)が公開した資料「Fintech Radar Mexico 2018」によれば、2017年におけるメキシコのフィンテックスタートアップは238社存在し、年次で約50%の成長を記録しています。また、さらに2018年最新のデータでは334社まで増加し、南米ではブラジルに次いでフィンテック大国に進化しています。

その反面、メキシコを含む南米では銀行口座そのものやクレジットカードを持っていない人口割合も非常に多い傾向にあります。Klar創業者のStefan Moller氏によれば、メキシコにおける成人のクレジットカード保有率は10%程で、2018年における日本でのクレジットカード保有率84%と比較すると歴然の差があることが分かります。

メキシコにおけるクレジットカード普及率の低さの一つの要因には、Eコマースがそこまで浸透していないという背景にあると考えます。Import Export Solutionsの公開したデータによれば、2017年におけるメキシコのEコマースが占めた小売店の売り上げはわずか2%と極度に低いことを表しています。ただ、Statistaのデータによれば、Eコマース売り上げ・ユーザー数は右肩上がりにあり、需要とインフラが整備されていることが読み取れます。

このように、Eコマースやその他オンラインでの決済需要が増えれば相対的にKlarのようなデジタルバンクへの需要も高まることは間違いないでしょう。また、最近ではスマホの利用状況から融資する金融手法が発展途上国で普及して始めていることから、北米や欧州とは違うアプローチで金融サービスが普及する可能性を秘めています。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

英国で6組に1組が直面する不妊治療、雇用主負担のサービスが台頭

ピックアップ:UK Fertility Startup Fertifa Raises a £1M Seed Round Led by Passion Capital ニュースサマリ:英国で不妊治療を企業(雇用主)向けに提供するFertifaは11月2日、シードラウンドにて100万ポンドの資金を調達したことを発表した。本ラウンドはPassion Capitalが主導し、エンジェル投資家らも参加してい…

ピックアップ:UK Fertility Startup Fertifa Raises a £1M Seed Round Led by Passion Capital

ニュースサマリ:英国で不妊治療を企業(雇用主)向けに提供するFertifaは11月2日、シードラウンドにて100万ポンドの資金を調達したことを発表した。本ラウンドはPassion Capitalが主導し、エンジェル投資家らも参加している。

詳細な情報:同社は2019年8月にロンドンにて設立。Passion CapitalのパートナーでFertifaの取締役に参画したBurbidge氏がTelegraphに寄せたコメントによると、同社は創業者兼CEOのTony Chen氏が自身ら夫妻も不妊治療の経験を経たことから創設された。

  • 同社は英国の企業(雇用主)の従業員向けに、体外受精治療や卵子・精子の凍結などの不妊治療サービスを従業員に提供している。また、ホルモンや精子の検査キットやビデオ相談などのツールを利用して、従業員がCOVID-19流行中も家庭で不妊治療を継続することもできる。現時点で約70万人の英国人従業員にサービスを提供しているという。
  • 同社リリースによると、英国では6組に1組のカップルが直面し、約350万人がこの課題を抱えているという。また、4人に1人の女性が流産を経験し、LGBT+の従業員は全員親になるためのサポートを必要とするなど、不妊治療を必要とするシーンは拡大を続けていると指摘している。
  • 今回調達した資金は、英国とヨーロッパにおけるFertifaの成長を加速させると同時に、プラットフォームを強化し、技術を駆使した革新的なテレヘルスソリューションを展開するために活用される。

背景:Pharmiwebのデータによると、世界の不妊治療サービス市場は2018年の初期推定値2,000万ドルから2026年には推定値4,100万ドルに上昇すると予想されている。こうした流れの中、米国においても雇用主負担の不妊治療がますます一般的になってきており、ProgynyCarrotなどの企業の台頭が、雇用主がこれらの福利厚生を採用することの重要性のアピールにつながっている。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

女性のライフステージ「更年期障害」にテック・アプローチするMPowder

ピックアップ:UK femtech MPowder closes €550K seed round to support women experiencing menopause ニュースサマリ:ロンドンを拠点とし、更年期障害向けサプリメントのEコマースを展開するMPowderは、11月4日、55万ユーロのシードラウンドでの資金調達を発表した。本ラウンドにはPink Salt Ventures、F…

画像出典:MPowder 公式ウェブサイト

ピックアップ:UK femtech MPowder closes €550K seed round to support women experiencing menopause

ニュースサマリ:ロンドンを拠点とし、更年期障害向けサプリメントのEコマースを展開するMPowderは、11月4日、55万ユーロのシードラウンドでの資金調達を発表した。本ラウンドにはPink Salt Ventures、Founders Factory、Mumsnet共同創業者のCarrie Longton氏をはじめとするエンジェル投資家が参加した。

詳細な情報:MPowderは、同社ウェブサイト上で顧客に更年期障害の3つのステージに合わせた植物性の粉末サプリメントを販売している。

  • 同社は2019年、創業者兼CEOのRebekah Brown氏によりロンドンで設立。Evening Standardの記事によると、Brown氏はクリエイティブエージェンシーで幹部を務めていた46歳の時、更年期障害の症状に悩まされていたものの医師からは診断が下されず、市販のサプリメントを摂取するように勧められた。しかし、膨大な製品の中から何を選ぶべきかわからなかったという原体験が設立のきっかけだという。
  • Brown氏は今回の調達に関する同社プレスリリースにおいて、更年期障害についての理解や研究は十分ではなく、更年期障害は人生の中年期のエンパワーメントのカテゴリーであるべきなのに、終末期のカテゴリーとして提示されていると指摘している。その上で、人口の51%が通過するライフステージを革新させるソリューションが必要とこの事業の重要性を伝えている。
  • 今回調達した資金は、生産規模や臨床試験の拡大、チームの構築に活用する予定だという。

背景:同社プレスリリースによると、英国だけで毎年1,300万人が更年期を迎え、更年期障害市場は2023年までに約44億7,000万ユーロの規模になるという試算を提示している。また、2015年時点の推計では、2030年までの15年間で更年期に入る人の数が全世界で12億人にのぼるとされている。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代