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メンバーが自走する、「Will(意思)」のある自律組織を実現する方法

自律的な組織づくりの方法については様々なフレームワークが共有されています。ピーター・ドラッガー氏が提唱したMBO(Management By Objectives)やアンディ・グローブ氏のOKR(Objectives and Key Results)といった目標管理制度、Amazonカルチャーに代表される自律組織構築など、チームの生産性を上げるための議論は尽きることがありません。 フレームワークや…

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自律的な組織づくりの方法については様々なフレームワークが共有されています。ピーター・ドラッガー氏が提唱したMBO(Management By Objectives)やアンディ・グローブ氏のOKR(Objectives and Key Results)といった目標管理制度、Amazonカルチャーに代表される自律組織構築など、チームの生産性を上げるための議論は尽きることがありません。

フレームワークや理論が拡大する一方、難しくなるのは「どの手法を選べばいいか」という点です。例えば、私たちはHRBrainというクラウド評価管理サービスを提供しているのですが、600名ほどを対象としたアンケートで、8割の人たちが「その場しのぎの目標設定をしたことがある」、という回答結果を得ています。

いくら優れた手法でもそれを実践する側が受け入れてくれなければ成立しません。そこで本稿では特に「自律的行動」というポイントに絞って、私たちの経験に基づいたTipsを共有したいと思います。

OKRで現場巻き込み、KPIを作り込む

まず何より重要なのが「登るべき山」の共有です。私たちはOKRという目標管理手法で全社目標を個人までブレイクダウンします。これにより若手のメンバーもなぜ自分の仕事や目標がどのように全社目標に寄与しているのかを理解し、経営者目線を持つことを促しています。

ちなみに私たちはこの部門目標も全社会議の日に、部門ごとメンバー全員で徹底的に話して設定し、後日部門長間ですり合わせを行っています。こうすることで、上から決められた目標を負わされているという感覚を可能な限り排除しようとしています。

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キーになる「DI(部署アイデンティティ)」の可視化

目標が定まったら、それをどのような姿勢で追いかけるかをイメージするために、私たちはDivision Identity(部署アイデンティティ)というものを設定しています。Corporate Identity(企業アイデンティティ)を設定する会社はありますが、私たちはより現場レベルで自律した組織にするため、部署の文化やKPIに即したDivision Identity(部署アイデンティティ)を大事にしています。半期の全社会議の時間を丸一日取り、部署ごとに目標や部署として大切にしたい姿勢を言語化しビジュアルに落とし込みます。

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半期の全社ミーティングの様子(提供:HRBrain)

継続的な1on1で自走サポート、ボトルネックはすぐに解消

部署と個人の目標が決定したらそのまま放置するのではなく、最低でも月に1回、1on1ミーティングと言われるマネージャーとメンバー間の面談でサポートを行います。自分の与えられた目標を達成するための具体的なアクションの相談から、メンバーから相談があった場合にはプライベートに関する相談まで、成長のためのボトルネックになりうる部分をタイムリーに解消できる場を持ちます。

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ポイントはやはり部門ごとの目標やアイデンティティを常に可視化する、という点です。

会社全体のビジョンは策定していても、部門が拡大するとやや現場からの距離が遠くなります。これをもう少し現場に近づけることで、働く人たちにイメージを持ってもらいやすくなるメリットがあります。

目指すべき到達点がイメージしやすくなると、当然、そのために必要な「山の登り方」をそれぞれが考えやすくなります。いきなり富士山に登るのではなく、もう少し小さな丘から始めるのと同じです。逆に組織がまだ小さい場合は会社全体としてのアイデンティティでも十分に機能します。

さて、いかがだったでしょうか。

自律的な組織、というのは言い換えれば「意思決定ができる」メンバーの集合体のことです。
これから日本では労働力の減少や少子高齢化といった問題がどんどん顕在化する時代に突入します。たとえ少ないチームでも、一人ひとりが意思を持って自律的に行動すれば、必ずこの課題のいくつかを解消できるはずです。私たちのソリューションもまたその一助になれば幸いです。

<参考情報>

本稿はクラウド人事評価「HRBrain」代表取締役、堀浩輝氏によるもの。Twitterアカウントは@Holy_Max。ここに書かれているノウハウや、会社ごとの課題に合わせた少人数セミナーなども開催されているので、彼らの事業や採用に興味がある方は、こちらからコンタクトされたい。

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事業アイデアは見つけなくていい

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起業を考えているみなさん、事業アイデアを見つけるのに苦労していませんか? 特に大学生などの比較的年齢を若くして起業を考えている方は、事業アイデアがなかなか思い浮かばないか、もしくはいくつかアイデアはあるにしても実際に起業するのはためらわれているような方も多いかもしれません。 一方、ベテラン層と言われる起業家の方々は、事業アイデアの発掘からその実現まで計画的である方が多いように見受けられます。一体こ…

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Photo by Christina Morillo on Pexels.com

起業を考えているみなさん、事業アイデアを見つけるのに苦労していませんか?

特に大学生などの比較的年齢を若くして起業を考えている方は、事業アイデアがなかなか思い浮かばないか、もしくはいくつかアイデアはあるにしても実際に起業するのはためらわれているような方も多いかもしれません。

一方、ベテラン層と言われる起業家の方々は、事業アイデアの発掘からその実現まで計画的である方が多いように見受けられます。一体この違いはどこから生まれてくるのでしょうか?

おそらくほとんどの方が「特定の業界についての深い見識があるかどうか」という回答を想定されると思います。もちろんそれも一つではあるのですが、普段多くの起業家の方とお話していて、それだけが回答ではないのではないかと思い始めました。

私が思うに、その違いは、「あるべき世界を描けているかどうか」ということかと思われます。

ではこの”あるべき世界”とは何なのでしょうか。

“あるべき”世界を描く

“あるべき世界”というのは人によってバラバラです。“実現したい世界”とも言い換えられるかもしれません。

事業というのは、ある人・集団が思い描く理想の世界と現実の世界とのギャップをうめるために存在するものであり、例えば、私たちの場合だと、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョンを掲げておりますが、このビジョンが”実現したい世界”、つまり”あるべき世界”であり、この世界と現実の世界とのギャップをうめるためにベンチャーキャピタルという事業を行っているわけであります。

つまり、現実の世界からの延長で事業を考えるのではなく、”あるべき世界”からの逆算で事業を考えるのです。

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特定の業界で働いてきた経験がありその業界についての見識がどれだけ深い人でも、この”あるべき世界”というものが描けていない限り、現実の世界とのギャップが見つけられず、結果的にその人が起業するに至るということはないでしょう。

なので、起業したいという想いがあるならば、事業アイデアを見つけようとするのではなく、”あるべき世界”を描こうと意識することをオススメします。

もし事業アイデアを先に考えついた場合でも、その事業によってどういった世界が実現されるのか、自分は何を想ってそのアイデアを考えついたのかなどを考えてみると、事業に対する想いや事業の奥深さなどが異なってくるのではないでしょうか。

若手が起業しやすいマーケット

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単発バイトアプリを運営するタイミー(同社ウェブサイトより)

一方で、特に起業においては、自身の強みや特性などを勘案して、ある程度現実の世界からの延長で事業について考えることも重要です。ベテラン層の場合は、冒頭でも触れた通り「特定の業界についての深い見識」が最たる例ですが、若手の場合はどういったものが考えられるのでしょうか。ここでは大きく2つ取り上げます。

①既得権益が存在しないマーケット

既得権益が存在しないマーケットの多くは今後新たに立ち上がるマーケットです。ブロックチェーンやVR/ARなどの技術面での新興マーケットや、LGBTなどの多様性の広がりによって立ち上がるマーケットもその一つかと思われます。ただ注意が必要なのは、既得権益が存在しないからといって大人な戦い方が必要ないわけではありませんし、その業界についてのラーニングが「よーいどん」の形になるため、若さがディスアドバーンテージとなりにくいだけの話です。

こちらは、例えば、LGBT向けの求人情報サイトを運営するJobRainbowなどが挙げられます。

②新たなUXの構築が必要とされるマーケット

もう一つは、シェアリングサービスなどに代表される、UX(ユーザー体験)の再構築がなされていくマーケットです。ここでは、初期的には若者をターゲットとすることが多いため、そのユーザー目線を徹底できる若手の方が事業を立ち上げやすい場合が多いです。

例えば単発バイトアプリを運営するタイミーや、中国と日本で動画メディアを運営し同時に総合広告プランニングを提供するバベル、音楽・エンタメ市場で事業を展開しているSpectra、ミレニアル世代向けデジタルクレジット事業を提供予定のCrezitなどが挙げれられます。

いかがだったでしょうか。

日々多くの起業家の方にお会いする中で事業アイデアを見つけるのに苦労しているという方が多いのですが、以上のことを意識してみるとまた違った目線で事業、ひいては世界を捉えられるのではないでしょうか。

まずはぜひ”あるべき世界”を描くところから始めてみてください。

<参考情報>

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのアソシエイト、一戸将未氏によるもの。Twitterアカウントは@ichinohe_GV。毎週火曜日に25歳以下の起業家を対象として事業の壁打ちを行う「Founders Gate」を開催。12月17日(火・夜7時〜)には、25歳以下の起業家を対象とした「事業アイデア勉強会」を開催予定。くわしくはこちらから

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第三極の鍵は「モバイルコマース」、3倍成長する東南アジア市場を紐解く【Repro調べ】

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今月、国内・アジアで存在感を示す「ヤフーとLINEの連携」という大きなニュースがありました。特に会見で示された「GAFA・BATに対抗する第三極」という言葉は大きく、今後、中国を除く東・東南アジアでの市場に少なからず影響が出てくると思われます。 この波及効果については各所で議論が始まっていることと思いますが、本稿では特に東南アジアで勢いが増しているモバイルコマースの状況について共有したいと思います…

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Photo by Timo Volz on Pexels.com

今月、国内・アジアで存在感を示す「ヤフーとLINEの連携」という大きなニュースがありました。特に会見で示された「GAFA・BATに対抗する第三極」という言葉は大きく、今後、中国を除く東・東南アジアでの市場に少なからず影響が出てくると思われます。

この波及効果については各所で議論が始まっていることと思いますが、本稿では特に東南アジアで勢いが増しているモバイルコマースの状況について共有したいと思います。

なお、本稿で言及しているデータや実績などは現在、私たちが展開するモバイル・マーケティングプラットフォーム「Repro」を展開する上で入手した情報に基づきます。現在、東南アジアにも展開地域を拡大しています。

東南アジアで急成長する「M-commerce」とは

まず、大前提として東南アジアでは、2017から2018年の間にモバイルショッピングアプリの使用が3倍以上になり、モバイルアプリの使用者数が28%成長で伸びている、という状況があります(Media OutReachの調査データより)。

このカテゴリを指し示す「M-commerce」とは、Mobile-commerce(モバイルコマース)を短縮した言葉で、モバイルデバイスで使用したお金の取引全てを指します。E-commerceの進歩であり、スマートフォンやタブレットデバイスを使用するだけで、ほぼどこからでも商品やサービスを売買できるという環境の変化に後押しされて生まれたカテゴリです。

拡大した要因としてまず第一に、接続環境が整ったことが挙げられます。現在、世界人口の90%が3G以上のネットワークを使用してインターネットに接続できますが、既に東南アジアの大半の国の首都圏では4G/LTEが当たり前です。次にモバイルユーザーの購買行動が変わるサービスが増え続けていることも拡大の後押しになっています。具体的にはいくつかのトピックを掲載します。

  • 非接触型ペイメントとアプリ内課金環境
  • 店舗などでのオフライン活用
  • ロケーションベース

では、それぞれをもう少し詳しく紐解いてみたいと思います。

非接触型ペイメントとアプリ内課金環境

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Photo by PhotoMIX Ltd. on Pexels.com

これにより事業者は、モバイルデバイスに寄り添った決済方法を提供できるようになりました。「現金またはカード」に比べ優れているというよりもモバイルデバイスでの購買体験をスムースにするというようなニュアンスだと捉えてください。

例えば、モバイルウォレットを使用すると、クレジットカードの詳細や配送先住所などを保存でき、オンライン購入時に、情報を再度入力する必要がないというようなメリットがあります。これは、スマートフォンで個人情報を入力する煩わしさを排除できます。

日本だとiOSのアプリ内課金を使ったことがある方も多いのではないでしょうか。あの1つの動作で購入が完結する体験が様々なプラットフォームで提供されているとイメージしてください。ちなみに今年のPwC Singaporeの調査では、このアプリ内課金は例えばタイで67%に、マレーシアでは17%から40%に増加、フィリピンでは14%から45%に利用率が増加してます。

日本でもおなじみのデジタルコンテンツも伸びています。例えば、タイには東南アジアで最大のE-Book Store「Ookbee」があります。彼らは主に、モバイルウェブをベースに市場を伸ばしてきましたが、モバイルアプリが重要なチャネルになってきております。

これはユーザが当たり前のようにモバイルアプリで定期購入しているという状況が背景にあり、結果、タイのコマース市場は2025年までに現状の4倍になると言われています。今後デジタルコンテンツのモバイル最適化は加速度的に進むはずです。

店舗などでのオフライン活用

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Image Credit : Gojek Food

ここまではラップトップでもできることなのですが、やはりモバイルの真骨頂はオフラインにあります。OPPOやXiaomi、VIVOは200米ドル程度でスペックの高いデバイスを提供しています。東南アジアで伸びているのはこの価格帯のデバイスです。

例えばNFC搭載端末で可能な非接触モバイル決済は、店舗で行われる支払いに使われています。デビットカードやクレジットカードを利用する代わりにレジ横に置いてある端末の近くにスマホをかざして支払いができる、日本でもよく見るあの光景ですね。

Apple PayやGoogle Pay、Samsung Pay辺りが代表的で、例えば銀行などローカルの事業者が普及の下支えをしていたりします。

また似たようなオフライン利用としてQRコードを利用したチケットがあります。例えば、空港にチェックインする際に、ひと昔前は紙を印刷してカウンターに持ってきている人をよく見ましたが今はほとんどいません。オンラインでチェックインを済ませ、スマホの画面に映るバーコードで荷物を預けます。

ロケーションベース

位置情報を使ったサービスです。

東南アジアの街を歩くと色々な国で、デリバリーのバイクが走っているのを目にします。代表的なところはGojekやGrabですが、滞在している私の周りを見渡すと実にシンガポールだけで十以上のフードデリバリーサービスが存在してます。これは全てモバイルアプリでサービスを完結させ、もちろん決済もモバイルで完了させます。

このようにロケーションをベースにモバイルでサービス提供を完結させるのはフードデリバリーだけでなくシェアリングスクーターやシェアバイク、シェア傘、配車など様々なサービスに拡大しています。

クーポンなどを使ったマーケティングも同様で、プッシュ通知やSMS、メールでクーポンが届くような体験が当たり前になってます。例えばインドネシアでラマダン(断食)が明ける時間になると、近くのお店から「ラマダン明けですぐにお店でご飯が食べられるよ」というメッセージを送る、みたいな体験です。

日本で実施しているような施策が東南アジアでもしっかりと通用する環境になっているのです。

いかがだったでしょうか。

CBREの予測によると、M-commerceの売上は、2021年までにすべてのE-commerceの売上の53.9%を占めることになるそうです。

特に東南アジアはラップトップを知らない、遅いインターネットを知らない世代が消費者のメインとなる市場なのです。モバイル決済は確かに不便な時代がありました。しかしそんな体験をしたことのない世代は何一つ恐れなくモバイルで購買します。それが当たり前なのです。東南アジアだけでなく、インドや中国でもM-commerceが爆速的に伸びてます。

今後はセキュリテイや信頼、サイトやAppの速度・チェックアウトの体験向上といったポイントがテーマになってくると思われます。今回は一旦ここまでということで。

<参考情報>

本稿はweb・モバイルアプリ向けのCE(カスタマエンゲージメント)モバイルマーケティングプラットフォーム「Repro」のシンガポール子会社、Repro Singapore、Tsubasa Sasakiによるもの。Twitterアカウントは@tsubasasa2。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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広告業界の歴史に学ぶDX、3つのステップーーデジタルトランスフォーメーション【DXの羅針盤】

Software is eating the world. あらゆる分野にソフトウェアの効用が染み出し、産業のサービス化が不可逆な流れで進行しています。製造、物流、印刷、不動産等、インターネットで完結しない領域において起きるイノベーション、つまり既存産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)には今後大きな成長余地があります。では数ある産業の中で最も早くDXが進行した業界はどこか。 その筆頭にな…

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Photo by Jose Francisco Fernandez Saura on Pexels.com

Software is eating the world.

あらゆる分野にソフトウェアの効用が染み出し、産業のサービス化が不可逆な流れで進行しています。製造、物流、印刷、不動産等、インターネットで完結しない領域において起きるイノベーション、つまり既存産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)には今後大きな成長余地があります。では数ある産業の中で最も早くDXが進行した業界はどこか。

その筆頭になるのが広告業界です。

本稿では、DXの「はしり」とも言える広告業界が辿ってきた変遷を振り返ることで、他の産業においてこれから起こるであろうパラダイムシフトを推察する種にしたいと思います。(本稿は原文「DXのはしり」のサマリー版になります)

広告業界の歴史

こう‐こく〔クワウ‐〕【広告】[名](スル)1 広く世間一般に告げ知らせること。2 商業上の目的で、商品やサービス、事業などの情報を積極的に世間に広く宣伝すること。また、そのための文書や放送など。(goo辞書)

そもそも、広告とは何か。辞書的には、上記の通り商品やサービスを世間に広く告げ知らせることを指しますが、昨今のテクノロジーによる変化の過程を踏まえると、その本質は「マッチング」です。そんな広告はこれまで大きく三つの段階を経て進化を遂げています。

  • オフライン取引の時代
  • データ化と可測化の時代
  • 直接取引と自動化(半自動化)の時代

それぞれ見ていきましょう。

第一段階:オフライン取引

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日本の広告業界の歴史は意外にも古く、その創世は江戸時代初期にまで遡ります。越後屋(現在の三越)が江戸全域に配布した引札(今でいうチラシ)が広告の始まりと言われていますが、仲介業としての広告代理店が興ったのは明治時代の後期です。明治34年(1901年)には電通の前身である日本広告が設立され、朧げながら「広告業界」の原型が見え始めます。

初期の広告は自社の商品を広く一般に知らしめたい広告主と、新聞、雑誌をはじめとするマスメディアが直接取引を行うか、あるいは上述の代理店が広告主とマスメディアの間を取り持って広告を最適な形で最適な媒体に出稿する、というシンプルな構造になっていました。

その後、ラジオやテレビといったニューメディアの出現で飛躍的に成長していきましたが、あくまでアナログ、オフラインの場で広告枠の売買が行われていたという点において、原初的なビジネス形態であったと言えます。

第二段階:「データ化」と「可測化」

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1990年代後半から2000年代にかけてはウェブメディアが、スマートフォンが普及した2010年以降はモバイルアプリが台頭したことにより、人々の可処分時間の投下対象がマスメディア一極集中から複数メディアへ分散されました。

この第二段階における大きな変化点としては、広告の配信面であるメディアおよびその上で流通する広告素材がデジタル化したことで(=広告の「データ化」)、いつ、どの広告が、いくらで、どの媒体に何回表示され、そのうち何人が反応を示したかということがデータとして計測可能になったということです(=広告の「可測化」)。

もちろん、従来型のマスメディアも依然として影響力をもつ媒体ではありますが、新聞や雑誌が電子書籍になり、テレビがインターネットに結線されてスマートデバイスになり、ラジオのアプリ化も進む現代においては、純粋なオフライン取引だけで成り立つ広告ビジネスはほとんどなくなってきています。

また、広告配信を仲介する広告代理店やメディアレップといった中間プレイヤーにとっても、配信成果が可視化されることによって、介在価値を目に見える形で継続的に提供することを求められるようになったという点で、業界のパワーバランスに構造的な変化をもたらすターニングポイントであったと言えます。

第三段階:「直接取引」と「自動化(半自動化)」

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メディア・アグリゲーターとしてのアドネットワークが登場してからさらに数年後、2010年頃には「アドエクスチェンジ」という広告の取引市場が誕生しました。アドエクスチェンジは、広告枠をインプレッション(ウェブページやアプリにおける一回毎の表示配信)単位で取引する市場であり、広告主とメディアの需給バランスから広告枠の価値を算定して配信価格を決定します。

第一段階のオフライン取引が第二段階でデータ化・可測化され、また配信効率を最適化するためのアドネットワークが出来上がったことで、広告は取引市場(マーケットプレイス)でリアルタイムに売買される対象になったのです。

取引市場ができたことにより、広告を出稿する側の広告主は、広告素材の内容やサイズ、入札価格等の諸条件を決めさえすれば、広告代理店を介さずに直接広告を配信、管理することが可能になりましたが、複数のアドエクスチェンジやアドネットワークを個別で管理するには大きな負荷が伴います。

その負荷を解消するために登場したのが、広告主側の広告効果を最大化させるDSP(Demand Side Platform)と媒体側の収益を最大化させるためのSSP(Supply Side Platform)です。

DSPの代表例としては、DoubleClick Bid Manager、Rocket Fuel、FreakOut、MicroAd BLADE等があり、私たちの支援先では位置情報ターゲティングを専門とするGeoLogic Adがこの分野で順調に事業を伸ばしています。SSPではPubMatic、Rubicon Project、国産ではfluctやAd Generationが高いシェアを取っています。

従来広告代理店が担っていた役割がDSPに、メディアレップが担っていた役割がSSPに、それぞれデジタルトランスフォームしたと言い換えることもできます。

これらのエンパワーメントツールは、広告主と媒体社に、広告の「直接取引」と運用の「自動化(半自動化)」というオプションをもたらしました。

さらに近年では、集客力の強いメディアとそうでないメディアの間の格差が拡大するにつれてSSPの存在感や役割にも変化が見られるようになっており、また一方の広告主も、高単価商材を取り扱うブランド企業を中心に、プレミア媒体に厳選して出稿することで成果向上を図りたい意向を持つ企業が増えています。

そこで、双方のニーズを折衷する形で、限られた広告主とメディアしか参画できないPMP(Private Market Place)と呼ばれるプライベートな取引所が誕生しました。「直接取引」と「自動化(半自動化)」に加えて、この「オープン・マーケットプレイス→参加者を限定したプライベート化」の流れも、今後様々な業界にも応用可能なトレンドと考えられます。

おわりに

これがざっくりとした広告業界のデジタルトランスフォーメーションの流れになります。

他の産業領域におけるアドネットワーク、アドエクスチェンジ、DSP、SSP、PMPなどがあるとしたらどういうプレイヤー/事業プランになるかという点については社内でも日々考えを練っていますが、もしアイディアをお持ちの方がいれば、ぜひ一度ディスカッションしましょう!

<参考情報>

DXの羅針盤 | DX-Compass by Genesia.

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのインベストメントマネージャー相良俊輔氏によるもの。Twitterアカウントは@snsk_sgr。11月15日から毎週、朝の事業プラン相談「DX Cafe by Genesia.」を開催予定。くわしくはこちらから。

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投資家向け「だけ」のピッチ資料は作らなくていい

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起業家のみなさんはピッチ資料、何のために作っていますか? ピッチ資料やピッチデックという言葉も、スタートアップや投資家界隈を中心にかなり一般的になってきていると思いますが、もし「何のために作るのか?」の回答が「投資家からの資金調達のため」だとしたら、本質を見失っているかもしれません。 もちろん資金調達も一つの目標だと思います。しかし、考えてみてください。そもそも、その事業やサービス、アイデアや計画…

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起業家のみなさんはピッチ資料、何のために作っていますか?

ピッチ資料やピッチデックという言葉も、スタートアップや投資家界隈を中心にかなり一般的になってきていると思いますが、もし「何のために作るのか?」の回答が「投資家からの資金調達のため」だとしたら、本質を見失っているかもしれません。

もちろん資金調達も一つの目標だと思います。しかし、考えてみてください。そもそも、その事業やサービス、アイデアや計画は「投資家のもの」「資金調達のためのもの」ではないはずです。

私たちはベンチャーキャピタル(VC)として、多くの起業家の方にお会いしています。可能なかぎり、打ち合わせの前にピッチ資料を共有してもらい、事業の理解と自分なりの事業戦略を構築した状態で起業家の方にお会いするために、いただいた資料をじっくり読み込んでいます。

ピッチ資料の作成手法についてはウェブ上にもたくさんのナレッジシェアがありますし、どれも参考にした方がよい事例ですので、ここでは言及しません。

一方で、「そもそも何のためにピッチ資料を作成するのか?」については、改めて起業家の方ご自身が自分で考えた方がよいことだと思いますので、ここではそのヒントを3つ共有させてください。

1.自らの思考を整理するため

ピッチ資料の作成時以外に、普段から自社の戦略について、体系的かつ網羅的にまとめる機会をもっている方はどれくらいいるでしょうか。それらをしっかりと言語化し資料に落とし込むことができれば、自らの思考が整理されるだけでなく、戦略の見直しができたり、社内のメンバーへの落とし込みにも活用できたりするはずです。

投資家からの資金調達は、基本的には事業のステージが切り替わる段階で行うものなので、これをうまく活用し、ビジョン・ミッション、中長期戦略、短期戦略などの策定のタイミングとするとよいと思います。また、社内のメンバーがその資料を見ることで会社の方向性や戦略を理解し、自らの戦略を思考できる程度の解像度の資料がベストです。

したがって資金調達のために、というよりは、定期的に全体を振り返るためのものとして扱うことをおすすめします。

2.有意義なディスカッションをするため

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Photo by mentatdgt on Pexels.com

さらに少しだけ視野を広げてみましょう。ピッチ資料は、事業を説明するためのものではなく、投資家に仲間になってもらうためのもの、同じ船に乗って企業価値向上に向けて伴走してもらうための“招待状”です。

とりわけ、投資家の中でもVCというのは本来、ただお金を投資するだけではなく、資本家として当事者として、自らも事業戦略について考えるものです。

逆に「このVC(キャピタリスト)は解像度高く我々の事業を理解し、本当に我々と同じように当事者として事業戦略について考え、伴走してくれるのか」ということを確認する必要もある、ということです。

そのためにも、その時点で自らが持っているもの(市場・業界へのインサイト、事業戦略、経営指標、組織状態など)は惜しみなく伝え、自分たちが気付いていないようなインサイトを与えてくれるのかどうか、確認することをおすすめします。

またこれはユーザ獲得や人材採用でも、自社の仲間を増やす・巻き込むという意味では同じです。営業資料やカルチャーデックへの応用も想定したマスター資料のような位置づけを前提に作成すると効率がよくなります。

3.意志決定を促すため

最後にお伝えしたいのは、ピッチ資料の最終的な成果は「相手の行動」、ということです。こだわって資料を作成しても、自己満足に終わってしまっては意味がありません。

ここでもいったん資金調達を例に挙げてしまいますが、投資家に事業を理解してもらって、意義のあるディスカッションをできたとしても、実際に投資を決めてお金を振り込んでもらえなくては意味がありません。

資金調達を期待しているのであれば、企業の成長度≒事業フェーズの問題も大きな要素になるため、これまで何をやって、何が達成されて、調達した資金で何を発展させていくのか、といった成長の流れを記載する必要があります。

投資家に「そのチャレンジに一緒に取り組みたい」「その成長を一緒に辿りたい」という当事者意識を持ってもらい、決断を促すのです。営業・ユーザ獲得であれば開発のマイルストーン、人材採用であれば創業ストーリーや労働環境などがそれぞれ加えられるとよいでしょう。

いかがだったでしょうか。

(1)と(2)で基本的な内容を押さえ、プラスして「これまで」と「今」、そして「これから」を見せることが、理解・行動に繋がります。決して、投資家に最適化するものがピッチ資料ではないということを意識してみると、企業のマスター資料が完成すると思います。

<参考情報>

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのアソシエイト、一戸将未氏によるもの。Twitterアカウントは@ichinohe_GV。毎週火曜日に25歳以下の起業家を対象として事業の壁打ちを行う「Founders Gate」を開催。初めての起業、若手の起業家の方への具体的なアドバイスも可能。くわしくはこちらから

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出張の「仮払い」は昭和が残した負の遺産ーー今、知っておくべき「BTM(ビジネストラベルマネジメント)」の存在と役割

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出張で何気なくやっている「仮払い」や「実費精算」。エクセルや場合によっては紙の申請書を提出して承認をもらい、レシートを用意して月末までに精算する。提出・処理という経理と現場の不毛な戦いが始まるわけです。 実はこれ、昭和初期から変わっていない商習慣で、例えば日本式の「はんこ」文化に近い風習です。特に出張の多い企業であれば社員に与える負担や時間のロスも大きく、なるべくカットしたい業務のひとつではないで…

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Photo by Element5 Digital on Pexels.com

出張で何気なくやっている「仮払い」や「実費精算」。エクセルや場合によっては紙の申請書を提出して承認をもらい、レシートを用意して月末までに精算する。提出・処理という経理と現場の不毛な戦いが始まるわけです。

実はこれ、昭和初期から変わっていない商習慣で、例えば日本式の「はんこ」文化に近い風習です。特に出張の多い企業であれば社員に与える負担や時間のロスも大きく、なるべくカットしたい業務のひとつではないでしょうか。

この課題を解決するのがトラベルマネージャーという職種の存在です。特に国家間の移動が多い欧米で先行しており、海外では「National Business Travel Association」という、ビジネストラベルマネージャーのコミュニティが存在するほど、役職としては一般的な仕事です。しかし、国内では旅行代理店がこれらを企業から一括して請け負うビジネスモデルが一般的です。

ただ、最近はインターネットの普及に伴い、サービスとしてオンラインで出張の手配・管理をするための「BTM(ビジネストラベルマネジメント)」というカテゴリが成立しており、ビジネスの出張においてBTMを活用する企業が増えています。

ではこのBTM、具体的にはどのような役割なのでしょうか?

私たちは「AIトラベル」という、この分野の非効率に取り組むスタートアップです。考え方としてはいろいろな視点があるのですが、出張に関わる一連の非効率なオペレーションを一元管理し、出発地から目的地までの「移動体験」を価格や経路といった観点で最適化する役割、といったところでしょうか。

なので、BTMの役割は幅広く、立替精算業務をなくすことを目的とするだけはでなく「移動データを見える化し、最適化する」というのが最も合った表現になります。具体的な仕事は主に次の5つです。

  • 問題点の解決
  • 予約や承認の見える化
  • 経費業務の効率化
  • 危機管理対策
  • コンシェルジュ的役割

それぞれ具体的にみてみましょう。

まず問題点の解決です。旅費規定があり、出張でその条件にあった宿泊先の選定や移動ルートの検索などで困ったことはないでしょうか。そういった問題を出張者と管理部門の間に立って不満を解消するのも実はBTMの大きな活用場面となります。

次に予約や承認作業の見える化です。世界的にはTravelPerkやTripActionsといったツールを使うのが一般的になっていますが、数多くの出張者を抱える企業では、この予約や承認状況の見える化は大きな時間効率化のポイントになります。

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移動に関する情報を可視化する(画像:AI Travelのサービス画面より)

そしてタイトルにもあった経費精算の効率化です。単に精算業務を効率化するだけでなく、各自が正しく経費を使ったのか、そこに不正がなかったのか、こういったガバナンスを持たせるのも重要な役割です。また、危機管理の観点も大切です。世界の紛争や事件、国内の天災や突発的な事故など、出張中の社員がどういった事態に巻き込まれるか把握することは管理者として重要な任務になります。いつ・だれが・どこにいるのかを把握できる環境です。

最後はコンシェルジュ的な要素です。出張というのは普段と違う勤務になるので、場合によってストレスがかかる可能性もあります。列車や飛行機において好みの座席等を調整したり、大変な思いをされた方も多いと思いますが、急遽日程変更で発生したキャンセルを処理する対応の代行業務など、出張前や出張時における課題に対して解決できる対応体制が敷かれていることです。

今、世界は間違いなくボーダレスの時代に突入しています。島国の日本であっても海外とのやりとりは避けられません。

私たちは、その「移動」が適正コストだと判断できるものであったり、その「移動」よって得られた売上などの対価や価値を紐付けることが大切だと考えています。移動から見えるミライを見据えたBTMサービスを追求しています。

<参考情報>

本稿は出張手配の手間とコストを削減する次世代クラウド出張手配・管理サービス「AI Travel」を開発・提供するAIトラベル代表取締役、村田佑介氏によるもの。Facebookアカウントはmuratayusuke。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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空き家問題、知ってますか?買取予約「2000億円規模」市場の秘密

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今、全国的に問題になっている「空き家」の増加、ご存知でしょうか。 内閣府が進める次世代社会の方針「Society5.0」でも指摘されている課題で、現在国内には846万戸の空き家が存在しています。このまま放置すると15年後には倍以上の2000万戸にまで拡大する予想です。日本の世帯数は5340万世帯(平成28年)ですから、なかなかの数字であることが理解できると思います。 空き家が増えると何が起こるのか…

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Photo by eberhard grossgasteiger on Pexels.com

今、全国的に問題になっている「空き家」の増加、ご存知でしょうか。

内閣府が進める次世代社会の方針「Society5.0」でも指摘されている課題で、現在国内には846万戸の空き家が存在しています。このまま放置すると15年後には倍以上の2000万戸にまで拡大する予想です。日本の世帯数は5340万世帯(平成28年)ですから、なかなかの数字であることが理解できると思います。

空き家が増えると何が起こるのか。シャッター通り商店街を思い浮かべてください。人通りが少ない街には活気がなく犯罪や更なる人口減少という負のスパイラルが発生します。

ではどうしたらこれが解決できるのか。そのキーになるのが新しい経済の仕組みです。分かりやすい例で言えばインバウンドを見込んだリノベーション市場があります。海外からの観光客は2020年に4000万人という政府目標の通り増加しており、これを見込んだ民泊用のリノベーションが各地で進んでいるのはご承知の通りです。

それ以外にもシェアスペースとしての活用や、リモートワークの拠点など「住居」という概念を超えることで「空き家」問題は様々なビジネスチャンスになる、という目論見があります。そこで政府としてもこういったビジョンを推進すべく、Society5.0の提言の中で、中古住宅の流通市場を2025年までに8兆円規模に押し上げる、という目標を立てているわけです。

当然、このチャンスに気づいている事業者も多数います。実際、私たちは今、中古住宅の買取マッチングサービス「インスペ買取」を運営しているのですが、ここに集まっている500社を超える不動産買取会社さんの買取予算額は2000億円を突破しています。

空き家を買いたい「2000億円規模」の買取予約市場

このビジネスチャンスにいくつかのプレーヤーが出現しています。

一つは大手不動産買取会社さんです。当たり前ですが住みやすい物件は売れるので仲介事業者が扱います。住んでいる人も高く売りたいのでやや時間がかかってもそちらを選択するでしょう。しかし空き家に代表される「売りづらい」物件は多少安くなっても買取会社が扱うのが一般的です。大手の買取会社は豊富な予算でこれらの物件を買い取り、新たな価値を付加した上で再販するわけです。

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次に私たちのような不動産の売買プラットフォーム事業者です。中古住宅の場合、車の車検と同じくその住宅が「住めるものなのか」を検査する仕組みが曖昧でした。しかし2018年の宅建業法改正でインスペクション(建物状況調査)の調査方法基準が設定されたことにより、車と同じような感覚でより効率的に売買できる仕組みが整ったのです。

これで手離れしづらい空き家などの物件を、新たな経済活動を目指して手軽に流通させる仕組みは整いました。

これを加速させる存在が実は中小の不動産買取会社さんの存在です。彼らは大手と異なり、小規模ならではのアイデアに溢れています。一方、豊富な予算があるわけではないので、自身での集客が難しくこれまでは大手の仲介会社さんの売れ残りを買い取るという現実もありました。直接売買できる環境があれば「空き家」を新たな経済に変える可能性はぐんと広がるのです。こういった事業者も多数私たちのプラットフォームに参加してくれています。

フリマアプリの登場で個人経済が活性化したように、流通総額が大きくなればそこにチャンスを見出す人たちが多数生まれます。空き家でも同じようなパラダイムを生み出そう、というわけです。

空き家が流通すれば新しい経済がうまれる

何気なく見ている空き家に隠れたビジネスとその市場の可能性について少し共有させていただきました。人口動態の影響もあって、戸建て住宅は売却期間の長期化が進むことは避けられません。放置しているとまた新たな空き家問題を拡大させてしまいます。

それを解決する方法は新しい経済を生み出すことです。シェアリングエコノミーは捨てられる「ゴミ」の存在を、新たな経済活動の源泉に変えました。住宅も同じです。

住宅の売買はまだまだ途上の市場です。制約も多く、専門的な知識も必要ですが、これについてはまたの機会に共有できれば幸いです。

<参考情報>

本稿は「インスペ買取」を開発・提供するNonBrokers株式会社 代表取締役/CEO、東峯氏によるもの。Facebook/Twitterアカウントは共にminex2222。彼らの事業や採用に興味がある方は、こちらからコンタクトされたい。

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今、日本の教育現場で起こっていることーーAI先生は何を変えたのか

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私たちが日々愛用しているスマートフォンは、150年前は「ベル電話」でした。自動車は「人力車」でした。明治以来の150年間であらゆるものが大きく変わりました。 ところが日本の教育はどうでしょうか? 教室で黒板を背にした一人の先生の話を何十人もの生徒が黙々と聞く光景は、150年前と何ら変わっていません。 教育の大きな役割は、社会で活躍する人材を育成することです。150年前に最先端の職場だった富岡製糸場…

私たちが日々愛用しているスマートフォンは、150年前は「ベル電話」でした。自動車は「人力車」でした。明治以来の150年間であらゆるものが大きく変わりました。

ところが日本の教育はどうでしょうか?

教室で黒板を背にした一人の先生の話を何十人もの生徒が黙々と聞く光景は、150年前と何ら変わっていません。

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明治・大正前期の授業風景(津島市立図書館寄贈)

教育の大きな役割は、社会で活躍する人材を育成することです。150年前に最先端の職場だった富岡製糸場では、マニュアル通りにきちんとミスなく仕事をこなす人が活躍していました。

現在の最先端企業、例えばGoogleでは多様な価値観を持つ人たちと協業しながら新しい価値を生み出すような人が活躍しています。これからの社会で活躍する人材に求められるのは、いわゆる数学力、英語力、国語力といった「基礎学力」に加えて、コミュニケーション力や自己表現力といった「社会でいきる力」の両方が必要です。

しかし、「基礎学力」の習得にほとんどの時間を費やしているのが今の日本の教育の現状です。

15歳時の学力を測る国際学力調査(PISA)では、日本は常に上位に位置しており、「日本は教育先進国だ」と言われがちですが、本当でしょうか?

今、海外の教育は大きく変わりつつあります。たとえば、国際学力調査で下位に位置するブラジル。私が訪れたサンパウロ市郊外の普通の公立学校では、当たり前のようにテクノロジーを活用して基礎学力を効率的に習得したり、一方通行の座学ではないグループディスカッションを行いながら「社会でいきる力」を育んだりしていました。

国際学力調査の結果はさておき、これからの社会で必要な力を習得する教育という意味では、実は日本は教育後進国になっているのかもしれません。

AI先生が起こした教育の変化

そんな日本の教育現場が中高生の通う塾を中心に今、大きく変わりつつあります。

私たちは今、atama plusというスタートアップで人工知能をベースにしたAI先生「atama+(アタマプラス)」を開発、提供しています。今年9月、駿台予備学校は2020年の春より全国の各校舎にatama+を導入することを発表しました。そして今日、Z会グループの栄光もまた来年春より133教室でatama+を導入することを公表しました。現在、多くの塾が導入拡大の準備を進めており、来春には導入教室数は1000を超える見込みです。

ではAI先生は教育の何を、どう変えてくれるのでしょうか。

これは、実際にAI先生を導入している東京・本郷にあるZ会の学習塾「Z会東大個別指導教室プレアデス」での授業の様子です。

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Z会東大個別指導教室プレアデスの授業風景

写真に映る先生、実は解き方を教えているわけではありません。授業を行っているのはタブレットの中にいるAI先生です。

さらに彼らは一律の授業を受けているわけではなく、全員が異なる、自分専用のオーダーメイドの学習を進めています。この「膨大なデータから学習をパーソナライズする」というのはAIの得意な領域です。AI先生が生徒の得意、苦手、伸び、つまずき、集中状態、忘却度などの膨大なデータを分析しながら一人ひとりに最適化した教材を作成しているのです。

もう少し詳しく仕組みを説明します。

例えば、従来の「2次方程式」の授業。全員が一律に2次方程式の講義を受け、その後、その演習問題を解き続けます。既に2次方程式は習得済みでもっと前に進みたい生徒もいるでしょう。逆に、実は2次方程式どころか「1次方程式」につまずいていて、2次方程式の講義を受けてもちんぷんかんぷんという生徒も、または「平方根」の概念が理解できていなくて2次方程式の講義を受けてもすんなりと理解できないという生徒もいるでしょう。

従来の授業では、習得せずとも履修していれば授業は前に進んでいくので、過去にどこかつまずいた単元があると、その単元の理解を前提とした授業になった時に必ず行き詰まります。

AI先生は、様々な学習データを分析しながら、効率的に基礎学力を習得できるような一人ひとりにあった学習カリキュラムを作成しています。同じ教室内で「2次方程式」を学習している生徒もいれば、「1次方程式」を学習している生徒も「平方根」を学習している生徒もいます。基本概念を習うための動画講義をレコメンドされる生徒も、練習問題をレコメンドされて必要な分だけの演習を行う生徒もいます。

そして生徒の学習が進捗する度に、カリキュラムはアップデートされ続けていきます。生徒一人ひとりの横に、“すごい先生”がついてずっとマンツーマン指導を行っているイメージです。

効果もしっかりと出ていて、大手塾「能開個別ホロン」では、高3生らが受験直前にatama+で2週間学習したところ、センター試験本番の点が、atama+での学習前の模試の得点と比較して平均1.5倍まで上がったことから、今年の春から全43教室でAI先生を中心にした塾に切り替え、ブランドも「能開個別AIホロン」に変更されました。

人間の先生が担うべき、本当の役割

では、この生徒の側にいる大人たちは何をしているのでしょうか。実はこの方々も立派な先生の役割を担っています。

ここで「人間の先生」の役割は大きく変わっています。従来のように知識の伝達を行っているのではなく、生徒一人ひとりの目標に寄り添って伴走したり、モチベーションが上がるように褒めたり励ましたり、学習姿勢を見ながら勉強の仕方を助言したりする「コーチング」を行っているのです。AIがティーチングし、人がコーチングする。「AI x 人」の融合による新しい学習のかたちです。

この塾でatama+を使って勉強する中学3年生の生徒にインタビューすると「勉強時間が大幅に短縮できるので、部活を頑張ったり好きな本を読んだりと別のことに時間を使えるようになった」と語っていました。

また、高校2年生の生徒は大学生の先生と、将来のキャリアについてのディスカッションをしていました。高校生の生徒が自分の興味ある職業についての質問をすると、就職活動を終えたばかりの大学生の先生が就職活動を通して調べた色々な業界の説明をし、一緒になって将来やりたいことについて議論しているのです。社会に出てからの仕事について話し合っている彼らの目はキラキラと輝いておりとても楽しそうでした。

人は人にしか教えられないことがあります。AI先生との役割分担で「人間の先生」が人にしかできない役割に集中できるようになったのです。

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能開個別AIホロンの授業風景

日本の教育が今、大きく変わります。

1907年、T型フォードが誕生しました。そこから10年で馬車が自動車になりました。

その100年後の2007年、iPhoneが誕生しました。そこから3年で携帯電話がスマートフォンになりました。

iPhone登場時には「メールはキーボードがないと打ちづらいのでスマートフォンは普及しないだろう」なんて言われていましたが、3年で世界が変わりました。変化のスピードが早くなっています。

そしてその10年後の2017年、atama+が誕生しました。日本では長らく「勉強は紙と鉛筆でするものなので教育ではテクノロジーは使えない」と言われていましたが、2020年春から日本の教育現場が大きく変わります。

教育を新しくすることは、社会のまんなかを新しくすることです。atama+というプロダクトで学びのあり方を進化させることで、自分の人生を生きる人を増やし、これからの社会をつくっていきます。

<参考情報>

本稿はAI先生「atama+」を開発・提供するatama plus代表取締役、稲田大輔氏によるもの。Facebookアカウントはdaisuke.inada.10。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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なぜ人はスニーカーに熱狂するのかーートレードする若者、スーツを着なくなった40代

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ここ数年のシェア経済で認められる一つのトレンドに「スニーカーのC2C」というテーマがあります。今年の春先に企業価値を10億ドルと評価された(とされる)米StockXがその急先鋒ですが、創業者が1年前に語った記事によれば、毎日200万ドルの売上(グロス・セールス)が発生しており、従業員は700名に拡大しているそうです。 2015年の創業なのでトラクションが強烈なことがよくわかります。彼らのモデルは「…

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モノカブを通じて売買されるスニーカーたち

ここ数年のシェア経済で認められる一つのトレンドに「スニーカーのC2C」というテーマがあります。今年の春先に企業価値を10億ドルと評価された(とされる)米StockXがその急先鋒ですが、創業者が1年前に語った記事によれば、毎日200万ドルの売上(グロス・セールス)が発生しており、従業員は700名に拡大しているそうです。

2015年の創業なのでトラクションが強烈なことがよくわかります。彼らのモデルは「リアルタイムプライシング」による個人間売買で、売却成約時に販売者から8〜9.5%、購入者から約2%の手数料モデルとなっています。

私は今、Bhrino(ブライノ)というスタートアップでスニーカーの個人間売買「モノカブ」を手掛けています。現在、創業から約1年半ほどですが反響は大きく、流通総額は毎月50%を積み上げるなど、改めて日本でもスニーカー人気が証明されつつあると実感しています。

なぜ人はスニーカーに心を奪われ、取引するのか。

サービスを運営する中で一つ、興味深い数字に出会いました。それが利用ユーザーの4分の1を占める「40代」ユーザーの存在です。若い10代、20代の世代はもちろん、この大人世代が加わることで、この市場にある動きが生まれているからです。

メルカリでビジネスを覚えた若者たち

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発送するモノカブのスタッフもまたユーザーだったりする

メルカリの誕生で10代,20代の人はものを売るといったことが当たり前になってきました。スニーカーというのは不思議なもので相場という概念があり、その時々により値段が変動しています。「この商品は将来的に上がると考え、資産運用のように長期で保有する」といった議論がスニーカー好きの若者たちの中で当たり前のようにされているのです。

その考え方はまさに株式投資に近いもので、今の10代から20代はメルカリでビジネスを覚え、今度はモノカブである種の金融に自然と取り組んでいるのではないかなと感じています。

ハマってる40代

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数万円から10万超のスニーカーを大人買いする40代

一方、こういったマーケットが成立するには、力強い買い手の存在も必要です。特に10万円以上するスニーカーをポンと買える購買力があるのは一定層の大人たちがやはり中心です。日本にスニーカーブームが始まったのは1990年からと言われています。ReebokのPump FuryやAir Jordan 1,Air Max 95など、日本では空前のスニーカーブームとなり、1足40万円などで取引されるスニーカーが出てきて「エアマックス狩り」という言葉が生まれるほどの社会現象を巻き起こしました。

このど真ん中世代がまさに今の40代なのです。

憧れのスニーカーは当時の学生だった彼らには高価すぎて購入することはなかなかできません。その世代の方々が現在社会人となって、ある程度の金額を支払えるようになった。そこで再度、スニーカーにハマりだした、という現象が起こっているのです。

着なくなったスーツ、スニーカーに流れるお金

もう一つ、スーツを着なくなったことも要因として考えられます。まだまだスーツ中心の社会ではありますが、スタートアップを中心にスーツを着ない働き方のスタイルが広がっています。

意思決定を減らすために毎日同じような会社のTシャツにパンツ・アップルウォッチを着ける。そうなると男性の身だしなみではスニーカーぐらいにしかお金をかけるところがなくなってくるのです。高級革靴として考えればスニーカーのプレ値もそこまで高くはないため、どんどん購買されていくのではないかと思います。

スニーカーを単なるファッションやスポーツアイテムとして捉えれば、成立するのはせいぜい中古品の売買程度かもしれません。しかし、ここに挙げたような世代のお金に対する考え方の変化、ライフスタイル、若かった頃の歴史、こういった背景が加わることで、全く異なる市場が生まれ、そして成立しているのです。

もちろんここに挙げた要因はほんの一角だと思います。これから拡大するこの魅力的な市場を引き続き事業者としてウォッチしていきたいと思います。

<参考情報>

本稿はスニーカーC2C「モノカブ」を運営するBrhino代表取締役、濱田航平氏によるもの。Twitterアカウントは@koheyhamada。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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「1番楽しんで、1番楽しませる会社を創る」ーーU25「起業・新基準」/テイコウペンギン・Plott代表、奥野さん

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに続いて、今回はPlott(プロット)代表取締役、奥野翔太さ…

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに続いて、今回はPlott(プロット)代表取締役、奥野翔太さんに登場いただきます。同社はYouTubeアニメチャンネルで「テイコウペンギン」などのコンテンツ制作を手掛けるスタートアップです。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

奥野翔太さん:1995年生まれ。筑波大学在籍中からネット関連の事業ディレクションやメディア運営などに携わり、その後、ARコンテンツ制作のGraffityにて勤務。2017年にPlottの前身となる会社を起業。YouTubeアニメ「テイコウペンギン」は2019年1月の公開から約半年でチャンネル登録者数35万人を記録。

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このインタビュー連載にはバーチャルYouTuber(VTuber)「ミライアカリ」所属のZIZAI代表取締役、塚本大地さん、「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんに登場いただいてますが、今度はアニメですね。

奥野:もうですね、YouTubeチャンネルを一緒に作ってくれるディレクター人材やクリエイター人材を絶賛募集中なので、Wantedlyからビシバシ連絡ください!Twitter DMもガンガン待ってます!(笑。

勢いありますね。このテーマ(笑。ただ、奥野さんの場合アニメですよね。最初からここ狙ってたんですか?

奥野:元々コンテンツはずっと作ってました。その前はVTuber事業をやってたんですが、僕らは簡単にいうとVTuber市場でボロ負けしました。同世代の田角さんがめちゃくちゃ数字伸ばしているのを見て心底悔しかったし、TXS(Tokyo XR Startups)のデモデーでも他の同期の会社と比べて圧倒的に結果を出せてなかった。負けない事業を作りたいと思ったんですよね。

TXSにはActiv8も参加してる

奥野:はい。当時はキズナアイのチャンネル登録がデイリーで4000人増加してる一方、自分たちは100人増えたら良い方。ただその時、さらに伸ばしていたのがフェルミ研究所だったんです。誰も注目していなかったのに、一番ブームだったときのミライアカリやキズナアイと同じくらい伸ばしていた。それに加えて僕たちは、最終的にマスに届くようなキャラクターを作りたいと思っていたので、今のテイコウペンギンの事業に落ち着いた感じです。

それでもアニメも乱立市場ですよね。テイコウペンギンが一気に今のポジションを獲れたのはなぜ

奥野:コンテンツに対するこだわりは他社とはかなり違っていると思っています。僕自身、3年間くらいずっとコンテンツを作っては壊し、ということをやってきているので圧倒的にナレッジが溜まってるんです。またVTuber事業で強いプロデューサーの人たちと話す機会がとても多かったこと、またエグゼキューションの部分で他社の「YouTubeハック」はまだまだ弱いのではないかということが挙げられるかもしれません。

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その中でも、奥野さんが大切にしてるエグゼキューションのポイントってどこにあります

奥野:「需給の歪みを掴む」「1つだけ外す」ということです。新しすぎること、古すぎることはビジネスとして成立しないと思っています。顕在化している需給の歪み、みたいなものですね。今やってる事業もYouTubeを毎日見ていて気づいた歪みにコンテンツを当てたものです。だから需給の歪みを掴むために市場のインサイダーになれるくらい研究することが大事かなと。

ただ、需給の歪みが生じていたとしても他と同じものをリリースしたら突き抜けることはできません。そこで差分を作るわけですが、それも違いすぎることはNGで「1つだけ」差分を作るくらいが市場に受け入られやすいのかなと思っています。

少し話を変えて。奥野さんの究極のゴールや結果ってどこなんですか

奥野:会社というプロダクトを作りきりたい、という思いがあります。Plott自体も数年でどうこうという話ではなく、数十年、世紀といった視点で続く会社作りや組織づくりをしています。そのためには長く続くIPを作らないといけませんし、その第一目標としてまずはYouTubeで市場を取り切り、その後はここ以外でも展開可能なIPを生み出していきたい。最終的にはエンタメ企業として、この世代で日本を牽引できる存在になりたいですね。

下支えするモチベーションみたいなの、奥野さんを駆り立てるものってなんなんでしょう

奥野:元々は「一番面白いことしたい!」という思いですね。よく文化祭で漫才したりするような人っているじゃないですか。自分はそういう感じの人間で。学生時代に大学近くの会社で働く中でビジネスや経営者というものに触れて「世の中に対してハッピーを届けて、社員にもハッピーを届ける」って最高じゃん!と思って起業に至っています。

さらに同世代の存在というのも刺激ですよね

奥野:僕の高校の同期が大学に行かずにそのまま芸人になったんですけど、当時それに誘われていて断ったんですよ。

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え、奥野さん芸人に誘われてたんですか

奥野:はい(笑。彼が個人としてのエンターテイナーとして突き抜けるなら、僕はそれよりももっと組織を作って、その組織でしかできない規模のエンターテイメントを創り出してNo.1になりたいというモチベーションがその時生まれたと思います。

あと突き抜けたい存在になりたいというのが根底にあります。僕が大学一年生の時に南野くんがA代表でワールドカップに出ていたのですが、僕彼と同い年なんですよね。僕は大学の寮で試合を見てるのに、彼らは日本の代表としてめちゃくちゃ頑張っていて、それが悔しかった。後は、根拠のない自信ですね(笑。それを証明してやるぞ、と。

エンタメ系のコンテンツが多いのはそこが原点なんですね

奥野:今までチャレンジした事業もゲームやドラマや動画メディアやライバーマネジメント、VTuberなどエンタメ系の事業だけです。事業をやっていく中で元々持っていた思いがさらに鋭くなっていって、今は「1番楽しんで、1番楽しませる会社を創る」という思いで会社をやっています。

学生起業ということで、当時からいろいろ事業に興味あったっていうことなんですが、どんな学生時代だったんですか

奥野:エンジニアか文系か迷っていました。学科の9割くらいが大学院に行くような情報系の学科だったので、周りはエンジニアが多かったです。ただ、自分はもっと全体を見たくって。そのためにビジネスをかじりたいと思い、短期の海外インターンシップに参加したのが始まりですね。

お店の事業課題を解決するというインターンだったんですけど、その時に、ビジネスって人に良いことをしてお金をもらって、自分たちもハッピーになるという素晴らしい仕組みだと気づいて。

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なるほど、それで路線が決まった

奥野:帰国後にすぐ筑波にあるベンチャーでインターンを始めました。当時は大学の授業にも行きながら、週6通ってほとんどフルコミで働いてました。事業としては、筑波大生向けの就職あっせんや仲介、バイトの仲介、アパートの仲介などです。チラシを作ったりディレクションしたり、採用、営業などなんでもやってましたね。経営陣直下で働くことで偉大な経営者になることが人生目標にセットされました。

起業したくなった

奥野:ビジネスに興味を持つ大学2年の頃は大学のサークルを自分で立ち上げて150人くらいの組織にした一方、サークルなのでやっぱり組織として完成しきれなくて悔しい思いをしました。そこをビジネスの領域でやりたいと思ったのもきっかけとしてはあります。

そこからテイコウペンギンまでしばらく時間ありますけど何をされていたんですか

奥野:大学4年で休学し、最初はARゲーム事業を始めたんです。ただ、この開発って数億円くらいかかるんですよね。それに気付いて撤退しました。それで動画メディアにピボットし、コント動画やエンタメ領域の分散型動画メディアを始めました。この時にPlottの前身の法人を設立してます。

ただ動画メディア自体もそこまで伸びず、その後は関わったライバーさんをマネジメントする事務所的なことをしていたり、インフルエンサー向けメディアを作ってみたり。

その頃ですね、Vtuber領域に興味を持つようになったのは。腐女子向けのVtuber検討したのですが、一方でもうちょっとスタートアップ村に入らなければいけないし、最先端のエンタメコンテンツに触れたいということもあり、そこでGraffityにジョインしました。

で、Graffityを卒業して独立

奥野:TXSに参加したのがその頃です。そこでの参加者や國光さんらとディスカッションする上で、自分たちしかできないVTuber領域があるんじゃないかと。元々ゲーム作っていたのでUnityも使えるし、動画メディアもやっていたのでスキルセット的にもぴったりじゃん。感情的にも、エンタメ領域で大きい会社を作りたいと思っていたので、そこもフィットしていました。

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奥野さんのメンターってどなたなんですか

奥野:メンターでいうと圧倒的に國光(宏尚)さんです。ソシャゲ・動画メディア・SEOメディアなどのコンテンツ領域の知見だけでなく、コンテンツから見る世の潮流のようなマクロな知見も相当に勉強させてもらっています。それ以外にもGraffityのトシ(森本俊亨)さんや、17kgの秋山(洋晃)さんにも相談してます。トシさんには起業家の先輩として起業家マインドを定期的に叩き直してもらっていて、秋山さんには経営者として組織面をご相談することが多いですね。

奥野さん組織づくりすごいこだわりありそうですよね。すごくワードが出てくる

奥野:誰かの課題を解決したいという外的要因で起業しているというよりは、面白いことをしたいっていうモチベーションと、めちゃくちゃ良い組織を作りたいというモチベーションが二大要因なんです。

今って何人ぐらいで事業運営されてるんですか

奥野:現状組織は全体で20人ほどです。20代の若いクリエイターがほとんどの会社で、オープンな組織、IQよりEQ、多様なクリエイティブを重視するなど、かなり組織における雰囲気やコミュニケーションを意識してます。元々、ユーザーを楽しませるのはもちろんですがそれ以上に働いている人たちが楽しんでいる会社にしたいと思っていました。

最後に。スタートアップの周りの環境はいかがですか

奥野:エンジェルや先輩・同世代起業家がたくさんいて非常に起業には優しい環境です。とはいえこのスタートアップ村に入っていないとリファレンスが取れなくて、まともな投資家やエンジェルからのサポートがもらえなかったりすることがあるのも事実です。自分は起業を志してから上京した地方勢なんですが、地方から上京してスタートアップする人たちも多いので、その辺りは何かあるといいかなと思ったりしますね。

今後の活躍期待しています。ありがとうございました。

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