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バーチャルヒューマンたちはどのようにして生まれる

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載 ニュージーランド拠点の「Soul Machines」が今年公表したバーチャルヒューマンは、CESで披露されたサムスン傘下のスタートアップ「NEON」と並ぶ、近未来的なアシスタントとして話題になりました。 同社はAI、脳計算モデル、経験学習を組み合わせて自動アニメーションプラットフォームを開発。…

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Image Credit : The Soul Machines

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載

ニュージーランド拠点の「Soul Machines」が今年公表したバーチャルヒューマンは、CESで披露されたサムスン傘下のスタートアップ「NEON」と並ぶ、近未来的なアシスタントとして話題になりました。

同社はAI、脳計算モデル、経験学習を組み合わせて自動アニメーションプラットフォームを開発。ユーザーと面と向かって話すことができるほどの個性と性格を持つ、まるで生きているかのように感情を表わすことのできる「デジタルヒーロー」、つまりバーチャルヒューマンを作り出します。

<参考記事>

表面的な「人間らしさ」はいざ知らず、肝心の中身はどのようにして成立するのでしょうか?そのひとつの鍵となるのがAIアシスタントの存在です。

英国オックスフォード大学の社会・コンピュータ科学部門であるオックスフォード・インターネット研究所(OII)は、Googleと提携して、AIに関するまとめサイト「The A-Z of AI」を公開しました。A-Zの26個の項目が並んでいます。

選ばれた26のトピックから本記事ではARグラスが普及した時代「Spatial Computing(空間コンピューティング)時代」に向けて応用できる項目を4つほど選び、バーチャルアシスタントの具体像に迫ってみたいと思います。

Fakes

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Photo by Carolina Castilla Arias on Pexels.com

ディープフェイクは現実世界の画像や音声を研究、詳細にマッピングおよび操作をして、不気味なほど忠実なフィクション作品を作成することで機能します。

ほんの数年前には不可能と考えられていたこれらの技術は、ハリウッド映画のCGIから音楽制作、ポルノに至るまで、幅広い分野で応用されています。多くは娯楽や想像力をかきたてることを目的としていますが、不適切な使い方をすれば、社会に有害な誤報を生み出す可能性もあります。

Fakes文脈で注目しておきたい事例は2つです:「Ryff」と「Pokemon Go」。

たとえばGoogleが提供する3D検索では、動物のリアルなオブジェクトをその場に表示できます。ただ、未だ一瞬で3Dであると見破れる完成度に留まっています。

DeepFake技術が進めば、カメラが現実世界の環境条件を認識し、リアルタイムでとても高精度の3Dオブジェクトがレンダリングされる世界が実現するでしょう。すでにLA拠点の「Ryff」は映像市場で超高精度のAI画像およびパターン認識を活用したユースケースを提供しています。

次世代フェイクの概念も知っておくべきでしょう。Pokemon Goは仮想世界に住むポケモンとのやり取りをスマホのカメラ越しに実現させました。そしてイベントがあれば街の至る所でユーザーたちが画面を見つめながら必死にモンスターボールを投げている光景を見かけます。

しかし、現実世界に住む私たちから見れば、何をしているのかわからない“小さいコミュニティ”にしか見えません。こうした仮想・虚構の存在に導かれて発生する「フェイクコミュニティ」を今後頻繁に見かけることになるでしょう。昨年、筆者も参加したAppleが主催のARを楽しむウォーキングイベント「[AR]T Walk」でも、複数の参加者が、街行くに人にはわからない3Dオブジェクトを眺めるという楽しい体験がありました。このように、同時多人数でARを楽しむコラボレーション体験が増えるほど「フェイクコミュニティ」の発生数も増してきます。

Image Recognition

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Photo by Torsten Dettlaff on Pexels.com

コンピュータビジョンとして知られている画像認識システムは、提供された参照画像を調べるだけで、個人から有名なランドマーク、ペットまで何でも認識できるようになります。このシステムは、スマートフォンの写真を整理するなどの日常的な作業を楽にします。例えば、旅行に行った後に休暇の写真の新しいアルバムを自動的に提案します。

それぞれの画像は指紋のようなものです。AIシステムは、色や形などの識別機能を見つけ出し、何千もの画像と相互参照して正確に認識し、ラベルを付けるように訓練されています。また、ランドマークやグループ旅行の写真を認識できるのと同じ技術は、外国語の警告標識を翻訳したり、オンライン上の露骨なコンテンツから子供たちを保護したりするのに役立ったりと、他の場所でもより深く活用されています。

Spatial Computing時代は、ARグラスが広く普及した世界を前提に話が進みます。この時代では一人称視点の高性能カメラを手軽な価格で手にすることができます。そこでは、かつてGoogle Glassが登場した際に人気を集めた視覚障害者向けの音声サービス「Envision」のようなスタートアップが再興するはずです。

画像認識技術が進んでいることや、昨今のGoogle Map ARナビゲーション機能実装のことを考えると、Envisionと比較して、かなりの付加価値を持った市場展開がなされると考えています。

さらに、Google Glassは2Bを中心に市場戦略が進んでいるため、Envisionが手をつけられていないユーザーは多くいると思います。そこで、今のうちから中国の安価ARグラス「Nreal」などを提供しながら、自社音声サポートサービスなどを展開すれば大きな成長が望めるのではないでしょうか。

Speech Recognition

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Photo by Tyler Lastovich on Pexels.com

音声認識システムは、ディクテーションソフトウェアから言語翻訳ツール、音声起動型スマートスピーカーまで、あらゆるもののバックボーンを形成しています。機械は音声を認識することはできても、人間と同じように理解できるわけではありません。人間は、文脈がなくても、文章がごちゃごちゃしていても、言葉を理解することができます。しかし、機械はそれが難しいのです。

“自然言語処理 “は、人間の複雑な話し方をよりよく理解するために、AIが文法的なルールを引き出し、生きた音声を分析することを可能にする、最近の音声認識の進歩である。これにより、AIシステムは、トーンやユーモアなどの何かが文章の意味をどのように変えてしまうのかを把握することができるようになります。

これらの技術は、私たちが何を言うかだけでなく、何を意味するかを理解するために着実に進化しています。AIの設計チームは、システムにより多くのニュアンスを組み込む方法を継続的に模索しているため、人々はこれまで以上にAIとシームレスで自然なやりとりをすることができるようになっています」とのこと。

筆者は直近まで音声サービスのアイデアを模索していたこともあり、今後タイピング入力から音声入力、ジェスチャー入力といったUIへと大きく転換する予感がしています。ARグラスを用いた体験では、スマホのスクリーン上で行うような高速タイピングは想定されていません。その上で、入力コストを圧倒的に下げて、ユーザーが検索したいことを即座に反映させる入力は音声が現実的でしょう。たしかに公共の場で声を発しづらいなどの解決すべき根本課題が存在しますが、何かしらの解決策が登場するのではないかと思います。

音声UIがARグラスと共に台頭することを考えれば、現在のFace IDやTouch IDに並び、「Voice ID」の重要性が高まると考えます。

すでにAmazon Echoは空間内で特定の人物を認識できますが、より音声認識技術が発展すれば、各ユーザー特有の発生をIDとして活用できるようになるかもしれません。冒頭で説明したFakesに絡み、フェイク音声技術はすでに確立しつつあり、いずれバッティングするかもしれませんが、こうしたセキュリティ上の市場課題を乗り越えれば、非常に大きなニーズを獲得するでしょう。この分野では大型スタートアップが登場しそうです。

Virtual Assistants

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Photo by ThisIsEngineering on Pexels.com

Virtual Assistantsは、基本的には人間のアシスタントをデジタル化したものです。最もよく知られている例は、スマートフォンやスマートスピーカーを介して話す音声アシスタントです。

これらのアシスタントは日常的に、オンラインで情報を検索したり、音楽を再生したり、基本的な質問に答えたりするのに役立っています。人々の生活や家庭がより接続されるようになるにつれ、バーチャル・アシスタントは、新しいタスクをより簡単に実行するのに役立つようになります。

話しかけられたコマンドに反応することで、これらのアシスタントを簡単かつ効率的に使用できるだけでなく、読み書きの問題や障害、その他の理由でキーボードに困難を感じる人にもメリットがあります。AI機会学習を利用して、バーチャルアシスタントが質問の文脈を理解し、人間の声を解釈するために使用する自然言語システムは、人とそのデバイスの間に、より自然な会話を生み出しています。

説明文にもあったように、現在のVirtual Assistantsの好例はSiriやGoogle Assistantに代表される音声アシスタントでしょう。ただ、今後はここまで紹介してきた「Fakes」「Image Recognition」「Speech Recognition」の集大成のような新たなアシスタントが登場します。

それが冒頭で紹介したようなバーチャルヒューマンたちです。

たとえば、GucciやLouis Vuittonのような高級ブランドの背景や世界観を汲み取った音声と容姿をした本物そっくりのバーチャルヒューマンが開発されれば、話す内容や口調はそれぞれのブランドに最適化されたものになるはずです。

ARグラスを通じ、こうした仮想世界のブランドキャラクターとやり取りすることもSpatial時代の特徴です。高いAI画像認識・音声認識を元に、高精度のフェイクヒューマンとコミュニケーションを取る時代がSpatial Computing時代とも言えます。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家 隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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「スポーツ選手が持続可能な生き方を選べる社会に」ーーU25「起業・新基準」/スポーツテック企業「TENTIAL」代表、中西さん

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場の「b-monster」代表取締役社長の塚田眞琴さんに続いては、インソールD2Cが好評のTENTIAL代表取締役、中西裕太郎さんに登場いただきます。 今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編…

TENTIAL代表取締役の中西裕太郎さん

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場の「b-monster」代表取締役社長の塚田眞琴さんに続いては、インソールD2Cが好評のTENTIAL代表取締役、中西裕太郎さんに登場いただきます。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

中西裕太郎さん:1994年生まれ。高校時代はサッカーでインターハイに出場。心疾患のためにプロを断念し、プログラミング学習サービス「WEBCAMP」を手掛けるインフラトップの創業メンバーとして参加。その後、リクルートキャリアを経て2018年2月にTENTIAL(旧社名:Aspole)を創業。代表取締役に就任。

シューズインソールの生産・直販(D2C)モデルはなかなかニッチなテーマですが、どのような経緯でここから手掛けることになったんですか

中西:最初はアスリートの人材サービスをやろうとしていたんです。けど、リクルート在籍時にこのあたりの事業の解像度が高くなり、これはマーケットもないし結構難しいぞと。かといって、スポーツはずらしたくないと思っていたので、スポーツの中で大きいナイキやアディダスをベンチマークにした事業を考えるようになったんです。

ウェルネスアイテムの方に動いたんですね

中西:ただ、いきなり物を作るのは難しいと思ったのでメディアコマースをやろうと思い、スポーツメディアから始めました。それで当時、ヘルスケアの中でも腰痛とか肩こり、足の悩みに関するクエリがとても伸びていたんですね。

なるほどそれでインソールに

中西:いえ、本当は靴づくりをしようとしていたのですが、シューズってロット数も大きく、サイズの変数も多いので作りにくいんです。それでインソールから始めました。

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販売中のインソール・ウェブサイトから

メディアからD2Cへと展開、オペレーションは結構異なると思うのですが、例えば協業先のBMZ社などとはどうやってつながっていったんですか

中西:ビザスクを使ってひたすらにアポを取っていました(笑。

ビザスクのサイトにも取り上げられてましたね(笑。

中西:商社とかでものを作っていた人たちや、工場のネットワークを持っている人たちに会いに行くことしか頭になかったですね。

元々はサッカー選手だったんですよね

中西:インターハイ出場までいきました。ただ、17歳で心臓疾患を患って断念したんです。遺書まで書きました。サッカーで評価されてきた自分が何者でもなくなる経験が原点ですね。

その後、プログラミングを学ばれた

中西:サッカー以外に熱量を向けられる先を探していたところ、YouTubeで当時のオバマ大統領が国民に対してプログラミングをした方がいいと言っている動画を見つけたんです。これから米国の未来を背負っていく若者には、ゲームをやるのではなく作る側に回って欲しいと。この動画がプログラミングにのめり込むきっかけでした。

そこからインフラトップ(プログラミング学習の「DMM WEB CAMP」運営企業)に入社されるんですよね

中西:19歳の時です。大島(礼頌氏)さんが創業するというので参加しました。ビジョンに共感したのが大きいですね。プログラミングによって人生を変えることができるし、それを世の中に還元することができるのって素晴らしいじゃないですか。

サッカー選手から一転、ネット関連企業の社員。最初はどのようなことをされていたんですか

中西:当時はまだWEB CAMPがなかった時代で、大島さんが人集めやファイナンス周りに注力して、僕がカリキュラムを任せられていました。自分がそこまでコーディングができたわけではなかったので、調べたり、ヒアリングしたり、リクルーティングしたり。営業もするし、コースも増やすし、ということを2年程度ずっとやってましたね。

そしてそこからのリクルートへと転職をされるわけですが、これはどういう経緯があったのですか

中西:やはりスポーツ領域の事業で起業したかった、というのが大きいです。先程もお話したように、元々は人材事業を考えていました。なのでリクルートだったんです。

ただ、人材の起業は難しいよという意見が多く、またインフラトップに初期から入っていたとはいえ自分が代表ではなかったですし、また、当時は学生も多かったのでこれは流石に一旦修行した方がいいな、と。大きい会社で事業開発を学んだ方が絶対いいと思って選んだのがリクルートでした。

ただ、リクルートの中途入社ってそんなに簡単じゃないですよね

中西:そうですね(笑。大学新卒でも厳しいのに、当時21歳で学歴自体は高卒ですから。でも中途の事業開発部が一番成長できると思っていたので、役員に片っ端からメッセしたんです。

メッセ(笑

中西:そしたら一人返信を下さった方がいて。当時リクルートはリクナビで取りきれない層向けのサービスを作ろうとしていた時期で、若手でベンチャーにずっといたのを評価してもらえた感じでした。ただ、最初の3カ月とかは本当に仕事についていくのが精一杯で結構辛かったです(笑。

具体的にどういうお仕事をされていたんですか

中西:事業企画でメディアプロデューサーという役職でした。キャリグルというサービスの立ち上げとグロースを担当していました。

リクルート出身の起業家の方って多いですよね

中西:リクルートでは起案というプロセスがあって、役員に企画をプレゼンして通さないといけないのですが、こういう経験で仕事の基礎は徹底的に鍛えられたと思います。本当に当時の私は働き詰めで、同期や周りの人たちとの差も感じなくなりましたし、どんどん信頼も獲得できたのは本当によかったですね。ただ、やっぱり自分の思ったことができるようになったタイミングで事業やりたいと思うようになって。

独立してから現在のD2Cモデルに至るまでしばらく時間があり、コストもある程度かかるとは思うのですが、創業の資金などはどのように調達したんですか

中西:デット(※借入)ですね。創業してすぐには調達はせず、リクルートが仕事をくれたのもあったので、その売上をもとに政策金融公庫から借入しました。

すごく堅実ですね。すぐに貸してくれたんですか

中西:当時23歳だし、リクルートに入ったけど1年しかいなかったので、公庫の担当者からは頑張っても500万円しか無理って言われてました。けど、その仕事のおかげで1500万円を引っ張ってくることができたので、初期はそれで事業を回しました。

さらにいい話ですね。そこからいわゆるエクイティを調達するという流れに。どういうふうに調達されたのですか

中西:インキュベイトキャンプに参加したことです。その後、元々の知り合いだった白川さん(※)とインキュベイトファンドから8月に調達をしました。

※アプリコット・ベンチャーズの代表取締役、白川智樹氏

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元プロサッカー選手の播戸竜二さんが昨年10月に同社CSOに就任(プレスリリースより)

さらにアカツキからも出資を受けてます

中西:私たちの強みはやはりアスリートのネットワークです。ここに興味がある事業会社にアプローチしていく中で、アカツキさんと繋がりました。

スポーツ経験者や元アスリートの方などをかなり積極的に採用している印象があります

中西:そうですね。スポーツではある程度結果を残したのに、何かしらの挫折を経験してエネルギーが有り余っている若手で勝ちたいっていうのが実体験からあります。自分の中でこういった、若くてギラギラしてる人たちでチームを作って、IPOまで行きたいなと。

あと、スポーツで上まで行った人もビジネスの世界とは無縁なのではなく、ちゃんと資本主義の中でも勝てるっていうストーリーを作りたいという思いもあります。

自分が病気になってプログラミングを始めて、本当に辛かった経験もめげずに頑張ったら、ちゃんと活躍できる。結果を残せるって伝えたいし、逆に途中で腐ってしまう人たちはもったいないという感覚がとても強いです。

ただ、異なる業界の人たちを「スタートアップ」という枠の中で組織するのは難しい点もあるんじゃないでしょうか

中西:AspoleからTENTIALに社名を変更したタイミングで、ミッション・ビジョン・バリューの制定をしたんです。例えばミーティングの前に再確認したり、各個人がそれを実践するために今月することを紙に書いて、オフィスに貼るような活動をしたり。こういった地味な活動で意識はやはり変わりますよ。

事業運営や組織に関してロールモデルあったりしますか

中西:組織作りについてはラクスルさんを参考にしていて、河合聡一郎さんにはよく相談させてもらっています。また、事業作りに関しては、リクルートやサイバーエージェントや北の達人など、組織を拡大させながらもちゃんと利益を出し続け、なおかつ入った人がちゃんと挑戦して活躍できる組織がイメージにありますね。

共通しているのはビジネスの再現性をきちんと理解している人たちが上にいて、それをしっかり組織に落とし込めていることだと思っているので、そこを目指したいと思っています。

TENTIALのビジョンに「共同体」というキーワードが入っているのが個人的には好きです

中西:世の中をちゃんと動かすためには組織を作らなければいけないし、共同体を作らないとと思っています。大きい事業を作っていくためには、ロジカルな人たちだけで再現性だけを追求していっても難しく、やっぱり昔からいるステークホルダーをきちんと大切にしたり、共同体的な価値観がとても重要になってくると思ってます。

メンターのような方っていらっしゃるんですか

中西:ドワンゴの専務の横澤大輔さんとLIDDELL代表の福田晃一さんが運営する「JIGAMUGA」という経営者コミュニティがあるんです。Graciaの斎藤(拓泰)さん、ZEALS清水(正大)さん、ラブグラフ駒下(純兵)さんなどが在籍しているのですが、ここのコミュニティからはかなり学ぶことが大きいと思っています。

事業の話は一切せず、社会学のような再現性や人類の構造、世の中の仕組みや原理原則に関して議論する場はとても良かったです。

最後に、事業として、また個人としてどのような成長を目指しているか教えて下さい

中西:グローバルでは「ルルレモン」のようなモデル、日本だと予防医療のところを結構見ています。高齢化とブルーカラーが多い構造が医療費高騰に繋がっており、そこを改善するためにスポーツ庁ができたり、スポーツを持続可能なものにしようという政策になっていると思います。ここで、スポーツの技術を使ったり、インソールなどの製品を通して課題を解決していきたいと思っています。

個人としては、自分が死んだ後に何を残せるのだろうっていうのを本気で考えたときに、自分が持っているフィロソフィーを組織に落とし込んで、それがずっと続く会社を作りたいというのがありますね。

スポーツ選手が消費されずに持続可能な生き方をできるように、それを実現させるための事業ないし会社をずっと残せるようにしたいなと考えています。

ありがとうございました!

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日本にもソーシャルコマースの時代がやってくる、その2つの理由

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「個」の影響力は年々拡大しています。 YouTuber、 Instagramer、Tiktokerと呼ばれる人々が現れ、芸能人もテレビを超えて各SNSチャンネルに「個」として進出してきています。そして「個」の影響力の拡大に伴い、人々の消費行動は大きく変化しつつあります。 以下はFacebookが発表したデータです。商品を見つけ、商品を調べ、商品を買うと決める際に、Instagramは多くのユーザー…

「個」の影響力は年々拡大しています。

YouTuber、 Instagramer、Tiktokerと呼ばれる人々が現れ、芸能人もテレビを超えて各SNSチャンネルに「個」として進出してきています。そして「個」の影響力の拡大に伴い、人々の消費行動は大きく変化しつつあります。

以下はFacebookが発表したデータです。商品を見つけ、商品を調べ、商品を買うと決める際に、Instagramは多くのユーザーに役立っていることが伺えます。

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引用:How Instagram Boosts Brands and Drives Sales・2019/2

SNSに購入機能がついたソーシャルコマースの分野でみると、中国では “Instagram + Amazon” と例えられるサービス「RED(小紅書)」が急速に成長していますし、ヨーロッパでも同様に、アパレルに特化した欧州版REDのようなサービス「21Buttons」がユーザー数を勢いよく伸ばしていると聞いています。

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引用:中国ソーシャルコマースの衝撃ーー「インスタ+Amazon」“RED”(小紅書)攻略法

このように各国で拡大するソーシャルコマースは日本はもちろん、世界中に広がり浸透していくと考えています。そこで本稿では、ソーシャルコマース「PARTE」を開発・運営する私たちREGALIが、インフルエンサーやアパレルブランドの方々と接する中で得た気づきやデータを元に、これからのソーシャルコマースについてお話できればと思います。

日本におけるソーシャルコマースの拡大

なぜソーシャルコマースはこれから加速度的に拡大すると考えているのか?今回は「PARTE」と関連性が高いアパレル業界に絞って紐解いていきます。まず、拡大要因は、大きく2つあります。

1点目が「消費者と生産者のECへの意識変化」です。

下記は、大手アパレル会社のEC売上と全体売上におけるEC比率をまとめたグラフです。アパレル各社の方々とお話させていただくと、現在、SNSへの投稿を始めとするオンラインマーケティングからのオンライン販売の強化に力を入れて取り組まれていることがわかります。

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※各社決算資料、リリースより・資料作成:REGALI

そもそも数年前は現在よりネットで服を買うことに抵抗があるユーザーが多数で、また、アパレル各社も「オンライン販売拡大 = モールへの出店」という認識が一般的でした。その状況下において、ソーシャルコマースを展開することは市場環境的に難しい一面があったことが容易に推測されます。

一方、現在においてはネットで服を買うユーザーは増加し、アパレル各社はオンライン販売へ注力しており、ソーシャルコマースの土壌が醸成されたように感じます。

2点目が「個」のマネタイズ方法の多様化です。

YouTube上で投稿者が広告収益を得られるようになる「パートナープログラム」が開始されたのが2012年4月のことです。結果、YouTubeに動画投稿を行うユーザーは増え、その1年後にはYouTuber事務所であるUUUMが誕生します。

実は前述したRED、21Buttonsも投稿者が金銭的なインセンティブを受け取る仕組みが用意されています。

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PARTEで一部ユーザーに公開している報酬還元の確認画面 via コーデで貢献したユーザーには還元も、ソーシャルコマース「PARTE」にGBやジェネシアVなどが1.7億円出資

これらの例からも分かる通り、金銭的なインセンティブは投稿ユーザーをよりアクティブにし、プラットフォームの盛り上がりを加速させることが伺えます。さらに現在はYouTubeの広告収入、ライブアプリなどの投げ銭機能など、「個」に直接的に金銭的インセンティブが入る仕組みが一般に受け入れられてきていると感じます。

SNSのあり方が「コミュニケーション主体」であった数年前からすれば、これまでの日本のソーシャルコマースサービスに金銭的なインセンティブが導入されなかったことは至極当然です。

逆説的に言えば「個」が対価を得て情報を発信し、消費活動が生まれることが証明された現在、インセンティブの存在はこれからのソーシャルには必要不可欠なものと考えられるのです。

さらなる拡大に必要な鍵

もちろん課題もあります。

特に「個」が自由に情報を発信し、そこから消費活動が生まれる場所において、大切になってくることが「正しさ」だと考えています。発信された情報に虚偽、偽りがない。ステマではない。安心して情報を取得し、買い物ができるプラットフォームでなければユーザーに選ばれません。

また、金銭的インセンティブを導入する場合、適切な設計、不正検知も「正しさ」を保つ上で非常に重要です。故に、システム的な監視とその機能を含めた適切なコミュニティ設計が必要不可欠です。ちなみにPARTEでも誰が、誰の、どのコーデから、どのアイテムを購入したかのデータを蓄積しています。このデータをスコア化し、投稿の健全性、インセンティブの正当性を担保しています。

ということで、ざっとですが現在の日本(特にアパレル関連)におけるソーシャルコマースの現状をデータと私たちの体験から整理してみました。世界でソーシャルコマースの波が押し寄せる中、私たちも日本発の世界中で愛されるソーシャルコマースプラットフォームを作っていきたいと思います。

<参考記事>

本稿はショッピングSNS「PARTE」を開発・運営するREGALI代表取締役、 稲田光一郎氏によるもの。Twitterアカウントは@kou1na。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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「GAFAにどう立ち向かうのか?」 7つの視点で考えるテンプ回答

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載 アイデアが独り立ちし、製品化されると必ずと言っていいほど突き当たるのが「GAFAが攻めてきたらどう戦うのか?」という質問でしょう。実績が積み重なってくればなおさらです。ただ、実際にGAFAが同じような製品を展開したとしても、すぐさまユーザーが離れるのかどうか、市場シェアをすぐに奪われてしまうの…

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Photo by Lukas on Pexels.com

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載

アイデアが独り立ちし、製品化されると必ずと言っていいほど突き当たるのが「GAFAが攻めてきたらどう戦うのか?」という質問でしょう。実績が積み重なってくればなおさらです。ただ、実際にGAFAが同じような製品を展開したとしても、すぐさまユーザーが離れるのかどうか、市場シェアをすぐに奪われてしまうのかどうかはわかりません。

それでも、なぜこういった質問がしつこく聞かれるのか。答えは「起業家がどこまで考えきれているのかを探るため」ではないでしょうか。

では「GAFAにどう立ち向かうのか?」の質問への回答アプローチはどんなものがあるのでしょうか。ここで著名VC、GreylockのパートナーであるBrendan Baker氏のブログ投稿を元に、いくつかの視点を共有してみたいと思います。

なお、私の場合はAR市場展開を想定しているため同市場寄りの説明になっている箇所があります。そのため、特定パートは読者みなさんの市場に置き換えて説明を考えてみてください。

7つの視点

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Photo by Daniel Reche on Pexels.com

1. 得意収益軸:GAFAはなんでもできるわけではありません。必ず各々が得意とする稼ぎ方の「型」があります。年次報告書や四半期毎報告書を眺めつつ、まずは彼らがどこを得意に稼いでいるのか見定めてみます。

2. ハードウェア展開:ハードウェア開発および販売に強いのか、サービスで稼いでいるのか、もしくは両方なのかは重要な点です。IoTやロボット、AR企業にとってはなおさらです。たとえば忘れ物発見タグ「Tile」の模倣品をAppleが近々リリースされるともっぱら噂です。模倣品の生産だけでなく、iPhoneユーザーネットワークとの連携をされたらひとたまりもありません。このようにハード + ネットワーク効果のような連携サービスの形を取られるのがスタートアップにとっては最大の脅威となります(Tileの真の敵はiPhoneネットワークのフル活用)。

3. 失敗したサービス一覧:過去に撤退や不発で終わったサービスを確認してみましょう。どのような分野に強く、弱いのかが一目瞭然となります。

4. 自社領域の特性と時勢:噂レベルの話でも構いません、GAFAの開発リーク記事などを読みながら市場の動きを知ります。AR市場関連ではこうした噂話しか判断基準がないのですが、たとえばAppleの人材採用ページを見るとAR関連でどのような製品を作ろうとしているのかは薄っすらと見えてくるところもあります。

5. ハイパーフォーカス:たとえGAFAが何かしらの製品を展開してきたとしても、多くの製品ラインナップの内の1つです。圧倒的な選択と集中はスタートアップの強みであり、説明ロジックの軸となりえます。

6. プロテクション:大手企業になるほど既存製品の市場シェアを守ろうと走ります。既存製品への影響を無視してまで新規サービス展開へ積極的にリソースを割くことはない、という考え方です。

7. 企業文化:未来を信じるのか信じないのか。熱狂するのか、懐疑的なのか。特定分野の“熱狂者”しかいない環境が構築されるため、“熱質”が競合優位性になり得ます。ちなみにAR企業は知人らのスタートアップを見ていると、こうした「共感力」が圧倒的な差別化になると感じます。

Googleを紐解く

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Alphabetが発表した2019年の年次報告書より

ではこれらの視点をベースに、私が挑戦しているAR市場を軸に、大手各社を分析してみたいと思います。まずはGoogleから(5〜7は一般論なので割愛)。

1. 得意収益軸:年次報告書の「Revenue」パートを見ると、Google広告が収益の8割強を占めていることがわかります。YouTube広告もそこそこの収益シェアを占めています。ただ、広告が主軸であることから、YouTube Premiereのようなサブスク事業が大きく立ち上がっている見通しが未だありません。

改めてGoogleは広告企業であり、サブスク企業ではないと言えるでしょう。スタートアップが突くとしたら、Googleの事業領域でサブスク展開で急成長を狙える製品だと説明できるかもしれません。

2. ハードウェア展開と、3. 失敗したサービス一覧:次にGoogleが失敗してきた製品を適当な記事で確認してみましょう。(こちらの記事より抜粋)

Google Wave、Orkut、Google+、Google Hangouts on Air、Google Answers、Google Catalog Search、Dodgeball、Google Notebook、Google Page Creator、Google Video、Google Glass、Daydream etc…

4. 自社領域の特性と時勢:現在、Googleのハードウェア製品と言ったらPixelシリーズが有名でしょう。かつてはGoogle GlassやDaydreamのようなグラス端末やヘッドセットを開発してXR市場へ参入をしてきましたが上手く立ち上がっていません。そのため、同社は「モバイルAR戦略」へと大きく舵を切っています。

「広告企業」「Pixel」を組み合わせ、当分はモバイル市場を活用したAR広告戦略を打ってきそうな予感がしそうです。逆に言えば、モバイルAR広告以外の領域ではスタートアップも戦える領域があると言えるかもしれません。

Facebookを紐解く

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Facebookが発表した2019年第4四半期結果資料より

続いてはFacebook。

1. 得意収益軸:FacebookはSNSを活用した広告企業であることが一目瞭然です。ほぼ100%広告。Googleが苦手とするSNS領域に特化した「広告企業」とした不動の地位を得ています。ちなみにFacebookもGoogleのような巨大IT企業の脅威にさらされながらも、ハイパーフォーカスを武器に成長してきました。

2. ハードウェア展開:さて、ハードウェアではVR領域(Oculusシリーズ)で秀でています。2017年の開発者会議「F8」でARプラットフォームを構築していると発表したことや、Mark Zuckerberg氏のブログ投稿で2020年代に画期的なARグラスをリリースすると宣言したことから、Oculusシリーズと同様の展開を見せそうです。ハードウェア(ARグラス)と広告を組み合わせた戦略を仕掛けてくるかもしれません。

3. 失敗したサービス一覧:次にFacebookの失敗プロダクトをこちらの記事を参考に見ていきましょう。

Notify、Facebook Home、Facebook Deals、Facebook Gifts、Facebook Offers、Facebook Credits、Autofill with Facebook、Facebook Inbox、Facebook FBML etc…

総じて見ると、トレンドサービスを開発しようとコピーキャットを作ろとして数々の失敗をしています。結局Facebookの派生サービスとして埋もれてしまう印象です。ただ、Snapchatのストーリーズを全力で模倣するずる賢さも持ち、この機能だけ大成功を見せました。

一方、次のメディアやメッセージ系サービスに張るのは非常に上手いです。WhatsAppやInstagramを買収できている目利き力は非常に高いと言えます。Facebookとは別の独立アプリとして資本力を注がれると急成長を見せます。

4. 自社領域の特性と時勢:まとめるとSNS・メッセージ・画像/動画系の2Cサービスでは勝ち目がありませんが、フィンテックや小売系サービスのような派生サービスの立ち上がりは続けて失敗しており、スタートアップの参入余地となります。結局サービス成功までやり抜くことはなく、自社サービスのプロテクションに走るのは7つの視点で話した内容に合致します。

最大の弱点は「規制」。ユーザーデータの流出から市場反発が激しいです。若者ユーザー離れも深刻化しています。この2点もスタートアップの事業領域として適切だと考えます。たとえ同じSNS領域だとは言え、過去の失敗の事例をなどを上手く引っ張ってくればステークホルダーを説得できるはずです(編集部注:要約のため、AmazonとAppleの考察については原文をご一読ください)。

ただ正直、投資家らから必要以上にGAFAとの戦い方を詰められても、最終的に「未来のことはわからない、、、」と言わざる得ない場面に突き当たるでしょう。もし徹底的に叩かれてしまった場合は、自分の考えが浅はかだったと捉えて反省を持ち帰るか、やっかみだけ言ってくる人だと感じてばっさり切るのが一番だと感じます。

最後に、今回は紹介しませんでしたが、より戦略用語を用いてロジックを組み立てるには下記の記事を参考に、さらなる強固なディフェンス構築するのをおすすめします。

<参考記事>

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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拡張時代の到来で起こる「3つのこと」

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Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏は2020年の年明け、自身のブログ投稿にて今後のロードマップを発表しました。内容は4つのトピックに分かれて紹介されています。 本記事では最初にFacebookのロードマップを簡単に解説し、その上でSpatial Computing(空間コンピューティング)が普及した世界における3つのシナリオ展開を考察していきます。 最後に、完全リモートかつマルチタス…

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Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏は2020年の年明け、自身のブログ投稿にて今後のロードマップを発表しました。内容は4つのトピックに分かれて紹介されています。

本記事では最初にFacebookのロードマップを簡単に解説し、その上でSpatial Computing(空間コンピューティング)が普及した世界における3つのシナリオ展開を考察していきます。

最後に、完全リモートかつマルチタスクな世界のなか、.HUMANSがどのようなアプローチでSpatial Computingに取り組んでいくのかを紹介していきます。(※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載)

Facebookはどうなる

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  • A New Private Social Platform: プライバシー重視のSNS
  • Decentralizing Opportunity: 機会の平等化
  • New Forms of Governance: デジタル世界の政治
  • The Next Computing Platform: 新たなコンピューティング

最初に掲げられたビジョンは「A New Private Social Platform」の構築。プライバシーファーストな世界です。

大規模コミュニティが作られると新たな課題が発生します。それは、誰もに情報をさらけ出すような環境ではなく、自分と親密な関係の人たちとのやり取りを重視しようとする動きです。社会インフラとして働くFacebookは、より小さなコミュニティに主眼を置いた開発が求められています。

2つ目は「Decentralizing Opportunity」。

小さなコミュニティを活性化させるにFacebookが注目しているのがお金です。お金が動けばFacebook経済圏が形成されます。経済圏の中でもあらゆるモノ・コトの受け取りが発生するでしょう。ユーザーが求めるものが徐々に増え、様々な物事が世界中のFacebookユーザーに提供されるようになります。こうした世界を機会平等化されたビジョンとして描いています。

3つ目に紹介するのは「New Forms of Governance」。

Facebookの機会平等の戦略は、小さなコミュニティが積み重なり、今以上に多くのサービス機能を与えられたユーザーが作り出す巨大コミュニティとなります。ちなみに小さな集まりがベースとなった巨大コミュニティを指して「ハイブ(ミツバチの巣箱)」と呼びます。

ハイブの中は蜂の巣のように多層なコミュニティによって構築されています。従来のFacebookはあらゆるユーザーが誰もに繋がる単層コミュニティを目指してしまったことから、昨年話題になったプライバシー問題が指摘されてしまいました。この点、小規模な友人間の繋がりを重視した「Snapchat」や今はなき「Path」の戦略が優っていたと感じます。

いずれのコミュニティ形成のやり方であっても、Facebookのような世界的なネットワーク網ができれば、既存の政治形態に変わる、デジタル世界の新たな民主主義が登場するとザッカーバーグ氏は睨んでいます。そこでプライバシー重視のハイブ戦略に基づいた政治を考えるのが今後のロードマップとなります。

新たなコンピューティング

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ここからが本題である「The Next Computing Platform」の紹介です。

「The Next Computing Platform」を説明するためには、2017年のFacebookの開発者会議イベント「F8」で紹介された、上記で説明してきたロードマップとは別の3つのプランを説明する必要があります。

それがすなわち「Connectivity」「AI」「VR/AR」です。

超高速Wifiや5Gネットワーク、衛星を活用することでインターネット接続環境を世界中にばらまく「Connectivity」、画像認識やビックデータ解析に基づいた環境分析・解析環境を指す「AI」、ブレインコンピューティングやAR、Oculusシリーズが進んだ世界「VR/AR」。

3つの要素が次世代ネットワーク環境が整えば、あらゆるやり取りやタスクを即座に完了できる世界が実現されます。そこでザッカーバーグ氏はブログ記事にて、2020年代内に画期的なARグラス端末を投入するだろうと明言しています。

モバイルの次として期待されるARグラスは、空間全てがユーザーとインタラクティブにやり取りされます。これを実現する次世代コンピューティングを「Spatial Computing」と呼びます。また、次世代コンピューティングを実現させるには空間データがクラウド上にデータ保存される「ARクラウド」の概念が必須となります。現実世界がデジタル世界に生き写しとなるコンセプトから「ミラーワールド」や「デジタルツイン」とも称されます。

FacebookはSNS企業と大半の人が考えていることでしょう。しかし、今や同社は「Spatial Computing」時代への移行を睨み、ARグラス端末開発をAppleと並び率先的に進めている企業です。5〜10年後には結果が見えてくるでしょう。

拡張時代の到来で起こる「3つのこと」

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次世代グラス型端末は、人間の能力や機能を“拡張”するものであると.HUMANSでは考えます。

モバイルの登場とともに、スマホカメラはライブストリーミングをあらゆる場所で可能にし、ユーザーの存在を遠隔に飛ばすことを可能としました。Google MapのARナビゲーション機能は地図の読めない人であっても、矢印を辿れば目的に到着させ、視覚情報の拡張を行いました。VRヘッドセットでの体験は企業研修で用いられ、オペレーション作業の学習時間を格段に短くし、ユーザーの認知能力を強化させました。

ユーザーが持つ人間としての能力や機能がデバイスによって拡張される時代を、.HUMANSでは「拡張時代」と呼んでいます。

それではFacebookは拡張時代において、どのような世界が誕生すると考えているのでしょうか。改めてザッカーバーグ氏のブログに遡りながら、3つのユースケースを考察していこうと思います。

  • 存在の拡張
  • 脱都市化
  • フリーランス化がさらに加速

まずは「存在の拡張」から。

ユーザーの存在を世界各地へ飛ばす能力は、ZoomやSkypeに代表される映像電話ツールが普及した今以上に、リモート社会を促進させると考えられます。地方に住んでいても、ネットワーク環境があれば都市部へ通勤する必要もなくなってきます。

昨今、コロナウィルス流行を発端に中国では多くの行事がオンラインで開催されるようになりました。学校教育現場はオンライン動画プラットフォームへと移行、結婚式はライブストリーミングしながらお祝いする事例が発生しています。

まるでそこにいるかのように自宅から日常的にコミュニケーションを取るユースケースが発生すれば、「存在の拡張」は大きなキーとなってきます。

次は「脱都市化」に関して。

「存在の拡張」が発展すれば、住宅コストの高騰や地理的デメリットが消滅することが考えられます。では、次世代グラス端末が普及し、自分が選んだ好きな場所に住んで、他の場所の仕事に手軽に、かつ自由にアクセスできるとしたらどうでしょう。

脱都市化が進むと予想できます。

必ずしも都市部に住む必要がなくなり、人々の分散が始まります。すると、都市部の不動産価格は頭打ちとなり、住みやすい世界が実現するはずです。

小売の店舗戦略にも大きく関わってくるでしょう。1つSnapchatの事例を挙げさせてください。同社がLEGOと取り組むアパレル店舗があります。筆者は勝手に「ホワイトショップ」と呼んでいるのですが、店内に洋服は置かれていません。読み取りコードが複数置かれているだけ。

店舗導線に沿ってAR体験を楽しみ、購買に結びつけます。現実世界ではまっさらな店舗であっても、重なるように存在するAR世界では全く別世界が展開されます。なにより、在庫スペースや商品展示スペースがすっぽりと抜けることで、店舗規模を縮小しても十分に回る店舗体験を提供できるかもしれません。これは、大型出店では採算の取れない都市部への出店戦略を大きく改善する可能性を秘めています。

このように、地価にも影響を及ぼすのがSpatial Computingであり、ユーザー行動や都市開発など、一見関連のない市場にまでダイナミックに関与することが予想されます。

3つ目は「フリーランス化」について。

従来、フリーランスは動画編集やライティングのように、ある程度の汎用性のあるスキルに基づいた職業を掛け持ちする人によって構成されていました。しかし、技術の進歩により、たとえば病院診察のような高スキルな職も自宅から行えるようになると考えられます。

多種多様な情報がグラス端末に飛び込んでくることで、多くのタスクを短時間に完了させられるようになります。あらゆる種類の専門家がフリーランス化するようになり、ギグ経済はさらに加速することが予想されるでしょう。

すでにWalmartが従業員のVR教育を導入しているように、学習時間の圧倒的な短縮が図れるのもメリットです。学習インプットコストが圧倒的に短縮化され、人の「慣れ」が差別要素にならなくなる「No Learning Curve」な世界が登場すると思います。

別の展開も発生します。

「脱都市化」と「フリーランス化」は相乗効果的に相まって、本社機能を分散させます。自宅が会議室になり、オフィスの役割を兼ねるSpatial Computingの時代では、企業は「なぜHeadquarterを持つべきなのか?」と改めて考え始める可能性が出てくるでしょう。

本社機能を縮小し、各地方都市に機能移譲するかもしれません。そこでWeWorkのようなコワーキングスペースの活用にさらに拍車がかかるはず。次世代グラス端末の時代はコワーキングスペース市場にも大きな変化をもたらすと考えられるはずです。

本稿は拡張時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

 

 

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総合商社とDXの事業創造

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総合商社。東アジアの辺境にあるこの島国の産業の成り立ちは、総合商社の機能なしには語りえません。 資源が乏しく食料自給率の低い日本に、世界各地の資源・エネルギーや食料の供給網を構築し、また、日本企業が製造する自動車等の工業製品を世界各地に輸出展開する機能を担い、加工貿易を支えてきました。総合商社はあらゆる産業のサプライチェーンに介在し、次なる事業機会を見出す存在となったのです。 一方、DX(デジタル…

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総合商社。東アジアの辺境にあるこの島国の産業の成り立ちは、総合商社の機能なしには語りえません。

資源が乏しく食料自給率の低い日本に、世界各地の資源・エネルギーや食料の供給網を構築し、また、日本企業が製造する自動車等の工業製品を世界各地に輸出展開する機能を担い、加工貿易を支えてきました。総合商社はあらゆる産業のサプライチェーンに介在し、次なる事業機会を見出す存在となったのです。

一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)が声高に叫ばれる時代において、デジタル技術を活用することでこのサプライチェーンを最適化し、業界全体に新たな付加価値を提供しようとするスタートアップが、国内外で数多く登場しています。

そこで本稿では総合商社のビジネスモデルの変遷を振り、「産業のDX」を推進する上での総合商社の期待役割についてまとめてみたいと思います(本稿は総合商社とDX Part 1.0 ~総合商社の軌跡と課題~の要約版です)。

総合商社のこれまで(その1):トレード

商社の祖業は、トレードです。あらゆる業界の商材を扱うトレーディングカンパニーとして、日々の人々の暮らしや企業活動を支える多様な商品のサプライチェーンに総合商社は介在しています。

_トレード

筆者の水谷も、2013年に総合商社に新卒で入社し、複数のトレード案件に携わらせて頂きました。自動車部品向けの鉄鋼製品から電力小売事業者向けのバイオマス電力まで、ダイナミックなトレード案件の申請に係る稟議書が世界各地の拠点から引っ切りなしに上申されては、ハンコが押されていきました。

トレード案件における商社の介在価値は多岐に渡ります。

現地におけるマーケティングや取引先との販売交渉、在庫管理やJIT(ジャストインタイム)納入、煩雑な貿易実務といった販売や物流に係るオペレーション事由に加え、商社を商流に挟むことによる信用補完や運転資金の手当てといったファイナンス事由などです。

しかし、商社機能自体は他社との差別化も難しく、また、取引先企業も海外事業の経験値を蓄積していくことでトレードマージンの確保は困難になって久しく、1990年代には「商社冬の時代」に突入していきます。

総合商社のこれまで(その2):事業投資

総合商社の祖業であるトレードに代わり、現在の総合商社の大きな収益源となったのは事業投資です。トレードを通じて培った商材に関する知見やネットワークを駆使して、資源・エネルギー権益やメーカー、卸や小売といった様々な事業者に出資参画することで事業収益を享受するようになりました。

_事業投資

例えば、総合商社が東南アジアや中東、アフリカ等の新興国を中心に取り組む発電所の開発・運営事業は、元々、日系メーカー製の発電所設備を各国の電力会社に納入するトレードが起点となって開始されたものです。現在、総合商社は発電所の開発や運営についてのノウハウを蓄積する、世界的にも競争力のある事業者になっています。

しかしながらここで問題が発生します。それが「分断化」です

トレードを起点に事業投資を進めてきた結果として、業界内の特定の商流に紐づく緩やかな垂直統合型のビジネスモデルが発生しました。この垂直統合型のビジネスモデルによって、各商流ごとの情報はタコ壺化し、分断化が発生したのです。

残念ながら、総合商社単独では介在するサプライチェーン全体の改善余地を効率的、且つ、リアルタイムに関知し、取引先に最適解を提案するための術を持っていませんし、サプライチェーンとして全体最適を図るケイパビリティは持ち合わせていません。

ここにテクノロジーを活用したサービス事業者にとって次代の産業を支えるための巨大な商機があると考えています。

_垂直統合

産業のDXを推進するビジネスモデル

1990年代のインターネットの商用化以降、今までにITによるデジタル化が進んできた産業領域は、広告と小売、ゲーム等が挙げられます。

また、他の産業領域においてもデジタル技術を活用することでアナログなオペレーションを自動化・半自動化し、蓄積されるデータを活用して新たな付加価値を提供するプレイヤーが続々と登場しています。産業のDXを推進する流れは不可逆なトレンドなのです。

これらプレイヤーのビジネスモデルは、主に以下の5種類の内の一つ、若しくは、複数の組合せによって推進されます。

  1. B to B のSaaS(若しくはBPO)
  2. 事業者のマッチングサービス
  3. 商品のマーケットプレイス
  4. SPA(製造小売事業)の延長線としてサプライチェーンを強固に垂直統合するD2Cモデル
  5. オンラインを起点にマーケや製販仕のオペレーションを構築し、業界内の一事業者として戦うOMOモデル

例えば、飲食店や小売店の卸事業者への発注をスマホで簡単にできるようにするCONNECTというサービスを手掛けるCO-NECT社や、通販事業者を中心に対象とした在庫管理サービス「ロジクラ」を手掛けるニューレボ社は、B to B SaaS型のモデルです。

彼らは(1)を初期的なビジネスモデルとしながら、今後、蓄積される取引データを活用してより奥行きのある流通を最適化するビジネスを展開していく素地を整えています。

また昨今、話題になることも多いD2Cは、製品の企画開発段階から調達、製造、マーケ、販売、決済、サポートまでをオンラインベースで最適化する垂直統合型の一貫体制を敷くもので、ユニクロやZARA等のSPA(製造小売業)の延長線にあるビジネスモデルと解釈することが可能です。

業界のサプライチェーンを俯瞰して事業機会を見出す

それでは、産業のDXを推進していく上で、新たな事業機会となる空白地帯をどのように見出していけばよいでしょうか。各業界のサプライチェーンにおけるそれぞれの工程を横軸に配置し、各工程に介在するファクターを「ヒト」と「モノ・コト」に分解した切り口で事業領域を検討するものが、以下の表です。

_サプライチェーンと事業領域

この表は、製造業を念頭に横軸のサプライチェーンの各工程を並べていますが、業界や製品ごとに変更しながら活用していくことができると思います。「ヒト」は、エンドユーザーは勿論、各工程において従事する専門職や個人事業者、エージェントにフォーカスするもので、「モノ・コト」は、対象となる商材のみならず、各工程におけるオペレーションや業務対象となる事項、事業者間のコミュニケーションチャネルにフォーカスを当てるものです。

サプライチェーンを俯瞰し、各領域で事業を手掛けるプレイヤーをこの表上にプロットしたときに有力プレイヤーが手を付けていない空白地帯は、デジタル技術を活用して新たな付加価値を提供する可能性がある領域と考えています。

では建築・建設業界を例にサンプルをみてみましょう。

_サプライチェーンと事業領域(建設・不動産)

「建設・不動産」の上流工程に当たる建設や、下流工程にあたる不動産流通においては、既に複数の支援先スタートアップが事業開発を進めておりますが、最上流の原材料や資機材選定、或いは、中流にあたる不動産販売の領域は、ジェネシアにとって「空白地帯」となっています。

例えばこの空白地帯において、オペレーションの効率化を促す機能提供(B to B SaaSやBPO)が求められているのか、または、情報の非対称に起因するマーケットプレイスやマッチングプラットフォームが求められているのか、或いはOMO型の優位性を確立して一事業者としての勝機を見出すのか、いくつかの選択肢からドミノの倒し方について解像度を高めていくことができると考えています。

新規事業や起業を検討中の方は、製造業や建設・不動産、電力・エネルギー、住宅設備や医薬品等、様々な巨大産業のサプライチェーンを俯瞰しながら、事業アイディアを検討する際に参考にしてもらえればと思います。

産業DXにおける総合商社の役割

それでは最後にこのデジタル化時代に、巨大産業のサプライチェーンに潜む事業機会を掴み、推進していく主体は果たして誰になるのかについて記しておきます。産業革命以降、産業の黒子としてサプライチェーンを支えてきた総合商社が自社で事業を内製化して立ち上げて行くことは、主に以下の理由から難しいと考えています。

  1. 自社プロダクトの開発経験が乏しいこと
  2. 時間の掛かる新規事業の立ち上げ、及び、継続に必要な社内の収益基準を満たしづらいこと

これらも踏まえると、産業のDXを推進する上で、総合商社はゼロイチフェーズではなく、拡大フェーズのスタートアップとの協業を加速することで、自社の持つ優位性を最も発揮することができると考えています。

今後、DXに積極的な総合商社にとって、スタートアップへの規模感のある出資は勿論、人材獲得を目的の一つとするM&Aの実施は、生き残りに向けて必須となるでしょう。今まさに、事業機会のあるDXの空白地帯が、各商社にとってそのまま不毛地帯になるかの分水嶺を迎えています。

また、産業のDXを推進する上で、総合商社にとってもう一つ重要な機能役割が、起業家輩出です。視座の高いビジョンを掲げてゼロイチでの事業立ち上げにチャレンジしたいという気概を持つ総合商社出身者が、今後も会社の枠を飛び出して起業したり、重要ポジションでスタートアップに転職する事例は、ますます増加していくものと予想しています。

ジェネシア・ベンチャーズでも、総合商社出身の起業家が経営するスタートアップを複数支援させて頂いておりますが、様々な産業領域における豊富な事業経験とグローバルな視座を持って巨大な産業創造にチャレンジする商社パーソンは、巨大産業のDXを推進していく事業に対して、Founder Market Fitする方が多いと考えています。

ということで総合商社を鏡にして産業のDXを推進する事業機会についてまとめてみました。社会全体でDXのトレンドが上向きとなっている中で、産業競争力を強化するビジネスモデルについて、日々、検討していますが、アイディアのお持ちの方がいれば、是非、ディスカッションさせてください!

<参考情報>

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのインベストメントマネージャー水谷航己氏によるもの。Twitterアカウントは@KokiMizutani。毎週、事業プラン相談「DX Cafe by Genesia.」を開催中。くわしくはこちらから。

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Visional(ビジョナル)が物流業界に新規参入する理由

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ビジョナル株式会社、代表の南です。 本日、報道発表させていただきました通り、ビズリーチなどをグループ会社に持つVisional(ビジョナル)は物流業界に新規参入いたします。仲間として共に歩むことになったトラボックス代表取締役社長の吉岡泰一郎さんは20年間もの間、愚直にコツコツと事業を創り上げてきた実行力の方です。今日を皮切りに、私たちは新たな課題解決の道を共に歩むことといたしました。 そしてその第…

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写真左:M&Aを公表したトラボックス代表取締役社長の吉岡泰一郎さん

ビジョナル株式会社、代表の南です。

本日、報道発表させていただきました通り、ビズリーチなどをグループ会社に持つVisional(ビジョナル)は物流業界に新規参入いたします。仲間として共に歩むことになったトラボックス代表取締役社長の吉岡泰一郎さんは20年間もの間、愚直にコツコツと事業を創り上げてきた実行力の方です。今日を皮切りに、私たちは新たな課題解決の道を共に歩むことといたしました。

そしてその第一歩として、なぜ私たちが物流領域に新規参入することになったのか、その想いについて記します。

  • 事業こそが世の中を変革する
  • 課題発見とタイミング
  • 事業づくりは、仲間づくり

事業こそが世の中を変革する

さて、多くの方が「Visionalが物流?」と驚かれたかもしれません。もちろんこれは私たちにとって新たな挑戦です。しかし私たちにとってこの流れは必然でした。

なぜか。今、社会の抱える課題は日増しに大きくなっています。少子高齢化、低い労働生産性、人口減少。内閣府が公表している次世代の社会像を示す指針「Society 5.0」でも描かれている通り、こういった社会の課題は経済の発展と両輪で解決を目指す必要があります。

僕自身、5年程前からビズリーチ事業の運営を新経営チームに任せ、求人検索エンジンの「スタンバイ」や人材活用クラウド「HRMOS(ハーモス)」などのHR Tech領域の新規事業のみならず、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」やオープンソース脆弱性管理ツール「yamory(ヤモリー)」という、HR Tech領域以外で、社会の課題を解決するための事業をゼロから立ち上げてきました。

僕は新規事業を立ち上げるのが大好きです。事業こそが世の中を変革するキードライバーであると思っています。事業を通じて起こしたムーブメントにより、社会の変革に貢献できることこそが、自分の仕事の本分なのです。

そして社会の大きな流れを観察しながら次の新たな課題解決の領域を探し、事業計画に落とし込む。また、ゼロからその計画を実行していくことが、当グループにおける自分の一番の役割だと思っています。

では、なぜ物流だったのか。

課題発見とタイミング

僕は、新規事業を立ち上げるうえで最も重要で、かつ難しいことは、課題を発見することだと思っています。ありとあらゆる手段を駆使し、世界中の情報を収集しながら、解決すべく課題の選定を行います。社会構造の変化、また技術の進化などの組み合わせで多くの課題は生まれると感じているので、社会の流れや背景まで徹底的に調査します。そして、もう一つ見極めるのが、事業を始めるタイミングです。

10年前、私たちがビズリーチ事業を始めたのは、日本の働き方が大きく変わろうとしていた適切なタイミングだったからです。また、4年前に開始した人材活用クラウドHRMOS(ハーモス)も、日本経済の生産性の低さが叫ばれはじめようとしていたタイミングでした。僕にとっての新規事業づくりは、常に「課題発見とタイミング」がセットで大切です。

個人的に物流業界に着目しはじめたのは一昨年ぐらいでした。

物流業界は、様々な産業を支える、国の経済インフラのような存在であるにも関わらず、業界全体の生産性がなかなか上げられていない。国や業界のレポートをいくつか読んでみたところ、多くの問題に直面していて、苦戦する姿が率直にもったいないと感じました。

またその頃から、デジタル・トランスフォーメーションという言葉をよく耳にするようにもなりました。たとえば、経済産業省の「デジタル・トランスフォーメーション・レポート」では、物流領域はIT化が遅れており、「企業の生産性を落としている可能性がある分野」と記載されています。社会を支えるインフラのような産業の生産性が上がらないということは、結果的に国全体の生産性が向上せず、国力が弱まっていくと僕は考えています。

そのような課題意識を持ちながら、物流業界の様々な方とお話をするなかで、たまたまトラボックス代表の吉岡さんとつながりました。

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子会社化を公表したトラボックス

事業づくりは、仲間づくり

最後に、この課題に私たちはどう立ち向かうのか。

僕がB2B領域のITを活用したビジネスモデルを考える場合、まずは、かなりシンプルなところから始めます。この事業は、お客様の業務オペレーションを効率化するのか、もしくは、お客様の売上を効率的に増やすのか、について考えます。その後は、課題解決のフローを要素分解し、シンプルな仕組みに落とし込みます。また、初期段階はやれることより、やらないことを定めることを大切にしています。そして、お客様が「絶対使いたい・絶対解決できる部分」に絞り、サービスづくりのフェーズに入ります。

初期のビジネスプラン構築に並行して、経営チームを担う仲間づくりも始めます。

新生トラボックスの経営チームには、物流業界で誰もがその名を知るサービスを20年展開してきた吉岡さんを、テクノロジー面で支える経営のパートナーが必要でした。よって、新チームの立ち上げ期からGA technologiesで執行役員CTOを務めた石田雄一さんにチームへ加わってもらいました。ただ新生トラボックスを支える経営人材のリクルーティングは始まったばかりで、これからも一番力を入れていくところです。

Visionalが大切にするバリューに「事業づくりは、仲間づくり」を掲げているのですが、これまで多数の新規事業を立ち上げてきて分かったことは、採用にかける情熱や時間的投資こそが事業づくりを推し進めるエンジンであるということです。そして、採用ノウハウが蓄積されているのは、当グループの最大の強みのひとつです。

社会には解くべき課題がまだまだたくさんあります。時の流れと共に、世の中は便利になっていくことも多い一方で、その便利さの裏側には、今までなかった陰やくぼみができたりするものです。我々は、時代の変化によって発生している社会の課題をビジネスの種として捉え、そこで何かを生み出すことができるのではないかと、常々考え続けています。

Visionalでは、グループの創業の柱であるHR Techに続く、第二、第三の課題解決領域を見つけられるよう、HR Tech以外の事業領域において、ビジネスの生産性向上を支えられる新しい事業づくりを続けていきます。そして新たにその一環として、ゼロからの事業立ち上げ以外にも、M&Aも積極的に検討していきます。

新規事業を立ち上げている背景として、同時並行で別の新規事業を創りはじめていたり、M&Aを通じた新規事業領域を開拓もしています。Visionalという組織自体が、連続起業家のようなものにしていきたいです。

10年後には「えっ、創業事業ってHR Techだったんですね」と言われるくらい、多様な事業を展開していることが、我々が目指す経営ですね。

「新しい可能性を、次々と。」

10年後、想像もできない姿になっていく進化過程をどうか楽しみにしていてください。

<参考情報>

本稿はビジョナル株式会社代表取締役社長、南壮一郎氏によるもの。彼らの採用に興味がある方はこちらからコンタクトされたい

 

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スタートアップの評価額を上げる「プレミアム」とは何か

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YJキャピタル(ヤフーのベンチャーキャピタル)の堀です。今日のテーマは、スタートアップとバリュエーションについてです。起業家の皆さんが自社のバリュエーションをどうやって高め、その高さをどう投資家にプレゼンしたら良いか、について共有いたします。 事の発端は、2019年9月に連続投稿したTweetです。今、B2B SaaS業界でトキメイているSmart HR宮田(昇始)さんにブログ化のリクエストをいた…

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YJキャピタル(ヤフーのベンチャーキャピタル)の堀です。今日のテーマは、スタートアップとバリュエーションについてです。起業家の皆さんが自社のバリュエーションをどうやって高め、その高さをどう投資家にプレゼンしたら良いか、について共有いたします。

事の発端は、2019年9月に連続投稿したTweetです。今、B2B SaaS業界でトキメイているSmart HR宮田(昇始)さんにブログ化のリクエストをいただいたんですね。筆遅の私、ようやく腰を上げました。

突然ですが、バリュエーションが高いことって、悪なんでしょうか?

<参考記事>

昨年、ベンチャーキャピタルのCoral Capitalさんがコーポレートブログで、高すぎるバリュエーションでの資金調達に警鐘を鳴らしました。ブログによると

【メリット】
 ・希薄化を抑えた調達が可能
【デメリット】
 ・次のラウンドの資金調達の難易度が上がる
 ・M&A Exitの難易度が上がる

ということです。仰る通りでございますです。バリュエーション上げすぎると色々と問題も出ますね〜。でもでもですよ、メリットもありますよね。同じ10%の希薄化でも、バリュエーションが30億円の会社と300億円の会社では、調達額が3億円と30億円と変わってきちゃうんですから。

私のお仕事はベンチャーキャピタルといって、スタートアップに投資し、将来出資した株式を売却することで、株価の上昇分のリターン(キャピタルゲイン)で儲けるのを生業にしています。

投資家が数人集まってお茶したり、鍋つついたりすれば、二言目には「最近どう?バリュエーション高くない?」って話になります。投資家は先に書いたようにキャピタルゲインで生計を立てる商売です。キャピタルゲインは「出口の値段(売却時の株価)ー入り口(投資時の株価)の値段」で算出されます。入り口の値段を避けたいバイアスが常にかかっているので、先の発言が出てくるわけです。

極めて投資家っぽい書き方をすると、入り口の値段を可能な限り抑えて、出口の値段を可能な限り高くして売り抜けたいと考えます。そういう生き物なんです。起業家の皆さんが死ぬ思いしてプロダクト作って、必死の思いでユーザー獲得していても、投資家の頭の中は常に「入り口」「出口」です。残念なことに。どんなに綺麗なことをブログに書いていても、「入り口」と「出口」です。もう一回書きますよ。あ、もういいですね。はい、ごめんなさい。

そんな僕ら投資家でも、今から書く内容を押さえていれば、「ん?待てよ。高くないかも。投資した方が絶対良いよ」って思うポイントがあります。今日はそのポイントを書いちゃいます。みんなには内緒ですよ。

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1.プレミアムを説明しよう

バリュエーションを高くするためには、平均より高い理由、すなわちどういったプレミアムが乗っているかを説明しましょう。投資家は常に、証券市場の平均値と比較します。平均より何が優れているのか説明出来ないと「平均ですね」で片付けられてしまいます。腹落ち出来る説明がなければ、流動性の高い上場株を買った方がキャピタルゲインが望めるからです。

2.プレミアムは3種類ある

プレミアムとはなんぞや、と。平均より何が優れているとプレミアムと呼んで良いのでしょうか。未上場のスタートアップが上場企業と売上を比較しても簡単に勝てませんね。

投資家に対してスタートアップが使えるプレミアムはいくつかあると思うのですが、私のお気に入りを紹介します。

a) マーケットシェア1位

マーケットシェア1位です。業界ナンバー1なんです。これは圧倒的に強いですね。1位の会社にはプレミアム感が付いてきます。投資家殺しです。シェア1位の会社に投資する機会ってあまり巡ってきません。シェア1位を説明する上で、マーケットの定義、すなわちセグメンテーションについて学んでおくと良いでしょう。

弊社の戦っているマーケットは国内小売市場134兆円!って説明する起業家の方がたまーにいらっしゃいますが、こういう解像度が粗いプレゼンをすると投資家はシラーっとなって、プレゼンの最中でもFacebookやTwitterを開いて別のこと始めてしまいます。

いったいぜんたい、そのどデカイ市場でどのセグメントを狙っているんだい?ってプレゼンを聞いてる投資家は思いを巡らせます。ビューティー市場を見ても、女性/男性、年齢、基礎化粧品/メイクアップ、売り場(オンライン、オフラインチャネル)とセグメンテーション(細分化)が可能です。

市場が大きい時こそ、セグメンテーションをしっかりと行い、ターゲット顧客が誰なのかを明確にして、顕在市場規模を説明出来るようにしましょう。

どこかのセグメントで1位だと投資家は興奮します。

さらに、そのセグメントが業界全体で成長中だと投資家はもっと興奮しちゃいます。衰退市場で戦っている人は、市場が縮小していても気にしないこと。自社のシェアが市場縮小率を気にしないぐらい成長していることを説明できれば問題ないです。逆に、衰退市場で自社のシェアが横ばいだと、そのうちなくなっちゃうからマズいですね。

3年後、隣の顧客セグメントに参入します!(例:アパレルから消費財)というような起業家の話、投資家は眉唾で聞いています。実績が全て。実績や裏付けのない「将来、こうなります!」っていう話は投資家は「そうね。素晴らしいね」と言いながら聞き流しているのが本音です。

シェア1位の話長くなりすぎました(笑)ただ、私もソフトバンクグループの端くれとして仕事していて感じることですが、孫総帥はシェア1位が大好きだと思います。シェア1位と聞くと、身を乗り出して話を聞き入っているようなイメージがあります。

マーケットの捉え方、セグメンテーション、シェアをとにかく抑えに行く。

これ、テスト出ます。

b) 凄まじい成長率

この成長、やばくないっすか?って感じで右肩上がりのグラフを見せられると投資家は目がクラクラします。Y CombinatorのDemo Dayやピッチコンテストで必ず入れろ、って言われるスライドですね。

今、僕たちを捕まえておかないと乗り遅れるよ!っていうメッセージ力があります。やばくない?っていう成長率が良いですね。1カ月で10倍成長しました、とか最高です。

成長率を作るために広告燃やしまくるという手法があります。これはよろしくないですね。投資家はすぐ見抜きます。資金調達するために強引に右肩上がりの成長率を作ってきたな、と。

ユニットエコノミクスが証明出来ている(別の言い方だと、どんなに燃やしても回収可能、すごく儲かっちゃう)ならオッケーです。広告燃やさずに、顧客獲得ハックしている企業だと、投資家はヨダレをたらしながら飛びつきます。

ハック、で思い出しましたが、YJキャピタル支援先のKaizen Platformの須藤(憲司)社長が近々ハック思考について出版されるので、皆さんぜひハック思考を読んでマスターして下さい。

成長率も、市場平均より高い水準で成長していることが証明出来ると高く評価されます。EC市場が毎年約9%成長しているなら、少なくとも10%以上の成長はしたいですよね。業界の雄のEC事業者が毎年30%成長しているなら、60〜100%成長したいですよね。そうすると、「すげえ」ってなりますよね。

c) KPIの異常値を作る

最後のプレミアムは「異常値」です。競合他社と比べてCVRやCPAが10倍パフォーマンスが高いんです、という異常値です。

この状態を実現できていると、本日時点ではGMV(流通総額)やPV(PageView)で負けてるけど、数年後には競合を追い越せるやん!ってなります。「ふむふむ。ということは、数年後には将来の勝ち馬になるから、短期的に今バリュエーションが高くても、今乗っておいた方が良いわな」ってなります。

異常値を作ればいいんだ!ってのは分かりやすく伝えているだけであり、本質的には利益率、収益性のお話です。別の言い方をすると、平均的なビジネスモデルよりも、僕のビジネスモデルの方が明らかに儲かる、利益率が高いんです、ってことが言えれば投資家はめちゃんこ高く評価してくれます。

利益率を高くするには、いくつかコツがあって、競合サービスの平均値よりも

1.顧客単価を上げる
2.粗利を上げる(売上原価を下げる)
3.顧客獲得コストを下げる
4.リピート率を上げる
5.オペレーションコストを下げる

ことが出来れば実現可能ですね。この中のどれかで異常値を作ることをお勧めします。10倍近く平均との乖離があると完璧です。言うは易し、行うは難しです。

番外編)チーム

3つのプレミアムについてツラツラ書いてきました。番外編として、2度と使えない、1回しか使えないマジックプレミアムを紹介します(笑)

それは、「チーム」です。この面子でこの事業に挑戦するのすごくない?やばくない?超絶凄いっしょ、ってやつです。

これ、次の資金調達の時に使うと「いや、それ、君、前回も言ってたから」って冷静に投資家からツッコミをくらっちゃいます。しかも、前回よりも今回のタイミングで、業績やKPIで成長していないと「結局チームは凄いけど結果が出せない連中だよね。経歴は凄いんだけどね」って片付けられてしまいます。なので、個人的には、チームは”Nice to Have”ぐらいにしておくのが良いと思っています。実績で勝負するのが王道です。これ、気をつけてな!

結局、高いものには理由がないと、ヒトは買わない(投資しない)んですね。メルセデスやエルメスを買っている人いるじゃないですか。別にスズキやユニクロでもいいわけです。お金があるから買ってるわけじゃなく、買いたい理由があって、購入者が納得して買っているわけですよね。格好いいから、可愛いから、とか。

投資家も一緒なんです。

なので、プレミアムがある、と言う必要があります。在庫に限りがある限定品なんです、という見せ方をしないといけないんです。昭和の時代のドラクエであり、平成の時代のポケモンであり、令和の時代のスニーカーのように。

このジーンズ、岡山のXX工房とイタリアの巨匠のYYとNYのSupremeが3年構想してデザインした世界限定100本しかなくて、テルマさんも愛用している超限定品なんですよ、というプレゼンテーションしないといけないんです。

実績が伴わないのにバリュエーションが高い状況はよろしくないです。ただ、投資家を相手に株の取引をするのであれば、売り手としてのセールストークというか、買いたいと思わせるポイントは抑えたほうが良いですよね。

だいぶ長いブログになってしまいました(笑)一緒に事業づくり、バリュエーションをより高いところに持っていきたいという起業家の皆さん、ご連絡お待ちしています。どうやったら企業価値を高めていけるのか、色々アドバイスします。

見せかけだけじゃん、って言われないように、しっかりと事業を作り込んでいきましょう。そして、相談に乗ったYJキャピタルには特別にバリュエーシションを低く提示してください(爆)!

共に、未来を創ろう!

<参考記事>

本稿はベンチャーキャピタル「YJキャピタル」パートナーで代表取締役社長の堀新一郎氏によるもの。同氏に許諾をもらってnoteに掲載された記事を転載させていただいた。Twitterアカウントは@horrrrry。創業期からシリーズA達成を支援するプログラムCode Republic(コードリパブリック)では第7期を募集中

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外交官でも「賃貸契約拒否」の意外な理由ーー不動産テックにやってきた新たなチャンス

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2030年に向けて日本が抱える大きな社会課題のひとつに労働人口の問題があります。こちらの推計調査でも出ている通り、このまま何もしなければ650万人近くの「働き手」が足りなくなり、そのしわ寄せはそのまま経営を直撃することになります。 注目されているのがこれまで顕在化していなかった働き手の存在とテクノロジーによる効率化です。特に働き手として注目が集まるのが海外からやってくる方々の存在で、高度な技術を持…

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Photo by Huseyn Kamaladdin on Pexels.com

2030年に向けて日本が抱える大きな社会課題のひとつに労働人口の問題があります。こちらの推計調査でも出ている通り、このまま何もしなければ650万人近くの「働き手」が足りなくなり、そのしわ寄せはそのまま経営を直撃することになります。

注目されているのがこれまで顕在化していなかった働き手の存在とテクノロジーによる効率化です。特に働き手として注目が集まるのが海外からやってくる方々の存在で、高度な技術を持った人材から、ホスピタリティあふれる働き手までバラエティに富んでいます。

テクノロジーカンパニーであれば、優秀なエンジニアの採用を海外に求める企業も増えているので、この傾向は向こう10年でさらに強まることが予想されます。

もちろん課題もあります。特に生活の根幹をなす「住」については、例えば年収で1000万円クラスの高度な人材であっても、賃貸契約を結べないケースがあるのです。しかもその理由は非常にアナログで「海外の人たちを信頼できない」という曖昧なものだったりします。

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参考資料:アットハースウェブサイト

アットハースは、外国人向けの賃貸物件契約手続きをオンラインで完結できる多言語対応プラットフォームを運営しているスタートアップです。これまで2000件以上の海外人材の移住相談を受け、サポートしてきました。

本稿ではその経験から見えた、海外人材獲得時に発生する「住」に関する落とし穴を共有したいと思います。

外国人材の受け入れ準備が進む日本

日本政府としても労働人口の減少については当然課題に考えており、2019年10月からは法改正によって賃貸契約の骨幹となる重要説明事項のPDF送付が可能となり、訪日する前の段階でもオンラインで契約できる状況を作り出しています。こういった具体的な法改正やビザの緩和、オリンピック開催の期待感から在留外国人は過去最多の282万人と増える一方です。

国家として受け入れの間口が広がる中、外国人材の賃貸契約には困難な壁が待ち構えています。それが保証会社との契約、つまり与信審査のクリアです。

審査に落ちる意外な理由

理由は何だと思いますか?

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参考資料:アットハース

過去にあった2000件ほどのケースであれば、年収がどれだけ高く、また、通訳などのサポートがあったとしても、契約者本人が日本語でコミュニケーションが取れないと多くの保証会社が審査落ちするんです。もっと具体的に言うと、国内で働く年収1000万以上のマネージャーや外交官の入居が断られています。

実際、エジプトやマダガスカルの外交官が入居拒否されたということで相談をいただいたケースもあります。残念ながらこういう方々はホテルなどに滞在することで急場をしのがれています。

日本賃貸住宅管理協会の短観によると、賃貸借契約全体で97%が保証を求められる中、100%の外国人材は保証会社を利用しているそうです。つまり彼らにNGを出された場合、住む場所が確保できない、ということになります。

ちなみに同じく短観で、日本人の家賃滞納率は前年比1.2%増の8.2%です。当たり前ですが、与信とコミュニケーション能力は別物です。これだけの問題で、払える能力を持った顧客を排除するのは大きなビジネスチャンスの喪失です。

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参考資料:アットハース

2030年に向けた獲得競争

もちろん、ここに気がついている事業者も増えています。エポスカード社は、エポスグローバルという外国人に特化した保証商品を持ち、大きくシェアを伸ばしていると聞いています。それに追随するかの様に、大手の保証会社数社はハイエンドの外国人を中心に獲得を急いでいるようです。

しかも保証会社に支払う料金は通常、日本人が支払う賃料の50%ではなく、100%でも払うケースが多いそうです。特に前述した外交官のようなハイエンドの外国人はお金の問題よりも、そもそも住めるかどうかという深刻な問題に直面している、というのがよく分かります。

ちなみに私たちに依頼をしてくる方々の多くは年収1000万円から2000万円のエンジニアやマネージャー層が中心になっているので滞納されるケースはこれまでありません。支払い賃料額もそれなりで、6割は10万円以上、20万円以上という方も2割います。

課題が明確なだけに私たち含め、業界全体がテクノロジーで解決を目指し、大きな社会課題の解決につながればと思っています。

<参考情報>

本稿は外国人向け賃貸物件契約手続きプラットフォーム「AtHearth」を運営するアットハース代表取締役、紀野知成氏によるもの。Facebookアカウントはこちら。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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スタートアップの「認知変化」を生むストーリーづくり、その方法(後半)

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続きです。前回はスタートアップにとって認知変化(パーセプションチェンジ)がPR戦略において重要ということをお伝えしました。世の中の雰囲気が自分たちの思い描くビジョンの方に流れてくれれば、あとは用意した新しい体験の勝負に持っていけるからです。 手法としてプロダクトの磨き込み(体験向上)やイベント(ファン育成)、ストーリー(話題づくり)を挙げました。本稿ではちょっと理解しにくい話題づくりについて整理し…

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Photo by Pixabay on Pexels.com

続きです。前回はスタートアップにとって認知変化(パーセプションチェンジ)がPR戦略において重要ということをお伝えしました。世の中の雰囲気が自分たちの思い描くビジョンの方に流れてくれれば、あとは用意した新しい体験の勝負に持っていけるからです。

手法としてプロダクトの磨き込み(体験向上)やイベント(ファン育成)、ストーリー(話題づくり)を挙げました。本稿ではちょっと理解しにくい話題づくりについて整理してみます。

宣伝はもうお腹いっぱい

スタートアップにおけるストーリーとは「社会の認知と目指すべきビジョンのギャップを埋める物語」という定義です。前回の例で言及した「電話でタクシーからスマホでUber」の物語は、決済と行き先を事前に済ませておけば移動という体験がすごく気持ちよくなる、というものでした。

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では、こういった体験を人々にどうやって伝えるのがよいでしょうか。

創業期のメルカリは取材時、サービス自体の説明をしたことはほとんどありませんでした(後発で「フリマアプリ」というキラーワードの開発が終わっていたことも要因です)。それよりも「すぐ売れる」という体験や、「これから世の中、もったいないことはしたくない」という社会の変化を伝えていました。また、ダウンロード数などを積極的に開示することで「みんなが使ってる」という雰囲気を作り出したのも彼らが上手だった点だと思います。

<参考記事>

今、私は取材する側としていろいろなサービスの売り込みをお聞きしますが、多くの場合、自分たちのソリューションを語って、社会とのギャップについて言及されることはあまりありません。あったとしてもすごく長くて難しかったり、世の中のトレンドとズレていたりすることが多いです。

ソリューションが溢れ出した今の時代、ここの言語化が非常に重要になっているのです。

ストーリーをどう作るか

本題です。これまでPOSTで実際に起業家のみなさんと一緒にストーリーを作ってみて気がついたポイントはいくつかあります。

コンテンツとして(1)社会の変化を伝える(2)構造を紐解く(3)違った一面を見せる、あたりが重要です。次に書き方としては(1)140文字に意味を入れる(2)自分で語る(ナラティブ)(3)Why・What・Howを語る。逆に良くないパターンとしては(1)定性的(2)宣伝(3)長い、という特徴が挙げられます。

(1)社会の変化を伝える

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「中国ソーシャルコマースの衝撃ーー「インスタ+Amazon」“RED”(小紅書)攻略法」

特に日本はそうですが、東京都内で一歩外に出ればコンビニがある、異常なまでに便利な社会になっています。ソリューションが溢れ、広告宣伝に晒される中、人々はそれを使う理由を求めていると感じます。

例えば「新宿のたこ焼き屋がFAX発注をデジタル化できたワケ、344兆円市場の“商機”とは」という記事では、もう誰も使ってないと思われてるFAXが未だ現役の業界でその独特の「理由」を実例踏まえて伝えています。変わりたいけど変われない、だから自分たちの存在意義がある、というメッセージです。

「なぜ人はスニーカーに熱狂するのかーートレードする若者、スーツを着なくなった40代」も同様に、話題になっているスニーカーの個人間売買がなぜ成立しているのか、そこにある世代間ギャップをうまく事例として紹介してくれました。

こういったストーリーは引き出しのひとつです。彼らはイベントやメディア露出の機会にソリューションではなく、こういった空気の変化を伝えることができるのでより多くの視点を観衆に与えることができるようになります。

(2)構造を伝える

典型的なHow to記事ですが、ここをしっかりと押さえることでそれぞれの業界のリーダーシップ認知を取ることができます(興味ある方は「ソートリーダーシップ」で検索してみてください)。最近の起業家YouTuberやTwitterランドでオピニオン出してる方の中にもいらっしゃるかもしれません。

「EXITというドラマ、起業家と投資家はどこで衝突するのか」「起業アイデアの見つけ方「3つのパターン」」「創業期に「従業員」は採用しなくていい」などは普段、裏方である投資家の認知を広げるストーリーづくりとして王道の手段です。メジャー媒体での寄稿連載や書籍出版をされる方も多い分野です。

あまりない情報テーマを見つけるのも重要です。例えば「中国ソーシャルコマースの衝撃ーー「インスタ+Amazon」“RED”(小紅書)攻略法」では、日本語どころか英語にもあまり出ていない、ローカル情報を紐解いています。言語に閉じている情報(もちろん日本から英語もありません)は実は狙い目だったりします。

(3)違った一面を見せる

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「atama plusは最初の100人を熱狂させるプロダクトをどうつくった」

ストーリー関連で私がよくお伝えしているアドバイスに「3つぐらいの顔を作る」というものがあります。王道のソリューション、業界のオピニオン、これに加えてもう一つの顔、です。

例えば「VCを卒業して「介護」という課題に挑戦した理由」では、介護サービスにチャレンジする起業家の挑戦過程を伝えていますが、彼は元々、ベンチャーキャピタルで働いていた経歴を持っていたのですね。このストーリーを作るにあたり、当初はその件について触れていなかったのですが、私にとっても意外な一面だったので、ぜひということでエピソードを追加してもらいました。

また教育関連やAIといった文脈で語られることの多いatama plusさんが投稿したPOST「atama plusは最初の100人を熱狂させるプロダクトをどうつくった」では、開発手法を公開することで組織カルチャーの作り方を表現されています。これも違った一面です。

こういった「社内にある無数の情報資産」を社内広聴し、時々のトレンドに合わせて自由自在に出し入れできる広報・PRチームはやはり強いと思わされます。

効率的なコンテンツ制作の手法を整理する

最後にアウトプット方法について少し整理しておきます。アウトプットは私たち日々、コンテンツを作る側の人でも得手不得手があります。特にスタートアップ・ストーリーとして作る場合のポイントとして(1)140文字に意味を入れる(2)自分で語る(ナラティブ)(3)Why・What・Howを語るを記しておきます。

140文字はご存知の通り、Twitterで投稿できる最大の文字数です。特に日本語は情報量が多いので、この文字数でしっかりとした意味を伝える訓練をすれば文章が筋肉質になります。意識したいのが一文一意で、この小さい塊にしっかりとした意味を加え、140文字に整理し、それを積み上げることで2000文字〜3000文字(スマホで読む時の適量)のコンテンツが作りやすくなります。

あとナラティブも最近の傾向として重要です。ソーシャルが発達した結果、嘘のつきづらい世の中になりました。創業者や経営陣が説明責任を負って真摯に語る方が、第三者視点よりも信用される時代に入っていると感じます。最後の(3)Why・What・Howは(1)の一文一意とあわせて大切で、文章に構成を作る時の羅針盤にするとよいです。

これらは各社スタイルがあると思うのでそれぞれの方法を整理しておくと便利です。

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